競った大会が悪かった…/原ゆみこのマドリッド
2025.03.15 23:30 Sat
「早く気持ちを切り替えなくちゃいけないのよね」そんな風に私が自分を奮い立たせていたのは金曜日、リーガ28節のビジャレアル戦前記者会見でアンチェロッティ監督が話しているのをお昼のニュースで見た時のことでした。いやあ、またしてもアトレティコが悲劇的な結末に終わったCL16強対決マドリーダービー2ndレグの後、もちろん、選手たちはプロですから、そこら辺はしっかりしていると思いますけどね。ただ、あれだけメトロポリターノで声をからして、120分以上、チームを応援したにも関わらず、運命は変えられないと悟ったファンたちは、いくらリーガ首位争いの大事なゲームだとて、中3日で日曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのバルサ戦に立ち向かえる?
加えて、メトロポリターノで勝利が決まった瞬間、とても120分以上、プレーしたばかりとは思えない猛ダッシュでピッチを半周していた彼らですが、実はアセンシオやエムバペなどはそれぞれ、各所に痛みを抱えながら、最後までプレーしたなんてことも。先週末のラージョ戦に続いて、今季初めて、2試合連続で先発したモドリッチもかなりお疲れのはずですしね。この土曜でようやく、年明けから続いた10週間の週2試合ペースが途切れるとはいえ、1年以上ぶりの代表招集となったGKクルトワ(ベルギー)、昨年9月以来となるエムバペ(フランス)、スペイン代表初招集のアセンシオらを筆頭に大部分の選手たちには来週、お国の奉公があるため、全然休めないのが辛いところ。
何にしろ、首位のバルサと2位のマドリーは勝ち点差なし、3位のアトレティコは1差とあって、今節の結果次第で、どのチームが各国代表戦週間中、順位表の頂点にいられるのかが決まることになるんですが、リーガはその後、10試合もありますからね。すでにマドリーダービーは終わったものの、クラシコ(伝統の一戦)は5月上旬ですし、それまでは三つ巴の戦いが続きそうな気がしないでもないんですが…。
そう、いつもとは逆の左側を陣地にして、アトレティコボールのキックオフだったんですが、何とたった29秒で総合スコアをイーブンにするゴールが生まれたから、ビックリしたの何のって。デ・パウルが右側から入れたボールをジュリアーノはスルーしたものの、ゴール前に突っ込んで来たギャラガーが決めてくれたんですが、そういえば、彼らはコパ・デル・レイ準決勝バルサ戦1stレグでも開始1分でフリアン・アルバレスが先手を取っていましたからね。要はやる気満々でピッチに入った時には速攻ゴールを奪う力があるくせに、どうして先週の1stレグではしなかった?
ただ、そのバルサ戦では6分にもグリーズマンが決めて、さくさく2点リードしたアトレティコだったんですが、うーん、シメオネ監督もロドリゴとブライムに守備の穴を突かれ、ゴールを入れられた1stレグの反省をして、左サイドをリノとガランから、ギャラガーとレイニウドに変更。それ以上に全員で協力して、しっかり守ることを重視していたせいか、以降の攻撃はカウンター中心となり、かなりの時間、自陣にこもることにはなったんですけどね。
それでもフリアンやグリーズマンなどのシュートはあったんですが、ことごとくGKクルトワにセーブされてしまってはねえ。逆にマドリーの方はボールを持っていても、ほとんど撃ってこなかったため、1-0でハーフタイムに入った時はもしや、後半は今季自慢の途中出場選手の一発が発現。2014年のCL決勝から続く、この大会でお隣さん相手に4連敗という黒歴史を塗り替えることができるんじゃないかと、私も淡い期待を抱かなくもなかったんですが…。
後半もまたフリアンがクルトワにシュートを弾かれて始まったんですが、いやあ、それまで何もしてなくても、やっぱりエムバペは他とは違うんですね。アンチェロッティ監督に先取り交代されて、チュアメニとモドリッチがカマビンガとルーカス・バスケスに代わった後の25分、ヒメネスがマークを外されて、エリア内に入られてしまったため、必死で止めようとして相手にすがりついたラングレがペナルティを取られてしまったから、さあ大変!その瞬間、私も涙目になって、ビニシウスがPKを蹴るのを眺めていたところ、いやまさか、あんなとんでもないところにボールが飛んで行くとは、え?もしかして、アトレティコに神様が味方してくれてる?
ただねえ、もうこうなったら、さっさとセルロートとコレアを入れて、勝ち越し点を奪いに行くだろうという私の思いと裏腹に、何故かこの日はシメオネ監督の腰が重かったんですよ。その点だけは、後でかつての恩師を「Estoy harto siempre de ese victimismo, siempre llorar por cosas así/エストイ・アルト・シエンプレ・デ・エセ・ビクティミスモ、シエンプレ・ジョラール・ポル・コーサス・アシー(いつも被害者意識で、いつもそういうことで泣いているのに自分はウンザリしてる)」と批判して、注目を浴びていたクルトワの「Si vas ganando 1-0 en el primer minuto y no buscas el segundo ahí está el fallo de su Partido/シー・バス・ガナンドー・ウノ・セロ・エン・エル・プリメール・ミヌート・イ・ノー・ブスカス・エル・セグンド・アイー・エスタ・エル・ファジョ・デ・ス・パルティードー(最初の分に1-0で勝っていながら、2点目を取りに行かないところに彼の試合のミスがあった)」という言葉に同意かも。
いや、実際、それを3本のparadon(パラドン/スーパーセーブ)で邪魔をしてくれたのはクルトワなんですが、だってえ、マドリーが更に32分にはロドリゴをブライムに、38分には、こちらはメンディの負傷による不可抗力とはいえ、フラン・ガルシアに代えても、アトレティコはずっとスタメンのままだったんですよ。おまけにとうとう40分にリノがギャラガーと代わった時も、44分にグリーズマンとジュリアーノが下がり、待望のセルロートとコレアが入った時も、ピッチを出る選手は完全に時間稼ぎのノロノロ歩調。まさに延長戦に入ることが目的としか思えなかったんですが、でも一体、それは何のため?
ええ、デ・パウルを疲労で続行不可となる後半ロスタイムまで引っ張ったのも謎ですしね。ここでモリーナが入り、シメオネ監督の狙い通り、試合が延長戦に入ると、イエローカードをもらっていたラングレもル・ノルマンと交代に。延長戦前半にはレイニウドも倒れ、最後はアスピリクエタが負傷回復後、初出場となったんですが、やっぱりどちらのチームも疲れていたんですかね。最初の15分こそ、セルロートのヘッドなどもあったものの、後半はどちらもほとんどチャンスがなく、刻一刻とPK戦が接近。その頃から、2016年のミラノでのCL決勝が私の頭にはチラついてくることに。
それが、PK戦でそれまで全員入れた後、4人目のファンフランがポストに弾かれ、マドリー5人目のクリスチアーノ・ロナウドに優勝を持っていかれた当時以上のショッキングな事件が起きるんですから、本当にアトレティコのツキのなさは奥が深い。そう、その日はそれぞれ第1キッカーのエムバペとセルロートが成功した後、第2キッカーのベリンガムとフリアンもボールがゴールに入ったんですけどね。何と蹴る時体勢を崩したフリアンが右足で蹴る前、軸足の左足でボールに触れていたとして、VAR(ビデオ審判)に確認を頼んだ主審により、2度蹴りによるPK成功取り消しになってしまうって、何なんでしょう。
いえまあ、それでも第3キッカーのバルベルデとコレアが決めた後、第4キッカーのルーカス・バスケスをGKオブラクが弾いてくれたため、奇しくもファンフランと同じマドリーのカンテラーノ(下部組織出身の選手)だったジョレンテがゴールバーに当ててしまわなければ、イーブンでいられたんですけどね。結局、最初は第5キッカーにエンドリックを選んだものの、「Vi la cara de Endrick y dijimos: ‘Mejor Rüdiger"/ビ・ラ・カラ・デ・エンドリック・イ・ディヒモス:メホール・リュディガー(エンドリックの顔を見たら、リュディガーの方がいいということになった)」(アンチェロッティ監督)ドイツ人CBがマドリーの勝利を決めるPKを沈め、4-2でアトレティコは負けてしまいましたっけ。
