【J1クラブ通信簿】15年ぶりに目的地到着!長い航海を終えた王者は新たな目的地へ向かう《横浜F・マリノス》
2019.12.21 21:00 Sat
優勝争いから残留争いまで手に汗を握る接戦、熱戦が続いた2019シーズンの明治安田生命J1リーグ。超ワールドサッカー編集部は、J1全18クラブの通信簿(トピック)やチームMVP、補強成功度、総合評価)をお届けする。ラストは15年ぶりのJ1優勝を達成した横浜F・マリノスを総括!
◆MVP
DFチアゴ・マルチンス(24)
明治安田生命J1リーグ33試合出場(先発33試合)/0得点
15年ぶりの栄冠に貢献した選手は数知れず。JリーグMVPと得点王に輝き、日本代表にも選出されたFW仲川輝人、今シーズンの加入ながら15ゴールを記録して仲川とともに得点王に輝き、攻撃を牽引したFWマルコス・ジュニオール、アンカーとして後方からバランスをとったMF喜田拓也などもいる中で、敢えてチアゴ・マルチンスにMVPを与えたい。
昨シーズン途中にパルメイラスから加入したチアゴ・マルチンスは、アンジェ・ポステコグルー監督が掲げるスタイルを実現するためには欠かせない大きなピース。昨シーズン以上のパフォーマンスを今シーズンは発揮し、日本代表DF畠中槙之輔とともに最終ラインを支えた。
最大の持ち味は、スピードと守備範囲の広さだ。サイドバックも高い位置を取るスタイルにおいて、広大な背後のスペースをGK朴一圭、畠中とともにカバー。持ち味のスピードを生かし、各クラブのエースを封じ込めた。
決して少なくはない失点数ではあるが、チアゴ・マルチンスがいなければ昨シーズンの二の舞となり、優勝も成し遂げられなかったと言える。仲川やマルコス・ジュニオールのような目立った数字がないだけに評価はされにくいが、あのスタイルで1度は退場したものの、33試合に出場しイエローカードなしという部分は評価に値する。
今シーズンの補強は最高の出来と言っていいだろう。オフに獲得したGK朴一圭(←FC琉球)、DFティーラトン(←ムアントン・ユナイテッド)、FWマルコス・ジュニオール(←フルミネンセ)はシーズンを通して主力としてプレーした。
朴一圭はJ3から一気にJ1の舞台にステップアップしたが、確かな足元の技術とセービング能力を披露。正守護神のGK飯倉大樹(→ヴィッセル神戸)を追いやる活躍を見せた。また、ティーラトンは序盤戦こそ馴染めなかったが中盤以降は左サイドバックに定着。嬉しいJ初ゴールを含む3ゴールを記録した。
マルコス・ジュニオールは大車輪の活躍。シーズン序盤はウイング、途中1トップを経てトップ下に収まった。ゲームコントロールをしながらの15ゴールは、優勝の大きな要因となったと言える。また、負傷離脱しシーズン中盤以降出場がなかったFWエジガル・ジュニオ(バイーア)も、前半戦で11ゴールの爆発。間違いなくチームに勢いを与えた。
そのエジガル・ジュニオの負傷を受けて期限付きで獲得したエリキ(←パルメイラス)とFWマテウス(←名古屋グランパス)も優勝へチームを加速させた。エリキはチームにすぐさまフィットし12試合で8ゴール。マテウスもゴールこそ「1」に終わったが、左ウイングのポジションを掴みスピード溢れる攻撃に一役買った。
その他、シーズン途中で出場機会が減ったDF広瀬陸斗(←徳島ヴォルティス)や開幕直後に加わったMF中川風希(←FC琉球)、夏に獲得したDF伊藤槙人(←水戸ホーリーホック)、MF渡辺皓太(←東京ヴェルディ)の完全移籍組は、来シーズンの準備と考えて良い。昨シーズン途中に獲得した、畠中、チアゴ・マルチンスのように、来シーズンは大きな戦力になるはずだろう。先行投資も含め、最高の「S」評価とする。
◆総合評価【S】
