チェルシーの動きが発端、UEFAが選手との長期契約による費用の分散を制限…最長5年の分割まで
2023.06.29 19:42 Thu
欧州サッカー連盟(UEFA)は、7月1日より選手の契約に関する規定を変更することを決定した。
今回の規定の変更は、トッド・ベーリー氏がオーナーに就任してからのチェルシーの動きに起因している。
チェルシーは今シーズンの2度の移籍市場で6億ポンド(約1100億円)以上を費やし大型補強を敢行した。
選手を大量に補強すること自体、ファイナンシャル・フェア・プレー(FFP)に抵触しなければ問題ないが、チェルシーは選手と長期契約を結ぶことで費用を分散。例えば、冬の移籍の目玉となったウクライナ代表FWミハイロ・ムドリクやアルゼンチン代表MFエンソ・フェルナンデスは8年契約という異例の長期契約。これは選手との契約を長くすること以上に、獲得にかかった費用を分散させる意図がある。
実際には8000万ポンド(約146億円)を超える契約だったが、今年の会計ではたったの730万ポンド(約13億3000万円)となっていた。
新たな規定では、選手の契約に関しては各協会の規定に合わせて長期に結ぶことは可能に。しかし、移籍金に関しては5年で償却しなければいけないこととなり、今回チェルシーが取った手法は不可能となる。なお、7月1日以前の契約であれば、この新規定は適用されない。
UEFAは今回の規定変更について「全てのクラブの平等な扱いを確保し、財政的持続可能性を向上させる」ためだとし、会計目的でのスワップ取引の悪用を制限することも期待されているとした。
「UEFA執行委員会は、2023年7月1日に施行させるUEFAクラブライセンスおよび財務持続可能性規則に対するいくつかの重要な修正を承認した」
「新しい規則は、選手登録の償却および選手交換取引(いわゆる「スワップ」)の場合に従うべき、会計処理を定義している」
「全てのクラブの平等な扱いを確保し、財政的持続可能性を向上させるため、選手登録の償却は5年に制限される。契約延長の場合、償却は延長された契約期間にわたって分割できるが、最大5年までとなる」
「このような変更は、クラブの運営方法を制限するものではない(つまり、各国の統括団体によって5年を超える期間の選手契約を締結することを許可されているクラブは、引き続き契約を締結することができる)。すでに行われた移籍に遡って適用されることはない」
「選手の取引に関しては、移籍オペレーションがスワップとして認定されるべきかどうかを評価するのはクラブの責任であり、その場合は国際会計基準に沿って会計処理しなければならないと規定されている」
「このアプローチは、スポーツ目的ではなく、人為的に移籍利益を膨らませることのみを目的として、移籍オペレーションが行われることを阻止することを目的としている」
「現在、クラブの監査役は、説明されている会計要件が正しく適用されていることを確認し、そうでない場合は矛盾を報告することが義務付けられている」
契約年数に関しては、そのクラブが属する協会などの規定に従って長期に結ぶことは可能。ただ、会計上は最長5年に制限されるため、ムドリクなどの形は今夏の移籍から取ることができないこととなる。
今回の規定の変更は、トッド・ベーリー氏がオーナーに就任してからのチェルシーの動きに起因している。
チェルシーは今シーズンの2度の移籍市場で6億ポンド(約1100億円)以上を費やし大型補強を敢行した。
実際には8000万ポンド(約146億円)を超える契約だったが、今年の会計ではたったの730万ポンド(約13億3000万円)となっていた。
UEFAに加え、他クラブもこのやり口を問題視。UEFAはこの手法を取れないように動き、新シーズンに向けて新たな規定を策定した。
新たな規定では、選手の契約に関しては各協会の規定に合わせて長期に結ぶことは可能に。しかし、移籍金に関しては5年で償却しなければいけないこととなり、今回チェルシーが取った手法は不可能となる。なお、7月1日以前の契約であれば、この新規定は適用されない。
UEFAは今回の規定変更について「全てのクラブの平等な扱いを確保し、財政的持続可能性を向上させる」ためだとし、会計目的でのスワップ取引の悪用を制限することも期待されているとした。
「UEFA執行委員会は、2023年7月1日に施行させるUEFAクラブライセンスおよび財務持続可能性規則に対するいくつかの重要な修正を承認した」
「新しい規則は、選手登録の償却および選手交換取引(いわゆる「スワップ」)の場合に従うべき、会計処理を定義している」
「全てのクラブの平等な扱いを確保し、財政的持続可能性を向上させるため、選手登録の償却は5年に制限される。契約延長の場合、償却は延長された契約期間にわたって分割できるが、最大5年までとなる」
「このような変更は、クラブの運営方法を制限するものではない(つまり、各国の統括団体によって5年を超える期間の選手契約を締結することを許可されているクラブは、引き続き契約を締結することができる)。すでに行われた移籍に遡って適用されることはない」
「選手の取引に関しては、移籍オペレーションがスワップとして認定されるべきかどうかを評価するのはクラブの責任であり、その場合は国際会計基準に沿って会計処理しなければならないと規定されている」
「このアプローチは、スポーツ目的ではなく、人為的に移籍利益を膨らませることのみを目的として、移籍オペレーションが行われることを阻止することを目的としている」
「現在、クラブの監査役は、説明されている会計要件が正しく適用されていることを確認し、そうでない場合は矛盾を報告することが義務付けられている」
契約年数に関しては、そのクラブが属する協会などの規定に従って長期に結ぶことは可能。ただ、会計上は最長5年に制限されるため、ムドリクなどの形は今夏の移籍から取ることができないこととなる。
ミハイロ・ムドリクの関連記事
記事をさがす
|
|
ミハイロ・ムドリクの人気記事ランキング
1
今後はもう出てこない!?チェルシーと“超”長期契約を結ぶ選手たち
2023年12月、プレミアリーグは移籍金の最大分割期間を5年に定めた。 欧州サッカー連盟(UEFA)が2023年夏に移籍金の最大分割期間を5年に定め直していたなか、その制限がないプレミアリーグでは以前から5年を上回る契約が多発。1年あたりで計上すべき移籍金の支出額は契約年数で割ったものになるため、1年あたりの支出が減り、ファインシャルフェアプレー(FFP)の抜け道として利用されている部分があった。 そこで、プレミアリーグも移籍金の最大分割期間を5年に決定。過去に契約を結んだ選手については適応外となるものの、今後は6年以上の長期契約を結んだとしても、最長でも5年までしか減価償却できないようになった。 そのため、今後6年以上の長期契約を結ぶメリットはクラブからすると大きく減っており、今までのように多発することはなくなると思われている。 今回は、近年5年を超える契約を何度も結んできたチェルシーと“超”長期契約を結んだ選手たちを紹介していく。 また、今回登場する選手以外にも多くの若手選手と長期契約を結ぶチェルシー。新たに獲得した選手だけでなく、イングランド代表DFリース・ジェームズなど契約延長の場合でも長期契約を結んでいた。 <span class="paragraph-subtitle">◆MFモイセス・カイセド</span> 契約年数:8年(1年間の延長オプション付き) カイセドは2023年夏、ブライトン&ホーヴ・アルビオンから、総額1億1500万ポンド(約207億3000万円)と言われる移籍金でチェルシーへと移籍した。 事前にリバプールがブライトンとクラブ間合意をしていた中、カイセド本人がチェルシー行きを希望したことで、一転チェルシーに加入していた。 2023年11月に22歳を迎えたばかりのカイセド。契約が切れる2031年でもまだ29歳というのは恐ろしい。 <span class="paragraph-title">◆MFエンソ・フェルナンデス</span> <span data-other-div="page2"></span> 契約年数:8年半 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/20231229_enzo2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 2022年のカタール・ワールドカップを制覇したアルゼンチン代表で活躍を見せると、2023年2月にチェルシーへと加入した。 移籍金1億2100万ユーロ(約189億4000万円)は、当時の英国史上最高額。契約期間は2031年6月30日までとなる8年半契約だった。 エンソ・フェルナンデスも、カイセド同様にまだ22歳。契約が切れる2031年でもまだ29歳だ。 <span class="paragraph-title">◆FWミハイロ・ムドリク</span> <span data-other-div="page3"></span> 契約年数:8年半 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/20231229_mudryk.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 2023年1月に、シャフタール・ドネツクからチェルシーへと加入したムドリク。元々はアーセナルが本命と思われていた中、チェルシーが横槍を入れる形で、総額1億ユーロ(約156億5000万円)の移籍金で半ば強奪。エンソ・フェルナンデス同様に8年半契約を結んだ。 そのムドリクもまだ22歳(1月5日に23歳の誕生日)。カイセド、エンソ・フェルナンデス同様に2031年夏に契約が切れるが、その時は30歳になっている。 <span class="paragraph-title">◆FWニコラス・ジャクソン</span> <span data-other-div="page4"></span> 契約年数:8年 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/20231229_jackson.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 2023年夏にビジャレアルからチェルシーへと移籍したジャクソンも、同じようにチェルシーと8年契約を結んでいる。 また、年齢も22歳とエンソ・フェルナンデスらと同い年だ。そのため、契約が切れる2031年でもまだ29歳と、30歳にもなっていない。 プレシーズンで活躍しながら、開幕後は輝けず一時は批判も浴びていたなか、トッテナム戦でのハットトリックもあり、ここまで7ゴールを決めているジャクソン。これから長くチェルシーのエースストライカーとしてクラブの最前線を担うことになるのだろうか。 <span class="paragraph-title">◆MFコール・パーマー</span> <span data-other-div="page5"></span> 契約年数:7年(1年間の延長オプション付き) <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/20231229_palmer.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> マンチェスター・シティの下部組織育ちで、徐々に出場時間も伸ばしていた中で、2023年夏にチェルシーへの完全移籍が決まったパーマー。契約期間は2030年6月までの7年間で、1年間の延長オプションが付帯しているという。移籍金額は総額4250万ポンド(約76億6000万円)と伝えられていた。 年齢もまだ21歳と若く、契約が切れる2030年でもまだ28歳と、選手として脂が乗る年齢だ。 ここまでは、チェルシーで公式戦21試合に出場し8ゴール5アシストと活躍中。イングランド代表からも招集を受けるようになっており、ここからチームの顔になっていくのだろうか。 2024.01.03 12:00 Wed2
