【ユーロ2016チーム紹介③】ルーマニア~堅守を武器に虎視眈々と頂点を狙うアウトサイダー~

2016.06.10 17:02 Fri
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▽虎視眈々と頂点を狙うアウトサイダーの1つであるルーマニア。ハジ、ムトゥ以降、世界的なタレントを輩出できていないものの、今予選ではギリシャやハンガリーと同居したグループを10戦2失点の堅守を武器に、無敗(5勝5分け)で終えて北アイルランドに次ぐ2位で堂々の予選突破を決めている。近年、ヨーロッパのコンペティションで躍進する国内屈指の名門、ステアウア・ブカレストの主力を軸に、キリケシュやタタルサヌらセリエAの強豪でプレーするタレントを擁すチームは、守備一辺倒ではなく、東欧らしいテクニカルなプレーを披露する実力者だ。

▽グループステージでは大本命のフランスを除くもう1枠をスイスとアルバニアの3チームで争う形となる。持ち味の堅守をベースに得点を奪うため、どれだけリスクを冒していけるかが、重要なポイントだ。逆をいえば、グループステージさえ突破できれば、一発勝負の中では持ち味の堅守が生き、ユーロ2004で優勝したギリシャの再現を狙えるかもしれない。

◆基本布陣【4-2-3-1】
(C)CWS Brains,LTD.

▽基本布陣は、攻守のバランスを意識した[4-2-3-1]だ。攻守両面で多くのタスクをこなすホバンとピンティリの両セントラルMFのパフォーマンスがチームの浮沈の鍵を握る。予選10試合2失点の堅守を支えるのは、セリエAの強豪フィオレンティーナとナポリでプレーする守護神のタタルサヌとキャプテンのキリケシュだ。攻撃の場面ではショートパスを基本にポパやトルジェ、スタンチュといった個で打開できる選手の個人技を生かしたサイドアタックが大きな武器となる。
◆チーム分析
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[GK/DF]★★★☆☆
▽フィオレンティーナの正GKであるタタルサヌ、イングランドで活躍するパンティリモンが鎬を削るGKは、守備の安定に一役買っている。また、最終ラインは対人守備とカバーリング、高精度のフィードで存在感を放つキャプテンのキリケシュが大黒柱を担う。さらにシャフタールやラージョで活躍する左サイドバックの重鎮ラトの経験もチームにとって大きい。

[MF] ★★☆☆☆
▽国内屈指の名門、ステアウア・ブカレストでプレーするピンティリ、ポパ、キプチュ、スタンチュの4選手が中盤の軸を担う。加えて、ピンティリと中盤の底でコンビを組むホバン、セリエAなど各国でプレー経験のある攻撃的MFのトルジェもチームにとって欠かせないタレントだ。
[FW] ★★☆☆☆
▽守備陣にまずまずのタレントを抱える一方、チームにとっての泣きどころは頼れるエース不在のストライカー陣だ。本大会では最も経験のあるケセルがレギュラーを務める見込みだが、ここ1年ほど代表戦でゴールを奪えていないのが気がかりだ。そこで期待が集まるのが、今シーズンにスペイン2部のコルドバで21ゴールを挙げたアンドネ。代表での実績はないものの、所属クラブでの好調を代表に持ち込んでほしいところだ。

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