上田綺世は初戦に間に合うのか/六川亨の日本サッカー見聞録
2021.07.16 10:55 Fri
昨日14日は、なでしこジャパンがオーストラリアに1-0の勝利を収めた。月曜日の12日にはU-24日本がU-24ホンジュラスに3-1と快勝した。6月に6-0と粉砕したU―24ガーナや、5-1と圧勝したメキシコ女子代表と違い、オーストラリアとホンジュラスはいずれも東京五輪に出場するチーム。それだけに、ホンジュラス戦の後半以外は引き締まった試合内容だった。
高倉監督は代表経験の浅い塩越(3試合)をスタメンで起用したほか、同じく3試合出場の北村を交代でピッチに送り込むなど、選手の経験値を上げようと試行錯誤した。女子は3グループの上位2チームと、成績上位3位の2チームが準々決勝に進出できる。
しかし、なでしこジャパンのグループリーグの対戦相手は相性のよくないイギリス、FIFAランク8位のカナダ(日本は11位)と難敵が控えている。初戦の相手カナダには最低でも引き分けて、第3戦のチリ(37位)戦で大量得点からグループリーグの首位突破を狙いたい。
グループEを1位で突破したら、準々決勝の対戦相手はグループFかGの3位のため、順当ならオーストラリア(7位)か中国(15位)になるだろう。ここを突破すれば、メダルはすぐ目の前だ。
初戦と第2戦を札幌ドームで戦い、第3戦も宮城スタジアムと移動距離が短いのもホームのアドバンテージと言える。
そこで気になるのがFW陣の構成だ。本来なら五輪の登録メンバーは18名だ。しかし新型コロナウイルスの影響でバックアップメンバー4名も同じ扱いになった。日本はもちろん、他国もそのアドバンテージ恩恵に預かっている。そして試合ごとに登録メンバー18名を決めるルールだ。
このためホンジュラス戦では、当初はバックアップメンバーの林大地(鳥栖)がスタメン出場し、後半に前田大然(横浜FM)と交代した。この試合はACL組が不在だったため、新たなバックアップメンバーとして藤田譲瑠チマ(徳島)が交代出場したほか、櫻川ソロモン(千葉)、山本理仁(東京V)らもメンバー入りした。3年後のパリ五輪を目指すメンバーでもある。
林はポストプレーで堂安律の2点目をアシストしたほか、泥臭いプレーで存在感を示したのは好材料だが、彼がスタメンで起用されたのは前田と上田綺世がケガとコンディション不良から別メニュー調整だったからである。前田は交代出場できるまで復帰したが、上田は15日の記者会見でも「『順調です』としか言えません。本大会に合わせて、もっとよくしていきたい。焦りはないです」と話したものの、表情は終始硬いものだった。
「ボールを使った練習もやっているので、あとは強度を高めるだけ」と言っていたが、初戦の南ア戦まで6日しかない。右足の付け根付近の肉離れから7月22日までにどこまで回復できるか未定だが、すでに5日で選手の登録期限が過ぎているため変更はできない。(怪我の場合は初戦の24時間前まで可能)
OA枠を森保一監督は守備陣の強化に使ったが、たとえ大迫勇也や鈴木武蔵をOA枠で招集できなかったとしても、J1リーグで得点ランク2位のオナイウ阿道を候補に入れておくべきではなかったか。
上田が復帰するまで森保ジャパンは勝ち続けることができるのか。それとも“ゼロトップ"という秘策があるのだろうか。いずれにせよ1週間後には初戦がスタートする。
高倉監督は代表経験の浅い塩越(3試合)をスタメンで起用したほか、同じく3試合出場の北村を交代でピッチに送り込むなど、選手の経験値を上げようと試行錯誤した。女子は3グループの上位2チームと、成績上位3位の2チームが準々決勝に進出できる。
しかし、なでしこジャパンのグループリーグの対戦相手は相性のよくないイギリス、FIFAランク8位のカナダ(日本は11位)と難敵が控えている。初戦の相手カナダには最低でも引き分けて、第3戦のチリ(37位)戦で大量得点からグループリーグの首位突破を狙いたい。
初戦と第2戦を札幌ドームで戦い、第3戦も宮城スタジアムと移動距離が短いのもホームのアドバンテージと言える。
一方の男子である。17日に神戸でU-24スペインと対戦して、22日からの南アフリカ戦に備える。このスペイン戦がメダルを占う試金石になるだろう。先のEUROでは18歳で6試合すべてにスタメン出場したペドリ(バルセロナ)以外にも、ダニ・セバージョス(レアル・マドリー)らOA枠をしっかり使い、優勝候補の1角にあげられる。
そこで気になるのがFW陣の構成だ。本来なら五輪の登録メンバーは18名だ。しかし新型コロナウイルスの影響でバックアップメンバー4名も同じ扱いになった。日本はもちろん、他国もそのアドバンテージ恩恵に預かっている。そして試合ごとに登録メンバー18名を決めるルールだ。
このためホンジュラス戦では、当初はバックアップメンバーの林大地(鳥栖)がスタメン出場し、後半に前田大然(横浜FM)と交代した。この試合はACL組が不在だったため、新たなバックアップメンバーとして藤田譲瑠チマ(徳島)が交代出場したほか、櫻川ソロモン(千葉)、山本理仁(東京V)らもメンバー入りした。3年後のパリ五輪を目指すメンバーでもある。
林はポストプレーで堂安律の2点目をアシストしたほか、泥臭いプレーで存在感を示したのは好材料だが、彼がスタメンで起用されたのは前田と上田綺世がケガとコンディション不良から別メニュー調整だったからである。前田は交代出場できるまで復帰したが、上田は15日の記者会見でも「『順調です』としか言えません。本大会に合わせて、もっとよくしていきたい。焦りはないです」と話したものの、表情は終始硬いものだった。
「ボールを使った練習もやっているので、あとは強度を高めるだけ」と言っていたが、初戦の南ア戦まで6日しかない。右足の付け根付近の肉離れから7月22日までにどこまで回復できるか未定だが、すでに5日で選手の登録期限が過ぎているため変更はできない。(怪我の場合は初戦の24時間前まで可能)
OA枠を森保一監督は守備陣の強化に使ったが、たとえ大迫勇也や鈴木武蔵をOA枠で招集できなかったとしても、J1リーグで得点ランク2位のオナイウ阿道を候補に入れておくべきではなかったか。
上田が復帰するまで森保ジャパンは勝ち続けることができるのか。それとも“ゼロトップ"という秘策があるのだろうか。いずれにせよ1週間後には初戦がスタートする。
U-23日本代表の関連記事
キリンチャレンジカップの関連記事
|
U-23日本代表の人気記事ランキング
1
【パリ行きの命運を託された23選手】頭脳とテクニックに優れた万能型CB、世代を代表する柱・鈴木海音
パリ・オリンピックのアジア最終予選を兼ねるAFC U23アジアカップが15日に開幕する。出場16カ国が4組に分かれてのグループステージから始まる五輪出場もかけた戦いは約2週間ちょっとのスケジュール的にも勝ち上がれば勝ち上がるほど総力戦が必至。ここではパリ行きの命運が託されたU-23日本代表の23選手を紹介し、鈴木海音にフォーカスする。 ■鈴木海音(DF/ジュビロ磐田) 静岡県出身の鈴木は中学生の時に磐田に加入。U-15、U-18とアカデミーで育ち、2020年4月にトップチーム昇格。プロ契約を結んだ。 U-15から世代別の日本代表を経験しているこの世代のエリート。2018年のAFC U-16選手権では見事優勝に貢献。2019年のU-17ワールドカップにも出場したが、チームはベスト16で敗退となった。 鈴木のプレースタイルの特長は、そのバランス感覚。ディフェンダーとしては堅実な守備を見せ、しっかりと安定感を与えるプレーが特徴。一方で、攻撃時には積極的に参加する他、キックの精度も高く、ロングフィードも得意とする。 182cmという飛び抜けて上背があるわけではないが、空中戦を得意としており、対人守備の能力も高い。テクニックと賢さ、そして強さを持ち合わせた万能型のCBと言って良い。 特に試合を読む力、戦術理解度が高く、攻守両面でプレー選択がしっかりとできるところが特徴。また、ポジショニングに長けているため、守備時には危険なゾーンをカバーし、攻撃時にはタイミングを間違えずに前線に上がる動きに加え、足元の技術とポジショニングはビルドアップをする際にも大きな力となる。もちろん一対一の守備も得意で、ボールを奪いにいく動きや、決定機の前に潰しに行くことも得意としている。 2022年には栃木SCへ育成型期限付き移籍を経験し、リーグ戦34試合に出場するなど、多くの試合経験を積んで帰還。2023年はJ2を戦うチームで22試合に出場し初ゴールも記録。チームのJ1昇格に寄与した。 守備陣の経験値に若干の不安を抱えるパリ五輪世代。アジアの戦いも経験しており、世代別の国際経験が豊富な鈴木。対戦相手の特徴に合わせ、試合展開を読んでプレーができる鈴木が守備陣を牽引していけるのか注目が集まる。 2024.04.15 11:00 Mon2
キャプテンを外れて「学ぶこともすごく多い」と語ったDF中山雄太、左SBについては「挑戦できることは楽しみ」
東京オリンピックに向けた事前合宿に臨んでいるU-24日本代表。DF中山雄太(ズヴォレ)がオンラインのメディア取材に応じた。 6月22日に18名のメンバーが発表された東京オリンピック代表。しかし、IOC(国際オリンピック委員会)が登録選手数を18名から22名に変更することを正式に決定。バックアップメンバー4名も登録メンバー入りすることとなった。 合宿4日目を迎えた中、中山は今回の合宿について「僕としては大きな変化はなく、目標である金メダルに強い気持ちを持ってやりたい」とコメント。また、「チームとしては競争といった意味では少し意味合いは変わっていますが、選手間の競争がありつつ、高め合いながら、チームとして成長していって、金メダルに近づいて獲得できればというのが、合宿やオリンピック前に感じられたと思います」と、チームとしてしっかりと精度を上げていきたいと語った。 本大会までの期間でやりたいことについては「僕自身もそうですが、擦り合わせなければいけない部分があって、1日1日成長に繋がりますが、練習を重ねていくにつれて深まっていく部分はあります」と精度を上げたいとコメント。「僕自身は最近は隣に冨安がいるんですが、少しクリアにしたい部分、挑戦したい部分があります」と左サイドバックとして挑戦したいことがあると明かした。 これまではこの世代でキャプテンを務めていたが、オーバーエイジに日本代表のキャプテンを務めるDF吉田麻也(サンプドリア)が入ったことで、キャプテンマークを譲ることとなった。 しかし、その点はあまり気にしていないという中山。変化はあるとしながらも、やることは変わらないと語った。 「そういう質問は結構ありますが、僕自身はキャプテンマークを巻こうが巻かないが変わりないです」 「巻いていた頃は責任感などプラスアルファはあったなと思うことはあります。麻也選手からも言われましたが、キャプテンマークを巻くことで色々経験することもあるだろうと話してもらいました」 「チームのことを考えると、僕自身麻也選手が巻くことで変わっていることもあり、キャプテンじゃない立場で見ることで学ぶこともすごく多いです」 「遠藤(航)選手や酒井(宏樹)選手、そして同世代の選手でもキャプテンをやれる資質のある選手はいるので、選手の良いところを自分の成長に組み込んでいきたいなと思います」 「キャプテンマークは巻かないですが、巻いていたときも同じ気持ちでやっていたので、キャプテンじゃなくなってやることも変わっていますが、キャプテンの時にやっていたことは続けてやっていきたいです」 ボランチへのこだわりがある中、左サイドバックでも起用される可能性が高くなった中山。短期決戦となる中では、ユーティリティ性は重要な要素となる。 中山はポジションへのこだわりについて「任されたポジションはどこでもやりたいと思います」とコメント。サイドバックでも楽しみがあると語った。 「今の意識の変化で言えば、サイドバックで楽しみにしていることでは、キャリアであまりやってきていないポジションの挑戦、サイドバックをやれるということは、世界的に見てもサイドバックとボランチを兼任する選手は増えてきて、サッカーの進化に挑戦できることは楽しみです」 「新しいものへの挑戦に楽しみがある中で、自分自身が成長することも踏まえて、ポジティブに気持ちの部分で成長していると思います」 2021.07.08 20:25 Thu3
松木玖生の最適なポジションは?/六川亨の日本サッカーの歩み
