【2022年カタールへ期待の選手vol.64】2019年J王者のポステコグルー監督が才能を高く評価。18歳のドリブラーは高みを目指す/樺山諒乃介(横浜F・マリノス/FW)
2021.02.28 16:30 Sun
「彼はまだ若い。キャンプでチャンスをつかみ、開幕戦でデビューした。彼にとっては悔しいデビュー戦になったし、ホントに残念な結果だったが、まだまだ伸びしろがある。これからしっかりと成長を見ていきたいし、楽しみにしています」
そして前半39分にはジェジエウら2枚相手に得意のドリブルでしかけ、緩急をつけながらかわしてみせた。ゴール前に送ったラストパスには誰も反応せず、得点には至らなかったが、プロデビュー戦で思い切ってよさを出しに行ける強心臓ぶりが大いに光った。
2点のビハインドを巻き返すべく、ポステコグルー監督は後半から水沼宏太や前田大然ら実績ある面々を投入したため、樺山は45分で交代を余儀なくされた。が、王者相手に真っ向勝負に打って出た経験は大きな財産になったはずだ。
大阪のRIP ACE(リップエース)FCに在籍した中学時代から注目を集め、興国高校時代には2018年U-16代表としてインターナショナルドリームカップに参戦するなど、大器の予感を漂わせてきた樺山。高校3年になる前の2020年2月には横浜FM入りが内定し、練習にも参加していた。他の10代選手よりは一歩早くプロの水に馴染んだはずだったが、川崎Fの連動したハイプレスとダイレクトパスを素早くつなぐ攻撃は想像を絶するものだったのだろう。
しかしながら、そこに食らいつかなければ明るい未来は開けてこない。横浜から日の丸を背負った川口能活(U-24日本代表GKコーチ)や中村俊輔(横浜FC)、齊藤学(名古屋)といった偉大な先人たちも、最初から順風満帆だったわけではないのだ。
中村俊輔の例を振り返ると、桐光学園からプロ入りした頃は線が細く、90分戦えるフィジカルを備えていなかった。そこで当時のアスカルゴルタ監督が後半25〜30分に投入し、徐々に強度に慣れるように仕向け、プレー時間を伸ばしていった。その結果、1年後には、岡田武史監督(現FC今治代表)率いる日本代表候補に呼ばれるまでになった。
かつてオーストラリア代表を指揮し、横浜FMをJ1王者へと導いたポステコグルー監督から才能を買われた樺山も少なからずチャンスを与えられるはず。そこでJ1の強度に適応し、攻守両面で獅子奮迅の働きを見せ、ドリブル突破という自身の武器を発揮できるようになれば、定位置確保も見えてくる。エウベルやマルコス・ジュニオールら外国人助っ人のコンディションが整っていない今はまさに千載一遇の好機。ここで畳みかけていくべきだ。
「自分のよさというのは、ドリブルで局面を打開することと、スルーパスやドリブルでチャンスメイクしてゴールをお膳立てすること。そうやって今回もチームの得点に関われるようにしたかったですね。前向きに仕掛けられる時にはもっと積極的にドリブルに行って、1回のチャンスでもゴールにつなげられるようにしたいと強く思いました」
本人は自身のやるべきことを明確に見据えている様子。それをいち早く早く具現化できるかどうかが肝心だ。幸いにして、今季の横浜FMにはYBCルヴァンカップもあり、若手の出場機会は増える。しかも3〜6月は超過密日程。どうしてもローテーションが必要になる。となれば、無尽蔵に走れる若さは大きな武器になる。そこを前面に押し出すことが、今の樺山に求められている。
2002年生まれの彼は2002年ワールドカップが横浜FMの本拠地・日産スタジアムで開催されたことを実際に見ていない世代。それでも、リバウド、ロナウド、ロナウジーニョの3Rが世界王者に君臨したことは知っているだろう。彼らが躍動し、世界を震撼させたピッチで10代のスター候補生が見る者を驚かすような仕事を見せてくれれば、日本サッカー界も活性化されるだろう。
昨今は久保建英(ヘタフェ)を筆頭に海外移籍した10代選手がやや停滞気味であるだけに、Jリーグの若手に気を吐いてもらう必要がある。2月27日の開幕戦でも阿部勇樹(浦和)や大久保嘉人(C大阪)らおっさん軍団の活躍が目立ったが、彼らから主役の座を奪い取る10代の台頭が大いに待たれるところ。
名門クラブで中村俊輔ら先人たちも達成できなかった開幕スタメンを勝ち取った樺山はその筆頭ではないか。貪欲に泥臭く前へ突き進み、新風をもたらしてほしいものである。
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2020年Jリーグ・天皇杯の2冠・川崎フロンターレに2019年J1王者の横浜F・マリノスが挑んだ26日の2021年J開幕戦。序盤から川崎Fが圧倒的にボールを支配し、家長昭博が立て続けに2ゴールを奪う中、アンジェ・ポステコグルー監督が高評価したトリコロールの18歳・樺山諒乃介が爪痕を残した。横浜FMでは2007年の長谷川アーリア・ジャスール(FC町田ゼルビア)以来という高卒開幕スタメンを勝ち取った背番号35は、相手最終ラインのジェジエウやアンカーのジョアン・シミッチに積極果敢にプレスをかけにいき、アグレッシブさを前面に押し出した。2点のビハインドを巻き返すべく、ポステコグルー監督は後半から水沼宏太や前田大然ら実績ある面々を投入したため、樺山は45分で交代を余儀なくされた。が、王者相手に真っ向勝負に打って出た経験は大きな財産になったはずだ。
「スタメンと知らされた時は正直、嬉しかったです。キャンプからアピールしてきて、メンバーに入れたらいいなと考えていたけど、まさかスタメンとは思いませんでした。ただ、どれだけ自信を持って挑んでも、やっぱり王者はすごかった。楽しかったけど、全然自分のよさを出せなかったですね。どんな相手でも自分のよさを出せるようにしないといけないという課題が残りました」と本人も最高峰チームとの実力差を素直に認めていた。
大阪のRIP ACE(リップエース)FCに在籍した中学時代から注目を集め、興国高校時代には2018年U-16代表としてインターナショナルドリームカップに参戦するなど、大器の予感を漂わせてきた樺山。高校3年になる前の2020年2月には横浜FM入りが内定し、練習にも参加していた。他の10代選手よりは一歩早くプロの水に馴染んだはずだったが、川崎Fの連動したハイプレスとダイレクトパスを素早くつなぐ攻撃は想像を絶するものだったのだろう。
しかしながら、そこに食らいつかなければ明るい未来は開けてこない。横浜から日の丸を背負った川口能活(U-24日本代表GKコーチ)や中村俊輔(横浜FC)、齊藤学(名古屋)といった偉大な先人たちも、最初から順風満帆だったわけではないのだ。
中村俊輔の例を振り返ると、桐光学園からプロ入りした頃は線が細く、90分戦えるフィジカルを備えていなかった。そこで当時のアスカルゴルタ監督が後半25〜30分に投入し、徐々に強度に慣れるように仕向け、プレー時間を伸ばしていった。その結果、1年後には、岡田武史監督(現FC今治代表)率いる日本代表候補に呼ばれるまでになった。
かつてオーストラリア代表を指揮し、横浜FMをJ1王者へと導いたポステコグルー監督から才能を買われた樺山も少なからずチャンスを与えられるはず。そこでJ1の強度に適応し、攻守両面で獅子奮迅の働きを見せ、ドリブル突破という自身の武器を発揮できるようになれば、定位置確保も見えてくる。エウベルやマルコス・ジュニオールら外国人助っ人のコンディションが整っていない今はまさに千載一遇の好機。ここで畳みかけていくべきだ。
「自分のよさというのは、ドリブルで局面を打開することと、スルーパスやドリブルでチャンスメイクしてゴールをお膳立てすること。そうやって今回もチームの得点に関われるようにしたかったですね。前向きに仕掛けられる時にはもっと積極的にドリブルに行って、1回のチャンスでもゴールにつなげられるようにしたいと強く思いました」
本人は自身のやるべきことを明確に見据えている様子。それをいち早く早く具現化できるかどうかが肝心だ。幸いにして、今季の横浜FMにはYBCルヴァンカップもあり、若手の出場機会は増える。しかも3〜6月は超過密日程。どうしてもローテーションが必要になる。となれば、無尽蔵に走れる若さは大きな武器になる。そこを前面に押し出すことが、今の樺山に求められている。
2002年生まれの彼は2002年ワールドカップが横浜FMの本拠地・日産スタジアムで開催されたことを実際に見ていない世代。それでも、リバウド、ロナウド、ロナウジーニョの3Rが世界王者に君臨したことは知っているだろう。彼らが躍動し、世界を震撼させたピッチで10代のスター候補生が見る者を驚かすような仕事を見せてくれれば、日本サッカー界も活性化されるだろう。
昨今は久保建英(ヘタフェ)を筆頭に海外移籍した10代選手がやや停滞気味であるだけに、Jリーグの若手に気を吐いてもらう必要がある。2月27日の開幕戦でも阿部勇樹(浦和)や大久保嘉人(C大阪)らおっさん軍団の活躍が目立ったが、彼らから主役の座を奪い取る10代の台頭が大いに待たれるところ。
名門クラブで中村俊輔ら先人たちも達成できなかった開幕スタメンを勝ち取った樺山はその筆頭ではないか。貪欲に泥臭く前へ突き進み、新風をもたらしてほしいものである。
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