いやあ、試合後のミックスゾーンではユニ姿のまま連れ出されたオブラクも、これで自身がマドリーにPK戦で負けたのが3度目になることもあってか、「Estamos desesperados/エスタモス・デセスペラード(ボクらは絶望している)」と嘆いていたんですけどね。この日は完全にアトレティコの方が試合内容で上回っていただけに、こうなるともう、マドリー相手のCL戦での彼らは呪われている、もしくはマドリーがCLで人知を超える強運を持っているとしか思えないかと。
それとは別に、やはり世間で一番の論点になっていたのは、フリアンのPKゴールが取り消されたのは正しかったかどうか。というのも確実に彼の左足が蹴る前にボールに触れていることがわかる映像がなく、ええ、シメオネ監督も記者会見では、「Que levante la mano quien vea que tocó la pelota dos veces Julián!/ケ・レバンタ・ラ・マノ・キエン・ベア・ケ・トコ・ラ・ペロータ・ドス・ベセス・フリアン(フリアンが2度ボールを蹴ったのを見た者は手を挙げてくれ)」とかなりエキサイトしてアピールしていたんですけどね。滅多にないことのため、その件ばかりが注目されてしまうのもわかるんですが、おかげで本来なら、一番の戦犯であるはずのジョレンテがまったく責められなかったのは、当人にとってはラッキーだった?
そんな感じでCLマドリーダービーは幕を閉じたんですが、一応、この週末のマドリッドの弟分チームたちの予定も伝えておくと、こちらは揃って日曜試合で、レガネスはブタルケでベティスと、ラージョはエスタディオ・バジェカスでレアル・ソシエダと対戦。どちらも木曜にヨーロッパの大会があって、疲れているチームが相手なんですが、コンフェレンスリーグ16強対決ビトリア・ギマラエス戦2ndレグで0-4と大勝し、ヤビエロニア(ポーランド)との準々決勝に進んだベティスはリーガもマドリー戦勝利を含む3連勝中と現在、極めて好調。
金曜にアラベスがラル・パルマスと引き分けたため、同じ勝ち点で並ばれて、降格圏の18位に落ちてしまったボルハ・ヒメネス監督のチームには難しい試合になりそうですが、15位のエスパニョール以下は最下位のバジャドリーを除いて、ほぼ団子状態ですからね。勝ち点1でも稼げれば、レッドゾーンからは逃れられるはずですが、こればっかりはねえ。一方、ラージョの相手ソシエダはEL16強対決マンチェスター・ユナイテッド戦2ndレグでジャッジに恵まれず、オールド・トラフォードで4-1と負けて敗退が決定。この試合のため、サン・セバスティアンには帰らず、マドリッドに直行という慌ただしさもあるため、前節はサンティアゴ・ベルナベウで善戦したイニゴ・ペレス監督のチームが4試合ぶりの白星を掴むいい機会になるかも。
そしてヘタフェはエル・サダルで14位のオサスナと顔を合わせるんですが、何せボルダラス監督のチームは前節、頭がCLマドリーダービーでいっぱいだったアトレティコにコリセウムで初勝利を挙げて、気分を良くしていますからね。現在、降格圏とは勝ち点7差の12位と安全な位置にいますし、プレッシャーを感じずにプレーできるため、いい結果を持って帰って来ることを期待しています。
PR
おまけにフリック監督のチームは前節のオサスナ戦当日にチームドクターの突然死があって、その試合が延期に。近しい職場の人物を亡くして、選手たちも落ち込んでいたものの、火曜のCLベンフィカ戦2ndレグでは見事に3-1で勝利して、総合スコア4-1で準々決勝進出決めると同時に、勝利を故人に捧げていますからね。単純に中日だけでも向こうが1日多いだけでなく、アトレティコは延長戦で大いに消耗。90分で力尽きたデ・パウルなど、金曜の練習にも姿を見せていなかった程で、更にPK戦で負ける原因となったフリアン・アルバレスが、「アトレティコでは信じられないような不幸が起きる」事実に気づいて、打ちのめされていたら、かなり困ったことになりそうな。いえまあ、アトレティコより1日早く、土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)にはラ・セラミカで、今季はヨーロッパの大会がなく、体力的に有利な5位のビジャレアルに挑まないといけないお隣さんも大変なんですけどね。もっともそこは十八番の大会であるCLで勝ち抜け、Decimosexta(デシモセスタ/16回目のCL優勝のこと)を目指して、準々決勝でアーセナルと戦えるようになった精神的な高揚で、選手たちは何とかなっちゃうのかもしれませんが、ダービーではメンディが太ももを負傷し、全治3週間になるという逆境も。何にしろ、首位のバルサと2位のマドリーは勝ち点差なし、3位のアトレティコは1差とあって、今節の結果次第で、どのチームが各国代表戦週間中、順位表の頂点にいられるのかが決まることになるんですが、リーガはその後、10試合もありますからね。すでにマドリーダービーは終わったものの、クラシコ(伝統の一戦)は5月上旬ですし、それまでは三つ巴の戦いが続きそうな気がしないでもないんですが…。
まあ、そんなことはともかく、水曜のCLマドリーダービー2ndレグがどうだったのかをお伝えしていかないと。先週の1stレグではサンティアゴ・ベルナベウで2-1と負けていたアトレティコだったんですが、チームバスがメトロポリターノに到着した時には、道路周辺が真っ赤になる程の発煙筒と共に大勢のファンがお出迎え。スタンドもお隣さんに負けじと、赤白黄のモザイクでキックオフ前の雰囲気を盛り上げた試合は、予想もしない形でスタートしたんですよ。
そう、いつもとは逆の左側を陣地にして、アトレティコボールのキックオフだったんですが、何とたった29秒で総合スコアをイーブンにするゴールが生まれたから、ビックリしたの何のって。デ・パウルが右側から入れたボールをジュリアーノはスルーしたものの、ゴール前に突っ込んで来たギャラガーが決めてくれたんですが、そういえば、彼らはコパ・デル・レイ準決勝バルサ戦1stレグでも開始1分でフリアン・アルバレスが先手を取っていましたからね。要はやる気満々でピッチに入った時には速攻ゴールを奪う力があるくせに、どうして先週の1stレグではしなかった?
ただ、そのバルサ戦では6分にもグリーズマンが決めて、さくさく2点リードしたアトレティコだったんですが、うーん、シメオネ監督もロドリゴとブライムに守備の穴を突かれ、ゴールを入れられた1stレグの反省をして、左サイドをリノとガランから、ギャラガーとレイニウドに変更。それ以上に全員で協力して、しっかり守ることを重視していたせいか、以降の攻撃はカウンター中心となり、かなりの時間、自陣にこもることにはなったんですけどね。
それでもフリアンやグリーズマンなどのシュートはあったんですが、ことごとくGKクルトワにセーブされてしまってはねえ。逆にマドリーの方はボールを持っていても、ほとんど撃ってこなかったため、1-0でハーフタイムに入った時はもしや、後半は今季自慢の途中出場選手の一発が発現。2014年のCL決勝から続く、この大会でお隣さん相手に4連敗という黒歴史を塗り替えることができるんじゃないかと、私も淡い期待を抱かなくもなかったんですが…。
後半もまたフリアンがクルトワにシュートを弾かれて始まったんですが、いやあ、それまで何もしてなくても、やっぱりエムバペは他とは違うんですね。アンチェロッティ監督に先取り交代されて、チュアメニとモドリッチがカマビンガとルーカス・バスケスに代わった後の25分、ヒメネスがマークを外されて、エリア内に入られてしまったため、必死で止めようとして相手にすがりついたラングレがペナルティを取られてしまったから、さあ大変!その瞬間、私も涙目になって、ビニシウスがPKを蹴るのを眺めていたところ、いやまさか、あんなとんでもないところにボールが飛んで行くとは、え?もしかして、アトレティコに神様が味方してくれてる?
