フェアだった北朝鮮の選手たち/六川亨の日本サッカー見聞録
2024.03.01 12:30 Fri
なでしこジャパンが朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を2-1で退け、パリ五輪の出場権を獲得したのはご存知の通り。前回東京大会に続いての出場で(2大会連続6回目)、予選を突破しての出場は12年ロンドン五輪以来となる。
今回の予選は、アジア2次予選を首位通過した日本、北朝鮮、オーストラリアに加え、成績上位の2位ウズベキスタンを加えた4チームがホーム&アウェーで対戦。日本は北朝鮮との最終予選でアウェーの第1戦を0-0で引分け、ホームでの第2戦を2-1で制した(オーストラリアはウズベキスタンに2試合合計13-0で勝利。ウズベキスタンの監督は本田美登里さんだったがチームをパリに連れて行くことはできなかった)。
2016年のリオ五輪予選は日本、オーストラリア、北朝鮮、韓国、中国、ベトナムの6チームが1回戦総当たりで対戦し、上位2チームが出場権を獲得できるという「狭き門」だった。そして日本は初戦でオーストラリアに1-3で敗れると、続く韓国戦は1-1のドロー。さらに第3戦の中国戦も1-2で敗れ、オーストラリアと中国の後塵を拝したのだった(ベトナムに6-1、北朝鮮には1-0)。
2011年のドイツW杯で優勝し、12年ロンドン五輪では銀メダル、さらに15年のカナダW杯出も準優勝とリオでもメダルを期待されたなでしこジャパン(FIFAランク4位)だったが、エース澤穂希の引退に加え、世代交代が遅れたことも日本が失速した一因だった。
しかしその後のなでしこジャパンはアンダーカテゴリーの選手の台頭と活躍もあり、高倉麻子前監督と池田太監督は世代交代にも積極的に取り組んできた。
スタメンで起用された左サイドの北川ひかるは得意の左足でのキックから先制点の起点になったし、上野真実もポジションチェンジから攻撃を活性化しようと奮闘した。ただ、宮沢ひなたのスピードや、遠藤純の安定感と比べると見劣りしてしまうのは仕方のないところ。WEリーグでの活躍から彼女らを抜擢した池田監督の決断も勇気のいることだっただろう。
昨年12月3日のブラジル戦で足首を骨折して手術した宮沢はパリ五輪に間に合うのかどうか。すでに左膝前十字じん帯を損傷した猶本光と遠藤は出場が絶望的なだけに、宮沢の回復具合が気になるところだ。
最後に、試合後のリ・ユイル監督は「山下の1ミリ」や熊谷のハンドについて自ら言及することなく、「フェアプレーの指導」について質問されると次のように答えた。
「アスリートのみならず、一般的にも道徳的にも、倫理的にもルールを守ることは非常に重要です。選手たちには常日頃のトレーニングからルールを守るように徹底しているし、そのなかでフェアプレー精神を身につけ、心がけるように指導している」
そして主審のジャッジに関しても淡々と答えた。
「オーストラリア出身の主審の判断はもちろん尊重します。しかしアウェーだった今日に関しては、ホームの日本にやや偏ったような判定が少し見受けられたのではないか。ゲストである我々をもう少し尊重するような判定があってもよかったのではないか。ある意味で釈然としないものがあるなかで、我々はあくまでも主審の判断にのっとって、最後までフェアプレーを心がけました」
北朝鮮といえば、昨年10月の杭州でのアジア大会準々決勝の日本戦で判定を不服として、試合後に数人の選手が主審を追いかけ回したし、試合中の給水タイムでは日本の水を強奪したばかりか殴りかかるジェスチャーまでする選手がいた。そうしたイメージが強かっただけに、女子の選手だからか判定に抗議してイエローカードを受けたものの、男子と違って激高することなく冷静に、そしてひたむきにプレーしていた。
スピードがあり、体幹の強さは北朝鮮の伝統と言える。さらに22名の平均年齢が21・8歳(日本は24・9歳)と若いだけに、次回2027年のW杯(今年5月のFIFA総会で開催地は決定)予選でも日本のライバルとして立ちはだかるかもしれない。
そして39歳のリ・ユイル監督は理路整然と試合を振り返り、同胞へのメッセージを求められると涙するなど人情味のあふれるキャラクターの持ち主であることを知れたのも、今回の取材の収穫だった。
今回の予選は、アジア2次予選を首位通過した日本、北朝鮮、オーストラリアに加え、成績上位の2位ウズベキスタンを加えた4チームがホーム&アウェーで対戦。日本は北朝鮮との最終予選でアウェーの第1戦を0-0で引分け、ホームでの第2戦を2-1で制した(オーストラリアはウズベキスタンに2試合合計13-0で勝利。ウズベキスタンの監督は本田美登里さんだったがチームをパリに連れて行くことはできなかった)。
2016年のリオ五輪予選は日本、オーストラリア、北朝鮮、韓国、中国、ベトナムの6チームが1回戦総当たりで対戦し、上位2チームが出場権を獲得できるという「狭き門」だった。そして日本は初戦でオーストラリアに1-3で敗れると、続く韓国戦は1-1のドロー。さらに第3戦の中国戦も1-2で敗れ、オーストラリアと中国の後塵を拝したのだった(ベトナムに6-1、北朝鮮には1-0)。
しかしその後のなでしこジャパンはアンダーカテゴリーの選手の台頭と活躍もあり、高倉麻子前監督と池田太監督は世代交代にも積極的に取り組んできた。
試合に関しては多くのメディアが詳報しているので割愛するが、3BKというよりは5BKの5-4-1の北朝鮮とのミラーゲームは、先に失点するわけにはいかないし、延長戦やPK戦もあるだけに当然の選択だっただろう。4-3-3でキャプテンの熊谷紗希をボランチに起用しても、無難なパスワークに終始して効果的とは言い難い。やはり彼女は最終ラインに入ってカバーリング能力を発揮した方が安心して見ていられる。
スタメンで起用された左サイドの北川ひかるは得意の左足でのキックから先制点の起点になったし、上野真実もポジションチェンジから攻撃を活性化しようと奮闘した。ただ、宮沢ひなたのスピードや、遠藤純の安定感と比べると見劣りしてしまうのは仕方のないところ。WEリーグでの活躍から彼女らを抜擢した池田監督の決断も勇気のいることだっただろう。
昨年12月3日のブラジル戦で足首を骨折して手術した宮沢はパリ五輪に間に合うのかどうか。すでに左膝前十字じん帯を損傷した猶本光と遠藤は出場が絶望的なだけに、宮沢の回復具合が気になるところだ。
最後に、試合後のリ・ユイル監督は「山下の1ミリ」や熊谷のハンドについて自ら言及することなく、「フェアプレーの指導」について質問されると次のように答えた。
「アスリートのみならず、一般的にも道徳的にも、倫理的にもルールを守ることは非常に重要です。選手たちには常日頃のトレーニングからルールを守るように徹底しているし、そのなかでフェアプレー精神を身につけ、心がけるように指導している」
そして主審のジャッジに関しても淡々と答えた。
「オーストラリア出身の主審の判断はもちろん尊重します。しかしアウェーだった今日に関しては、ホームの日本にやや偏ったような判定が少し見受けられたのではないか。ゲストである我々をもう少し尊重するような判定があってもよかったのではないか。ある意味で釈然としないものがあるなかで、我々はあくまでも主審の判断にのっとって、最後までフェアプレーを心がけました」
北朝鮮といえば、昨年10月の杭州でのアジア大会準々決勝の日本戦で判定を不服として、試合後に数人の選手が主審を追いかけ回したし、試合中の給水タイムでは日本の水を強奪したばかりか殴りかかるジェスチャーまでする選手がいた。そうしたイメージが強かっただけに、女子の選手だからか判定に抗議してイエローカードを受けたものの、男子と違って激高することなく冷静に、そしてひたむきにプレーしていた。
スピードがあり、体幹の強さは北朝鮮の伝統と言える。さらに22名の平均年齢が21・8歳(日本は24・9歳)と若いだけに、次回2027年のW杯(今年5月のFIFA総会で開催地は決定)予選でも日本のライバルとして立ちはだかるかもしれない。
そして39歳のリ・ユイル監督は理路整然と試合を振り返り、同胞へのメッセージを求められると涙するなど人情味のあふれるキャラクターの持ち主であることを知れたのも、今回の取材の収穫だった。
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話題の中心は北朝鮮の暴走/六川亨の日本サッカー見聞録
杭州・アジア大会のサッカー男子準決勝は日本が香港に4-0と圧勝したことよりも、決勝は18年に続いて2大会連続して日韓対決になったことよりも、北朝鮮が準々決勝の日本戦で見せたラフプレーや日本スタッフに左拳を突き上げて脅した仕草、さらには試合後の主審への抗議を非難する記事の方が圧倒的に多い。 それだけ許されざる行為であり、当該選手や監督には一定期間の出場停止など厳罰が下されたとしても当然だろう。来年3月には北中米W杯2次予選のアウェー北朝鮮戦が予定されている。こちらのホームゲームも開催されるのかどうか、FIFAやAFCの裁定待ちになるかもしれない。 かつてはアジア最大のスタジアムと言われた8万人収容の金日成競技場。日本がここで初めてプレーしたのは1985年のメキシコW杯1次予選だった。シンガポールとの3か国によるリーグ戦で、予選突破の本命は66年のイングランドW杯に出場経験のある北朝鮮だった。 それというのも日本は過去に北朝鮮に勝ったことは一度もなく、74年にはピョンヤン4・25という単独の軍隊チームにも0-4で完敗を喫していた。ところが85年はホームの国立競技場で、雨でぬかるんだピッチにボールが止まると、「アジアの核弾頭」と言われた原博実が起用に足先で浮かしてDFのタックルをかわし、値千金の決勝点をスライディングしながら流し込んだのだ。このプレーには、観客はもちろんチームメイトも驚かされた。「利き足はヘディング」とも言われたヘッドでのゴールではなく、テクニックを発揮してのゴールだったからだ。 そして約1ヶ月後には平壌へ乗り込む。金日成競技場は人工芝という情報は得ていた。しかし事前に乗り込んでチェックできるわけでもない。取り替え式のスパイクは使えないだろうから、固定式に加えてアップシューズも持参してのアウェー戦だった。日本からの報道陣は記者とカメラマンを合わせて10人で、北京経由での平壌入りだった。 ダイジェストからはカメラマンだけを派遣したが、現地では常にクルマでの移動で、役員がエスコートと至れり尽くせりだったという。裏を返せば、エスコートした場所以外は見せないということで、犬の肉を専門に扱うレストランにも案内されたそうだ。 試合は午前中から詰めかけた観衆がゲートを壊して侵入したため、警備員との小競り合いもあったから、8万人以上が詰めかけたかもしれない(85年の韓国との最終予選のアウェー戦でも、ピッチの周りには自動小銃を携えた軍人が観衆の乱入を阻止しようと目を光らせていた)。そして日本はGK松井清隆の活躍もあり0-0でしのいで2次予選進出に王手をかけた。 ところがジーコ・ジャパンで臨んだ05年のW杯予選では、3月に平壌で行われたイラン戦で0-2と敗れると、主審の判定に選手が取り囲んで抗議したことで観衆がエキサイト。ピッチにイスを投げ込むなどしたため審判団は身の危険を感じたほどだった。事態を重く見たFIFAは、6月8日に予平壌で開催が予定されていた日本戦を、第3国であるタイのバンコクで、無観客で開催というペナルティーを科した。 バンコク最大の繁華街であるサイアム・スクウェア(銀座と新宿と上野を合わせたような感じ)近くにある旧ナショナルスタジアム。無観客試合と知りながら、日本からは“ウルトラス"を始め多くのサポーターが訪れ、試合前からスタジアムを囲んで日本に声援を送っていた。そして試合は柳沢敦と大黒将志のゴールで2-0の完勝を収めた。 不思議だったのは、無観客試合にもかかわらず、メインスタンド右側に北朝鮮の観客と思しい一団がいたことだった。役員席や記者席ではなく、一般のスタンドにいて声援を送っている。タイ在住の北朝鮮の関係者なのか不明だが、何があってもおかしくないと思ったものだ。 それを考えると、11年11月のアウェー北朝鮮戦は何事もなく終わった。すでに北朝鮮はアジア3次予選で敗退していたし、試合も日本に1-0の勝利を収めたからだろう。 北朝鮮代表は、85年から『在日朝鮮人枠』を導入し、同年の代表には在日朝鮮蹴球団の大型FWキム・ガンホを、その後も仙台で長く活躍したテクニシャンの梁勇基や、新潟や大宮で献身的にプレーした安英学らが代表選手として日本と対戦してきた。試合後に彼らを取材して感じたのは「礼儀正しさ」と「サッカーへのリスペクト」だった。そうした伝統が、国際舞台から遠ざかることで失われたとしたら、あるいは指導者の経験不足なのか詳細は不明だが、残念に思うのは僕だけではないだろう。 2023.10.05 20:05 Thu5
