【2022-23ブンデスリーガ総括】 超WS選出の最優秀選手はムシアラ
2023.06.13 18:00 Tue
昨今のブンデスリーガでは珍しく最終節までもつれた優勝争い。終盤、ドルトムントとの抜きつ抜かれつの激戦を制したのは11連覇を成し遂げた王者バイエルンとなった。11季ぶりの王座奪還を目前としたドルトムントだったが、最後に懸念の勝負弱さを露呈。トゥヘル体制に電撃移行したバイエルンが決してうまく行っていたわけではなかっただけに千載一遇の好機をみすみす逃してしまった格好だ。
年間30ゴールを約束してくれた主砲FWレヴァンドフスキの抜けた穴はやはり大きかった。一時はFWチュポ=モティングが穴を埋める活躍を見せたものの、シーズンを通して決定力不足が響き、勝ちきれない試合が多かった。後半戦のドルトムントの驚異の追い上げの影響もあって慌てたバイエルン首脳陣は3月下旬の代表ウィーク明け直前という不可解な時期にナーゲルスマン前監督を電撃解任。トゥヘル監督を招へいしたが、チーム状態は上がりきらず薄氷での11連覇達成となった。ただ、優勝決定直後にクラブはカーンCEOとサリハミジッチSDの解任を発表。結果だけで判断しない厳しさを内外に示した。◆怒涛の追い上げも最終節に…~ドルトムント~
ワールドカップ明け、怒涛の9連勝で一気にバイエルンに迫ったドルトムントは、最終節を勝利すれば11季ぶり優勝という悲願まであと一歩とした。しかし、何も懸かっていないマインツ相手にホームでまさかのドロー。アウェイでは勝負弱さを見せていたが、最後に優勝の懸かった大一番で詰めの甘さを露呈してしまった。若手を中心に来季以降も楽しみなチームではあるものの、チームを牽引していたMFベリンガムのレアル・マドリー移籍が合意。現在の戦力を今後どれだけ維持できるかわからない中、痛恨の優勝逸となってしまった。
◆ローゼ監督就任でV字回復~ライプツィヒ~
昨季途中就任でチームをV字回復させたテデスコ体制で新シーズンを迎えたライプツィヒ。しかし5試合を終えた段階で1勝と振るわず解任を決断し、昨季ドルトムントを率いていたローゼ監督を迎えた。この決断が奏功し、チームは昨季同様にV字回復。MFエンクンク、MFショボスライらが躍動してローゼ監督就任後は安定した戦いを続け、3位でシーズンを終えた。
◆鎌田がキャリアハイの9G~10人の日本人ブンデスリーガー~
10人がプレーした今季の日本人ブンデスリーガー。とりわけ目立った活躍を見せたのがフランクフルトのMF鎌田だ。後半戦は2ゴールと失速したものの、キャリアハイとなる9ゴールをマーク。ボランチへのコンバートがあったにも関わらず、ゴールへの関与が増し、充実のシーズンを送った。来季は名門ミランへの加入が報じられる。
残留プレーオフには回ったものの、昨季に続き、チームの主軸を担ったシュツットガルトのMF遠藤とDF伊藤もシーズンを通して安定した活躍を見せた。とりわけ主将2シーズン目の遠藤はデュエルの強さを維持しつつ5ゴール5アシストを記録し、攻守に存在感を見せていた。
堂安同様、W杯でインパクトを残したFW浅野はシーズンを通してレギュラーをキープ。ゴール数は3と満足行く結果ではなかったが、チャンスメーク、献身的な守備でボーフムの残留に貢献したことに疑いの余地はない。
39歳となったフランクフルトのレジェンドDF長谷部は流石にフィジカル面に優れるFWとマッチアップした際には厳しさを見せたものの、それでも経験を武器に老獪な守備と丁寧なビルドアップでまだまだリベロとしてプレーできることを示した。
そしてシャルケの1部昇格に貢献したボルシアMGのDF板倉はケガの期間を除いてセンターバックのレギュラーとしてプレー。1部初挑戦だったが、何の問題もなく安定したパフォーマンスを続けていた。
一方でシャルケを1年で降格させてしまったDF吉田は課題の残るシーズンとなってしまった。シーズン終盤こそ、相棒DFイェンツの台頭によって評価を持ち直したものの、ディフェンリーダーとして移籍初年度ながらキャプテンを任された中でボーフムに次ぐリーグ最多失点の71と言い訳のできない結果となった。
そのシャルケで一時期輝きを放ったのがMF上月だった。W杯ブレイク明けにデビューし、2戦目でゴールと早々にインパクトを残した。ケガによる長期離脱を強いられたのはシャルケにとっても痛手だった。
MF原口に関しては前半戦をウニオン・ベルリン、後半戦をシュツットガルトで過ごしたが、いずれのチームでも控えに回り厳しいシーズンとなった。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆MFジャマル・ムシアラ(バイエルン)
後半戦は前半戦ほどのインパクトは残せなかったが、それでも優勝を決めるゴールを挙げるなど最優秀選手に相応しい活躍を見せたと言える。最終的に12ゴール13アシストと申し分ないスタッツを記録。20歳の若武者が来季、いかような進化を遂げるのか楽しみでならない。
★最優秀監督
◆マルコ・ローゼ
昨季就任したドルトムントではうまく行かなかったが、自身のサッカー哲学とライプツィヒの相性は良かったようだ。ローゼ監督就任によってライプツィヒの躍動感溢れるプレーが復活。とりわけMFダニ・オルモやMFショボスライらが本来のパフォーマンスを取り戻して攻撃陣を牽引。魅力的かつ強いチームに仕上げ、DFBポカール連覇に導いた。
【期待以上】
★チーム
◆ウニオン・ベルリン
フィッシャー体制5季目となった今季、堅守速攻の戦術がさらに磨きを増し、ついにクラブ史上初となるCL出場権を獲得した。今季は昨季15ゴールを挙げた得点源のFWアウォニーを引き抜かれたものの、FWベッカー、FWベーレンスと同じくフィジカルに長けた選手を前線に起用し、一切ブレないサッカーを展開した。連敗なくシーズンを戦い抜いて上位をキープし続け、順当な4位フィニッシュを果たした。
★選手
FWエリック・マキシム・チュポ=モティング(バイエルン)
一時は主砲レヴァンドフスキの穴を埋めるような活躍を見せ、バイエルンの優勝に貢献。昨季まではスーパーサブの立ち位置だったが、スタメンでも十分に働ける能力の高さを示した。懐の深いポストプレーで現在のバイエルン攻撃陣に欠けている要素を満たす存在となっていた。
【期待外れ】
★チーム
◆シャルケ
名門シャルケが1年での降格となった。かつてはCL出場権争いが常連だったが、現在のチームにその面影はない。エレベーターチームに成り下がらないよう、根本的なチーム改革が必要なのかもしれない。
★選手
◆FWサディオ・マネ(バイエルン)
レヴァンドフスキの抜けた穴を埋めるベく約57億円で加入したマネ。加入当初は2トップの一角として機能するなど順調にチームにフィットしていくかに思われた。しかしW杯前の負傷により長期離脱を強いられると、そこからコンディションが戻らなかった。フラストレーションを溜めた鬱憤はチームメートへ向けられてしまい、FWサネとロッカールームでやり合う事態に。わずか1年での退団も報じられ、リバプールでの活躍を考えれば予想できない散々なシーズンを送ることになってしまった。
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◆ドタバタの11連覇~バイエルン~年間30ゴールを約束してくれた主砲FWレヴァンドフスキの抜けた穴はやはり大きかった。一時はFWチュポ=モティングが穴を埋める活躍を見せたものの、シーズンを通して決定力不足が響き、勝ちきれない試合が多かった。後半戦のドルトムントの驚異の追い上げの影響もあって慌てたバイエルン首脳陣は3月下旬の代表ウィーク明け直前という不可解な時期にナーゲルスマン前監督を電撃解任。トゥヘル監督を招へいしたが、チーム状態は上がりきらず薄氷での11連覇達成となった。ただ、優勝決定直後にクラブはカーンCEOとサリハミジッチSDの解任を発表。結果だけで判断しない厳しさを内外に示した。◆怒涛の追い上げも最終節に…~ドルトムント~
ワールドカップ明け、怒涛の9連勝で一気にバイエルンに迫ったドルトムントは、最終節を勝利すれば11季ぶり優勝という悲願まであと一歩とした。しかし、何も懸かっていないマインツ相手にホームでまさかのドロー。アウェイでは勝負弱さを見せていたが、最後に優勝の懸かった大一番で詰めの甘さを露呈してしまった。若手を中心に来季以降も楽しみなチームではあるものの、チームを牽引していたMFベリンガムのレアル・マドリー移籍が合意。現在の戦力を今後どれだけ維持できるかわからない中、痛恨の優勝逸となってしまった。
昨季途中就任でチームをV字回復させたテデスコ体制で新シーズンを迎えたライプツィヒ。しかし5試合を終えた段階で1勝と振るわず解任を決断し、昨季ドルトムントを率いていたローゼ監督を迎えた。この決断が奏功し、チームは昨季同様にV字回復。MFエンクンク、MFショボスライらが躍動してローゼ監督就任後は安定した戦いを続け、3位でシーズンを終えた。
◆鎌田がキャリアハイの9G~10人の日本人ブンデスリーガー~
10人がプレーした今季の日本人ブンデスリーガー。とりわけ目立った活躍を見せたのがフランクフルトのMF鎌田だ。後半戦は2ゴールと失速したものの、キャリアハイとなる9ゴールをマーク。ボランチへのコンバートがあったにも関わらず、ゴールへの関与が増し、充実のシーズンを送った。来季は名門ミランへの加入が報じられる。
そしてカタールW杯で大活躍だったフライブルクMF堂安も2季ぶりのブンデスリーガで大きく成長した姿を披露した。惜しくもチームはCL出場権獲得とはならなかったものの、5位でフィニッシュ。その中で堂安は攻撃の核として活躍し、5ゴール6アシストをマークした。
残留プレーオフには回ったものの、昨季に続き、チームの主軸を担ったシュツットガルトのMF遠藤とDF伊藤もシーズンを通して安定した活躍を見せた。とりわけ主将2シーズン目の遠藤はデュエルの強さを維持しつつ5ゴール5アシストを記録し、攻守に存在感を見せていた。
堂安同様、W杯でインパクトを残したFW浅野はシーズンを通してレギュラーをキープ。ゴール数は3と満足行く結果ではなかったが、チャンスメーク、献身的な守備でボーフムの残留に貢献したことに疑いの余地はない。
39歳となったフランクフルトのレジェンドDF長谷部は流石にフィジカル面に優れるFWとマッチアップした際には厳しさを見せたものの、それでも経験を武器に老獪な守備と丁寧なビルドアップでまだまだリベロとしてプレーできることを示した。
そしてシャルケの1部昇格に貢献したボルシアMGのDF板倉はケガの期間を除いてセンターバックのレギュラーとしてプレー。1部初挑戦だったが、何の問題もなく安定したパフォーマンスを続けていた。
一方でシャルケを1年で降格させてしまったDF吉田は課題の残るシーズンとなってしまった。シーズン終盤こそ、相棒DFイェンツの台頭によって評価を持ち直したものの、ディフェンリーダーとして移籍初年度ながらキャプテンを任された中でボーフムに次ぐリーグ最多失点の71と言い訳のできない結果となった。
そのシャルケで一時期輝きを放ったのがMF上月だった。W杯ブレイク明けにデビューし、2戦目でゴールと早々にインパクトを残した。ケガによる長期離脱を強いられたのはシャルケにとっても痛手だった。
MF原口に関しては前半戦をウニオン・ベルリン、後半戦をシュツットガルトで過ごしたが、いずれのチームでも控えに回り厳しいシーズンとなった。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆MFジャマル・ムシアラ(バイエルン)
Getty Images
後半戦は前半戦ほどのインパクトは残せなかったが、それでも優勝を決めるゴールを挙げるなど最優秀選手に相応しい活躍を見せたと言える。最終的に12ゴール13アシストと申し分ないスタッツを記録。20歳の若武者が来季、いかような進化を遂げるのか楽しみでならない。
★最優秀監督
◆マルコ・ローゼ
Getty Images
昨季就任したドルトムントではうまく行かなかったが、自身のサッカー哲学とライプツィヒの相性は良かったようだ。ローゼ監督就任によってライプツィヒの躍動感溢れるプレーが復活。とりわけMFダニ・オルモやMFショボスライらが本来のパフォーマンスを取り戻して攻撃陣を牽引。魅力的かつ強いチームに仕上げ、DFBポカール連覇に導いた。
【期待以上】
★チーム
◆ウニオン・ベルリン
Getty Images
フィッシャー体制5季目となった今季、堅守速攻の戦術がさらに磨きを増し、ついにクラブ史上初となるCL出場権を獲得した。今季は昨季15ゴールを挙げた得点源のFWアウォニーを引き抜かれたものの、FWベッカー、FWベーレンスと同じくフィジカルに長けた選手を前線に起用し、一切ブレないサッカーを展開した。連敗なくシーズンを戦い抜いて上位をキープし続け、順当な4位フィニッシュを果たした。
★選手
FWエリック・マキシム・チュポ=モティング(バイエルン)
Getty Images
一時は主砲レヴァンドフスキの穴を埋めるような活躍を見せ、バイエルンの優勝に貢献。昨季まではスーパーサブの立ち位置だったが、スタメンでも十分に働ける能力の高さを示した。懐の深いポストプレーで現在のバイエルン攻撃陣に欠けている要素を満たす存在となっていた。
【期待外れ】
★チーム
◆シャルケ
Getty Images
名門シャルケが1年での降格となった。かつてはCL出場権争いが常連だったが、現在のチームにその面影はない。エレベーターチームに成り下がらないよう、根本的なチーム改革が必要なのかもしれない。
★選手
◆FWサディオ・マネ(バイエルン)
Getty Images
レヴァンドフスキの抜けた穴を埋めるベく約57億円で加入したマネ。加入当初は2トップの一角として機能するなど順調にチームにフィットしていくかに思われた。しかしW杯前の負傷により長期離脱を強いられると、そこからコンディションが戻らなかった。フラストレーションを溜めた鬱憤はチームメートへ向けられてしまい、FWサネとロッカールームでやり合う事態に。わずか1年での退団も報じられ、リバプールでの活躍を考えれば予想できない散々なシーズンを送ることになってしまった。
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