【2022-23ラ・リーガ前半戦総括】超WS選出の最優秀選手はテア・シュテーゲン
2023.02.04 18:00 Sat
◆バルサが4年ぶりの覇権奪還へ順調な歩み
超大型補強を敢行したバルセロナと王者レアル・マドリーの2強中心の覇権争いが予想された中、ここまでは大方の予想通りの展開に。その中で超大型補強を敢行したバルセロナ(勝ち点50)が5ポイント差で冬の王者に輝いた。
直近数シーズンの体たらくを受け、昨夏にクラブの“将来”を担保にFWレヴァンドフスキ、FWハフィーニャ、DFクンデらビッグネームを獲得したバルセロナ。開幕前はサラリーキャップの問題やディフェンスラインを中心とする負傷者続出に苦しんだが、チャビ体制2年目で強度、連動性を増した堅守、レヴァンドフスキの圧倒的な決定力を武器に、第2節から圧巻の7連勝を記録。
10月半ばに行われたエル・クラシコでは1-3のスコア以上の内容の差で初黒星を喫したが、以降の10試合では9勝1分けと安定して勝ち点を積み重ねている。再開後はスーペル・コパ決勝での2度目のクラシコでは今季ベストゲームに近い圧巻のパフォーマンスを見せた一方、それ以外の試合ではパフォーマンスの低下が見受けられるが、守備陣の奮闘もあって勝負強い戦いが印象的だ。
そのバルセロナを追う王者レアル・マドリー(勝ち点45)は、好調のバルセロナの取りこぼしの少なさで勝ち点差を付けられているが、後半戦の巻き返しが十分可能な立ち位置にいる。マンチェスター・ユナイテッド移籍のMFカゼミロの後釜にMFチュアメニ、DFリュディガーと最低限の補強にとどまり継続路線を貫く中、前述のクラシコの快勝を含めカタール・ワールドカップの中断前にはラージョ・バジェカーノ戦で思わぬ初黒星を喫したが、さすがの安定感で首位をキープ。ただ、再開後はW杯での消耗や多くの負傷者の影響によってパフォーマンスが低下。年明け以降の4試合では3勝1敗1分けで首位の座を明け渡すことになった。今冬の補強を見送り、負傷者が続く中で巻き返しに向けてやや不安を残す。
アトレティコ・マドリーら強豪を抑えて2強と覇権を争う3位に位置するレアル・ソシエダ(勝ち点39)は、前半戦のベストチームのひとつだ。智将イマノルの下で鍛え上げられたGKレミロ、MFスビメンディ、MFメリーノらバスク出身の選手にMFダビド・シルバ、昨夏獲得のMF久保建英、FWセルロートらの新戦力がうまく融合し、攻守両面で質の高いパフォーマンスを披露。
その“ラ・レアル”に後れを取る4位のアトレティコ・マドリー(勝ち点34)は、年明け以降にやや盛り返したものの、期待外れの前半戦となった。大きな主力の流出もなくピンポイント補強を行ったシメオネ11年目のチームは、昨季に比べて守備の問題はある程度改善。ただ、試合運びの部分ではリードを守り切れないなど、昨季同様の問題が散見されており、中断前に格下相手に1分け2敗の3戦未勝利も経験した。
オトラリーガでは6位のベティス(勝ち点31)、9位のアスレティック・ビルバオ(勝ち点26)らが安定したパフォーマンスを見せている一方、ガットゥーゾ新監督を招へいした14位のバレンシア(勝ち点20)は、フロントのバックアップが足りない中での成績不振にも関わらず、そのイタリア人指揮官を1月末に解任。また、昨季終盤からの不振が続いた13位のセビージャ(勝ち点21)は、ロペテギ前監督を解任し、サンパオリ監督の再任を決断。ここに来て復調も一時降格圏に転落する厳しい前半戦を過ごした。
その中でウナイ・エメリ監督をアストン・ビラに引き抜かれ、前バルセロナのセティエン新監督を招へいしたビジャレアル(勝ち点31)は、大きくスタイルが異なる監督交代によって一時低迷も、現在最も好調なチームのひとつでトップ4肉薄の5位に位置する。
残留争いでは、6分け13敗と前半戦唯一未勝利となった最下位のエルチェ(勝ち点6)が崖っぷちの状況。また、ヘタフェ(勝ち点17)とカディス(勝ち点19)が降格圏に沈んでいるが、11位のアルメリア(勝ち点22)までポイント差はほぼなく、エルチェを除く残り2枠の降格を巡る争いは今後も熾烈を極める。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆GKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲン(バルセロナ)

圧巻のパラドン連発で鉄壁の守備を牽引。4年ぶりの覇権奪還へ好スタートを切ったバルセロナの最大の功労者は、ラ・リーガ初挑戦で得点ランキング首位を快走する新エースストライカーでもなく、圧倒的な個の力で局面を打開するFWデンベレ、中盤で躍動する若手MFコンビでもなく、最後尾でチームを支える守護神だ。
バルセロナが前半戦で喫した失点はわずかに7失点、さらにクリーンシートは14試合と、リーグ戦はおろかその他の主要リーグを見渡しても驚異的な記録となっている。ただ、序盤戦を中心に多くの負傷者に悩まされた4バックは試合ごとにメンバーが入れ替わり、左利きのバルデの右サイドバック起用や本職左サイドバックのマルコス・アロンソのセンターバック起用など、スクランブル起用も目立った。そのため、前述の数字とは裏腹に試合ごとのピンチの回数は少なくなく、その大半を30歳GKが驚異的な反射神経、確かなプレーリードで防いできた。
ここ数年はディフェンスラインの問題に加え、自身のパフォーマンスも今一つな状況が続いたが、一昨年の右ヒザ手術や昨季シーズン終了後の代表辞退による休養の効果が出てきたか、全盛期のパフォーマンスを完全に取り戻した印象だ。このままのパフォーマンスを継続し、再開後にメンバーが固まった現ディフェンスラインでの戦いを維持できれば、自身初のサモラ賞獲得は間違いないはずだ。
★最優秀監督
◆イマノル・アルグアシル(レアル・ソシエダ)

就任5年目でベストスカッドを更新。16勝2分け1敗と見事な戦績でチームを首位に導いたチャビ監督の手腕も評価しているが、やはり大幅な資金力、戦力差をその育成力と的確な采配で埋めてきた“ラ・レアル”の智将を前半戦の最優秀監督に推す。
2018年の途中就任以降、国内屈指のカンテラを中心に国内外の経験豊富なベテランや、伸びしろのある若手を巧みに融合させ、結果と内容を両立させてきたイマノル監督。[4-3-1-2]のメインシステムを中心に、ハイインテンシティのフットボールを志向しつつ、シルバらベテランがうまくテンポをコントロールしながら魅力的な攻撃スタイルも両立させている。また、決して充実した選手層とは言えないものの、巧みな用兵術で試合途中の修正やパフォーマンスを大きく落とさないターンオーバーなど確かな手腕を発揮している。
サイドバックのクオリティやセンターバックの選手層など、チームとしての課題はあるものの、FWオヤルサバルの復調や自慢のカンテラーノの台頭があれば、悲願のトップ4フィニッシュは十分に可能なはずだ。
【期待以上】
★チーム
◆ラージョ・バジェカーノ

昇格組として躍動した昨季の勢いを維持。青年指揮官イラオラの下で昨季躍進を遂げたマドリード第4のチームは、ほぼ昨季の主力を維持する継続路線でシーズンをスタート。バルセロナとの敵地での開幕戦をドローでスタートすると、序盤戦はやや取りこぼしが目立ったが、一時7戦無敗を記録するなどきっちり盛り返してきた。
昨季同様に躍動感のある戦いぶりは健在で、ソシエダやベティスに敗れたものの、レアル・マドリーとセビージャ、ビジャレアルに勝利し、バルセロナとアトレティコに引き分けるなど上位相手の勝負強さも光った。
イシとアルバロ・ガルシアの両翼が相変わらず安定したパフォーマンスを披露する一方、DFルジューヌとFWカメージョの今季加入組が攻守両面で新たな強みをチームに与えている。ここに今冬からプレー可能となるFWデ・トーマスがうまく戦力として機能すれば、ヨーロッパの出場権獲得も夢ではない。
★選手
◆MFアレックス・バエナ(ビジャレアル)

イエローサブマリンの新星アタッカー。ビジャレアル生え抜きのカンテラーノは、U-16から常にスペインの世代別代表に招集されてきたエリート。だが、特大の輝きを放つ1歳下のジェレミ・ピノの活躍に隠れる形でトップチームでは思うようなインパクトを残せずにいた。
それでも、昨季レンタル先のジローナをプリメーラ昇格に導く働きをみせると、プレシーズンのアピールが実って前指揮官ウナイ・エメリに開幕から積極的にチャンスを与えられることに。ここで同世代のFWジャクソンと共にチャンスを掴むと、セティエン新監督の下でも主力を担い、ここまでリーグ戦17試合4ゴール1アシストを記録。
前体制では左ウイング、現体制ではインテリオールでプレーし、卓越した個人技と攻撃センスを遺憾なく発揮している。174cmと上背はないものの、体幹の強さとアジリティを生かしたドリブル突破、視野の広さが光るラストパス、正確なシュートに秀逸なオフ・ザ・ボールの動きと、崩しからフィニッシュの局面でなんでもこなせる万能型アタッカーだ。ライバルの数は少なくないが、現状のパフォーマンスを継続できれば、ラ・ロヒータで指導を受けてきたデ・ラ・フエンテ監督率いる新生ラ・ロハ入りは間違いないはずだ。
【期待外れ】
★チーム
◆セビージャ

一時降格圏転落の大不振。昨季は最終的に4位フィニッシュも、後半戦は結果、内容共に低調だったアンダルシアの雄は、一時解任が取り沙汰されたロペテギ監督の続投を決定した。だが、この選択に加え、モンチSDによる昨夏の補強がことごとく外れた結果、チームは開幕から低迷。昨季から続く得点力不足だけでなく、DFクンデとDFジエゴ・カルロスが流出したディフェンスラインが脆さを露呈し、守護神ボノの孤軍奮闘も実らずに堅守が崩壊。昨年10月にスペイン人指揮官の解任に踏み切った。
その後、サンパオリ監督を4年ぶりに再招へいしたが、指揮官交代後も残留圏内と降格圏内を行ったり来たりする状況は変わらず。新指揮官の戦術が浸透し始めた再開後は復調の気配を示すが、降格圏とはわずか2ポイント差の13位と苦しい前半戦となった。
昨夏、獲得したMFイスコとFWドルベリはすでにクラブを離れ、構想外のMFヤヌザイの今冬退団も決定的となっており、流出したセンターバックコンビの後釜として実力不足を露呈するDFマルコンやDFタンギ・ニアンズの獲得を含めモンチSDの責任は避けられない状況だ。そういった中、アヤックスから呼び戻したFWオカンポスやFWブライアン・ヒル、DFバデ、MFパプ・ゲイエといった新戦力が後半戦の浮沈のカギを握る。
★選手
◆FWユセフ・エン=ネシリ(セビージャ)

相変わらずのムラッ気であわや前半戦ノーゴールの体たらく。前半戦のセビージャ低迷は新加入のセンターバックコンビや、その他のアタッカー陣の責任もあるが、やはり得点源と期待された中で不発が続いた25歳のモロッコ代表FWの責任は大きい。
2020-21シーズンの18ゴールがまぐれだったという声もあるが、先のカタール・ワールドカップで2ゴールを挙げてモロッコ史上初のベスト4進出に貢献したようにそのポテンシャルは高い。だが、今季は開幕から状態が上がらず、決してパフォーマンスが高かったとは言えないFWラファ・ミルやドルベリとプレータイムを分け合った中、開幕から14試合連続ノーゴールと低迷。ゴール以外の貢献も低かった。
ただ、前半戦最終戦となったエルチェ戦では今季初ゴールを含むドブレーテの活躍でチームを今季初の連勝に導いており、後半戦での巻き返しに期待したいところだ。
超大型補強を敢行したバルセロナと王者レアル・マドリーの2強中心の覇権争いが予想された中、ここまでは大方の予想通りの展開に。その中で超大型補強を敢行したバルセロナ(勝ち点50)が5ポイント差で冬の王者に輝いた。
直近数シーズンの体たらくを受け、昨夏にクラブの“将来”を担保にFWレヴァンドフスキ、FWハフィーニャ、DFクンデらビッグネームを獲得したバルセロナ。開幕前はサラリーキャップの問題やディフェンスラインを中心とする負傷者続出に苦しんだが、チャビ体制2年目で強度、連動性を増した堅守、レヴァンドフスキの圧倒的な決定力を武器に、第2節から圧巻の7連勝を記録。
10月半ばに行われたエル・クラシコでは1-3のスコア以上の内容の差で初黒星を喫したが、以降の10試合では9勝1分けと安定して勝ち点を積み重ねている。再開後はスーペル・コパ決勝での2度目のクラシコでは今季ベストゲームに近い圧巻のパフォーマンスを見せた一方、それ以外の試合ではパフォーマンスの低下が見受けられるが、守備陣の奮闘もあって勝負強い戦いが印象的だ。
アトレティコ・マドリーら強豪を抑えて2強と覇権を争う3位に位置するレアル・ソシエダ(勝ち点39)は、前半戦のベストチームのひとつだ。智将イマノルの下で鍛え上げられたGKレミロ、MFスビメンディ、MFメリーノらバスク出身の選手にMFダビド・シルバ、昨夏獲得のMF久保建英、FWセルロートらの新戦力がうまく融合し、攻守両面で質の高いパフォーマンスを披露。
シーズン序盤はチームの骨格がハッキリとせず、強豪相手の力負けや格下相手に思わぬ取りこぼしもあったが、シーズンを経るごとに安定感を増している。中断期間を挟んでのクラブ記録の公式戦9連勝、前節のレアル・マドリー戦(0-0)の堂々たるドローと負傷者を出しながらもパフォーマンスを上げており、2強の取りこぼし次第では最後まで覇権争いに絡んでいけるはずだ。
その“ラ・レアル”に後れを取る4位のアトレティコ・マドリー(勝ち点34)は、年明け以降にやや盛り返したものの、期待外れの前半戦となった。大きな主力の流出もなくピンポイント補強を行ったシメオネ11年目のチームは、昨季に比べて守備の問題はある程度改善。ただ、試合運びの部分ではリードを守り切れないなど、昨季同様の問題が散見されており、中断前に格下相手に1分け2敗の3戦未勝利も経験した。
オトラリーガでは6位のベティス(勝ち点31)、9位のアスレティック・ビルバオ(勝ち点26)らが安定したパフォーマンスを見せている一方、ガットゥーゾ新監督を招へいした14位のバレンシア(勝ち点20)は、フロントのバックアップが足りない中での成績不振にも関わらず、そのイタリア人指揮官を1月末に解任。また、昨季終盤からの不振が続いた13位のセビージャ(勝ち点21)は、ロペテギ前監督を解任し、サンパオリ監督の再任を決断。ここに来て復調も一時降格圏に転落する厳しい前半戦を過ごした。
その中でウナイ・エメリ監督をアストン・ビラに引き抜かれ、前バルセロナのセティエン新監督を招へいしたビジャレアル(勝ち点31)は、大きくスタイルが異なる監督交代によって一時低迷も、現在最も好調なチームのひとつでトップ4肉薄の5位に位置する。
残留争いでは、6分け13敗と前半戦唯一未勝利となった最下位のエルチェ(勝ち点6)が崖っぷちの状況。また、ヘタフェ(勝ち点17)とカディス(勝ち点19)が降格圏に沈んでいるが、11位のアルメリア(勝ち点22)までポイント差はほぼなく、エルチェを除く残り2枠の降格を巡る争いは今後も熾烈を極める。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆GKマルク=アンドレ・テア・シュテーゲン(バルセロナ)

