【プレビュー】決勝進出を懸けたCR7vsベイル《ポルトガルvsウェールズ》

▽ユーロ2016準決勝、ポルトガル代表vsウェールズ代表が6日にパルク・オリンピック・リヨンで行われる。レアル・マドリーの同僚であるC・ロナウドとベイルの両スーパースターが、ユーロ初優勝を目指す母国の決勝進出を懸けて激突する注目の一戦だ。▽母国開催の2004年以来3大会ぶりの決勝進出を目指すポルトガルはここまでの5試合、1度も90分で勝利することができていない。ハンガリーやアイスランドと同居したグループステージを3分けで辛くも3位通過したチームは、決勝トーナメント1回戦でクロアチアを延長戦の末に1-0で勝利すると、6日前に行われたポーランド戦は1-1で迎えたPK戦を5-3で制し、何とか2大会連続ベスト4に辿り着いた。▽一方、ユーロ初出場ながらイングランドやスロバキアと同居したグループステージを2勝1敗で首位通過したウェールズは、決勝トーナメント1回戦で北アイルランドとの英国対決を1-0で制すと、5日前に行われた準々決勝の“タレント軍団”ベルギー戦を3-1で逆転勝利する波乱を起こし、新たな歴史を刻み続けている。
◆ポルトガル◆
【4-4-2】
▽ポルトガル予想スタメン
GK:R・パトリシオ
DF:ヴィエイリーニャ、ペペ、フォンテ、ラファエウ・ゲレイロ
MF:レナト・サンチェス、モウティーニョ、ダニーロ、ジョアン・マリオ
FW:ナニ、C・ロナウド
出場停止者:MFウィリアム・カルバーリョ
負傷者:なし

▽累積警告により中盤の守備の要となっていたW・カルバーリョが欠場となる。代役は初戦のアイスランド戦で先発していたダニーロが濃厚だ。システムに関してはナニが右アウトサイドでのプレーとなった場合は[4-5-1]となる。その他、モウティーニョではなくA・シウバが先発する可能性がある。◆ウェールズ◆
【5-3-2】

▽ウェールズ予想スタメン
GK:ヘネシー
DF:ガンター、チェスター、A・ウィリアムズ、コリンズ、テイラー
MF:アレン、レドリー、アンディ・キング
FW:ベイル、ロブソン=カヌ
出場停止者:MFラムジー、DFB・デイビス
負傷者:なし

▽一方のウェールズも累積警告によりベイルと共にチームの中核を担っていたラムジーが欠場となる。代役はレスターのアンディ・キングが濃厚だ。さらにベン・デイビスも累積警告で欠場するためコリンズの起用が予想される。

★タクティカル・プレビュー
▽サントス監督率いる今大会のポルトガルはこれまでの歴代代表よりもかなり守備的なチームとなっている。とはいえ今大会5バックを採用し、戦力的に劣るウェールズがポルトガル以上の守備意識の高さを持ってくることが確実なため、ボールを持つポルトガル、カウンターを狙うウェールズという構図で試合の大半は進んでいくはずだ。

◆不調のCR7輝けるか～ポルトガル～
▽ポルトガルが決勝に進出するには絶対的エースであるC・ロナウドの活躍は欠かせない。だが、グループステージ最終節ハンガリー戦で2ゴール1アシストを決めた以外はパッとしないパフォーマンスが続いている。チームが相手の攻撃を受け止めてカウンターを狙う戦術を採用している中、カウンターでC・ロナウドの爆発的な脚力が生きそうなものだが、試合を通して消えていることが多くお世辞にもベスト4進出に貢献したとは言えない状況だ。ウェールズ戦ではこれまでの対戦相手以上にスペースを徹底的に消してくることが予想されるため、C・ロナウドにとってはプレーし辛い状況が生まれそうだが、そんな中でゴールやアシストといった目に見える結果を残し、ポルトガルを3大会ぶりの決勝に導けるかに注目したい。

▽一方で不調のエースをカバーする活躍を見せているのが新星のレナト・サンチェスだ。決勝トーナメント1回戦のクロアチア戦で途中出場した18歳は、推進力あるプレーで攻撃を活性化。延長戦での勝利に貢献した。そして準々決勝のポーランド戦で今大会初スタメンを飾ると、見事なミドルシュートで同点弾を叩き込んでいる。ウェールズ戦でも膠着した展開が予想されるため、彼の持ち上がるドリブルやミドルシュートはポルトガルにとって大きな武器となるだろう。

▽守備面に関してはいかにベイルを抑えるかに尽きる。バイタルエリアでボールを受けて一気にトップスピードに乗ったドリブルを開始する彼を抑えるには、バックラインの踏ん張りとともに中盤の選手の協力が不可欠だ。そんな中、ポルトガルはここまでアンカーの位置で守備を締める働きをこなしていたW・カルバーリョが出場停止となる。だが、代役は今大会コンスタントに途中出場し、安定したプレーを見せていたダニーロが濃厚であることから大きな戦力ダウンには陥らないはずだ。また、レアル・マドリーのチームメートであるペペもここまでさすがのパフォーマンスを続けており、ベイルとのマッチアップで後手を踏むことはないと思われる。今大会のポルトガルの生命線となっている守備陣がウェールズ戦でも安定した働きを見せられれば決勝進出に近づけるはずだ。

◆牽引するベイル、輝き続けられるか～ウェールズ～
▽対するウェールズの注目は言わずもがなベイルだ。グループステージで3戦連発し、決勝トーナメント1回戦の北アイルランド戦ではオウンゴールを誘発。そしてベルギー戦ではゴールに絡まなかったものの、カウンターやセットプレーの局面で存在感を発揮と、今大会最も輝いていると言っていい選手だ。彼が厳しいマークに遭うことが予想される中で同僚のペペを出し抜けるか。厳しいタスクだが、逆にそこを突破できればゴールのチャンスとなるだけにベイルの個人能力に引き続き期待したい。

▽また、守備面に関しても大崩れすることは考えにくい。左肩を負傷しながらもベルギー戦で先発し、ゴールまで決めた守備の要A・ウィリアムズが束ねる5バックは強固そのものだ。ベン・デイビスが累積で欠場となるが、対人の強さ、カバーリングの徹底と、ディフェンス陣に隙は見当たらない。タレント軍団ベルギーを抑え込んだ自信もあり、ポルトガル相手にも十分通用するはずだ。

▽一方で今大会のウェールズをベイルと共に牽引してきたラムジーが累積警告で出場できないのが痛恨だ。ベルギー戦で2アシストをマークするなど、今大会の多くのゴールシーンに絡んでいるラムジーの穴は埋めきれない可能性が高い。代役はレスターのアンディ・キングとなる見込みだが、ラムジーのようにゴール前へ飛び出していく推進力は持ち合わせていない。ジョー・アレンと共にいかに攻撃にかかった際にラムジーとは違った持ち味のパスワークで存在感を示せるかに注目したい。