競った大会が悪かった…/原ゆみこのマドリッド
2025.03.15 23:30 Sat
「早く気持ちを切り替えなくちゃいけないのよね」そんな風に私が自分を奮い立たせていたのは金曜日、リーガ28節のビジャレアル戦前記者会見でアンチェロッティ監督が話しているのをお昼のニュースで見た時のことでした。いやあ、またしてもアトレティコが悲劇的な結末に終わったCL16強対決マドリーダービー2ndレグの後、もちろん、選手たちはプロですから、そこら辺はしっかりしていると思いますけどね。ただ、あれだけメトロポリターノで声をからして、120分以上、チームを応援したにも関わらず、運命は変えられないと悟ったファンたちは、いくらリーガ首位争いの大事なゲームだとて、中3日で日曜午後9時(日本時間翌午前5時)からのバルサ戦に立ち向かえる?
おまけにフリック監督のチームは前節のオサスナ戦当日にチームドクターの突然死があって、その試合が延期に。近しい職場の人物を亡くして、選手たちも落ち込んでいたものの、火曜のCLベンフィカ戦2ndレグでは見事に3-1で勝利して、総合スコア4-1で準々決勝進出決めると同時に、勝利を故人に捧げていますからね。単純に中日だけでも向こうが1日多いだけでなく、アトレティコは延長戦で大いに消耗。90分で力尽きたデ・パウルなど、金曜の練習にも姿を見せていなかった程で、更にPK戦で負ける原因となったフリアン・アルバレスが、「アトレティコでは信じられないような不幸が起きる」事実に気づいて、打ちのめされていたら、かなり困ったことになりそうな。
いえまあ、アトレティコより1日早く、土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)にはラ・セラミカで、今季はヨーロッパの大会がなく、体力的に有利な5位のビジャレアルに挑まないといけないお隣さんも大変なんですけどね。もっともそこは十八番の大会であるCLで勝ち抜け、Decimosexta(デシモセスタ/16回目のCL優勝のこと)を目指して、準々決勝でアーセナルと戦えるようになった精神的な高揚で、選手たちは何とかなっちゃうのかもしれませんが、ダービーではメンディが太ももを負傷し、全治3週間になるという逆境も。
加えて、メトロポリターノで勝利が決まった瞬間、とても120分以上、プレーしたばかりとは思えない猛ダッシュでピッチを半周していた彼らですが、実はアセンシオやエムバペなどはそれぞれ、各所に痛みを抱えながら、最後までプレーしたなんてことも。先週末のラージョ戦に続いて、今季初めて、2試合連続で先発したモドリッチもかなりお疲れのはずですしね。この土曜でようやく、年明けから続いた10週間の週2試合ペースが途切れるとはいえ、1年以上ぶりの代表招集となったGKクルトワ(ベルギー)、昨年9月以来となるエムバペ(フランス)、スペイン代表初招集のアセンシオらを筆頭に大部分の選手たちには来週、お国の奉公があるため、全然休めないのが辛いところ。
何にしろ、首位のバルサと2位のマドリーは勝ち点差なし、3位のアトレティコは1差とあって、今節の結果次第で、どのチームが各国代表戦週間中、順位表の頂点にいられるのかが決まることになるんですが、リーガはその後、10試合もありますからね。すでにマドリーダービーは終わったものの、クラシコ(伝統の一戦)は5月上旬ですし、それまでは三つ巴の戦いが続きそうな気がしないでもないんですが…。
そう、いつもとは逆の左側を陣地にして、アトレティコボールのキックオフだったんですが、何とたった29秒で総合スコアをイーブンにするゴールが生まれたから、ビックリしたの何のって。デ・パウルが右側から入れたボールをジュリアーノはスルーしたものの、ゴール前に突っ込んで来たギャラガーが決めてくれたんですが、そういえば、彼らはコパ・デル・レイ準決勝バルサ戦1stレグでも開始1分でフリアン・アルバレスが先手を取っていましたからね。要はやる気満々でピッチに入った時には速攻ゴールを奪う力があるくせに、どうして先週の1stレグではしなかった?
ただ、そのバルサ戦では6分にもグリーズマンが決めて、さくさく2点リードしたアトレティコだったんですが、うーん、シメオネ監督もロドリゴとブライムに守備の穴を突かれ、ゴールを入れられた1stレグの反省をして、左サイドをリノとガランから、ギャラガーとレイニウドに変更。それ以上に全員で協力して、しっかり守ることを重視していたせいか、以降の攻撃はカウンター中心となり、かなりの時間、自陣にこもることにはなったんですけどね。
それでもフリアンやグリーズマンなどのシュートはあったんですが、ことごとくGKクルトワにセーブされてしまってはねえ。逆にマドリーの方はボールを持っていても、ほとんど撃ってこなかったため、1-0でハーフタイムに入った時はもしや、後半は今季自慢の途中出場選手の一発が発現。2014年のCL決勝から続く、この大会でお隣さん相手に4連敗という黒歴史を塗り替えることができるんじゃないかと、私も淡い期待を抱かなくもなかったんですが…。
後半もまたフリアンがクルトワにシュートを弾かれて始まったんですが、いやあ、それまで何もしてなくても、やっぱりエムバペは他とは違うんですね。アンチェロッティ監督に先取り交代されて、チュアメニとモドリッチがカマビンガとルーカス・バスケスに代わった後の25分、ヒメネスがマークを外されて、エリア内に入られてしまったため、必死で止めようとして相手にすがりついたラングレがペナルティを取られてしまったから、さあ大変!その瞬間、私も涙目になって、ビニシウスがPKを蹴るのを眺めていたところ、いやまさか、あんなとんでもないところにボールが飛んで行くとは、え?もしかして、アトレティコに神様が味方してくれてる?
ただねえ、もうこうなったら、さっさとセルロートとコレアを入れて、勝ち越し点を奪いに行くだろうという私の思いと裏腹に、何故かこの日はシメオネ監督の腰が重かったんですよ。その点だけは、後でかつての恩師を「Estoy harto siempre de ese victimismo, siempre llorar por cosas así/エストイ・アルト・シエンプレ・デ・エセ・ビクティミスモ、シエンプレ・ジョラール・ポル・コーサス・アシー(いつも被害者意識で、いつもそういうことで泣いているのに自分はウンザリしてる)」と批判して、注目を浴びていたクルトワの「Si vas ganando 1-0 en el primer minuto y no buscas el segundo ahí está el fallo de su Partido/シー・バス・ガナンドー・ウノ・セロ・エン・エル・プリメール・ミヌート・イ・ノー・ブスカス・エル・セグンド・アイー・エスタ・エル・ファジョ・デ・ス・パルティードー(最初の分に1-0で勝っていながら、2点目を取りに行かないところに彼の試合のミスがあった)」という言葉に同意かも。
いや、実際、それを3本のparadon(パラドン/スーパーセーブ)で邪魔をしてくれたのはクルトワなんですが、だってえ、マドリーが更に32分にはロドリゴをブライムに、38分には、こちらはメンディの負傷による不可抗力とはいえ、フラン・ガルシアに代えても、アトレティコはずっとスタメンのままだったんですよ。おまけにとうとう40分にリノがギャラガーと代わった時も、44分にグリーズマンとジュリアーノが下がり、待望のセルロートとコレアが入った時も、ピッチを出る選手は完全に時間稼ぎのノロノロ歩調。まさに延長戦に入ることが目的としか思えなかったんですが、でも一体、それは何のため?
