「サポーターの熱量は相当勝ち負けに影響する」声出し応援の段階的導入、野々村チェアマンの想い「去年の段階で申し出ていた」

2022.05.17 20:40 Tue
©超ワールドサッカー
Jリーグは17日、公式試合における声出し応援の段階的導入を発表した。

2020年に新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックが起こり、一時はリーグが中断。その後、リモートマッチ(無観客試合)となり、徐々に観客が戻ることとなった。
当初はスタジアムサイズに関わらず、5000人か収容人数の50%未満という制限があり、徐々に観客動員数の条件が緩和。しかし、コロナ禍になってから、声出しの応援は認められていなかった。

徐々にウィズコロナの時代に入っていく中、世界のスタジアムでは声出しが行われ、JリーグクラブもAFCチャンピオンズリーグ(ACL)では声出しが認められるなどしており、国内でも声出し応援の解禁について議論がなされてきた。

野々村芳和チェアマンは今回の声出し応援の段階的導入について、あくまでも日本政府の方針の中でどう行うかを考えてきたとし、海外でやれているからということでは決められなかったとした。
「日本でどういう方針でコロナ対策が行われているか。ここまでもJリーグは政府の対処方針に基づいて、どうやったらサッカーが続けられるか、お客さんを入れられるか。サポーター含めて皆さんに協力をいただいた」

「海外のリーグ、クラブが声を出していいと言っているわけではない。国がどういう考えなのかというところで、どう生き残っていけるのかを考えた」

一方で、応援というものが文化として日本では根付いていないという指摘には「応援が文化になっていないというのは僕も思っています。本来の姿に早く戻さないといけないと、より多くの皆さんに思ってもらわなければいけません」とコメント。「ただ、日本国内ではそこまでの思いではないです。100年に1回の状況ではありますが、応援の大切さは再認識しています」と語り、まだまだ応援の重要性が文化的に根付いていないとした。

その点は、Jリーグが価値を示さなければいけないとし、「海外の人たちが応援する姿も壮観で素晴らしいですが、Jリーグの応援スタイルは世界のサッカーの中でも素晴らしいものだと思うので、もっと日本の皆さんに伝えていかなければいけないと思います」とし、「リーグとしての、サッカーの価値観をまだまだ示せていないという思いはあります」と、まだまだやれることがあるとした。

また「それでも日本のコロナの政策の中でいかに前に進めていくかをやってきてはいるので、僕はもっと早くから準備していれば良いんじゃない?と思っていましたが、チェアマンになって2カ月でここまで進められたというのはありますが、もっとサッカーの威力、価値を伝えなければいけないと思います」と、改めてその魅力を伝えていく必要性があることも感じさせられたという。

今回、日本国内のスポーツでは、Jリーグが一番最初に声出し応援に向けて動き出していた。その理由について野々村チェアマンは「僕の思いみたいなところが大きいのかなと思っています。去年の段階でそういう準備を進めて欲しいなというのは、クラブの社長をやりながらJリーグに伝えていました」とコメント。「ただ、国内の方針を含めて、なかなかそういう話にはならなかったです」と、国内の感染状況などを考えても動かなかったとした。

ただ「3月にチェアマンになったことで、ここはいち早く取り戻す準備をしないとダメだなと僕の中では相当強かったです」と、最初に手をつけたいと考えていたとし、「リーグの中でもそうした方が良いよねという方もたくさんいましたが、なかなか進まないという現状もありました」と、一気に動かそうと考えて、今回決定に至ったとした。

また、声援というものがサッカーというスポーツにおいて重要であるという認識もあったからだと言い、「サッカーを作品と考えたときに、お客さまが来た時の熱量はピッチの上と同じぐらい大事な要素です。その作品が見たいから新しいファンが来てくれるのも事実としてあるのがサッカー。それを先に戻さなければいけなかったです」とコメント。「チームは昇降格、優勝を目指して戦う中で、ホームゲームのサポーターの熱量は相当勝ち負けに影響するのは実感していて、サポーターの方も実感していると思います。本来のサッカーではないと思っていたりします」と、声援による後押しがないことが歯痒かったと語った。

一方で、コロナが終息に向かわず、不安に思うファン・サポーターも多いのも事実。野々村チェアマンは「国内の空気感において、怖いと思っている方が一定数いると認識しています。なので、今回のように段階的にやることで安心安全を保ちたいと思いました」と、一気に緩和しない理由は、声出し反対派の人を考慮してのものだとした。

また「国としてのウィズコロナが醸成されていくと思うので、それが醸成されてから応援スタイルを戻すというよりは、醸成を促すのもスポーツだと思うので、それをサッカーができればということ」とし、「怖いと思われている方に安心できますよということをサッカーを通じてやる、前に進んでいくように日本の社会が進むということをサッカーができればと思っています」と、コロナと共に生きて行くことへの一歩にしたいと語った。

声出し応援が徐々に認められる一方で、観客動員は収容人数の50%に制限されることに。クラブによっては、満員でいれて収益を得たいという考えも出てくることとなる。

その点のジレンマについても「だからこそ、去年の時点でどちらかを選べるような持っていき方をして欲しいと僕としてはリーグに伝えていました」と、クラブの社長の立場としてリーグに申し出ていたとし、「経営をしていかなければいけないので、収入というところは避けて通れないと思いますが、一方で本来のものをどう取り戻すかは中長期的に重要だろうということもあります」と、クラブ側もジレンマを抱えることになるだろうとした。

ただ、「現状のルールの中で選択できる、クラブの経営も選択できる条件をいかに揃えてあげることが重要だと思ったので、クラブの経営者は悩むところだと思いますが、1つ前に進めるものを政府と話ができて進められたことは良かったと思います」と、個々のクラブに合わせて、理解を得ながら進めていきたいと考えているとした。
関連ニュース

町田の生え抜きMF樋口堅、再び沖縄SVへ武者修行 「全てをぶつけて来ます」

FC町田ゼルビアは26日、MF樋口堅(20)の沖縄SVへの育成型期限付き移籍を発表した。移籍期間は2025年1月31日までで、2024シーズンは町田と対戦する公式戦に出場できない。 樋口は神奈川県相模原市出身で、町田の育成組織育ち。ジュニアユース、ユースと昇格し、2種登録選手を経て、2022年にトップチームへ昇格した。 昇格初年度にJ2リーグでプロデビューを果たすも、それ以来は出場なし。2023年8月には日本フットボールリーグ(JFL)の沖縄SVへ武者修行し、JFLで7試合に出場、地域リーグとの入れ替え戦も戦った。 今シーズンはJ1へ昇格した町田に戻ったが、メンバーに入れない日々が続く中、再び沖縄SV行きを決断。樋口は両クラブを通じてコメントしている。 ◆沖縄SV 「もう一度沖縄SVで戦うチャンスを頂けたこと、僕に関わってくださった全ての方に感謝しています。この恩を結果という形で返すために戦います。そしてチームの目標達成のために全ての力を注ぎ一日一日、成長していきます。共に戦ってください。よろしくお願いします」 ◆FC町田ゼルビア 「今シーズン、FC町田ゼルビアに戻ってきて、自分自身が積み上げてきたものを表現しようと思いましたが、自分の力が足らなかった、この数カ月間でした」 「そのなかでも、たくさんの方々に支えられて過ごしてきました。僕に寄り添い続けてくださった全ての方に感謝しています。自分と向き合い続けて見えた、強さも弱さも全てを沖縄SVでぶつけて来ます。引き続き応援よろしくお願いします。ありがとうございました」 <span class="paragraph-title">【写真】町田から再び沖縄SV行きの樋口堅</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr">【樋口堅選手 育成型期限付き移籍のお知らせ】<br><br>この度、<a href="https://twitter.com/hashtag/%E6%A8%8B%E5%8F%A3%E5%A0%85?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#樋口堅</a> 選手が、<a href="https://twitter.com/hashtag/%E6%B2%96%E7%B8%84SV?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#沖縄SV</a> へ育成型期限付き移籍することが決定しましたのでお知らせいたします。<br><br>いってらっしゃい、ケン!<br><br>詳細はこちら<a href="https://t.co/8Fr7m9B0H3">https://t.co/8Fr7m9B0H3</a><a href="https://twitter.com/hashtag/FC%E7%94%BA%E7%94%B0%E3%82%BC%E3%83%AB%E3%83%93%E3%82%A2?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#FC町田ゼルビア</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/zelvia?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#zelvia</a> <a href="https://t.co/vZoP6CSlUb">pic.twitter.com/vZoP6CSlUb</a></p>&mdash; FC町田ゼルビア (@FcMachidaZelvia) <a href="https://twitter.com/FcMachidaZelvia/status/1783768224896823784?ref_src=twsrc%5Etfw">April 26, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.04.26 17:47 Fri

今季のJリーグ、後半戦日程は7月19日に発表! 来季のACLE、ACL 2出場クラブは一部未定

Jリーグは26日、2024シーズンの明治安田Jリーグに関して、後半戦の日程を7月19日(金)の17時に発表することを発表した。 今シーズンからJ1、J2、J3が全て20クラブで構成されているJリーグ。各リーグで熱戦が繰り広げられ、シーズン序盤は例年以上に混戦状態となっている。 J1とJ2は第29節、J3は第26節までの日程が発表されていた中、9月以降の試合に関して、J1は残りシーズンの開催日とキックオフ時間、J2とJ3はキックオフ時間が未発表となっていた。 なお、7月19日で全ての情報が出揃うことに。2024-25シーズンのAFCチャンピオンズリーグエリート(ACLE)に出場するヴィッセル神戸、横浜F・マリノス、川崎フロンターレ、AFCチャンピオンズリーグ2(ACL2)に出場するサンフレッチェ広島に関しては、ACL試合日前後の日程はACL抽選会後に確定することとなる。 2024.04.26 17:17 Fri

【Jリーグ出場停止情報】琉球FW野田隆之介はルヴァンカップ3回戦欠場に

Jリーグは22日、明治安田Jリーグの出場停止選手を発表した。 今回はミッドウィークに行われたルヴァンカップが更新対象に。FC琉球からはFW野田隆之介が累積警告で1stラウンド3回戦を欠場する運びとなった。 レッドカードを受けた奈良クラブFW関口智也も処分対象だが、こちらはチームの敗退に伴って、今週末の明治安田J3リーグで1試合出場停止となった。 【明治安田J1リーグ】 DFハ・チャンレ(名古屋グランパス) 第10節 vs浦和レッズ(4/28) 今回の停止:警告の累積による1試合停止 【明治安田J2リーグ】 DF蜂須賀孝治(ブラウブリッツ秋田) 第12節 vs横浜FC(4/28) 今回の停止:1試合停止 MF前田椋介(水戸ホーリーホック) 第12節 vs藤枝MYFC(4/27) 今回の停止:1試合停止 DFンドカ・ボニフェイス(横浜FC) 第12節 vsブラウブリッツ秋田(4/28) 今回の停止:警告の累積による1試合停止 DF川島將(藤枝MYFC) 第12節 vs水戸ホーリーホック(4/27) 今回の停止:警告の累積による1試合停止 FW松田力(愛媛FC) 第12節 vsヴァンフォーレ甲府(4/27) 今回の停止:警告の累積による1試合停止 【明治安田J3リーグ】 FW関口智也(奈良クラブ) 第11節 vsY.S.C.C.横浜 今回の停止:1試合停止 【YBCルヴァンカップ】 DF濃野公人(鹿島アントラーズ) 3回戦 vsFC町田ゼルビア(5/22) 今回の停止:1試合停止 FW野田隆之介(FC琉球) 3回戦 vsセレッソ大阪(5/22) 今回の停止:警告の累積による1試合停止 2024.04.26 10:40 Fri

甲府が鳥栖GKコ・ボンジョを登録ウィンドーの例外適用でレンタル! 「全力で戦いたい」

ヴァンフォーレ甲府は25日、サガン鳥栖から韓国人GKコ・ボンジョ(22)の期限付き移籍加入を発表した。背番号は「32」。加入期間は2024年7月8日までとなる。 今回の移籍登録にあたっては登録ウインドーの例外適用に関する申請をJリーグに行い、適用が承認。規約に則り、負傷中のGK渋谷飛翔を抹消して、コ・ボンジョの登録を申請したという。 コ・ボンジョは2023年に韓国の大学から鳥栖入り。新天地を通じて「ヴァンフォーレ甲府の勝利に貢献出来るよう、努力を惜しまず全力で戦いたいと思います。応援よろしくお願いします」と語った。 一方の鳥栖では「この移籍は自分自身をさらに成長させるための決断です。サガン鳥栖のプライドを持ち、もっと成長した姿で帰って来れるよう全力で戦ってきます」としている。 甲府では渋谷のほか、GK河田晃兵も負傷。直近の明治安田J2リーグ2試合ではGK山内康太の出場が続いている。 2024.04.25 18:20 Thu

札幌がキム・ゴンヒの交通事故を報告…本人に厳重注意、全体で安全運転を再徹底へ

北海道コンサドーレ札幌は25日、FWキム・ゴンヒの交通事故を報告した。 キム・ゴンヒは25日午前の札幌市内にて自家用車で練習場に向かう途中、右折して本線に合流しようとしたところ、右方向から直進の乗用車と接触。事故発生後、速やかに警察等へ連絡して事故処理を行うとともに、相手は救急車にて病院に行き、無事を確認しているという。 クラブは「怪我をされた方の一日も早いご回復をお祈り申し上げるとともに、多大なご迷惑をおかけしたことを心よりお詫び申し上げます」とし、キム・ゴンヒへの厳重注意とともに、全選手およびクラブ関係者に安全運転の取り組みを再徹底していくと続けた。 韓国代表としても3キャップのキム・ゴンヒは2022年夏に水原三星ブルーウィングスから完全移籍加入。3シーズン目の今季はここまでJリーグYBCルヴァンカップの1試合に出場している。 2024.04.25 15:55 Thu
NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly