今は高みの見物だけど…/原ゆみこのマドリッド

2025.01.31 20:00 Fri
©Real Madrid
「いきなりマドリーダービーは嫌だな」そんな風に私が眉をしかめていたのは木曜日、全カード同日同時刻開催となったリーグフェーズ最終節が終わり、これも新バージョンとなったCLで初めて現れた、順位に応じて対戦候補が決まるプレーオフと16強対決の表を眺めていた時のことでした。いやあ、といってもトップ8で直接16強対決進出が決まったアトレティコは、お隣さんが2月11or12日、18or19日に開催されるプレーオフでまず、マンチェスター・シティ、セルティックのどちらと対戦することになるか、金曜正午の抽選会を余裕で眺めていればいいんですけどね。

更にレアル・マドリーが3月4or5日、11or12日の16強対決に行くことになったとしても、ここも抽選があって、レバークーゼンが彼らと当たるかもしれないんですが、その場合、アトレティコはマンチェスター・シティ、もしくはバイエルンと顔を合わす可能性が大に。要は絶対に楽勝の組み合わせにはならないとはいえ、何と言っても2014年、2016年のCL決勝マドリーダービーを始め、私の記憶にはCLでアトレティコがマドリーに勝った例がまったく思い浮かばず。となれば、対戦を回避してほしいと願ってしまうのも当然だった?

まあ、そんなことはともかく、水曜のマドリッド両雄の試合がどんなだったか、お伝えしていくことにすると。結局、アトレティコの試合を映してくれるバル(スペインの喫茶店兼バー)を見つけることができなかったため、いつものお店でオンダ・マドリッド(ローカルラジオ局)の二元中継を聞きながら、マドリー戦を視聴することになった私だったんですけどね。それが、相手のブレストがCL用に借りているスタッド・ドゥ・ルドゥル(2部のギャンガンのホーム)のスタンドがキックオフ直前、数えきれない数のbengala(ベンガラ/発煙筒)で燃え上がり、煙でピッチもようよう見えない状態に。
おかげでその夜開催の18試合が一斉スタートとなるはずだった午後9時には始まらず、アトレティコのザルツブルク戦が先行となったんですが、いやもう、ほんの数分でラジオ実況の「Goool!」の絶叫が聞こえてきたから、ビックリしたの何のって。そう、前日はお昼前に出発し、レッドブル・アレナでスタジアム練習をする予定だった彼らだったんですが、強風で飛行機が現地に着陸できず。急遽、セッションをマハダオンダ(マドリッド近郊)でやることにして、移動を夕方にしたのが、却って良かったのか、キックオフ時にパッキリ目を覚ましていたらしいアトレティコは先手必勝作戦を成功させたんですよ。

開始5分、フリアン・アルバレスからパスを受けたジュリアーノがエリア内右側からシュートを放ち、それが先制ゴールになったんですが、その直後ぐらいでしたかねえ。ようやくTVの試合でボールが動き始めたのは。それがまた、100km離れた地元から、わざわざ応援に行かないといけないファンに後押しされ、序盤のブレストが果敢にシュートを撃っていく様を眺めていることしばし。するとまた、アトレティコのゴールの報が届いたとなれば、映像をライブで見られないのがどんなにもどかしかったことか。
今度は13分、奇しくもリーグフェーズ2節でマドリッドの2チームのアウェイ戦が重なった時、マドリーのリール戦を見ていた私の耳に、4-0のgoleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)負けの先駆けとなる1点目をベンフィカが入れたのと同じ時間でした。いえ、その直前には、出場停止のバリオスの代わりにスタメンに入ったコケのボールロストから、ザルツブルクに最初のシュートを放たれ、GKオブラクがセーブしたと聞き、やっぱりもう、このキャプテンは一線から退いた方がいいんじゃないかと思ったばかりだったんですけどね。

何と次のプレーで自陣からのロングパスを追った、父曰く、「Creo que lo que destaco de él es su energía, que es diferencial/クレオ・ケ・ロ・ケ・デスタコ・デ・エル・エス・ス・エネルヒア、ケ・エス・ディフェレンシアル(彼の際立つところは他とは違うエネルギー)」(シメオネ監督)という、ジュリアーノがsombrero(ソンブレロ/ボールを空中に上げて敵を抜く技)でGKシュラガーをかわし、ゴール前に走り込んできたグリーズマンにラストパス。そのゴールであっという間に2点差になったんですが、おかげでようやく、いくら先週、サンティアゴ・ベルナベウに来て、マドリーに5点も取られていたザルツブルクとはいえ、アトレティコが何をやらかすか心配だった私も目の前のTV画面に集中できることに。

といってもアンチェロッティ監督のチームのエンジンがかかるのには少々、時間がかかって、いえ、リーガ前節にはバジャドリー戦で移籍後、初めてのハットトリックを達成。とうとう適応期間が終わり、本領を発揮してくれるものと期待されていたエムバペが、2度続けてシュートを外すなんてことはあったんですけどね。

ただ、やっぱりマドリーでCLの申し子と言うべきなのはロドリゴだったようで、ルーカス・バスケスのクロスをヘッドして、GKビゾットに弾かれた直後の27分、出場停止でいないビニシウスに代わって担当していた左サイドからドリブルで上がると、敵をかわしてエリア内からシュート。それがゴールポストに当たって入り、先制点をゲットしているんですから、頼りになるじゃないですか。その後はスコアが動かず、0-1でハーフタイムを迎えることになったマドリーなんですが、それがまさかその前に、またしてもザルツブルクからのゴールコールを聞けるとは!

それはロスタイム1分のことで、サムエル・リノからボールをもらったグリーズマンがまた決めて、0-3となったんですが、いやあ、こんな効率的なアトレティコも珍しい。ちなみに後半は両チームの試合の時差が2分程に縮まったんですが、序盤に動きがあったのはマドリーの方。ええ、6分にはブレストのFW、アジョルクのシュートがチュアメニに当たってゴールに入り、すわ同点かとドキリとさせられたものの、オフサイドでスコアには上がらなかったのはラッキーだったかと。すると11分にはルーカス・バスケスの折り返しパスをゴール前でエムバペは撃てなかったものの、ベリンガムが決めて2点差になったため、一安心できることに。

え、その頃にはさっさとフリアンとジュリアーノを引っ込め、セルロートとモリーナを入れて、主力温存に入っていたアトレティコだけど、また得点したんだろうって?その通りで18分にはデ・パウルのアシストでジョレンテが4点目を挙げたんですが、有難いですよね。おかげでグリーズマンとデ・パウルもリケルメとギャラガーに代わり、早々と週末のリーガ戦の準備を始めることができたんですから。この日は他会場で前半のうちから、アーセナルはジローナに1-2と、インテルもモナコに2-0とリード。よって、彼らより勝ち点1少ないアトレティコはゴールが多ければ、順位が上がるということもありませんでしたしね。

先週のベルナベウ同様、後半ロスタイムにGKキックから、ダグヒムに見事なvolea(ボレア/ボレーシュート)を決められ、ザルツブルクに名誉の1点は取られたものの、アウェイで1-4の勝利なら、全然文句はないかと。その一方でマドリーはちょっと事情が違って、ええ、16強直接進出の壁は勝ち点1差でどうやっても越えられなかったものの、あと3点取っていれば、10位でプレーオフ相手候補がスポルティングCPとクラブ・ブルージュになったかもしれなかったんですよ。まあ、といっても相手の状況も変わる可能性がありましたしね。その日は後半33分、エムバペのシュートが敵GKに弾かれたボールをちゃっかりロドリゴが押し込んで、0-3になったところで打ち止めとなっちゃいましたっけ。

その結果、アンチェロッティ監督も試合後、「En teoría, si nos toca el City será más complicado para los dos/エン・テロリア、シー・ノス・トカ・エル・シティ・セラ・マス・コンプリカードー・パラ・ロス・ドス(理論上、もしマンチェスター・シティと当たったら、両者にとって面倒なことになるだろう)」と認めていた災難を金曜の抽選で恐れることになったマドリーだったんですが、それより大変なのは過密日程の方。ええ、これで2月中、フリーのミッドウィークがなくなってしまいましたからね。年明けからずっと週2試合体制の続く彼らは今週末も土曜午後9時(日本時間翌午前5時)にエスパニョールとのアウェイゲーム、来週水曜にはレガネスとのコパ・デル・レイ準々決勝兄弟分ダービー、その週末にはアトレティコとの本家ダービーと続いた後、CLプレーオフに2週間従事することに。

逆にアトレティコはこの土曜午後6時30分(日本時間翌午前2時30分)からメトロポリターノ開催のマジョルカ戦、来週火曜には、こちらも兄弟分ダービーコパとなるヘタフェ戦、そして土曜にベルナベウを訪ねた後は2週間、じっくり練習に励めますからね。リーガでここ2試合、レガネス、ビジャレアル戦で躓いてしまったせいで、勝ち点4差となってしまった首位のお隣さんとの距離を縮めるにはいい機会かと思いますが、それもマドリーダービー次第というか…何にしても去年までと違って、今季はリーグフェーズからすぐCL決勝トーナメントに移行するため、同時進行で3つの大会のことを考えないといけないのは、ファンにとっても難しいですよね。

