【CLグループA総括】優勝候補シティ&PSGがライプツィヒ退けて順当突破
2021.12.11 13:00 Sat
昨季の準優勝チームのマンチェスター・シティ、ベスト4チームのパリ・サンジェルマン(PSG)に加え、ブンデスリーガの強豪RBライプツィヒを加えた3強、ベルギー王者のクラブ・ブルージュで構成されたグループA。三つ巴の争いが予想されたものの、シティとPSGがライプツィヒを退けて突破を決めた。
■グループA順位表■
[勝ち点/勝/引/負/得失点]
1.マンチェスター・シティ[12/4/0/2/8]
2.パリ・サンジェルマン[11/3/2/1/5]
3.RBライプツィヒ[7/2/1/3/1]
4.クラブ・ブルージュ[4/1/1/4/-14]
◆昨季同様にPSGを退けて首位通過~マンチェスター・シティ~
今季こそ悲願のビッグイヤー獲得を目指すシチズンズは、開幕前のユーロとコパ・アメリカへの多数の主力派遣の影響やコロナ禍における負傷やコンディションの問題によって決して本調子ではなかったが、グアルディオラ監督の下で最も説得力のあるパフォーマンスを継続し、きっちり首位通過を果たした。
今夏の目玉補強となるはずだったトッテナムFWケイン獲得失敗の影響によってフィニッシャーに問題を抱えるかに思われたが、CLを得意とするFWマフレズを筆頭にFWスターリング、FWガブリエウ・ジェズスといった前線の選手がいずれも決定的な仕事を果たし、6試合で18ゴールを挙げる破壊力を見せつけた。さらに、今夏退団の可能性が報じられたMFベルナルド・シウバが同胞DFカンセロと共に圧巻のパフォーマンスを披露し、MFデ・ブライネやMFフォーデン不在時のチームを攻守両面で牽引した。
第2節のPSG戦では試合の大半を支配しながらも、最後の精度を欠いて敵地で0-2の敗戦を喫したが、首位通過を懸けた第5節のリベンジマッチでは指揮官の試合中の的確な修正が機能し、スターリング、ジェズスの2ゴールによって鮮やかな逆転勝利。昨季準決勝に続いてPSGを退け、文句なしのグループ覇者となった。
シティ同様にCL初制覇を目指すPSGは世界屈指のスカッドを誇りながらも、未だ戦い方の最適解を見いだせず、課題を残す中での2位通過に。
開幕前にはFWメッシ、DFセルヒオ・ラモス、GKドンナルンマ、MFワイナルドゥムなど百戦錬磨のビッグタレントの獲得に成功し、グループ本命はおろか有力な優勝候補に浮上。だが、バルセロナ以外のクラブでの初めてのプレーに苦戦するメッシのパフォーマンスの問題や、FWネイマール、FWムバッペと形成する“MNM”の連携構築に時間を要し、期待されたほどの破壊力を見せられず。
また、その経験と勝負強さを買われたセルヒオ・ラモスは開幕前のケガの影響でリーグデビューこそ飾ったものの、CLではグループステージ未出場となった。さらに、ポチェッティーノ監督の信頼を得られていないドンナルンマはGKケイロル・ナバスとのポジション争いで苦戦を強いられている。
それでも、シティとの初戦で見せたソリッドなパフォーマンス、格下2チームとの試合では勝負強さを発揮しており、伸びしろを残して最低限の決勝トーナメント進出。最終節のブルージュ戦で2ゴールを挙げるなど、ムバッペとの連携向上のメッシが徐々に存在感を発揮しており、来年2月のラウンド16までに新戦力がきっちりフィットできれば、ビッグイヤーを獲得できる可能性は十分にあるはずだ。
◆指揮官解任の混迷も3位フィニッシュ~RBライプツィヒ~
智将ナーゲルスマンの下、直近2シーズン連続で決勝トーナメント進出を果たしていたライプツィヒだが、前ザルツブルク指揮官ジェシー・マーシュに監督交代を図った中で臨んだ今季はグループステージ敗退となった。
これまでのライプツィヒが志向するスタイルにより近いアメリカ人指揮官の下で臨んだ今季だが、DFウパメカノやDFコナテ、MFザビッツァーといった主力の流出、得点源として期待したFWアンドレ・シウバの不振もあり、初戦のシティ戦で3-6の大敗を喫するなど、まさかの3連敗スタート。その後、背水の陣で臨んだ第4節のPSG戦では土壇場のPK弾によってドローに持ち込み、終盤は意地の2連勝を達成したが、3位フィニッシュが精いっぱいだった。
また、ブンデスリーガの低迷によってマーシュ監督が最終節のシティ戦前に解任され、今後は前シャルケ指揮官テデスコ新監督の下、ブンデスリーガとヨーロッパリーグ(EL)の戦いに挑む。ただ、シティとの開幕戦でハットトリックを達成するなど、グループステージ6ゴールを挙げたMFエンクンクは今グループのベストプレーヤーというべき活躍を披露し、個人としてはメガクラブ移籍への大きな足がかりを得ている。
◆序盤奮闘も屈す~クラブ・ブルージュ~
開幕前は3強による勝ち点の草刈り場となることが予想されたブルージュだが、勝ち点4を獲得するなど奮闘が光った。
近年多くのタレントを輩出しているベルギーのリーグ王者だが、シティとPSGのメガクラブはおろか、ライプツィヒとの戦力差も大きく戦前はグループステージを未勝利で終える可能性も指摘されていた。しかし、PSGとの開幕戦ではパリの巨人を前に堂々たるパフォーマンスをみせ、いきなり勝ち点1を獲得すると、第2節のライプツィヒ戦では2-1の逆転勝利で初白星を手にした。
以降は一度目の対戦で戦い方を研究された影響もあり、4連敗での最下位フィニッシュとなった。それでも、ベルギー代表にも名を連ねるMFヴァナケンやFWデ・ケテラエル、オランダ代表の俊英ノア・ランといったタレントには5大リーグの中堅、強豪クラブから熱視線が注がれる。
■グループA順位表■
[勝ち点/勝/引/負/得失点]
1.マンチェスター・シティ[12/4/0/2/8]
2.パリ・サンジェルマン[11/3/2/1/5]
3.RBライプツィヒ[7/2/1/3/1]
4.クラブ・ブルージュ[4/1/1/4/-14]
◆昨季同様にPSGを退けて首位通過~マンチェスター・シティ~
Getty Images
今季こそ悲願のビッグイヤー獲得を目指すシチズンズは、開幕前のユーロとコパ・アメリカへの多数の主力派遣の影響やコロナ禍における負傷やコンディションの問題によって決して本調子ではなかったが、グアルディオラ監督の下で最も説得力のあるパフォーマンスを継続し、きっちり首位通過を果たした。
第2節のPSG戦では試合の大半を支配しながらも、最後の精度を欠いて敵地で0-2の敗戦を喫したが、首位通過を懸けた第5節のリベンジマッチでは指揮官の試合中の的確な修正が機能し、スターリング、ジェズスの2ゴールによって鮮やかな逆転勝利。昨季準決勝に続いてPSGを退け、文句なしのグループ覇者となった。
◆本領発揮至らずも最低限の2位通過~パリ・サンジェルマン~
Getty Images
シティ同様にCL初制覇を目指すPSGは世界屈指のスカッドを誇りながらも、未だ戦い方の最適解を見いだせず、課題を残す中での2位通過に。
開幕前にはFWメッシ、DFセルヒオ・ラモス、GKドンナルンマ、MFワイナルドゥムなど百戦錬磨のビッグタレントの獲得に成功し、グループ本命はおろか有力な優勝候補に浮上。だが、バルセロナ以外のクラブでの初めてのプレーに苦戦するメッシのパフォーマンスの問題や、FWネイマール、FWムバッペと形成する“MNM”の連携構築に時間を要し、期待されたほどの破壊力を見せられず。
また、その経験と勝負強さを買われたセルヒオ・ラモスは開幕前のケガの影響でリーグデビューこそ飾ったものの、CLではグループステージ未出場となった。さらに、ポチェッティーノ監督の信頼を得られていないドンナルンマはGKケイロル・ナバスとのポジション争いで苦戦を強いられている。
それでも、シティとの初戦で見せたソリッドなパフォーマンス、格下2チームとの試合では勝負強さを発揮しており、伸びしろを残して最低限の決勝トーナメント進出。最終節のブルージュ戦で2ゴールを挙げるなど、ムバッペとの連携向上のメッシが徐々に存在感を発揮しており、来年2月のラウンド16までに新戦力がきっちりフィットできれば、ビッグイヤーを獲得できる可能性は十分にあるはずだ。
◆指揮官解任の混迷も3位フィニッシュ~RBライプツィヒ~
Getty Images
智将ナーゲルスマンの下、直近2シーズン連続で決勝トーナメント進出を果たしていたライプツィヒだが、前ザルツブルク指揮官ジェシー・マーシュに監督交代を図った中で臨んだ今季はグループステージ敗退となった。
これまでのライプツィヒが志向するスタイルにより近いアメリカ人指揮官の下で臨んだ今季だが、DFウパメカノやDFコナテ、MFザビッツァーといった主力の流出、得点源として期待したFWアンドレ・シウバの不振もあり、初戦のシティ戦で3-6の大敗を喫するなど、まさかの3連敗スタート。その後、背水の陣で臨んだ第4節のPSG戦では土壇場のPK弾によってドローに持ち込み、終盤は意地の2連勝を達成したが、3位フィニッシュが精いっぱいだった。
また、ブンデスリーガの低迷によってマーシュ監督が最終節のシティ戦前に解任され、今後は前シャルケ指揮官テデスコ新監督の下、ブンデスリーガとヨーロッパリーグ(EL)の戦いに挑む。ただ、シティとの開幕戦でハットトリックを達成するなど、グループステージ6ゴールを挙げたMFエンクンクは今グループのベストプレーヤーというべき活躍を披露し、個人としてはメガクラブ移籍への大きな足がかりを得ている。
◆序盤奮闘も屈す~クラブ・ブルージュ~
Getty Images
開幕前は3強による勝ち点の草刈り場となることが予想されたブルージュだが、勝ち点4を獲得するなど奮闘が光った。
近年多くのタレントを輩出しているベルギーのリーグ王者だが、シティとPSGのメガクラブはおろか、ライプツィヒとの戦力差も大きく戦前はグループステージを未勝利で終える可能性も指摘されていた。しかし、PSGとの開幕戦ではパリの巨人を前に堂々たるパフォーマンスをみせ、いきなり勝ち点1を獲得すると、第2節のライプツィヒ戦では2-1の逆転勝利で初白星を手にした。
以降は一度目の対戦で戦い方を研究された影響もあり、4連敗での最下位フィニッシュとなった。それでも、ベルギー代表にも名を連ねるMFヴァナケンやFWデ・ケテラエル、オランダ代表の俊英ノア・ランといったタレントには5大リーグの中堅、強豪クラブから熱視線が注がれる。
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その上位陣に引き離されて6位に甘んじるマンチェスター・シティ(勝ち点31)は、グアルディオラ体制において最も厳しい前半戦となった。開幕4連勝スタートも、9月末にバロンドーラーのロドリが長期離脱を強いられると、勤続疲労や相次ぐ離脱者も重なって大不振に。11月以降はペップ初のリーグ4連敗など、2勝2分け6敗と苦しい戦いを強いられた。プレー強度、切り替えの精度を中心に攻守両面でテコ入れが必要な部分は幅広く、稀代の名将も一時はお手上げ状態だった。今冬の移籍市場では数人の補強を行う見込みだが、財政違反の審理の影響も引き続き懸念されるなか、例年のような後半戦の無双状態に持っていくことは厳しいかもしれない。 その王者以上に厳しい前半戦を過ごしたのは11位のトッテナム(勝ち点24)、14位のマンチェスター・ユナイテッド(勝ち点22)。ポステコグルー体制2年目で補強も行ったトッテナムだが、消耗激しいプレースタイルと、今季はヨーロッパリーグ(EL)に参戦している影響で昨季以上に負傷者が増加。センターバックの主力3人、守護神ヴィカーリオと守備陣を中心に満身創痍の状況が続く。また、リーグ2位の得点数に得失点差+13とトップ4圏内のスタッツを残しながらも、試合ごとの大きすぎる波が低迷に繋がっている。 一方、昨季FAカップを制してテン・ハグ体制を継続したユナイテッドは各ポジションに新戦力も補強。だが、スパーズ同様に負傷者の多さと指揮官のマネジメントの拙さもあり、10月末にオランダ人指揮官を解任。ファン・ニステルローイ暫定体制を挟み、11月中旬から前スポルティングCP指揮官のアモリム監督を招へい。ただ、新体制移行後も苦しい戦いは変わらず、残留争いも気になる前半戦となった。 ビッグ6以外では古豪ノッティンガム・フォレスト(勝ち点37)が3位と大躍進。前半戦の最大のサプライズチームとなった。また、シーズンが進むごとに本来の力を取り戻したニューカッスル(勝ち点32)が5位、ボーンマス(勝ち点30)やフルアム(勝ち点29)がトップハーフ入り。一方、昨季4位のアストン・ビラ(勝ち点29)は9位、MF三笘薫のブライトンは中盤戦以降の失速で10位フィニッシュ。 ボトムハーフではMF鎌田大地のクリスタル・パレス(勝ち点20)が15位、エバートンやウェストハムも苦しい戦いが続く。残留争いではDF菅原由勢を擁するサウサンプトン(勝ち点6)の最下位に、レスター・シティ(勝ち点14)、イプスウィッチ・タウン(勝ち点15)の昇格組が降格圏に沈んでいる。 【最優秀選手&監督】 ★最優秀選手 ◆FWモハメド・サラー(リバプール) <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_100_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 得点ランキングとアシストランキングでトップ。前半戦に輝いた選手は数知れずも、前半戦のMVPは異論なく首位チームの攻撃をけん引した32歳のエジプト代表FWだ。開幕前の段階からピッチ外では契約延長問題が取り沙汰されるが、ピッチ上では開幕から圧巻の輝きを放った。 いずれもリーグトップの17ゴール13アシストを記録。特筆すべきはそのパフォーマンスの安定感で、唯一の敗戦となったノッティンガム・フォレスト戦、辛勝となったクリスタル・パレス戦の2試合を全試合でゴールかアシストを記録。前半戦の対ビッグ6の全試合でゴールを挙げる勝負強さが光った。 32歳とは思えないスピード、パワーに、アシスト数が物語るように、一時批判を浴びた利己的なプレーはほぼなくスーパーエースとして躍動した。 ★最優秀監督 ◆アルネ・スロット(リバプール) <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2025/get20250109_100_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 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