【選手評&採点】U-23日本代表のグループステージを振り返る!

2016.01.22 19:00 Fri
▽リオ五輪の出場権が懸かったAFC U-23選手権のグループステージを3戦全勝で突破したU-23日本代表が22日、準々決勝でU-23イラン代表と対戦する。

▽このチームを率いる手倉森監督は、ここまでGK牲川歩見(鳥栖)を除く22選手を起用。その中で、このチームで活動する機会が少なかったFW久保裕也(ヤングボーイズ/スイス)とMF南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)を全3試合でプレーさせるなど、チーム全体の状態を考えながら結果を残してきた。ここでは、グループステージでの3試合を踏まえながら、各選手の状態や印象を見ていきたいと思う。

選手評価&採点
GK
1.櫛引政敏(鹿島)
出場:2試合(180分)/無失点
★★★★★(3点)
▽現チームの正守護神。昨季終盤は清水でポジションを失ったが、この世代ではJ1での出場経験など間違いなくNo.1の実績を残している。今大会ではキックの精度が気がかり。
22.杉本大地(徳島)
出場:1試合(90分)/1失点
★★★★★(4点)
▽すでにグループステージ突破が決まっていたサウジアラビア戦で先発し、守備機会はそれほど多くなかったが安定したキャッチングを披露した。
DF
2.松原健(新潟)
出場:1試合(68分)
★★★★★(2点)
▽A代表招集経験もある180㎝の大型サイドバックだが、故障明けということもあり、本来のパフォーマンスを発揮できているとは言い難い。サウジアラビア戦では裏のスペースを突かれて対応に苦慮し、足を痛めて途中交代している。
4.岩波拓也(神戸)
出場:2試合(180分)
★★★★★(4点)
▽神戸でも主力として活躍している将来有望なセンターバック。今大会でも安定したパフォーマンスを披露し、ボール奪取からの正確なフィードで攻撃の第一歩にもなっている。
5.植田直通(鹿島)
出場:2試合(180分)/1得点
★★★★★(4点)
▽今大会でも抜群の対人能力を発揮し、ボックス近辺で粘り強い対応を披露している。また、空中戦でも存在感を示し、セットプレーにおける攻守のキーマンとなっている。前線に長いボールを入れてくるイラン戦でもカギを握る存在になるだろう。
6.山中亮輔(柏)
出場:2試合(180分)
★★★★★(4点)
▽守備面の対応に一抹の不安を感じるものの、キックの精度はチーム随一。流れの中からはもちろんのこと、その左足から繰り出されるプレースキックは、このチームの貴重な得点源となっている。
12.室屋成(明治大)
出場:2試合(180分)
★★★★★(4点)
▽攻守両面で質の高いパフォーマンスを披露している。松原が本調子ではない今、欠くことのできない存在だ。タイ戦で左足を痛めていたが練習には復帰しており、問題はないとのこと。
13.奈良竜樹(川崎F)
出場:2試合(180分)
★★★★★(2点)
▽持ち味のタイトな守備を披露しているが、やや気負いすぎている印象もあり、不用意なプレーやファウルがいくつか目についた。
15.亀川諒史(福岡)
出場:2試合(112分)
★★★★★(2点)
▽松原や室屋が万全ではなかったこともあり、左だけでなく右サイドバックもこなしたが、昨季の福岡で見せた安定感は見せられていない。判断の遅さが散見された。
17.三竿健斗(鹿島)
出場:1試合(66分)
★★★★★(3点)
▽DF登録ながらアンカーの位置で起用。鋭い読みを見せ、バイタルエリアの門番として君臨。チャンスの芽を事前に摘んでいた。ボールを奪ったあとの精度を高めたいところ。
MF
3.遠藤航(浦和)
出場:2試合(180分)
★★★★★(4点)
▽昨年はA代表にも定着した現チームの主将。つなぎの部分ではミスも散見されるが、セカンドボールへの反応が早く、回収率も高い。守備がベースとなる現在のチームにおいて欠くことのできない存在。
7.原川力(川崎F)
出場:2試合(103分)
★★★★★(3点)
▽積極的にボールを受けて試合を作れるプレーメーカー。後半途中から起用された北朝鮮戦でも中盤からのパス出しで攻撃のリズムに変化を与えた。試合に変化を与えられる貴重な選手。
8.大島僚太(川崎F)
出場:2試合(167分)/1得点
★★★★★(3点)
▽北朝鮮戦ではリズムをつかみきれず、試合に入りきれていない印象があった。しかし、サウジアラビア戦では目の覚めるようなミドルシュートを突き刺すと、徐々に本来の技術を発揮できるようになってきた。
10.中島翔哉(FC東京)
出場:2試合(180分)
★★★★★(3点)
▽手倉森監督が絶大な信頼を寄せる攻撃のキーマン。持ち味である切れ味鋭いドリブルや思い切りの良いシュートはそれほど見られないが、抜群のキープ力でタメを作るなど、及第点以上の働きを見せている。イラン戦では試合を決める働きにも期待。
14.豊川雄太(岡山)
出場:2試合(91分)
★★★★★(2点)
▽他の選手にはない2列目からの飛び出しや好調さを買われてメンバー入りを果たしたが、フル出場したタイ戦はボールを保持する時間が長かったため、持ち味を出しにくい部分もあった。裏にスペースが生まれやすいイラン戦での活躍に期待したいところ。
18.南野拓実(ザルツブルク/オーストリア)
出場:3試合(164分)
★★★★★(2点)
▽今季の海外リーグで最も得点を奪っている日本人選手であり、A代表にも選出されている有望株。このチームでのプレー経験は少ないものの、グループステージの3試合を経て徐々にフィットしてきた印象。しかし、期待されている決定的な仕事ができていないため、この先の戦いで勝負強さを見せてもらいたい。
19.井手口陽介(G大阪)
出場:1試合(90分)/1得点
★★★★★(4点)
▽南野やオナイウと共に1つ下の世代から抜擢された将来を嘱望される逸材。攻守ともにレベルが高く。出場したサウジアラビア戦でも豊富な運動量で随所に顔を出し、質の高いパフォーマンスを披露した。
21.矢島慎也(岡山)
出場:2試合(106分)/1得点
★★★★★(4点)
▽この世代をけん引し続けてきた選手の1人で、昨季は浦和から期限付き移籍で加入した岡山で活躍。アタッカーとしても、ゲームメーカーとしてもプレーできる器用さがあり、得点も狙える。今大会でもタイ戦でゴールを記録した。
FW
9.鈴木武蔵(新潟)
出場:2試合(135分)/1得点
★★★★★(3点)
▽FW陣の中心として期待されており、北朝鮮ではフィジカルの強さを生かしたポストワークで起点となった。しかし、タイ戦で股関節を痛めたことにより別メニューでの調整が続いているため、イラン戦で起用できない可能性も考えられる。
11.久保裕也(ヤングボーイズ/スイス)
出場:3試合(113分)/2得点
★★★★★(3点)
▽目下のところチーム内の最多得点者だが、PKと相手GKに当ててのゴールであり、まだフィットしきれていない印象。南野同様、このチームでの活動経験は少ないが、鈴木の状態が微妙であり、久保にかかる期待は大きい。
16.浅野拓磨(広島)
出場:2試合(95分)
★★★★★(2点)
▽昨季の広島でブレイクした快速FW。今大会では、そのスピードを生かして試合の流れを変える役割が期待されている。裏にスペースが生まれやすいイラン戦では、持ち味を存分に発揮してもらいたい。
20.オナイウ阿道(千葉)
出場:2試合(130分)
★★★★★(3点)
▽1つ下の世代から選出された選手の1人。空中戦に強く、ここまでのところポストプレーなどでチームに貢献している。
◆果たしてスタメンは!?
▽ここまで様々な選手を起用し、[4-4-2]と[4-3-3]という2つのシステムを採用した手倉森監督だが、イランとの大一番ではどのようなメンバーを起用し、どのような戦い方を見せるのか!? 注目の一戦は22:30にキックオフを迎える。

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地元凱旋の植中朝日、小学校時代のチームメイト大畑歩夢共に日の丸を背負いピッチに立てるか?「いつか一緒にと思っていて再会できた」

U-23日本代表のFW植中朝日(横浜F・マリノス)が、地元に凱旋。U-23ウクライナ代表戦へ意気込みを語った。 22日に京都でU-23マリ代表と対戦したU-23日本代表。パリ・オリンピックへの出場が決定している相手に1-3で敗れていた。 翌日、試合会場の北九州へとチームは移動。試合会場の北九州スタジアムでトレーニングを行った。 22日の試合に先発出場した11名と、後半頭から出場した細谷真大、染野唯月はリカバリーを実施。残りの選手たちはしっかりとトレーニングを行った。 北九州市出身の植中は、練習後のメディア取材に応じ、地元への凱旋に言及。小倉南FC時代のチームメイトでもあるDF大畑歩夢(浦和レッズ)との代表での再会について語った。 「やっぱり変な感じもしますけど、1回チームを離れてここで再会しているので、ここを目標に僕はやっていましたし、先に彼が代表に入っていたので、いつか一緒にと思っていて再会できたことは嬉しいです」 植中は中学年代からJFAアカデミー福島U-15に加入してチームを離れ、大畑は中学まで小倉南FCに在籍し、その後にサガン鳥栖U-18に加入。小学校以来のチームメイトとなる2人が地元に代表選手として帰ってくる。 植中は「彼のクロスから僕がゴールを決められれば良いなと思います」と意気込み。試合には小倉南FCの恩師は「電話は来たんですが、来るのかはわからないです(笑)」とのことだが「チームの子供たちは来ると言っていたので、そういう子供たちの前で活躍できれば恩返しになるかなと思います」と活躍を誓った。 マリ戦は前半45分で交代。トップ下としてプレーした中、決定機は迎えられなかった。「『悪くて交代じゃないから』と言われました」と大岩剛監督からは説明があったとし、「半分できなかったのでその分のパワーはあり余っていますし、ウクライナ戦にぶつけたいです」と意気込みを語った。 植中はV・ファーレン長崎でキャリアをスタートし、2023シーズンから横浜FMに加入。J1での優勝争いに加え、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)でもプレーし、パリ五輪世代によばれるようになった。 最終予選を4月に控える中で続けての招集。ただ、自身はまだまだアピールが必要な立場だと語る。 「(パリ五輪行きが近づいている)実感は全然なくて、ヨーロッパ組が来なかったから自分が入っているだけで、立ち位置は厳しい状況にあると思います。その状況を打開するために結果を残さないと生き残れないと思っているので、何がなんでもという気持ちでラスト一戦に臨みたいと思います」 息巻くウクライナ戦。イメージとしては「このチームでもマリノスでもシャドーをやっていて、相手もちゃんとしたサッカーをやっているので、自分としては2列目からの背後の飛び出しはどの相手にも通用すると思っているので、常にゴールを狙っています」とコメント。しっかりと数字に残る結果を目指すと意気込んだ。 2024.03.23 21:15 Sat

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