そしてヨーロッパの大会に関係のないマドリッドの弟分たちの今週末の予定も見ておくと、もう金曜にはレガネスとラージョの弟分ダービーが到来。ええ、前節にジローナに2-1で逆転勝ちしたイニゴ・ペレス監督のチームは現在7位と、コンフェレンスリーグ出場圏の6位にたったの勝ち点1差に迫っていますからね。おまけにレガネス的にはマドリーとのコパ準々決勝も気になっているはずなので、その辺につけ込むことができそうですが、決して侮れないのはここ2節、アトレティコ、アスレティックを零封してきた相手の高い守備力。先週末、バジェカスで2ゴールを挙げたエヌテカにしろ、カメージョにしろ、今季はまだ3得点とあって、ブタルケでGKドミトロビッチを破れるかは微妙かもしれません。

そのお隣さんのコリセウムでは翌土曜、ヘタフェがセビージャを迎えるんですが、皮肉なのはレガネス同様、まだ降格圏から勝ち点3しか離れていない弟分2チームがコパのせいで過密日程になってしまうこと。何せ、前節はマジョラルの途中出場が功を奏して、レアル・ソシエダに0-3で勝利したとはいえ、ボルダラス監督のチームにはまだ冬の補強選手が到着していませんからね。というか、クローズを2月3日に控えながら、マドリッドの5チームは、兄貴分たちはともかく、ゴール力が課題の弟分3チームにも誰1人、新顔がいないとはこれ如何に。こうまで静かだと、却って不気味なんですが、どこもシーズン後半に後悔するようなことにならないでくださいね。

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21世紀の出場試合数ランキング発表! 首位は1145試合のC・ロナウド、トップ10に日本人選手がランクイン

IFFHS(国際サッカー歴史統計連盟)が、21世紀で最もプレーした選手のランキングを発表。トップ10には日本人選手もランクインした。 様々な統計を行うIFFHS。2022年までのデータを集計し、21世紀に入ってからのプレーした試合数をもとにランキングを作成した。 対象となるのは、各国のリーグ戦やカップ戦、国際カップ戦、代表チームの試合も含まれ、全ての公式戦が対象になっている。 今回の統計では1000試合以上プレーした選手が3人に増加。首位は昨年と変わらず、サウジアラビアへ活躍の場を移したポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)となり、1145試合を記録した。 2022年に1000試合を突破したのは、ブラジル代表DFダニエウ・アウベス(UNAMプーマス)とアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(パリ・サンジェルマン)。アウベスは1033試合、メッシは1003試合となった。メッシはカタール・ワールドカップ(W杯)での試合で1000試合を超えたことになる。 そんな中、8位には日本人がランクイン。941試合に出場したMF遠藤保仁(ジュビロ磐田)だ。遠藤はガンバ大阪と磐田、そして日本代表での試合が21世紀に含まれている。なお、アジア人でも唯一となり、900試合以上を達成しているのも12名となっている。 ◆21世紀の出場試合数ランキング 合計(国内リーグ/国内カップ/国際カップ/代表) 1位:クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル) 1145試合(651/93/205/196) 2位:ダニエウ・アウベス(ブラジル) 1033試合(620/115/172/126) 3位:リオネル・メッシ(アルゼンチン) 1003試合(559/102/170/172) 4位:イケル・カシージャス(スペイン) 974試合(585/57/171/161) 5位:ジョアン・モウティーニョ(ポルトガル) 958試合(563/107/142/146) 6位:ズラタン・イブラヒモビッチ(スウェーデン) 948試合(603/72/152/121) 7位:ルカ・モドリッチ(クロアチア) 947試合(569/69/146/162) 8位:遠藤保仁(日本) 941試合(606/117/66/152) 9位:チャビ・エルナンデス(スペイン) 937試合(536/95/174/132) 10位:セルヒオ・ラモス(スペイン) 935試合(534/70/151/180) 11位:アンドレス・イニエスタ(スペイン) 933試合(552/98/152/131) 12位:ロジェリオ・セニ(ブラジル) 904試合(675/71/149/9) 2023.01.12 12:45 Thu
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前人未到“デ・シマ"達成の布石となった2014年CL決勝AT弾をセルヒオ・ラモスとモドリッチが語る「歴史的でマジカル」

