ヨーロッパの各リーグとFIFProがFIFAを訴え…試合数の増加など「支配権の濫用」を指摘もFIFAはプレシーズンのツアーに苦言

2024.07.24 12:45 Wed
Getty Images
プレミアリーグを含むヨーロピアン・リーグスと、国際プロサッカー選手会(FIFPro)が、国際サッカー連盟(FIFA)を訴えるようだ。イギリス『BBC』が伝えた。

33カ国の39のリーグと1130クラブを代表するヨーロピアン・リーグは、選手の福祉を守るために欧州委員会に対して苦情を申し立てているという。

これは、プロサッカー選手協会(PFA)を含むリーグや選手の組合から、追加される試合数と選手への影響をめぐって圧力が高まったことを受けてのことだという。
FIFProは声明を発表し、「FIFProとヨーロピアン・リーグスは、試合日程を巡りFIFAに対して欧州委員会に共同で苦情を申し立てる」、「訴状はFIFAの行為が欧州連合競争法に違反していると説明する予定だ」としている。

大会の拡大や増加により、一部の選手の試合数が膨大なものとなっている現代のサッカー界。予てから、クラブの試合と代表の試合数の多さに苦言を呈する人が多くいた中、今なお拡大は続くばかりだ。
FIFProは「国際試合のカレンダーは今や飽和状態を超えており、各国リーグにとって持続不可能となり、選手の健康にとってリスクとなっている。ここ数年のFIFAの決定は、繰り返し自らの大会や商業的利益を優先し、統括団体としての責任を無視し、国内リーグの経済的利益や選手の福祉を害してきた」と訴え、「支配権の濫用に当たる」としている。

FIFAが大会の方式などの決定に際し、これまで各国リーグや選手組合を拒否し続けていることを問題視しているという。

なお、FIFAの広報担当はこの訴えに対して反論。

「現在のカレンダーは、FIFProやリーグ団体を含む包括的かつ包括的な協議を経て、ヨーロッパを含むすべての大陸の代表者で構成されるFIFA理事会で満場一致で承認された」

「FIFAのカレンダーは、国際サッカーが国内や大陸のクラブサッカーと並んで存続し、共存し、繁栄し続けることを保証する唯一の手段だ」

「欧州の一部リーグは、競技会の主催者や規制機関でありながら、商業的な利己心と偽善に基づいて行動し、世界の他のすべての人々への配慮を欠いている。これらのリーグは、親善試合や夏のツアーでいっぱいのカレンダーを好んでいるようで、その多くは広範囲にわたる世界旅行を伴う」

「対照的に、FIFAは、あらゆる場所、あらゆるレベルのサッカー選手の保護を含め、世界のサッカー全体の利益を守らなければならない」

今夏も多くのヨーロッパのクラブが来日するジャパンツアーをはじめ、ヨーロッパから近いところではアメリカツアーを行うクラブも多い。日本以外にもアジアツアーを行うクラブもあり、FIFAはプレシーズンのそうした行動が自らを苦しめているともしている。

両者がそれぞれの立場で主張をしていることになるが、果たしてどういった結末に向かうのだろうか。

FIFAの関連記事

欧州サッカー連盟(UEFA)のアレクサンデル・チェフェリン会長が、総会に大遅刻した国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長を非難した。イギリス『BBC』が伝えた。 15日、パラグアイのアスシオンで第75回FIFA総会が行われた。 しかし、インファンティーノ会長は2時間17分の遅刻。理由 2025.05.16 18:10 Fri
国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長が、ロシアの復帰に期待を寄せた。 ロシアは、2022年2月にウクライナへの軍事侵攻を行い、3年が経過した現在もまだ続いている状況だ。この軍事侵攻を受け、ロシア代表とロシアのクラブはFIFA、そして欧州サッカー連盟(UEFA)の大会から追放されている。 2025.04.04 13:15 Fri
国際サッカー連盟(FIFA)は26日、今年6月にアメリカで開催されるFIFAクラブ・ワールドカップ(W杯)の賞金総額を発表した。 これまでは各大陸王者と開催国王者の7チームの出場だったクラブW杯。しかし、FIFAはフォーマットを刷新。今年から開催されるクラブW杯は4年に1度の開催となり、32チームが出場することと 2025.03.26 20:45 Wed
国際サッカー連盟(FIFA)のジャンニ・インファンティーノ会長が、日本代表が2026年北中米ワールドカップ(W杯)の出場権を獲得したことにお祝いのメッセージを送った。 20日、日本代表は2026年北中米W杯アジア最終予選の第7節でバーレーン代表とホームで対戦。前半こそゴールレスで終わったが、後半に鎌田大地、久保建 2025.03.21 01:30 Fri

FIFAの人気記事ランキング

1

2026年W杯は決勝でハーフタイムショーを実施、コールドプレイがアーティスト選定に協力

2026年の北中米ワールドカップ(W杯)はこれまでとは大きく大会方式も変更されることが決定しているが、決勝ではスーパーボウルと同様のハーフタイムショーが予定されている。 サッカーの場合、試合前に大きなセレモニーを行うことはこれまでもあったが、W杯決勝のハーフタイムでショーが行われたことはない。 NFLの王者を決めるスーパーボウルでは、約30分間のハーフタイムが取られてショーが実施。通常のシーズンは15分となっており、およそ倍になる。 国際サッカー連盟(FIFA)はアメリカで行われるW杯で変革を目指している中、ジャンニ・インファンティーノ会長は担当するアーティストの選定に、イギリス出身のロックバンド「コールドプレイ」が協力することを明かした。 インファンティーノ氏は自身のインスタグラムで「ニューヨーク・ニュージャージー州で開催されるFIFAワールドカップ決勝戦で、初のハーフタイムショーを開催することを発表する」と綴り、「これはFIFAワールドカップにとって歴史的な瞬間であり、世界最大のスポーツイベントにふさわしいショーとなるだろう」とした。 また「ハーフタイムショーやタイムズスクエアで演奏するアーティストのリストをFIFAで最終決定するために協力してくれる、コールドプレイのクリス・マーティンとフィル・ハーヴェイにも感謝したい」とし、ボーカルのクリス・マーティンと、その親友で元マネージャーのフィル・ハーヴェイの2人の協力を得ることができたとした。 2025.03.05 23:57 Wed
2

W杯が64カ国出場に? 100周年迎える2030年大会の特別案が浮上、FIFAは検討へ

国際サッカー連盟(FIFA)は、第1回ワールドカップ(W杯)開催から100周年を迎える2030年大会に関して、64チームの参加に拡大することを検討しているという。アメリカ『ニューヨーク・タイムズ』が伝えた。 スペイン、ポルトガル、モロッコの3カ国共催で行われることが決まっている2030年大会。100周年を迎えるため、開幕戦の記念試合をウルグアイ、アルゼンチン、パラグアイで実施することも決まっている。 そんな中、5日に行われたFIFAの理事会にて、議題の一部として提案されたのが出場国を「64」に増加させるという案だった。 2026年の北中米W杯から、これまでの32カ国に対して48カ国に増加させることが決まっている状況。その上で、さらに16カ国をこの大会に限り増加させるという案は、ウルグアイサッカー協会のイグナシオ・アロンソ会長から出された。第1回大会を開催し、初代王者となったウルグアイからの申し出。FIFAのジャンニ・インファンティーノ会長は検討することを約束したという。 FIFAの加盟協会は211カ国となっており、64カ国となれば4分の1以上が参加することとなる異例の状況だ。 ただ、インファンティーノ会長は、W杯こそ大きな影響を与える存在なるべく改革を続けてきており、かつては2年に1回の開催にする案も出たが、これは廃案となっていた。 仮に64カ国の出場となれば、スペイン、ポルトガル、モロッコの3カ国のインフラに大きな問題も生じかねない状況。また、6週間以上の大会期間が必要となるため、規模が大きくなりすぎるという懸念があり、CO2排出量など環境問題にも発展しかねない状況だ。 16カ国増加となれば、ヨーロッパからは55カ国の半数が出場することとなり、南米はもはや予選が要らない状況に。アジア、アフリカ、オセアニアは初出場国がたくさん生まれることになる。 100周年という大会をどう考えるのか。大きな節目となることは間違いないだけに、今後どのような検討がされていくのか注目だ。 2025.03.07 18:25 Fri

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly