中村憲剛氏は親目線で熱のこもった意見も、「国際女性デー」トークイベントで女子サッカーの現状や未来を安藤梢らと語る

2023.03.09 15:30 Thu
©︎JFA
8日、「国際女性デー」に合わせて「JFA女子サッカーデー オンライントークイベント」が開催された。

日本サッカー協会(JFA)は2019年度第5回理事会で「国際女性デー」である3月8日を「JFA 女子サッカーデー」に制定。2020年より女子サッカーの普及に向けた種々の活動を行っている。

今回のイベントには安藤梢(三菱重工浦和レッズレディース)、中村憲剛氏(JFAロールモデルコーチ/川崎フロンターレ Frontale Relations Organizer)、髙田春奈氏(WEリーグチェア)、佐々木則夫JFA女子委員長の4名が登壇。テレビ東京のアナウンサー、竹﨑由佳さんの司会で進行した。
5日に再開したYogibo WEリーグについての話からスタートしたトークショーは、プロ化2年目を迎えて競技レベルやトレーニングに対する意識向上など、選手目線からはポジティブな声が聞かれ、一方で海外のリーグや代表と比較して認知度や集客性は改善すべき課題だとの見解も示された。普及活動の実績を踏まえながら女子育成年代の現状にも触れ、7月に開催されるオーストラリア&ニュージーランド・女子ワールドカップ(W杯)へ向けてなでしこジャパンへもエールが送られた。

中村氏は親としての目線も交え、「(子供たちが)1つの勝利に向かって頑張る姿っていうのは自分の娘だけじゃなくすごい感情移入してしまう。だから至るところにもっと(子供たちがボールに触れることができる環境が)増えればいいんだろうなって思う」とも語る。同時に育成年代の選手登録の問題にも言及した。
「少年と少女と分かれているので結構複雑。高学年になっていくと登録問題が出てきて男子に登録すると女子に出られなくなっちゃう、(都道府県)FAによって違うみたいなんですよね。何とかできませんか?」と佐々木委員長に確認を求めるなど、熱がこもった。

また、女子サッカーデーを契機とした取り組みの1つには、中村氏の娘が「めちゃくちゃ食いついてきました」というディズニーとのコラボレーション企画「JFA Magical Field Inspired by Disney」の"First Touch"がある。

2023年は昨年の4倍となる32会場で実施されるなど好評を博し、中村氏も「(子供たちが)ボールに触れる機会を増やしたい。こういうイベントで裾野を広げるというのは非常に大きな効果がある」と太鼓判を押した。

WEリーグや女子サッカーを盛り上げるための議論の中では、ピッチ内外での情報発信や交流にも言及された。

リーグには理念である『女子サッカー・スポーツを通じて、夢や生き方の多様性にあふれ、一人ひとりが輝く社会の実現・発展に貢献する』ことを体現することを目的として「WE ACTION DAY」が定められている。

多彩な活動を行う川崎フロンターレで育った中村氏は、ピッチ上で与える価値はもちろんのこと、ピッチ外でも「積極的に地域貢献活動を行い、ピッチ外でも存在価値を高めることで、地域の方にスタジアムに足を運んでもらう(ことができる)。僕らはいい試合をして、ピッチ外では触れ合って」と、好循環が生まれるとのこと。髙田チェアも「地域の人たちと連携していくことで競技力の面でもプラスになるということを証明してくださったクラブ。すごく参考になる」と同調した。

安藤がプロ選手の立場として「自分たちがいいプレーをしたものを多くの人に見てもらえるものあるといいなと」とテレビを含めたコンテンツの充実を望めば、SNS等のさらなる活用や継続性も重要だと中村氏。社会連携活動も含めて「ピッチ上と同じくらいオフのところを見たい派の方たちは実はすごく多くて、意外とそういうところにヒントがあるんじゃないかな?」と語るなど、様々な目線から今後の女子サッカー発展に向けた声が聞こえることとなった。

安藤梢の関連記事

女子サッカー界で長らく大きな問題となっており、原因が解明されていないヒザの前十字じん帯(ACL)の問題。イングランドでは、予防を研究するための新たなプロジェクトがスタートするという。 サッカー界においてはケガというのはつきもの。小さなものから大きなものまで、接触プレーやハードなトレーニング、試合を行えば、少なから 2024.05.01 14:35 Wed
三菱重工浦和レッズレディースのなでしこジャパンDF石川璃音が持つポテンシャルには舌を巻くばかりだ。 2023-24WEリーグも佳境を迎え、首位に立つのは浦和。1試合消化数の多い中で、2位INAC神戸レオネッサに勝ち点「7」差を付け、順位表の最上位に位置している。 クラブは残る5試合を『FINAL5 勝利を積 2024.04.25 21:10 Thu
WEリーグ新記録となる6試合連続ゴールを記録した三菱重工浦和レッズレディースのなでしこジャパンFW清家貴子が想いを語った。 27日、2023-24WEリーグ第20節の三菱重工浦和レッズレディースvsアルビレックス新潟レディースが浦和駒場スタジアムで行われた。 この試合は、AFC女子チャンピオンズリーグのプレ 2024.03.27 19:10 Wed
殊勲の先制ゴールを挙げたなでしこジャパンのDF高橋はなが、試合を終えての想いを口にした。 なでしこジャパン(サッカー日本女子代表)は28日、パリ・オリンピックアジア最終予選第2戦となる北朝鮮女子代表戦を国立競技場で行い、2-1で勝利。2戦合計スコアを2-1とし、2大会連続6度目のオリンピック出場権を獲得した。 2024.02.29 08:30 Thu
片手では数えきれないほどの選手が、この数週間でヒザの前十字じん帯(ACL)断裂で離脱を余儀なくされた。 14日、なでしこジャパンのメンバーに招集されていたFW遠藤純(エンジェル・シティFC)が、ヒザの前十字靭帯損傷で離脱することが発表された。パリ・オリンピックアジア最終予選に臨むなでしこにとっては痛手となった。 2024.02.23 22:10 Fri

