Jリーグが審判の手当額を変更、「審判領域の質向上に向けた取り組み」で…今季は7カ国から海外審判員も招へい予定

2025.01.28 17:18 Tue
©超ワールドサッカー
Jリーグは28日、2025年度の第1回理事会を開催。記者会見を行った。

2025シーズンの開幕もおよそ2週間後に控えた中、審判領域の質向上に向けての取り組みを発表した。

Jリーグの価値向上のため、Jリーグは2023年から日本サッカー協会(JFA)と審判領域の質向上の検討を開始。2024年は審判員を取り巻く環境改善および審判員のなり手拡大を中心に検討テーマを設計し、2025年から具体的な取り組み案をJFAと協議の上で決定した。
2025シーズンの主な取り組みの1つは、プロフェッショナルレフェリー(PR)の拡大。2024シーズンは19名だったが、5名増員し、2025シーズンは24名に決定した。

また、Jリーグ担当審判員の手当も見直し、2024シーズンから大幅に変更。PRとJ1担当審判の手当を統一した他、J2、J3担当審判員の手当を増額した。
2024シーズンは主審に関してはPRが13万円、J1が12万円、J2が6万円、J3が3万円だったのに対し、2025シーズンはPRを廃止し、J1が15万円、J2が7万円、J3が5万円に。副審もJ1が6万円から8万円、J2が3万円から4万円、J3が1万5000円から3万円と変更となった。

また、海外審判員の招へいも2024年から増やすことを予定しており、2024シーズンはイングランド、ドイツ、ポーランド、アメリカ、メキシコ、カタールの6カ国から招へいしたが、2025シーズンはベルギー、イングランド、ドイツ、ポーランド、エルサルバドル、カタール、サウジアラビアの7カ国となる予定だ。

さらに、選手OBの審判育成のプログラムも実施することに。2024シーズンのJリーグ最優秀審判賞を受賞した御厨貴文さんは、ヴァンフォーレ甲府、ザスパ草津(現ザスパ群馬)、カターレ富山でプレーし、2015年に引退してからプロフェッショナルレフェリーを目指して活動していた。

これまで、4級審判取得からJ1を担当するまでは従来約10年間要するところを、審判早期養成プログラムを設置し、選手OBに向けて最短約5年に短縮する飛び級制度を開始することとなった。

この背景には、選手のABC契約を撤廃したことも影響しており、プロ選手の最低年俸がなくなったことにより、引退後の審判という道もひらけたいとの狙いがあるとのこと。素質のある選手が引退を決断し、審判としての成長を後押しする目的があり、「1週間の半分ぐらいを講座などに当てていき、集中して短期間でトップのレフェリーを目指す環境を作りたい」とフットボール本部の樋口順也氏が狙いを語った。

◆審判手当


【2024年→2025年】
◆J1担当
主審:12万円→15万円
副審:6万円→8万円
第4審:2万円→3万円
VAR:6万円→6万円
AVAR:3万円→3万円

◆J2担当
主審:6万円→7万円
副審:3万円→4万円
第4審:1万3000円→1万7000円

◆J3担当
主審:3万円→5万円
副審:1万5000円→3万円
第4審:1万円→1万5000円

御厨貴文の関連記事

23日、日本サッカー協会(JFA)は2025年の第3回レフェリーブリーフィングを開催した。 Jリーグの新シーズンが開幕してから2度目のレフェリーブリーフィング。今シーズンからはファウルの基準の引き上げと、アクチュアルプレーイングタイムを伸ばすというJリーグの指針がある中で、開幕から2カ月程度が経ち、様々な事象が起 2025.04.23 14:20 Wed
さぁみんな!いよいよ開幕ってことで今日は連載開始以来紹介したことがなかった数字の特集だよ!!J1・J2・J3、これまで担当した試合が多い主審は誰だ!ということで、過去のリーグで担当した試合が多い主審を20人ずつ紹介しちゃう! 【J1】 飯田淳平(神奈川)278試合 木村博之(千葉)249試合 山本雄大(京都 2025.02.14 14:30 Fri
Jリーグの試合でピッチに入場する際、台の上に置いてあるサッカーボール。しかし、この日は地球が置いてあった。 その試合は、13日に行われた明治安田J1リーグ第8節のセレッソ大阪vs川崎フロンターレ。いつものように審判団を先頭に、選手たちが入場する。 この日の主審は元Jリーガーの御厨貴文さん。すると、ボールがあ 2024.04.14 21:10 Sun
J1開幕戦のセーブシーンが波紋を呼んでいる。 18日、エディオンスタジアムで開催された明治安田生命J1リーグ開幕節のサンフレッチェ広島vs北海道コンサドーレ札幌。試合は終始広島が主導権を握りながらも、札幌GK菅野孝憲の前に最後までゴールを割れず、ゴールレスドローに終わった。 渦中のシーンは74分だ。広島が左 2023.02.19 15:45 Sun

J1の関連記事

【明治安田J1リーグ】京都サンガF.C 5ー0 ファジアーノ岡山(8月30日/サンガスタジアム by KYOCERA) #モーメントブースター でシェアして盛り上がれ!​ゴール (14:24)エリアス ラファエル​​京都サンガF.C. vs ファジアーノ岡山 ​​DAZNでライブ配信中​#DAZN #FanZon 2025.09.02 19:00 Tue
【明治安田J1リーグ】柏レイソル 2ー1 アビスパ福岡(8月31日/三協フロンテア柏スタジアム) コーナーからでもレイソルらしく繋いで崩して追いついた前半終了間際に久保藤次郎の同点ゴール明治安田J1リーグ第28節 柏×福岡 #DAZN LIVE配信中 #Jみようぜ#Jリーグ #だったらDAZN— DA 2025.09.02 12:00 Tue
サンフレッチェ広島のFW中村草太が、鋭い抜け出しからゴール。カウンターを仕上げた圧巻の推進力に、人気解説者も称賛している。 J1リーグ第27節でサンフレッチェ広島は東京ヴェルディと対戦。1ー0で迎えた62分のことだ。 中村はセンターサークル付近でインターセプトすると、それをFWジャーメイン良へのパスにして、 2025.08.26 18:00 Tue
ファジアーノ岡山のMF佐藤龍之介が、正確な左足シュートでゴール。冷静すぎる18歳のフィニッシュワークに、ファンが大興奮している。 J1リーグ第27節でファジアーノ岡山が湘南ベルマーレと対戦。0ー0で迎えた65分のことだ。 右サイドのスローインから抜け出したFWルカオがゴール前にクロス。これがペナルティーエリ 2025.08.26 12:00 Tue
不測の事態を救ったのは、指揮官の愛弟子だった。 ファジアーノ岡山は、J1リーグ第26節で柏レイソルと対戦した。アウェイでの前回対戦は力の差を感じる0ー2での敗戦だったが、ホームで迎えた今節は開始早々からハイプレスと縦に早い攻撃というスタイルを貫徹。首位奪還に燃える相手の勢いを飲み込み、2ー1で勝利し、5月18日の 2025.08.19 12:00 Tue

御厨貴文の人気記事ランキング

1

オフサイドの判定に関わる「インパクト」の奥深さ、川崎Fvs横浜FMでのジャッジにJFAが見解「PKが与えられるべきだった」

23日、日本サッカー協会(JFA)は2025年の第3回レフェリーブリーフィングを開催した。 Jリーグの新シーズンが開幕してから2度目のレフェリーブリーフィング。今シーズンからはファウルの基準の引き上げと、アクチュアルプレーイングタイムを伸ばすというJリーグの指針がある中で、開幕から2カ月程度が経ち、様々な事象が起こっている。 今回のブリーフィングでも、実際のJリーグの試合の判定をもとにJFA審判マネジャー Jリーグ担当統括の佐藤隆治氏が見解と解説を行った。 その中で取り上げられた1つの事象が、大きな議論を呼ぶこととなった。その事象は、4月9日に行われた明治安田J1リーグ第5節の川崎フロンターレvs横浜F・マリノスでのプレー。前半終了間際の45分のプレーだ。 川崎Fの攻撃のシーン。川崎Fがボールを回していると、右サイドでボールを持ったファンウェルメスケルケン際が中央に出すと、河原創がダイレクトで前線へパスを送る。 このシーンではパスを受けようとした小林悠の前で横浜FMの諏訪間幸成がカット。こぼれ球が永戸勝也の元に転がるが、永戸がクリアしないでいると、大関友翔がこのボールを奪いドリブルスタート。ボックス右からハーフスペースに走り込んだ伊藤達哉にパスを出したところ、ジャン・クルードが後方からタックル。ボールは流れた。 主審の御厨貴文さんはノーファウルの判定。しかし、VARからのチェックが入り、オン・フィールド・レビュー(OFR)を行うと、ジャン・クルードのファウルとなりPKの判定に。ただ、その前の段階で河原からのパスが出た際に小林がオフサイドポジションにいたことで、オフサイドとなり、PKではなくオフサイドの判定となった。 佐藤氏はこの場面について「2つの観点がある」とコメント。まず、伊藤に対するジャン・クルードの対応については「レフェリーからは体の前後関係(伊藤が前でジャン・クルードが後ろ)はあるがノーファウルと判断した。上半身の接触はあるがノーファウルコンタクトと取っていた」とジャッジについて説明。ただ、このシーンでは上半身ではなく、右足の接触が主審からは見えていなかったとし、VAR介入後のOFRという流れになったという。 このジャッジはPKで間違ってはいなかったが、もう1つの観点がオフサイド。河原のパスに対して小林がオフサイドポジションにいたため、現場ではオフサイドの判定を下したが、佐藤氏は「オフサイドにする要件は揃っているが、小林選手はボールにも相手にも触れていない」とし、オフサイドを取るべきではないと見解を示し、ジャン・クルードのファウルで川崎FにPKが与えられるべきだったと結論づけた。 映像を見ても、小林は完全なオフサイドポジションにいる状況。横浜FMの選手たちも手を上げてオフサイドをアピールし、永戸がこぼれ球をクリアしなかったのも、オフサイドだと考えたからだと想像できる。 しかし、佐藤氏の見解はオフサイドではないとのこと。この理由は「インパクト」というものが大きく関わってくるという。 「オフサイド」とは、オフサイドポジションにいる選手がプレーに関与した時点で反則となり、その関与が「インパクト」に値するかどうかが重要になる。このシーンの場合、小林は明らかにオフサイドポジションにいるが、対応した諏訪間への接触もなければ、ボールも手前でカットされているため触れていない。河原からのパスが小林に通れば、オフサイドポジションで関与したために「オフサイド」になるが、今回の場合は相手選手にもボールにも触れていない状況だ。 そこで疑問に生じるのが諏訪間の対応だ。何もしなければ「オフサイド」だが、パスを出された時点で諏訪間は小林がオフサイドポジションかどうかを把握していない。そのため、ギリギリで気がつき足を出し、その足にボールが当たったという状況となっている。DFとしては相手にパスが通らないように足を出したものの、「インパクト」には選手への心理的な影響は含まれないとのこと。小林がそこにいたから諏訪間は足を出したが、小林は来るパスを待っていたものの、ボールに向かってプレーをしていないこともあり、「インパクト」は与えていないという考えだという。 OFRで主審もしっかりと映像を確認した上で、今回は「オフサイド」と判定したように、非常に難しいジャッジではあったが、JFAの審判委員会の見解は異なるものに。映像だけで見ればオフサイドと感じる人が大多数だと思われるが、観る側も、改めてジャッジの判断基準をしっかりと理解する必要がありそうな事象だった。 2025.04.23 14:20 Wed

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly