1
浦和への妥当な処分とは?/六川亨の日本サッカー見聞録
2023.08.24 21:00 Thu
JFA(日本サッカー協会)の内部事情に詳しい日刊スポーツによると、8月2日の天皇杯・名古屋戦でサポーターが暴徒化した浦和に対し、臨時の天皇杯実施委員会と理事会を9月上旬にも開いて処分を協議するそうだ。暴徒化したサポーターについては暴力相当の行為があったと認定し、60人ほどのサポーターに対して無期限の入場禁止や永久追放、管理責任を負う浦和にも来年度の天皇杯出場資格の剥奪などの厳しい処分が下される可能性があると報じていた。
事件が起きてから浦和は横浜FM、広島、名古屋とJ1リーグ3試合を消化。さらにACLプレーオフの理文(香港)戦も勝ち抜いて本戦出場を果たした。今週末には湘南戦があり、9月2日は新潟戦、そして9月6日からはルヴァンカップの準々決勝がスタートする。「厳しい処分」がいつ下されるのかわからないが、その間にも試合は粛々と進行している。この“スピード感”のなさに苛立ちを感じるのは、私だけではないだろう。
そして浦和は、8月5日に状況説明の記者会見後、16日に会見での説明を否定する事実経過をHPで発表し、違反者については『客観性、公平性、継続実現性の担保や法的根拠などを様々な角度から検証し、外部有識者の知見もお借りしながら新たな基準作りにスピード感をもって取り組んでまいる所存です。また、行為者への処分に加え、JFA様から弊クラブへの処分がおって通達されるものと理解しておりますが、そちらにつきましても厳粛に受け止め、再発防止への取り組みは勿論のこと、社内処分も含め誠実に対応していくほか、本事案の全容解明に向け、引き続きJFA様と積極的に連携してまいります』と報告した。
浦和に対する処分はJFAとJリーグ(天皇杯は両団体が主催)が下すため、浦和は裁定を待つしかない。しかしサポーターへの処罰はクラブ独自で出すことも可能なはずだ。再発防止策や社内処分もクラブ独自で出すことが、現在行われているリーグ戦やカップ戦を観戦に訪れるファン・サポーターへ安心を担保することにつながるだろう。
にもかかわらず“お上”の沙汰を待っている姿勢は、どこかの大学が違法薬物を部員が所持していて内部通報があったにも関わらず、積極的に調査しなかったネガティブな姿勢に通じるものを感じてしまう。だからこそ、浦和には自浄作用を期待せずにはいられない。
不祥事が選手(例えば八百長に加担したとか)やクラブスタッフ(他チームの選手を買収したとか)だったら、出場権の剥奪もやむを得ないだろう。しかし今回の不祥事はサポーターが起こしたことでもある。このため処分としては、来シーズンの天皇杯で、どの試合をホームゲーム扱いするかという問題はさておいて、一定試合数の無観客試合というのが妥当ではないだろうか。
【文・六川亨】
事件が起きてから浦和は横浜FM、広島、名古屋とJ1リーグ3試合を消化。さらにACLプレーオフの理文(香港)戦も勝ち抜いて本戦出場を果たした。今週末には湘南戦があり、9月2日は新潟戦、そして9月6日からはルヴァンカップの準々決勝がスタートする。「厳しい処分」がいつ下されるのかわからないが、その間にも試合は粛々と進行している。この“スピード感”のなさに苛立ちを感じるのは、私だけではないだろう。
浦和に対する処分はJFAとJリーグ(天皇杯は両団体が主催)が下すため、浦和は裁定を待つしかない。しかしサポーターへの処罰はクラブ独自で出すことも可能なはずだ。再発防止策や社内処分もクラブ独自で出すことが、現在行われているリーグ戦やカップ戦を観戦に訪れるファン・サポーターへ安心を担保することにつながるだろう。
にもかかわらず“お上”の沙汰を待っている姿勢は、どこかの大学が違法薬物を部員が所持していて内部通報があったにも関わらず、積極的に調査しなかったネガティブな姿勢に通じるものを感じてしまう。だからこそ、浦和には自浄作用を期待せずにはいられない。
最後に浦和への処分だが、天皇杯での管理責任が問われるため、J2やJ3といった下部リーグへの降格や勝点の剥奪は論理的ではない。来年度の天皇杯の出場権剥奪は同一大会のため整合性があるように思われるが、そうなった場合に最も不利益を被るのは出場の機会を失う選手ということになる。
不祥事が選手(例えば八百長に加担したとか)やクラブスタッフ(他チームの選手を買収したとか)だったら、出場権の剥奪もやむを得ないだろう。しかし今回の不祥事はサポーターが起こしたことでもある。このため処分としては、来シーズンの天皇杯で、どの試合をホームゲーム扱いするかという問題はさておいて、一定試合数の無観客試合というのが妥当ではないだろうか。
【文・六川亨】
1957年9月25日生まれ。当時、月刊だった「サッカーダイジェスト」の編集者としてこの世界に入り、隔週、週刊サッカーダイジェストの編集長や、「CALCIO2002」、「プレミアシップマガジン」、「サッカーズ」の編集長を歴任。現在はフリーランスとして、Jリーグや日本代表をはじめ、W杯やユーロ、コパ・アメリカなど精力的に取材活動を行っている。日本サッカー暗黒の時代からJリーグ誕生、日本代表のW杯初出場などを見続けた
|
浦和レッズの人気記事ランキング
2
クラブW杯2025まで1年弱…FIFAとAppleの交渉破談で放映権白紙
クラブワールドカップ2025(クラブW杯)の放映権は、白紙の状態が続く。 来年6月、新たなフォーマットとなって開催されるクラブW杯2025。各大陸から32クラブが集う大規模コンペディションとなり、近年サッカー界で問題視される過密日程に拍車をかけるとして、FIFAへの批判が止むことはない。 今年4月、『ニューヨーク・タイムズ』がクラブW杯2025に関し、「FIFAは米国・Apple社との間で、放映権について完全合意する見通し。すでにほぼ合意している」と報道。10億アメリカドル(約1572億円)に及ぶ巨額の契約が結ばれるとしていた。 しかし、ドイツ『ビルト』などによると、FIFAとApple社による放映権を巡る契約は実現しない方向で間違いなし。すでに交渉は終わっているという。FIFAは2025年大会と2029年大会に向け、放映権の再入札を始めたとのことだ。 クラブW杯2025はアメリカ開催で、来年6月15日〜7月13日までに全63試合が開催予定。出場32チームとあって、大会方式としては「3位決定戦がないことを除いてW杯と同じ」。 日本からは浦和レッズの出場が決まっており、アジアサッカー連盟(AFC)全体だと、浦和、アル・ヒラル(サウジアラビア)、蔚山HD(韓国)、アル・アイン(UAE)で出場4枠を占めている。 2024.07.19 17:55 Fri3
浦和を離れたDF酒井宏樹がAリーグ・メンに新規参入のオークランドFCに完全移籍「ずっとAリーグでプレーしたいと思っていた」
オークランドFCは25日、浦和レッズの元日本代表DF酒井宏樹(34)を完全移籍で獲得したことを発表した。 酒井はクラブを通じてコメントしている。 「オークランドは住むのに素晴らしい街だと聞いていましたし、ずっとAリーグでプレーしたいと思っていました」 「新しい目標と挑戦を追求することを決意していたので、この機会が訪れたとき、僕にとっては自然なキャリアアップであり、子供たちもいる家族にとっても正しい選択でした」 酒井は柏レイソルでキャリアをスタート。2012年にハノーファーへと完全移籍すると、2016年にはマルセイユへと完全移籍する。ブンデスリーガ、リーグ・アンで経験を積んだ酒井は、2021年夏に浦和に完全移籍で加入。キャプテンも務めるなどして、3年間プレーした。 浦和では公式戦通算96試合で5ゴール6アシスト。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)優勝に貢献するなどしたが、今シーズンはケガなどもありJ1では10試合で1ゴール2アシストに終わっていた。 リーグ・アンでは145試合1ゴール10アシスト、ブンデスリーガでは92試合2ゴール2アシストを記録。チャンピオンズリーグで6試合、yーロッパリーグで16試合に出場していた。 オークランドFCは2024-25シーズンからAリーグ・メンに参入するニュージーランドのクラブ。オーストラリア人、ニュージーランド人、フィジー人で構成されており、初のオセアニア以外の選手の加入となる。 <span class="paragraph-title">【写真】オークランドFCのユニフォームを着用した酒井宏樹</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="hu" dir="ltr"><a href="https://twitter.com/fc_auckland/status/1816231895572619513?ref_src=twsrc%5Etfw">July 24, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.07.25 09:15 Thu4
「さすがにかっこよすぎる」「この数年で1番良い」J1優勝目指す浦和が新ユニフォームを発表!ナイキとのパートナーシップ20周年「NIKE様ありがとうございます」
浦和レッズは10日、2024シーズンのユニフォームデザインを発表した。 2023シーズンは、明治安田生命J1リーグを4位で終えた浦和。5月には2022シーズンのAFCチャンピオンズリーグ(ACL)制覇を果たしたが、2023-24シーズンのACLではグループステージ敗退に終わった。 2024シーズンに向けては、マティアス・ヘグモ新監督を招へい。新戦力の獲得も続々と発表されており、新たなスタートを切ることとなる。 その2024シーズンは、「NIKE(ナイキ)」とのオフィシャルサプライヤー20周年。クラブの歴代のユニフォームやホームスタジアムの雰囲気からインスピレーションを得たユニフォームデザインを採用した。 1stユニフォームは、伝統の赤/白/黒のカラーコンビネーションを継承。10年前にあたる2014年に採用されたユニフォームのグラフィックを彷彿させるグローバルクリエイティブデザインが採用されている。 スタジアムに木魂するファン・サポーターの途切れない熱い声援、そして鳴り響く拍手、揺れる応援フラッグやタオルマフラー。それら全てがスタジアムを包み込み生み出す空気の流れや動きからヒントを得て、デジタルのフィルターを通じダイナミックに表現したデザインにしたといい、クラブカラーの赤を基調としており、そこにランダムに散りばめられた黒のインクが独創的な世界観を演出している。 一方、2ndユニフォームでは白/黒/白のカラーコンビネーションを継承。クラブエンブレムに使用されている縦のストライプ、ナイキとパートナーシップを結んだ初年度である2004年に2ndユニフォームを彷彿させるグローバルクリエイティブデザインを採用した。 シャツは白を基調とし、ライトグレーを肩や袖、前後の斜めのグラフィックに使用。また、前後のグラフィックのエッジの部分に黒のピンストライプがグラデーションで用いられおり、それが影の様な役割を果たしグラフィックに奥行を与えている。そして、両袖のリブに黒を用いる事で、白とグレーのカラーコンビネーションの少しぼやけた印象を一気に引き締めている。 GKユニフォームについては、2ndユニフォームのデザインと近い斜めのグラフィックを曲線にして採用。緑、黄色、水色をベースとした3種類のユニフォームデザインが発表されている。 どのユニフォームにも、2022シーズンのACL優勝のタイトルが加わった4つの星が左胸のエンブレムの上にあしらわれている。また、首裏部分は、タオルマフラーのモチーフにしたというクラブとサポーターを繋ぐシンボル(ハート12)とクラブの誇りである“We are REDS!”のデザインが施されている。 さらに、2020シーズン以来4期ぶりとなるオリジナルフォントにクラブエンブレムが印字された背番号を採用。ネームフォントも同様にオリジナルフォントが使用される。 新ユニフォームのデザインに、ファンは「さすがにかっこよすぎる」、「この数年で1番良い」、「これはユニフォームから優勝してるって、かっこよすぎるよ」、「NIKE様ありがとうございます」とコメントしている。 なお、2024シーズンはGKユニフォームも数量限定で販売される。 <span class="paragraph-title">【画像&動画】浦和の新1stユニフォーム(FP)</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr"><a href="https://twitter.com/hashtag/%F0%9D%98%82%F0%9D%97%BF%F0%9D%97%AE%F0%9D%98%84%F0%9D%97%AE%F0%9D%97%BF%F0%9D%97%B2%F0%9D%97%B1%F0%9D%98%80?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#</a> <br><br>1/13(土)18時よりオンラインショップにて順次先行販売開始/<br><br>詳細 <a href="https://t.co/YCzyGtv1op">https://t.co/YCzyGtv1op</a><a href="https://twitter.com/hashtag/%E6%B5%A6%E5%92%8C%E3%83%AC%E3%83%83%E3%82%BA?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#浦和レッズ</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/WeareREDS?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#WeareREDS</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/Nikefootball?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#Nikefootball</a> <a href="https://twitter.com/hashtag/20th?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#20th</a> <a href="https://t.co/cmxT7SqWcu">https://t.co/cmxT7SqWcu</a> <a href="https://t.co/EefhZejkNI">pic.twitter.com/EefhZejkNI</a></p>— 浦和レッズオフィシャル (@REDSOFFICIAL) <a href="https://twitter.com/REDSOFFICIAL/status/1745009320126030165?ref_src=twsrc%5Etfw">January 10, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <script>var video_id ="ruk3rcVqMQk";var video_start = 0;</script><div style="text-align:center;"><div id="player"></div></div><script src="https://web.ultra-soccer.jp/js/youtube_autoplay.js"></script> 2024.01.10 18:35 Wed5