【欧州日本人選手前半戦総括&評価】プレミア勢奮闘もブンデス勢低調
2017.12.30 18:00 Sat
▽欧州4大リーグの2017-18シーズンの前半戦が終了しました。そこで本稿では4大リーグに所属する日本人14選手のシーズン前半戦のパフォーマンスを5段階で評価してみました。総括とともにご覧ください。
※★★★★★が最高、☆が最低
★岡崎慎司[レスター・シティ]
プレミアリーグ出場試合数:17先発:10)ゴール数:6
EFLカップ出場試合数:2(先発:1)ゴール数:1
評価: ★★★☆☆
◆新たなライバル加入も早くもキャリアハイのプレミア6ゴール記録
▽ピュエル新監督の下、さほど信頼を掴みきれていなかった岡崎だが、トッテナム戦で先発の機会を得ると、持ち前のハードワークで2-1の勝利に貢献した。そして、圧巻だったのが吉田との日本人対決となったサウサンプトン戦。吉田の目の前で2ゴールを決め、チームの大勝に貢献した。チームが残留争いを抜け出した中、岡崎自身もハーフシーズンを終えた段階で優勝した2シーズン前のプレミアキャリアハイの5ゴールを上回る6ゴールを記録。2桁ゴールを十分に目指せるペースでゴールを積み重ねている。
★吉田麻也[サウサンプトン]
プレミアリーグ出場試合数:16先発:15)ゴール数:2
EFLカップ出場試合数:1(先発:1)ゴール数:0
評価: ★★★☆☆
★乾貴士[エイバル]
リーガエスパニョーラ出場試合数:16(先発:16)ゴール数:3
コパ・デル・レイ出場試合数:1(先発:0)ゴール数:0
評価: ★★★☆☆
◆レギュラー維持でチームも上昇気流に
★柴崎岳[ヘタフェ]
リーガエスパニョーラ出場試合数:7(先発:4)ゴール数:1
コパ・デル・レイ出場試合数:0(先発:0)ゴール数:0
評価: ★★☆☆☆
◆バルサ戦でゴラッソも悔しい長期離脱
★長友佑都[インテル]
セリエA出場試合数:10(先発:9)ゴール数:0
コッパ・イタリア出場試合数:1(先発:1)ゴール数:0
評価: ★★☆☆☆
◆構想外からレギュラー奪取、そしてベンチへ
▽ところが11月の日本代表の欧州遠征以降、立場が暗転してしまう。疲労を考慮してか、サントンにポジションを譲ると、そこから6試合に渡ってベンチを温めることに。結局、出場機会を与えられず、後味の悪い形で2017年を終えている。
★香川真司[ドルトムント]
ブンデスリーガ出場試合数:13(先発:7)ゴール数:3
チャンピオンズリーグ出場試合数:5(先発:5)ゴール数:0
DFBポカール出場試合数:3(先発:2)ゴール数:1
評価: ★★☆☆☆
◆監督交代で輝き取り戻す
★大迫勇也[ケルン]
ブンデスリーガ出場試合数:13(先発:12)ゴール数:1
ヨーロッパリーグ出場試合数:6(先発:3)ゴール数:2
DFBポカール出場試合数:1(先発:0)ゴール数:0
評価: ★☆☆☆☆
◆ストライカーの役割果たせず
★浅野拓磨[シュツットガルト]
ブンデスリーガ出場試合数:15(先発:7)ゴール数:1
DFBポカール出場試合数:3(先発:2)ゴール数:0
評価: ★★☆☆☆
◆ブンデス1部初ゴールも
★長谷部誠[フランクフルト]
ブンデスリーガ出場試合数:10(先発:9)ゴール数:0
DFBポカール出場試合数:2(先発:2)ゴール数:0
評価: ★★☆☆☆
◆ヒザ痛と風邪で出場機会減
★鎌田大地[フランクフルト]
ブンデスリーガ出場試合数:3(先発:2)ゴール数:0
DFBポカール出場試合数:1(先発:1)ゴール数:0
評価: ★☆☆☆☆
◆高かったブンデスの壁
★酒井高徳[ハンブルガーSV]
ブンデスリーガ出場試合数:13(先発:11)ゴール数:0
DFBポカール出場試合数:1(先発:1)ゴール数:0
評価: ★★☆☆☆
◆2年連続キャプテンもチームは低空飛行
★伊藤達哉[ハンブルガーSV]
ブンデスリーガ出場試合数:9(先発:5)ゴール数:0
DFBポカール出場試合数:0
評価: ★★★☆☆
◆トップチームデビューから契約延長へ
★武藤嘉紀[マインツ]
ブンデスリーガ出場試合数:13(先発:11)ゴール数:3
DFBポカール出場試合数:3(先発:1)ゴール数:2
評価: ★★☆☆☆
◆今季も負傷に苦しむ
★原口元気[ヘルタ・ベルリン]
ブンデスリーガ出場試合数:7(先発:1)ゴール数:0
ヨーロッパリーグ出場試合数:3(先発:1)ゴール数:0
DFBポカール出場試合数:2(先発:0)ゴール数:0
評価: ★☆☆☆☆
◆移籍願望受けて干される
※★★★★★が最高、☆が最低
★岡崎慎司[レスター・シティ]
プレミアリーグ出場試合数:17先発:10)ゴール数:6
EFLカップ出場試合数:2(先発:1)ゴール数:1
評価: ★★★☆☆
◆新たなライバル加入も早くもキャリアハイのプレミア6ゴール記録

