【2022年カタールへ期待の選手㊾】「ガンバ基準を落としちゃいけない」。再開序盤戦で苦しむ山口の救世主となり、東京五輪へ/高宇洋(レノファ山口FC/MF)
2020.07.15 16:00 Wed
「僕だけじゃなくて、見ている人みなさんが気づいていると思いますけど、ヤンの成長っていうのはホントに目に見えるようなスピードで進んでいる。彼の性格、向上心、成長への欲求はもちろんですけど、ちゃんと頭の中で考えてサッカーをやるようになってきた。自分のストロングや課題をしっかり理解したうえで、両面にわたって積極的なトライをしてくれている。勝利のカギを握る選手の1人に成長してくれたなと実感しています」
2016年末まで日本サッカー協会技術委員長を務め、現在はレノファ山口の指揮を執る霜田正浩監督が太鼓判を押した通り、同チームの背番号6をつける男・高宇洋が再開後のJ2で大きな存在感を示している。
6月27日のファジアーノ岡山戦以降、夏場の連戦の中、フィールドプレーヤー唯一の4試合フル出場。「今、バテてたらこの先ヤバいんで」と冗談交じりに笑う余裕をのぞかせる彼だが、際立っているのは自慢の走力やタフさだけではない。守備面では中盤で球際の厳しさと寄せの激しさを押し出し、数々の局面でピンチを未然に防いでいる。攻撃面でも、11日のジュビロ磐田戦でイウリの得点につながったタテパスに象徴されるように「タテへの意識」が格段に上がっているのだ。
「昨年の夏にガンバ(大阪)から山口に来て、今は『中心でやっていく』という自覚を持ってやってます。最近の個人的なパフォーマンスにも手ごたえを感じていて、ビルドアップでもギリギリまで相手が見えているし、タテパスの本数も増えて、プレーエリアが広くなっていることを実感しています。
ガンバの時にはヤットさん(遠藤保仁)、コンさん(今野泰幸=磐田)もいて、学ぶところが非常に多かった。今はJ2ということで少し落ちますけど、自分の中ではガンバ時代のプレーのイメージはつねに残ってますし、絶対にレベルを下げちゃいけないって思ってる。レノファでしっかり試合に出ている分、自分やチームのクオリティを上げることを考えながら取り組んでます」と彼はつねに高い領域を貪欲に追い求めている。
「シュートを決め切る部分だったり、アシストってところで、今季はその数字にもこだわっている。そこで結果を出して、チームを勝たせられるかどうかが重要だと思います」と高自身が語る一方、霜田監督も「彼は守備的なMFではなく、攻撃も守備もできるセンターハーフ。ボックスからボックスに走れるようなセンターハーフに育てたいし、彼ならばそれができると思っている」と高い要求を突きつけている。尊敬する遠藤や今野のように中盤からのミドルシュートや意表を突く飛び出しでゴールを奪えるようになれば、山口ももっと楽な戦いができるはず。イウリら前線のアタッカー陣を生かすことも大切だが、高はもっとエゴイストになっていいだろう。
そのうえで、目指すべきところは、J1復帰であり、1年後に延期された東京五輪出場だ。昨年のトゥーロン国際トーナメントに参戦した後、「いつか必ずJ1で活躍できる選手になる」と強い覚悟と決意を持ってガンバから山口に赴いた彼にとって、J1昇格は至上命題と言っていい。目下、大宮アルディージャとVファーレン長崎がトップを走っているが、夏場のハードスケジュールに5人交代など過去にないレギュレーションの今季だけに、この先、何が起きるか全く分からない。いかにしてこの停滞感を払拭し、勝ち点を重ねていくのか……。それを高は率先して考え、ピッチ上で表現していくことが肝要だ。地道に実績を積み重ねることでしか、輝かしい未来は開けてこない。
「五輪のことはあまり考えてないけど、今やれることをやるしかない。J2という舞台で好パフォーマンスを見せて、結果を出すしかない。それはガンバの時からずっと同じです。来年の五輪代表の強化体制が決まって、大会直前以外は横内(昭展)さんが指揮を執ることになりましたけど、僕が去年参加したトゥーロンの時も横さんが監督だった。結果も出たし、やってるサッカーもすごい楽しかったんで、僕らにとってはチャンスがあると思います」
どんな状況下でもポジティブシンキングを忘れないのが、高のいいところ。彼の主戦場であるボランチは欧州組の中山雄太(ズウォレ)やA代表予備軍と言われる田中碧(川崎)、田中駿汰(札幌)らがひしめく激戦区だが、参入の余地がないわけではない。霜田監督の力強い後押しを受け、ハードな2020シーズンにさらなる飛躍を遂げることができれば、大舞台に立てる可能性も十分あるはずだ。タフでアグレッシブな男がレノファをどのように立て直し、上位躍進へと導いていくのか。今後の彼の一挙手一投足から目が離せない。
2016年末まで日本サッカー協会技術委員長を務め、現在はレノファ山口の指揮を執る霜田正浩監督が太鼓判を押した通り、同チームの背番号6をつける男・高宇洋が再開後のJ2で大きな存在感を示している。
6月27日のファジアーノ岡山戦以降、夏場の連戦の中、フィールドプレーヤー唯一の4試合フル出場。「今、バテてたらこの先ヤバいんで」と冗談交じりに笑う余裕をのぞかせる彼だが、際立っているのは自慢の走力やタフさだけではない。守備面では中盤で球際の厳しさと寄せの激しさを押し出し、数々の局面でピンチを未然に防いでいる。攻撃面でも、11日のジュビロ磐田戦でイウリの得点につながったタテパスに象徴されるように「タテへの意識」が格段に上がっているのだ。
ガンバの時にはヤットさん(遠藤保仁)、コンさん(今野泰幸=磐田)もいて、学ぶところが非常に多かった。今はJ2ということで少し落ちますけど、自分の中ではガンバ時代のプレーのイメージはつねに残ってますし、絶対にレベルを下げちゃいけないって思ってる。レノファでしっかり試合に出ている分、自分やチームのクオリティを上げることを考えながら取り組んでます」と彼はつねに高い領域を貪欲に追い求めている。
しかしながら、チームの方は足踏み状態が続いている。「今季は上位2位以内に入ってJ1昇格」を掲げる山口だが、再開後は1分2敗。7月5日の愛媛FC、11日の磐田戦ではともにリスタートから前半終了間際に失点し、ビハインドを跳ね返せないまま黒星を喫する形になっている。ボールを支配してサイドの幅を使いながら攻めるというコンセプト通りの試合運びはできているのだが、勝利と言う結果がついてこないのは高としても納得できないところ。「自分がチームを勝たせられる選手にならないといけない」と本人も語気を強める。
「シュートを決め切る部分だったり、アシストってところで、今季はその数字にもこだわっている。そこで結果を出して、チームを勝たせられるかどうかが重要だと思います」と高自身が語る一方、霜田監督も「彼は守備的なMFではなく、攻撃も守備もできるセンターハーフ。ボックスからボックスに走れるようなセンターハーフに育てたいし、彼ならばそれができると思っている」と高い要求を突きつけている。尊敬する遠藤や今野のように中盤からのミドルシュートや意表を突く飛び出しでゴールを奪えるようになれば、山口ももっと楽な戦いができるはず。イウリら前線のアタッカー陣を生かすことも大切だが、高はもっとエゴイストになっていいだろう。
そのうえで、目指すべきところは、J1復帰であり、1年後に延期された東京五輪出場だ。昨年のトゥーロン国際トーナメントに参戦した後、「いつか必ずJ1で活躍できる選手になる」と強い覚悟と決意を持ってガンバから山口に赴いた彼にとって、J1昇格は至上命題と言っていい。目下、大宮アルディージャとVファーレン長崎がトップを走っているが、夏場のハードスケジュールに5人交代など過去にないレギュレーションの今季だけに、この先、何が起きるか全く分からない。いかにしてこの停滞感を払拭し、勝ち点を重ねていくのか……。それを高は率先して考え、ピッチ上で表現していくことが肝要だ。地道に実績を積み重ねることでしか、輝かしい未来は開けてこない。
「五輪のことはあまり考えてないけど、今やれることをやるしかない。J2という舞台で好パフォーマンスを見せて、結果を出すしかない。それはガンバの時からずっと同じです。来年の五輪代表の強化体制が決まって、大会直前以外は横内(昭展)さんが指揮を執ることになりましたけど、僕が去年参加したトゥーロンの時も横さんが監督だった。結果も出たし、やってるサッカーもすごい楽しかったんで、僕らにとってはチャンスがあると思います」
どんな状況下でもポジティブシンキングを忘れないのが、高のいいところ。彼の主戦場であるボランチは欧州組の中山雄太(ズウォレ)やA代表予備軍と言われる田中碧(川崎)、田中駿汰(札幌)らがひしめく激戦区だが、参入の余地がないわけではない。霜田監督の力強い後押しを受け、ハードな2020シーズンにさらなる飛躍を遂げることができれば、大舞台に立てる可能性も十分あるはずだ。タフでアグレッシブな男がレノファをどのように立て直し、上位躍進へと導いていくのか。今後の彼の一挙手一投足から目が離せない。
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2025.05.07 17:40 Wed
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レノファ山口FCは12日、MF高井和馬(25)が入籍したを発表した。なお、お相手は女優の松尾薫(24)とのことだ。 結婚したことを受けて、高井はクラブ公式サイトで以下のようにコメントしている。 「私事ではございますが、このたび入籍しましたのでご報告させていただきます。より一層の責任を持ち、選手としても人としても成長していきたいと思います。これからも応援よろしくお願いします」 一方の松尾さんも自身のインスタグラム(kaoru_matsuo78)で以下のように入籍を報告している。 「【ご報告】」 「応援してくださってる皆様 お世話になっている皆様」 「私事で大変恐縮ですが、ご報告があります。この度、かねてよりお付き合いをさせて頂いておりました レノファ山口FCに所属する高井和馬さんと入籍致しました」 「どんな時もサッカーに真剣に向き合い努力を怠らない姿勢に惹かれ 支えていきたいと思いました。これからもお互いを思いやり温かく笑顔いっぱいの家庭を築いていきたいと思っています」 「お仕事につきましては、今後ともより一層の感謝の気持ちを忘れず精進していきます」 「まだまだ未熟な二人ではありますが、皆さまにも応援していただけるような素敵な夫婦になれるように努力を重ねてまいりますので温かく見守っていただけたら嬉しいです。松尾薫」 2017年にザスパクサツ群馬でプロキャリアをスタートさせた高井は、東京ヴェルディを経て、2018年夏に山口へ加入。昨シーズンは明治安田生命J2リーグ38試合で8ゴールを記録していた。 松尾さんは2005年に芸能界デビュー。『あなたの番です』や『ストロボ・エッジ』などのテレビドラマや映画などに出演している。 2020.02.12 11:45 Wed4
レノファ山口の壮大な計画/六川亨の日本サッカーの歩み
先週末はキリンチャレンジ杯の日本対コロンビア戦を取材後、24日は次の試合会場である神戸を通り越し、山口で行われたJ2の山口対栃木の試合を取材した。 昨シーズンの山口は前半戦で2位につける躍進を果たしたものの、夏場にエースストライカーに成長した小野瀬(山口で25試合出場10ゴール)をG大阪に引き抜かれると失速し、8位でシーズンを終えた。それでも監督として初采配を振るった霜田氏は「守備を固めて1点を奪うサッカーではJ1に昇格してもすぐに降格してしまう」と、あくまでボールを支配して攻撃的なサッカーを貫く姿勢に代わりはなかったからだ。 初めて訪れた維新みらいふスタジアムは収容人数1万5千人を超えるJ1規格のスタジアムである。そして栃木戦は後半15分過ぎからワンサイドゲームを展開し、シュートも21本対6本と圧倒しながらも前半27分にPKから失った1点を返せず、J2第5節終了次点で勝点3の21位に低迷している。 試合後の会見で霜田監督は「PKからの失点が3点、判断ミスからの失点が4点あるが、ミスは仕方がない。ミスを失点につながらないようにしたいし、攻めの姿勢はブレずに続けていきたい」と前を向いた。 霜田監督が攻撃的なサッカーにこだわるのは、J1昇格を最大目標としていないからだ。山口にサッカーをいかに根付かせるか。そのためには「見ていて楽しい攻撃的なサッカー」が必要だと考えている。 クラブとしての予算規模はJ2で中位クラス。そのため強化に手っ取り早い外国人選手を簡単には獲得できない。そこで他クラブの若手選手を補強し、自ら鍛えて結果を出し、他クラブに移籍させることで強化費を稼ぐという方法だ。このためシーズン半ばで山口を去った小野瀬にも「それなりのお金を残してくれたので感謝している」と言う。 その成功例があるため、昨シーズン終了後は山口への移籍を希望する若手選手も多かったそうだ。そして、いまは結果が出ていないものの、夏過ぎには他チームから声のかかりそうな選手も想定している。 そんな山口の悩みが、維新みらいふスタジアムだ。地元のファンはクルマで来場することが多いが、駐車場が不足しているため試合当日は隣接する土のグラウンドや地元企業の駐車場を借りて臨時場としている。他のアクセス手段としてJR山口線の大歳駅から徒歩10~15分程度とけして悪くない。 しかしJR山口線は単線の2輌編成のため、大量輸送は不可能だ。このため霜田監督は「せめて試合日は4輌編成にして欲しい」とお願いしている。さらに終電の時間も早いため、ナイターでの試合も開催できない。 こうしたハンデを克服すべく、すでに新スタジアム構想は立ち上がっているそうだ。収容人員2万5千人程度で、駐車場は1万台のキャパシティを想定している。そして単にスタジアムを造るのではなく、映画館を併設した大手ショッピングモールを始めとする複合施設の誘致にも着手している。まだ計画の端緒であるが、チームだけでなく地元企業や自治体も巻き込んだ壮大な計画でもある。 実際にスタジアムで取材して、面白いことも判明した。メインスタンドの記者席で観戦していると、後半なかばから西日が記者席に差し込んで左手にあたるピッチのプレーが見にくいのだ。 普通、太陽は東から昇り、西に沈む。このためスタジアムのメインスタンドは西に、バックスタンドは東に造られる。13時以降キックオフの試合では、メインスタンドは太陽を背にし、さらに屋根があるため陽が当たらない。逆にバックスタンドは日差しを浴びるため3月の試合でも暖かいことがある。 これが逆だと、夕方はメインスタンドが落陽のため西日を浴びるため試合を観戦しにくい。そして柏の日立台と、長居のキンチョウスタジアムは世界でも珍しく東西の位置が逆になっている。ところが維新みらいふスタジアムは東と西がゴールのある方向で、メインスタンドとバックスタンドは南北に位置している。 するとどうなるかというと、東側のゴールにいる選手、特にGKは西日をモロに浴びるため、プレーに支障が出る可能性が大なのだ。たぶん維新みらいふスタジアムで試合をする際に、コイントスで勝ってコートを選ぶ時は西側のコートを選択するのだろう。そうすれば、後半は西日を背中に攻めることができるからだ。 もともとスタジアムは2011年の国体のために造られただけに、そこまで配慮していなかったのだろう。これはこれで珍しいスタジアムでもある。このスタジアムから2駅先、タクシーなら1メーターで行けるところに湯田温泉という名湯があることも発見だった。アウェーの試合で山口に行く際は温泉地で骨休めすることをお勧めする。 2019.03.25 20:00 Mon5
