クライシスに突入したのは…/原ゆみこのマドリッド
2024.11.08 20:00 Fri
「たった1試合でこうまでパノラマが変わるとは」そんな風に私が驚いていたのは木曜日、CL4節が終わった翌日のことでした。いやあ、最近、goleada(ゴレアダ/ゴールラッシュ)が癖になっているバルサがツベルナ・ズベズダにも2-5と圧勝。決勝トーナメント16強対決直接進出圏6位に躍り出たのには、それよりむしろ、敵に顔を蹴られた17才のクバルシが10針以上も右頬下を縫われ、フランケンシュタインフェイスになっていたことの方が気になったぐらいだったんですけどね。
同様にPSVに4-0と大敗したジローナがいよいよ、リーガフェーズ突破崖っぷちとなったのも、初出場の上、夏に昨季の主力が根こそぎ退団。更に負傷禍に襲われているチームでは仕方ないと思った程度だったんですが、まさか、マドリッドの2巨頭の状況が天国と地獄の入れ替えみたいになるとは!
いえまあ、実際、成績で言えば、4節までどちらも2勝2敗の勝ち点6。ゴールアベレージのせいでレアル・マドリーが18位、アトレティコは16強対決プレーオフ圏ギリギリの23位ではあるんですが、双方共、直接進出圏8位まではたったの勝ち点3差ですからね。残りも4試合と、決して慌てる必要はないんですが、違いはこの4節の結果。勝ったシメオネ監督のチームに8位以上を目指す野心が芽生えたのと対照的に、負けたお隣さんはとうとう世間から大々的にクライシス入りと見なされることになるとは、本当に世界一のクラブは生き辛い。
とりあえず、その原因となった火曜のミラン戦からお話ししていくことにすると、先週ミッドウィークをコパ・レル・レイ1回戦免除により、フリーで過ごしたマドリーは週末もバレンシア地方を襲った洪水災害のせいでリーガ戦が延期に。よって、0-4と大敗したクラシコ(伝統の一戦)から、中9日でサンティアゴ・ベルナベウにミランを迎えることになったんですが、もしや休み過ぎもハードスケジュールに慣れている彼らにとっては逆境だった?
その試合、キックオフ前のスタンドにはCL恒例のモザイクも大幕もなく、代わって巨大なバレンシア州旗が登場。UEFAの配慮で今節の全試合で行われた洪水犠牲者への黙祷が捧げられたんですが、そのしんみりした雰囲気から、先に脱出したのはミランの方だったんですよ。ええ、前半12分にはプリシッチの蹴ったCKをチャウがチュアメニとミリトンの間からヘッドで叩きつけ、GKルニンを破ってしまうんですから、fondo norte(フォンド・ノルテ/北側ゴール裏)上階席をギッシリ埋めた3800人のティフォシがどんなに喜んだことか。
というのもチュアメニが自陣でビニシウスに送ろうとしたパスがカットされ、それがエリア内のレオンに繋がって、シュートを撃たれてしまったからなんですけどね。それより最悪だったのはGKが弾いたボールにダッシュで詰めたモラタがゴール前から古巣への恩返し弾を挙げるのを、マドリー勢はただ見ているだけって、これじゃ、負傷中のクルトワに代わり、ゴールを守っているルニンも泣くに泣けない?
そのまま試合は1-2で折り返したんですが、何せ、前回のCLドルトムント戦でも0-2で負けていながら、お家芸、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)が発動。後半だけで5点を取って、5-2の大勝をしていたマドリーですからね。よって、ロッカールームに戻る選手たちにpito(ピト/ブーイング)が降り注ごうが、まだ全然、大船に乗った気分でいた私だったんですが、いつもと違ったのは、常々交代に腰の重いアンチェロッティ監督がハーフタイム中にカマビンガ、ブライム、負傷が治ったロドリゴをアップさせていたこと。
うちカマビンガとブライムが後半頭からピッチに入ったんですが、ええ、2失点目のミスでブーイングの的になっていたチュアメニ、背筋痛のバルベルデが退いたのはともかく、それもあまり効果がなかったのは確か。だってえ、リードしてカウンター狙いになったミランの選手が、鬼のように何度もマドリーゴールに向かって、独走してくるようになったんですよ。幸いレオンのシュートやテオのヘッドはルニンが弾いてくれたものの、こんなザル守備では、28分にはとうとう、レオンのラストパスからラインデルスに3点目を決められてしまったのも必然の結果だったかと。
ただ、それでも2点差なんて、マドリーにとってはレモンターダ圏内だしと、ええ、その直後、ロドリゴも出動しましたしね。勝手に決めつけていた私の予想通り、36分には交代出場のセバージョスのエリア外シュートをGKメニャンが弾くと、そのこぼれ球をリュディガーがシュート。ゴールを決めて、とうとう反撃の狼煙が上がったかと場内も湧き立ったんですが、いやあ。VAR判定でオフサイドにされてしまったとなれば、今日はもう店仕舞いと、スタジアムを出るファンが大量にいても仕方がなかった?
結局、最後はビニシウスやブライムのヘッドも決まらず、1-3で負けてしまったマドリーだったんですが、何せこれでバルサ戦に続いて、ホーム大量失点の2連敗ですからね。となれば、アンチェロッティ監督も「Tenemos que estar preocupados, el equipo no está dando una buena version/テネモス・ケ・エスタル・プレオクパードス、エル・エキポ・ノー・エスタ・ダンドー・ウナ・ブエナ・ベルシオン(ウチは心配しないといけない。チームがいいバージョンを見せていないからね)」と深刻な顔をしていたのも当然だったかと。
まあ、守備に関してはカルバハルが今季絶望となり、右SBが元々、アタッカーだったルーカス・バスケスの専従となっているのも影響しているんですが、それに輪をかけて、ビニシウスやエムバペの守備参加が少ないのは困りもの。その分、ゴールをガンガン挙げて、撃ち勝ってくれるかというと、そういう訳でもありませんしね。とりわけエムバペなど、ここ2試合、それぞれ8本もシュートを撃ちながら、1点も取れていないとなれば、木曜に来週のフランス代表戦の招集メンバーを発表したデシャン監督が10月に続き、彼を呼ばなかったのもわかるかと。エムバペ加入のせいで、今季はポジションが一定せず、遍歴を重ねるベリンガムが未だにノーゴールなのも気になるところとはいえ…。
そこは天下のマドリーですし、いえ、CL次節が4連勝で首位のリバプールとアンフィールドで対決というのは何ですけどね。まだ、そう悲観したものではないと思いますが、悩む間もなく、もう土曜午後2時(日本時間午後10時)にはまたベルナベウでのオサスナ戦が到来。ミラン戦翌日にチュアメニの足首ネンザが発覚し、全治1カ月という悪いニュースもあったものの、とりあえず、ここを乗り切れば、各国代表戦週間のparon(パロン/リーガの停止期間)後にはGKクルトワも戻って来られそうですしね。きっとその頃までには、経験豊富なアンチェロッティ監督が何か対策を考えてくれるんじゃないでしょうか。
そして翌水曜はイヤイヤながら、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)にアトレティコのPSG戦を見に行った私なんですが、ええ、昨季後半から始まったアウェイ弱者傾向のせいで、昨今は気分良く観戦できた試合がほぼ皆無でしたからね。あまつさえ、CL2節など、お隣さんのリール戦が同時開催だったせいで、人が見てないのをいいことに、リスボンでベンフィカに4-0の赤っ恥負けをしてきたぐらいでしたから、この日もキックオフ早々、アクラフ、デンベレ、バルコラと、次々シュートを撃ってこられるのに最悪の結末しか想像できなかったんですが…。
ええ、最悪ですよ。だってえ、開始14分にはラングレがエリア内でボールをデンベレに奪われ、ザイール=エメリに先制点を決められてしまったんですよ。もしやこれは、ベンフィカ戦を上回る惨劇が展開されるのかと、即座に家に帰りたくなったぐらいでしたが、あら意外。18分には最近、ダメダメのチームで1人だけ意地を見せているチョリート(小さなチョロ)、シメオネ監督の三男ジュリアーノが敵エリアに接近。彼の撃ったシュートはGKドンナルンマに弾かれてしまったものの、こぼれ球を敵から取り返し、フリアン・アルバレス、モリーナとの連携で戻って来たボールを再びシュートして、いえ、これも敵DFに当たってしまったんですけどね。
そのボールをゲットしたモリーナがネットを突き刺し、早々と同点にしてくれたから、助かったの何のって。とはいえ、その後の展開が変わったかと言えば、まったくそんなことはなく、PSGのルイス・エンリケ監督も「El rival no ha llegado ni al borde del área/エル・リバル・ノー・ア・ジェガードー・ニ・アル・ボルデ・デル・アレア(敵はエリア付近にすら、辿り着かなかった)」と言っていた通り、残り時間はひたすら、計8本にもなるGKオブラクのparadon(パラドン/スーパーセーブ)と相手のシュート精度の悪さ頼みで追加点を取られずに済んでいたアトレティコだったんですけどね。それが後半ロスタイム3分、まさかあんな奇跡が起きるとは!
それは最後のPSGの攻撃を防ぎ、私も少なくとも勝ち点1は取れたとホッとしていた時のことで、ゴールキックでオブラクがセンター近くにいるグリーズマンへロングスロー。するとその日もようようパスが味方に届かず、絶望しか抱けなかった彼が敵エリアを見て、神判断したんです。そう、すでにリケルメとサムエル・リノは上がっていたものの、土壇場のゴール力を持つコレアが到着するのを見計らってロングパスを供給し、そのシュートで勝ち越し点が入ったとなれば、まさに「El gol es una broma/エル・ゴル・エス・ウナ・ブロマ(まるでジョークのようなゴール)」(ルイス・エンリケ監督)とはこのこと?
いやあ実際、この日もボールロストは無限でしたし、この1-2の勝利だけでアトレティコが強くなったとはとても言えないんですけどね。それでも全員で一生懸命守って、「volvimos a ver un Atlético duro y difícil de jugar/ボルビモス・ア・ベル・ウン・アトレティコ・ドゥーロ・イ・ディフィシル・デ・フガール(対戦するのがハードで難しいアトレティコを再び見られた)」(グリーズマン)というのは確か。「Griezmann no estuvo tan fino, pero cuando está en el campo algo puede pasar/グリーズマン・ノー・エストゥーボ・タン・フィーノ、ペロ・クアンドー・エスタ・エン・エル・カンポ・アルゴ・プエデ・パサール(グリーズマンはそんなに冴えていなかったが、彼がピッチにいる時は何かが起こりうる)」という理由で、7番を最後まで残したシメオネ監督もグッジョブでしたしね。
あとはこの姿が日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのアウェイゲーム、マジョルカ戦でも再現できれば、ファンも少しは見直してくれるのでは?ちなみにマハダオンダ(マドリッド近郊)に戻っての翌日セッションではリハビリ中だったジョレンテとアスピリクエタがチーム練習に合流という朗報も。それが前者など、本隊がパリに行っている間、被災者への支援品を届けにバレンシアまで移動。ついでに洪水後の清掃作業にも参加してきたようですが、その奉仕精神はともかく、早いところ調子を上げないと、ジュリアーノにレギュラーを取られてしまうかもしれませんよ。
