ベンゼマ&ムバッペ弾で逆転のフランスが初優勝! スペインは善戦も及ばず…《UEFAネーションズリーグ》

UEFAネーションズリーグ・ファイナルズ決勝、スペイン代表vsフランス代表が10日にミラノのサン・シーロで行われ、1-2で逆転勝利のフランスが初優勝を飾った。ルイス・エンリケ体制で初タイトルを狙うスペインは、フェラン・トーレスの2ゴールの活躍によって、ユーロ2020王者のイタリア代表に38戦ぶりの黒星を与える会心の勝利で準決勝を突破。欧州王者に続き世界王者撃破を目指すこの一戦では先発2人を変更。パウ・トーレスとコケに替えてエリック・ガルシア、ロドリを起用した。一方、ロシア・ワールドカップ王者ながらも、ユーロ2020でベスト16敗退という失態を演じたフランス。ベルギー代表との準決勝では前半に2点のビハインドを背負ったが、後半に2点差を追いつき、最後は試合終了間際のテオ・エルナンデスの劇的代表初ゴールによって見事な勝ち上がりを見せた。
デシャン監督は自身2つ目のレ・ブルーでのタイトルが懸かる一戦に向けて先発2人を変更。新型コロナウイルスの陽性判定が出たラビオに替えてチュアメニ、リュカに替えてキンペンベを共に同じポジションで起用した。なお、グリーズマンはこの試合で代表通算100試合出場を達成した。

フランスはベルギー戦と同じくムバッペとベンゼマの2トップの下にグリーズマンを配置した[3-4-1-2]の布陣でスタート。対するスペインは[4-3-3]の布陣を継続も、サラビアを左ウイング、オヤルサバルを中央と配置を入れ替えて臨んだ。立ち上がりからスペインがボールを握るが、フィジカル勝負で優位性を保つフランスがシンプルな仕掛けでゴールへ迫る。6分、ポグバのスルーパスにオフサイド気味に抜け出したベンゼマがGKウナイ・シモンをかわしてボックス右から折り返すが、これはクリアに遭う。

以降は互いの色がよく出る形の攻撃の応酬が続く。スペインは相手のハイプレスに苦戦を強いられながらも、17歳ガビが要所で局面を変えるランニングや仕掛けをみせ、チャンスまであと一歩という状況を作り出す。対してフランスはカウンターからチャンスを窺うが、スペインの集中した守備を前にこちらも序盤以降、攻撃が停滞する。

その後、前半終了間際には筋肉系のトラブルに見舞われたヴァランがウパメカノとの交代でピッチを去るアクシデントが発生したものの、試合は均衡が保たれたまま0-0での折り返しとなった。

試合は後半も引き続き睨み合いの状況が続く。50分過ぎには互いにカウンターからチャンスを作り合う。まずはスペインが最後尾のクンデのトラップ際を狙ったサラビアのボール奪取からショートカウンターを発動。ボックス左に持ち込んだサラビアはファーのフェラン・トーレスを意識した折り返しを狙うが、これは精度を欠く。

その直後にはフランスがロングカウンターを仕掛け、ムバッペからフリーでパスを受けたパヴァールがゴール前に走り込む味方へのスルーパスを狙うが、これはDFマルコス・アロンソの好カバーに阻まれる。

この展開の中で先に動いたのはスペイン。サラビアを下げてドリブラーのジェレミ・ピノを61分に投入。すると、試合はここから大きな動きを見せていく。

64分、フランスのポグバを起点としたロングカウンターが発動し、ボックス中央でベンゼマの折り返しに反応したテオが左足のダイレクトで合わすが、これはクロスバーを叩いた。

このピンチを凌いだスペインは直後にブスケッツのスルーパスに抜け出したオヤルサバルが、DFウパメカノとの競り合いを制してボックス左に侵入。左足の正確なシュートをゴール右隅へ流し込み、先制に成功した。

決定機を逸した直後の失点も動じないフランスは、わずか2分後にスコアを振り出しに戻す。66分、相手のハイプレスをグリーズマン、ポグバの連携で外してムバッペ、ベンゼマと左サイドへボールが展開される。そして、ボックス左でDFアスピリクエタを外したベンゼマがファーポストを狙った右足のコントロールシュート。これはGKウナイ・シモンに触られたが、そのままゴールネットを揺らした。

60分までの膠着状態から打って変わって、一気に打ち合いの様相を呈してきた試合はここからオープンな展開に。こうなると、カオスな状況の中でよりフランスの個が生き始める。

そして、ここから試合の主導権を握ったフランスは80分、右サイドでのスローインの流れから左サイドのテオにボールが展開されると、縦に仕掛けた視線を引き付けたテオが背後を狙うムバッペへスルーパスを供給。これに抜け出したムバッペがGKウナイ・シモンとの一対一を冷静に制した。ムバッペは抜け出しの場面でオフサイドだったものの、テオのスルーパスをDFエリック・ガルシアが触ったことが意図的なプレーと判断された結果、VARのレビューでもゴールは支持された。

これで厳しくなったスペインはロドリ、フェラン・トーレスを下げてメリノ、フォルナルスを投入。ここから前がかって攻勢を仕掛けていく。そして、88分にはマルコス・アロンソのクロスからゴール前のオヤルサバル、後半アディショナルタイムにはCKの二次攻撃からボックス右のピノに続けて決定機が訪れるが、枠を捉えたいずれのシュートもGKロリスのビッグセーブに阻まれた。

そして、試合はこのままフランスが逃げ切り、2試合連続で逆転勝利のフランスが大会初優勝を飾った。

スペイン代表 1-2 フランス代表
【スペイン】
オヤルサバル(64分)
【フランス】
ベンゼマ(66分)
ムバッペ(80分)