【J1開幕直前クラブガイド】培った基盤重視の長谷川体制2年目、チームとしての成熟示せるか《FC東京》2019.02.10 17:00 Sun

twitterfacebookhatenalinegplus
photo
(c) J.LEAGUE PHOTOS
2019シーズンも“蹴”春がいよいよ到来! 新シーズンの幕開けを告げるFUJI XEROX SUPER CUP 2019に先駆け、超ワールドサッカー編集部はJ1全18クラブを徹底分析。チームのノルマや補強達成度、イチオシ選手、そして、東京オリンピックを翌年に控える注目の五輪候補をお届けする。第5弾はFC東京を紹介。◆試されるチームとしての成熟《優勝争い》
※残留/ひと桁順位/上位争い/ACL出場権争い/優勝争いから選択
(C)CWS Brains,LTD.
長谷川健太監督を招へいしてスタートさせた2018シーズンは、ジェットコースターの様な1年となった。ガンバ大阪で3冠を達成した指揮官の下で守備力を向上させたFC東京は、開幕から徐々に調子を上げて折り返し時点で優勝を狙える位置をキープ。しかし、その後、FWディエゴ・オリヴェイラ封じを徹底する各クラブの対応に手を焼き、大失速の6位でシーズンを終えた。

“長谷川トーキョー”の基盤ができ上がって迎える今年の目標は、やはり優勝だ。開幕前の移籍市場での動向に関しては、真っ先にディエゴ・オリヴェイラを完全移籍に切り替えるなど、チームの根幹を担う選手を確実に繋ぎ止めた。10番を背負ったMF梶山陽平が引退し、MF米本拓司もクラブを去ったが、むしろ若手や中堅がその役割を担えるまでに成長するチャンスだとポジティブに捉えたい。

新戦力は、期限付き移籍からの復帰や完全移籍への切り替えを除けば8名が到着。中でも、サガン鳥栖で成長を遂げた伸び盛りのU-21日本代表FW田川亨介や、昨シーズンの韓国2部で得点王やMVP、ベストイレブンを総なめした韓国代表MFナ・サンホが注目株だ。とはいえ、いずれも未知数の選手ばかりではあり、チームスタイルの継続が強く意識された今オフとなった。

その反面、ディエゴ・オリヴェイラの負担軽減というミッションの明確な達成は見送られている。大金直樹社長は新体制発表時に「ストライカーとサイドの2枚が欲しい」、「去年はディエゴに頼り、研究されてからは抑えられる試合が多かった」と発言。先に挙げた田川やナ・サンホの爆発に期待したいところだが、J1以上のリーグで実績を残しているアタッカーが欲しかったのが本音だろう。FC東京の課題は引き続き「得点力」であり、タイトル獲得に向けてその部分の改善は避けては通れない。

とはいえ、何も外に目を向けるだけが解決方法ではない。開幕前のトレーニングマッチでは、ガンバ大阪に5-3で、名古屋グランパスに9-3で勝利。主力組には期待のMF久保建英が名を連ね、FW永井謙佑が結果を出した。もちろん、公式戦との差はあるが、2試合で14得点という結果はチームが得点力の強化を強く意識していることの証左と言えるだろう。

長谷川体制1年目で培った“基盤”をどれだけ強固なものにし、日程毎に“発展”させていけるか。2年目は、シーズンを通して“チームとしての成熟度”が試される。

◆補強動向《C》※最低E~最高S
(C)CWS Brains,LTD.
【IN】
GK児玉剛(31)←モンテディオ山形/完全
DF中村拓海(17)←東福岡高校/新加入
DF渡辺剛(22)←中央大学/新加入
MF宮崎幾笑(20)←アルビレックス新潟/完全
MFナ・サンホ(22)←光州FC(韓国)/完全
MFアルトゥール・シルバ(23)←ヴォトゥポランゲンセ(ブラジル)/期限付き
MFユ・インス(24)←アビスパ福岡/期限付き復帰
MF久保建英(17)←横浜F・マリノス/期限付き復帰
FW田川亨介(19)←サガン鳥栖/完全
FWナッタウット・スクム(21)←バンコク・ユナイテッド(タイ)/期限付き
FWディエゴ・オリヴェイラ(28)←柏レイソル/期限付き→完全

【OUT】
GK大久保択生(29)→サガン鳥栖/完全
GK廣末陸(20)→レノファ山口FC/期限付き
DF山田将之(24)→FC町田ゼルビア/期限付き
DF柳貴博(21)→モンテディオ山形/期限付き
DF吉本一謙(30)→アビスパ福岡/期限付き延長
DF野沢英之(24)→愛媛FC/期限付き延長
MFリッピ・ヴェローゾ(21)→退団
MF平岡翼(22)→栃木SC/完全
MF田邉草民(28)→アビスパ福岡/完全
MF米本拓司(28)→名古屋グランパス/完全
MFジャキット(22)→バンコク・ユナイテッド(タイ)→/期限付き満了
MF梶山陽平(33)→引退
FW前田遼一(37)→FC岐阜/完全
FW富樫敬真(25)→横浜F・マリノス/期限付き満了
FWリンス(31)→ヴァンフォーレ甲府/期限付き満了

◆超WS編集部イチオシ選手
FW永井謙佑(29)
(C)CWS Brains,LTD.
注目はFC東京3年目となる元日本代表の永井だ。主に最前線でディエゴ・オリヴェイラの相方を務めた昨シーズンは、J1リーグ32試合5ゴールを記録。豊富な運動量を生かした様々な役割が求められているとはいえ、これは物足りない数字だ。イージーな場面で枠を外すシーンも散見され、タイトルを目指すクラブのアタッカーとしては更なる活躍が期待される。

また、昨シーズンの後半戦に相手クラブがことごとくディエゴ・オリヴェイラ封じに徹したのは、他の選手を多少自由にしても利のある戦術だと踏んだ為だろう。逆に、快足を武器とする永井が危険な選手であることを示せれば、得点パターンの幅は何倍にも膨れ上がる。キャンプから好調を示している永井の出来は、チーム全体の浮沈にまで波及しかねない重要なポイントだ。

◆注目の東京五輪世代!
MF久保建英(17)
(c) J.LEAGUE PHOTOS
2020年の東京オリンピックに推したい選手は、横浜F・マリノスへの期限付き移籍から帰還した久保だ。

中学2年生時の2015年3月にバルセロナから加わった日本最高峰の逸材も、今年の6月4日で18歳。一昨年にはJ1リーグ初出場、昨年には初得点を記録しており、今年求められているものは第一にFC東京でのレギュラー定着だ。23歳以下の選手に限定されているとはいえ、オリンピックでは各強豪国から世界的なスターが登場する。自国開催の日本が優勝を成し遂げるためには、代表チームを牽引する久保がJリーグで突出した存在になることが不可欠だ。背負う重圧は生半可なものではないが、今年1年を通して自らの価値を証明してくれると期待したい。
コメント
関連ニュース
thumb