そして最後に今週はミッドウィークに試合のなかった弟分たちの予定もお伝えしておくと、13節は皆、ホームゲーム。一番手のラージョは金曜にエスタディオ・バジェカスに、前節アトレティコに2-0と負けたラス・パルマスを迎えるんですが、その傍らで、延期となった12節のビジャレアルは12月19日にリスケされることに。現在9位でヨーロッパの大会出場圏まで勝ち点3と迫っている彼らにはちょっとじれったいことになりましたが、今節の目標は直近のアラベス戦に続く、ホーム連勝でしょうか。
一方、マドリッド南部の2チームはレガネスが土曜にセビージャをブタルケに、ヘタフェが日曜にジローナをコリセウムに迎えるんですが、実はこの2カードの開催日時、元々は逆だったんですよ。ええ、バレンシアにあるマニセス(地方リーグ/実質6部)とのコパ1回戦が延期となったボルダラス監督のチームが、それを今週の木曜にプレーすることになったため、入れ替えになったという経緯があるんですが、結局、未だに洪水被害の残る現地を考慮して、開催は11月26日に。まあ、どちらも午後9時キックオフだけにそんなに違いはないんですが、両チーム共、前節は負けているため、降格圏から離れるという意味でも、ホームのファンの前でいいところを見せられるといいですよね。
同様にPSVに4-0と大敗したジローナがいよいよ、リーガフェーズ突破崖っぷちとなったのも、初出場の上、夏に昨季の主力が根こそぎ退団。更に負傷禍に襲われているチームでは仕方ないと思った程度だったんですが、まさか、マドリッドの2巨頭の状況が天国と地獄の入れ替えみたいになるとは!
いえまあ、実際、成績で言えば、4節までどちらも2勝2敗の勝ち点6。ゴールアベレージのせいでレアル・マドリーが18位、アトレティコは16強対決プレーオフ圏ギリギリの23位ではあるんですが、双方共、直接進出圏8位まではたったの勝ち点3差ですからね。残りも4試合と、決して慌てる必要はないんですが、違いはこの4節の結果。勝ったシメオネ監督のチームに8位以上を目指す野心が芽生えたのと対照的に、負けたお隣さんはとうとう世間から大々的にクライシス入りと見なされることになるとは、本当に世界一のクラブは生き辛い。
その試合、キックオフ前のスタンドにはCL恒例のモザイクも大幕もなく、代わって巨大なバレンシア州旗が登場。UEFAの配慮で今節の全試合で行われた洪水犠牲者への黙祷が捧げられたんですが、そのしんみりした雰囲気から、先に脱出したのはミランの方だったんですよ。ええ、前半12分にはプリシッチの蹴ったCKをチャウがチュアメニとミリトンの間からヘッドで叩きつけ、GKルニンを破ってしまうんですから、fondo norte(フォンド・ノルテ/北側ゴール裏)上階席をギッシリ埋めた3800人のティフォシがどんなに喜んだことか。
でも大丈夫。この時はマドリーの反撃も早く、23分にはエリア内でビニシウスがエメルソンに倒されてPKをゲット。同点ゴールを決めて、確定と言われていたバロンドール賞を表彰式当日にロドリ(マンチェスター・シティ)にさらわれ、失意を味わったブラジル人FWを励ます応援歌をキックオフからずっと、送っていたファンに応えてくれたんですが、どうもその後がパッとしなくてねえ。もちろん、それは彼だけではなかったんですが、まさか39分、お隣さんもビックリのイージーミスから、再びミランに勝ち越されてしまったから、さあ大変!
というのもチュアメニが自陣でビニシウスに送ろうとしたパスがカットされ、それがエリア内のレオンに繋がって、シュートを撃たれてしまったからなんですけどね。それより最悪だったのはGKが弾いたボールにダッシュで詰めたモラタがゴール前から古巣への恩返し弾を挙げるのを、マドリー勢はただ見ているだけって、これじゃ、負傷中のクルトワに代わり、ゴールを守っているルニンも泣くに泣けない?
そのまま試合は1-2で折り返したんですが、何せ、前回のCLドルトムント戦でも0-2で負けていながら、お家芸、根性のremontada(レモンターダ/逆転劇)が発動。後半だけで5点を取って、5-2の大勝をしていたマドリーですからね。よって、ロッカールームに戻る選手たちにpito(ピト/ブーイング)が降り注ごうが、まだ全然、大船に乗った気分でいた私だったんですが、いつもと違ったのは、常々交代に腰の重いアンチェロッティ監督がハーフタイム中にカマビンガ、ブライム、負傷が治ったロドリゴをアップさせていたこと。
うちカマビンガとブライムが後半頭からピッチに入ったんですが、ええ、2失点目のミスでブーイングの的になっていたチュアメニ、背筋痛のバルベルデが退いたのはともかく、それもあまり効果がなかったのは確か。だってえ、リードしてカウンター狙いになったミランの選手が、鬼のように何度もマドリーゴールに向かって、独走してくるようになったんですよ。幸いレオンのシュートやテオのヘッドはルニンが弾いてくれたものの、こんなザル守備では、28分にはとうとう、レオンのラストパスからラインデルスに3点目を決められてしまったのも必然の結果だったかと。
ただ、それでも2点差なんて、マドリーにとってはレモンターダ圏内だしと、ええ、その直後、ロドリゴも出動しましたしね。勝手に決めつけていた私の予想通り、36分には交代出場のセバージョスのエリア外シュートをGKメニャンが弾くと、そのこぼれ球をリュディガーがシュート。ゴールを決めて、とうとう反撃の狼煙が上がったかと場内も湧き立ったんですが、いやあ。VAR判定でオフサイドにされてしまったとなれば、今日はもう店仕舞いと、スタジアムを出るファンが大量にいても仕方がなかった?
結局、最後はビニシウスやブライムのヘッドも決まらず、1-3で負けてしまったマドリーだったんですが、何せこれでバルサ戦に続いて、ホーム大量失点の2連敗ですからね。となれば、アンチェロッティ監督も「Tenemos que estar preocupados, el equipo no está dando una buena version/テネモス・ケ・エスタル・プレオクパードス、エル・エキポ・ノー・エスタ・ダンドー・ウナ・ブエナ・ベルシオン(ウチは心配しないといけない。チームがいいバージョンを見せていないからね)」と深刻な顔をしていたのも当然だったかと。
まあ、守備に関してはカルバハルが今季絶望となり、右SBが元々、アタッカーだったルーカス・バスケスの専従となっているのも影響しているんですが、それに輪をかけて、ビニシウスやエムバペの守備参加が少ないのは困りもの。その分、ゴールをガンガン挙げて、撃ち勝ってくれるかというと、そういう訳でもありませんしね。とりわけエムバペなど、ここ2試合、それぞれ8本もシュートを撃ちながら、1点も取れていないとなれば、木曜に来週のフランス代表戦の招集メンバーを発表したデシャン監督が10月に続き、彼を呼ばなかったのもわかるかと。エムバペ加入のせいで、今季はポジションが一定せず、遍歴を重ねるベリンガムが未だにノーゴールなのも気になるところとはいえ…。
