これぞ王者の底力! 横浜FMがアンデルソン・ロペス2発などで首位神戸に2点ビハインドから大逆転勝利【明治安田J1第9節】

22日、明治安田生命J1リーグ第9節のヴィッセル神戸vs横浜F・マリノスがノエビアスタジアム神戸で行われ、アウェイの横浜FMが2-3で大逆転勝利を挙げた。神戸は第8節を終えて6勝1分け1敗の勝ち点19で首位。リーグ最多の17得点とリーグ最少タイの3失点という数字が光り、前節は鹿島アントラーズ相手にアウェイで1-5と圧勝を収めている。対する昨シーズンJ1王者の横浜FMは4勝2分け2敗の5位とややスロースタート。前節の湘南ベルマーレ戦は1点リードで迎えた試合終盤の81分に追いつかれて1-1のドローに。勝ち点1を積み上げるにとどまった。
先制点は神戸。19分、最終ラインの本多が前線へ左足でロングフィードを送ると、これに対応した横浜FMの山根はGK一森へと頭でバックパスを送る。だが、山根は一森がボールを処理するためにボックス外まで飛び出していることを確認しておらず、ボールはゴールへ一直線。最後はボールをかっさらった神戸の汰木が無人のゴールへと流し込んだ。

勢いに乗った神戸は28分に追加点。山口が横浜FM陣内の左サイドでフリーになっていた汰木へとサイドチェンジを送ると、汰木はボックス左付近まで運んで左足でクロスを送る。ゴール前へ走り込んだ大迫が打点の高い強烈なヘディング弾を叩き込んだ。大迫は得点ランキングでトップに躍り出る今シーズン6点目となった。まさかの2点ビハインドとなった横浜FMだが、すぐに1点を返す。33分、神戸陣内中央でボールを受けた水沼がボックス内へと走り込んだアンデルソン・ロペスに絶妙なタイミングでスルーパスを供給。A・ロペスは強烈な左足シュートをゴール左下に突き刺した。A・ロペスも大迫に負けじと今シーズン6点目をゲットした。

1点差で後半を迎えるかと思われたが、横浜FMは前半終了間際のアディショナルタイム2分に同点とする。最終ラインの畠中が喜田へと縦パスを入れると、喜田は相手と交錯して倒れたものの、ボックス右脇でボールを回収した水沼が後方から走り込んだ渡辺へとマイナスの折り返し。渡辺は右足ダイレクトでシュートを選び、美しい弧を描いた一撃がゴール左に吸い込まれた。

土壇場で2-2となった試合。迎えた後半開始早々の48分、神戸は横浜FMのミスを突いてネットを揺らす。横浜FMの永戸のトラップが大きくなったところを武藤がかっさらい、ゴール前の大迫へとすかさずパス。大迫が巧みなヒールで流し込んだ。しかし、VARオンリーレビューの結果、大迫の位置がオフサイドだったとしてゴールは取り消しとなった。

試合の流れを大きく変えたワンプレーの後は、攻守が目まぐるしく入れ替わる一進一退の攻防が続く。時間が進むにつれて球際の攻防も激しくなり、両軍がヒートアップするシーンも。66分に神戸の山口が横浜FMのアンデルソン・ロペスへのファウルでイエローカードを提示された場面では、両軍ベンチの近くだったこともあり、スタンドを含めてスタジアム全体が一時騒然となった。

逆転を狙う横浜FMは67分に西村、ヤン・マテウスを同時投入すれば、勝ち越し点を目指す神戸もジョーカー的存在の佐々木を67分に、ジェアン・パトリッキを76分に投入し、大迫と武藤の2トップに布陣を変更する。そんななか、試合も終盤に差し掛かる82分に次の1点が入る。

82分、横浜FMは神戸陣内でヤン・マテウスが神戸の酒井からボールを奪取すると、左サイドを持ち運び、ゴール前へクロスを送る。これに飛び込んだのがアンデルソン・ロペス。渾身のヘディングシュートは神戸のGK前川が必死に手を伸ばしても届かないゴール左隅へと吸い込まれた。アンデルソン・ロペスは大迫を抜いて得点ランキング単独トップとなる今シーズン7点目だ。

終盤に来て2点差をひっくり返された神戸は、86分に武藤を下げてイニエスタを投入。直後の87分にはボックス内で横浜FMの山根の手にボールが当たったように見えたが、主審の笛は鳴らず、VARの介入もなく、神戸はPKを得られない。

神戸は後半アディショナルタイム6分間を含めて必死に同点を目指したが、結局、後半はゴールが遠く、2-3で試合終了。8試合でリーグ最少タイの3失点だったディフェンス陣が横浜FM相手に90分間で3失点。王者の底力をまざまざと見せつけられる形となった。

一方、勝利した横浜FMはアウェイで首位相手に会心の大逆転勝利。今後にも期待を抱かせる力強い戦いを見せた。

ヴィッセル神戸 2-3 横浜F・マリノス
【神戸】
汰木康也(前19)
大迫勇也(前28)
【横浜FM】
アンデルソン・ロペス(前33、後37)
渡辺皓太(前45+2)