ええ、デ・パウルを疲労で続行不可となる後半ロスタイムまで引っ張ったのも謎ですしね。ここでモリーナが入り、シメオネ監督の狙い通り、試合が延長戦に入ると、イエローカードをもらっていたラングレもル・ノルマンと交代に。延長戦前半にはレイニウドも倒れ、最後はアスピリクエタが負傷回復後、初出場となったんですが、やっぱりどちらのチームも疲れていたんですかね。最初の15分こそ、セルロートのヘッドなどもあったものの、後半はどちらもほとんどチャンスがなく、刻一刻とPK戦が接近。その頃から、2016年のミラノでのCL決勝が私の頭にはチラついてくることに。
それが、PK戦でそれまで全員入れた後、4人目のファンフランがポストに弾かれ、マドリー5人目のクリスチアーノ・ロナウドに優勝を持っていかれた当時以上のショッキングな事件が起きるんですから、本当にアトレティコのツキのなさは奥が深い。そう、その日はそれぞれ第1キッカーのエムバペとセルロートが成功した後、第2キッカーのベリンガムとフリアンもボールがゴールに入ったんですけどね。何と蹴る時体勢を崩したフリアンが右足で蹴る前、軸足の左足でボールに触れていたとして、VAR(ビデオ審判)に確認を頼んだ主審により、2度蹴りによるPK成功取り消しになってしまうって、何なんでしょう。
いえまあ、それでも第3キッカーのバルベルデとコレアが決めた後、第4キッカーのルーカス・バスケスをGKオブラクが弾いてくれたため、奇しくもファンフランと同じマドリーのカンテラーノ(下部組織出身の選手)だったジョレンテがゴールバーに当ててしまわなければ、イーブンでいられたんですけどね。結局、最初は第5キッカーにエンドリックを選んだものの、「Vi la cara de Endrick y dijimos: ‘Mejor Rüdiger"/ビ・ラ・カラ・デ・エンドリック・イ・ディヒモス:メホール・リュディガー(エンドリックの顔を見たら、リュディガーの方がいいということになった)」(アンチェロッティ監督)ドイツ人CBがマドリーの勝利を決めるPKを沈め、4-2でアトレティコは負けてしまいましたっけ。
いやあ、試合後のミックスゾーンではユニ姿のまま連れ出されたオブラクも、これで自身がマドリーにPK戦で負けたのが3度目になることもあってか、「Estamos desesperados/エスタモス・デセスペラード(ボクらは絶望している)」と嘆いていたんですけどね。この日は完全にアトレティコの方が試合内容で上回っていただけに、こうなるともう、マドリー相手のCL戦での彼らは呪われている、もしくはマドリーがCLで人知を超える強運を持っているとしか思えないかと。
それとは別に、やはり世間で一番の論点になっていたのは、フリアンのPKゴールが取り消されたのは正しかったかどうか。というのも確実に彼の左足が蹴る前にボールに触れていることがわかる映像がなく、ええ、シメオネ監督も記者会見では、「Que levante la mano quien vea que tocó la pelota dos veces Julián!/ケ・レバンタ・ラ・マノ・キエン・ベア・ケ・トコ・ラ・ペロータ・ドス・ベセス・フリアン(フリアンが2度ボールを蹴ったのを見た者は手を挙げてくれ)」とかなりエキサイトしてアピールしていたんですけどね。滅多にないことのため、その件ばかりが注目されてしまうのもわかるんですが、おかげで本来なら、一番の戦犯であるはずのジョレンテがまったく責められなかったのは、当人にとってはラッキーだった?
そんな感じでCLマドリーダービーは幕を閉じたんですが、一応、この週末のマドリッドの弟分チームたちの予定も伝えておくと、こちらは揃って日曜試合で、レガネスはブタルケでベティスと、ラージョはエスタディオ・バジェカスでレアル・ソシエダと対戦。どちらも木曜にヨーロッパの大会があって、疲れているチームが相手なんですが、コンフェレンスリーグ16強対決ビトリア・ギマラエス戦2ndレグで0-4と大勝し、ヤビエロニア(ポーランド)との準々決勝に進んだベティスはリーガもマドリー戦勝利を含む3連勝中と現在、極めて好調。
金曜にアラベスがラル・パルマスと引き分けたため、同じ勝ち点で並ばれて、降格圏の18位に落ちてしまったボルハ・ヒメネス監督のチームには難しい試合になりそうですが、15位のエスパニョール以下は最下位のバジャドリーを除いて、ほぼ団子状態ですからね。勝ち点1でも稼げれば、レッドゾーンからは逃れられるはずですが、こればっかりはねえ。一方、ラージョの相手ソシエダはEL16強対決マンチェスター・ユナイテッド戦2ndレグでジャッジに恵まれず、オールド・トラフォードで4-1と負けて敗退が決定。この試合のため、サン・セバスティアンには帰らず、マドリッドに直行という慌ただしさもあるため、前節はサンティアゴ・ベルナベウで善戦したイニゴ・ペレス監督のチームが4試合ぶりの白星を掴むいい機会になるかも。
そしてヘタフェはエル・サダルで14位のオサスナと顔を合わせるんですが、何せボルダラス監督のチームは前節、頭がCLマドリーダービーでいっぱいだったアトレティコにコリセウムで初勝利を挙げて、気分を良くしていますからね。現在、降格圏とは勝ち点7差の12位と安全な位置にいますし、プレッシャーを感じずにプレーできるため、いい結果を持って帰って来ることを期待しています。
おまけにフリック監督のチームは前節のオサスナ戦当日にチームドクターの突然死があって、その試合が延期に。近しい職場の人物を亡くして、選手たちも落ち込んでいたものの、火曜のCLベンフィカ戦2ndレグでは見事に3-1で勝利して、総合スコア4-1で準々決勝進出決めると同時に、勝利を故人に捧げていますからね。単純に中日だけでも向こうが1日多いだけでなく、アトレティコは延長戦で大いに消耗。90分で力尽きたデ・パウルなど、金曜の練習にも姿を見せていなかった程で、更にPK戦で負ける原因となったフリアン・アルバレスが、「アトレティコでは信じられないような不幸が起きる」事実に気づいて、打ちのめされていたら、かなり困ったことになりそうな。
いえまあ、アトレティコより1日早く、土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)にはラ・セラミカで、今季はヨーロッパの大会がなく、体力的に有利な5位のビジャレアルに挑まないといけないお隣さんも大変なんですけどね。もっともそこは十八番の大会であるCLで勝ち抜け、Decimosexta(デシモセスタ/16回目のCL優勝のこと)を目指して、準々決勝でアーセナルと戦えるようになった精神的な高揚で、選手たちは何とかなっちゃうのかもしれませんが、ダービーではメンディが太ももを負傷し、全治3週間になるという逆境も。
何にしろ、首位のバルサと2位のマドリーは勝ち点差なし、3位のアトレティコは1差とあって、今節の結果次第で、どのチームが各国代表戦週間中、順位表の頂点にいられるのかが決まることになるんですが、リーガはその後、10試合もありますからね。すでにマドリーダービーは終わったものの、クラシコ(伝統の一戦)は5月上旬ですし、それまでは三つ巴の戦いが続きそうな気がしないでもないんですが…。
まあ、そんなことはともかく、水曜のCLマドリーダービー2ndレグがどうだったのかをお伝えしていかないと。先週の1stレグではサンティアゴ・ベルナベウで2-1と負けていたアトレティコだったんですが、チームバスがメトロポリターノに到着した時には、道路周辺が真っ赤になる程の発煙筒と共に大勢のファンがお出迎え。スタンドもお隣さんに負けじと、赤白黄のモザイクでキックオフ前の雰囲気を盛り上げた試合は、予想もしない形でスタートしたんですよ。
そう、いつもとは逆の左側を陣地にして、アトレティコボールのキックオフだったんですが、何とたった29秒で総合スコアをイーブンにするゴールが生まれたから、ビックリしたの何のって。デ・パウルが右側から入れたボールをジュリアーノはスルーしたものの、ゴール前に突っ込んで来たギャラガーが決めてくれたんですが、そういえば、彼らはコパ・デル・レイ準決勝バルサ戦1stレグでも開始1分でフリアン・アルバレスが先手を取っていましたからね。要はやる気満々でピッチに入った時には速攻ゴールを奪う力があるくせに、どうして先週の1stレグではしなかった?
ただ、そのバルサ戦では6分にもグリーズマンが決めて、さくさく2点リードしたアトレティコだったんですが、うーん、シメオネ監督もロドリゴとブライムに守備の穴を突かれ、ゴールを入れられた1stレグの反省をして、左サイドをリノとガランから、ギャラガーとレイニウドに変更。それ以上に全員で協力して、しっかり守ることを重視していたせいか、以降の攻撃はカウンター中心となり、かなりの時間、自陣にこもることにはなったんですけどね。
それでもフリアンやグリーズマンなどのシュートはあったんですが、ことごとくGKクルトワにセーブされてしまってはねえ。逆にマドリーの方はボールを持っていても、ほとんど撃ってこなかったため、1-0でハーフタイムに入った時はもしや、後半は今季自慢の途中出場選手の一発が発現。2014年のCL決勝から続く、この大会でお隣さん相手に4連敗という黒歴史を塗り替えることができるんじゃないかと、私も淡い期待を抱かなくもなかったんですが…。
後半もまたフリアンがクルトワにシュートを弾かれて始まったんですが、いやあ、それまで何もしてなくても、やっぱりエムバペは他とは違うんですね。アンチェロッティ監督に先取り交代されて、チュアメニとモドリッチがカマビンガとルーカス・バスケスに代わった後の25分、ヒメネスがマークを外されて、エリア内に入られてしまったため、必死で止めようとして相手にすがりついたラングレがペナルティを取られてしまったから、さあ大変!その瞬間、私も涙目になって、ビニシウスがPKを蹴るのを眺めていたところ、いやまさか、あんなとんでもないところにボールが飛んで行くとは、え?もしかして、アトレティコに神様が味方してくれてる?
ただねえ、もうこうなったら、さっさとセルロートとコレアを入れて、勝ち越し点を奪いに行くだろうという私の思いと裏腹に、何故かこの日はシメオネ監督の腰が重かったんですよ。その点だけは、後でかつての恩師を「Estoy harto siempre de ese victimismo, siempre llorar por cosas así/エストイ・アルト・シエンプレ・デ・エセ・ビクティミスモ、シエンプレ・ジョラール・ポル・コーサス・アシー(いつも被害者意識で、いつもそういうことで泣いているのに自分はウンザリしてる)」と批判して、注目を浴びていたクルトワの「Si vas ganando 1-0 en el primer minuto y no buscas el segundo ahí está el fallo de su Partido/シー・バス・ガナンドー・ウノ・セロ・エン・エル・プリメール・ミヌート・イ・ノー・ブスカス・エル・セグンド・アイー・エスタ・エル・ファジョ・デ・ス・パルティードー(最初の分に1-0で勝っていながら、2点目を取りに行かないところに彼の試合のミスがあった)」という言葉に同意かも。
いや、実際、それを3本のparadon(パラドン/スーパーセーブ)で邪魔をしてくれたのはクルトワなんですが、だってえ、マドリーが更に32分にはロドリゴをブライムに、38分には、こちらはメンディの負傷による不可抗力とはいえ、フラン・ガルシアに代えても、アトレティコはずっとスタメンのままだったんですよ。おまけにとうとう40分にリノがギャラガーと代わった時も、44分にグリーズマンとジュリアーノが下がり、待望のセルロートとコレアが入った時も、ピッチを出る選手は完全に時間稼ぎのノロノロ歩調。まさに延長戦に入ることが目的としか思えなかったんですが、でも一体、それは何のため?
ええ、デ・パウルを疲労で続行不可となる後半ロスタイムまで引っ張ったのも謎ですしね。ここでモリーナが入り、シメオネ監督の狙い通り、試合が延長戦に入ると、イエローカードをもらっていたラングレもル・ノルマンと交代に。延長戦前半にはレイニウドも倒れ、最後はアスピリクエタが負傷回復後、初出場となったんですが、やっぱりどちらのチームも疲れていたんですかね。最初の15分こそ、セルロートのヘッドなどもあったものの、後半はどちらもほとんどチャンスがなく、刻一刻とPK戦が接近。その頃から、2016年のミラノでのCL決勝が私の頭にはチラついてくることに。
それが、PK戦でそれまで全員入れた後、4人目のファンフランがポストに弾かれ、マドリー5人目のクリスチアーノ・ロナウドに優勝を持っていかれた当時以上のショッキングな事件が起きるんですから、本当にアトレティコのツキのなさは奥が深い。そう、その日はそれぞれ第1キッカーのエムバペとセルロートが成功した後、第2キッカーのベリンガムとフリアンもボールがゴールに入ったんですけどね。何と蹴る時体勢を崩したフリアンが右足で蹴る前、軸足の左足でボールに触れていたとして、VAR(ビデオ審判)に確認を頼んだ主審により、2度蹴りによるPK成功取り消しになってしまうって、何なんでしょう。
いえまあ、それでも第3キッカーのバルベルデとコレアが決めた後、第4キッカーのルーカス・バスケスをGKオブラクが弾いてくれたため、奇しくもファンフランと同じマドリーのカンテラーノ(下部組織出身の選手)だったジョレンテがゴールバーに当ててしまわなければ、イーブンでいられたんですけどね。結局、最初は第5キッカーにエンドリックを選んだものの、「Vi la cara de Endrick y dijimos: ‘Mejor Rüdiger"/ビ・ラ・カラ・デ・エンドリック・イ・ディヒモス:メホール・リュディガー(エンドリックの顔を見たら、リュディガーの方がいいということになった)」(アンチェロッティ監督)ドイツ人CBがマドリーの勝利を決めるPKを沈め、4-2でアトレティコは負けてしまいましたっけ。
いやあ、試合後のミックスゾーンではユニ姿のまま連れ出されたオブラクも、これで自身がマドリーにPK戦で負けたのが3度目になることもあってか、「Estamos desesperados/エスタモス・デセスペラード(ボクらは絶望している)」と嘆いていたんですけどね。この日は完全にアトレティコの方が試合内容で上回っていただけに、こうなるともう、マドリー相手のCL戦での彼らは呪われている、もしくはマドリーがCLで人知を超える強運を持っているとしか思えないかと。
それとは別に、やはり世間で一番の論点になっていたのは、フリアンのPKゴールが取り消されたのは正しかったかどうか。というのも確実に彼の左足が蹴る前にボールに触れていることがわかる映像がなく、ええ、シメオネ監督も記者会見では、「Que levante la mano quien vea que tocó la pelota dos veces Julián!/ケ・レバンタ・ラ・マノ・キエン・ベア・ケ・トコ・ラ・ペロータ・ドス・ベセス・フリアン(フリアンが2度ボールを蹴ったのを見た者は手を挙げてくれ)」とかなりエキサイトしてアピールしていたんですけどね。滅多にないことのため、その件ばかりが注目されてしまうのもわかるんですが、おかげで本来なら、一番の戦犯であるはずのジョレンテがまったく責められなかったのは、当人にとってはラッキーだった?
そんな感じでCLマドリーダービーは幕を閉じたんですが、一応、この週末のマドリッドの弟分チームたちの予定も伝えておくと、こちらは揃って日曜試合で、レガネスはブタルケでベティスと、ラージョはエスタディオ・バジェカスでレアル・ソシエダと対戦。どちらも木曜にヨーロッパの大会があって、疲れているチームが相手なんですが、コンフェレンスリーグ16強対決ビトリア・ギマラエス戦2ndレグで0-4と大勝し、ヤビエロニア(ポーランド)との準々決勝に進んだベティスはリーガもマドリー戦勝利を含む3連勝中と現在、極めて好調。
金曜にアラベスがラル・パルマスと引き分けたため、同じ勝ち点で並ばれて、降格圏の18位に落ちてしまったボルハ・ヒメネス監督のチームには難しい試合になりそうですが、15位のエスパニョール以下は最下位のバジャドリーを除いて、ほぼ団子状態ですからね。勝ち点1でも稼げれば、レッドゾーンからは逃れられるはずですが、こればっかりはねえ。一方、ラージョの相手ソシエダはEL16強対決マンチェスター・ユナイテッド戦2ndレグでジャッジに恵まれず、オールド・トラフォードで4-1と負けて敗退が決定。この試合のため、サン・セバスティアンには帰らず、マドリッドに直行という慌ただしさもあるため、前節はサンティアゴ・ベルナベウで善戦したイニゴ・ペレス監督のチームが4試合ぶりの白星を掴むいい機会になるかも。
そしてヘタフェはエル・サダルで14位のオサスナと顔を合わせるんですが、何せボルダラス監督のチームは前節、頭がCLマドリーダービーでいっぱいだったアトレティコにコリセウムで初勝利を挙げて、気分を良くしていますからね。現在、降格圏とは勝ち点7差の12位と安全な位置にいますし、プレッシャーを感じずにプレーできるため、いい結果を持って帰って来ることを期待しています。
レアル・マドリーの関連記事
UEFAチャンピオンズリーグの関連記事
|
レアル・マドリーの人気記事ランキング
1
“時を止める男”グティの”神のバックヒール”から生まれたベンゼマのゴール【インクレディブル・ゴールズ】
サッカーファンなら誰もが一度は見たことがあるであろう歴史に残るスーパーゴール。今回の企画『Incredible Goals』(信じられないゴール)では、これまでに生まれた驚愕のゴールを紹介していく。 今回は元フランス代表FWカリム・ベンゼマが元スペイン代表MFグティのアシストから決めたゴールだ。 <div id="cws_ad">◆グティが見せた“神のバックヒール”から生まれた見事なゴール!<br/><div style="margin:0 auto; max-width:100%; min-width:300px; " ><div style="position: relative; padding-bottom:56.25%; height: 0; overflow: hidden; "><iframe src="https://embed.dugout.com/v2/?p=eyJrZXkiOiJCeTl2U0JFRSIsInAiOiJ1bHRyYXNvY2NlciIsInBsIjoiIn0=" style="width: 300px; min-width: 100%; position: absolute; top:0; left: 0; height: 100%; overflow: hidden; " width="100%" frameborder="0" allowfullscreen scrolling="no"></iframe></div></div></div> 2005年にデビューしたリヨンで頭角を現し、2009年夏にレアル・マドリーへ移籍したベンゼマ。現在はチームのエースストライカーとして活躍しているが、FWクリスティアーノ・ロナウドがマドリーに在籍していた頃は、ロナウドの引き立て役になりがちな役回りを続けていた。それでも、2010年1月30日に行われた、ラ・リーガ第20節、デボルティボ・ラ・コルーニャ戦では、先輩グティの絶妙なアシストを受けてゴールを決めている。 1-0とマドリーが先制し、リードして迎えた40分、グティが後世に語り継がれるスーパープレーを見せる。 カウンターからチャンスを作ったマドリーは、敵陣左でボールを持ったMFカカが、ボックス手前でフリーになっていたグティへパス。GKと1vs1の場面となり、グティがこのままシュートすると誰もが思ったが、次の瞬間グティはバックヒールを選択。後ろからフォローに来ていたベンゼマへパス。相手DFがグティに気を取られていたこともあり、完全にノーマークになっていたベンゼマがこれを落ち着いてゴール左へ流し込んだ。 繊細なボールタッチと背中に目があるかのような視野の広さから“時を止める男”と呼ばれたグティのスーパーアシストで2-0としたマドリーは、その後1点を返されたものの、終了間際にも追加点を奪い3-1と勝利している。 2020.07.29 18:00 Wed2
重傷を負ったレアルの17歳逸材CBが復帰間近、昨夏のツアー帯同に続くCWC参加なるか
レアル・マドリーU-19のU-17スペイン代表DFジョアン・マルティネスが、復帰へと近づいている。スペイン『マルカ』が報じた。 今シーズン開幕前のアメリカツアーでは、ブレイクを果たしたスペイン人DFラウール・アセンシオらとともにファーストチームに帯同したマルティネス。カルロ・アンチェロッティ監督も高く評価した17歳センターバックだが、ツアー終了後のトレーニングで左ヒザ前十字じん帯断裂の重傷を負っていた。 2024年8月の負傷からもうすぐ7カ月が経とうというなか、すでにボールを使ったピッチでのトレーニングを再開しているとのこと。リハビリは最終段階にあり、あと1カ月ほどでチームに復帰できる段階まで来ているという。 アルバロ・アルベロア監督率いるU-19チームでのシーズン中の復帰が期待される一方、ファーストチーム に帯同してのFIFAクラブ・ワールドカップ(CWC)参加も視野に。出場することが目標ではなく、再びアンチェロッティ監督のもとでトレーニングし、その後のプレシーズンに備えたいという考えのようだ。 2025.02.26 18:58 Wed3
「最も気性の荒い2人」ガビvsヴィニシウスのバチバチなバトルに現地紙も注目「火花が散った」「クラシコの決闘」
5日、コパ・デル・レイ準決勝2ndレグでバルセロナとレアル・マドリーが対戦。アウェイのマドリーがFWカリム・ベンゼマのハットトリックなどで大量4ゴールを奪い、1stレグでのビハインドをひっくり返して2戦合計1-4で決勝に駒を進めた。 特に試合が白熱したのは28分の場面。ボールをキープするマドリーのFWヴィニシウス・ジュニオールに対し、バルセロナのMFガビがファウル覚悟で力強くタックル。当然笛が吹かれると、今度はボールを取り戻そうとしたヴィニシウスがガビに背後からぶつかるような格好となり、両者は額を合わせて一触即発となったのだ。 互いのチームメイトたちが引きはがしそれ以上発展することはなかったが、スペイン『マルカ』はこのシーンを「ガビとビニ、クラシコの決闘」とし、「この決闘は、今後のクラシコの熱さとなるだろう。2人が近づくと同時に火花が散ったのは、この試合で最も気性の荒い2人の選手だからだ」と伝えている。 2人はハーフタイムでロッカールームへと戻る際にも言い合い、その時もチームメイトが引きはがすことに。 来季のクラシコでも2人から目が離せなさそうだ。 <span class="paragraph-title">【動画】「最も気性の荒い2人」ガビvsヴィニシウスがバチバチにやりあう</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="es" dir="ltr">Suben las pulsaciones en El Clásico: amarilla para Vinicius y Gavi. <a href="https://twitter.com/hashtag/LaCopaMola?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#LaCopaMola</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/LaCasaDelF%C3%BAtbol?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#LaCasaDelFútbol</a> <a href="https://t.co/M93HoQFzk0">pic.twitter.com/M93HoQFzk0</a></p>— Fútbol en Movistar Plus+ (@MovistarFutbol) <a href="https://twitter.com/MovistarFutbol/status/1643697429777113092?ref_src=twsrc%5Etfw">April 5, 2023</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2023.04.06 20:00 Thu4
21世紀の出場試合数ランキング発表! 首位は1145試合のC・ロナウド、トップ10に日本人選手がランクイン
IFFHS(国際サッカー歴史統計連盟)が、21世紀で最もプレーした選手のランキングを発表。トップ10には日本人選手もランクインした。 様々な統計を行うIFFHS。2022年までのデータを集計し、21世紀に入ってからのプレーした試合数をもとにランキングを作成した。 対象となるのは、各国のリーグ戦やカップ戦、国際カップ戦、代表チームの試合も含まれ、全ての公式戦が対象になっている。 今回の統計では1000試合以上プレーした選手が3人に増加。首位は昨年と変わらず、サウジアラビアへ活躍の場を移したポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)となり、1145試合を記録した。 2022年に1000試合を突破したのは、ブラジル代表DFダニエウ・アウベス(UNAMプーマス)とアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(パリ・サンジェルマン)。アウベスは1033試合、メッシは1003試合となった。メッシはカタール・ワールドカップ(W杯)での試合で1000試合を超えたことになる。 そんな中、8位には日本人がランクイン。941試合に出場したMF遠藤保仁(ジュビロ磐田)だ。遠藤はガンバ大阪と磐田、そして日本代表での試合が21世紀に含まれている。なお、アジア人でも唯一となり、900試合以上を達成しているのも12名となっている。 ◆21世紀の出場試合数ランキング 合計(国内リーグ/国内カップ/国際カップ/代表) 1位:クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル) 1145試合(651/93/205/196) 2位:ダニエウ・アウベス(ブラジル) 1033試合(620/115/172/126) 3位:リオネル・メッシ(アルゼンチン) 1003試合(559/102/170/172) 4位:イケル・カシージャス(スペイン) 974試合(585/57/171/161) 5位:ジョアン・モウティーニョ(ポルトガル) 958試合(563/107/142/146) 6位:ズラタン・イブラヒモビッチ(スウェーデン) 948試合(603/72/152/121) 7位:ルカ・モドリッチ(クロアチア) 947試合(569/69/146/162) 8位:遠藤保仁(日本) 941試合(606/117/66/152) 9位:チャビ・エルナンデス(スペイン) 937試合(536/95/174/132) 10位:セルヒオ・ラモス(スペイン) 935試合(534/70/151/180) 11位:アンドレス・イニエスタ(スペイン) 933試合(552/98/152/131) 12位:ロジェリオ・セニ(ブラジル) 904試合(675/71/149/9) 2023.01.12 12:45 Thu5