【2021-22ラ・リーガ シーズン総括】超WS選出の最優秀選手はベンゼマ

2022.06.03 18:00 Fri
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◆独走のレアル・マドリーが2季ぶりの戴冠
昨季王者アトレティコ・マドリーの連覇が有力視された今季のラ・リーガだが、蓋を開けてみればレアル・マドリーが4節を残して2シーズンぶり35度目の優勝を成し遂げた。

ジダン体制の終焉に伴い、6シーズンぶりにアンチェロッティ監督を復帰させたレアル・マドリーは、DFセルヒオ・ラモス、DFヴァランの重鎮2人が去った最終ラインにDFアラバ、主力3人の勤続疲労が続いた中盤にMFカマヴィンガと2選手を補強。ただ、それ以外に目立った補強はなく、優勝争いには絡むものの下馬評は決して高くなかった。

それでも、百戦錬磨のイタリア人指揮官が率いるチームは、開幕3節で首位に浮上すると、シーズンを通してやや浮き沈みはあったものの、最後までトップを維持し続けて26勝8分け4敗という見事な戦績を残した。

負傷者が続出したサイドバックのやり繰り、いずれも決め手を欠いた右ウイングを固定し切れないなどの問題はあったが、主砲ベンゼマと守護神クルトワ、MFモドリッチを中心とする黄金の中盤が圧巻の存在感を放ち、DFミリトンとFWヴィニシウスの覚醒、アラバの前評判通りの活躍と、チームとしての総合力が光った。さらに、シーズン終盤にはFWロドリゴ、カマヴィンガの台頭によって質の高いターンオーバーも可能となり、最多14度目の優勝を果たしたチャンピオンズリーグ(CL)と並行しての戦いの中で安定したパフォーマンスを継続した。

その首位チームに13ポイント離されての2位フィニッシュとなったバルセロナは、絶望的な前半戦を過ごしたものの、チャビ監督の招へいと今冬の積極補強が実り、最低限の結果を手にした。前経営陣の放漫経営のツケを払う形で、FWメッシの電撃退団、選手登録のための主力の大幅減俸など大混乱に見舞われたチームは、FWアンス・ファティらアタッカー陣に負傷が重なった序盤戦で格下相手の取りこぼしが目立つと、昨年10月にクーマン前監督を解任。セルジ暫定監督を挟み、レジェンドの招へいに動いた。

その新体制では序盤こそ原点回帰のスタイル変更に時間を用したものの、MFガビやMFペドリの若手の奮起に加え、今冬の移籍市場でFWフェラン・トーレス、FWオーバメヤン、FWアダマ・トラオレ、DFダニエウ・アウベスの大型補強が機能。さらに、前半戦をケガや契約問題でほぼ棒に振ったFWデンベレの完全覚醒によって攻撃が改善されると、アトレティコ戦、エル・クラシコでの大勝に加え、セビージャやベティスといった上位陣との直接対決をことごとく制し、一時9位に低迷したチームは最終的に2位でシーズンを終えることになった。

開幕前からある程度の低迷が予想されたバルセロナと異なり、前評判では本命と目されたアトレティコは首位と15ポイント差の3位という失望のシーズンを過ごすことになった。

昨シーズンの主力をほぼ残した上、FWグリーズマン、FWマテウス・クーニャ、MFデ・パウルといった実力者を新たに補強した昨季王者は開幕4勝2分けの6戦無敗とシーズンの滑り出しは悪くなかった。だが、第7節のアラベス戦での初黒星をキッカケに自慢の堅守が崩壊し始めると、昨年末には現体制でワーストとなる屈辱の4連敗を喫して優勝戦線から早々に脱落。後半戦では得点力を維持しつつ失点を減らして何とか最低限のCL出場権を確保した。

アトレティコ同様に開幕前の評判は上々だったセビージャは、首位チームと同じ4敗もリーグ最多の16引き分けが響いて4位フィニッシュとなった。DFクンデとジエゴ・カルロスの両センターバックの慰留に成功した上、手薄なサイドバックのバックアップやFWラファ・ミルやMFラメラと前線に新たなオプションを手にして臨んだシーズンでは、リーグ最少失点の堅守を軸に前半戦は手堅い戦いを見せた。

だが、後半戦は深刻な得点力不足に悩まされて格下相手に勝ち切れない試合が目立ち、わずか6勝という尻すぼみの形でシーズンを終える形となった。ひとまずロペテギ監督の続投は決定したが、新シーズンに向けては戦力刷新と共に、より攻撃的なスタイルへの変更が求められるところだ。

その4強を除くオトラ・リーガではコパ・デル・レイ王者の5位ベティス、6位レアル・ソシエダがヨーロッパリーグ(EL)出場権を確保。CLでベスト4進出という快挙を達成した7位ビジャレアルは、アスレティック・ビルバオを退けてヨーロッパ・カンファレンスリーグ(ECL)行きを決めた。

ベティスとソシエダはトップ4には届かなかったが、いずれも後方から能動的にボールを動かす魅力的なスタイルと共に結果を両立させ、最低限の結果を手にした。一方、ビジャレアルは63得点37失点と、トップ4フィニッシュでもおかしくない数字を残したが、FWジェラール・モレノら一部主力の不在もあって勝負強さを欠いたことが7位フィニッシュの要因となった。

その他のボトムハーフでは12位ラージョ、14位エスパニョール、16位マジョルカと昇格組3チームがいずれも残留を勝ち取った。青年指揮官イラオラの手腕光ったラージョは後半戦失速も、上位陣相手にも堂々とした戦いぶりが印象的。同じくエスパニョールはシーズン終了後にビセンテ・モレノ監督が解任されるごたごたはあったが、主砲デ・トーマス、司令塔ダルデルを中心にソリッドな戦いぶりで余裕の残留に。

一方、MF久保建英を擁したマジョルカは年末年始の4連敗、後半戦の7連敗によって降格圏と残留圏内を行き来する苦しい戦いを強いられたが、シーズン終盤に招へいされたハビエル・アギーレ監督の下でリアリスティックな戦いを徹底した結果、最終盤の2連勝によって逆転での残留を達成した。なお、久保は28試合(先発17試合)に出場と出場機会に苦しんだ昨季に比べて着実にプレータイムを得たが、1ゴール1アシストと目立った数字を残すことができず。マジョルカでの2度目のシーズンは消化不良の形となった。

最後に、今季の降格はグラナダ、レバンテ、アラベスとここ数年プリメーラを維持してきた3チームに決定。グラナダではFWホルヘ・モリーナ、レバンテではMFホセ・モラレス、アラベスではFWホセルと主砲は二桁ゴールを記録するなど気を吐いたが、いずれのチームもシーズンを通してチグハグな戦いに終始した。

【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆FWカリム・ベンゼマ(レアル・マドリー)
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圧巻のパフォーマンスでバロンドール最有力候補に。FWクリスティアーノ・ロナウドの退団以降、レアル・マドリーの前線に君臨するフランス代表FWは、今季キャリアハイの27ゴールを挙げて自身初のピチーチ(得点王)を受賞。さらに、アシストランキングでも2位タイの12アシストと、今季のチームが挙げた80ゴールの内の約半分に関与するという驚異的なスタッツを叩き出した。

昨シーズンまでは組み立てから崩し、フィニッシュと前線のほぼすべてのタスクを担ってきたが、今季は新たな相棒に成長したヴィニシウスの台頭によって、よりフィニッシャーとしての仕事に集中できたことが得点増、負担減に繋がった印象だ。また、世界最高の万能型ストライカーとしての存在感に加え、出場機会が少ないDFマルセロに代わってゲームキャプテンを務める機会も多く、チームを鼓舞し続けるリーダーとしての存在感も光った。スーペル・コパを含め今季シーズン3冠に貢献したことで、自身初のバロンドール受賞も濃厚だ。

★最優秀監督
◆カルロ・アンチェロッティ(レアル・マドリー)
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6年ぶりの古巣帰還でヨーロッパ5大リーグ全制覇の快挙。前半戦の大躍進を支えたラージョのイラオラ監督、途中就任でチームを立て直したバルセロナのチャビ監督、ヘタフェのキケ・フローレス監督、ベティスのペジェグリーニ監督の手腕も見事だったが、プリメーラ初制覇のイタリア人指揮官を最優秀監督に選出した。

これまでミラン、チェルシー、パリ・サンジェルマン、レアル・マドリー、バイエルンでトロフィーを獲得してきた62歳だが、以降のナポリ、エバートンではクラブのレベルもあっていずれも無冠に。そのため、ジダン監督の後任として電撃復帰したマドリードでの2度目の仕事に対して、開幕前には懐疑的な見方も少なからずあった。さらに、クラブのバックアップもアラバ、カマヴィンガの2選手の獲得に留まった。

しかし、メガクラブ、スーパースターの扱いに長けた智将は現有戦力、ミリトン、ヴィニシウス、ロドリゴ、カマヴィンガ、バルベルデといった若き才能の力を巧みに融合し、シーズンを通して的確なマネジメントでハイパフォーマンスを維持。ホーム開催での今季2度目のクラシコでは、試合後に自身も失策を認めた0-4の屈辱的な大敗はあったものの、アトレティコやバルセロナの躓きをうまく利用し、余力を残してのプリメーラ初制覇となった。

【期待以上】
★チーム
◆ベティス
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トップ4を逃すも結果・内容共に充実。前半戦の主役を担ったラージョ、余力を残して残留を決めたエスパニョールの昇格組2チームも評価したいが、今季最もスペクタクルなチームのひとつだったベティスを推したい。

ペジェグリーニ2年目の今季はこれまで同様にボール支配に主眼を置きながらも、守備の局面で果敢にプレッシングを敢行するなど、よりアグレッシブな姿勢を打ち出した。EL、コパ・デル・レイと3つのコンペティションを戦った影響で後半戦はパフォーマンスに波があったものの、MFフェキルとMFカナレスの両司令塔、サラ賞(スペイン人得点王)にあと一歩まで迫った16ゴールのフアンミらを擁する攻撃陣の破壊力は抜群だった。守備に関してはサイドバックを中心にバックラインに負傷者が目立ったものの、MFギド・ロドリゲス、MFウィリアム・カルヴァーリョらが睨みを利かせる中盤を含め、昨季に比べて粘り強さが光った。

今季はアトレティコ、セビージャ、ビジャレアルと堅守速攻のリアリスティックな戦い方を志向する3チームにいずれもシーズンダブルを喫しており、トップ4フィニッシュに向けてはそういった不得手な相手に対して、いかに勝ち点を拾えるかが重要となりそうだ。

★選手
◆MFガビ(バルセロナ)
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ブラウグラナの未来を明るく照らす神童MF。レアル・マドリーMFカマヴィンガ、アトレティコDFヘイニウド、ベティスFWフアンミ、ソシエダMFスビメンディ、アスレティックFWニコ・ウィリアムズ、ラージョDFフラン・ガルシアらの活躍も印象的だったが、今季のラ・リーガで最もセンセーショナルな活躍を見せたのは、やはりバルセロナの17歳MFだ。

2015年にベティスからラ・マシア入りした神童は、デビューシーズンとなった今季のラ・リーガで34試合2ゴール6アシストを記録。インテリオール、左右のウイングを主戦場に卓越したボールコントロール、ポジショニング、パスセンスを披露。加えて、173cmと小柄ながらもデュエルの局面で年上の屈強な相手選手とバチバチとやり合うなど、冷静さと情熱を兼ね備えたプレーで多くのクレを魅了した。

1試合の退場を含め通算9枚のイエローカードをもらうなど、守備面における判断力。試合、時間帯によってパフォーマンスに大きな波があるところに可愛げを見せているが、17歳にしてその完成度はやはり異次元だ。ここ最近の延長交渉で代理人とクラブサイドの確執も伝えられ、プレミアリーグ流出の可能性も報じられるが、DFアラウホ、MFペドリ、ファティと共に今後のバルセロナ復権の主軸となることを期待したい。

【期待外れ】
★チーム
◆アトレティコ・マドリー
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守備崩壊で失望の1年に。昨シーズンはこれまでの堅守に加え、システム変更やビルドアップの改善など、一皮剝けた印象で7季ぶりの優勝を果たしたアトレティコ。今季はMFサウールを除く主力の残留に加えて手薄なポジションにテコ入れを図り、戦力の充実度では補強がいまひとつだったライバルを上回っていた。

しかし、シーズンが進むに連れてファーストディフェンス、全体の強度に大きな問題が生じ始めた守備が崩壊。4バック、5バックに限らず、“アリバイ”要素が強くなったことで、危険な位置で易々とフリーでシュートを打たれ、セットプレーでも失点する状況が続いた。

後半戦ではFWフェリックスの復活などで得点力が戻ってきた一方、DFヘイニウドの加入でやや盛り返した守備に関してはシメオネ体制でのワースト記録を大幅に更新する43失点という結果に。新シーズンに向けてアルゼンチン人指揮官の続投が決定している中、攻守両面でのアップデートが求められる。

★選手
◆FWユスフ・エン=ネシリ(セビージャ)
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得点力不足の大きな要因に。レアル・マドリーの豪華な控えアタッカー陣やバルセロナの控え守備陣、ソシエダFWイサクらも期待外れの結果に終わったが、FWオカンポスらと共にセビージャ失速の原因となった25歳のモロッコ代表FWは最も厳しい1年を過ごした選手の一人だ。

昨季はキャリアハイとなる18ゴールを挙げて昨夏の移籍市場を賑わせたエン=ネシリは、今季の更なる爆発が期待されたものの、最終的に23試合5ゴール2アシストという数字に終わった。

開幕7試合で3ゴールという序盤戦は悪くなかったが、筋肉系のケガやコンディションの問題、アフリカ・ネーションズカップ参戦によって昨年10月から約3カ月に渡って戦線を離脱。復帰した2月以降は定期的にプレー機会を得たものの、ラファ・ミルやマルシャルとのポジション争いで劣勢を強いられた上、ピッチ上でのパフォーマンスも芳しくなく後半戦はわずか2ゴールを奪うに留まった。

そもそも昨季が出来過ぎだったという見方、ケガによるエクスキューズはあったが、セビージャの主砲としての働きが期待された中でやはり失望のシーズンだったと言わざるを得ない。

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【ラ・リーガ シーズンプレビュー】盤石王者マドリーに積極補強バルサが挑む! 久保建英は新天地で勝負の1年目

2022-23シーズンのラ・リーガが8月12日(金)に開幕を迎える。昨シーズンはバルセロナ、アトレティコ・マドリーの大きな躓きもあり、シーズンを通して安定感際立ったレアル・マドリーが2シーズンぶり35度目の優勝を果たした。だが、今シーズンはその王者と、物議醸す大型補強を敢行したバルセロナとの壮絶な一騎打ちが期待されるところだ。 ◆的確補強で大本命もエースのバックアップ不在が唯一の懸念~レアル・マドリー~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220812_100_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> ディフェンディングチャンピオンにして、昨季のチャンピオンズリーグ(CL)王者でもあるレアル・マドリーが今季もタイトルレースの大本命だ。 昨季はDFセルヒオ・ラモス、DFヴァランら長らくディフェンスラインを支えた重鎮の退団によって、守備面に不安を抱えて臨んだシーズンだったが、新加入DFアラバの圧倒的な存在感、DFミリトンの急成長、守護神クルトワのハイパフォーマンスによって、その課題をクリア。さらに、黄金の中盤による圧倒的な構成力、FWヴィニシウスのゴールスコアラーとしての覚醒により、破壊力を増した攻撃陣と、対戦相手に全く隙を与えない安定した戦いぶりで、余裕を残して優勝を決めた。 アンチェロッティ体制2年目で臨む今季に向けては前カピタンのマルセロやMFイスコ、FWベイル、FWヨビッチら控えメンバーが退団し、次代のフットボール界を担う逸材MFチュアメニ、チェルシーでワールドクラスに成長したDFリュディガーの2選手を補強。ディフェンスラインと中盤にクオリティと厚みを加えた。これにより、中盤ではMFバルベルデ、加入2年目のMFカマヴィンガを含めた質の高いターンオーバー、ディフェンスラインではDFアラバの左サイドバック起用が可能となった。 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前経営陣による放漫経営のツケを払い、昨夏にFWメッシが電撃退団するなど大混乱に見舞われたバルセロナ。ロナルド・クーマン前監督の下では乏しい戦力、指揮官の求心力低下で不安定な戦いに終始した結果、昨年11月にチャビ監督を新指揮官に招へい。レジェンドによる戦術面の原点回帰、今冬の大型補強により息を吹き返したチームは、ヨーロッパリーグ(EL)での屈辱的な敗退はあったものの、ライバルの取りこぼしが目立つ中で順調に勝ち点を積み重ねて最低限のノルマだった2位フィニッシュに成功した。 2018–19シーズンの優勝から3シーズン遠ざかるラ・リーガ制覇に向け、捲土重来を期すブラウグラナは、引き続き深刻な財政難に喘ぐ中で今後のテレビ放映権の25%、クラブ子会社の一部株式売却などで6億ユーロ以上の資金を調達。これにより、FWレヴァンドフスキ、FWハフィーニャ、DFクンデを高額な移籍金で、DFクリステンセン、MFケシエをフリートランスファーで獲得。さらに、DFマルコス・アロンソやMFベルナルド・シウバの獲得に動いているとの報道もある。 プレシーズンではレヴァンドフスキやハフィーニャがMFペドリ、FWデンベレらと好連携を見せるなど、攻撃陣を中心に好調を維持。DFアラウホやFWアンス・ファティ、MFガビら自慢の若手も更なる成長の兆しを見せており、ピッチ内においては躍進に向けてポジティブな材料の宝庫だ。 その一方で、DFユムティティやFWブラースヴァイトら余剰人員の整理の遅れ、ラ・リーガのサラリーキャップに対するクラブサイドの見積もりの甘さにより、開幕直前にも関わらず、新戦力や契約更新を行ったMFセルジ・ロベルト、デンベレが登録できずにいる点は大きな懸念だ。ラポルタ会長を含むクラブ首脳陣はギリギリでの登録を楽観視するが、子会社の株式の追加売却やMFフレンキー・デ・ヨング、FWデパイ、FWオーバメヤンの売却、昨季に続く一部主力の減俸受け入れが必要となるかもしれない。 ただ、前述の問題がすべてクリアされたあかつきには、チャビ体制2年目のバルセロナは、リーグ戦ではレアル・マドリーの有力な対抗馬、2014–15シーズン以来タイトルから遠ざかるCLでは優勝候補の一角となる魅力的なチームとなるはずだ。 ◆11年目迎えるシメオネ体制は正念場迎える~アトレティコ・マドリー~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220812_100_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 一昨シーズンの王者は連覇を期待された昨季の低迷により、正念場のシーズンを戦う。 2020-21シーズンは見事な勝負強さを発揮し、7シーズンぶりのプリメーラ制覇を成し遂げたアトレティコ。昨季は連覇に向けて積極的な補強を敢行して下馬評では本命に挙げられながらも、シメオネ体制ワーストの43失点を喫するなど、チームの根幹である堅守が崩壊。FWグリーズマンやFWクーニャの補強で充実を図った攻撃も、前シーズンの数字を下回り、戦術的なアップデートのなさも含めてサイクル終焉を感じざるを得ない厳しいシーズンを最終的に3位で終えることになった。 それでも、チョロ体制の継続を決断したコルチョネロスは今夏の移籍市場でFWルイス・スアレス、MFエクトル・エレーラのベテラン2選手らが契約満了によりチームを離れた一方、MFヴィツェル、DFモリーナの2選手を獲得。また、今後の去就は不透明も、FWモラタとMFサウールの実力者2人もレンタルバックという形でチームに復帰している。 DFトリッピアーの退団以降は泣き所となっていた右サイドの問題を解決するモリーナの加入は非常に大きいが、昨季から大きなメンバーの入れ替えはない。個人としてはグリーズマン、FWフェリックス、MFマルコス・ジョレンテらの奮起に期待しつつ、シメオネ監督を中心とする戦術面のアップデートが覇権奪還のカギを握るはずだ。 ◆戦力的な上積み乏しく3強との差広がる~オトラ・リーガ~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220812_100_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 前述の3強を除くオトラ・リーガは、いずれのクラブも財政面で少なからず問題を抱えており、開幕直前の現時点では3強との間で戦力差が広がっている印象だ。 そのため、セビージャ、ベティスのアンダルシア勢、ビジャレアル、レアル・ソシエダと昨季のヨーロッパコンペティション争いを演じた4チームが3強に挑む構図となりそうだ。 昨季4位のセビージャはリーグ最高の堅守を武器に、優勝したレアル・マドリーと同じリーグ最少の敗戦数(4敗)と安定したパフォーマンスを披露。しかし、後半戦に深刻な得点力不足に陥り、リーグ最多の16分けと勝ち切れない試合が続いた。これにより、アトレティコ同様にロペテギ体制終焉も噂されたが、最終的に続投が決定した。 ただ、今季に向けては堅守構築の立役者だったDFクンデとDFジエゴ・カルロスの主力センターバックコンビがいずれも移籍。代わってチームはガラタサライで評価を高めたDFマルコンを獲得し、手薄な左サイドバックにDFアレックス・テレス、前線のテコ入れとしてMFイスコを補強している。今後も引き続きセンターバックやストライカー、中盤の補強に動く構えだが、現時点での戦力値は昨季からマイナスと言わざるを得ない。ロペテギ監督としてはディフェンスライン、MFフェルナンドに依存するアンカー、イスコを中心とする攻撃と各ポジションでの再整備が求められる。 昨季のリーグ戦を5位で終え、コパ・デル・レイを制したベティスは、ペジェグリーニ3年目で継続路線を歩む。今夏の移籍市場ではDFベジェリン、FWテージョの主力クラスの2選手が退団し、代わってラツィオを退団したDFルイス・フェリペ、フルミネンセから若手逸材FWルイス・エンヒキを補強。ベジェリンの再獲得や中盤、ワイドのポジションでの更なる補強も見込まれるが、MFカナーレス、FWフェキル、FWフアンミ、MFギド・ロドリゲスら昨季の主力選手のパフォーマンスがカギを握る。 昨季は7位フィニッシュと期待外れの結果に終わるも、CLではベスト4進出の快挙を果たしたビジャレアルは、こちらも現時点では昨季の戦いがベースとなる。移籍市場ではGKアセンホ、DFガスパール、MFモイ・ゴメス、MFイボーラといった準主力が去り、GKレイナ、DFキコ・フェメニア、FWホセ・モラレスら経験豊富なベテランが加入。 DFパウ・トーレスやFWジェラール・モレノ、FWダンジュマといった市場の人気銘柄の残留は朗報だが、昨季以上の成績を残すためにはMFロ・チェルソの買い取りを含め中盤、ディフェンスラインの戦力拡充が求められる。また、昨季は離脱が少なくなかったジェラール・モレノやFWピノらアタッカー陣がシーズンを通してプレーすることも重要だ。 昨季6位のソシエダは魅力的なフットボールを披露し、CL出場権争いにも絡む上々のシーズンを過ごした。更なる躍進が期待される今季に向けては、メンバーの入れ替わりが激しい夏に。FWセルロートやMFラフィーニャがレンタル先に戻ったほか、MFヤヌザイやFWポルトゥ、MFグリディ、DFサルドゥアら準主力が退団。代わってMF久保建英、MFブライス・メンデス、リーグ・アン注目の逸材FWモハメド=アリ・チョ、自慢のカンテラから数選手が昇格した。 昨季は守護神レミロ、DFル・ノルマン、MFメリーノのセンターラインを中心とする堅守が光った一方、攻撃はリーグ平均以下の40得点にとどまり、上位浮上に向けては攻撃面の改善が急務。エースFWオヤルサバルが昨季に負ったヒザ前十字じん帯の重傷により、シーズン序盤戦不在の中で久保ら新戦力と共に、昨季わずか6ゴールに終わったFWイサクの奮起が求められる。 その他のクラブではディエゴ・マルティネス監督、ガットゥーゾ監督を新指揮官に迎えたエスパニョール、バレンシア。今夏の積極補強が光るセルタに注目が集まる。 グラナダ時代にチームをEL出場権をもたらすなど、卓越した手腕を発揮したマルティネス監督は1年の休養期間にイングランドなどで指導者としての研鑽を積み、チームはMFダルデルとFWデ・トーマスの両エースの残留に加え、新守護神ルコントやFWホセルといった実力者を補強。少なくともEL出場権争いには絡みそうだ。 一方、わずか1年でボルダラス前監督と袂を分かったバレンシアは元イタリア代表MFでミラン、ナポリの指揮官を歴任した闘将を招へい。財政問題を抱えるクラブはエースFWゴンサロ・ゲデスらを売却し、代わりとなる新戦力を確保できていない状況だが、MFカスティジェホ、FWサムエウ・リーノに加え、市場閉幕までにレンタルなどを活用しながら指揮官をバックアップする構えだ。 昨季11位のセルタはブライス・メンデスやFWノリートら数選手がチームを離れたものの、GKマルチェシン、DFウナイ・ヌニェス、DFミンゲサ、MFオスカル・ロドリゲス、FWパシエンシア、FWカルレス・ペレスら各ポジションに好タレントを補強しており、昨季サラ賞を獲得したFWアスパスも健在なこともあり、上位進出が期待される。 グラナダ、レバンテ、アラベスに代わってプリメーラ昇格となったアルメリア、バジャドリー、ジローナの3チームは、ひとまず残留が目標となる。 セグンダ王者のアルメリアでは主砲サディク・ウマルら昇格に貢献した主力に加え、今夏加入したブラジル代表の次代を担う逸材センターバックのカイキに注目。1年でのプリメーラ復帰となったバジャドリーはここまで目立った補強はなく、FWヴァイスマン、FWセルヒオ・レオンら現有戦力の躍動に期待。昇格プレーオフを制したジローナは昨季セグンダ得点王のFWストゥアーニが健在で、『シティ・フットボール・グループ』が保有する若手タレントの活躍も期待される。 ◆久保建英がラ・レアルに完全移籍~日本人選手~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220812_100_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 今シーズンのラ・リーガは昨季に続きMF久保建英が唯一の日本人選手となる。ただ、レンタル先のマジョルカから保有元のレアル・マドリーに一旦復帰した久保は、レアル・ソシエダへの完全移籍という大きな決断を下し、キャリアにおいて重要なシーズンに臨む。 ソシエダはこれまで在籍したマジョルカやビジャレアル、ヘタフェに比べてボールポゼッションを重視するプレースタイル、チームメイトのレベルを含めて最もプレーしやすい環境と言える。 チームを率いるアルグアシル監督は[4-4-2]や[4-2-3-1]、[4-3-1-2]、[4-3-3]と複数のシステムを使い分けており、久保に関しては右サイドやトップ下、インテリオールでの起用が見込まれる。 右サイドではチョやブライス・メンデスの新加入組、トップ下ではMFダビド・シルバ、MFロベルト・ナバーロらがポジション争いのライバルとなる。 プレシーズンは上々のアピールを見せたが、ポジション奪取に向けては昨季マジョルカで27試合1ゴール1アシストにとどまった数字面の改善が必須だ。 2022.08.12 20:00 Fri
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【ブンデス・シーズンプレビュー】大エース流出もバイエルンの11連覇揺るぎなし

