【ユーロ2020/グループF展望】前回王者、世界王者、ドイツ同居の“死の組”

2021.06.15 18:00 Tue
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ユーロ2020のグループステージが6月11日に開幕する。グループFは前大会王者ポルトガル、世界王者フランス、ドイツという3強とハンガリーが同居する今大会における“死の組”だ。◆連覇に向けたいきなりの試練を乗り越えられるか~ポルトガル~
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最高順位/優勝
予選戦績/5勝2分け1敗(グループB2位)
監督/フェルナンド・サントス
注目選手/DFルベン・ディアス(マンチェスター・シティ)

7大会連続の出場となる前回王者ポルトガルは、2018-19シーズンのUEFAネーションズリーグに続くヨーロッパ主要大会連覇を狙う。2014年に就任したフェルナンド・サントス監督の下で長期政権を築くチームは、今大会出場チームにおいて最も安定感のあるチームのひとつだ。

今回の予選では伏兵ウクライナに競り負けて首位通過を逃したが、セルビアを振り切ってきっちり2位での突破を決めた。これまではエースFWクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)におんぶにだっこの状況が続いたが、現スカッドではそのエースやDFペペ(ポルト)、MFモウティーニョ(ウォルバーハンプトン)というベテランに加え、MFベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティ)、MFブルーノ・フェルナンデス(マンチェスター・ユナイテッド)といった中堅、FWフェリックス(アトレティコ・マドリー)、MFレナト・サンチェス(リール)という若手とよりバランスの取れた構成となっている。

連覇に向けてはまずフランス、ドイツのいずれかを退ける必要があるが、初戦をハンガリーと戦えるアドバンテージによってドイツとの第2戦、フランスとの最終戦に向けてコンディションを高めつつ、勝ち点計算を意識した戦い方が可能となる点はプラス材料だ。

今大会でイラン代表FWアリ・ダエイの歴代代表得点記録(109点)更新が期待される通算104ゴールのC・ロナウドにも大いに注目が集まるが、若きディフェンスリーダーのルベン・ディアスを注目選手に挙げたい。

昨夏、ベンフィカから総額6450万ポンドの移籍金でシティに加入した24歳は、持ち味の対人守備、カバーリングに加え、難解なグアルディオラの戦術を完璧に理解し、ビルドアップの局面でも存在感を放つ完全無欠のパフォーマンスを披露した。そして、シティの国内2冠に貢献し、今季のプレミアリーグMVPとFWA年間MVPをダブル受賞。今や世界最高のセンターバックの一人との評価も確立している。拮抗した戦いが予想されるグループリーグにおいてはまず失点しないことが求められており、FWムバッペやFWグリーズマンを擁するフランス、MFミュラーやFWヴェルナーを擁するドイツの強豪攻撃陣相手の奮闘が期待されるところだ。

◆タレントの質は今大会屈指も一枚岩で戦えるか~フランス~
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最高順位/優勝
予選戦績/8勝1分け1敗(グループH1位)
監督/ディディエ・デシャン
注目選手/FWカリム・ベンゼマ(レアル・マドリー)

8大会連続出場で3度目の優勝を目指すフランスは、ベルギーらと並び今大会の優勝候補筆頭だ。前回大会準優勝のデシャン率いるチームは、2018年ロシア・ワールドカップで悲願の世界一に輝き、今大会では主要大会連覇を目指す。今予選ではトルコ、アイスランドらと同居したグループHを貫録の首位で突破し、以降の試合においても世界王者に相応しい安定した戦いぶりを見せ、直前のテストマッチ2試合ではウェールズ、ブルガリアに快勝している。

ただ、以前から様々なルーツ出身の選手が多く、個性派揃いとして知られるチームは、大会直前にFWジルー(チェルシー)とFWムバッペ(パリ・サンジェルマン)が試合中のパスを巡って口論に発展するなど、ここに来て内紛の可能性も報じられている。堅守速攻一辺倒だったロシアW杯時に比べチームとしてのバリエーションは明らかに増えているが、それを生かすも殺すもチームとしての一体感が重要だ。グループリーグ初戦のドイツ戦までにコミュニケーション問題を改善したいところだ。

注目選手に関してはバロンド-ル候補に挙がるMFカンテ(チェルシー)やMFポグバ(マンチェスター・ユナイテッド)、ムバッペらも気になるが、今大会に向けて最大のトピックとなったFWカリム・ベンゼマを挙げたい。