WEリーグの関連記事

記事をさがす

安藤梢の人気記事ランキング

1

浦和Lが女子W杯メンバー起用で4発大勝!菅澤優衣香&20歳西尾葉音がともに2ゴール 鴨川2戦連発の千葉Lも今季初勝利【WEリーグカップ】

2日、2023-24 WEリーグカップ グループステージ第2節の3試合が各地で行われた。 初戦ドロー発進となった昨季のチャンピオン、三菱重工浦和レッズレディースは、相模原ギオンスタジアムでノジマステラ神奈川相模原と対戦し、4-0の大勝を収めた。 開幕戦ではオーストラリア&ニュージーランド女子ワールドカップ(W杯)出場メンバーに休養を与え、ジェフユナイテッド市原・千葉レディースと引き分けに終わった浦和だが、今節は石川璃音、高橋はな、猶本光を先発起用。清家貴子もベンチから機をうかがった。 リズムの良いボール回しを見せる浦和は10分、遠藤優のクロスに菅澤優衣香が頭で合わせて幸先よく先制すると、31分にも再び菅澤。CKのセカンドボールを拾い、後方に残っていた水谷有希がゴール前へシンプルに放り込むと、高橋の落としをワントラップから豪快に左足で蹴り込んだ。 WEリーグ初年度得点王の2発でリードを広げた浦和だったが、その菅澤と伊藤美紀を下げた後半は一転、N相模原に押し込まれる時間が続く。ただ、相手の精度にも助けられて無失点のまま推移すると、80分の安藤梢の投入でギアチェンジ。育成組織出身の20歳FW西尾葉音がトップチーム昇格後初ゴールを含む2得点で応えるなど、計4得点を奪った浦和Lが今季初勝利を挙げている。 その浦和と前節引き分けた千葉は、アウェイでマイナビ仙台レディースと対戦。マイ仙台は須藤茂光監督が心臓弁膜症の治療に専念するため、佐々木勇人コーチが指揮を執った。 前節は途中出場となった新加入選手、千葉Lは山口千尋、マイ仙台はカーラ・バウティスタが互いに新天地での初先発を飾った一戦は、37分にショートカウンターから山口に絶好機が到来するも、シュートは枠の上に。一方、[4-4-2]の左サイドハーフで出場したカーラが積極的に足を振るなどしたマイ仙台は、前半の終了間際に武田菜々子がカットインからのボックス内シュートを放つが、こちらも枠を捉えられない。 均衡を破ったのは千葉玲海菜投入直後の千葉L。54分、右サイド深い位置でのスローインを起点に千葉も絡み、アジア競技大会日本女子代表に選出された大澤春花がクロスを送ると、ニアの田中真理子がすらしてファーの鴨川実歩が難しい体勢ながらもゴールにねじ込んだ。 マイ仙台も先日2種登録されたばかりの高校1年生、ユース所属の15歳FW津田愛乃音を投入するなど、反撃を試みるが、最後まで1点が遠いままタイムアップ。鴨川の2試合連続ゴールで千葉Lが今季初白星を手にし、マイ仙台は連敗を喫した。 熊谷スポーツ文化公園陸上競技場で行われた"さいたまダービー"、ちふれASエルフェン埼玉vs大宮アルディージャVENTUSは、EL埼玉に軍配が上がった。 11分、EL埼玉はシンプルに裏を狙い、今季から10番を背負う吉田莉胡が右サイド深い位置から折り返すと、アルビレックス新潟レディースから今季加入した園田悠奈が左足で合わせて試合を動かす。 80分にはセットプレーから追加点を奪取。敵陣浅い位置のFKを瀬戸口梢がゴール前に放り込むと、今季はFW起用が続く瀬野有希と競り合った大宮V坂井優紀のオウンゴールを誘発した。 このまま逃げ切ったEL埼玉が、前節の大敗を払拭する完封勝ちで今季初勝利。一方、初戦ではINAC神戸レオネッサに完勝した大宮Vだったが、連勝とはならなかった。 ◆WEリーグカップ グループステージ 第2節 ▽9月2日 ▼グループA マイナビ仙台レディース 0-1 ジェフユナイテッド市原・千葉レディース ノジマステラ神奈川相模原 0-4 三菱重工浦和レッズレディース ▼グループB ちふれASエルフェン埼玉 2-0 大宮アルディージャVENTUS ▽9月3日 ▼グループA セレッソ大阪ヤンマーレディース vs サンフレッチェ広島レジーナ ▼グループB AC長野パルセイロ・レディース vs INAC神戸レオネッサ 日テレ・東京ヴェルディベレーザ vs アルビレックス新潟レディース 2023.09.02 22:00 Sat

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly