次はホームでプレーできる…/原ゆみこのマドリッド

2024.09.28 22:30 Sat
©Real Madrid
「また週末はダブルダービーなのね」そんな風に私が呟いていたのは金曜日、今週開催のミッドウィークリーガではレアル・マドリー以外、アウェイ戦だったため、かなり楽をした後、土日は再び、スタジアム観戦が続くことに気がついた時のことでした。いやあ、しょっちゅうダービーがやって来るのはむしろ喜ぶべきことで、まさに今季からマドリッドの1部チームが5つになったおかげなんですけどね。ただ先週末のようにダービー梯子観戦をした挙句、ヘタフェvsレガネスもラージョvsアトレティコも1-1のドロー。勝ったのは唯一、ダービー漏れしたマドリーだけだったなんて顛末になってもつまらないんですが、果たして今回は…。
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まあ、そんなことはおいおい、話していくことにして、とりあえず、火水木に渡って開催されたリーガ7節のマドリッド勢の様子を伝えていくことにすると。口火を切ったのは火曜にアラベスをサンティアゴ・ベルナベウに迎えたマドリーで、うーん、開始1分でベルベルデのロングパスを受けたビニシウスが敵エリア内左奥まで切り込んで、ボールを折り返し。打撲でお休みとなったカルバハルの代わりに先発していたルーカス・バスケスが先制点を決めた時には、今季これまでマジョルカ戦での1本しか、前半のゴールがなかったマドリーもとうとう心を改め、早起きをすることにしたのかと思ったもんでしたけどね。更に3連戦の中日で主力を温存してきたアラベスがおとなしかったせいもあって、22分のビニシウスとエムバペの連携ゴールこそ、オフサイドで認められなかったものの、40分には後者がエリア内で敵を数人かわす個人技を披露。今度はスコアに挙がるゴールを決めることに。おまけに後半3分にもロドリゴが角度のないところからGKシベラを破り、とうとう3点差になったとなれば、マドリーの大勝を確信しないファンなど、いなかった?
そこでアンチェロッティ監督も余裕を見せて、後半24分にはバルベルデ、ロドリゴをモドリッチ、エンドリックに交代。18才のブラジル人FWにこれまでより長い時間を与えることにしたんですが、彼って、本当にピッチに入るとすぐ、何かをやってくれるんですよね。この日も4分後にはシュートをゴールバーに当てて、観客に溜息をつかせていたんですが、35分には「Está un poco cargado, me ha pedido el cambio./エスタ・ウンポコ・カルダードー、メ・ア・ペディードー・エル・カンビオ(筋肉がちょっと張っていて、交代を頼んできた)」(アンチェロッティ監督)エムバペとミリトンがベンチへ。ギュレルと楽勝モードにヒマしていたスタンドが出場をコールしていた、今季これがマドリー出戻りデビューとなるバジェホがピッチに入った辺りから、何だか、様子がおかしくなることに。

ええ、その前から、アブデのシュートがポストを直撃するなど、主力が投入されるにつれ、徐々に存在感を示すようになっていたルイス・ガルシア監督のチームだったんですけどね。ホント、38分、敵エリア内のボールのないところで、エンドリックがモウリーニョの股間を蹴るという意味不明な暴挙に出た際、主審もVAR(ビデオ審判)もイエローカードに留めてくれたのは助かったかと。というのも40分にはベルナビデスがエリア前からシュートを決めて、1点を返したアラベスは、その1分後にもプロテソーニのアシストを受けたキケ・ガルシアが2点目をゲット。あっという間に1点差に詰め寄っていたから。
それでも何とか、最後は3-2で逃げ切ったマドリーでしたが、当然ながら、試合後のルイス・ガルシア監督は、「Lo de Endrick es roja, tendríamos que haber jugado los últimos 10 minutos con uno más/ロ・デ・エンドリック・エス・ロハ、テンドリアモス・ケ・アベール・フガードー・ロス・ウルティモス・ミヌートス・コン・ウノ・マス(エンドリックのしたことはレッドカード。ウチは最後の10分、1人多い状態でプレーすべきだった)」と文句を言っていたんですけどね。実際、マドリーは45分にフラン・ガルシアと代わったビニシウスがサイドラインに着いたのと同時に、副審がロスタイム6分と出た電光ボードを掲示。それに悪態をつきまくりながら、当人がその日、2枚目のイエローカードをもらって、退場にならなかったというツキも。

そう、何でそれが気になるかというと、マドリーと次に対戦するのはアトレティコですからね。仮に2人共退場していれば、出場停止になって、メトロポリターノで姿を見なくて済んだんですが、翌水曜、実はエムバペが本当に左の太ももを負傷していて、全治3週間というショックなニュースを受け取ったアンチェロッティ監督には僥倖だったかと。他にもマドリーには8月のUEFAスーパーカップ前日練習でヒザを痛めたカマビンガの復帰が近づいているという朗報もあって、いえまあ、ベンチ入りするかどうかは土曜まで保留らしいですけどね。ちなみにセバージョス、ブライム、アラバは未だにリハビリ中です。

そして翌水曜は弟分の2試合が続けてあったんですが、それが全然、景気がいい話ができなくてねえ。先にジローナとのアウェイ戦をプレーしたラージョはオサスナに勝ち、兄貴分のアトレティコと引分けたエスタディオ・バジェカスでの強さをモンテリビでは発揮できず。かといって、昨季3位で、今季は初のCL出場を満喫しているジローナも調子はイマイチだったため、シュートがたった2本だけ、しかも枠内なしのラージョでもスコアレスドローで何とか、勝ち点1を持ち帰れることに。

え、そんなに点が取れない試合だったにも関わらず、イニゴ・ペレス監督がハメス・ロドリゲスを出場させなかったのは解せないって?その通りで、実際、ハメスを見に足を運んだコロンビア人ファンから、かなり文句が出ていたんですが、まあ、前半にはチャバリアがケガして、現在、エスピーノも長期離脱中のため、本職左SBが1人もいなくなってしまったという事情もありましたからね。監督も守備の穴をどう塞ぐかで手一杯だったようですが、ホームに戻る土曜の弟分ダービー、レガネス戦では使ってもらえるのでは?

ちなみに相手のレガネスは先週中に7節のアスレティック戦を済ませていたため、マドリッド勢で唯一、今週のミッドウィークリーガがなかったチームなんですが、ダービーとはいえ、ラージョに対してはお隣さんのヘタフェ程、ライバル心はなさそうですからね。一応、弟分勢のうちでは一番上の9位につける先輩をリスペクトして、あまり荒れた試合にならないことを祈っています。

そして水曜午後9時から、ヘタフェがモンジュイックでバルサに挑んだんですが、いやあ、このところ当たりに当たっているフリック監督のチームを彼らは前半18分、クンデのクロスをGKダビド・ソリアがクリアミスし、レバンドフスキにゴール前から決められた1点だけに留めたんですけどね。やっぱり問題は相変わらず、彼らの望める最善は0-0で、ええ、この日はトルコ人FWのベルトゥがベンチスタートとなったため、再びボランチのウチェがCFに。実際、ホントに惜しかったチャンスは後半ロスタイム。この日は30分程のプレー時間をもらったボルハ・マジョラルがファン・イグレシアスからキラーパスをもらったものの、やっぱり負傷のリハビリによるブランクが長かったのが災いしたか、シュートできなくてねえ。

せっかくバルサのGKが前節ビジャレアル戦で膝蓋靭帯を断裂し、今季絶望になったため、控えのイニャキ・ペナが出ていながら、点が取れなかったのは残念ですが、まあこの土曜にはまた、コリセウムに戻れますからね。バルセロナで急に体調不良となり、ホテルでTV観戦していたボルダラス監督もようやくベンチ入り禁止処分が終わり、午後2時からのアラベス戦では現場で指揮が取れるため、何とか白星を掴んでもらいたいものですが…マドリー戦終盤の追い上げを見たばかりとあって、私もあまり楽観視はしていません。

え、それで木曜にバライドスに乗り込んだアトレティコはラージョ戦の教訓から、学んでいたのかって?いやいや、そんなことまったくあるはずもなく、懲りずに前半はピッチをたらたら歩いていたシメオネ監督のチームだったんですけどね。それどころか、レイニウドなどボルハ・イグレシアスとのガチンコバトルに明け暮れているし、ハーフタイム間近にはGKオブラクがイアゴ・アスパスのシュートをparadon(パラドン/スーパーセーブ)してくれなかったら、この日もリードされて前半を終わっていたかと。

そんな状態は後半になっても続き、いえ、9分には「Porque el equipo necesitaba poner a Julián arriba/ポルケ・エル・エキポ・ネセシタバ・ポネール・ア・フリアン・アリバ(チームにはフリアンを前線に入れる必要があった)」(シメオネ監督)という理由から、ボランチのコケがフリアン・アルバレスと交代。一時は、この日は左のカリレーロに抜擢されたシメオネ監督の三男、ジュリアーノを含め、セロート、グリーズマンと、FW4人体制になっていたアトレティコだったんですけどね。それでも全然、選手たちのプレー速度は変わらず、だってえ、全力疾走するのはセルタにボールを奪われて、カウンターをかけられた時だけなんですよ。

おかげでシュートがないばかりか、敵エリアにもようよう到達できない彼らに、バル(スペインの喫茶店兼バー)観戦していた私も昨季の苦い思い出がフラッシュバック。「サッカーやる気がないなら、皆、引退したらいいのに」とか、「ダービーのこと考えて本末転倒の体力温存しているのだろうか」とか、とにかくネガティブな考えばかりに支配されていったんですが…何と45分、奇跡が起きたんですよ。

いえ、サン・マメスでのアスレティック戦で後半ロスタイムに奇跡の決勝ゴールを挙げたコレアも39分にはモリーナに代わって入っていたんですけどね。この日の英雄はフリアン・アルバレスで、グリーズマンがエリア前右から、狙いすまして挙げたクロスをゴール前左で押し込んでくれたから、ビックリしたの何のって。そのまま、アトレティコは0-1で勝利し、何とか首位バルサやお隣さんとの勝ち点差を広げることなしに済んだのは有難かったものの、いやあ。

だってえ、シメオネ監督は「Necesitamos mejorar en las sociedades ofensivas/ネセイタモス・メホラル・エン・ラス・ソシエダーデス・オフェンシーバス(ウチは攻撃の連携を改善しないといけない)」とは言っていましたが、引分けたラージョ戦の後同様、どうしてチームがとりわけ前半、ピッチで歩いていたのかを説明することはなかったんですよ。要は指揮官も未だに理解できない、連綿と続くアトレティコの呪いみたいのがあるのか、それとも彼にもアウェイで選手たちに走らせることはできないのか、原因はわかりませんが、もしや、今季も私が近所のバルでフラストレーションマックスになるのからは逃れられないってこと?

ただ、救いは日曜午後9時(日本時間翌午前4時)からのマドリー本家ダービーはメトロポリターノ開催だということで、ええ、アウェイ弱者の彼らもホームサポーターの前では内弁慶ぶりを思う存分発揮できますから。曲りなりにも昨季、リーガのシーズン前半戦とコパ・デル・レイ準々決勝で、他の試合は全て無敗のマドリーに土をつけているのはアトレティコだけですし、たとえ、相手は中4日と2日も多く、準備期間が長いとはいえ、ここは意地を見せてもらいたいところですが…今のところ、2位の相手との勝ち点差は2だけとあって、勝てば順位逆転できるのも励みになるでしょうか。

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