代表通算83試合27ゴールの実績を誇るも、元同僚MFヴァルブエナへの恐喝事件への関与の疑いから2015年10月を最後に、長らく代表追放の扱いを受けていたベンゼマ。しかし、レアル・マドリーでのここ数年の活躍やパーソナルな部分での成長を受け、デシャン監督は個別面談を経て約5年半ぶりの再招集を決断。直前のテストマッチ2試合ではPK失敗こそあったものの、ムバッペとグリーズマンとの好連携によっていきなり存在感を示しており、カウンターを最大のストロングとするチームの攻撃に新たなオプションをもたらすことが期待される。ブルガリア戦での右ヒザ付近の打撲によって初戦欠場の可能性も伝えられるが、レ・ブルーのキーマンであることに変わりはないはずだ。

◆下馬評3番手もレーブ体制で有終の美を目指す~ドイツ~
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最高順位/優勝
予選戦績/7勝1敗(グループC1位)
監督/ヨアヒム・レーブ
注目選手/MFトーマス・ミュラー(バイエルン)

13大会連続で4度目の優勝を目指すドイツは、まず苦戦必至のグループリーグ突破が最大の目標となる。2006年に就任したレーブ監督の下、ユーロ2008準優勝や2014年ブラジル・ワールドカップ優勝など多くの成功を収めたマンシャフトだが、ロシアW杯での屈辱のグループリーグ敗退以降、凋落の一途を辿っている。それでも、今予選ではオランダ、北アイルランドを退けてグループCを貫録の首位通過を果たした。

ここ数年の成績不振もあり、今大会後の退任を明言したレーブ監督は、世代交代を理由に事実上の引退勧告を行ったDFフンメルス(ドルトムント)、MFミュラー(バイエルン)の重鎮を急遽呼び戻すなど、なりふり構わぬ姿勢で自身の有終の美を飾ろうと躍起になっている。そして、直近のテストマッチでは恥を忍んで呼び戻した2選手が早速存在感を発揮するなど、良い形で本大会を迎えることになった。

試合日程に関してはフランスとポルトガルとの直接対決の後にハンガリーとの対戦を残しており、最終節で直接対決となるライバル2チームが談合試合を行う可能性も否定できず、最初の2試合でいかに勝ち点を拾うかが突破のカギを握る。

注目選手は2018年11月以来、約2年半ぶりの復帰となったMFトーマス・ミュラー。2010年のデビュー以降、長らくマンシャフトの主力として活躍してきた百戦錬磨のアタッカーは、代表引退勧告後も所属するバイエルンでは健在ぶりを発揮。とりわけ、今大会後の代表監督就任が内定しているハンジ・フリックの下ではトップ下を主戦場に、2年連続リーグ戦アシスト王に輝くなど、アタッキングサードで違いを生み出し続けている。その卓越したポジショニングセンス、プレー精度、献身的な守備は唯一無二であり、ここ最近勝負弱さが目立つチームに多くのプラスアルファをもたらしてくれるはずだ。また、ワールドカップでは16戦10ゴールと驚異的な決定力を発揮している一方、ユーロでは通算11試合でノーゴールとなっており、今大会での初ゴールにも期待したいところだ。

◆グループ最弱評価の中、かき乱し役となれるか~ハンガリー~
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最高順位/3位
予選戦績/4勝4敗(グループE4位)
監督/マルコ・ロッシ
注目選手/GKペーテル・グラーチ(RBライプツィヒ)

2大会連続4度目の出場となるハンガリーは、グループ最弱の前評判を覆し、2大会連続のグループリーグ突破を目指す。東欧の古豪は前大会で下馬評を覆すグループリーグ突破を飾り復権の兆しを見せた。そして、今予選ではグループEでクロアチア、ウェールズ、スロバキアに次ぐ4位フィニッシュとなったが、プレーオフではブルガリア、アイスランドを続けて撃破し、2大会連続の本大会行きを決めた。

通常のグループであれば、勝ち点次第で3位突破の可能性が十分にあると言いたいところだが、優勝候補3チームが並ぶ今回のグループにおいては勝ち点奪取が目先の目標となる。すべての試合で守勢が見込まれる中、チーム一丸となった守備で接戦に持ち込めるか。

注目選手は同僚DFオルバン、主砲FWアダム・サライ(マインツ)と共に長らくブンデスリーガで活躍するRBライプツィヒの守護神ペーテル・グラーチだ。近年躍進を続けるライプツィヒを最後尾から支え続ける31歳は、卓越したシュートストップ、ハイラインの背後をケアする守備範囲の広さ、安定した足元の技術と総合力が高いGKだ。今季のブンデスリーガではドイツの守護神ノイアー(バイエルン)を抑えて最優秀GK(最多クリーンシート)に輝いており、今大会においても最後の壁として存在感を発揮したいところだ。

【試合日程】
◆第1節
▽6/15(火)
《25:00》
ハンガリー vs ポルトガル
《28:00》
フランス vs ドイツ

◆第2節
▽6/19(土)
《22:00》
ハンガリー vs フランス
《25:00》
ポルトガル vs ドイツ

◆第3節
▽6/23(水)
《28:00》
ポルトガル vs フランス
ドイツ vs ハンガリー

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エゴと献身性の相反する能力を持ち合わせたアフリカ最高のストライカー、サミュエル・エトー

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“笑顔”が似合う稀代の天才、記録以上に記憶に残るロナウジーニョ

サッカー界にはこれまでも数々の天才と呼ばれる選手は存在した。 大半はその国を代表する選手であり、引退後もレジェンドとして大きく扱われ、事あるごとに駆り出されることが多い。もちろん、タイトルも獲得し、名実ともに世界的に名の知れた選手たちだ。 テクニックのある選手、多くのゴールを決めた選手、タイトルを数多く獲った選手など様々。中には、スタジアムや大会に名を残す人もいる。 数いる天才の中、最もサッカーを楽しみ、最も楽しませてくれた男と言っても過言ではないのがロナウジーニョだ。 <span class="paragraph-title">◆“笑顔”が似合う天才</span> ロナウジーニョの名前を聞いてまず最初に思い浮かべるのは何か。素晴らしいテクニック、あっと驚くパフォーマンス…どれも間違ってはいないが、やはりあの“笑顔”だろう。 ロナウジーニョ以上にタイトルを獲った選手も、ロナウジーニョ以上に功績を残した選手も多くいる中、あの笑顔でプレーを続けた選手はいない。誰よりもサッカーを楽しみ、それがどんな場面であっても崩れることはない。まるで遊んでいるかのようなプレースタイルは、一気にファンを虜にした。 その笑顔には歴代のレジェンドたちも称賛の言葉を残しておりミシェル・プラティニ氏は「あの笑顔でみんなを引きつける」と評価すると、最大のライバルであるアルゼンチンのレジェンドであるディエゴ・マラドーナ氏も「楽しそうにプレーし、その喜びをピッチにもたらしている」と称賛したほどだ。 そのロナウジーニョはブラジルのグレミオでキャリアをスタート。2001年にパリ・サンジェルマン(PSG)に引き抜かれヨーロッパへと渡る。 当時のPSGは今のクラブとは違い、多くの資金をバックに選手を獲得していたわけではなかった。それでも、その才能には多くのクラブが注目しており、アーセナルもPSGより前に目をつけていた。しかし、イギリスの労働許可証が取得できずに断念していた過去もある。 自身初のヨーロッパ挑戦となったロナウジーニョ。テクニックの高さはあるものの、激しいプレースタイルのフランスで当初は苦しむ。 しかし、徐々にサッカーに慣れると、得点を奪うようになる一方で、ブラジル人に有りがちなピッチ外での問題で監督との仲も怪しくなった。 <span class="paragraph-title">◆キャリアを変えたバルセロナへの移籍</span> 2003-04シーズンにバルセロナへと加入したロナウジーニョ。この移籍がキャリアを大きく変えることとなる。 バルセロナが当初狙っていたのはマンチェスター・ユナイテッドのイングランド代表MFデイビッド・ベッカムだったが、宿敵レアル・マドリーへの移籍が決定してしまう。そこで、バルセロナはユナイテッドが狙っていたロナウジーニョに手を出し、獲得に成功する。 バルセロナ加入当初もケガなどで苦しんだロナウジーニョだが、ここでも慣れると才能を発揮。高いテクニックを生かしたプレーや、緩急をつけたドリブル、ボディフェイントを駆使した突破など、対峙するディフェンダーを翻弄させ続けた。 現在バルセロナのエースであるアルゼンチン代表FWリオネル・メッシのキャリアスタート時にも共にプレー。メッシの凄さは説明するまでもないが、そのメッシを上回るほどの存在感を見せていたのはロナウジーニョだった。 バルセロナではラ・リーガで2度、チャンピオンズリーグで1度と数多くのタイトルを獲得したわけではない。しかし、印象に残るプレー、印象に残るゴールは数々残しており、バルセロナで大きな成功を収めている印象が強いはずだ。 その後はミランやフラメンゴ、アトレチコ・ミネイロ、ケレタロ、フルミネンセと渡り歩き、現役を引退している。 <span class="paragraph-title">◆記録よりも記憶に残る天才</span> ロナウジーニョのプレーは、挙げればキリがないほど記憶に残るスペクタクルなプレーが数多くある。 輝かしいキャリアとなったバルセロナでは、初ゴールが何よりも衝撃だった。 2003年9月3日のラ・リーガ第2節セビージャ戦。バルセロナ1点ビハインドの0-1で迎えた58分、GKビクトール・バルデスが左サイドのロナウジーニョに展開すると、ボールを受けたロナウジーニョはドリブルを開始。まずは相手MFホセ・ルイス・マルティを簡単にかわすと、追いかけてきたMFハビエル・カスケーロもフェイントでいなす。そして、スピードに乗ったロナウジーニョはゴールまでおよそ27mの位置から右足を一閃。矢のようなシュートは、相手GKアントニオ・ナタリオの手をかすめ、クロスバーを直撃してゴールに吸い込まれた。 <div class="dugout-video dugout-embed-eyJrZXkiOiJrWGVOMUc3NCIsInAiOiJ1bHRyYXNvY2NlciIsInBsIjoiIn0="></div><script type="text/javascript" src="https://embed.dugout.com/v3.1/ultrasoccer.js"></script> これが、ロナジウジーニョ伝説のスタートとなるラ・リーガ初ゴール。いきなり見せつけた格好となった。 数々のドリブルスキルで翻弄されたDFもたくさんおり、多くの相手が止めるのに苦労したロナウジーニョ。本人はその試合中にも笑顔を絶やさず、常に楽しそうにプレーを続けていた。 その姿はありえない相手からの称賛を受けることにもつながる。 <span class="paragraph-title">◆ベルナベウでのスタンディングオベーション</span> それが起こったのは、2005-06シーズンの11月に行われた、レアル・マドリーとの“エル・クラシコ”だ。 前年の2004-05シーズンにはFIFA最優秀選手賞を受賞したロナウジーニョ。シーズン最初の“エル・クラシコ”で圧巻プレーを見せる。 リオネル・メッシのゴールで先制したバルセロナ。59分にロナウジーニョがまずは見せる。 ハーフウェイライン付近の左サイドからドリブルを開始したロナウジーニョは、対峙したDFセルヒオ・ラモスを簡単にかわして侵攻。そのままボックスに入り込むと、立ちはだかったDFイバン・エルゲラに対し全くスピードを落とすことなく、上半身のボディフェイントだけで何事もなかったようにエルゲラをかわしてシュート。ロベルト・カルロスが必死にブロックするも、間に合わずにゴールを奪う。 さらに、77分には、スペースがある中でロナウジーニョがパスを受けると、一気にスピードを上げてドリブル開始。再び対峙したDFセルヒオ・ラモスをあっさりかわすと、ボックス内左から冷静にシュート。2点目を奪ってみせたのだ。 <div class="dugout-video dugout-embed-eyJrZXkiOiJQZkNxdVk5YiIsInAiOiJ1bHRyYXNvY2NlciIsInBsIjoiIn0="></div><script type="text/javascript" src="https://embed.dugout.com/v3.1/ultrasoccer.js"></script> 圧巻の個人技で2発。若き日のセルヒオ・ラモスをいとも簡単にかわしてゴールを奪ったロナウジーニョに対し、サンティアゴ・ベルナベウに詰め掛けた8万7000人もの観客は、スタンディングオベーションでそのパフォーマンスを称えた。 永遠のライバルであるレアル・マドリーのファンにまでも、拍手をさせたロナウジーニョのプレーはこの世のものとは思えないと言えるだろう。 <span class="paragraph-title">◆ロナウジーニョらしさが凝縮した一撃</span> チームが敗れてもなおインパクトを残しているシーンもある。それがバルセロナ2シーズン目。2004-05シーズンのチャンピオンズリーグ ラウンド16のチェルシー戦でのゴールだ。 <div class="dugout-video dugout-embed-eyJrZXkiOiJHOHVITjdkSiIsInAiOiJ1bHRyYXNvY2NlciIsInBsIjoiIn0="></div><script type="text/javascript" src="https://embed.dugout.com/v3.1/ultrasoccer.js"></script> 2005年3月8日に行われた試合。ホームでの1stレグで2-1と先勝していたバルセロナは、準々決勝進出に向けて敵地で対戦。しかし、開始19分でまさかの3失点という衝撃の展開となる。 逆転を許しているバルセロナだったが、ロナウジーニョはPKを決めて1点差とすると、39分に衝撃のゴールを決めた。 前線にロングボールが送られるもジョン・テリーがクリア。しかし、これを拾ったアンドレス・イニエスタが横パスを出すと、ペナルティアークでロナウジーニョがパスを受ける。 すると、リカルド・カルバーリョが立ちはだかるも、ロナウジーニョは左、右とキックフェイント。動じないカルバーリョだったが、一瞬の隙を突いたロナウジーニョは突然トゥキック。狭いコースを抜けたシュートはゴール左隅に吸い込まれた。 チェルシーの守護神であり、世界でも指折りのGKだったペトル・チェフも全く反応できない完璧なゴール。まるで時を止めたかのようなシュートはロナウジーニョを語る上で外せないゴールだ。なお、試合はチェルシーが追加点を奪い、バルセロナは敗退。しかし、ロナウジーニョのゴールの衝撃が強すぎる試合となっている。 記録以上に記憶に残る数々のプレーを見せてきたロナウジーニョ。引退後は何かとお騒がせなイメージもあるが、その時でも“笑顔”は忘れない。いつだって楽しむことを忘れない稀代の天才は、この先どんな凄い選手が現れようとも、その存在が薄れることはないだろう。 <div id="cws_ad"><hr>パリ・サンジェルマンやバルセロナ、ミランなどのクラブチームで活躍し、ブラジル代表としてもワールドカップを制したロナウジーニョが大人気スポーツ育成シミュレーションゲーム『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』(サカつくRTW)に登場!<br/><br/>現役時代に魅せた誰もを魅了するスーパープレーが『サカつくRTW』でも再現。是非一度チェックしてみよう。</div> <a href="https://web.ultra-soccer.jp/link.php?url=https://ryan.onelink.me/C7cD/f7dd12&c=sega_20210715_2" target="_blank"><div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/900/img/2021/sega20210715.jpg" style="max-width:100%;"></div></a> 2021.07.19 11:40 Mon
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【ユーロ2020/グループF総括】3強勝ち抜けもハンガリー奮闘で“死の組”に相応しい大混戦に

ユーロ2020のグループステージが6月23日に終了した。前大会王者、世界王者、ドイツの強豪3チームが同居したグループFは“死の組”という前評判通りの大混戦に。その中で唯一無敗のフランスが首位通過し、ドイツとポルトガルも共に決勝トーナメント進出。一方、敗退となったハンガリーだったが、強豪相手に大奮闘を見せてかき回し役を見事に完遂した。 ■順位表■ 1.フランス(勝ち点5) 2.ドイツ(勝ち点4) 3.ポルトガル(勝ち点4) 4.ハンガリー(勝ち点2) ■試合結果■ ▽第1節 ハンガリー 0-3 ポルトガル フランス 1-0 ドイツ ▽第2節 ハンガリー 1-1 フランス ポルトガル 2-4 ドイツ ▽第3節 ポルトガル 2-2 フランス ドイツ 2-2 ハンガリー ◆攻守に課題残すも貫録の首位通過~フランス~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210624_102_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> ベルギーらと並んで今大会の優勝候補筆頭に挙がるフランスは、攻守に課題残すも1勝2分けの無敗で首位通過を決めた。試金石となったドイツとの初戦では決勝点こそオウンゴールも、持ち味の堅守速攻を武器に多くの決定機を創出した上、相手の攻撃陣を危なげなく封じた。だが、第2節ではハンガリー相手に攻撃が停滞し、不用意な形で失点を喫するなど、消化不良のドローに。最終節ではポルトガル相手にPK2本で追いつかれるも、ここまで結果が出ていなかったFWベンゼマに2ゴールが生まれるなど最低限のドローに持ち込み、首位通過を果たした。 MFカンテとMFポグバのゴールデンコンビの安定感に加え、FWムバッペ、ベンゼマ、FWグリーズマンのトリデンテの連携にも磨きがかかっており、今後はしり上がりに調子を上げていくことが期待される。その一方で、DFリュカとDFディーニュの左サイドバック2人を中心に数人の負傷者が出ているところは懸念材料だ。ただ、ラウンド16の対戦相手はグループA3位通過のスイスとやや力が劣る相手だけに徐々にかみ合い始めた攻撃陣を軸に押し切りたい。 ◆守備改善急務も前大会王者振り切る~ドイツ~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210624_102_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 最終節の残り20分まで敗退危機に陥っていた中、不屈のゲルマン魂を見せて最低限の目標であるグループリーグ突破を決めた。フランスとの初戦ではボールを持たされた際、崩しの局面でのアイデア、パワーに欠けた上、MFキミッヒの右ウイングバック起用などに注文が付いたが、第2戦では指揮官の良い意味での頑固さが大勝をもたらす結果に。ポルトガル戦ではキミッヒとMFゴセンズの両ウイングバックに高い位置を取らせてサイドバックの守備に難がある相手を力業でねじ伏せて4-2の大勝を飾った。 ただ、この大勝で波に乗るかに思われた最終節ではハンガリーの攻守両面に渡るハードワークに屈し、2度のリードを許す窮地に追いやられた。それでも、リスクを冒した攻めからMFハヴァーツ、MFゴレツカのゴールでドローに持ち込み、直接対決で勝利している前回王者を振り切っての2位通過を決めた。ラウンド16ではグループDを首位通過したイングランドとの対戦が決まっており、快足を揃える相手の攻撃陣に対して、グループリーグを通じて問題となっているDFフンメルスのアジリティ不足など守備面の修正を施したい。 ◆エース躍動も指揮官采配に疑問符~ポルトガル~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210624_102_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 大会連覇を目指すポルトガルだが、奇しくも前大会と同じ3位で決勝トーナメントに進出することになった。ハンガリーとの初戦では苦しみながらも試合終盤の3ゴールによって快勝スタートを飾ったが、第2節ではドイツに屈辱の2-4で大敗。最終節ではフランス相手に2-2のドローに持ち込んだが、結果内容共に大きな課題を残すグループリーグの戦いとなった。 エースのFWクリスティアーノ・ロナウドが3試合連続を含む最多5ゴールと抜群の存在感を放った一方、気がかりはフェルナンド・サントス監督の采配だ。MFダニーロとMFウィリアム・カルヴァーリョと配球力と機動力に欠ける2選手の併用にこだわり、2戦目ではドイツの5枚の攻撃陣に対して完全にウィークとなっていた4バックにテコ入れを行わず、チームを苦境に陥れていた。その采配の影響か、MFブルーノ・フェルナンデスがなかなか存在感を放てず、持ち味だった守備のソリッドさも欠いている印象だ。そういった中、ラウンド16ではグループBを首位通過した優勝候補ベルギーとの対戦が決定。[3-4-2-1]を採用する相手はドイツの戦い方を参考としてくるだけに、指揮官の修正力が勝敗のカギを握りそうだ。 ◆未勝利も大善戦~ハンガリー~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210624_102_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 組み合わせが決定した時点では勝ち点の草刈り場になると思われたハンガリーだったが、強豪相手に2つの引き分けに持ち込む大善戦を見せた。ポルトガルとの初戦では80分までほぼ互角の戦いに持ち込むも、試合終盤の連続失点で0-3の完敗。この敗戦によって大きく崩れるかに思われたが、満員のサポーターの後押しを受けた世界王者との一戦では攻守両面で素晴らしいハードワークを披露し、堂々たるドローゲームを演じた。さらに、最終節では主砲FWアダム・サライのゴールなどで強豪ドイツをあと一歩のところまで追い詰めた。結果的にはベスト16進出を果たした前大会及ばずも、チームとしての成長を感じさせる戦いぶりだった。 2021.06.26 12:30 Sat
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【ユーロ2020/グループE総括】スウェーデンが不振スペインを押し退けて首位通過

ユーロ2020のグループステージが6月23日に終了した。スペインの首位通過有力と見なされていたグループEだが、その本命の不振を受けてスウェーデンが首位通過を決めた。深刻な得点力不足に喘いだスペインも最終節の大勝によって2位通過となった。一方で、スロバキアとポーランドは無念のグループリーグ敗退となった。 ■順位表■ 1.スウェーデン(勝ち点7) 2.スペイン(勝ち点5) 3.スロバキア(勝ち点3) 4.ポーランド(勝ち点1) ■試合結果■ ▽第1節 ポーランド 1-2 スロバキア スペイン 0-0 スウェーデン ▽第2節 スウェーデン 1-0 スロバキア スペイン 1-1 ポーランド ▽第3節 スロバキア 0-5 スペイン スウェーデン 3-2 ポーランド ◆堅守ベースに攻撃も活性化~スウェーデン~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210624_101_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 下馬評では3番手評価も、見事首位で4大会ぶりの決勝トーナメント進出を果たした。大会前にFWイブラヒモビッチの不参加が決定した上、MFクルゼフスキとMFスベンベリの2選手が新型コロナウイルス感染によって序盤戦を欠場する苦境に立たされたアンデション率いるチーム。しかし、ロシア・ワールドカップで機能した堅守速攻の原点に立ち返ったチームは、2勝1分けの無敗で首位通過を決めた。スペインとの初戦をGKオルセン、DFリンデロフを中心とした堅守でゴールレスドローに持ち込むと、第2戦ではMFフォルスベリのPKによるゴールを守り切ってスロバキアに1-0の勝利。すでに突破を決めていた最終節ではポーランド相手に今大会初失点を喫したが、課題の攻撃陣が3ゴールを奪って決勝トーナメントに弾みを付ける劇的な勝利を飾った。 スペインを封じ込めた堅守をベースに、圧巻の個の打開力を見せたFWイサク、チーム最多の3ゴールを挙げたフォルスベリがけん引する攻撃ではポーランド戦でようやく初出場を飾ったクルゼフスキが持ち味の突破力を早速披露し、厚みを加えている。ラウンド16の対戦相手はグループCを3位通過したウクライナという、比較的与しやすい相手となっており、更なる躍進が期待されるところだ。 ◆ボールは握れど、攻撃に怖さなし~スペイン~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210624_101_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> グループ大本命と目されたスペインだったが、最終節でようやく初勝利を挙げての薄氷の2位突破となった。大会直前に主将MFブスケッツの新型コロナウイルス感染の影響により、直前のテストマッチを回避するなど、混乱に見舞われたラ・ロハ。初戦のスウェーデン戦は圧倒的にボールを握りながらも相手の堅守をこじ開けられなかったが、この一戦に関してはGKオルセンの再三の好守や調整の問題というエクスキューズがあった。 だが、問題は2戦目のポーランド戦でFWモラタやFWジェラール・モレノの決定力不足に加え、相手の守備ブロックに対してなかなか仕掛けのパスが入らず、個で局面を打開できる選手の不在を含め、多くの課題を露呈しての1-1のドローに終わった。最終節のスロバキア戦ではブスケッツの復帰に加え、相手のミスによって序盤にゴールを奪えたことで、MFサラビア、FWフェラン・トーレスらのゴールなどによって5-0の大勝を飾ったが、お世辞にも優勝候補とは言えない低調なグループステージとなった。グループDを2位通過したクロアチアと対峙するラウンド16では、多くの批判を浴びたモラタらアタッカー陣の奮起に加え、MFペドリやMFダニ・オルモといった若きタレントの覚醒が求められる。 ◆1勝も得失点差に泣く~スロバキア~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210624_101_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> グループ4番手の評価を覆して3位フィニッシュとなったスロバキアだったが、最終節での大敗が響き得失点差によってグループリーグ敗退となった。ポーランドとの初戦では相手GKシュチェスニーのオウンゴールやMFクリホヴィアクの退場と相手の自滅に助けられて白星スタートを飾った。また、2節のスウェーデン戦でも守備的な戦いで勝ち点1に近づいたが、最終的に0-1で競り負けた。そして、最終節では守護神ドゥブラフカに痛恨ミスが出るなど守備が崩壊し、0-5の屈辱的な大敗となった。DFシュクリニアルなど守備陣の奮闘は目立ったものの、初戦を除き攻撃陣はほとんど決定機を作り出せず、今後に向けてはストライカーを中心にアタッカーの台頭が求められるところだ。 ◆エース存在感示すも未勝利~ポーランド~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210624_101_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 下馬評ではスペインと共に突破の本命だったポーランドだったが、最終的に未勝利で大会を去ることになった。バイエルンでの自身初のゴールデンシュー(欧州得点王)の肩書を引っ提げて臨んだFWレヴァンドフスキはスペイン戦で1ゴール、スウェーデン戦で2ゴールとさすがの存在感を発揮したが、チームは3戦6失点と守備面で苦戦を強いられた。ただ、大会最年少デビューを飾った17歳MFコズウォフスキ、MFジエリンスキに加え、ケガで大会欠場となったFWミリクらが順調に成長すれば、カタール・ワールドカップでの巻き返しが期待できるはずだ。 2021.06.26 12:00 Sat
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【ユーロ2020/グループD総括】下馬評通りイングランドが首位突破!クロアチアとチェコも決勝Tへ

ユーロ2020のグループステージが6月23日に終了した。グループDは下馬評通りの順当な結果となった。大本命のイングランドが2勝1分け無敗で堂々の首位通過を果たし、クロアチアとチェコはほとんど同じ成績となったが、共に白星を挙げたスコットランド戦のスコア差でクロアチアが2位でグループ突破。しかし、3位となったチェコも成績上位4チームに入って16強入り。スコットランドは唯一イングランドに善戦も、未勝利で大会を去ることになった。 ■順位表■ 1.イングランド(勝ち点7) 2.クロアチア (勝ち点4)※得失点3 3.チェコ(勝ち点4)※得失点2 4.スコットランド(勝ち点1) ■試合結果■ ▽第1節 イングランド 1-0 クロアチア スコットランド 0-2 チェコ ▽第2節 クロアチア 1-1 チェコ イングランド 0-0 スコットランド ▽第3節 クロアチア 3-1 スコットランド チェコ 0-1 イングランド ◆攻撃陣不発も堅実な戦いで次なるステップへ~イングランド~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210625_100_tw.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 開幕前は優勝候補の一角と目されながらも、グループステージから苦戦が続いたイングランド。世界最高峰のプレミアリーグで活躍する猛者たち顔を揃え、予選の様な圧倒っぷりを期待したが、大舞台に弱い傾向が今回も見られ、初戦のクロアチア戦から攻撃面でやや不安の残る結果に。 続くスコットランド戦でも、個々の能力に対し連携が伴わずチグハグな攻撃に終止。逆に宿敵相手に何度も決定機を作られ、あわや歴史的勝利を献上かという試合内容に。そして最終節のチェコ戦も主導権を握りながらも1ゴールにとどまり、グループステージは予選に37得点を挙げた攻撃陣が鳴りを潜める、わずか2得点という冴えない結果だった。 とはいえ、クロアチア戦のトリッピアーの左サイドバック起用など、守備戦術にこだわりを持つサウスゲイト監督の下、3試合で見事クリーンシート。派手さはなかったものの、堅実な戦いで次のステップへ歩を進めた。 ◆躍進の鍵はやはりモドリッチ~クロアチア~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210625_100_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 初戦でグループD本命のイングランドに敗れ、難しいスタートとなったクロアチア。2戦目のチェコ戦も、ラキティッチやマンジュキッチといった個で試合を作れた柱となる選手がチームから去ったことで、準優勝した2018年のワールドカップほどの創造性が欠けていた印象だ。 それでも、グループ突破のかかった最終節のスコットランド戦は攻撃を一手に担う主将モドリッチが躍動。先制点の起点となったパスに始まり、同点の中で沈めたアウトサイドを巧みに操ったゴラッソ、そして試合を決定づける3点目をアシストするなど全得点に絡む活躍で、2大会連続の決勝トーナメント進出に導いた。 ◆守護神躍動でベスト16滑り込み~チェコ~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210625_100_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 同グループではイングランドに並ぶ最多10度目の出場となったチェコは、開幕直前にGKパブレンカの負傷離脱に見舞われた中、その無念を背負う守護神ヴァツリークがまさに神懸かったセービングでチームを救い続けた。初戦のスコットランド戦では、相手のロバートソンのミドルシュートを片手でわずかにコースを変えて枠の外に書き出すと、後半にも2度のピンチを凌いで無失点に貢献。一方、攻撃では大会ベストゴール候補に挙げられるシックの超ロングシュートが決まるなど、初戦から見どころの多い試合に。 2戦目以降もこの勢いのまま押し切りたかったが、クロアチア戦はシックのPKで先制しながらもドローに持ち込まれ、最終節のイングランド戦はほとんど主導権を握られたまま敗戦。攻撃面でなかなか決定的な役者が現れず得点に苦労したが、先述のように成績上位4チームに入ったことで、ベスト16へ2大会ぶりに駒を進めている。 ◆6大会ぶり出場も史上初のGS突破ならず~スコットランド~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210625_100_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 6大会ぶりのユーロはほろ苦い結果に。予選ではグループ突破とはならず、ネーションズリーグの成績からプレーオフに回り、イスラエルとセルビアを下して3度目の本大会出場を果たしたスコットランド。下馬評では最下位が大方の予想ではあったが、プレミアリーグで実績を残している実力者も擁していることから、ダークホース的な立ち回りも期待されていた。 しかしながら結果は1分け2敗。イングランドに唯一渡り合えたポイントは評価すべきだが、普段以上にモチベーションが高められる特別な相手だったことも事実。主将を務めたロバートソンは「この国のキャプテンであることを誇りに思う」と胸を張ったが、史上初のグループ突破は今回も叶わなかった。 2021.06.25 19:00 Fri
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