大胆采配も回ってきたツケ、W杯ベスト8に向け残り8カ月で浮き彫りになった課題/日本代表コラム
2022.03.30 06:45 Wed
◆W杯ベスト8への道のりは険しい
結果だけを見れば、セットプレーで失点し、最下位のチーム相手に1ゴールしか奪えずに引き分けたということになる。もちろん、勝って首位を確定させたいという思いはあったはずだが、ここまでメンバーを入れ替えれば、こういう結果になることも想定はできていたはずだ。
吉田は試合後「メンバーを大幅に代えたので、チグハグ感が出ることも予想していましたし、今日はチャレンジな試合になると思っていました」と語っており、予想通りだったと振り返った。それでも、試合中に修正する力がなければ、目標とするW杯でのベスト8入りは難しいものになる。
この試合も吉田の勇気ある上がりから、そのまま流れでゴールを奪い切るシーンがあった。徐々に並びを変えたこともあり、リズムができていた中で、主軸組を出してさらにそれを加速させていった。この流れは非常に良いものであったが、逆に言えば前半のうちにここまで修正できなければいけなかっただろう。
常に個々が100%の力を出すということはもちろん理想としてあるが、その力を出すメンバーが11名しかいないとすれば、W杯でのベスト8入りはほぼ不可能と言える。いかにして、チーム全体で高いレベルのパフォーマンスを出せるかが大事になる。
常に崖っぷちで戦うことになってしまった最終予選。タフさというところでは、チームが得たものはあるかもしれないが、多くの選手が代表チームのコンセプトを保って、真剣勝負で勝っていくという点では、ほとんど成果は得られていないと言っていい。親善試合もほとんどなく、常に予選を戦い続けてきた中で、新たな力を試してこなかったツケが回ってきたともいえる。予てから散々懸念してきたものが、改めて浮き彫りになったと言って良い。
誰が出ても変わらぬクオリティをピッチ内で出せることがベスト。短期間で集まって試合を行う代表チームにおいては、チームとしての完成度がレギュラー以外のメンバーにも浸透しているかが重要だ。今のチームは個々の能力、個々の理解はあったとしても、実戦の場が少なく、ベトナム戦のようなことが起きるのも致し方ない。
現にオーストラリア戦も苦しんだ中、最後に局面を打開したのは選手のコンビネーション。川崎フロンターレで共にプレーし培っていた感覚を生かしてゴールを奪い切ったのだ。「絵を合わせていけるように準備しなければ」と常に森保監督は口にするが、それが主力以外の選手にも波及しなければいけない。絵が想像できても、描けなければ意味がない。
今日の試合では、まだまだその力がないことが浮き彫りとなった。この問題を、残りの8カ月、少ない試合でどう解消していくのか。それはトレーニングではなく、実戦でなければ難しいと考えられる。
次の活動は5月から6月にかけてのインターナショナル・マッチデー。4月1日にW杯の組み合わせが決まるため、相手を想定した上での試合が組まれることになるだろうが、数少ない試合で、精度をあげていく必要がある。
クラブでのパフォーマンスを個々の選手が高め、少ない時間で代表チームとしてのサッカーを体現する。それができる選手が多くなれば、チーム力が必然的に向上し、W杯でも結果を残せるようになるはずだ。残された時間は8カ月。ヨーロッパ組は残りシーズンでどれだけインパクトあるパフォーマンスをクラブで見せられるかに注目が集まる。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
結果だけを見れば、セットプレーで失点し、最下位のチーム相手に1ゴールしか奪えずに引き分けたということになる。もちろん、勝って首位を確定させたいという思いはあったはずだが、ここまでメンバーを入れ替えれば、こういう結果になることも想定はできていたはずだ。
吉田は試合後「メンバーを大幅に代えたので、チグハグ感が出ることも予想していましたし、今日はチャレンジな試合になると思っていました」と語っており、予想通りだったと振り返った。それでも、試合中に修正する力がなければ、目標とするW杯でのベスト8入りは難しいものになる。
この試合も吉田の勇気ある上がりから、そのまま流れでゴールを奪い切るシーンがあった。徐々に並びを変えたこともあり、リズムができていた中で、主軸組を出してさらにそれを加速させていった。この流れは非常に良いものであったが、逆に言えば前半のうちにここまで修正できなければいけなかっただろう。
常に個々が100%の力を出すということはもちろん理想としてあるが、その力を出すメンバーが11名しかいないとすれば、W杯でのベスト8入りはほぼ不可能と言える。いかにして、チーム全体で高いレベルのパフォーマンスを出せるかが大事になる。
常に崖っぷちで戦うことになってしまった最終予選。タフさというところでは、チームが得たものはあるかもしれないが、多くの選手が代表チームのコンセプトを保って、真剣勝負で勝っていくという点では、ほとんど成果は得られていないと言っていい。親善試合もほとんどなく、常に予選を戦い続けてきた中で、新たな力を試してこなかったツケが回ってきたともいえる。予てから散々懸念してきたものが、改めて浮き彫りになったと言って良い。
誰が出ても変わらぬクオリティをピッチ内で出せることがベスト。短期間で集まって試合を行う代表チームにおいては、チームとしての完成度がレギュラー以外のメンバーにも浸透しているかが重要だ。今のチームは個々の能力、個々の理解はあったとしても、実戦の場が少なく、ベトナム戦のようなことが起きるのも致し方ない。
現にオーストラリア戦も苦しんだ中、最後に局面を打開したのは選手のコンビネーション。川崎フロンターレで共にプレーし培っていた感覚を生かしてゴールを奪い切ったのだ。「絵を合わせていけるように準備しなければ」と常に森保監督は口にするが、それが主力以外の選手にも波及しなければいけない。絵が想像できても、描けなければ意味がない。
今日の試合では、まだまだその力がないことが浮き彫りとなった。この問題を、残りの8カ月、少ない試合でどう解消していくのか。それはトレーニングではなく、実戦でなければ難しいと考えられる。
次の活動は5月から6月にかけてのインターナショナル・マッチデー。4月1日にW杯の組み合わせが決まるため、相手を想定した上での試合が組まれることになるだろうが、数少ない試合で、精度をあげていく必要がある。
クラブでのパフォーマンスを個々の選手が高め、少ない時間で代表チームとしてのサッカーを体現する。それができる選手が多くなれば、チーム力が必然的に向上し、W杯でも結果を残せるようになるはずだ。残された時間は8カ月。ヨーロッパ組は残りシーズンでどれだけインパクトあるパフォーマンスをクラブで見せられるかに注目が集まる。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
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