そこは天下のマドリーですし、いえ、CL次節が4連勝で首位のリバプールとアンフィールドで対決というのは何ですけどね。まだ、そう悲観したものではないと思いますが、悩む間もなく、もう土曜午後2時(日本時間午後10時)にはまたベルナベウでのオサスナ戦が到来。ミラン戦翌日にチュアメニの足首ネンザが発覚し、全治1カ月という悪いニュースもあったものの、とりあえず、ここを乗り切れば、各国代表戦週間のparon(パロン/リーガの停止期間)後にはGKクルトワも戻って来られそうですしね。きっとその頃までには、経験豊富なアンチェロッティ監督が何か対策を考えてくれるんじゃないでしょうか。
そして翌水曜はイヤイヤながら、近所のバル(スペインの喫茶店兼バー)にアトレティコのPSG戦を見に行った私なんですが、ええ、昨季後半から始まったアウェイ弱者傾向のせいで、昨今は気分良く観戦できた試合がほぼ皆無でしたからね。あまつさえ、CL2節など、お隣さんのリール戦が同時開催だったせいで、人が見てないのをいいことに、リスボンでベンフィカに4-0の赤っ恥負けをしてきたぐらいでしたから、この日もキックオフ早々、アクラフ、デンベレ、バルコラと、次々シュートを撃ってこられるのに最悪の結末しか想像できなかったんですが…。
ええ、最悪ですよ。だってえ、開始14分にはラングレがエリア内でボールをデンベレに奪われ、ザイール=エメリに先制点を決められてしまったんですよ。もしやこれは、ベンフィカ戦を上回る惨劇が展開されるのかと、即座に家に帰りたくなったぐらいでしたが、あら意外。18分には最近、ダメダメのチームで1人だけ意地を見せているチョリート(小さなチョロ)、シメオネ監督の三男ジュリアーノが敵エリアに接近。彼の撃ったシュートはGKドンナルンマに弾かれてしまったものの、こぼれ球を敵から取り返し、フリアン・アルバレス、モリーナとの連携で戻って来たボールを再びシュートして、いえ、これも敵DFに当たってしまったんですけどね。
そのボールをゲットしたモリーナがネットを突き刺し、早々と同点にしてくれたから、助かったの何のって。とはいえ、その後の展開が変わったかと言えば、まったくそんなことはなく、PSGのルイス・エンリケ監督も「El rival no ha llegado ni al borde del área/エル・リバル・ノー・ア・ジェガードー・ニ・アル・ボルデ・デル・アレア(敵はエリア付近にすら、辿り着かなかった)」と言っていた通り、残り時間はひたすら、計8本にもなるGKオブラクのparadon(パラドン/スーパーセーブ)と相手のシュート精度の悪さ頼みで追加点を取られずに済んでいたアトレティコだったんですけどね。それが後半ロスタイム3分、まさかあんな奇跡が起きるとは!
それは最後のPSGの攻撃を防ぎ、私も少なくとも勝ち点1は取れたとホッとしていた時のことで、ゴールキックでオブラクがセンター近くにいるグリーズマンへロングスロー。するとその日もようようパスが味方に届かず、絶望しか抱けなかった彼が敵エリアを見て、神判断したんです。そう、すでにリケルメとサムエル・リノは上がっていたものの、土壇場のゴール力を持つコレアが到着するのを見計らってロングパスを供給し、そのシュートで勝ち越し点が入ったとなれば、まさに「El gol es una broma/エル・ゴル・エス・ウナ・ブロマ(まるでジョークのようなゴール)」(ルイス・エンリケ監督)とはこのこと?
いやあ実際、この日もボールロストは無限でしたし、この1-2の勝利だけでアトレティコが強くなったとはとても言えないんですけどね。それでも全員で一生懸命守って、「volvimos a ver un Atlético duro y difícil de jugar/ボルビモス・ア・ベル・ウン・アトレティコ・ドゥーロ・イ・ディフィシル・デ・フガール(対戦するのがハードで難しいアトレティコを再び見られた)」(グリーズマン)というのは確か。「Griezmann no estuvo tan fino, pero cuando está en el campo algo puede pasar/グリーズマン・ノー・エストゥーボ・タン・フィーノ、ペロ・クアンドー・エスタ・エン・エル・カンポ・アルゴ・プエデ・パサール(グリーズマンはそんなに冴えていなかったが、彼がピッチにいる時は何かが起こりうる)」という理由で、7番を最後まで残したシメオネ監督もグッジョブでしたしね。
あとはこの姿が日曜午後4時15分(日本時間翌午前0時15分)からのアウェイゲーム、マジョルカ戦でも再現できれば、ファンも少しは見直してくれるのでは?ちなみにマハダオンダ(マドリッド近郊)に戻っての翌日セッションではリハビリ中だったジョレンテとアスピリクエタがチーム練習に合流という朗報も。それが前者など、本隊がパリに行っている間、被災者への支援品を届けにバレンシアまで移動。ついでに洪水後の清掃作業にも参加してきたようですが、その奉仕精神はともかく、早いところ調子を上げないと、ジュリアーノにレギュラーを取られてしまうかもしれませんよ。
そして最後に今週はミッドウィークに試合のなかった弟分たちの予定もお伝えしておくと、13節は皆、ホームゲーム。一番手のラージョは金曜にエスタディオ・バジェカスに、前節アトレティコに2-0と負けたラス・パルマスを迎えるんですが、その傍らで、延期となった12節のビジャレアルは12月19日にリスケされることに。現在9位でヨーロッパの大会出場圏まで勝ち点3と迫っている彼らにはちょっとじれったいことになりましたが、今節の目標は直近のアラベス戦に続く、ホーム連勝でしょうか。
一方、マドリッド南部の2チームはレガネスが土曜にセビージャをブタルケに、ヘタフェが日曜にジローナをコリセウムに迎えるんですが、実はこの2カードの開催日時、元々は逆だったんですよ。ええ、バレンシアにあるマニセス(地方リーグ/実質6部)とのコパ1回戦が延期となったボルダラス監督のチームが、それを今週の木曜にプレーすることになったため、入れ替えになったという経緯があるんですが、結局、未だに洪水被害の残る現地を考慮して、開催は11月26日に。まあ、どちらも午後9時キックオフだけにそんなに違いはないんですが、両チーム共、前節は負けているため、降格圏から離れるという意味でも、ホームのファンの前でいいところを見せられるといいですよね。
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元レアル・マドリーのドクターが最高のアスリートについて言及した。 世界最高峰のアスリートは誰かと問われれば、ユベントスのポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウドの名を挙げる人は多いだろう。36歳となった今でも、強さ、ジャンプ力、スピードをすべて信じられないほどのレベルで備えた見本のような肉体を誇っている。 C・ロナウドは息子がポテトチップスを食べてコカ・コーラを飲んでいるのを見ると、いい気分にはならないようで、自身も先日のユーロ2020の記者会見では目の前のコーラを退けるなど、印象的な行動もとっていた。 だが、元マドリーのドクター、ヘスス・オルモ氏の考えは少々異なる様子。オルモ氏はC・ロナウドよりもレアル・マドリーのウェールズ代表FWガレス・ベイルの方がより完全なアスリートであると信じているようだ。スペイン『イデアル』に次のように語っている。 「サッカー選手の身体的パフォーマンスレベルは、他のオリンピック選手とはかけ離れている」 「ただ、今はセルヒオ・ラモスのように近づいている選手も居る。ルーカス・バスケス、クリスティアーノ・ロナウドもだ。ケイロル(・ナバス)は驚異的な瞬発力があり、(ダニエル・)カルバハルは素晴らしいコンディションを持てている」 「ただ、おそらく私が見た中で最高のアスリートはガレス・ベイルだ」 「彼はどんなスポーツでも優れた能力をできる生まれながらのアスリートだ。彼は特異な遺伝学と運動能力を持っていて、技術的な能力もある」 「パフォーマンスがあってのことだが、彼はあらゆる状況から生じるすべての面で私に最も感銘を与えた人物だ」 ベイルはマドリー時代の2017年にレアル・ソシエダ戦で75メートルを独走してのゴールを挙げ、その際に時速22マイル(約35km)というクレイジーな最高速度を記録している。かつて痩せた子供だったベイルが何年もかけて肉体の構築に取り組んできたため、オルモ氏は感銘を受けているのだろう。 <span class="paragraph-title">【写真】あなたはどっち派?!C・ロナウドとベイルの筋肉美</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="en" dir="ltr">Gareth Bale's legs <a href="https://t.co/sWUddWmodR">pic.twitter.com/sWUddWmodR</a></p>— bob mortimer (@RealBobMortimer) <a href="https://twitter.com/RealBobMortimer/status/886531195214995456?ref_src=twsrc%5Etfw">July 16, 2017</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="en" dir="ltr">Recovery time! <a href="https://t.co/1NduH6HkFi">pic.twitter.com/1NduH6HkFi</a></p>— Cristiano Ronaldo (@Cristiano) <a href="https://twitter.com/Cristiano/status/1367191022963425283?ref_src=twsrc%5Etfw">March 3, 2021</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2021.08.04 19:15 Wed4
C・ロナウドの飛び抜けたプロ意識…アデバヨール氏が“たった半年”のマドリー時代に感謝する理由「練習2時間前に誰もいないはずのジムから物音がするんだよ…」
元トーゴ代表FWのエマヌエル・アデバヨール氏が、レアル・マドリー時代のポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(現アル・ナスル)とのエピソードを明かした。 西アフリカの小国トーゴを2006年ドイツW杯へ導いた同国史上No.1フットボーラー、アデバヨール氏。クラブキャリアはアーセナルやマンチェスター・C、トッテナム等でプレーした。 陽気なキャラクターで愛された男は指導者業へ入らず、トーゴのスポーツ大臣にA代表監督就任を打診されても「僕には無理!」とお断り。 そんなアデバヨール氏は現役時代の2011年にマドリーでプレー。シティからのレンタル加入でわずか半年だったが、当時マドリーにはC・ロナウドが所属しており、アデバヨール氏はそのプロ意識に感銘を受けたという。ポッドキャスト『Takes from the terrace』に語った。 「たった半年のマドリード生活でも、あの男と一緒にプレーする機会を得られたことを感謝しないわけにはいかないね。C・ロナウドだ」 「僕は今なお、彼のメンタリティ、人柄、パーソナリティに敬意を抱いているよ。一瞬たりとも『最高の選手になりたい』という意識を排除しない姿勢は僕に衝撃を与えたんだ」 「覚えてる人はいるかな?」 「僕はかなりの批判を受けながらのマドリー加入だった。不要な選手だとね。だから、クラブから『最初の2週間は、練習開始1時間前には必ずクラブハウスへ来い』『そういったところから姿勢をアピールするんだ』と指示された」 「僕は初日、指示された時間よりもさらに1時間早い午前8時30分にクラブハウスへ来た。10時30分の練習スタートまで2時間もあるし、それが一番乗りだろうと。僕がプロフェッショナルであると誰もが認めてくれるだろうとね」 「ところが、誰もいないはずのジムから物音がするんだ。理学療法士に聞いたら『ああ、クリスティアーノがいつもこの時間からいるんだよ』ってね。僕は2番目の到着だったわけだ」 「そこでC・ロナウドとの挨拶だ。会話を交わすなかで『いつも何時に来ているの?」と聞くと、彼は『7時だよ』とさ…(笑) こっちが呆気に取られていると『助けになれることがあったら何でも言ってくれ』と言ってくれたよ」 「彼は今年で40歳か…まだまだ第一線の選手であることが僕は嬉しいね。今でもクリスティアーノ・ロナウドの活躍を見るたび、僕はあの出来事を思い出して美しい気分に浸る」 <span class="paragraph-title">【動画】現在40歳のアデバヨール氏</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="en" dir="ltr">Emmanuel Adebayor believes Arsenal must win the North London Derby against Tottenham to keep their momentum going in the title race <a href="https://t.co/gndjUA5SNm">pic.twitter.com/gndjUA5SNm</a></p>— Sky Sports Premier League (@SkySportsPL) <a href="https://twitter.com/SkySportsPL/status/1879487573522850087?ref_src=twsrc%5Etfw">January 15, 2025</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2025.01.24 16:31 Fri5