「44」でストップしたリバプールの無敗…戦略勝ちのワトフォードの勝利は必然

2020.03.01 14:00 Sun
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積み上げてきた数字は「44」。ライバルも多いプレミアリーグで圧倒的な強さを見せつけ、首位を独走するリバプールが無敗を継続していた試合数だ。

しかし、その記録は2月をもってストップ。2003-04シーズンにアーセナルが記録したプレミアリーグ無敗優勝の再現は夢と終わり、そのアーセナルが記録した連続無敗「49」にも届かず。さらに、マンチェスター・シティが2017-18シーズンに記録した連勝記録の「18」に並んだところで終わってしまった。

とどまるところ知らなかった最強リバプールだが、ワトフォードの勝利は必然とも言えるだろう。ここ数試合で露呈されていた弱点を、見事に突かれた形となった。

◆苦手とするハードワーク
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無敗記録のストップが近づいている予兆があったのは2月15日に行われたプレミアリーグ第26節のノリッジ戦にまで遡る。

リーグ最下位のノリッジ相手に、0-1で勝利した試合だが、なんとか勝ち点3をもぎ取れた試合だった。プレミアリーグに残留したいノリッジは、序盤から高いインテンシティを見せる。リバプールはいつも通りポゼッションを高めるも、ノリッジの出足の早さに苦戦。全くもって攻撃面で良いシーンを作れなかった。

前半は全く良さがなかったリバプールだが、地力で勝ると後半はペースを握り始め押し込む展開に。最後はマネの個人技で先制し、勝利を収めた。

続く2月18日のチャンピオンズリーグ(CL)ラウンド16・1stレグのアトレティコ・マドリー戦も、リーグ戦ではないが同じ展開に。立ち上がり4分にCKからサウール・ニゲスにゴールを許すと、アトレティコのハードワークの前になす術なし。そのまま1-0で敗れていた。

そして前節のウェストハム戦。この試合はワイナルドゥムのゴールで先制するも、ディオプ、フォルナルスのゴールで逆転を許す。相手GKウカシュ・ファビアンスキのトンネルにより同点とすると、そのまま押し込んで最後はマネが決め切ってなんとか勝利を収めた。

ノリッジ戦同様に、この試合のウェストハムもハードワークに終始。リバプールの良さを完全に消すサッカーをしながら、2得点を奪った。ファビアンスキのエラーもあり、また後半ウェストハムの運動量が落ち込んだことも合間って、なんとか勝利を掴んだ。

苦戦を続けたこの3試合に共通するのは、相手チームのハードワーク。特に、前半の戦い方では、今シーズン合わせて19アシストを記録し、リバプールの生命線でもある両サイドバックが攻撃に上手く絡めず、シュートチャンスを迎えることができなかった。そして、中盤での攻防でもリバプールが苦しんだ要因がある。

◆奪えないセカンドボール
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当然ながら、ワトフォード戦も相手のハードワークの前に苦戦する。その中でも顕著に表れたのが、セカンドボールへの反応だ。

前述のアトレティコ戦、ウェストハム戦とリバプールは空中戦で苦しんだ。そしてワトフォード戦も同様だった。アトレティコのFWジエゴ・コスタ、ウェストハムのMFマイケル・アントニオ、そしてワトフォード戦はFWトロイ・ディーニーだ。

加えて、このディーニーは頭を使う。競り合う相手をオランダ代表DFヴィルヒル・ファン・ダイクではなく、クロアチア代表DFデヤン・ロブレンに意図的に変えていたのだ。ディーニー自身が「理にかなった方法として、2つのうちの弱い方を選んだ」と試合後に明かし、ロブレンとの勝負を選んだとしている。

そして、ワトフォードは、とにかくセカンドボールを拾うことに執着した。競り合いのこぼれ球をとにかく拾う。前半からそれを続けると、アディショナルタイムにはあわやゴールのシーンも。このシーンはゴールに繋がらなかったが、ワトフォードの狙いがリバプールを苦しめていることを象徴したシーンだった。

セカンドボールを拾い、そのままカウンターを仕掛けることが攻撃の1つだったリバプールにとって、この部分が欠落することは非常に試合の流れに影響を与える。相手のハードワークに打ちのめされかけた3試合(1試合は敗戦)を続けてきたが、この試合でも前半は成す術がなく、しのいだと言えるだろう。しかし、後半にそのツケを払うことになる。

◆ワトフォードの戦略勝ち
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ディーニーは試合後に「僕たちは1週間ずっとそのことについて話してきた」と語っていたが、それはハードワーク以外の部分でも表れていた。そして、前述の「理にかなった方法として、2つのうちの弱い方を選んだ」という言葉が物語っている。

54分、ワトフォードはスローインの流れから最後はイスマイラ・サールが先制点を奪う。この際、ニアサイドでロブレンを抑えていたのがディーニーだった。ディーニーが収めると読んだロブレンだったが、ボールはワンバウンドで通過。後方を走り抜けたアブドゥライエ・ドゥクレがファン・ダイクの前でボールを拾うと、最後はサールが合わせた。

2点目は60分、スローインからライン際でなんとか残すと、ディフェンスラインへのスルーパスにサールがいち早く反応。独走したまま、GKアリソンの頭上を越すループシュートを決める。スローインにはファビーニョが対応するも、ウィル・ヒューズがいち早く反応したことから始まっている。

3点目もGKベン・フォスターからのロングフィードをディーニーがロブレンと競り合う。こぼれ球を拾ったトレント・アレクサンダー=アーノルドがバックパスするも、これをサールが拾い、最後はディーニーが蹴り込み3点目。ロブレンとの勝負が明暗を分けていた。ワトフォードの戦略勝ちと言えるだろう。

◆自信を失わずにいられるか
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ノリッジ戦から始まった突然のリバプールの低調ぶり。可能性としては、今シーズンから導入された休暇もあるかもしれない。2週間という休暇を得ることができたチームにとって、緊張の糸が少し緩んだ可能性もあるだろう。

また、残留を必死に争うチームとの対戦が続いたことも影響はあったはずだ。ノリッジ、ウェストハム、ワトフォード。CLで対戦したアトレティコを含め、どのチームも負けることが許されないどころか、勝利が欲しい状況であった。

この敗戦で無敗優勝、連続無敗記録、連勝記録が止まったものの、リバプールのプレミアリーグ初優勝には影響はないだろう。2位マンチェスター・シティとの勝ち点差は、シティが今節勝利しても「19」あり、逆転優勝を許す可能性は限りなく低い。

しかし、4日にはFAカップのチェルシー戦、7日にはまたしても残留を争うプレミアリーグのボーンマス戦、そして11日にはアトレティコとのCLラウンド16・2ndレグと重要な試合が続く。この4試合の低調なパフォーマンスをどのようにユルゲン・クロップ監督が考えるかだ。

「これから再び自由にフットボールができるようになるのだからね。記録を守ったり、トライする必要がなくなり、ただ勝利を目指せば良くなるわけだから」と敗戦後に語ったクロップ監督。リバプールの強さが否定されるものでも、ここまで積み上げて来たものが否定されるものでもない。あとは、選手たちのメンタル面。強いリバプールを最後まで見せ続けられるか、チームの真価を見せる時が来た。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
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