プレビュー:バーゼルとポルトが初対戦へ…柿谷の出場にも注目《バーゼルvsポルト》

2015.02.18 12:00 Wed
▽CL決勝トーナメント1回戦1stレグのバーゼルvsポルトが、18日の日本時間28:45からザンクト・ヤコブ・パルクで開催される。両雄にとって、この一戦がクラブ史上初の顔合わせとなる。
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◆主力流失による戦力低下
▽ホームのバーゼルは、レアル・マドリーやリバプールが16強進出の有力候補といわれていたグループBを2位で通過。最終節でリバプールとの最後の1枠を懸けた戦いを制し、2011-12シーズン以来となる決勝トーナメント進出を果たした。直近に行われた今年初のリーグ戦では、シオンに1-1のドローに終わったものの、一部主力の温存に成功。今冬の移籍市場では一部主力の流失を余儀なくされたが、現有戦力は中断明け間もないということもあり、フレッシュな状態だ。◆主力流失阻止で磐石の布陣
▽一方、今大会で最多タイとなる19度目の出場となったポルトは、シャフタールやビルバオ、BATEボリソフと同居したグループHを2試合残して突破。最終的に4勝2分でグループステージを終え、危なげなく首位通過を果たした。また、直近のリーグ戦では3連勝で好調をキープ。戦力面においても、主力に退団者や負傷者を抱えることなく、磐石の布陣を維持している。
◆苦境に立たされる1人のサムライ
▽また、今回の一戦では、バーゼルに所属する1人のサムライ、柿谷の動向にも注目だ。昨夏にC大阪からバーゼルに戦いの場を移した柿谷だが、FWエンボロの台頭により、シーズンが進むにつれて出場機会が減少。さらに、現在はベンチ入りもままならない状況に陥っている。出場機会を得た際は、ドリブルからシュートという得意の形を意識したプレーでチームの勝利に貢献しつつ、欧州の舞台で自身の存在価値を高めたいところだ。

◆バーゼル◆
【4-2-3-1】
▽バーゼル予想スタメン
GK:バシリク
DF:P・デゲン、スヒー、T・ジャカ、サファリ
MF:デルリス・ゴンサレス、F・フライ、ツフィ、エルネニー、ガシ
FW:シュトレラー
負傷者:DFイバノフ(ヒザ)、アダマ・トラオレ(ハムストリング)
出場停止者:DFシェアー
▽バーゼルは守備の要であるシェアーがサスペンションで欠場となる。そのほかでは、イバノフとアダマ・トラオレの負傷欠場が確定している一方で、病気で離脱していたF・フライが復帰。仮にF・フライが間に合わなければサムエルをセンターバックに入れ、T・ジャガを一列前に据える可能性もある。布陣に関しては、[3-5-2]などの選択肢も考えられる。しかし、今回は直近のリーグ戦で使用していた[4-2-3-1]、あるいは[4-3-3]を踏襲すると予想した。

◆ポルト◆
【4-1-2-3】
▽ポルト予想スタメン
GK:ファビアーノ
DF:ダニーロ、マルカノ、マイコン、A・サンドロ
MF:H・エレーラ、カゼミロ、オリベル・トーレス
FW:クアレスマ、J・マルティネス、ブラヒミ
負傷者:FWアドリアン・ロペス(ハムストリング)
出場停止者:なし

▽一方のポルトは、ハムストリングを痛めているアドリアン・ロペス以外の全選手を起用できる状態。予想布陣に関しても、これまで主力を張ってきた面々がスタートから起用されることが濃厚だ。また、本稿では右ウイングにクアレスマを予想したが、テージョが先発出場する可能性も十分にある。

★タクティカル・プレビュー
★力関係ではポルトが優勢か
▽今回の一戦はバーゼルのホームで行われるが、チーム力や欧州での実績を考えればアウェイのポルトが試合をコントロールする展開になることが予想される。したがって、バーゼルはいかに少ないタッチ数で縦に早い仕掛けに持っていけるかが重要なポイントとなりそうだ。

◆最良の選択は堅守速攻〜バーゼル〜
▽そのバーゼルにとって、最良の選択は堅守速攻の徹底。グループステージ最終節のリバプール戦で見せたように、中盤での組織的な守備から、ガシやデルリス・ゴンサレスのサイドアタッカーに速やかにボールを預けていくスタイルが、ベターな選択なように思える。

▽とはいえ、上記でも述べたように、今回は守備の要であるシェアーを起用できない。それに加え、病み上がりのF・フライも復帰したばかりなだけに、ベストなコンディションとは言い難い。したがって、守備のキーマンを欠くディフェンス面は、個々の選手が守備意識を高めて臨み、相手のボールホルダーに対して数的優位の状況をつくり出していくことが重要だ。

▽また、攻撃面では、現在のスイスリーグで得点ランキングトップの13得点を記録するガシ、デルリス・ゴンサレス、そして途中出場が濃厚なエンボロに期待したい。とりわけ、18歳ながらも徐々に出場機会を増やしているエンボロのスプリント力とゴールへ向かう姿勢は、パウロ・ソウザ監督にとって、試合の流れを変えたい場面で最良の“切り札"になり得る。彼らが要所でアクセントを加えることができれば、ポルト守備陣を攻略する糸口を見いだせるかもしれない。

◆柿谷の生きる道
▽また、ポルトに押し込まれる展開は、裏を返せば出場機会に恵まれない柿谷にとって、自身が“生きる展開"ともいえる。相手の裏にできるスペースでのボールタッチから卓越したドリブルでゴール前に攻め入る形は、柿谷の得意とする形の1つ。パウロ・ソウザ監督の着眼点次第ではあるが、この大一番で柿谷をピッチに送り込むのも有効な策になるかもしれない。

◆スイスの地で本来の戦いを〜ポルト〜
▽一方のポルトは、ポゼッションサッカーの体現と、フィニッシュの部分での正確さが鍵となる。下馬評で優勢とされるポルトがスイスの地でも本来の戦いを見せることができれば、自然と結果はついてくるだろう。

▽スペイン人のロペテギ監督仕込みのポゼッションサッカーを支えるのは、H・エレーラ、カゼミロ、オリベルに加え、17歳の“新進気鋭"ルベン・ネヴェス。創造性、確かなボールスキル、守備への献身性を持ち合わせる選手たちがバランスよく揃っている。

▽とはいえ、攻め急ぎは禁物だ。不用意にボールを奪われればカウンターを主体に戦ってくるであろう相手の思う壷となる。したがって、ビルドアップ時には、自陣にリトリートする相手守備陣を一度左右に揺さぶるなど、ワンテンポ置いたパスワークを転じていきたい。それができれば、守備へのリスク軽減にも繋がるはずだ。

▽また、フィニッシュの部分では、グループステージ5試合で5得点のJ・マルティネスとグループステージ初戦でハットトリックをマークしたブラヒミに期待だ。グループステージ全6試合で16ゴールをたたき出したポルトの攻撃陣は、間違いなく両選手が核となる。両選手は、バーゼル守備陣から徹底マークを受けることになることが予想されるが、ゴール前で本来の輝きを放つことができれば自ずとポルトを勝利に導くことができるはずだ。

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