アンジェ・ポステコグルー体制2年目の今シーズン、昨シーズンに大きく変貌を遂げたスタイルは出入りの激しいシーズンを過ごし、残留争いに巻き込まれるなど12位で終えていた。
しかし、魅力に溢れ、観る者を惹きつけるサッカーをしっかりと継続。それをピッチで体現するために足りないピースをしっかりと獲得し、見事にハマったことで15年ぶりのJ1タイトルに手が届いた。
エリク・モンバエルツ前監督から継続して作り上げてきたチームは、開幕戦でガンバ大阪を下すと、続くベガルタ仙台戦でも勝利。第3節で迎えた連覇中の川崎フロンターレ戦では2-2の引き分けに終わったが、シーソーゲームの展開をラストプレーで扇原貴宏のゴールが決まり追いついた。
その後は、連敗こそないものの、昨シーズンの様に安定しない戦いが続く。しかし、その要因は新戦力が完全にフィットしていないこと、そしてケガ人が出ていたことが影響している。
途中3連勝を2度挟んだが、8月に3連敗の試練が。しかし、ここも戦力が整わない中、調子を上げているチームとも対戦していた。結果、この3試合がターニングポイントとなった。
第24節から最終節までの11試合は10勝1分け。第23節終了時点げ5位にいたチームは、3連勝で3位まで順位を上げると、その後の7連勝で一気に順位表を駆け上がり頂点に立った。
戦い方の浸透には時間が掛かったものの、昨シーズンから継続しているスタイルは磨きがかかり、最終的には昨シーズンより「12」も増やしたリーグ最多の68ゴール、「18」も減らした38失点とバランスを最後まで失わなかった。
この2シーズンはまさに荒れ狂う海を航海している様そのもの。快勝、惨敗と激動の2018シーズンを乗り越え、耐え忍んで臨んだ2019シーズンも波の高い海を乗り越えた先に目的地へと辿り着いた。
それでもマリノスの航海は終わらない。チアゴ・マルチンスは早々に完全移籍に切り替え、U-22日本代表のGKオビ・パウエル・オビンナ(←流通経済大学)、京都サンガF.C.を支えたアタッカーのMF仙頭啓矢を既に獲得。アジアという新たな海へ向けた準備を整え、2020年は新たな目的地に向けた航海に期待だ。
◆MVP
DFチアゴ・マルチンス(24)
明治安田生命J1リーグ33試合出場(先発33試合)/0得点
©︎J.LEAGUE
15年ぶりの栄冠に貢献した選手は数知れず。JリーグMVPと得点王に輝き、日本代表にも選出されたFW仲川輝人、今シーズンの加入ながら15ゴールを記録して仲川とともに得点王に輝き、攻撃を牽引したFWマルコス・ジュニオール、アンカーとして後方からバランスをとったMF喜田拓也などもいる中で、敢えてチアゴ・マルチンスにMVPを与えたい。
最大の持ち味は、スピードと守備範囲の広さだ。サイドバックも高い位置を取るスタイルにおいて、広大な背後のスペースをGK朴一圭、畠中とともにカバー。持ち味のスピードを生かし、各クラブのエースを封じ込めた。
決して少なくはない失点数ではあるが、チアゴ・マルチンスがいなければ昨シーズンの二の舞となり、優勝も成し遂げられなかったと言える。仲川やマルコス・ジュニオールのような目立った数字がないだけに評価はされにくいが、あのスタイルで1度は退場したものの、33試合に出場しイエローカードなしという部分は評価に値する。
◆補強成功度【S】
©︎J.LEAGUE
今シーズンの補強は最高の出来と言っていいだろう。オフに獲得したGK朴一圭(←FC琉球)、DFティーラトン(←ムアントン・ユナイテッド)、FWマルコス・ジュニオール(←フルミネンセ)はシーズンを通して主力としてプレーした。
朴一圭はJ3から一気にJ1の舞台にステップアップしたが、確かな足元の技術とセービング能力を披露。正守護神のGK飯倉大樹(→ヴィッセル神戸)を追いやる活躍を見せた。また、ティーラトンは序盤戦こそ馴染めなかったが中盤以降は左サイドバックに定着。嬉しいJ初ゴールを含む3ゴールを記録した。
マルコス・ジュニオールは大車輪の活躍。シーズン序盤はウイング、途中1トップを経てトップ下に収まった。ゲームコントロールをしながらの15ゴールは、優勝の大きな要因となったと言える。また、負傷離脱しシーズン中盤以降出場がなかったFWエジガル・ジュニオ(バイーア)も、前半戦で11ゴールの爆発。間違いなくチームに勢いを与えた。
そのエジガル・ジュニオの負傷を受けて期限付きで獲得したエリキ(←パルメイラス)とFWマテウス(←名古屋グランパス)も優勝へチームを加速させた。エリキはチームにすぐさまフィットし12試合で8ゴール。マテウスもゴールこそ「1」に終わったが、左ウイングのポジションを掴みスピード溢れる攻撃に一役買った。
その他、シーズン途中で出場機会が減ったDF広瀬陸斗(←徳島ヴォルティス)や開幕直後に加わったMF中川風希(←FC琉球)、夏に獲得したDF伊藤槙人(←水戸ホーリーホック)、MF渡辺皓太(←東京ヴェルディ)の完全移籍組は、来シーズンの準備と考えて良い。昨シーズン途中に獲得した、畠中、チアゴ・マルチンスのように、来シーズンは大きな戦力になるはずだろう。先行投資も含め、最高の「S」評価とする。
◆総合評価【S】
©︎CWS Brains,LTD.
アンジェ・ポステコグルー体制2年目の今シーズン、昨シーズンに大きく変貌を遂げたスタイルは出入りの激しいシーズンを過ごし、残留争いに巻き込まれるなど12位で終えていた。
しかし、魅力に溢れ、観る者を惹きつけるサッカーをしっかりと継続。それをピッチで体現するために足りないピースをしっかりと獲得し、見事にハマったことで15年ぶりのJ1タイトルに手が届いた。
エリク・モンバエルツ前監督から継続して作り上げてきたチームは、開幕戦でガンバ大阪を下すと、続くベガルタ仙台戦でも勝利。第3節で迎えた連覇中の川崎フロンターレ戦では2-2の引き分けに終わったが、シーソーゲームの展開をラストプレーで扇原貴宏のゴールが決まり追いついた。
その後は、連敗こそないものの、昨シーズンの様に安定しない戦いが続く。しかし、その要因は新戦力が完全にフィットしていないこと、そしてケガ人が出ていたことが影響している。
途中3連勝を2度挟んだが、8月に3連敗の試練が。しかし、ここも戦力が整わない中、調子を上げているチームとも対戦していた。結果、この3試合がターニングポイントとなった。
第24節から最終節までの11試合は10勝1分け。第23節終了時点げ5位にいたチームは、3連勝で3位まで順位を上げると、その後の7連勝で一気に順位表を駆け上がり頂点に立った。
戦い方の浸透には時間が掛かったものの、昨シーズンから継続しているスタイルは磨きがかかり、最終的には昨シーズンより「12」も増やしたリーグ最多の68ゴール、「18」も減らした38失点とバランスを最後まで失わなかった。
この2シーズンはまさに荒れ狂う海を航海している様そのもの。快勝、惨敗と激動の2018シーズンを乗り越え、耐え忍んで臨んだ2019シーズンも波の高い海を乗り越えた先に目的地へと辿り着いた。
それでもマリノスの航海は終わらない。チアゴ・マルチンスは早々に完全移籍に切り替え、U-22日本代表のGKオビ・パウエル・オビンナ(←流通経済大学)、京都サンガF.C.を支えたアタッカーのMF仙頭啓矢を既に獲得。アジアという新たな海へ向けた準備を整え、2020年は新たな目的地に向けた航海に期待だ。
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