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▽昨季のスリマニに続き、今季もマンチェスター・シティから強力なライバルのイヘアナチョの加入があった中、岡崎はコンスタントに出場機会を得ている。開幕戦のアーセナル戦でゴールを奪うと、続く第2節のブライトン戦でもゴール。2試合連続ゴールと好スタートを切った岡崎は、第6節のリバプール戦でもゴール。強豪相手に得点を挙げたが、チーム自体は8試合を終えた段階で1勝と今季も不調に陥り、シェイクスピア監督を電撃解任。★吉田麻也[サウサンプトン]
プレミアリーグ出場試合数:16先発:15)ゴール数:2
EFLカップ出場試合数:1(先発:1)ゴール数:0
評価: ★★★☆☆
◆守備の要の移籍願望の間隙縫ってレギュラー定着

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▽昨季後半にレギュラーに定着した吉田は、サウサンプトンでの6シーズン目となった今季もレギュラーの座を死守している。ペジェグリーノ新監督が就任した中、ラツィオで台頭したオランダ代表DFホードが加入したものの、守備の要であるオランダ代表DFファン・ダイクが移籍願望を表明したことで、シーズン序盤は吉田とホードがセンターバックでコンビを組む機会が多くなった。そこで安定したパフォーマンスを見せた吉田は、ファン・ダイク復帰後もレギュラーの座を死守。ファン・ダイクと共にレギュラーセンターバックとしてチームを支えている。また、攻撃時のセットプレーでも得点力を発揮し、今季ここまで2ゴールを挙げている。ただ、チームは12月に入って未勝利が続き、その間先発していた吉田にも批判の矛先が向いている状況だけに新年からの挽回が求められる。★乾貴士[エイバル]
リーガエスパニョーラ出場試合数:16(先発:16)ゴール数:3
コパ・デル・レイ出場試合数:1(先発:0)ゴール数:0
評価: ★★★☆☆
◆レギュラー維持でチームも上昇気流に

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▽エイバルでの3シーズン目を迎えた乾は、持ち前のドリブルからのチャンスメークと献身的な守備で今季もレギュラーの座を維持している。チーム自体は開幕から10試合で2勝と苦しみ、メンディリバル監督は4バックから3バックへの移行を敢行。そんな中、乾は2トップの一角やトップ下など、定位置の左サイド以外でもプレーした。ただ、それでも結果が出ずに4バックに戻すと、チームは復調。乾も定位置の左サイドで攻撃の起点となり、逆サイドのアレホと共に攻撃の要として機能した。そして、第16節バレンシア戦で今季初ゴールをマークすると、年内最終戦のジローナ戦で2ゴールを決め、最高の形で新年を迎えている。★柴崎岳[ヘタフェ]
リーガエスパニョーラ出場試合数:7(先発:4)ゴール数:1
コパ・デル・レイ出場試合数:0(先発:0)ゴール数:0
評価: ★★☆☆☆
◆バルサ戦でゴラッソも悔しい長期離脱

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▽昇格プレーオフを戦った相手のヘタフェに加入してプリメーラ初挑戦となった柴崎は、トップ下の位置で開幕スタメンの座をつかむと、第4節バルセロナ戦で強烈な左足ボレーによるゴラッソを叩き込んだ。華々しいスタートを切った柴崎だったが、そのバルセロナ戦で左足中足骨を骨折し、約2カ月半戦列を離れることになってしまった。復帰戦はエイバルの乾との日本人対決となったが、すれ違いでピッチ内での競演は果たせなかった。後半戦ではレギュラー奪取とともにリーガ史上初の日本人対決の実現に期待したい。★長友佑都[インテル]
セリエA出場試合数:10(先発:9)ゴール数:0
コッパ・イタリア出場試合数:1(先発:1)ゴール数:0
評価: ★★☆☆☆
◆構想外からレギュラー奪取、そしてベンチへ

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▽インテルでの8シーズン目を迎えた今季も浮き沈みの激しいシーズンとなっている。名将スパレッティ監督を迎えたチームは、18試合を終えて2敗の3位と、順調なシーズンを送っている。そんな中、長友はシーズン開幕前の構想外報道から一転、普段のトレーニング態度を認められ、開幕から左サイドバックのレギュラーとして起用され続けてきた。左サイドバックにはニースからブラジル人DFダウベルト・エンリケを2000万ユーロで獲得していたインテルだが、開幕から長友が不動の左サイドバックを務めた。▽ところが11月の日本代表の欧州遠征以降、立場が暗転してしまう。疲労を考慮してか、サントンにポジションを譲ると、そこから6試合に渡ってベンチを温めることに。結局、出場機会を与えられず、後味の悪い形で2017年を終えている。
★香川真司[ドルトムント]
ブンデスリーガ出場試合数:13(先発:7)ゴール数:3
チャンピオンズリーグ出場試合数:5(先発:5)ゴール数:0
DFBポカール出場試合数:3(先発:2)ゴール数:1
評価: ★★☆☆☆
◆監督交代で輝き取り戻す

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▽今季はチーム共々、難しい前半戦を過ごした。ボス新監督の下でスタートしたシーズン序盤は圧倒的な破壊力で勝ち星を重ねていったが、相手の研究が進んだ第8節以降は未勝利が続いた。そんな中、香川は同じポジションを争うライバルたちの負傷によって出場機会を得たが、チーム共々低調なプレーが続いた。そして、11月の日本代表メンバーから漏れ、どん底な状況の中、8戦勝利から見放されたところでボス監督が解任となった。しかし、シュティーガー監督が就任すると、香川が復活。2試合で1ゴール2アシストの活躍を見せ、チームに9試合ぶりの勝利をもたらすとともに、シーズン前半戦を連勝でしめくくることに大きく貢献している。★大迫勇也[ケルン]
ブンデスリーガ出場試合数:13(先発:12)ゴール数:1
ヨーロッパリーグ出場試合数:6(先発:3)ゴール数:2
DFBポカール出場試合数:1(先発:0)ゴール数:0
評価: ★☆☆☆☆
◆ストライカーの役割果たせず

