【会見&質疑】ハグに不必要な身体的接触…楠瀬直木U-17女子代表監督電撃辞任の経緯や理由を田嶋JFA会長らが説明

2018.11.01 19:00 Thu
©超ワールドサッカー
▽日本サッカー協会(JFA)は1日、都内で会見を開き、U-17日本女子代表の楠瀬直木監督(54)にJFAの女性職員に対する不適切な行為があり、本人からの辞任の申し出を受理したことを発表。U-20日本女子代表指揮官の池田太氏が代行を務め、8日の理事会を経て正式に就任することも併せて発表した。

▽U-17日本女子代表は今月ウルグアイで開催されるU-17ワールドカップ(W杯)に出場。13日にはグループリーグ初戦のブラジル代表戦を迎えるところだった。

▽記者会見には、JFAの田嶋幸三会長、須原清貴専務理事、今井純子女子委員長が出席。楠瀬直木監督が辞任に至った理由や経緯について説明し、その後メディア陣からの質疑に応対した。
◆田島幸三会長(日本サッカー協会)
「本日は急なご案内にも関わらずお集まり頂き、誠にありがとうございます。本日FIFAU-17ワールドカップウルグアイ2018に出場するU-17日本代表について、監督の交代をせざるを得なくなったことをお伝えします。楠瀬直木監督に代わり池田太U-18日本女子代表監督が代行で指揮を執ることが決まりました。これは、楠瀬監督の『不適切な行為』に該当する事象があったことが理由です」

「指導者には高い倫理観と規律が必要であることは言うまでもありません。こうして疑義が生じたことを誠に残念に思っています。これにつきまして、まず女子委員長の今井が申し上げ、その後このようなご報告をすることとなった経緯について、専務理事の須原から説明申し上げます」
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◆今井純子女子委員長(日本サッカー協会)
「本日はお忙しい中、集まり頂き誠にありがとうございます。この度、U-17日本代表監督が楠瀬監督から辞任の申し出があり、日本サッカー協会としてこの申し出を受理することが決定しました」

「そして、新監督としてU-18日本女子代表監督の池田太さんに今月から開催されるU-17ワールドカップに参加するチームの指揮を執って頂くこととなりましたことをお知らせいたします。正式には11月8日の理事会での承認を経て、監督に就任致します。それまでは監督代行としてチームの指揮を執って頂くことになります」

「この経緯につきましては、須原専務理事から説明して頂きますが、楠瀬監督による不適切な行為についての説明があり、事情聴取をし、それを踏まえて女子委員会で議論致しました。その議論の意見としてやはり今回のチームに帯同するべきではないという意見が大勢を占めました。その上で法律的な観点もあり、田嶋会長や須原理事による見解を踏まえ、最終的に女子委員会として今回の遠征に帯同して頂くことはできないと判断いたしました。そして、楠瀬監督から辞表を頂きましてので、これを受理することとしました」

「この厳しい事実にしっかりと向き合い、厳しく対処することで今後決してこのようなことが起こることがないようにしていきたいと思います。U-17日本女子代表は、昨年2月の立ち上げ以来、トレーニングを重ねてきました。選手たちも優勝を目指して頑張っています。この状況に際し、チームや選手、スタッフが集中して大会に臨めるように女子委員長、女子委員会として最大限のサポートをしていきたいと考えています」

「多くの国民の皆様にご期待して頂いているのにも関わらず、このような形でお騒がせしてしまい、ファン・サポーターの皆様、ご支援して頂いている企業やクラブ、チーム関係者の皆様にご心配、ご迷惑をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます」

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◆須原清貴専務理事(日本サッカー協会)
「今井が今申し上げた通りでございますが、今回楠瀬直木監督から辞任の申し出がございました。その申し出を受理した上で、楠瀬監督に代わり池田太監督が監督代行として指揮を執ることになりました」

「これは楠瀬さんのJFA職員に対する不適切な行為が認められたことが理由でございます。この経緯を説明するにあたり、まず最初に申し上げたいことがございます。私共は今回対象となっておりますJFAの当該職員の人権を守ることを最優先に考えております。事案の詳細に述べることは、人物の特定につながります。そして、当該職員の人権を毀損することを招きかねません。従いまして、皆様にはできる限りの情報をお伝えしたいと思いますが、私共としても職員の人権、プライバシーを守ることを最優先にしていることをご理解頂けると幸いです。同時に今回辞表を提出しております楠瀬さんの人権にも配慮する必要があるということも合わせてご理解ください」

「今回私共としまして、本人及び関係者の話をしっかりとヒアリングさせて頂き、弁護士を含む外部の専門家とも様々な方法から相談し、楠瀬さんに不適切な行為があったことを判断しました。これは、『不必要な身体的接触』でございます。しかし、事件性のある行為では決してなかったということは申し上げます」

「最初に不適切な行為があったのは、昨年の6月です。打ち合わせを行った後に屋外ではございますが、楠瀬監督が当該職員にハグをして別れました。この当該職員は、その行為に対して不快感を示しました。その後、今年9月に再び不必要な身体的な接触を受けたことから9月下旬に当該職員がメールにて所属部署の上司に相談することが事態が明らかになりました」

「これを受けて繰り返しですが、私共が職員にヒアリングをさせて頂き、そのあとで弁護士を含む外部の専門家の立会いのもと両者に対して、複数回のヒアリングをさせて頂きました。それを踏まえた上で、丁寧に慎重に調査及び問題の整理を進めて参りました。その上で、女子委員会にお諮りし、今回の決断に至りました」

「ご存知の通りでございますが、我々日本サッカー協会は、サッカーを通して人々の心身の健全な発達と社会の発展に貢献することを倫理として掲げております。サッカーに関わる我々大人が子供達に夢を与え、子供達の模範となること、そのような高い倫理観と規律が求められます」

「今回は特にアンダーカテゴリーの女子チームの監督ということもあり、そのチームに関わるものにはより一層の高い倫理観と規律が求められると考えております。日本サッカー協会にはそのような立場から毅然と対応することが求められております。そういった考え方を持って、女子委員会で議論をして頂きました。それを踏まえた上で、楠瀬さんの行為は女子日本代表監督として不適切な行為であったと判断し、本人も軽率な行為であったことを認め、反省した上で辞任の申し出がございました。その申し出を我々は受け入れました」

「日本サッカー協会としましては、役職員への研修、ホイッスルブローイングと呼ぶいわゆるホットラインといった制度の整備をこれまで行ってまいりました。その上で、今回のことをしっかりと検証し、JFA職員にとどまらずコーチングスタッフ、チームスタッフ、その他指導者を含む現場で活動する関係者についてもコンプライアンスの研修をさらに強化し、その教育を行い、再発防止に努めてまいります」

「本件に対する協会の責任は認識しております。従いまして、該当する役員等々につきましての処分を含むその対応につきましては、11月の日本サッカー協会理事会でご審議頂き、決定頂く予定です」

「最後にファン・サポーターの皆様、企業の多くの関係者の皆様、そしてスポーツ界のガバナンス・コンプライアンスの強化に取り組んでいる関係者の皆様にご心配をおかけし、お騒がせしていることを心からお詫び申し上げます」

◆田島幸三会長(日本サッカー協会)
「繰り返しになりますが、U-17女子ワールドカップ直前で監督を交代せざるを得なくなったこと、そしてファン・サポーターを始めとする多くの皆様、関係者の皆様にご心配をおかけし、世間をお騒がせしてしまったことを心からお詫び申し上げます。今回の件については、不快な思いをした職員の人権とプライバシーを大優先に考え、この問題に取り組んで参りました」

「サッカー界全体でリスペクトの啓発活動やコンプライアンスの強化、ハラスメント研修、暴力根絶、ホイッスルブローイングの設置など、様々な取り組みを行ってきました。しかし、このような事態が起こってしまったことを誠に残念に思っています。先ほども申しましたが、指導者、特に日本代表に高い倫理観と規律が必要であることは言うまでもありません。我々の取り組みに対する認識が足りなかったことを猛省せざるを得ません」

「今後は当該職員に対する精神的なケアを行う一方で、2度とこのようなことが起きないよう今一度スポーツの原点、JFAの理念に立ち返り、コンプライアンスの強化に努めてまいりたいと思います。そして、これを機にコーチングスタッフ、チームスタッフに対して、コンプライアンスの徹底、ハラスメント、暴力根絶により一層の力を注いでいく考えです。大きな大会を間近に控えてこのようなご報告をしなくてはならないこと、また昨今のスポーツ界へのハラスメントや暴力など様々な問題が取り沙汰されているにも関わらず、U-17女子日本代表を率いる監督に不適切な行為が認められたことについて、忸怩たる思いを禁じえません」

「しかしながら、日本サッカー協会として、どのような事案に対しても、毅然とした態度で臨み、不適切な行為の再発を防ぐことが日本サッカー協会を守ることになると考え、この結論に達しました。選手たちはウルグアイでの大会に全力を注ごうと真面目に取り組んでいるところであります。新しくなった池田監督のもと、彼らたちの力が100パーセント発揮できるように、私たちはサポートしていきたいと思います」

──10月下旬にメンバー発表をしたが、辞表を受理したのはいつか。一言で言えばセクハラだったと言う認識か
須原清貴専務理事「辞任届が届いたのは10月31日です。2つ目の質問については、不適切な行為であり、セクハラかどうかということにつきましては、弁護士からの見解を頂いておりますが、完全に断じることはできないと。ただ、不適切な行為でありました」

──楠瀬監督はどういうふうに説明をしたか。また、不適切な行為をした際に飲酒をしていたか
須原清貴専務理事「起きた事案につきましては、楠瀬監督が理解をしている、覚えている範囲でその範囲の中で説明して頂いています。飲酒をしていたかどうかについては、今回の職員を特定することになりかねませんので、控えさせて頂きます」

──昨年9月にハグをしたとあったが、楠瀬監督からの説明ではどういった理由でハグをしたのか
須原清貴専務理事「理由等々につきましては、職員の特定につながる可能性がありますので、差し控えさせて下さい」

──昨年6月と今年9月とあったが、その間に何回かあったのか、それともその2回なのか
須原清貴専務理事「私共が認識しているのはこの2回です」

──被害に遭われたのは女性か。また、解任ではなく辞任の理由は
須原清貴専務理事「女性でございます。2つ目の質問についてですが、ご本人の方から反省した上で辞表を提出して頂きました。その意向を尊重して辞表を受理しました」

──楠瀬さんから辞任にあたってのコメントはあったか。現場のスタッフに対するハラスメントなどへの研修はもともとあったのか
須原清貴専務理事「楠瀬さん本人からは『大変ご迷惑をおかけして申し訳なかった』というお言葉を頂戴しております。2つ目の質問に関しましては、指導者などに対しては、契約の時の契約書にそういったコンプライアンスの内容が記載されています。それを説明した上で伝達しております。ただ、その後にフォローアップや追加で定期的に行うことはできていませんでした。そこの部分は反省しております」

──選手たちにはどのタイミングで辞任を伝えたか。また、その時の現場スタッフや選手たちの反応は
今井純子女子委員長「スタッフに対しては、昨日に説明させて頂きました。もちろん驚いていました。その上で選手たちがこの大会に向けて集中して臨めるようにしっかりやっていこうという意思確認をさせて頂きました。選手たちは本日集合ですので、バスに乗る際に私の方から説明させて頂きました。大変驚いていましたが、ここで集中して目の前のサッカーに向き合って取り組むことが大事であり、不満になることがあればスタッフに相談して欲しいと伝えています」

