守護神高木躍動の大分がPK戦にもつれる激戦を制してクラブ初の決勝へ! 川崎FはJ1とのW連覇ならず《天皇杯》

第101回天皇杯の準決勝第1試合が12日に等々力陸上競技上で行われ、大分トリニータが川崎フロンターレをPK戦の末に下して、クラブ初の決勝進出を果たした。準々決勝で鹿島アントラーズに勝利した川崎Fとジュビロ磐田に勝利した両チームによる一戦。観客の収容が100%に緩和され、多くのサポーターが見守るなか、J1連覇を成し遂げた川崎FとJ2降格という憂き目に遭った大分という対照的な両雄が決勝行きをかけて激突した。J1リーグに続いて、天皇杯でも連覇を目指す川崎FはJリーグMVPのレアンドロ・ダミアンをスタートから起用したほか、ベストイレブンに輝いた6選手を先発に。今季限りで退任の片野坂監督に有終の美を飾らせたい大分は古巣対戦の高木や下田をスターティングメンバーに起用した。
立ち上がりから川崎Fがボールを握る展開になったが、大分はGK高木を中心に守り、ひと刺しを狙う。今季J1で得点王に輝いたレアンドロ・ダミアンの存在も際立たせ、敵陣に攻め入る川崎Fだが、25分に脇坂、27分に大島が立て続けにゴールに迫った場面もGK高木を崩せない。

前半の半ば以降も川崎Fペースが続くが、前半アディショナルタイム2分に旗手が放ったシュートもGK高木がセーブ。後半に入っても依然として川崎Fの流れだが、大分は好守連発のGK高木だけでなく、エンリケ・トレヴィザンとペレイラの両助っ人を中心にした守りで耐え忍ぶ。何とかこじ開けようと、ドリブル突破が持ち味のマルシーニョを入れ、打開を図った川崎Fだが、大分守備陣は引き続き集中。すると、大分も77分にGKチョン・ソンリョンの縦パスをカットした流れからビッグチャンス。だが、下田が無人の相手ゴールにボールを蹴り込めない。

事なきを得た川崎Fは82分に小林悠と知念も投入して、こじ開けにかかるが、大分守備陣も最後まで集中。勝負の行方は延長戦に委ねられることになる。その延長前半も一進一退の攻防戦が続くが、攻めの姿勢を打ち出し続ける川崎Fが113分にようやく均衡を破る。

途中出場の小塚がボックス右からグラウンダーのボールをゴール前に出すと、これに小林悠が反応。右足でボールを押し込んでみせ、川崎Fがついに一歩リードする。だが、下を向かない大分は延長後半アディショナルタイム1分、敵陣右の下田がゴール前にクロスを送ると、ボックス中央のエンリケ・トレヴィザンがヘディングシュートでネットを揺らした。

結局、両雄の戦いはPK戦にまでもつれ込み、5人目まで蹴り終わっても決着がつかず、サドンデスに。6人目が終わった段階でも4-4と譲らずの展開になったが、大分は7人目の町田が成功すると、川崎Fは山根がGK高木にシュートを止められ、大分が勝利した。

明治安田J1に続いて、天皇杯でも連覇を狙った川崎Fだが、大分が守護神の活躍もあり、クラブとして初めて決勝行きの切符を手に。19日に国立競技場で行われる決勝戦では浦和レッズとセレッソ大阪の勝者と対戦する。なお、この結果、J1で4位の鹿島アントラーズの来季ACL出場はなくなった。

川崎フロンターレ 1-1(4 PK 5) 大分トリニータ
【川崎F】
小林悠(延後8)
【大分】
エンリケ・トレヴィザン(延後16)