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▽ケルンでの4シーズン目を迎えた大迫は、ストライカーとして落第点を付けざるを得ない状況だ。昨季25ゴールを挙げたチーム内得点王であるモデストが移籍し、昨季7ゴールの大迫がエースストライカーとしての役割を担うことが期待されたが、前半戦を終えた段階でのリーグ戦におけるゴール数はわずかに1と、言い訳のできない苦しい結果に終わった。唯一と言っていい活躍はヨーロッパリーグ・BATEボリソフ戦での2ゴール1アシストの活躍くらいで、前半戦を終えてリーグ戦わずか1勝のチームの不調を象徴する存在となってしまった。★浅野拓磨[シュツットガルト]
ブンデスリーガ出場試合数:15(先発:7)ゴール数:1
DFBポカール出場試合数:3(先発:2)ゴール数:0
評価: ★★☆☆☆
◆ブンデス1部初ゴールも

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▽アーセナルからのレンタル期間が延長となって1部に復帰したシュツットガルトに残留した浅野。右ウイングやセンターフォワードの位置でコンスタントに出場機会を得て、ストロングポイントのスピードにおいては通用することを示した。しかし、課題であるゴール前でのプレー精度を欠き、惜しいシーンを作りながらもゴールにつながらない場面が多かった。そんな浅野に待望の瞬間が訪れたのは第13節ハノーファー戦。先発の機会を得てこぼれ球を泥臭く押し込んだ。とはいえ、出場機会の多さを考慮すれば1ゴールは寂しい数字。後半戦も出場機会を得るには結果を出すしかない。★長谷部誠[フランクフルト]
ブンデスリーガ出場試合数:10(先発:9)ゴール数:0
DFBポカール出場試合数:2(先発:2)ゴール数:0
評価: ★★☆☆☆
◆ヒザ痛と風邪で出場機会減

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▽フランクフルトでの4シーズン目となった今季前半戦、今年3月に痛めた右ヒザ痛の影響と、風邪によって思うように出場機会を増やせなかった。とはいえ、出場した際には昨季同様に本職のボランチと新境地を拓いたリベロの両ポジションで及第点のプレーを見せた。フランクフルトとは今季までの契約となっているが、後半戦の働きが長谷部のキャリアを左右することになる。★鎌田大地[フランクフルト]
ブンデスリーガ出場試合数:3(先発:2)ゴール数:0
DFBポカール出場試合数:1(先発:1)ゴール数:0
評価: ★☆☆☆☆
◆高かったブンデスの壁

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▽サガン鳥栖から完全移籍で今季加入した鎌田だったが、ブンデスの壁は高かった。初戦でいきなり先発のチャンスをもらったものの、目に見える結果を残せなかったことで、その後は出場機会を得られず、前半戦の出場試合数はわずかに3。その短い時間ではレギュラー奪取へのアピールは到底できず、ベンチ外の日々が続いた。★酒井高徳[ハンブルガーSV]
ブンデスリーガ出場試合数:13(先発:11)ゴール数:0
DFBポカール出場試合数:1(先発:1)ゴール数:0
評価: ★★☆☆☆
◆2年連続キャプテンもチームは低空飛行

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▽ハンブルガーSVでの3シーズン目を迎えた酒井高は、今季もキャプテンの重責を任された。シーズン開幕前のDFBポカールでの低調なパフォーマンスを受けて、開幕から2試合出場機会をもらえなかったが、左サイドバックで出場機会を増やしていった。その間チームは未勝利と苦しんだが、ボランチにポジションを移してチームに安定感をもたらすと、第11節シュツットガルト戦で9試合ぶりの勝利を飾った。今季も残留争いに巻き込まれそうな情勢だが、酒井高のキャプテンシーでチームを最低限の目標である残留に導きたい。★伊藤達哉[ハンブルガーSV]
ブンデスリーガ出場試合数:9(先発:5)ゴール数:0
DFBポカール出場試合数:0
評価: ★★★☆☆
◆トップチームデビューから契約延長へ

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▽2015年夏に柏レイソルのユースからハンブルガーSVのユースに加入した伊藤は、第6節レバークーゼン戦でトップチームデビュー。すると直後のブレーメンとのノルト・ダービーでキレのあるドリブルを披露し、存在感を示した。攻撃のオプションとしてギズドル監督に認められた伊藤は、その後もコンスタントに出場機会を得てチャンスを演出。2021年までの契約延長を勝ち取った伊藤としては今後、目に見える結果を残すことが期待される。★武藤嘉紀[マインツ]
ブンデスリーガ出場試合数:13(先発:11)ゴール数:3
DFBポカール出場試合数:3(先発:1)ゴール数:2
評価: ★★☆☆☆
◆今季も負傷に苦しむ

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▽マインツでの3シーズン目を迎えた今季、ライバルのコルドバが移籍した中、エースストライカーとしての役割が期待された武藤。最前線でレギュラーのポジションを務めた武藤は第3節レバークーゼン戦で今季初ゴールをマーク。その後もゴールとアシストを重ね、ストライカーとして及第点のプレーを見せていた。しかし、昨季のヒザ痛に続き、持病の背中に痛みが再発すると、第13節から4試合続けて欠場。その間チームも1分け3敗と苦しみ、チームは降格圏のハンブルガーSVとは2ポイント差の15位と苦戦している。★原口元気[ヘルタ・ベルリン]
ブンデスリーガ出場試合数:7(先発:1)ゴール数:0
ヨーロッパリーグ出場試合数:3(先発:1)ゴール数:0
DFBポカール出場試合数:2(先発:0)ゴール数:0
評価: ★☆☆☆☆
◆移籍願望受けて干される