──楠瀬監督の説明ではなぜハグをしたのか
須原清貴専務理事「お疲れ様という意味だとおっしゃっていました」

──なぜこのようなことが起きてしまったのか
須原清貴専務理事「もう一度我々の方でしっかりと時間をかけて事象を分析し、今我々が持っているプログラムを整理する必要があります。どこかのタイミングでもう一度しっかりと説明したいと考えています。ただ、この時点で申し上げられることは、代表チーム役員に対するコンプライアンスの教育や研修を見直す必要があると思っております」

──昨年6月の件は屋外と言っていたが、業務中だったのか
須原清貴専務理事「業務中であり、出張中でした」

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2022年開催のU-17、U-20の女子アジアカップが中止に…コロナ禍で開催困難

日本サッカー協会(JFA)は6日、AFC U-17女子アジアカップ、AFC U-20女子アジアカップの中止を発表した。 この決定はアジアサッカー連盟(AFC)が5日に行ったもの。新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大が続いており、すべての利害関係者、特に若手プレーヤーの健康と安全を優先することの重要性を考えての判断とのことだ。 両大会は、2022年にそれぞれインドネシアとウズベキスタンで開催される予定だった。 これを受け、U-19日本女子代表の池田太監督、U-16日本女子代表の狩野倫久監督、今井純子女子委員長がコメントしている。 【今井純子女子委員長】 今回、育成年代ということもあり、アジア各地での新型コロナウイルス感染拡大の様々な状況、1次予選、2次予選を実施して上位ラウンドへと進行していくことが非常に困難ということで、残念ながら育成年代の女子アジアカップ全体が中止と なってしまいました。 育成年代代表の目標は、1つでも多くの良い経験を積み上げて将来に向けて成長することです。その中でも国際経験、プレッシャーの掛かる大会の経験は何物にも代えがたい貴重な経験の場であり、非常に残念です。 ワールドカップへどのような方法でアジアからの出場チームを決定するかはまだ不明ですが、出場できることを想定し、そこに向けて両代表の強化活動を変わらず継続していきます。まだ国際経験が困難な時期が続きますが、状況を見ながらできる限りの良い経験が積めるよう進めていきたいと思います。 【U-19 日本女子代表 池田太監督】 選手達が大きく逞しく成長できる大会が中止となり本当に残念です。しかし健康や安全が大切なことは間違いありません。 アジア各国との戦いは選手達の成長や経験値を上げることと共ににワールドカップ予選という次へのステージがかかっている緊張感や達成できた時の自信などを得られる機会と考えていました。今後の活動で海外のチームとの対戦も調整して継続的に強化していかなければならないと感じています。 アジアの出場枠がどのように決定されるのかはまだ分かりませんが、2022年8月にコスタリカで予定されているワールドカップに向けて引き続き選手達と成長の歩みを止めず、進んでいきます。 【U-16 日本女子代表 狩野倫久監督】 U-16日本女子代表は、今年の4月に新チームとして立ち上げ、AFCU-17女子アジアカップ優勝をひとつの目標にし、そこからFIFAU-17女子ワールドカップインド大会での躍進を大きな目標に掲げていました。前回のFIFAU-17女子ワールドカップに続き、AFCの大会が中止になったことで国際経験を体験できないことは残念ではありますが、今後の目標や選手たちの目指すべきところ「世界のなでしこになる」は変わることはなく歩みを止めてはいけません。 今回の中止を更なるステップアップ、今後の成長を更に加速させるきっかけになるよう、今後の目標に対し、今一度内省し今後への歩むべき道筋を立て、未来に向かい今まで以上に日々全力で迷うことなくチャレンジして欲しいと思います。 我々スタッフ一同、これからも育成年代の強化・育成、レベルアップのために、より一層尽力していきます。まだまだ大変な状況下にありコロナウイルスによる影響は今後も続くかもしれませんが、皆さんと共に、この状況を乗り越えていきたいと思います。 2021.07.06 18:13 Tue

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