ただねえ、もうこうなったら、さっさとセルロートとコレアを入れて、勝ち越し点を奪いに行くだろうという私の思いと裏腹に、何故かこの日はシメオネ監督の腰が重かったんですよ。その点だけは、後でかつての恩師を「Estoy harto siempre de ese victimismo, siempre llorar por cosas así/エストイ・アルト・シエンプレ・デ・エセ・ビクティミスモ、シエンプレ・ジョラール・ポル・コーサス・アシー(いつも被害者意識で、いつもそういうことで泣いているのに自分はウンザリしてる)」と批判して、注目を浴びていたクルトワの「Si vas ganando 1-0 en el primer minuto y no buscas el segundo ahí está el fallo de su Partido/シー・バス・ガナンドー・ウノ・セロ・エン・エル・プリメール・ミヌート・イ・ノー・ブスカス・エル・セグンド・アイー・エスタ・エル・ファジョ・デ・ス・パルティードー(最初の分に1-0で勝っていながら、2点目を取りに行かないところに彼の試合のミスがあった)」という言葉に同意かも。
いや、実際、それを3本のparadon(パラドン/スーパーセーブ)で邪魔をしてくれたのはクルトワなんですが、だってえ、マドリーが更に32分にはロドリゴをブライムに、38分には、こちらはメンディの負傷による不可抗力とはいえ、フラン・ガルシアに代えても、アトレティコはずっとスタメンのままだったんですよ。おまけにとうとう40分にリノがギャラガーと代わった時も、44分にグリーズマンとジュリアーノが下がり、待望のセルロートとコレアが入った時も、ピッチを出る選手は完全に時間稼ぎのノロノロ歩調。まさに延長戦に入ることが目的としか思えなかったんですが、でも一体、それは何のため?
ええ、デ・パウルを疲労で続行不可となる後半ロスタイムまで引っ張ったのも謎ですしね。ここでモリーナが入り、シメオネ監督の狙い通り、試合が延長戦に入ると、イエローカードをもらっていたラングレもル・ノルマンと交代に。延長戦前半にはレイニウドも倒れ、最後はアスピリクエタが負傷回復後、初出場となったんですが、やっぱりどちらのチームも疲れていたんですかね。最初の15分こそ、セルロートのヘッドなどもあったものの、後半はどちらもほとんどチャンスがなく、刻一刻とPK戦が接近。その頃から、2016年のミラノでのCL決勝が私の頭にはチラついてくることに。
それが、PK戦でそれまで全員入れた後、4人目のファンフランがポストに弾かれ、マドリー5人目のクリスチアーノ・ロナウドに優勝を持っていかれた当時以上のショッキングな事件が起きるんですから、本当にアトレティコのツキのなさは奥が深い。そう、その日はそれぞれ第1キッカーのエムバペとセルロートが成功した後、第2キッカーのベリンガムとフリアンもボールがゴールに入ったんですけどね。何と蹴る時体勢を崩したフリアンが右足で蹴る前、軸足の左足でボールに触れていたとして、VAR(ビデオ審判)に確認を頼んだ主審により、2度蹴りによるPK成功取り消しになってしまうって、何なんでしょう。
いえまあ、それでも第3キッカーのバルベルデとコレアが決めた後、第4キッカーのルーカス・バスケスをGKオブラクが弾いてくれたため、奇しくもファンフランと同じマドリーのカンテラーノ(下部組織出身の選手)だったジョレンテがゴールバーに当ててしまわなければ、イーブンでいられたんですけどね。結局、最初は第5キッカーにエンドリックを選んだものの、「Vi la cara de Endrick y dijimos: ‘Mejor Rüdiger"/ビ・ラ・カラ・デ・エンドリック・イ・ディヒモス:メホール・リュディガー(エンドリックの顔を見たら、リュディガーの方がいいということになった)」(アンチェロッティ監督)ドイツ人CBがマドリーの勝利を決めるPKを沈め、4-2でアトレティコは負けてしまいましたっけ。
いやあ、試合後のミックスゾーンではユニ姿のまま連れ出されたオブラクも、これで自身がマドリーにPK戦で負けたのが3度目になることもあってか、「Estamos desesperados/エスタモス・デセスペラード(ボクらは絶望している)」と嘆いていたんですけどね。この日は完全にアトレティコの方が試合内容で上回っていただけに、こうなるともう、マドリー相手のCL戦での彼らは呪われている、もしくはマドリーがCLで人知を超える強運を持っているとしか思えないかと。
それとは別に、やはり世間で一番の論点になっていたのは、フリアンのPKゴールが取り消されたのは正しかったかどうか。というのも確実に彼の左足が蹴る前にボールに触れていることがわかる映像がなく、ええ、シメオネ監督も記者会見では、「Que levante la mano quien vea que tocó la pelota dos veces Julián!/ケ・レバンタ・ラ・マノ・キエン・ベア・ケ・トコ・ラ・ペロータ・ドス・ベセス・フリアン(フリアンが2度ボールを蹴ったのを見た者は手を挙げてくれ)」とかなりエキサイトしてアピールしていたんですけどね。滅多にないことのため、その件ばかりが注目されてしまうのもわかるんですが、おかげで本来なら、一番の戦犯であるはずのジョレンテがまったく責められなかったのは、当人にとってはラッキーだった?
そんな感じでCLマドリーダービーは幕を閉じたんですが、一応、この週末のマドリッドの弟分チームたちの予定も伝えておくと、こちらは揃って日曜試合で、レガネスはブタルケでベティスと、ラージョはエスタディオ・バジェカスでレアル・ソシエダと対戦。どちらも木曜にヨーロッパの大会があって、疲れているチームが相手なんですが、コンフェレンスリーグ16強対決ビトリア・ギマラエス戦2ndレグで0-4と大勝し、ヤビエロニア(ポーランド)との準々決勝に進んだベティスはリーガもマドリー戦勝利を含む3連勝中と現在、極めて好調。
金曜にアラベスがラル・パルマスと引き分けたため、同じ勝ち点で並ばれて、降格圏の18位に落ちてしまったボルハ・ヒメネス監督のチームには難しい試合になりそうですが、15位のエスパニョール以下は最下位のバジャドリーを除いて、ほぼ団子状態ですからね。勝ち点1でも稼げれば、レッドゾーンからは逃れられるはずですが、こればっかりはねえ。一方、ラージョの相手ソシエダはEL16強対決マンチェスター・ユナイテッド戦2ndレグでジャッジに恵まれず、オールド・トラフォードで4-1と負けて敗退が決定。この試合のため、サン・セバスティアンには帰らず、マドリッドに直行という慌ただしさもあるため、前節はサンティアゴ・ベルナベウで善戦したイニゴ・ペレス監督のチームが4試合ぶりの白星を掴むいい機会になるかも。
そしてヘタフェはエル・サダルで14位のオサスナと顔を合わせるんですが、何せボルダラス監督のチームは前節、頭がCLマドリーダービーでいっぱいだったアトレティコにコリセウムで初勝利を挙げて、気分を良くしていますからね。現在、降格圏とは勝ち点7差の12位と安全な位置にいますし、プレッシャーを感じずにプレーできるため、いい結果を持って帰って来ることを期待しています。
PR
レアル・マドリーの関連記事
UEFAチャンピオンズリーグの関連記事
|
レアル・マドリーの人気記事ランキング
1
コパ決勝クラシコで2アシスト、優勝に貢献したヤマルはマドリーに「今季彼らは僕らに勝てない」と豪語
バルセロナのスペイン代表FWラミン・ヤマルがレアル・マドリーに対して豪語した。 ヤマルは26日に行われたコパ・デル・レイ決勝マドリー戦で先制点と2点目をアシスト。延長戦の末3-2で勝利したチームの優勝に大きく貢献していた。 コパ・デル・レイ決勝での勝利により今季のクラシコの戦績はバルセロナの3戦3勝となった中、ヤマルは試合後のインタビューで「例え1点決められても、2点決められても関係なかった。今季彼らは僕らに勝てない。それが証明された」と豪語。 優勝決定後には派手なサングラスを着用してお茶らけていたヤマル。17歳の言動が来月11日に行われるラ・リーガでの今季最後となるエル・クラシコにどのような影響を与えるだろうか。 2025.04.27 13:00 Sun2
コパ決勝で3選手退場のマドリー、主審に投擲のリュディガーに長期出場停止の可能性
コパ・クラシコで退場したレアル・マドリーのDFアントニオ・リュディガーに厳しい処分が科される可能性が浮上した。 26日、コパ・デル・レイ決勝のバルセロナvsレアル・マドリーがエスタディオ・デ・ラ・カルトゥーハで行われ、延長戦までもつれ込んだ一戦は3-2でバルセロナの勝利に終わった。 これでラ・リーガ、スーペル・コパ・デ・エスパーニャに続きクラシコ3連敗となったマドリーは、チャンピオンズリーグに続く今シーズン2つ目のタイトル逸となった。 さらに、今後のラ・リーガの戦いに向けてディフェンスリーダーを失う可能性も出てきている。 今季の国内での戦いでの度重なるチームに対する不利な判定を訴え、ラ・リーガやスペインサッカー連盟(RFEF)との関係悪化が指摘されるマドリー。 さらに、今回の決勝前にはコパ決勝を担当することになったリカルド・デ・ブルゴス・ベンゴエチェア主審とVAR審判のパブロ・ゴンサレス・フエルテス氏が、『レアル・マドリーTV』で自身らが度々批判されたことを受けて開いた会見によってその関係はより破綻。 前日の公式会見をボイコットしたなか、「決勝戦の24時間前に審判団が行った不適切かつ遺憾な発言によって何億人もの人々が観戦する世界的に重要なスポーツイベントが汚されることがあってはならない。そしてセビージャへの渡航を計画しているファン、既に到着している全てのファンの方々に敬意を表す。レアル・マドリーは決勝戦に任命された審判団が今日、再び我がクラブに示した敵意と憎しみにも関わらず、サッカーの価値観が勝つべきだと信じている」との声明を発表していた。 そんななか、問題が発生したのは、バルセロナが3-2と勝ち越して迎えた延長後半アディショナルタイム。 FWキリアン・ムバッペの偶発的な手がDFエリック・ガルシアの顔面に直撃し、ベンゴエチェア主審がマドリー側のファウルを宣告。すると、この微妙な判定に激高したマドリー陣営ではすでにベンチに下がっていたFWヴィニシウス・ジュニオール、DFルーカス・バスケスがピッチに入って激しく抗議。さらに、リュディガーは同主審に対して、氷と思われる物体を投擲する危険行為を働いた。 これに対して、ベンゴエチェア主審はベンチのリュディガーにレッドカードを掲示。さらに、バスケスと試合後にはMFジュード・ベリンガムにもレッドカードを掲示し退場させていた。 その報告書では「リュディガーは下記の理由で退場処分を受けた。『テクニカルエリアから私(主審)に届かない物体を投げたため。レッドカードを受けた後、攻撃的な態度を示したため、テクニカルスタッフ数名に制止された』」と、ドイツ代表DFの退場に関する説明があった。 さらに、バスケスは「我々の判定に抗議し、ピッチ内に数メートル入り込み、異議を唱えるジェスチャーをしたため」、ベリンガムは「試合終了後、審判に攻撃的な態度で近づき、チームメイトに制止されたため」と、それぞれ退場理由が説明された。 スペイン『マルカ』などによれば、バスケスとベリンガムのサスペンションに関しては現状で来シーズンのコパに持ち越される形になるというが、より重大なリュディガーの一件に関しては例外が適用され、ラ・リーガへの適用の可能性も含めより長期の出場停止となる可能性が高いという。 即時の処分適用となった場合、リュディガーは5月11日に行われるクラシコを含め少なくとも残りのリーグ戦すべてを欠場する可能性もあるようだ。 2025.04.27 19:00 Sun3