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▽プレミアリーグへの移籍が決まらず、不本意ながらヘルタ・ベルリンでの4シーズン目を迎えた今季、原口にプレーの機会を与えるほどクラブは甘くなかった。今季終了後に切れる契約の延長を固辞している原口に対し、ヘルタは徹底した対応を見せた。戦力外に近い扱いを見せた中、第7節バイエルン戦で先発の機会が訪れた原口は、1アシストを記録する活躍を見せるも、直後のシャルケ戦で一発レッドカードを受けると、その後は再びベンチ外の日々が続いた。結局、その後に出場機会を得られたのは消化試合のヨーロッパリーグと前半戦最終戦のホッフェンハイム戦のみ。この冬に移籍できなければ、ワールドカップに影響が出ること必至だが、移籍先は決まるか。レスター・シティの関連記事
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クラブのオーナーがピッチに降りてきて監督に対して激しく詰め寄っている珍しい光景があったが、理由はお粗末なものだった。 珍事が起きたのはプレミアリーグ第36節のノッティンガム・フォレストとレスター・シティの一戦。来シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)出場権も争える位置にいるフォレストだったが、すでに2部降格が決定しているレスターに苦戦。2-2のドローに終わった。 大事な戦いで勝ちきれなかったことも憤りの1つとなった中、この試合のマネジメントにも問題が。試合の最終盤にエリオット・アンダーソンに代えてジョタ・シウバを投入した、タイウォ・アウォニイがプレー続行不可能となり、10人で試合を終えることになっていた。 これに怒りを示したのがエヴァンゲロス・マリナキス氏。フォレストのオーナーは、試合後にピッチでヌーノ・エスピリト・サント監督に強い口調で何かを言っていた。 試合後、ヌーノ監督はこの出来事に言及。選手交代でのミスが原因だと明かした。 「全員にとって残念な結果だった。残念ながら、最後の10分間は一人少ない状態でプレーしなければならなかった。T(タイウォ・アウォニイ)はトライしたが、チームを力強くサポートするにはあまりにも辛すぎた」 「コーチングスタッフとメディカルスタッフの間で誤解があった。交代要員を手配するよう事前に指示されていたが、Tがチャレンジしたものの無理だった」 「もちろん、失望やフラストレーションもあった。ただ、オーナーと彼の情熱のおかげで、我々はクラブとして成長している。彼は我々を後押しし、さらに良いチームになることを望んでいる」 「ビッグクラブになることは彼の情熱であり、彼の願いだ。今日、3万人の観客も同じように感じていた。きっと彼らの多くはピッチに出て、我々を揺さぶってくれるだろう」 「我々クラブは、マリナキス家に多大な恩義を感じている。私は長年、選手として、そして監督としてサッカー界に携わってきた。それは情熱と熱意だ。選手たちも我々も、そしてファンもそれを感じている。我々はもっと頑張らなければならない。今日、我々はもっと頑張る義務があった」 マリナキス氏の情熱がチームを引き上げ、CL出場の可能性もまだ残っている状況。自身はマルチオーナーの問題があり、全てのクラブがCLに出場できるようにフォレストでは一歩下がる立場になっていたばかりだった。 そのマリナキス氏は、自身のインスタグラムを更新。ヌーノ監督との出来事について言及し、コミュニケーション不足による交代の失敗が問題だと指摘した。 「我々はヌーノとチームを非常に誇りに思っており、彼らと親しい関係にある。そして、我々全員が今シーズンの歴史的な成果を祝わなければならない」 「コーチ、選手、サポーター、そして私自身も含め、全員がタイウォの負傷と、タイウォが試合を続行できるかどうかのメディカルスタッフの判断ミスに憤りを感じている。これは当然のことだ。これは我々がクラブに抱く情熱の表れだ」 フォレストはこの引き分けにより4位のマンチェスター・シティとの勝ち点差は「3」、5位のチェルシー、6位のアストン・ビラとの勝ち点差は「2」となり、残り2試合を戦うことに。最終節ではチェルシーとの直接対決が残っているが、最後までCL争いを繰り広げられるか注目だ。 <span class="paragraph-title">【動画】オーナーがピッチに降りてきて監督に怒り露に</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="fi" dir="ltr"><a href="https://twitter.com/hashtag/valioliiga?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#valioliiga</a> <a href="https://t.co/Lvx8ZCd1pA">pic.twitter.com/Lvx8ZCd1pA</a></p>— Viaplay Urheilu (@ViaplayUrheilu) <a href="https://twitter.com/ViaplayUrheilu/status/1921877133573370257?ref_src=twsrc%5Etfw">May 12, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2025.05.12 23:55 Mon4
【平成史に残るレジェンドチーム50選】vol.48 誰もが驚き、賞賛した“ミラクル・レスター”/レスター・シティ[2015-16]