2022-23シーズンのブンデスリーガが5日に開幕する。昨季も絶対王者バイエルンが、対抗と目されたドルトムントを寄せ付けず節目の10連覇を達成した。大エースのFWレヴァンドフスキがバルセロナに旅立ったが、それでもライバルチームとの戦力差を考えれば11連覇は揺るぎないものと思われる。 ◆レヴィ流出も11連覇へ抜かりなし~バイエルン~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220802_8_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> シーズン30ゴール以上を確約してくれていたレヴァンドフスキがバルセロナに移籍し、例年に比べれば得点力にやや不安を抱えるかもしれない。それでもリバプールから万能FWマネを加え、機動力に長けた前線の選手たちを組み合わせればリーグ最強の攻撃陣を十分に形成できる。実際、ナーゲルスマン監督もマネを軸に2トップを採用することでFWニャブリやFWサネら、走力に長けた選手たちの流動的な動きで打開を狙っている様子がプレシーズンで窺えた。 守備陣に関しては要となっていたDFジューレの移籍が痛いが、DFデ・リフトを獲得している上、DFマズラウィを右サイドバック起用することでDFパヴァールをセンターバックに回すことも可能と、駒は十分。移籍2季目のDFウパメカノもチームに馴染むことが予想され、ジューレ移籍による戦力ダウンは微々たるものとなることが予想される。11連覇へ今季も死角は見当たらない。 ◆好補強もハーランド流出でバイエルンの背中は遠く…~ドルトムント~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220802_8_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 今季ももしバイエルンの連覇を止めるチームが現れるとすればドルトムントになるだろう。前述したようにDFジューレの加入は不安定な守備陣に安定をもたらす可能性が高く、そのジューレの相棒となることが予想されるDFシュロッターベックも将来性豊かなセンターバックで例年のような安い失点が減少することが予想される。 攻撃陣に関してはFWアデイェミの加入が大きそうだ。個で打開できる能力を持っている上に得点力もあり、良いアクセントになることが想像できる。ただ、流出したFWハーランドの穴を埋めるべく獲得したFWアラーがまさかの悪性腫瘍発覚で長期離脱確定と痛恨。まずはアラーの無事を祈るばかりだが、貴重なセンターフォワードタイプを失ったのは痛い。代役の確保が先決だ。 ◆テデスコ・マジック再現なるか~ライプツィヒ~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220802_8_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> ドルトムントに次いで優勝争いに絡める可能性があるとしたらライプツィヒか。昨季はテデスコ監督の就任によって後半戦、急浮上したライプツィヒは4位に滑り込んでCL出場権を獲得するとともにクラブ史上初タイトルとなるDFBポカール優勝を果たした。そのライプツィヒは主力ではDFムキエレが移籍したが、大半の主力が残留。加えてMFラウムの加入が決まり、左サイドの選手層に厚みが増した。新シーズンもテデスコ監督の采配が冴え渡ればサプライスを起こす可能性もありか。 ◆戦力維持でCL出場権確保へ~レバークーゼン~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220802_8_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 昨季3位フィニッシュのレバークーゼンは新シーズンもCL出場権確保が目標となるだろう。ライプツィヒ同様に主力を引き抜かれることなく戦力を維持したレバークーゼンは、新たに次世代ストライカーのFWフロウシェクを獲得。FWシックとのチェコ代表コンビでゴールを量産できれば、4位以内の確保は難しくないタスクになるだろう。 ◆遠藤航、伊藤、鎌田、長谷部、吉田、板倉、浅野、原口、堂安~9人の日本人~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220802_8_tw10.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 今季は実に9人もの日本人選手がドイツ1部リーグを戦場とすることになった。11月にカタール・ワールドカップを控える中、いずれの選手も日本代表の主軸となる存在なだけに動向が注目されるところだ。 まずは日本代表で正に心臓の役割を果たしているシュツットガルトのMF遠藤航。昨季はチームを残留に導く働きを見せた中、今季も主将としてシュツットガルトを牽引する働きが求められる。2年連続デュエル王の座を手にし、正真正銘のトップ・オブ・ブンデスリーガーとなった遠藤の一挙手一投足に注目だ。 昨季、Bチームでの加入となった中、守備陣の離脱により出番を得たDF伊藤洋輝は瞬く間にレギュラーポジションの座を掴んで見せた。今や遠藤と共にシュツットガルトにとって欠かせない存在となった伊藤だが、確保したセンターバックのポジションを明け渡さないことが、W杯メンバー選出への最低条件となりそうだ。 ヨーロッパリーグ(EL)優勝の立役者となったフランクフルトMF鎌田大地。クラブの歴史に名を刻む偉業に貢献した鎌田は今夏、プレミアリーグ方面からの強い関心があった中、残留が濃厚となっている。慣れ親しんだドイツの地で爪を研ぎ澄まし、W杯に向かう。 その鎌田のチームメートであり、フランクフルトのレジェンドとなっているDF長谷部誠。38歳となり、流石に出場機会は減っているが、それでも昨季EL決勝では緊急出場ながら冷静なプレーで優勝に貢献と、まだまだ健在であることを証明した。今季も縁の下の力持ちとしてフランクフルトを支える。 日本代表キャプテンを務めるDF吉田麻也は活躍の場をイタリアからドイツへと移した。サンプドリアでは出場機会を失っていた中、昇格組のシャルケへ移籍を果たした。心機一転、ドイツの地で本来のパフォーマンスを取り戻し、W杯を迎えたい。 そのシャルケの1部昇格に貢献したMF板倉滉はボルシアMGに完全移籍した。ボランチ、センターバックの両ポジションでハイレベルなプレーが可能となっている板倉。日本代表の常連になりつつある中、その器用さ、堅実さを生かしてまずはボルシアMGでポジションを掴み、W杯メンバー入りとしたい。 昨季後半、レギュラーとしてボーフムの残留に貢献したFW浅野拓磨。3季ぶりにドイツに戻り、成長した姿を披露した。自慢のスピードはドイツでも十分に通用しており、チャンスメークの面ではしっかり貢献している。あとはゴールをどれだけ重ねられるか、W杯で活躍できるかの指標になりそうだ。 ウニオン・ベルリンに個人昇格した昨季、MF原口元気はクラブのEL出場に大きく貢献した。かつてのドリブルからハードワークが売りの選手となった31歳の原口は泥臭いプレーを厭わずチームの勝利を最優先する姿が印象的だ。今季もその献身性でウニオンの勝利に貢献するはずだ。 そして2季ぶりにドイツに戻ってきたMF堂安律。昨季はPSVに不本意ながらも残留したものの、しっかりと結果を残し、フライブルクへの完全移籍を勝ち取った。クラブはELに出場するため、堂安の出場機会は増えそうだ。ビーレフェルト在籍時同様、ゴールに直結する働きを続けてW杯メンバー入りとしたい。 2022.08.05 18:00 Fri
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日本人が目指すべきCB像、“希少なバロンドーラー“ファビオ・カンナバーロ

サッカー界においてなかなか評価がされないのが守備的な選手。勝利に貢献する派手なゴールを決める攻撃的な選手はわかりやすい活躍の指標が存在するが、なかなかディフェンダーは評価が得にくい。 もちろん、これまでのサッカー界で高く評価されたディフェンダーは多々いるが、世界年間最優秀選手に贈られる「バロンドール」では3人のみが受賞。元西ドイツ代表DFのフランツ・ベッケンバウアー氏と、元東ドイツ代表DFマティアス・ザマー氏、そして元イタリア代表DFファビオ・カンナバーロ氏の3人しかいない。 DFとして最後に受賞したのが2006年のカンナバーロ氏だが、ベッケンバウアー氏やザマー氏はリベロのポジションを務めており、中盤でのプレー機会も多かった選手たち。一方で、カンナバーロ氏は、純粋にセンターバックを務めており、DFとして最初の受賞者と言っても良い存在だ。 イタリア代表のキャプテンとしてドイツ・ワールドカップ(W杯)を優勝した功績が認められたカンナバーロ氏。現役時代のキャリアで多くのタイトルを獲得しているが、縁がなかったのがチャンピオンズリーグ(CL)だ。 <span class="paragraph-title">◆記録よりも記憶に残るプレーヤー</span> 現役時代はナポリでキャリアをスタートさせたカンナバーロだが、クラブの財政難により放出。パルマへと移籍する。 このパルマでは、GKジャンルイジ・ブッフォンやDFリリアン・テュラムらと強固な守備陣を形成。“ミラクル・パルマ“とも呼ばれ、カンナバーロも2度のコッパ・イタリア優勝や、UEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)での優勝を経験した。 中田英寿ともチームメイトとしてプレーした中、セリエAのスクデット獲得には至らずに2002年8月にインテルへと移籍。しかし、インテルでは監督との確執もあり出番が減り、2004年8月にユベントスへと完全移籍する。 すると、パルマ時代の同僚であったブッフォンとテュラムと再びチームメイトに。2004-05シーズンに見事スクデットを獲得する。しかし、このスクデットは2006年に発覚したカルチョ・スキャンダルといわれた一連の八百長事件の影響で剥奪に。結果、カンナバーロはスクデットも獲得していないこととなった。 チームはセリエBに降格処分となり、カンナバーロはレアル・マドリーへと完全移籍。そこでも本領を発揮すると、難しい中で行われたドイツW杯で優勝。前述のバロンドールも受賞することとなると、FIFA年間最優秀選手賞も受賞した。 マドリーではラ・リーガ連覇を果たすなどしたが、再びユベントスに復帰。その後は、アジアでプレーし引退した。 ビッグクラブに在籍を続けていたカンナバーロだったが、実はタイトル獲得数は多くない。クラブキャリアではわずか7個。そこにW杯が加わり8つと、イメージよりは少ないのではないだろうか。 <span class="paragraph-title">◆縁がないチャンピオンズリーグ優勝</span> そのカンナバーロだが、ことCLとなるとより縁遠くなる。インテル移籍後は毎シーズン出場はしていたが、チームとしての成績は良くなく、最高がベスト4止まりだった。 今でこそ、マドリーやユベントスはタイトルを多く獲得し、マドリーは近年CLを何度も制しているが、ちょうど“銀河系“を形成していたカンナバーロが在籍していた時代は過渡期。2000年から2010年まではラ・リーガも4度の優勝に留まっており、CLも2001-02シーズンを最後に11年間獲れなかった。 最もビッグイヤーに近づいたのは、インテル在籍時の2002-03シーズン。準決勝に駒を進めると、決勝進出を懸けた相手はライバルのミラン。2試合とも引き分けに終わったが、アウェイゴール差で僅かに敗れて敗退した。 その後は、ユベントス時代に2度ベスト8、マドリー時代に2度ベスト16まで勝ち上がっているが、それ以上は進めず。ビッグイヤーを掲げていないどころか、決勝の舞台にすら立ったことがなく、最も意外な選手の1人と言っても良い。 <span class="paragraph-title">◆タイトルは少なくとも才能は抜群</span> 目に見えたタイトルというものにはあまり恵まれていないキャリアのカンナバーロ。そのため、ワールドカップの優勝とバロンドール受賞が輝いて見える。 ただ、ピッチ上で見せるパフォーマンスの評価、そして持ち合わせた才能は世界屈指と言われている。 なんといっても、センターバックとしては身長175cmと小柄。体格に勝るヨーロッパではもちろんのこと、日本で考えても175cmのセンターバックはあまりいないタイプだ。 しかし、持って生まれた強靭な肉体が身長のハンデを埋めることに。まず一対一の守備力が抜きん出ており、相手との競り合いに負けないほか、身長を補う高いジャンプ力を武器としていた。 どんなストライカー相手でも、空中でも地上でも抜かせないという守備力は一級品だが、カンナバーロの真骨頂は守備をする前のパフォーマンスだ。 最も優れているとされたのがポジショニング。相手との競り合いに負けないフィジカルも素晴らしいが、相手よりも優位なポジションを先読みして取ることで、そもそも勝負の前に勝っているのだ。 一対一の勝負もさることながら、簡単にボールを奪い切る能力は抜きん出ている。 そしてもう1つが抜きん出た統率力。センターバックとして周りの選手にコーチングして相手を追い込んだり、優位なポジションを取ったりすることができる。これは、「カテナチオ」と言われるイタリアの堅い守備には欠かせず、ドイツW杯を制した際にもこの点は非常に評価された。チームのパフォーマンスを引っ張り上げる彼の力は、タイトルの数に関係なく、最後まで高く評価され続けた。 日本人と変わらない体格で世界と渡り合ったカンナバーロ。お手本とすべき選手の1人とも言えるだろう。 <div id=“cws_ad”><hr>イタリア代表で活躍し、“カテナチオ“戦術の中心としても活躍したファビオ・カンナバーロが大人気スポーツ育成シミュレーションゲーム『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』(サカつくRTW)に登場!<br/><br/>現役時代に魅せたプレーが『サカつくRTW』でも再現。是非一度チェックしてみよう。<a href=“https://ryan.onelink.me/C7cD/awagt0va” target=“_blank”><div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/sega20220713.jpg" style="max-width:100%;"></div></a></div> <span class="paragraph-title">【動画】相手を封殺!カンナバーロの闘志溢れるユベントス時代のディフェンス集</span> <span data-other-div="movie"></span> <div class="dugout-video dugout-embed-eyJrZXkiOiJsdGt2Y1FHSiIsInAiOiJ1bHRyYXNvY2NlciIsInBsIjoiIn0="></div><script type="text/javascript" src="https://embed.dugout.com/v3.1/ultrasoccer.js"></script> <div id=“cws_ad”><hr>イタリア代表で活躍し、“カテナチオ“戦術の中心としても活躍したファビオ・カンナバーロが大人気スポーツ育成シミュレーションゲーム『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』(サカつくRTW)に登場!<br/><br/>現役時代に魅せたプレーが『サカつくRTW』でも再現。是非一度チェックしてみよう。<a href=“https://ryan.onelink.me/C7cD/awagt0va” target=“_blank”><div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/sega20220713.jpg" style="max-width:100%;"></div></a></div> 2022.07.13 21:30 Wed
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【2021-22プレミアリーグベストイレブン】シティから最多5人、リバプールから4人選出

2021-22シーズンのプレミアリーグが全日程を消化しました。そこで本稿では今シーズンのベストイレブンを超ワールドサッカー編集部が独自に選定してみました。 ◆プレミアリーグベストイレブン GK:アリソン DF:アレクサンダー=アーノルド、ファン・ダイク、ルベン・ディアス、ククレジャ MF:デ・ブライネ、ロドリ、ベルナルド・シウバ FW:サラー、フォーデン、ソン・フンミン GKアリソン(29歳/リバプール) 出場試合数:35(先発回数:36)/失点数:24/出場時間:3240分<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220528_101_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 今季のプレミアリーグでは、シティのエデルソンとともにゴールデングローブを受賞したアリソン。年々ハイレベルになっていく優勝争いにおいて、2人のブラジル代表GKは鎬を削り合ってきた。今季も失点数ではアリソンが「24」、エデルソンが「26」、クリーンシートは同じ20試合と、甲乙付け難いスコアとなったが、直接対決で好セーブの印象が強かったアリソンを今回は選出した。 DFトレント・アレクサンダー=アーノルド(23歳/リバプール) 出場試合数:32(先発回数:32)/2ゴール12アシスト/出場時間:2854分<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220528_101_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 若くして史上最高の右SBに上り詰めたアレクサンダー=アーノルドが今季もベストイレブン入り。アシスト数では自己最多の19-20シーズンにはひとつ及ばなかったが、今季はシティ戦やチェルシー戦、アーセナル戦などのビッグマッチで結果を残すことが多く、プレースキックの精度も相変わらず高かった。一方で、守備面ではまだまだ伸び代を感じさせるシーズンとなった。 DFヴィルヒル・ファン・ダイク(30歳/リバプール) 出場試合数:34(先発回数:34)/3ゴール4アシスト/出場時間:3060分<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220528_101_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 昨季は右ヒザじん帯損傷でシーズンの大半を治療に費やす悔しい思いをしたファン・ダイクが完全復活。開幕当初は「まだ道半ば」と、負傷前のレベルには至っていないと謙虚な姿勢を見せていたが、やはりそこはファン・ダイク。もはやどんなFWも寄せ付けない卓越した守備で、出場した34試合中21試合で無失点を記録した。 DFルベン・ディアス(25歳/マンチェスター・シティ) 出場試合数:29(先発回数:27)/2ゴール4アシスト/出場時間:2402分<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220528_101_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 昨季のプレミアリーグ初挑戦で年間最優秀選手に選ばれたルベン・ディアスは、今季も安定したパフォーマンスでシチズンズの守備を固めた。また、加入2年目にしてキャプテンも任されるなどリーダーシップも発揮。今後もさらなる活躍が期待されている。 DFマルク・ククレジャ(23歳/ブライトン) 出場試合数:35(先発回数:35)/1ゴール1アシスト/出場時間:3092分<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220528_101_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> トップ4以外のチームでは唯一の選出。ヘタフェから加入した今シーズン、ラ・リーガより遥かに勝る強度の中で、ククレジャはバルセロナ仕込みのテクニックに加え、スピードやパスも非凡な才能を見せ、左サイドバックとして素晴らしい存在感を放った。移籍金が1500万ポンドだったこともあり、今季のベストバイに推す声も。また、すでにチェルシーやシティからの関心が伝えられている。 MFロドリ(25歳/マンチェスター・シティ) 出場試合数:33(先発回数:33)/7ゴール2アシスト/出場時間:2888分<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220528_101_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 加入3年目を迎え、もはやペップ戦術の申し子となったロドリ。ポジショニング、パス捌き、キック精度のどれをとっても現在のシティには欠かせないもので、とりわけ守備時のポジショニングの正確さは、チームの攻撃力にも起因している。今季は重要な終盤戦にゴールを量産しており、最終節のアストン・ビラ戦では、ミドルレンジから針の穴を通すようなゴールで逆転勝利に貢献した。 MFケビン・デ・ブライネ(30歳/マンチェスター・シティ) 出場試合数:30(先発回数:25)/15ゴール8アシスト/出場時間:2206分<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220528_101_tw7.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 足首の問題で前半戦はサラーやベルナルド・シウバに主役の座は譲ったものの、シーズン後半はデ・ブライネの独擅場に。終盤のウルブズ戦ではプレミアリーグ歴代3番目の早さとなるハットトリックと1試合4ゴールを達成。そして、最終節で逆転勝利を呼び込んだギュンドアンへのアシストは真骨頂と言えるプレーだった。 MFベルナルド・シウバ(27歳/マンチェスター・シティ) 出場試合数:35(先発回数:33)/8ゴール4アシスト/出場時間:2860分<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220528_101_tw8.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 前半戦は攻守に大車輪の活躍でMVP級のパフォーマンスだったベルナルド・シウバ。シーズン後半は数字上は目立たなかったが、攻撃的な選手の中でも最もピッチに立っていた選手で、相変わらずペップからの信頼は厚かった。繊細かつダイナミックなプレーで、シティの優勝に貢献した。 FWモハメド・サラー(29歳/リバプール) 出場試合数:35(先発回数:25)/23ゴール14アシスト/出場時間:2762分<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220528_101_tw9.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 3度目のプレミアリーグ得点王に輝いたサラー。15ゴールをマークした前半戦と比較すると、後半戦は代表で2つの大きな失望を味わったこともあり、ゴール数は伸び悩む結果に。それでも、アシスト数でもトップに立ったエジプト代表FWは流石の一言に尽きる。 FWフィル・フォーデン(22歳/マンチェスター・シティ) 出場試合数:28(先発回数:24)/9ゴール8アシスト/出場時間:2134分<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220528_101_tw10.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> もはやポジションに囚われない変幻自在な選手に化けたフォーデン。プロ入り当初は中盤の中央で起用されることが多かったが、今季は両ウイングに加えてセンターFWでの起用が増え、最前線でゲームを組み立てるプレーが印象的だった。まだまだ伸び代を残す末恐ろしい22歳は、プレミア史上初の2年連続での若手最優秀選手に選ばれる偉業を成し遂げた。 FWソン・フンミン(29歳/トッテナム) 出場試合数:35(先発回数:24)/23ゴール9アシスト/出場時間:3022分<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220528_101_tw11.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 在籍7年目を迎えたソン・フンミンが、今季はサラーと並んで初めてゴールデン・ブーツを受賞した。移籍叶わずで闘争心を失いかけていたエースに代わって序盤から気を吐いた韓国代表FWは、サラーよりもコンスタントに得点を重ねた。今季のスパーズにとって大きなポイントとなった終盤戦では、10試合で12ゴール3アシストを記録。チームの3シーズンぶりとなるCL出場に導く働きを見せた。 2022.06.04 12:01 Sat
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【2021-22プレミアリーグ総括】高次元の優勝争い…シティが連覇達成でここ5年で4度目の栄冠

◆今季もシチズンズがハイレベルなタイトルレースを制す 勝ち点90超えが稀有ではなくなった近年のプレミアリーグで、今シーズンもハイレベルな優勝争いが繰り広げられることになった。優勝したマンチェスター・シティと、文字通り最後まで食らいついたリバプールの差はわずか1ポイント。最後までどちらに転ぶか予想がつかなかった中、最終節はまさに劇的なものとなった。 首位のシティはホームでアストン・ビラと対戦。相手はジェラード監督の就任から勢いがついていたとはいえ、純粋な戦力差ではシティが圧倒的。シティの勝利を疑うものは少なかったが、意外にもビラが先制する展開に。一方のリバプールはホームにウォルバーハンプトンを迎えて逆転優勝の最低条件である勝ち点3を目指したが、開始3分に失点するという、こちらも予想していなかった立ち上がりとなった。 そんなリバプールは前半のうちに追いついたが、シティは後半にも追加失点。グアルディオラ監督も頭を抱える事態に直面した。エティハドのサポーターも不安の表情を浮かべる中、76分に途中出場のギュンドアンのゴールでついに得点。これで息を吹き返したチームは、その2分後にロドリの針の穴を通すような鮮やかなミドルシュートが決まり同点に。それまでほとんど死に体だった会場のファンのボルテージはここで最高潮を迎えた。 そして迎えた81分、デ・ブライネの一連のワールドクラスのアシストから再びギュンドアンが決めてついに逆転。わずか5分で2点差をひっくり返す神懸かった内容で、王者にふさわしい貫禄の連覇を達成した。リバプールも後半の2得点で逆転勝利を収めたものの、一歩及ばず2位フィニッシュ。それでも積み上げた勝ち点は92と、胸を張れる成績だった。 ここ5年で4度目のリーグ制覇を成し遂げたシティ。今季は順風満帆なシーズンだったと言っていいだろう。開幕戦こそトッテナム相手に不覚をとってしまったものの、その後は順調に勝ち点を重ね、チェルシーやマンチェスター・ユナイテッド、アーセナルなど、リバプールを除く上位陣を軒並み蹴散らしながら、堂々の首位でシーズンを折り返した。前半戦で攻守に大車輪の活躍だったベルナルド・シウバや、後半戦だけで11ゴール8アシストを記録したデ・ブライネ、ポリバレント力を身に付けたフォーデン、そして最終節で優勝に導く2ゴールを挙げたギュンドアンなど、どの選手も主役級の活躍を披露した今季のシティ。バンジャマン・メンディの強姦容疑というイレギュラーはさておき、まさに総合力での完全優勝を果たした1年だった。そして、来季はここに怪物ハーランドが上陸する。 もちろんリバプールも称賛されて然るべき成績を残した。多くのケガ人に見舞われ3位に終わった昨シーズンの悔しさをバネに、今シーズンは開幕10戦無敗と、序盤はシティを上回るペースで勝ち点を重ねた。シーズンを通して敗れたのはシティより一つ少ない2試合。後半戦のみの戦績では勝ち点が2ポイント多かったため、昨シーズンとは違った意味で悔しい結果となってしまった。なかなか優勝を逃した原因を分析することは困難だろう。それでも、冬加入のルイス・ディアスがすんなりとチームに順応したことや、シーズン中に決まったクロップ監督の契約延長など、来季以降に向けて明るい材料は少なくない。 3位には昨季のヨーロッパ王者チェルシーが入った。昨年1月に就任したトゥヘル監督の下でシーズンインしたチェルシー。序盤戦では10人でリバプール相手に引き分けに持ち込むなど、代名詞となった堅守を全面に発揮した戦いを見せ、第14節までに喫した失点はわずかに「6」。一時は首位に立っていた。しかし、チルウェルら負傷者が相次いだことで後半戦は失速。また、ロシアのウクライナ侵攻によるオーナー問題など、ピッチ外でも問題が相次ぎ、3位はキープし続けたものの、2強との差はどんどん広まる一方だった。そして、今夏で守備の要だったリュディガーとクリステンセンの退団が決まっており、移籍市場では即戦力となりうるDFの確保が急務となりそうだ。 4位はアーセナルとのデッドヒートを制したスパーズが滑り込んだ。新たにヌーノ監督を招へいして迎えた今シーズン、開幕節でシティ相手に金星を挙げて絶好のスタートを切ったものの、その後のロンドン・ダービー3連戦を全て落とすと、第10節終了時点で5勝5敗と低迷。11月1日にヌーノ監督を解任し、かつてチェルシーをプレミア制覇に導いたコンテ監督に託すことに。イタリア人監督も就任から9試合は無敗を維持したものの、古巣のチェルシーに初黒星を喫すると、そこから調子はガタ落ち。5試合で4敗と危機的状況に陥った。ところが、冬の移籍市場でユベントスからベンタンクールとクルゼフスキをレンタル補強するとこれが奏功。とりわけクルゼフスキは攻撃のアクセントとなり、半シーズンで5ゴール8アシスト記録した。現在スパーズは買い取りに動いていると専らの噂だ。 そのスパーズの後塵を拝し、惜しくもチャンピオンズリーグ出場権を逃したアーセナル。ベン・ホワイトやラムズデール、そして冨安健洋と、主に守備面の強化を図って迎えた今季は、昨季と比べて無駄な失点が減り、引き分けに持ち込まれてしまうような試合はなかった。ただ、守備の要だったトーマスやティアニーが欠場すると途端に脆さを露呈。今季最高の補強の一つとメディアに言わしめた冨安がいなかった試合も守備は不安定に陥った。その証拠にトーマスが離脱したラスト9試合の失点数は「14」。以前の16試合と同等の数字だ。また、その間に4敗したことが、終盤にスパーズに抜かれた原因に他ならない。2年ぶりにヨーロッパリーグに出場する来季、守備の補強は必要不可欠と言えるだろう。 さて、最もサポーターをガッカリさせたのはマンチェスター・ユナイテッドか。昨季2位という実績と、ヴァランやサンチョの実力のあるスター選手の獲得、何よりも生きる伝説クリスティアーノ・ロナウドの帰還で、5年ぶりのタイトル獲得のピースは揃っていた。ところがその実、序盤から不安定な戦いが続き、2018年末から指揮していたスールシャール監督を11月24日に解任。後任にはモダンフットボールの最先端を行くラングニック氏が就任したが、その手腕を持ってしてもチームが好転する様子はなく、既存戦力にほとんど光明は見られなかった。リーグ戦最後の12試合でわずか3勝しか挙げられなかったチームは、来季からアヤックスを4年半率いたテン・ハグ監督に任せることに。ただ、攻守共に課題は山積みだ。 降格チームはおおむね予想通りの結果に。2度のチャンピオンシップ制覇に導いたファルケ監督を解任したノリッジや、ラニエリ監督から残留請負人と呼ばれるホジソン監督に舵を切ったワトフォードは早々に降格が決定。また、バーンリー、リーズ、そしてエバートンが降格線上にいた。いずれも監督交代に関して大きな決断を下しており、バーンリーは9年半率いたショーン・ダイチ監督を解任。リーズも鬼才ビエルサと袂を分かち、ライプツィヒからジェシー・マーシュ監督を引き抜いた。エバートンはベニテス監督を半年で切り、昨年1月までチェルシーを指揮していたランパード監督を招聘する大胆な作戦に踏み切った。 結果的に降格したのはバーンリー。監督交代直後に3連勝をおさめるも、最後の4試合は1ポイントにとどまり、最終節でリーズに逆転される形で7シーズンぶりの降格が決定した。 【最優秀選手&監督】 ★最優秀選手 ◆ケビン・デ・ブライネ<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220528_102_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 世界最高の攻撃的MFと呼んでも差し支えないだろう。今季もリーグ戦30試合に出場し15ゴール8アシストという見事なスタッツを残したが、この男はもはや数字だけでは説明できない領域に及んでいる。 足首の問題に悩まされた序盤戦はスロースタートを切り、開幕17試合で15得点に到達したサラーや、攻守に獅子奮迅の活躍を見せたベルナルド・シウバなど、前半戦は他の方が印象的なパフォーマンスを披露していたが、シーズン後半はデ・ブライネの独擅場に。終盤のウルブズ戦では、プレミアリーグ歴代3番目の早さでハットトリックを達成。同試合では後半にもゴールを決めて圧巻の4得点を記録した。 最終節で逆転勝利を呼び込んだギュンドアンのゴールへのアシスト然り、30歳を迎えてもなお、世界最高峰リーグでファンタスッティクなプレーで楽しませてくれている。 ★最優秀監督 ◆エディ・ハウ<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220528_102_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 最高峰リーグのトップを走り続けるグアルディオラ監督やクロップ監督は見事の一言に尽きるが、今シーズンに限っては44歳のイングランド人指揮官を推したい。ボーンマスがチャンピオンシップに降格した一昨シーズンを最後に、しばらく第一線を離れていたハウ監督。昨年11月、1年3カ月ぶりに現場復帰した先は、最下位に沈むニューカッスルだった。 当時のマグパイズはサウジアラビアの公的投資基金をはじめとするコンソーシアムに買収された直後で話題に。同時にスティーブ・ブルース監督が解任となり、後任には相当のプレッシャーが予想された。しかし、ハウ監督はシステム変更やジョエリントンの中盤コンバートなど確かな手腕を発揮し、チームを立て直すと、最下位だった就任当初から一転、余裕の残留に導いた。 【期待以上】 ★チーム ◆ニューカッスル<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220528_102_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> そんなハウ監督に率いられたニューカッスルが期待以上の成績を残したと言っていいだろう。もとより下馬評が高かったわけではなかった中、ブルース体制3年目は開幕から11試合未勝利で終焉。残念ながら降格本命に位置付けられていた。 しかし、ハウ監督を招聘するとこれが奏功。1月半ばから2度の3連勝を含む8試合無敗で一気に順位を上げると、4月には中堅以下を確実に叩きながら4連勝を達成。チームの土台も固まり、来季に向けてさらなる期待が持てる結果となった。 また、冬の移籍市場ではダン・バーンやクリス・ウッド、ギマランイスなど、莫大な資金を得ながらも現実的な補強にとどめたが、夏に向けては多くのビッグネームが補強候補に挙げられており、彼らの本領発揮が見られるかもしれない。 ★選手 ◆クリスティアン・エリクセン<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220528_102_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 今季は多くの若手の躍進や中堅クラブでも光る選手が多かった今シーズン。だが、この男の復活劇を差し置くことはできない。昨夏のユーロ2020で心臓発作を起こし、一時生死の境を彷徨ったエリクセン。引退も囁かれたが、心臓に除細動装置を付けて現役続行。当時所属のインテルとは契約解除となったが、同胞の多いブレントフォードに移籍し、2年ぶりにプレミアリーグ復帰した。 悲劇から290日ぶりの公式戦となったが、ブランクを感じさせる様子もなく、慣れ親しんだリーグでスムーズに順応。3試合目で初アシストを記録すると、チェルシー戦では快勝に導く逆転ゴールをマークするなど、エリクセン加入後のチームは調子を上げ、同選手が出場した10試合で7勝を挙げた。 【期待外れ】 ★チーム ◆マンチェスター・ユナイテッド<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220528_102_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 降格をギリギリ免れたエバートンも今季のワーストチームの一つに数えられるが、5年無冠の名門マンチェスター・ユナイテッドは、シーズン前の期待から最も落差の大きい結果となってしまった。スールシャール体制となって4シーズン目を迎えた今季は、プレシーズンにクリスティアーノ・ロナウドをはじめ、サンチョやヴァランら大物を獲得。大型補強にオールド・トラッフォードは大いに沸いたが、ピッチ上は湿った空気が流れた。 そして、8位にまで落ち込んだ11月半ば、スールシャール監督は解任され、キャリック暫定指揮官を挟んで巨匠ラングニックを招聘。しかしながら、多くの指揮官に影響を与えたその腕を持ってしても、赤い悪魔は最後まで力を取り戻すことができなかった。また、CL出場権を取れなかったことで、移籍市場でも後手に回ることが予想されており、即戦力補強はあまり期待できないかもしれない。 ★選手 ◆ロメル・ルカク<div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20220528_102_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> ストライカー補強がことごとく失敗する近年のチェルシーにおいて、ルカクも例外ではなかった。インテルでの2年間で公式戦95試合64ゴールを挙げた実績を引っさげ、クラブ史上最高額となる9750万ポンドの移籍金で復帰したベルギー代表FW。しかし、そのピークは復帰初戦のアーセナル戦だったのかもしれない。アーセナル戦では初ゴールを含め、チェルシーに不足していたポストプレーの動きも光り、見事なパフォーマンスを披露した。 ところが、相手がビッグクラブになるほどポストプレーの勝率は下がり、逆に格下相手ではスペースを消され、得意な形でボールを受けることは困難だった。パスを呼び込む際の動き出しも味方と被るシーンも多く、次第にルカクのポジションはハヴァーツで定着していった。 加えてルカクは、クラブに無断でメディアの取材に応えた挙句、その際に現状に対する不満を公言するなど、ピッチ外でも問題を起こすことに。将来的にインテルに戻りたいといった趣旨の発言もあり、復帰1年目は散々なものとなった。すでに移籍の噂も浮上している。 2022.06.04 12:00 Sat
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