終焉を迎えたレアル・マドリーのサイクル⑦~ソラーリ体制プレイバック~

2018-19シーズン、レアル・マドリーは3月に入ると同時に全てのタイトルへの望みを絶たれた。2009年夏にフロレンティーノ・ペレス会長が2度目の就任を果たして以来、数々の栄光を手にしてきたクラブも、明確な後退を余儀なくされている。本稿では、このサイクルの軌跡を振り返っていく。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆サンティアゴ・ソラーリ体制/2018-19</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190315_20_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>現役時代にもレアル・マドリーで活躍したソラーリ監督は、同クラブの下部組織で指導者としてのキャリアをスタート。2014-15シーズンにU-16年代の指揮官に就任すると、2015-16シーズンからU-19、2016-17シーズンからカスティージャ(Bチーム)と順調にステップアップを果たしていた。 フレン・ロペテギ前監督の下でスタートした2018-19シーズンのマドリーは、近年稀な程の低迷に苦しんでいた。とりわけ得点力不足に苦しみ、公式戦496分間無得点というクラブワーストの記録も。そして、リーガエスパニョーラ第10節でバルセロナに1-5の大敗を喫し、順位も9位に沈む中、ロペテギ前監督の解任が発表。下部組織から引き上げられたソラーリ監督には、得点力不足の改善などチームの立て直しが求められた。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆基本フォーメーション[4-3-3]</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190315_20_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>シーズン途中の就任だったため、これといった新戦力は加えず。冬の移籍市場でMFブラヒム・ディアスを獲得したが、将来への投資という意味合いが強い。それでも、FWヴィニシウス・ジュニオールとDFレギロン、MFマルコス・ジョレンテ、MFフェデリコ・バルベルデら若手にチャンスを与えることで、チームに刺激を与えた。 基本フォーメーションは[4-3-3]。ロペテギ前監督時代との大きな違いは、MFイスコ、MFベイル、DFマルセロら安定感を欠ていたスター選手をベンチに置き、FWヴィニシウスとDFレギロンを重用した部分だ。特にFWヴィニシウスは攻撃の核とも言えるパフォーマンスを披露。また、守護神の起用法にも変更を加え、リーガだけでなくチャンピオンズリーグ(CL)でもGKケイロル・ナバスではなくGKティボー・クルトワを起用した。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆Turning Point! ~絶望の1週間~</span> 就任から2週間の暫定指揮期間が与えられていたソラーリ監督は、その期間中に公式戦4連勝を達成。特に最初の3試合は連続で完封勝利を果たし、発足直後の成績としては61年ぶりの快挙を成し遂げ、正式にトップチームの監督に就任した。 その後、ロペテギ前監督時代同様に得点力不足こそ指摘されていたソラーリ・マドリーだったが、守備を重視したプランで着々と勝ち星を積み重ね、一時期にはリーガ2位に浮上。コパ・デル・レイ、CLでも順調に勝ち上がり、復活の兆しを垣間見せていた。 しかし、2月末から3月初めのリーガ第26節、コパ・デル・レイ準決勝2ndレグで宿敵バルセロナとの連戦に連敗すると、続くCLラウンド16・2ndレグのアヤックス戦でも1-4と大敗。わずか1週間で全てのタイトルを実質的に失い、ソラーリ監督は解任されることとなった。<hr>▽サンティアゴ・ソラーリ 【在任期間】 0.5シーズン(2018/10/29~2019/3/11) 【戦績】 公式戦32試合22勝2分け8敗 チャンピオンズリーグ:ベスト16 リーガエスパニョーラ:3位(勝ち点51)※第27節終了時点 コパ・デル・レイ:ベスト4 【主な獲得選手】 MFブラヒム・ディアス 【主な放出選手】 GKキコ・カシージャ 2019.03.15 18:00 Fri
twitterfacebook
thumb

終焉を迎えたレアル・マドリーのサイクル⑥~ロペテギ体制プレイバック~

2018-19シーズン、レアル・マドリーは3月に入ると同時に全てのタイトルへの望みを絶たれた。2009年夏にフロレンティーノ・ペレス会長が2度目の就任を果たして以来、数々の栄光を手にしてきたクラブも、明確な後退を余儀なくされている。本稿では、このサイクルの軌跡を振り返っていく。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆フレン・ロペテギ体制/2018</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190313_29_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>2003年にラージョ・バジェカーノでスタートしたロペテギ監督の指導者としてのキャリアは、2010年のU-19スペイン代表監督就任から急速に花を咲かせる。育成年代でU-19EUROやU-21EUROを制すると、2016年からはA代表の指揮官に就任し、MFイスコやMFコケなど多くの若手を引き上げてベテラン世代との融合に成功。ロシア・ワールドカップ(W杯)前には20試合14勝6分け無敗、61得点13失点という圧倒的な成績を収め、ナショナルレベルでは最高の評価を得ていた。 一方、2017-18シーズン終了直後のマドリーは大きな混乱に包まれていた。チャンピオンズリーグ(CL)3連覇を成し遂げた偉大な前任者、ジネディーヌ・ジダン前監督が電撃辞任を発表し、エースFWクリスティアーノ・ロナウドにも退団の噂(その後実際に退団)が囁かれていたためだ。そして、大きな注目が集まっている中、マドリーはロシアW杯直前にスペイン代表を指揮していたロペテギ監督の招へいを発表。大会後の就任と伝えられていたが、この発表がスペインサッカー連盟の逆鱗に触れ、同監督はロシアの地で試合に臨むことなく代表指揮官の任を解かれた。 そして、マドリーとロペテギ監督は、シーズン前からスペイン国内から大きな反感を買うことに。その批判を跳ね返すためにも、ロペテギ監督にはC・ロナウド不在を感じさせない様な「結果」が求められた。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆基本フォーメーション[4-3-3]</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190313_29_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>FWクリスティアーノ・ロナウドが退団する衝撃的な夏を過ごしたマドリーは、これと言って大きな補強をせず。GKティボー・クルトワこそ獲得したものの、必要性が叫ばれた即戦力の新アタッカーはFWマリアーノ・ディアスのみ。FWヴィニシウス・ジュニオールが後にポテンシャルを示すが、この時点では計算されておらず、エースが抜けた穴は埋めることが出来ていない。 ロペテギ監督は指揮した全14試合で[4-3-3]を採用。強烈な左足を持つMFアセンシオが左ウィングのファーストチョイスに。また、ロシアW杯を決勝まで戦ったMFルカ・モドリッチが出遅れ、MFイスコやMFダニ・セバージョスに多くのチャンスが与えられた。特にMFイスコをインサイドハーフで起用した際には、中央の崩しを意識した試合を展開。GKに関しては、ケイロル・ナバスがCL、クルトワがリーガエスパニョーラを担当した。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆Turning Point! ~クラシコでの大敗~</span> ロペテギ監督は、スタートから棘の道を歩まされた。就任時の経緯から開幕前の時点で批判を浴び、初陣となったUEFAスーパーカップではアトレティコ・マドリーに延長戦の末2-4で敗北。初陣にしてタイトル獲得を逸している。その後に何とか建て直したかに思われたのも束の間、リーガ第6節セビージャ戦で0-3の完敗を喫した。 さらに、そこからはセビージャ戦を含め公式戦5試合1分け4敗、1得点7失点と大きく低迷。CLグループステージのプルゼニ戦で6試合ぶりの白星を手にしたものの、リーガ第10節バルセロナ戦では1-5と歴史的な大敗を喫した。 そして、クラシコの翌日、マドリーはロペテギ監督の解任を発表。クラブは、「バロンドール候補を8選手擁するというクラブ史において前例のない陣容と、ここまで手にした結果の間に、大きな不均衡がある」と、ロペテギ監督のマネジメントに全責任を押し付けるかのような声明で、ロシアW杯前から続いていた狂想曲に区切りを付けた。<hr>▽フレン・ロペテギ 【在任期間】 0.5シーズン(2018/7/1~2018/10/29) 【戦績】 公式戦14試合6勝2分け6敗 チャンピオンズリーグ:グループステージ3試合2勝1敗※解任時点 リーガエスパニョーラ:9位(勝ち点14)※第10節終了時点 コパ・デル・レイ:-※大会参加前に解任 【主な獲得選手】 FWヴィニシウス・ジュニオール、FWマリアーノ・ディアス、DFアルバロ・オドリオソラ、GKティボー・クルトワ 【主な放出選手】 FWクリスティアーノ・ロナウド、MFマテオ・コバチッチ、DFテオ・エルナンデス 2019.03.14 18:00 Thu
twitterfacebook
thumb

終焉を迎えたレアル・マドリーのサイクル⑤~第一次ジダン体制プレイバック~

2018-19シーズン、レアル・マドリーは3月に入ると同時に全てのタイトルへの望みを絶たれた。2009年夏にフロレンティーノ・ペレス会長が2度目の就任を果たして以来、数々の栄光を手にしてきたクラブも、明確な後退を余儀なくされている。本稿では、このサイクルの軌跡を振り返っていく。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆ジネディーヌ・ジダン体制/2016-2018</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190313_21_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>現役時代に当代一の名選手としてあらゆる栄光を手にしていたジダン監督は、マドリーの下部組織から指導者生活をスタート。2013-14シーズンからのカルロ・アンチェロッティ体制下ではトップチームのアシスタントコーチも務め、経験を積んだ。しかし、当時はレアル・マドリー・カスティージャ(Bチーム)でしか監督経験がなく、その手腕の程は全くの未知数だった。 そして、ジダン監督就任時のマドリーは、規約違反によりコパ・デル・レイを失格となっており、リーガでも3位。チャンピオンズリーグ(CL)こそベスト16進出を決めていたものの、悲観的なムードが漂っていた。その混迷度合いは、本拠地サンティアゴ・ベルナベウで自チームにブーイングが飛び、前任者のラファエル・ベニテス前監督がわずか半年での解任を言い渡される程。このタイミングでのレジェンド登用には悲観的な意見も少なくなかった。就任当初、目指すべきものとしてはチーム再建やタイトルが掲げられていたが、周囲からのハードルはそれほど高く設定されていなかったのが実情だ。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆基本フォーメーション[4-3-3]</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190313_21_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>ジダン監督が就任してからのマドリーは、移籍市場において明確に方針を転換。FWアルバロ・モラタの復帰がビッグディールとなったが、これまでの様に世界的なスター選手に手は伸ばさず。MFダニ・セバージョスを獲得し、レンタルで経験を積んでいたMFアセンシオにトップチームでの機会を与えるなど、未来を見据えたオペレーションを目立たせた。同時に、既存のスタープレーヤーを不良債権化させることもなく、バランスの良いチーム作りを試みている。 基本となった布陣は守備的MFカゼミロをアンカーに据えた[4-3-3]だが、対戦相手によって複数のフォーメーションを使い分け。イスコをトップ下に配した[4-3-1-2]や、MFルーカス・バスケスとMFアセンシオを両サイドに置き安定感を重視した[4-4-2]など、多くのパターンを有した。特に、C・ロナウドをサイドでなく中央で起用するアイデアは、多くの得点をもたらしている。 さらに、2年目の2016-17シーズンにはAチーム、Bチームと言われる2つのチームを組み、ローテーション。主力のコンディション、若手を含む全選手の試合勘を保ち、あらゆる大会を勝ち抜く総力を培った。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆Turning Point! ~ヴォルフスブルク戦の大逆転~</span> 就任時こそ悲観的な見方も多かったジダン政権だが、その声は半年後にはかき消え、2年半が経つ頃には大音量の声援へと変わっていた。言わずもがな、わずか半年でCLのタイトルを獲得し、前人未到の3連覇を達成したためだ。 さらに、初年度からリーガエスパニョーラでも凄まじいスピードで巻き返し、優勝したバルセロナとの勝ち点差はわずか「1」。ベニテス政権時のリーグ前半戦で0-4の大敗を喫していた“エル・クラシコ”でも、後半戦では2-1でリベンジを果たした。また、2年目には5年ぶりのリーガ奪還を成し遂げている。 指導者としても伝説的な成績を収めているジダン監督だが、その道程の中では2015-16シーズンのCL準々決勝ヴォルフスブルク戦がターニングポイントに挙げられる。マドリーはアウェイでの1stレグを0-2で落とし、絶体絶命となっていた。しかし、2ndレグではFWクリスティアーノ・ロナウドがハットトリックを記録し、3-0で終えて逆転突破。それから3年後、ユベントスに移籍したC・ロナウドが同様の偉業を成し遂げ、時を同じくしてジダン監督も再びマドリー指揮官に復帰したのは、何の因果か…。 ともあれ、ヴォルフスブルクを劇的な形で破ったマドリーは、勢いそのままに欧州制覇。その後も一切チャンピオンの座を渡すことなく、3連覇を果たした。 そして、2017-18シーズン終了と当時にジダン監督は電撃辞任。「今こそ変えなければ」、「勝てる気がしないときは何か変化が必要だ」と語り、マドリーでは稀有なことに好印象だけを残してクラブを去っていった。<hr>▽ジネディーヌ・ジダン 【在任期間】 2.5シーズン(2016/1/4~2018) 【戦績】 [2015-16シーズン]※半シーズン 公式戦27試合22勝3分け2敗 チャンピオンズリーグ:優勝 リーガエスパニョーラ:2位(勝ち点90) コパ・デル・レイ:-※規約違反により就任前に失格 [2016-17シーズン] 公式戦60試合44勝11分け5敗 チャンピオンズリーグ:優勝 リーガエスパニョーラ:優勝(勝ち点93) コパ・デル・レイ:ベスト8 [2017-18シーズン] 公式戦62試合39勝14分け9敗 チャンピオンズリーグ:優勝 リーガエスパニョーラ:3位(勝ち点76) コパ・デル・レイ:ベスト8 [合計] 公式戦149試合115勝28分け16敗 【主な獲得選手】 FWアルバロ・モラタ、DFテオ・エルナンデス、MFダニ・セバージョス 【主な放出選手】 FWアルバロ・モラタ、FWヘセ・ロドリゲス、FWデニス・チェリシェフ、MFハメス・ロドリゲス、DFアルバロ・アルベロア、DFダニーロ、DFペペ 2019.03.13 18:00 Wed
twitterfacebook
thumb

終焉を迎えたレアル・マドリーのサイクル④~ベニテス体制プレイバック~

2018-19シーズン、レアル・マドリーは3月に入ると同時に全てのタイトルへの望みを絶たれた。2009年夏にフロレンティーノ・ペレス会長が2度目の就任を果たして以来、数々の栄光を手にしてきたクラブも、明確な後退を余儀なくされている。本稿では、このサイクルの軌跡を振り返っていく。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆ラファエル・ベニテス体制/2015</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190312_17_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>選手としてマドリーの下部組織で育ったベニテス監督は、指導者としてのキャリアもマドリーのコーチからスタートさせた。その後、バレンシアで2度のリーガエスパニョーラ制覇を成し遂げて頭角を現すと、リバプールではチャンピオンズリーグ(CL)も獲得。しかし、リバプール以降はなかなかファンが求めているタイトルには手が届かず、戦術家としての手腕を評価される反面、人心掌握に関しては懐疑的な目が向けられていた。 マドリーは、前年を主要無冠で終えていたものの、前任者のカルロ・アンチェロッティ前監督が選手やファンから高い評価を得ており、ベニテス監督は強い逆風の中で到着。監督交代の必要性に関してフロレンティーノ・ペレス会長への批判も聞こえる中、ベニテス監督には主要タイトルの獲得だけでなく、クラシコやダービーなど重要な試合で手腕をアピールする必要があった。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆基本フォーメーション[4-3-3]</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190312_17_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>夏の移籍市場では、MFマテオ・コバチッチ、DFダニーロが大型補強となったほか、MFカゼミロをポルトからレンタルバック。反対に、MFサミ・ケディラやレジェンドGKイケル・カシージャスが退団し、左SBのバックアップを務めていたDFファビオ・コエントランもレンタルで放出された。 シーズン当初はMFイスコやMFベイルをトップ下に置き、MFトニ・クロースとMFルカ・モドリッチがボランチを務める攻撃的な[4-2-3-1]を多用していたが、次第に[4-3-3]にシフト。MFカゼミロをアンカーに配すバランス重視の形に落ち着き、内容に応じてMFコバチッチやMFハメス・ロドリゲス、FWヘセ・ロドリゲスといったバリエーション豊かなカードの投入で変化を付けた。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆Turning Point! ~国王杯での恥辱~</span> 開幕戦こそスポルティング・ヒホンと0-0で引き分けたものの、その後のベティス戦を5-0、エスパニョール戦を6-0で進むなど、ベニテス監督の船出は順調だった。しかし、11月に入ってリーガでセビージャに2-3で敗北すると、翌節で宿敵バルセロナにも0-4で完敗。アンチェロッティ前監督解任で燻っていた不満が表面化し始めた。 さらに、ベニテス・マドリーはコパ・デル・レイ4回戦のカディス戦で出場停止処分中だったMFデニス・チェリシェフを起用してしまい、屈辱の失格処分。年末には、ベニテス監督の名前がコールされた際にホームスタンドからブーイングが飛ぶ状態となり、監督交代を行ったペレス会長の解任も叫ばれた。 そして、クラシコ大敗後にペレス会長が緊急記者会見でベニテス監督の続投を表明していたのも空しく、2016年1月4日に解任が発表されている。<hr>▽ラファエル・ベニテス 【在任期間】 0.5シーズン(2015/6/3~2016/1/4) 【戦績】 公式戦25試合17勝5分け3敗 チャンピオンズリーグ:グループステージ突破※解任時点 リーガエスパニョーラ:3位(勝ち点37)※第18節終了時点 コパ・デル・レイ:ベスト32※規約違反により失格 【主な獲得選手】 MFマテオ・コバチッチ、MFルーカス・バスケス、DFダニーロ 【主な放出選手】 FWハビエル・エルナンデス、MFサミ・ケディラ、MFアシエル・イジャラメンディ、DFファビオ・コエントラン、GKイケル・カシージャス 2019.03.12 18:00 Tue
twitterfacebook
thumb

終焉を迎えたレアル・マドリーのサイクル③~アンチェロッティ体制プレイバック~

2018-19シーズン、レアル・マドリーは3月に入ると同時に全てのタイトルへの望みを絶たれた。2009年夏にフロレンティーノ・ペレス会長が2度目の就任を果たして以来、数々の栄光を手にしてきたクラブも、明確な後退を余儀なくされている。本稿では、このサイクルの軌跡を振り返っていく。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆カルロ・アンチェロッティ体制/2013-15</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190310_25_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div>ミラン長期政権時代にチャンピオンズリーグ(CL)を制し、チェルシーでも欧州の頂に立った経験を持つアンチェロッティ監督は、マドリー指揮官就任前年までパリ・サンジェルマン(PSG)を指揮。ビッグクラブで築いた輝かしい実績が評価され、ジョゼ・モウリーニョ前監督の後任としてチームの再建を託された。 前年までのマドリーでは、モウリーニョ前監督とGKイケル・カシージャスらの確執が各紙から噴出。穏やかで真摯な人柄で知られるアンチェロッティ監督には、ロッカールームの規律を取り戻すことが期待され、同時に当人が就任会見で宣言した通り“デシマ”(10度目の欧州制覇)達成が切望された。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆基本フォーメーション[4-3-3]</span><div style="text-align:center;"><img src="http://ultra-soccer.jp/division_image/TOP/get20190310_25_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(c) CWS Brains, LTD.<hr></div>アンチェロッティ政権では、MFガレス・ベイル、MFイスコ、MFハメス・ロドリゲスといった強力なアタッカーのほか、退団間近となっていたMFシャビ・アロンソの穴にはMFトニ・クロースを獲得。負傷により度々欠けるDFマルセロのバックアップ問題は残されたものの、DFダニエル・カルバハルやGKケイロル・ナバスも加えたことで概ねの心配事は取り除かれた。 アーセナルに去ったMFメスト・エジルの代役は見つからなかったものの、2013-14シーズンからのマドリーはMFルカ・モドリッチを中心に据えた[4-3-3]にシフト。3トップの並びは“BBC”と呼ばれるユニットが固定されていたが、中盤の組み合わせに関しては2014-15シーズンからはMFトニ・クロースが欠かせない選手となり、MFハメス・ロドリゲス、MFイスコ、MFアシエル・イジャラメンディといった豊富な選択肢が用意されていた。 <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">◆Turning Point! ~アトレティコとのダービーマッチ~</span> 見事に選手たちのポテンシャルを引き出したアンチェロッティ監督は、初年度から主要二冠を達成。コパ・デル・レイ決勝でバルセロナを破り、CL決勝でアトレティコ・マドリーを破ったとなれば、その喜びは尚更だ。リーガエスパニョーラでは両クラブの後塵を拝したものの、それをかき消すほどに、悲願の“デシマ”達成への称賛は止まなかった。 そして、2014-15シーズンの前半戦では前年の好調を引き継ぎ、公式戦22連勝を記録。しかし、そのシーズンにはスーペル・コパ、コパ・デル・レイでアトレティコに敗退に追い込まれ、リーガでの“マドリッド・ダービー”でも2敗を喫した。優勝したバルセロナ(勝ち点94)と勝ち点2差でタイトルを逃しており、ユベントスに敗れたCL以外の大会で、隣のクラブとの直接対決で失っている。 結局、2015年夏に解任されたアンチェロッティ監督に問われた責は、主要大会を無冠で終えたことだ。しかし、いずれの大会も惜しい所までは進んでおり、解任報道噴出時には選手たちがSNSを通じて慰留を呼び掛け。前年にクラブの悲願を達成した監督を追い出すにはあまりにもな状況だったが、だからこそアンチェロッティ政権からは、ペレス会長が長を務めるマドリーのシビアさが読み取れる。<hr>▽カルロ・アンチェロッティ 【在任期間】 2シーズン(2013-15) 【戦績】 [2013-14] 公式戦60試合46勝8分け6敗 チャンピオンズリーグ:優勝 リーガエスパニョーラ:3位(勝ち点87) コパ・デル・レイ:優勝 [2014-15] 公式戦59試合43勝6分け10敗 チャンピオンズリーグ:ベスト4 リーガエスパニョーラ:2位(勝ち点92) コパ・デル・レイ:ベスト16 [合計] 公式戦119試合89勝14分け16敗 【主な獲得選手】 FWハビエル・エルナンデス、MFガレス・ベイル、MFイスコ、MFハメス・ロドリゲス、MFトニ・クロース、DFダニエル・カルバハル、GKケイロル・ナバス 【主な放出選手】 FWゴンサロ・イグアイン、FWアルバロ・モラタ、MFメスト・エジル、MFカカ、MFアンヘル・ディ・マリア、MFシャビ・アロンソ、DFラウール・アルビオル 2019.03.11 18:00 Mon
twitterfacebook


ACL

Jリーグ移籍情報

欧州移籍情報

アクセスランキング

@ultrasoccerjp

新着ニュース