これぞ“N17劇場”! スパーズが後半ATの劇的OG弾で天敵に13戦ぶり勝利! 9人でもなお強さ見せたリバプールは今季初黒星…【プレミアリーグ】

2023.10.01 03:46 Sun
Getty Images
プレミアリーグ第7節、トッテナムvsリバプールが9月30日にトッテナム・ホットスパースタジアムで行われ、ホームのトッテナムが2-1で勝利した。なお、リバプールのMF遠藤航は73分からプレーした。

4位のトッテナムは前節、鬼門エミレーツ・スタジアムで開催された今シーズン最初のノースロンドン・ダービーを2-2のドローで終えた。オウンゴールとPKによる不運な形で2度のリードを許す苦しい展開を強いられたが、マディソンとソン・フンミンのホットラインによって2度のビハインドを追いつき、鬼門から勝ち点1を持ち帰る上々の結果となった。直近のリーグ戦で12試合未勝利の天敵とのビッグマッチでは先発1人を変更。負傷のブレナン・ジョンソンに代えてリシャルリソンを同じ左ウイングで起用。状態が懸念されたソン・フンミンとマディソンは無事スタメンに入った。

対する2位のリバプールは、ホーム開催となったウェストハム戦を3-1で勝利し、5連勝を達成。一時同点に追いつかれたが、今季無類の強さを誇る後半にヌニェス、ジョタがゴールを重ねて難敵相手にきっちり勝ち切った。また、ミッドウィークのEFLカップ3回戦では大幅にターンオーバーを敢行した中、2部のレスター・シティ相手に3-1の逆転勝利を収めて好調を維持。その試合からはカーティス・ジョーンズとガクポを除く先発9人を変更。ウェストハム戦からヌニェスに代えてガクポを起用した以外同じ顔ぶれに。また、負傷明けのアレクサンダー=アーノルドが遠藤らと共にベンチに入った。
注目の無敗対決は立ち上がりから球際でバチバチとやり合う激しい展開に。後方から細かく繋ぐホームチームに対して、リバプールは高い位置で人を掴みに行くアグレッシブな守備でショートカウンターを狙う。

ファーストシュートはセットプレー流れのマク・アリスターの3分のシュートとなったが、以降はビスマ、マディソンを起点に小気味いいパスワークで相手のプレッシャーをいなすトッテナムがペースを握る。そして、クルゼフスキとリシャルリソンの両翼が際どいシーンを作り出す。
一方、カウンターを起点にチャンスを窺うリバプールは13分にビッグチャンスを創出。自陣での細かい繋ぎからソボスライが左サイドでスペースを狙うルイス・ディアスに大きな展開。深い位置まで運んだディアスのマイナスのパスをアンダーラップしたロバートソンがワンタッチでボックス中央のガクポに繋ぐと、オランダ代表FWは左足の反転シュート。これはGKヴィカーリオの好守に阻まれるも、こぼれ球に反応したロバートソンがすかさず左足を振る。だが、この決定的なシュートは素早く体勢を立て直したイタリア代表GKの圧巻の反射神経にはじき出される。

この決定機をきっかけにリバプールの時間がしばらく続き、カーティス・ジョーンズやサラーがフィニッシュに絡んでいく。だが、トッテナムも快足DFファン・デ・フェンらの好守で失点を許さない。

すると、前半半ばには試合の流れを左右するアクシデントが発生。26分、球際での競り合いの際、ボールの上を滑る形でビスマに足裏を見せたタックルを見舞ったカーティス・ジョーンズのファウルが取られる。当初、主審はイエローカードを掲示したが、オンフィール・ドレビューの結果、危険なファウルとの判定でカードの色が赤に変わった。

これで今季3度目の退場者を出したクロップのチームは、サラーを最前線に残した[4-4-1]の布陣で、大逆転勝利した第3節ニューカッスルの再現を目指す形に。そして、しばしの守勢を凌ぐと、34分には左に流れてボールをキープしたサラーのスルーパスに抜け出したディアスがボックス右から見事な右足シュートを左隅に突き刺す。だが、先制点かに思われたこの場面は微妙なオフサイド判定で認められず。

すると、ピンチの後にはチャンスあり。トッテナムは36分、、相手陣内左のハーフスペースでボールを持ったマディソンがセンターバックと右サイドバックの間を通す絶妙なスルーパスを供給。これにオフサイドぎりぎりで抜け出したリシャルリソンがボックス左からダイレクトで折り返すと、ゴール前に走り込んだソン・フンミンが右足ワンタッチでゴールネットへ流し込み、2戦連続ゴールとした。

ボール保持に長けたポステコグルーのチーム相手にリードを許す苦しい展開となったリバプール。以降は2失点目回避を最優先としながらも、カウンターやセットプレーを軸に虎視眈々とゴールチャンスを窺うと、その狙いが前半終了間際に結実する。

前半アディショナルタイム5分、相手陣内右サイドで得たFKの二次攻撃から中央右のソボスライがボックス左へ正確なクロスを供給。これをファン・ダイクが丁寧に頭で折り返すと、中央でゴールを背にしたガクポが巧みな右足の反転シュートを中央に突き刺した。

数的不利を感じさせないリバプールの底力によって試合は1-1のイーブンでの折り返しに。ハーフタイムでは同点ゴールと引き換えに右足を痛めたガクポに代わってジョタが投入された。

後半は立ち上がりから数的優位のトッテナムが押し込む展開に。センターバックのロメロも再三の攻撃参加を見せるホームチームは、49分にマディソンの左足のコントロールシュート、51分にソン・フンミンの胸トラップからの右足ボレーシュートと決定的なシュートを枠に飛ばす。だが、いずれのシュートもレッズの守護神アリソンが驚異的な反応ではじき出した。

後半序盤の攻防を経て試合はやや膠着状態に。59分にはマディソン、リシャルリソン、ソン・フンミンと先制点を決めた3選手の連携でゴールネットを揺らすが、ここはリシャルリソンの抜け出しのタイミングでのオフサイドを取られてゴールは認められず。

その後、トッテナムがソン・フンミンを下げてソロモンをピッチに送り出した直後に再びリバプールにアクシデント発生。直前に1枚カードをもらっていたジョタが69分にウドジェへのアフターチャージで2枚目のカードをもらって退場に。

これで9人での戦いを強いられることになったアウェイチームは、73分に3枚替えを敢行。サラーとジョー・ゴメス、ディアスを下げて遠藤、コナテ、アレクサンダー=アーノルドと守備的な選手を投入。ここから攻撃を捨てて勝ち点1を持ち帰るための戦い方にシフトした。

ここから試合は攻めるトッテナム、専守防衛のリバプールという構図が完全に明確に。

[3-5]の堅固な守備ブロックを構えるリバプールの堅守に対して、サイドから揺さぶり続けてゴールを目指すトッテナム。だが、色気を出さずに守りに集中する赤い壁は非常に厚く再三の揺さぶりもことごとく撥ね返される。

その後、デビュー戦となるベリスやスキップといったフレッシュな選手を投入し、交代枠を使い切ったポステコグルーのチームだが、最終盤は可能性のないクロスに終始。前半とは異なり、攻撃の匂いを全く出せなくなる。

しかし、前回対戦ではアンフィールド劇場で土壇場での失意を経験したスパーズは、今度は“N17劇場”で歓喜を味わうことに。6分が加えられた後半アディショナルタイムの96分、自陣低い位置からロングカウンターを発動。一度は攻撃をスピードダウンさせられるが、右サイド深い位置でポロが鋭いグラウンダーのクロスを入れると、これがニアでクリアを試みたDFマティプのオウンゴールを誘って土壇場でゴールをこじ開けた。

そして、この直後に試合はタイムアップを迎え、劇的な形で天敵にリーグ戦13試合ぶりの白星を手にしたトッテナムが、ポステコグルー監督のホーム無敗を「51」に更新し、2試合ぶりの勝利を手にした。一方、9人でもなお強さを見せたリバプールだったが、昨シーズンから継続していたリーグ戦での無敗記録が「17」でストップする今季初黒星となった。

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その上位陣に引き離されて6位に甘んじるマンチェスター・シティ(勝ち点31)は、グアルディオラ体制において最も厳しい前半戦となった。開幕4連勝スタートも、9月末にバロンドーラーのロドリが長期離脱を強いられると、勤続疲労や相次ぐ離脱者も重なって大不振に。11月以降はペップ初のリーグ4連敗など、2勝2分け6敗と苦しい戦いを強いられた。プレー強度、切り替えの精度を中心に攻守両面でテコ入れが必要な部分は幅広く、稀代の名将も一時はお手上げ状態だった。今冬の移籍市場では数人の補強を行う見込みだが、財政違反の審理の影響も引き続き懸念されるなか、例年のような後半戦の無双状態に持っていくことは厳しいかもしれない。 その王者以上に厳しい前半戦を過ごしたのは11位のトッテナム(勝ち点24)、14位のマンチェスター・ユナイテッド(勝ち点22)。ポステコグルー体制2年目で補強も行ったトッテナムだが、消耗激しいプレースタイルと、今季はヨーロッパリーグ(EL)に参戦している影響で昨季以上に負傷者が増加。センターバックの主力3人、守護神ヴィカーリオと守備陣を中心に満身創痍の状況が続く。また、リーグ2位の得点数に得失点差+13とトップ4圏内のスタッツを残しながらも、試合ごとの大きすぎる波が低迷に繋がっている。 一方、昨季FAカップを制してテン・ハグ体制を継続したユナイテッドは各ポジションに新戦力も補強。だが、スパーズ同様に負傷者の多さと指揮官のマネジメントの拙さもあり、10月末にオランダ人指揮官を解任。ファン・ニステルローイ暫定体制を挟み、11月中旬から前スポルティングCP指揮官のアモリム監督を招へい。ただ、新体制移行後も苦しい戦いは変わらず、残留争いも気になる前半戦となった。 ビッグ6以外では古豪ノッティンガム・フォレスト(勝ち点37)が3位と大躍進。前半戦の最大のサプライズチームとなった。また、シーズンが進むごとに本来の力を取り戻したニューカッスル(勝ち点32)が5位、ボーンマス(勝ち点30)やフルアム(勝ち点29)がトップハーフ入り。一方、昨季4位のアストン・ビラ(勝ち点29)は9位、MF三笘薫のブライトンは中盤戦以降の失速で10位フィニッシュ。 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