今月16日、AFC U-23アジアカップ カタールの初戦、中国戦からパリ五輪出場権獲得のチャレンジが始まる。前回のコラムでも、DF陣の経験不足は否めないものの攻撃陣のタレントはバリエーションに富んでいて期待できるという原稿を書いた。そして先週と今週のJリーグを取材して、FC東京の松木玖生の新しい一面を見ることができて、その期待はさらに高まった。 松木といえば、青森山田高時代から、強靱なフィジカルと体幹の強さを生かした球際での勝負強さ、豊富な運動量と労を惜しまない献身的なプレーでチームに貢献してきたし、それはFC東京でも変わらない。そしてボランチのポジションから、時には意外性のある攻撃参加でゴールを決めたり、左足のロング、ミドルシュートで相手ゴールを脅かしたりしてきた。 そんな松木が、4月3日のJ1リーグ第6節の浦和戦では、荒木遼太郎と2トップに近い形で前線に起用された。すると、トップに張るのではなく変幻自在に左右に流れたり、落ちてきたりする荒木との絶妙のコンビネーションで攻撃陣をコントロール。とりわけ左サイドのFW俵積田晃太とSBバングーナガンデ佳史扶との相性は抜群で、意外性のあるパスで彼らの攻撃参加を引き出していた。 アウトサイドにかけたスペースへの絶妙なパスには「こんな技巧的なパスが出せるんだ」と感嘆してしまった。 試合は0-1とリードされた後半、左サイドで俵積田、佳史扶とつないだパスから荒木が同点弾。さらに松木のサイドチェンジを受けた俵積田のクロスをゴール前に走り込んだ松木がボレーで決めて逆転勝利を収めた。 そして4月7日の鹿島戦では、荒木がレンタル移籍のため起用できないものの、1トップに入った仲川輝人とトップ下の松木は好連係から難敵・鹿島に2-0の完勝を収めた。絶えずボールに触るわけではないが、効果的なサイドチェンジやスルーパスで味方を使う。これまでは、どちらかというと『使われる選手』と思っていたが、そのイメージは一新した。 先制点は左サイドからのふわりと浮かしたニアへのパスで仲川の今シーズン初ゴールを演出。そして後半アディショナルタイムにはMF原川力のヘッドによるインターセプトからのタテパスを簡単にさばいて2点目をお膳立てした。いずれも「肩の力の抜けた」ようなアシストに、松木の“変化"を感じずにはいられなかった。 彼をボランチからトップ下にコンバートし、前線には荒木を起用して松木の飛び出しを演出したピーター・クラモフスキー監督の采配は賞賛に値する。やっと1トップのドリブル突破任せのパターン化された攻撃スタイルから脱却できそうだ。 そんな松木を大岩剛監督はどのポジションで使うのか。攻守に効果的な選手だけに、使い出もあるだろうが、できれば攻撃的なポジションで使って欲しいところである。 2024.04.08 22:25 Mon4
スイスで今季9得点を挙げたFW久保裕也の夢は“セリエA移籍”
▽U-23日本代表のエースとしての活躍が期待されるヤング・ボーイズのFW久保裕也が、『FIFA.com』のインタビューを受けた。インタビュー内では、ヤング・ボーイズでのプレーについてコメント。さらに、自身の夢にも言及した。 ▽2013年に京都サンガF.C.からヤング・ボーイズへと移籍した久保。ヤング・ボーイズでは、ここまで87試合で19得点を記録している。久保は、ヤング・ボーイズでの自身の成長について語った。 「ヤング・ボーイズに加入してから、僕は多くのことをを磨けていると感じています。フィジカル面で追い付くためにハードワークをしていたし、戦術面でも多くのことを学びました。特に今、ストライカーとしてディフェンスを助ける必要性を意識しています」 ▽また、ヤング・ボーイズでは「ドイツ語を使っている」と語り、「最初は大変だったけど、今は問題なくコミュニケーションがとれている」とコメント。周囲の選手や監督とのやりとりをドイツ語で行っていることを明かし、問題なく馴染んでいる様子をうかがわせた。 ▽さらに、自身の将来についても言及。夢はセリエAでプレーすることだと明かした。 「僕の夢は、まだ実現していません。僕はいつの日か、大きなリーグに移籍したいと考えています。僕の願いはイタリアのセリエAに移籍することで、イタリアのビッグクラブでプレーすることが僕のキャリアの目標です」 2016.05.17 14:17 Tue5