華麗な技と熱きハートでJを席巻した“妖精”ドラガン・ストイコビッチ

2019.10.25 08:00 Fri
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豊富なテクニックや創造性を持ち合わせた選手を多く輩出し、“東欧のブラジル”と称されたユーゴスラビア代表。しかし、その栄光は長くは続かなかった。

強豪国として、ヨーロッパで名を馳せていたものの、国家の解体に合わせて代表チームも1992年を最後に国際舞台から排除。制裁が解けた1998年のフランス大会がユーゴスラビアとして最後のワールドカップとなった。(後にセルビア・モンテネグロ代表やセルビア代表は出場)

そのユーゴスラビア代表の最後のメンバーであり、日本サッカー界にも多大なる影響を与えた男がいる。それが、ドラガン・ストイコビッチだ。
◆世界の舞台で活躍したキャプテン

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観客を魅了するプレーでJリーグの黎明期を支え、妖精を意味する“ピクシー”の愛称でも親しまれたストイコビッチ。ユーゴスラビア代表ではキャプテンを務め、同国の英雄でもあるストイコビッチは、キャプテンとして臨んだ母国最後のワールドカップで底力を見せつけた。

ドイツと同組になったユーゴスラビアは、初戦でイラン代表を下すと、2戦目のドイツ代表戦はストイコビッチを中心とした華麗なサッカーで試合を支配。自らもゴールを決め、一時は2-0とリードしたものの、結果は2-2のドローに終わった。

その後の3戦目のアメリカ代表戦にも勝利。グループリーグを2位で通過すると、決勝トーナメント1回戦ではオランダ代表と対戦。ストイコビッチが華麗にFKから同点弾をアシストしたが、後半アディショナルタイムに失点し、最後のワールドカップはベスト16に終わった。

ユーゴスラビアとして最後のワールドカップに出場したストイコビッチ。その舞台に立った時、すでにストイコビッチは名古屋グランパスでプレーしていた。
◆日本に衝撃を与えた“妖精”

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遡ること4年、1994年6月にストイコビッチは日本へとやってくる。その当時所属していたのは、フランスの名門・マルセイユ。現在は日本代表DF酒井宏樹が所属しているクラブだ。

ストイコビッチは、自身が生まれたセルビアのニシュでプロキャリアをスタート。ラドニツキ・ニシュの下部組織に14歳で入団すると、16歳でトップチームへ昇格。18歳でユーゴスラビア代表デビューを果たしている。

また、1984年のユーロでは、当時の大会最年少ゴールを記録。同年のロサンゼルス・オリンピックでは銅メダル獲得に貢献するなど順調にキャリアを積んだ。

持ち前の華麗なテクニックは多くの者を魅了し、ストイコビッチの存在はヨーロッパでも知れ渡る。加えて、その後多くのJリーグファンも体感することになる“闘志”を持ち合わせており、そのメンタリティがJリーグ、特に名古屋グランパスを大きく変貌させた。

◆名将と妖精の共演、名古屋の栄光

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ストイコビッチは、最終的に2001年まで名古屋に所属し、そのまま現役引退となったが、長年Jリーグでプレーを続けた要因の1つが名将の登場だ。

マルセイユで1992-93シーズンにチャンピオンズリーグを制した一員であり、リーグ5連覇を達成していたストイコビッチだったが、マルセイユの八百長が発覚。この影響でマルセイユはリーグ降格の処分も下された結果、ストイコビッチは半年間限定でヨーロッパを離れると決断し、名古屋へと加入した。

加入当初は、Jリーグのジャッジに馴染めずレッドカードやイエローカードを多く提示されていたストイコビッチだったが、チームの低迷に伴い新指揮官にアーセン・ヴェンゲル監督が就任することが決定。これにより、ストイコビッチもチームに残る決断を下した。

1995年シーズンも開幕当初は退場を繰り返したストイコビッチだったが、徐々に本領を発揮。かつての輝きを取り戻すと、リーグ戦で15ゴールを記録。また、天皇杯ではサンフレッチェ広島との決勝で勝利し、チームにタイトルをもたらした。ヴェンゲル監督の戦術とストイコビッチにけん引されたチームはついに花開き、ストイコビッチはこのシーズンのJリーグMVPを受賞している。

後にアーセナルの指揮官になるため、1996年9月に名古屋を離れたヴェンゲル監督だったが、その際にストイコビッチを連れて行くつもりだったと後に明かしている。しかし、ストイコビッチは名古屋との契約を延長。「家族」への想いもあり、名古屋へ留まることを決意する。
◆“イナット”でチームを鼓舞

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ユーゴスラビア代表でもキャプテンを務め、名古屋グランパスでもキャプテンを務めていたストイコビッチ。彼の人生は予想だにしない苦境の連続だった。

前述のマルセイユの八百長問題の前には、ユーゴスラビアが内戦の制裁を受けて1992年のユーロ出場権を剥奪。また、クロアチアがユーゴスラビアからの分離独立を宣言したことにより、ズボニミール・ボバンやダボル・シュケル、ロベルト・ヤルニらユーゴスラビアの主力選手がクロアチア国籍を選択し、チームを去っていった。

さらに、1999年にはNATO(北大西洋条約機構)によるユーゴスラビアへの空爆が開始。母国の政治問題にも翻弄されたサッカー人生だったが、ストイコビッチには“イナット”があった。

“イナット”とは、セルビア語で「意地」を意味するもの。追い込まれた状態を、一気にプラスに転換させるものであり、日本で言うところの「火事場の馬鹿力」だろうか。ストイコビッチは、この“イナット”でキャリアを積んできたと言ってもいい。

そのメンタリティは、名古屋でも影響を及ぼしている。Jリーグオリジナル10でありながら、優勝争いにすら加われていなかった名古屋だが、その闘志と“イナット”でストイコビッチはチームを牽引。ヴェンゲル監督の影響もあったが、チームは上位を争うチームに変貌を遂げた。

名古屋は、シーズン中に浮き沈みが激しいチームだったが、ここぞの場面でのストイコビッチのゴールがチームを救った。そして、諦めないメンタリティがチームメイトにも根付いていった。

ストイコビッチは、イエローカード、レッドカードを受ける回数が多かったのも、何もラフプレーが多かったわけではない。殆どが曖昧な判定への不服であり、抗議でカードを貰うことが少なくなかった。

プレー期間が長くない外国人選手だが、ストイコビッチは通算イエローカード数も外国人選手最多の72枚。レッドカードに至っては、Jリーグ最多の13枚だ。しかし、これは“イナット”の裏返しとも言える。

まだまだヨーロッパに比べてレベル差があった当時のJリーグでは、審判の能力も当然のことながら低かった。ストイコビッチは、自分が異を唱えることで、Jリーグのレベルと同時に、審判のレベルをも向上させていたのだ。

もちろん、自身が出場停止になることでチームの成績が落ちることもあったが、それすらもチームメイトを成長させた。華麗なテクニック、ゲームをコントロールする能力がありながら、メンタル面からもチームを鍛え直す、真の意味での“闘将”でもあったのだ。

◆妖精の魔法は続く

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名古屋で現役を退いたストイコビッチは、その後母国のサッカー協会会長や古巣であるツルヴェナ・ズヴェズダの会長を歴任した。

そして2008年、再び名古屋へと復帰。監督としてチームに戻ると、再び名古屋躍進の原動力となる。

就任1年目から、チームを優勝争いに押し上げると、2010年には名古屋にとって初となるJ1優勝を達成。間の2009年には、横浜F・マリノスのGK榎本哲也が蹴り出したボールを、革靴ながらダイレクトで蹴り返すと、ボールは見事にワンバウンドでゴールに吸い込まれた。(すぐに退席処分となったが、このシーンは世界中で話題となった)

引退してもなおチームに活力を与えたストイコビッチ。選手として、監督として名古屋に栄光をもたらせた“レジェンド”だ。常勝軍団である鹿島アントラーズにおけるジーコのような存在と言ってもよいかもしれない。

名古屋ファン、サポーターだけでなく、Jリーグのファン・サポーターにも愛されるストイコビッチ。華麗なテクニックと熱いハートを持つ“妖精”は今なお魅了し続けているのかもしれない。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
多くのJリーグファンを虜にしたドラガン・ストイコビッチが、大人気スポーツ育成シミュレーションゲーム『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』(サカつくRTW)に登場!

天皇杯を制した1999年の名古屋グランパス時代のストイコビッチがゲームで復活する。あの興奮が『サカつくRTW』で蘇ること間違いなし。この機会に是非一度チェックしてみよう。

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<span class="paragraph-title">【画像】勝るとも劣らない活躍を見せた次点イレブン</span> <span data-other-div="movie"></span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20221221_100_tw13.jpg" style="max-width: 100%;"></d </div> ◆カタールW杯次点イレブン(4-3-3) GK:マルティネス DF:ユラノビッチ、ヴァラン、ペペ、テオ MF:ウナイ、エンソ・フェルナンデス、ベリンガム FW:フリアン・アルバレス、ジルー、ペリシッチ GK エミリアーノ・マルティネス(30歳/アルゼンチン) 出場試合数:7(先発:7)/出場時間:692分 失点数:8 DF ヨシプ・ユラノビッチ(27歳/クロアチア) 出場試合数:6(先発:6)/出場時間:602分 得点&アシスト:0ゴール1アシスト ラファエル・ヴァラン(29歳/フランス) 出場試合数:6(先発:6)/出場時間:521分 得点&アシスト:0ゴール0アシスト ペペ(39歳/ポルトガル) 出場試合数:4(先発:4)/出場時間:360分 得点&アシスト:1ゴール0アシスト テオ・エルナンデス(25歳/フランス) 出場試合数:6(先発:5)/出場時間:508分 得点&アシスト:1ゴール2アシスト MF アゼディン・ウナイ(22歳/モロッコ) 出場試合数:7(先発:6)/出場時間:571分 得点&アシスト:0ゴール0アシスト エンソ・フェルナンデス(21歳/アルゼンチン) 出場試合数:7(先発:7)/出場時間:565分 得点&アシスト:1ゴール1アシスト ジュード・ベリンガム(19歳/イングランド) 出場試合数:5(先発:5)/出場時間:415分 得点&アシスト:1ゴール1アシスト FW フリアン・アルバレス(22歳/アルゼンチン) 出場試合数:7(先発:5)/出場時間:467分 得点&アシスト:4ゴール0アシスト オリヴィエ・ジルー(36歳/フランス) 出場試合数:6(先発:6)/出場時間:424分 得点&アシスト:4ゴール0アシスト イバン・ペリシッチ(33歳/クロアチア) 出場試合数:7(先発:7)/出場時間:673分 得点&アシスト:1ゴール3アシスト 2022.12.22 19:01 Thu
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【カタールW杯大会総括】至高ファイナルで大団円も、初の中東開催は多くの課題残す

11月20日から12月18日までの約1カ月間に渡って開催されたカタール・ワールドカップ(W杯)は、アルゼンチンの36年ぶり3度目の優勝で幕を閉じた。 ◆初の中東&冬季開催は多くの問題・課題残す <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20221221_101_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> W杯史に残る素晴らしい決勝戦の末、通算5度目の挑戦で悲願の優勝を達成したアルゼンチン代表FWリオネル・メッシの笑顔と共に幕を閉じたカタールW杯。FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は、「歴代最高」という言葉で同大会を称賛したが、初の中東&冬季開催となった異例の大会は開幕前、大会期間を通じて多くの問題、課題を残した。 2010年に当時のFIFA会長ゼップ・ブラッター氏のゴリ押しもあって開催地に決定したカタールだが、移民労働者や性的マイノリティ(LGBTQ)に対する人権侵害、制限的な社会制度の問題によってヨーロッパを中心に否定的な声が常に上がっていた。とりわけ、スタジアム建設やインフラ整備に従事した外国人労働者に対する非人道的な扱いによって10年間で6500人以上が死亡したとのセンセーショナルな報道が出た後は、一部出場国から大会ボイコットや中継ボイコットを望む声も盛んに聞かれた。 さらに、ヨーロッパの出場7カ国は開幕前にあらゆる差別反対を訴える意図を持つ『OneLove』のレインボーカラーのキャプテンマーク着用をFIFAに要請したものの、同連盟はカタールへの忖度もあってか、「政治的メッセージの発信を禁じる」との規則を盾に強硬な姿勢でその要請を事実上却下し、各国連盟と衝突しかける一幕もあった。 運営面に関しては史上最もコンパクトな大会と銘打った中、ロシア大会、各国にまたがって開催されたユーロ2020で問題となった長距離移動による公平性の問題を是正できた点は唯一ポジティブな要素に。一方で、ヨーロッパを中心に各国リーグを中断しての開催によって中2日、中3日での超過密日程となり、選手や関係者に予想以上の負担を強いる形となった。 懸念された酷暑での試合開催はスタジアムの空調設備である程度クリアし、新型コロナウイルスの流行も回避できたが、スタジアムや宿泊施設の温度管理の問題で多くの選手が体調を崩すアクシデントも確認された。 開幕後はホスト国として大会を盛り上げることが期待されたフェリックス・サンチェス率いるチームが、開幕戦でエクアドルに完敗し、開催国として史上初の敗戦スタートという屈辱を味わうと、以降のセネガル、オランダ戦も力の差を見せつけられて敗戦。史上初となるグループステージ全敗となり、開催国の資質を疑われるスポーツ面での失態となった。 その他でもファン・サポーター向けの一部宿泊施設の劣悪な環境、開幕直前に急遽アルコール飲料の提供禁止という方針転換など、単純な興行という側面においても多くの課題を残した。 競技の裾野を広げるというという意味合いにおいて中東初開催の意義は十分に理解できるが、その裏では巨額の金が動いており、大会を通じてきな臭い印象は最後までぬぐうことができなかった。 ◆セミオート・オフサイド、初の交代5人制、女性審判員 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20221221_101_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 前回大会ではビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の導入が大きな注目を集めたが、今大会ではセミオート・オフサイドという新たなテクノロジーが導入された。 スタジアムの屋根の下に設置された12台の専用トラッキングカメラ、ボール内部に慣性計測ユニット(IMU)センサーを搭載した公式試合球『adidas Al Rihla』の使用によって、よりスピーディに正確な判定が下せるようになり、過去の試験導入時も評価を得ていた新テクノロジー。今大会においては主審やVAR担当によるプレー関与の判断にばらつきはあったものの、システム自体はまずまず機能。前述の公式球の内蔵センサーはポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドの“髪の毛弾”に関する記録訂正でも話題に。 その他でもより精密度を増したVARによって、スペイン戦で日本代表MF三笘薫がゴールラインに1.8mm残しての折り返しで同MF田中碧の劇的逆転ゴールを演出したシーンは、大会のハイライトの一つとなった。 テクノロジー以外ではコロナ禍において一時的に導入され、後に正式採用となった交代5人制がW杯で初採用となった。すでに各国リーグでもお馴染みとなっているが、これまでの大会に比べて試合途中のシステム変更の増加や、指揮官同士の駆け引きがより鮮明となった印象だ。 レフェリングにおいては、アクチュアルプレーイングタイムを正確に取ることを目的とした、長時間のアディショナルタイム。男子のW杯として初となった女性の審判員の採用が話題を集めた。 今大会では合計129名の審判員の内、6名の女性の審判員を選出。その中で日本の山下良美さん、フランス人のステファニー・フラパールさん、ルワンダ人のサリマ・ムカンサンガさんは主審に選出。ヨーロッパ屈指のレフェリーとして知られるフラパールさんは、メキシコvsポーランドで第4審判としてW杯デビューを飾ると、コスタリカvsドイツでは主審としてもデビュー。W杯の歴史に名を刻んだ。山下さんは主審デビューはならずも、6試合で第4審判を務め上げている。 ◆アジア勢&アフリカ勢が大躍進 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20221221_101_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 決勝はアルゼンチンとフランスという優勝候補同士による順当なカードとなったが、モロッコがアフリカ勢初のベスト4進出、日本、韓国、オーストラリアの3チームがアジア勢として大会史上最多となる決勝トーナメント進出と、アフリカとアジアが躍進する大会となった。 アフリカ勢ではエースFWマネ不在も大陸王者のセネガルのベスト16進出は想定の範囲内だったが、大会前にハリルホジッチ監督を解任してモロッコ人指揮官のレグラギ監督を招へいした“アトラスの獅子”がW杯史に残る快進撃を見せた。 前大会準優勝のクロアチア、同3位のベルギーを抑えてグループFを首位通過すると、決勝トーナメントではいずれも優勝候補のスペイン、ポルトガルを連破。アフリカ勢悲願の準々決勝の壁をついに破った。準決勝以降はディフェンディングチャンピオンのフランス、クロアチアとの再戦に屈したが、ハードワークと組織力を生かした堅守を武器に、決してまぐれではない再現性のある戦いぶりで、堂々の4位フィニッシュを果たした。 敗退したチュニジアとカメルーンに関しても、連勝で突破を決めていたフランス、ブラジルを相手に大金星を挙げ、良い形で大会を終えている。 そのアフリカ勢と共に大会を盛り上げたアジア勢では森保監督率いるサムライブルーが、目標とするベスト8進出こそ逃したものの、“新しい景色”を見せた。 スペインとドイツ、コスタリカと同居したグループEにおいて戦前はグループステージ敗退の可能性が高いと思われたが、ドイツとの初戦で会心の逆転勝利を収めて番狂わせを演じると、コスタリカに敗れて1勝1敗の2位で臨んだスペインとの最終節では再び鮮やかな逆転勝利を収め、優勝候補2チームを撃破しての首位通過というモロッコに並ぶサプライズを提供。PK戦の末に試合巧者クロアチアとのラウンド16を落としたが、戦い方次第で世界トップクラスと十分に戦えるという自信を手にして大会を終えた。 さらに、グループDでは大陸間プレーオフを制して本大会に駒を進めたオーストラリアがチュニジア、デンマークを退けて2006年大会以来2度目のグループステージ突破。グループHでは韓国が最終節でのポルトガル相手の劇的すぎる逆転勝利によってウルグアイ、ガーナを退けての突破を果たした。日本同様にラウンド16ではアルゼンチン、ブラジルという南米の2強に敗れたものの、今後に繋がる大会となった。 また、中東勢として並々ならぬ思いで今大会に臨んだサウジアラビアは、カタール、イランと共にグループステージ敗退となったが、優勝チームのアルゼンチンに唯一土を付ける歴史的な大金星を飾っている。 ◆戦術トレンドに大きな変化はなし <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20221221_101_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 前述のアフリカ、アジア勢の躍進と繋がる部分だが、前回大会に続いて戦術面では強豪国、弱小国に関わらず、堅守速攻スタイルをメインに据えて戦うチームが目立った。 高いボール支配率を記録し、能動的なスタイルを貫いたドイツは2大会連続グループステージ敗退の屈辱を味わい、スペインも日本、モロッコ相手にボールの主導権を常に握る戦いとなったが、アタッキングサードで違いを生むタレントを欠いた影響が大きく、堅固な守備を崩し切れずに敗れ去った。 高いボール支配率、相手を自陣から遠ざける戦い方自体は体力の消耗、相手の攻撃機会を減らすという意味で未だ一定の効果を発揮するが、モロッコが今大会を通じて徹底した[4-5-1]や、ポジショナルプレー封じの5バックを各チームが高いレベルで実行すると、圧倒的な個で局面を打開できるタレント不在のチームが攻略するのは至難の業だ。また、前大会に比べてセットプレーからのゴールの減少、交代5人制によって相手を消耗させて最後に仕留めるというポゼッションスタイルのチームが狙うゲームプランの遂行が難しくなっている。 一方、堅守速攻型のチームでも、やはり人海戦術でゴール前に人数をかけて守ってロングボール1本で“事故”を起こすような戦い方を選ぶ弱者の戦いを貫くチームは、グループステージを突破できず。時間帯によってはボールを持てる、試合中のシステム変更、選手交代で流れを変えられるチームが結果を残している。そういった意味ではクラブレベルの最高峰の舞台であるUEFAチャンピオンズリーグで、スタイルにとらわれないレアル・マドリーがトーナメントを勝ち抜いた構図に近い。 ◆歴史に残る激闘の末、メッシの大会に <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2022/get20221221_101_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 大会全体についてインファンティーノ会長の「歴代最高」という表現に異を唱えるが、番狂わせの連続となったグループステージ、モロッコとクロアチアのエモーショナルな勝ち上がり、激闘という言葉がぴったりのファイナルとピッチ上で繰り広げられた数々の戦いは、まさに至高と言える素晴らしいものだった。 とりわけ、世界最高のフットボーラーと称されるメッシがけん引したアルゼンチンを巡るストーリーは、多くのフットボールファンに感動を与えた。 クラブレベルでは獲得可能なチームタイトル、個人タイトルをすべて手にしてきた35歳だが、アルビセレステでは昨年にコパ・アメリカを制するまで無冠が続いていた。そして、大会前に自身最後のW杯と明言し、並々ならぬ思いで臨んだグループステージ初戦でサウジアラビアに公式戦37戦ぶりの黒星を喫し、5度目のタイトル挑戦に早くも暗雲が垂れこめた。 それでも、「アルゼンチンの人々には『落ち着いて』と言いたい。必ずより大きくなって戻ってくる」と、リーダーとしての力強いメッセージを発したパリ・サンジェルマンFWは、その言葉通りグループステージ残り2試合でチームを連勝に導くと、決勝トーナメントではオランダとの準々決勝で2点差を追いつかれてPK戦まで持ち込まれる2度目の試練を乗り越え、躍進のクロアチアも退けて2大会ぶりの決勝進出を決めた。 その決勝では前回大会で敗れた相手であり、クラブチームでの共演を通じて敵に回すと大きな脅威となることを誰よりも理解するFWムバッペ擁する王者フランスと対峙。W杯の歴史に残る運命の決戦では自身の2ゴールによって2度のアドバンテージを手にするも、若き怪物の追撃を振り切れず。今大会2度目のPK戦に。 過去に多くのスーパースターが涙を呑んだPK戦では残酷なシナリオも予期されたが、プレッシャーが懸かる1人目のキッカーを自ら名乗り出ると、名手ロリスとの駆け引きを見事に制して成功。そして、強心臓の守護神のビッグセーブと、エースの気迫に後押しされたキッカー全員がPKを成功させ、偉大なキャリアに相応しいW杯のトロフィーがようやく世界最高のフットボーラーの手に渡ることになった。 2022.12.22 19:00 Thu
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W杯初の悲劇を味わった、世界を魅了した“ファンタジスタ”ロベルト・バッジョ

カタール・ワールドカップ(W杯)もいよいよ3位決定戦と決勝のみとなり、どちらが優勝するのかを世界中の人々が注目している。 今回が22回目の開催となったW杯は、初の冬開催、初の中東開催となり、これまで夏に行われてきた大会とはまた違った様相を呈している。 4年後の2026年に行われる、アメリカ・カナダ・メキシコの共催W杯では、出場国が32カ国から48カ国に増えることとなり、また違った形での楽しみが増えることになるだろう。 思えば、アメリカW杯が開催されたのは1994年。そこから32年が経過して再び開催される北米でのW杯だが、そこに日本代表が辿り着けなかったのが“ドーハの悲劇”と呼ばれる予選での出来事だった。 この大会では、予選でも各地で波乱が起こり、ヨーロッパではイングランド代表とフランス代表が敗退。南米ではアルゼンチンが大陸間プレーオフに回る事態となるなどした。 そんな中で迎えた本大会だが、初出場のナイジェリア代表、サウジアラビア代表が決勝トーナメントに進出したかと思えば、アルゼンチンはディエゴ・マラドーナがドーピング検査で陽性となり追放となるなど、本大会でも波乱続き。それでも決勝は、ブラジル代表vsイタリア代表という強豪が顔を合わせた。 <span class="paragraph-subtitle">◆W杯初のPK戦決勝で起きた悲劇</span> この大会、最も印象的なシーンとも言って良いのが、決勝戦。“ファンタジスタ”として多くのサッカーファンを魅了した、イタリア代表FWロベルト・バッジョの姿ではないだろうか。 ポニーテールをなびかせ、魅力あふれるテクニカルなプレーで世界を沸かせていたバッジョ。準決勝までに5ゴールを記録し、チームを牽引していた。 共に過去3度のW杯優勝経験がある強豪国同士の4度目を懸けた一戦は、炎天下の中ゴールレスで120分間が終了。W杯決勝では史上初となるPK戦に突入した。 イタリアは1人目のフランコ・バレージが失敗。そして、4人目のFWダニエレ・マッサーロも失敗する。ブラジルは順当に決めていく中、イタリアGKジャンルカ・パリュウカが1つセーブ。イタリア5人目のキッカーにバッジョが登場し、決めてブラジルにプレッシャーをかけたかったが、シュートはバーの遥か上に飛んで行き試合終了となった。 バッジョがうつむき立ち尽くす姿は、誰もが見たことがあるワンシーンではなかろうか。PK戦での敗退という残酷な結末が決勝で待っていたのは、この大会が初めてだった。 <span class="paragraph-subtitle">◆イタリアでのキャリアを全うした“ファンタジスタ”</span> バッジョは決してエリートではなく、セリエC1のヴィチェンツァでプロデビュー。しかし、そこで活躍を見せると1985年にセリエAのフィオレンティーナへと完全移籍する。 しかし、契約からわずか2日後に右ヒザ十字じん帯を断裂。リーグ戦に出場できないと、翌年もケガでほぼ稼働できず。それでもケガが癒えると、持ち味である得点力が花開き、1990年には当時の史上最高額の移籍金でユベントスに加入。この移籍にはファンが怒り、暴動が起きるほどの人気ぶりだった。 ユベントスではさらに得点力が磨かれ、チームのタイトル獲得にも貢献。1994年にはバロンドールを受賞した。 しかし、1994-95シーズンは再び負傷に悩まされると、チームからの移籍を決断。レアル・マドリー、マンチェスター・ユナイテッドが手を挙げる中、ミランへと完全移籍。その後は、ボローニャ、インテル、ブレシアと、イタリアでキャリアの全てを捧げることとなった。 キャリアの終盤でもケガに悩まされ、2002年の日韓W杯前にも左ヒザ十字じん帯を負傷。半年の離脱となり、W杯絶望と見られた中、まさかの2カ月で復帰。その後はリーグ戦でゴールも決めていたが、W杯メンバーには選ばれず。2004年に現役を引退した。 <span class="paragraph-subtitle">◆予測不能なプレーの連続</span> ロベルト・バッジョは“ファンタジスタ”と呼ばれる通り、テクニックに優れ、誰も予想が付かないプレーを試合中に見せることが特徴。ゴールを決めることはもちろん、決定的なパスを出すこと、そしてアイデア溢れる選択で観客だけでなく、相手選手も驚かせるところがその由来だ。 ゴール、アシストとサッカーの醍醐味であるプレーを司る姿は、イタリアだけに留まらず、世界中のファンが見惚れるほど。ちなみに幼少期の憧れはブラジル代表として活躍したジーコという逸話もある。 また、日本代表でもかつて活躍し、セリエAでもプレー経験があるFW三浦知良は同じ年齢。誕生日も8日しか違わず、交流を持っていることでも知られる。 現代サッカーにおいては希少な存在となった“ファンタジスタ”。多くの人が憧れたバッジョのような選手がこの先に現れるのか。新たな“ファンタジスタ”の誕生を多くの人が望んでいる。 <div id="cws_ad"><hr>イタリア代表で活躍し、セリエAでキャリアを全うした“ファンタジスタ”ロベルト・バッジョが大人気スポーツ育成シミュレーションゲーム『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』(サカつくRTW)に登場!<br/><br/>現役時代に魅せたプレーが『サカつくRTW』でも再現。是非一度チェックしてみよう。<a href="https://ryan.onelink.me/C7cD/5uev4c53" target="_blank"><div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/sega20221215.jpg" style="max-width:100%;"></div></a></div> <span class="paragraph-title">【動画】バロンドールも受賞したバッジョのユベントス時代の輝き</span> <span data-other-div="movie"></span> <div class="dugout-video dugout-embed-eyJrZXkiOiIxWEh4QmVYWSIsInAiOiJ1bHRyYXNvY2NlciIsInBsIjoiIn0="></div><script type="text/javascript" src="https://embed.dugout.com/v3.1/ultrasoccer.js"></script> イタリア代表で活躍し、セリエAでキャリアを全うした“ファンタジスタ”ロベルト・バッジョが大人気スポーツ育成シミュレーションゲーム『プロサッカークラブをつくろう!ロード・トゥ・ワールド』(サカつくRTW)に登場! 現役時代に魅せたプレーが『サカつくRTW』でも再現。是非一度チェックしてみよう。 <a href="https://ryan.onelink.me/C7cD/5uev4c53" target="_blank"><div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/sega20221215.jpg" style="max-width:100%;"></div></a> 2022.12.15 20:00 Thu
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PK4本ストップはW杯記録、日本とブラジルの前に立ちはだかったGKリヴァコビッチとは何者? 父は元国務長官、クラブでもスーパーセーブ連発

今最も世界で恐れられていると言っても良いGKは誰だろうか。それは、クロアチア代表のドミニク・リヴァコビッチ(27)かもしれない。 カタール・ワールドカップ(W杯)は準々決勝がスタート。9日にはクロアチアがブラジル代表と対戦した中、延長戦で1点ずつを取り合いPK戦に。4-2でクロアチアが勝利を収めていた。 ラウンド16では日本代表も対戦した相手。そして、同じくPK戦で敗れている。新しい景色を見たかった日本の前に立ちはだかった壁は、リヴァコビッチだった。 多くの日本人の記憶にも残っているであろうリヴァコビッチは、優勝候補筆頭であったブラジルの前にも立ちはだかることに。2試合連続のPK戦勝利の立役者となり、合計4本のシュートをセーブしたが、これは長いW杯の歴史の中での最多記録となっている。記憶だけでなく、記録にも名を残すこととなった。 リヴァコビッチは、クロアチアのザダルで生まれ、地元のNKザダルの下部組織で育った。 父のズドラフコ・リヴァコビッチは、クロアチアの海洋省の国務長官。母は旧ユーゴスラビア代表のストライカーであり、マルセイユやハノーファーでもプレーしたヨシプ・スコブラーのいとこでもある。 その後、NKザグレブの下部組織に移籍すると、2015年8月に名門ディナモ・ザグレブへと移籍。NKザグレブにレンタル移籍を経験するも、2016年6月からディナモ・ザグレブでプレーしている。 復帰後からポジションを掴み正守護神となると、これまで公式戦262試合に出場。122試合でクリーンシートを経験し、クロアチアリーグで5連覇を経験している。 2016年にクロアチア代表に初招集を受けたが、ダニエル・スバシッチが正守護神として君臨。2017年1月にデビューを果たすが、長らくベンチを温め、4年前のロシアW杯も控えGKとして準優勝を経験することとなった。 クロアチア代表でポジションを掴み始めたのは、2019年9月以降。ユーロ2020の予選やUEFAネーションズ・リーグなどで出番を得ると、2021年6月のユーロ2020で守護神としてプレー。その後は今大会のメンバーでもあるGKイヴィツァ・イブシッチとポジションを争うも、正守護神に落ち着いた。 そのリヴァコビッチがお手本とするのは2人のGK。いずれもスペイン代表の守護神を務めた、イケル・カシージャス氏とダビド・デ・ヘア(マンチェスター・ユナイテッド)だ。カシージャス氏はブラジル戦後にツイッターを更新し「ドミニク・リヴァコビッチ、GKのトップ」とツイートしている。 ここまでの活躍を見せると、間違いなく出てくるのが移籍の噂。すでにその価値は高騰しているとされ、一部では移籍金が10億円を超えてくるとされている。 クロアチアは前回大会もラウンド16のデンマーク代表戦、準々決勝のロシア代表戦はPK戦で勝利。準決勝のイングランド代表戦は延長戦を制して決勝に駒を進めている。今大会もPK戦で日本とブラジルを下し、W杯の延長戦以降では5戦負けなし。粘り強さを武器に、次はリオネル・メッシ要するアルゼンチン代と対戦する。 <span class="paragraph-title">【動画】PKだけじゃない!漫画のようなとんでもないセーブを連発するリヴァコビッチ</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="und" dir="ltr">Livaković️ <a href="https://t.co/Z6kIaT2cwu">pic.twitter.com/Z6kIaT2cwu</a></p>&mdash; UEFA Champions League (@ChampionsLeague) <a href="https://twitter.com/ChampionsLeague/status/1601255099380420608?ref_src=twsrc%5Etfw">December 9, 2022</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="ca" dir="ltr"> <a href="https://t.co/92oh90euq2">pic.twitter.com/92oh90euq2</a></p>&mdash; UEFA.com em português (@UEFAcom_pt) <a href="https://twitter.com/UEFAcom_pt/status/1601279365886640129?ref_src=twsrc%5Etfw">December 9, 2022</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="und" dir="ltr"><a href="https://twitter.com/hashtag/UEL?src=hash&amp;ref_src=twsrc%5Etfw">#UEL</a> <a href="https://t.co/RP6DUDINwy">pic.twitter.com/RP6DUDINwy</a></p>&mdash; UEFA Europa League (@EuropaLeague) <a href="https://twitter.com/EuropaLeague/status/1599728289291067393?ref_src=twsrc%5Etfw">December 5, 2022</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <span class="paragraph-title">【写真】日本代表戦では権田修一と肩を組むリヴァコビッチ</span> <span data-other-div="movie2"></span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/wc20221210_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 2022.12.10 15:50 Sat
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【カタールW杯グループF展望】話題性ある各国が同居、欧州2国を崩すのは…

11月23日に第1節を迎えるグループFは、実績のある欧州の2国の間に勢いのあるカナダ代表や監督交代のモロッコ代表が割って入れるかという構図になるだろう。前回大会準優勝のクロアチア代表、3位のベルギー代表には2018年のロシア大会を経験した選手が多数。W杯の何たるかは熟知しており、当然リベンジにも燃えているが、ベテラン勢中心のチームがどれだけ連戦を戦い抜けるかが懸念事項ではある。 ◆編集部予想 ◎本命:クロアチア ○対抗:モロッコ △連下:ベルギー ☆大穴:カナダ ◆完成度の高さで本命に~クロアチア~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/WC20221123_GroupF_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 年齢層、経験値、タレント具合から前回大会のファイナリストを本命に推す。欧州組はシーズンの真っただ中で、負傷明けのマルセロ・ブロゾビッチ以外はコンディションにも問題はなさそう。負傷者が散見される他国と異なり、最も机上の実力が発揮できるのではないだろうか。 ◆ダークホース本命~モロッコ~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/WC20221123_GroupF_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 指揮官交代の不安よりも、直近のテストマッチで調子の良さが垣間見えるモロッコをあえて対抗に挙げてみる。気候も味方し、堅守を攻めあぐねるチームは出てくるのではないか。耐えてハキム・ツィエクの一発というロマン砲に期待。 ◆テストマッチ敗戦が調整なら…~ベルギー~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/WC20221123_GroupF_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 順当に考えれば、本命でも不思議ではないベルギーをここに置いたのは、最終ラインの高齢化と、エデン・アザールの試合勘やロメル・ルカクの状態から。ベルギーが初戦のカナダ戦を取り、一方でクロアチア戦を落として尻に火が付いたモロッコが奮起するというストーリーを描いて対抗と連下を決めた。直近のテストマッチのエジプト戦敗戦が本当に調整であれば良いのだが……。 ◆母国史に残るゴールは来るか~カナダ~ <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/WC20221123_GroupF_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 36年ぶりの本大会出場は大きなトピックだが、国際大会経験の乏しさから評価は据え置き。日本代表相手にもスコア上は辛勝だった。ただ、推進力やチームとしての意思統一は高く、きっかけ1つで勢いに乗る可能性も。カナダ史上初のW杯でのゴールを誰が決めるのかという点にも注目したい。 グループステージ日程 ◆第1節 ▽11/23 《19:00》 モロッコ vs クロアチア 《28:00》 ベルギー vs カナダ ◆第2節 ▽11/27 《22:00》 ベルギー vs モロッコ 《25:00》 クロアチア vs カナダ ◆最終節 ▽12/1 《24:00》 クロアチア vs ベルギー カナダ vs モロッコ 2022.11.23 15:00 Wed
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