【コロナ禍のJリーグ①】リーグ再延期で調整難航。選手たちは今、何を思う?

2020.03.15 21:00 Sun
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3月18日に予定されていたJリーグの再開が4月3日に延期された。とはいえ、世界的な新型コロナウイルス感染拡大によって、イングランドのプレミアリーグなど欧州5大リーグ全てがストップした現状を踏まえると、さらなる延期も十分あり得る状況と言わざるを得ない。村井満チェアマンは「25日に4月3日以降の方針を決める」と語っているが、場合によっては4月中旬か下旬にずれ込む可能性もゼロではない。公式戦を待ちわびる選手たちにとっては辛い日々が続いている。

◆柏・大谷秀和「サッカーは人々の健康があってこそ」

とりわけ、好スタートを切ったチームは「序盤の勢いを削がれた」という思いが強いだろう。2月22日のJ1開幕・北海道コンサドーレ札幌戦を4-2で大勝し、現時点で2位にいる柏レイソルなどはその筆頭ではないか。名将・ネルシーニョ監督も「今、起きている問題は日本国内に収まらず、世界的な問題になっています。政府主導でいろんな決定をしていく中で、Jリーグも4月第1週という決断に至ったと思いますが、これから状況が沈静化するかによって、また変更というのも大いに考えられる。我々はしっかり準備していくことに代わりません」と現状に理解を示しつつも、勢いに乗って序盤戦を戦えなかった悔しさをにじませた。

その札幌戦で2ゴールを叩き出し、目下、得点ランキングトップに立っている江坂任も「公式戦がないので、今は練習試合でしか試合感覚を保てない。練習試合がすごく大事になりますね。コンディションも落とさないようにしないといけない。再開後は連戦が多くなるので、ケガをしないようにしないと。日々の練習からしっかりやっていくしかないと思います」と前向きに語りつつも、どこかでもどかしさを感じている様子だった。

それでも、大ベテランの大谷秀和が「子供たちが学校に行けていない状況で、Jリーグをスタートするのが果たして正しいことなのかという考え方は、僕もよく分かります。1カ月後にどうなってるかも誰にも分からないし、また延期になることがあるかもしれないけど、やっぱりサッカーは人々の健康があってこそ。自分たちは100%の準備をするだけですし、サッカーできる環境があることに感謝しながらやるだけだと思います」と神妙な面持ちで言うように、活動を継続できているだけでも有難いという気持ちはある。それは彼のみならず、全Jリーガーに共通する思いだと言っていい。

◆川崎F・小林悠「前向きな時間になっている」

実際、海外を見れば、名門・バルセロナが無期限で活動中止に追い込まれ、イタリアでも感染者が出たユベントスやサンプドリアなどがトレーニングを取りやめている。そういう中で、公式戦こそないものの、通常通り、サッカーができているのは、本当に特別なことなのかもしれない。
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川崎フロンターレの小林悠もそれをしみじみと語った1人だ。

「海外のチームでは『2週間の自宅待機』を指示されている選手もいますよね。それに比べたら、好きなサッカーを毎日やれているだけでも幸せだし、感謝しないといけないと思います。それに試合間隔が空いたことで、チーム・個人両方の課題に取り組める時間をもらえた。チームとしては、(2月22日のサガン)鳥栖戦に象徴されるように、引いた相手に対して点が取れないという問題点に直面してますし、個人としてはスタメンで試合に出られていない。自分自身をレベルアップさせ、試合に出る確率を上げたいと思って取り組んでいるんで、前向きな時間になっていますね」

◆鹿島・三竿健斗「力を蓄えて巻き返しを図りたい」

今の時間にチーム完成度を高め、個人としても飛躍したいと考えるのは、小林悠だけではない。川崎と同じように開幕のサンフレッチェ広島戦で0-3の大敗を喫した鹿島アントラーズの新キャプテン・三竿健斗も「ここで力を蓄えて巻き返しを図りたい」と闘志を燃やしている。
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「キャンプって普通は戦術とコンディションの両方を上げるためにやるんですけど、鹿島の場合はオフが短くて、合流がバラバラで、すぐにACLがあってコンディションを上げることしかやっていなかった。戦術的なところを今、すごく時間をかけてやれてるんで、そういった意味ではチームの完成度だったり理解度を高めるいい期間になってます」と彼は言う。ザーゴ新監督が就任し、選手も大幅に入れ替わる中、常勝軍団は非常に苦境に瀕している。そこで新たな準備期間を得られたのは本当に大きいと言っていい。

もちろんコロナ騒動の終息が見えない不安感や閉塞感はあるものの、この時間をいかに有効活用するか次第で、再開後の動向は大きく変わってくる。この3月にしっかりと底上げを図れたチームだけが上位争いを展開できるのだ。

今後のリーグ戦がどのような方式や日程になるかはまだハッキリしていないが、2〜3月の未消化分が平日に組み込まれるため、超過密スケジュールになるのは間違いないだろう。場合によってはJ1昇格プレーオフを取りやめ、J1から3チームがJ2に自動降格する形へ変更することも検討されているというだけに、リーグ戦の重要性がより高まると見られる。

そういったイレギュラーな試合形式に柔軟に対応するためにも、戦力アップとチーム成熟度を高めることは必要不可欠なテーマ。それを考えながら、どの選手もこの中断期間を有意義に過ごす最大限の努力を払っていくはずだ。

【文・元川悦子】
長野県松本市生まれ。千葉大学卒業後、夕刊紙記者などを経て、94年からフリーのサッカーライターとなる。Jリーグ、日本代表、海外まで幅広くフォローし、日本代表は特に精力的な取材を行い、アウェイでもほぼ毎試合足を運んでいる。積極的な選手とのコミュニケーションを活かして、選手の生の声を伝える。
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