【会見】敗戦も収穫を語るハリルホジッチ監督、選手選考について「23人の翔哉を選ぶわけにはいかない」《キリンチャレンジカップ》

▽日本代表は27日、キリンチャレンジカップ2018 in EUROPEでウクライナ代表と対戦し、1-2で敗戦を喫した。▽試合後、ヴァイッド・ハリルホジッチ監督が記者会見に臨み、試合の感想をコメント。満足はしないものの、収穫もあったと語った。◆ヴァイッド・ハリルホジッチ監督(日本代表)
「もちろん、敗戦で喜ぶことはできない。しかし、前の試合よりは良かったと思う。悪くないものもたくさん見られた。相手はとても実力があり、サイドチェンジも一流だった。我々よりゲームコントロールができるチームと対戦したが、しっかりと対応できたと思う」
「試合の終盤、2、3回得点を決められるチャンスがきたが、そこで決められず残念だ。今回はケガによって、3、4人の選手を欠いていた。(ワールドカップ)本大会では、もう少し競争力のある姿を見せられるかなと思う」

──終盤に2、3回チャンスがあったとのことだが、そこまでの攻撃に関しては得点シーン以外は見所がなかったが、どう改善するか
「決定力の課題というのは世界中のどのチームも抱えている。しかし、今日は試合を通して4、5回の決定機を作れたと思っている。対戦している相手は、カンボジアやシンガポールではなく、多くの決定機を作れない相手だ」「これでもまだ多いほうだと思っている。相手より多くの決定機を作ったと思う。そして、終盤の最後の5分間で2、3回本当に良い決定機があったが、そういったところで決めないといけないと思っている」

「得点を取るということは、どのチームにも重要なテーマである。メッシ、(クリスティアーノ・)ロナウドのように、違いを出せる選手は居ない。得点力というところで、少し目立った活躍ができる選手を探しているが、そのトライをしていないとは言えない」

──マリ戦よりもずっとアグレッシブに戦えたが、攻撃に関してはデュエルの部分で物足りないがその辺が重要ではないか
「マリ戦では、準備の段階から、ゲームコントロールの部分が上手くいってなかった。バックパスが多かったり、ボールを奪うところでミスがあった。本日の試合ではそこが良くなっていると思う」

「奪った後の狙いは、早いプレーだった。でも、いきなりそれができるわけではない。ボールを奪った後のファーストパスが重要だが、ボールを奪ったゾーンから、ゾーンを変えてプレーするという必要があるが、その部分は上手く行かなかった」

「そういった部分では相手のほうが日本より上手かったと思う。ただ、ポジティブなものも見られた。今回のメンバーに2、3人選手が復帰してくれば、ボールを奪った後のゲームコントロールが上がるかなと思っている。ボールを持った後の早いプレーが現代のサッカーで求められているものだ。もちろん、私が言っているように準備はできていない。改善できるように、トレーニングをしていく」

「ドローに限りなく近い試合はできたと思う。(11月の)ベルギー戦も似たような試合だった。点を取るのに20回の決定機を作るのを待っていては決まらない。数少ないチャンスで決めるというのも改善点の1つだ」

「ナーバスになっていたとは思わないが、奪った直後の冷静さがあれば、より背後を取れたと思う。また、奪った後のボールホルダーと、前線の選手の動きが連動しなければいけない。改善するためのトレーニングはこれからたくさん行わなければいけない」

──マリ戦でも本日の試合でもフィジカル的な部分で差があったが、相手にとってより危険な存在になるには何が必要か
「もちろんその差によって起こる問題はある。我々は我々で、自分たちの特徴を活かした守備、攻撃をしなくてはいけない。もちろんフィジカル的なパワーで相手に対応する選手も必要だとは思うが、我々の特徴に合わせたプレーが必要だ」

「もちろん中央に居る選手にはパワーでの対応が必要だと思うので、私もたくさんのオプションを持っている。ボールを持ったら、ゴールのところで我々の瞬発力、スピード、リズムの変化、早いボール回し、前に向かう動き、そういったものが必要だと思う。今日は引いてもらう動きが多かった。相手ゴールに背を向けたプレーが多かった」

「今日の試合ではそういったプレーが多すぎたと思うので、その部分を改善しないと本戦でも上手くいかないと思う。相手ゴールに背を向けて引いて受ける動きが多かった。我々の特徴に合ったプレーを実行しなければいけない」

──この遠征での2試合での一番の収穫は。また、選手の序列に変化はあるか
「このタイミングで世界中のどの監督も行ったことだが、多くの選手をテストした。ケガでレギュラーと呼べる選手を5、6人呼べなかった。そして、ブラジルやフランスではないので、その選手が欠けたところがのしかかってくる」

「ただ、その中で多くの選手を試した。試すことによって得た情報もある。もちろん、全ての情報が良いわけではないが、まだ全員が最高の状態ではないと思う」

「これからクラブの視察も続けていきたい。例えば中島(翔哉)は1つの発見だった。それが多くの人にとってサプライズだったのかもしれないが、我々は長い間追跡していた」

「2試合とも交代で入ったが、良い満足行くプレーを見せた。また、ワールドカップに向けてチームを編成していく時、その中にはスピード、パワー、色々な要素を入れる必要がある。23人の翔哉を選ぶわけにはいかない」

「特徴をミックスしていく必要がある。ただ、現時点でも言えることは、最終リストの作成は大変な作業になるということだ。しっかりと熟考して作成したいと思う」

「どの様なプレーをしないといけないかというのは、私の中にはある。非常にパワーがあって、形を崩さない様なチームと対戦するが、そのワールドカップの厳しい要求に応えられる編成にしないといけないし、罠に陥ってはいけない」

「もちろん、チームを応援している方々は、ボールを持って攻撃を仕掛け続けるということを期待するかもしれない。そのような贅沢なことはできない。不運なことにそれはできない。ブラジル代表を見ても、プレースタイルが大きく変わっている。攻撃のみを考えるチームではなく、前線、中盤、最終ラインと全ての選手が守備に関わっている」

「そして、フランスという優勝候補のチームのコロンビア戦をこの前見たが、後半気を抜いたところでコロンビアに敗戦を喫していた。我々も自分たちに何ができるのかを認識しながら行かないといけないと思う。幻想を抱いては罠に陥るだけだ」

「もちろん選択のところで非常にデリケートな判断をしなくてはいけない。監督として、できるだけ多くの選手に出場機会を与えてきたと思う。そのことによって、競争を促してもいる」

「今現在難しい状況に居る選手も居るが、まだ23人は決定していない。色々、自問しながら進めていきたいと思う」

──準備の段階ということだが、4年前のアルジェリアと比較して似たような状況なのか。それとも違うか
「同じような時期に、それぞれのクラブで試合に出ていない選手が居たので、少し似たような状況だ。ただ、アルジェリア代表の場合は、個人で違いを見せられる選手が居た。日本の場合はあまりそういった選手が居ない。パワーもアルジェリアの方があったと思う」

「ただ、日本の方が規律を守るという部分がある。規律を守るとはいえ、日本のほうが変わりにくい部分もある。私がトライしていても、変わらない部分はある」

「ワールドカップ直前に3週間トレーニングできる時期があるので、そこで改善できる部分はあるかなと思う。希望はある。守備、そして意欲、そして攻撃だ」

「選手たちそれぞれがトップコンディションに上げていけることを期待している。合宿の度に2試合プレーするが、内容は毎回2試合目の方が良くなっている」

「今日の場合は敗戦となったが、前の試合(マリ戦)よりも内容やハードワークの部分は良くなっていた。ポジティブなものもたくさん見られた」

「4、5人の新しい選手が入っている中で、ゲームコントロールや決定力も見られた。日本はさらに高いレベルでプレーする姿を見せられると思っている」

「ウクライナ代表は世界のトップ20、25には確実に入るレベルの高いチームだ。そして彼らも、今後のための準備として、しっかりと戦ってきた」

「そういった相手に対して、ここまで戦う姿を見せた日本ということを考えなくてはいけない。新しい選手が居る中で戦ったので、厳しすぎる目も良くないと思う。ただ、ワールドカップのことを考えると、まだ上げて行かなくてはいけない」

──後半の方が選手たちのプレーへの姿勢が良くなったように見えたが、何かアドバイスは
「もちろん、毎試合そういったことはしている。ハーフタイムに修正している。守備では(酒井)高徳、(本田)圭佑サイドで外側を使おうとする相手選手が居たので、縦を切るようjにした」

「我々の左サイドに3人の選手を置いて、トライアングルを作っていた。ポジションチェンジをしてだ。(長友)佑都、長谷部(誠)、(柴崎)岳などが相手がポジションを入れ替えた中で、どうやって捕まえるかを話をした」

「一対一で形を作られたことは少し心配な点だ。そして、ボールを奪った後のファーストパス、早いタイミングでサイドチェンジをしようと話していたが、なかなかできなかった。相手チームのサイドチェンジは素晴らしかった。我々はそういったところで迫力がなかった」

「若い選手が多い中で、冷静さに欠け、テクニックのミスが出たとも考えられる。ただ、試合終了間際の3、4分間で3回、4回と決定的なチャンスを作れた。この前の試合で(クリスティアーノ・)ロナウドは、95分、96分ぐらいのタイミングで得点をとった。それがなければ、(ポルトガルは)勝てなかった」

「いつもどおり、完全に満足することはできないが、ポジティブなものも見られた試合だ。最後までしっかり戦え、ハイプレスもでき、最後の3、4分のところで決定機も作った。喜ぶべき部分もある。ただ、ワールドカップのことを考えると十分ではないことは理解している」

「今日の姿を批判されても受け止めながら、向上していかないといけないと思う。ワールドカップで結果を残したいなら改善が必要だ」