レアル・マドリーのスペイン代表DFセルヒオ・ラモスとクロアチア代表MFルカ・モドリッチが、2014年のチャンピオンズリーグ(CL)決勝での劇的ゴールを振り返った。クラブ公式サイトが伝えている。 マドリーは2014年5月24日、ポルトガルの首都リスボンで行われたCL決勝でアトレティコ・マドリー相手に4-1で勝利。前人未到となる10度目のCL制覇という偉業を成し遂げ、サッカー界の歴史に新たな1ページを刻んだ。 <div id="cws_ad"><div class="dugout-video dugout-embed-eyJrZXkiOiJaT24xT0h5QSIsInAiOiJ1bHRyYXNvY2NlciIsInBsIjoiIn0="></div><script type="text/javascript" src="https://embed.dugout.com/v3.1/ultrasoccer.js"></script></div> 当時カルロ・アンチェロッティ監督(現エバートン)に率いられていたマドリーは、終始アトレティコを攻め続けていたものの、得点では後半アディショナルタイム2分まで0-1とリードを許していた。 しかし迎えたアディショナルタイム3分、コーナーキックのチャンスを得たマドリーは、モドリッチが絶妙なボールを上げると、セルヒオ・ラモスが見事なヘディングシュートを決め、土壇場で同点に。首の皮一枚繋がったマドリーは、延長戦でのFWガレス・ベイル、DFマルセロ、FWクリスティアーノ・ロナウドの得点で試合を決定付けた。 このゴールについて、セルヒオ・ラモスとモドリッチがクラブ公式のインタビューで振り返り、セルヒオ・ラモスはこのゴールを「歴史的ゴール」として改めて喜びを語った。 「一言で表すなら“歴史的"だ」 「“リスボン"という言葉を聞いてまず初めに頭に浮かぶのは、CLのトロフィーだ。それを目標に何年も戦ってきたし、僕にとって初めての決勝となったが、楽しむことができ、そして優勝することができた」 「家族のことや、それまでの長い間の努力や払ってきた犠牲について考えたよ。ついにトロフィーを掲げ、自分が築いた実績にCL優勝を追加できるという喜び。これこそがフットボールの美しいところだ」 「試合の最後まで戦うというレアル・マドリーのDNAについても考えたね。少しのチャンスさえあれば、1分であろうと1秒であろうと、可能だと信じて戦うんだ」 また、同点弾に繋がったコーナーキックについてもキッカーだったモドリッチが回想。何度も練習したプレーだったとして、落ち着いてボールを蹴ることができたと語った。 「(アディショナルタイムに入っても)僕らにボールが来ると信じていたから、とても落ち着いていた」 「セルヒオが良いエリアにいたし、ポジショニングも良かった。彼がジャンプしてゴールを決めた瞬間は歴史的瞬間だったよ」 「シーズン中あのコーナーは何度も練習していたんだ。CLのバイエルン戦でもやっていたし、リーガの何試合かでも成功していた」 「あのエリアに、良いボールを入れることが重要だったんだ。僕たちは何度も練習したよ。そこでセルヒオが素晴らしい走り込みを見せて、完璧なゴールを決めたんだ」 ラモス自身もこのヘディングについて振り返り、この歴史的ゴールの詳細についてコメントした。 「素晴らしいヘディングになったよ。思った通りに実行できた。ジャンプ、ゴールからの距離、ゴールを守っていたのがティボー(・クルトワ)だった」 「僕がヘディングで狙った場所が唯一ゴールに入る場所だったと思う。モドリッチのボールも素晴らしかった」 「バックポスト側でボールを待ったんだ。そっち側にほとんどの選手が集まっていたから、マークへのブロックが簡単にできるしね」 「僕のマークにはゴディンがついていて、ベイルやロナウドも近くにいた」 「僕はバックポストに走り出してから、インサイドに急転換したんだ。この1/10秒くらいの間にゴディンの前に出た。多くの選手がそこにいて、同時に動いていたから彼は僕の動きに反応できなかった」 「この時に生まれた1メートルのスペースによって僕はフリーでペナルティスポット付近まで入ることができ、ほぼフリーの状態でヘディングができた。完璧なゴールを93分に決めて、試合を振り出しに戻すことができたんだ」 「歴史的でマジカルな瞬間だった。マドリーはマジカルな世界だし、その一員になれて幸運に思うよ」 2020.05.26 20:20 Tue

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