1989年1月8日に日本で始まった「平成」。日本では31年にわたって使用されてきたが、2019年4月30日をもってその時代が終わりを告げる。 日本サッカーにおいても激動の時代であった「平成」だが、目をヨーロッパに向け、同じ時代で印象に残ったレジェンドチームを超ワールドサッカー編集部が選出。記憶や記録に残る50チームを紹介していく。 <div style="position: relative;margin: 2em 0;padding: 25px 10px 7px;border: solid 2px #FFC107;"><span style="position: absolute;display: inline-block;top: -2px;left: -2px;padding: 0 9px;height: 25px;line-height: 25px;vertical-align: middle;font-size: 17px;background: #FFC107;color: #ffffff;font-weight: bold;">vol.48</span><p style="margin: 0; padding: 0;font-weight:800">2015-2016シーズン/レスター・シティ ~“ミラクル・レスター”~</p></div> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/2015-16leicester.jpg" style="max-width:100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">(C)CWS Brians,LTD.<hr></div><div style="padding: 0.5em 1em;margin: 2em 0;border: double 5px #4ec4d3;"><p style="margin: 0; padding: 0;">監督:クラウディオ・ラニエリ 獲得タイトル:プレミアリーグ 攻撃力7:★★★★★★★☆☆☆ 守備力8:★★★★★★★★☆☆ タレント7:★★★★★★☆☆☆ 連係9:★★★★★★★★★☆ 選手層7:★★★★★★★☆☆☆ </p></div> <div style="padding: 0.25em 0.5em;font-weight:800;font-size:1.2em;color: #494949;background: #dbeeff;border-left: solid 5px #7db4e6;">目標は残留のはずだったが…</div> レスター・シティが躍進したこのシーズンの1年前、2014-15シーズンに11年ぶりのプレミアリーグに復帰したが、前半戦を終えて最下位に終わり、降格間違いなしといわれていた。ところが、当時のナイジェル・ピアソン監督率いるレスターは、後半戦に8戦7勝1分を記録するなど巻き返しを見せ、「華麗なる脱出」を遂げていた。 1年での降格を免れたレスターだったが、その立役者であったピアソン監督をシーズン開幕直前に解任し、クラウディオ・ラニエリ監督を招へいした。就任後のラニエリ監督は、「目標は残留。勝ち点40を目指す」とコメント。すると、開幕後5戦を無敗で終えた後も、11月末に単独首位に躍り出たときも、その目標は変わらなかった。 それでも前半戦を2位で終えたとき、ラニエリ監督は初めて残留以外の目標を口にする。「上位を維持したい。前半戦で勝ち点39を積み上げたから、後半戦でも勝ち点40を目指す」。前代未聞となる目標の2倍を掲げ、いよいよ“優勝”が現実味を帯びていく。 『遅かれ早かれ彼らは失速するだろう』と思われながらも、後半戦も順調に勝ち点を重ねていったレスターは勝てば自力優勝が決まる36節のマンチェスター・ユナイテッド戦を引き分けるも、優勝を争うトッテナムも勝利を逃し、優勝が決定した。こうして開幕前優勝オッズ5001倍だったレスター・シティが「ミラクル・レスター」として後世に名を遺した。 <div style="padding: 0.25em 0.5em;font-weight:800;font-size:1.2em;color: #494949;background: #dbeeff;border-left: solid 5px #7db4e6;">噛み合った戦術とメンバー</div> ピアソン監督の解任を受けて今季開幕前にレスターの指揮官に就任したラニエリ監督に対して、当初は懐疑的な意見も出ていたが、見事な手腕で奇跡的な優勝に導いた。パス成功率やポゼッション率はリーグ最低クラスでも、選手たちの特長を生かすカウンター型の組織的なチームを構築した。 中でもサプライズとなったのは、フランス2部のカーンからレスター入りした小柄なフランス人MFエンゴロ・カンテだ。カンテは、開幕からの5試合のうち4試合がベンチスタートだった。しかし、そこからラニエリ監督の信頼を掴むと、不動のレギュラーとして君臨。驚異的なスタミナと圧倒的な運動量で“新たなマケレレ”と称されると、フランス代表にも定着。シーズン後にチェルシーへとステップアップした。 攻撃陣は、プレミア新記録の11戦連発を含む24ゴールを叩き出したジェイミー・ヴァーディと、17得点11アシストをマークしたリヤド・マフレズがチームの“飛車角”だった。 前線から守備のスイッチとなった岡崎慎司や、ヴァーディとのホットラインが光ったダニエル・ドリンクウォーターなど、ラニエリ監督はカウンター戦術の最適解となるイレブンを選び出した。 <div style="padding: 0.25em 0.5em;font-weight:800;font-size:1.2em;color: #494949;background: #dbeeff;border-left: solid 5px #7db4e6;">ピックアップ・プレイヤー</div> <span style="font-weight:700;font-size:1.1em;">FW:ジェイミー・ヴァーディ(28)</span> レスター・シティの絶対的エースとして君臨したヴァーディ。シーズン前には主力選手の1人に過ぎなかったヴァーディだが、このシーズンで完全に一皮向けた。 最終的にリーグ戦で24ゴール。11月には、ファン・ニステルローイ氏の記録を上回る11試合連続ゴールの新記録を樹立。PFA(イギリスプロフットボール選手協会)最優秀選手賞はマフレズに譲ったが、FWA(イギリスフットボール記者協会)選出の最優秀選手賞を受賞。イングランド代表としても活躍した。 2019.04.29 21:00 Mon5