「ふざけるのはやめろ」アンチェロッティ監督が激怒、“神童”18歳エンドリッキのなめたプレーを叱責「ああいうプレーは許されない」
レアル・マドリーのカルロ・アンチェロッティ監督が、ブラジル代表FWエンドリッキのプレーを叱責した。『ESPN』が伝えた。 エンドリッキは23日に行われたラ・リーガ第33節のヘタフェ戦に先発出場。64分に途中交代となっていた。 試合はアルダ・ギュレルのミドルシュートで0-1とマドリーが勝利したが、エンドリッキのパフォーマンスが話題となっている。 エンドリッキは今シーズンからマドリーに加入。ヘタフェ戦は自身にとってラ・リーガで初の先発出場だった。 この試合では2度の決定機を迎えた中、アンチェロッティ監督が叱責したのは2つ目のチャンス。56分、エドゥアルド・カマヴィンガのスルーパスを受けたエンドリッキは、ヘタフェのGKダビド・ソリアの頭上を越そうとループシュートを狙ったが、ミスキックになりキャッチ。そもそもオフサイドではあったが、ふざけたプレーにアンチェロッティ監督が怒りを露わにした。 「彼には2つのチャンスがあった」 「最初のチャンスはこれ以上ないほどの得点チャンスだった。2つ目のチャンスはオフサイドだったかもしれないが、ああいうプレーは許されない」 「彼はまだ若く、学ぶ必要がある。だが、できる限り良いシュートを打つべきだ。そして、ふざけるのはやめろ。サッカーに演劇クラブの居場所はない」 リーガで初先発となった試合でも、運動量は少なく、試合に入れていないようにも見えたエンドリッキ。しっかりとゴールを奪うプレーを見せなければ、チャンスはどんどん失われるかもしれない。 2025.04.24 23:40 Thu4
マドリー退団濃厚のアンチェロッティ、複数回のラブコール受け入れセレソン指揮官へ
今シーズン限りでのレアル・マドリー退団が既定路線となりつつあるカルロ・アンチェロッティ監督。新たな挑戦の場はブラジル代表になる可能性が高いようだ。 26日、コパ・デル・レイ決勝でバルセロナに敗れ、チャンピオンズリーグに続く今季2つ目のタイトル逸となったマドリー。さらに、ラ・リーガでも絶好調のバルセロナとの勝ち点差は「4」と、UEFAスーパーカップを除く主要タイトル無冠の可能性が高まっている。 この成績不振や求心力の低下を受け、クラブは今季限りでの契約解消に動く可能性が高く、コパ終了後の会見でイタリア人指揮官は自身の去就についてこう語っている。 「レアル・マドリーで続けることもできるし、辞めることもできる。どうなるか見てみよう」 「ただ、それは今日ではなく、今後数週間の話題になるだろう」 明言を避けたものの、退団を窺わせるニュアンスが色濃いこの発言によって、俄然今後に注目が集まる稀代の名将。一部では来季に向けて新指揮官を探す古巣ローマとの関連付けもあったが、現時点での最有力はセレソンだという。 3月にドリヴァウ・ジュニオール監督を解任し、現在指揮官不在のブラジル代表。ブラジルサッカー連盟(CBF)のエドナルド・ロドリゲス会長は過去複数回に渡ってラブコールを送り続けていたが、マドリーとの現行契約全うを優先したアンチェロッティ監督側に固辞されていた。 だがしかし、マドリーでの今後が不透明となったイタリア人指揮官はここにきてセレソンの新指揮官就任へ前向きな姿勢を示しているようだ。 移籍市場に精通するファブリツィオ・ロマーノ氏によれば、CBFの代表団はマドリードに滞在しており、アンチェロッティ監督と現時点で契約を残すクラブ側と交渉を行っているという。 ブラジル代表側はマドリーが参戦するFIFAクラブ・ワールドカップ前の招へいを希望し交渉を進めているが、アンチェロッティ監督の新指揮官就任に自信を持っているという。 2025.04.27 20:22 Sun5