テオの劇的初弾でフランスが逆転で決勝進出! ベルギーは3年前のリベンジならず…《UEFAネーションズリーグ》

UEFAネーションズリーグ2020-21準決勝、ベルギー代表vsフランス代表が7日にトリノのユベントス・スタジアムで行われ、2-3で逆転勝利したフランスが決勝進出を決めた。イングランド、デンマーク、アイスランドと同居したグループA2を首位通過したFIFAランキング1位のベルギーと、ポルトガルとクロアチア、スウェーデンと同居したグループA3を首位通過した世界王者のフランスによる注目の準決勝。ベルギーは今回の一戦に向けて現状のベストメンバーを起用。GKにクルトワ、3バックにアルデルヴァイレルト、デナイヤー、ヴェルトンゲン。中盤はカスターニュとカラスコの両ウイングバックに、ティーレマンスとヴィツェルが中央で並び、前線はルカクの1トップにエデン・アザールとデ・ブライネがシャドーに入った。
一方、フランスはGKにロリス、3バックにクンデ、ヴァラン、リュカを起用。中盤は両ウイングバックにパヴァールとテオ・エルナンデス、中央にポグバとラビオ、前線はグリーズマン、ベンゼマ、ムバッペの3人が並んだ。なお、リュカとテオのエルナンデスが初共演を果たしている。

2018年のロシア・ワールドカップ(W杯)の準決勝以来、3年ぶりの再戦となった試合は、立ち上がりから攻守が目まぐるしく入れ替わるオープンな展開となる。開始4分には右に流れてキープしたルカクの折り返しに対して、DFクンデがクリアミスすると、ボックス中央でこぼれに反応したデ・ブライネがニア下へ鋭い右足のシュートを放つ。だが、これはGKロリスが驚異的なワンハンドセーブで阻んだ。

以降はミラーゲームの形となった中、互いに遅攻の場面では相手のコンパクトな守備ブロックの攻略に手を焼くものの、カウンターの場面ではベルギーがルカクとデ・ブライネのコンビ、フランスがベンゼマとムバッペのコンビを軸に際どいシーンを作り出していく。

前半半ばから終盤にかけてはより攻撃の多彩さ、繋ぎの精度で勝るベルギーがやや優勢に試合を進めていくと、2つの個人技から続けてゴールが生まれる。

まずは37分、左サイドでデ・ブライネからパスを受けたカラスコがDFパヴァールと対峙した中、一瞬のスピードでパヴァールを外して右足のカットインシュート。これがDFクンデの股間を抜けつつわずかにディフレクトすると、このままニア下に突き刺さった。

さらに、41分には相手を押し込んだ中、一瞬の動き出しでDFリュカを出し抜いたルカクがデ・ブライネからのグラウンダーのスルーパスに抜け出すと、ボックス右角度のないところから利き足とは逆の右足でニア上を射抜く見事なシュートを突き刺した。

一見すると、拮抗した展開もチームとしての熟成度、個の力で上回るベルギーの2点リードで折り返した試合は後半も決定機を作り合うオープンな入りとなる。51分には右サイドからのクロスに反応したルカクが右足でボレーシュートを放つが、これは力なくGKロリスにキャッチされる。

一方、早い時間帯に1点がほしいフランスはリスクを冒して前に出るが、ムバッペの個での打開を除きなかなか攻め手を見いだせない。しかし、こちらも自慢のタレントが個人技でゴールをこじ開ける。

62分、ムバッペがボックス付近でのカウンタープレスからボールを奪い返してそのままドリブルでボックス内へ侵入し、ゴール前のベンゼマの足元へ横パスを通す。ここで複数のDFに囲まれたベンゼマだったが、細かいタッチから左足の反転シュートをゴール右隅の完璧なコースに流し込んだ。

この1点でガラッと試合の流れを変えたフランスは疲労が見え始めるベルギー相手に前線からのアグレッシブな守備が機能し、一気に流れを引き寄せる。そして、69分には相手ボックス内でルーズボールを競ったグリーズマンがティーレマンスと交錯。一度プレーは流されたが、オンフィールドレビューの結果、グリーズマンが足を蹴られたとの判定でPKが与えられる。これをキッカーのムバッペがゴール右上隅の際どいコースに突き刺した。

2-2のイーブンに戻った試合はここからさらに白熱。追いついた勢いを継続するフランスの時間が続くが、ベルギーも最後のところで粘ってゴールを許さない。

互いに交代カードを切って試合の流れに変化を加えていく中、試合終盤には幾つもの見せ場が訪れる。まずは87分、ベルギーのカウンターから左サイドのスペースに飛び出したカラスコがそのまま持ち上がって絶妙なアーリークロスを供給。これをボックス中央に走り込んだルカクが右足ワンタッチで流し込むが、勝ち越しゴールかに思われたこの場面はルカクのオフサイドを取られてゴールは認められず。

すると、直後の90分にはフランスがボックス手前の好位置でFKを獲得。これをキッカーのポグバが枠の上から落とす見事なシュートを放つが、これはわずかにボールが落ち切らずにクロスバーを叩いた。

互いに絶好機を逸したことで、このまま延長戦突入かに思われたが、フランス代表2キャップ目の24歳DFが大仕事をやってのけた。

90分、カウンターから右サイド深くに侵攻したパヴァールのクロスがDFに当たってファーに流れると、これを回収したテオ・エルナンデスが左足を一閃。強烈なシュートがGKクルトワの手を弾いてそのままゴール右隅に突き刺さった。

そして、土壇場でテオの値千金の代表初ゴールが生まれたフランスは身体を張った守備でベルギーの反撃を凌ぎ切り、試合はこのままタイムアップ。2点差を引っくり返し、ロシアW杯に続いてベルギーを退けたフランスが、劇的な形で決勝進出を決めた。

なお、激闘を制したフランスは10日にミラノのサン・シーロで行われる決勝でスペイン代表と対戦。一方、敗れたベルギーは再びユベントス・スタジアムでイタリア代表との3位決定戦に臨む。

ベルギー代表 2-3 フランス代表
【ベルギー】
カラスコ(37分)
ルカク(41分)
【フランス】
ベンゼマ(62分)
ムバッペ(69分[PK])
テオ・エルナンデス(90分)