Getty Images
圧巻のパラドン連発で鉄壁の守備を牽引。4年ぶりの覇権奪還へ好スタートを切ったバルセロナの最大の功労者は、ラ・リーガ初挑戦で得点ランキング首位を快走する新エースストライカーでもなく、圧倒的な個の力で局面を打開するFWデンベレ、中盤で躍動する若手MFコンビでもなく、最後尾でチームを支える守護神だ。
バルセロナが前半戦で喫した失点はわずかに7失点、さらにクリーンシートは14試合と、リーグ戦はおろかその他の主要リーグを見渡しても驚異的な記録となっている。ただ、序盤戦を中心に多くの負傷者に悩まされた4バックは試合ごとにメンバーが入れ替わり、左利きのバルデの右サイドバック起用や本職左サイドバックのマルコス・アロンソのセンターバック起用など、スクランブル起用も目立った。そのため、前述の数字とは裏腹に試合ごとのピンチの回数は少なくなく、その大半を30歳GKが驚異的な反射神経、確かなプレーリードで防いできた。
ここ数年はディフェンスラインの問題に加え、自身のパフォーマンスも今一つな状況が続いたが、一昨年の右ヒザ手術や昨季シーズン終了後の代表辞退による休養の効果が出てきたか、全盛期のパフォーマンスを完全に取り戻した印象だ。このままのパフォーマンスを継続し、再開後にメンバーが固まった現ディフェンスラインでの戦いを維持できれば、自身初のサモラ賞獲得は間違いないはずだ。
★最優秀監督
◆イマノル・アルグアシル(レアル・ソシエダ)

Getty Images
就任5年目でベストスカッドを更新。16勝2分け1敗と見事な戦績でチームを首位に導いたチャビ監督の手腕も評価しているが、やはり大幅な資金力、戦力差をその育成力と的確な采配で埋めてきた“ラ・レアル”の智将を前半戦の最優秀監督に推す。
2018年の途中就任以降、国内屈指のカンテラを中心に国内外の経験豊富なベテランや、伸びしろのある若手を巧みに融合させ、結果と内容を両立させてきたイマノル監督。[4-3-1-2]のメインシステムを中心に、ハイインテンシティのフットボールを志向しつつ、シルバらベテランがうまくテンポをコントロールしながら魅力的な攻撃スタイルも両立させている。また、決して充実した選手層とは言えないものの、巧みな用兵術で試合途中の修正やパフォーマンスを大きく落とさないターンオーバーなど確かな手腕を発揮している。
サイドバックのクオリティやセンターバックの選手層など、チームとしての課題はあるものの、FWオヤルサバルの復調や自慢のカンテラーノの台頭があれば、悲願のトップ4フィニッシュは十分に可能なはずだ。
【期待以上】
★チーム
◆ラージョ・バジェカーノ

Getty Images
昇格組として躍動した昨季の勢いを維持。青年指揮官イラオラの下で昨季躍進を遂げたマドリード第4のチームは、ほぼ昨季の主力を維持する継続路線でシーズンをスタート。バルセロナとの敵地での開幕戦をドローでスタートすると、序盤戦はやや取りこぼしが目立ったが、一時7戦無敗を記録するなどきっちり盛り返してきた。
昨季同様に躍動感のある戦いぶりは健在で、ソシエダやベティスに敗れたものの、レアル・マドリーとセビージャ、ビジャレアルに勝利し、バルセロナとアトレティコに引き分けるなど上位相手の勝負強さも光った。
イシとアルバロ・ガルシアの両翼が相変わらず安定したパフォーマンスを披露する一方、DFルジューヌとFWカメージョの今季加入組が攻守両面で新たな強みをチームに与えている。ここに今冬からプレー可能となるFWデ・トーマスがうまく戦力として機能すれば、ヨーロッパの出場権獲得も夢ではない。
★選手
◆MFアレックス・バエナ(ビジャレアル)

Getty Images
イエローサブマリンの新星アタッカー。ビジャレアル生え抜きのカンテラーノは、U-16から常にスペインの世代別代表に招集されてきたエリート。だが、特大の輝きを放つ1歳下のジェレミ・ピノの活躍に隠れる形でトップチームでは思うようなインパクトを残せずにいた。
それでも、昨季レンタル先のジローナをプリメーラ昇格に導く働きをみせると、プレシーズンのアピールが実って前指揮官ウナイ・エメリに開幕から積極的にチャンスを与えられることに。ここで同世代のFWジャクソンと共にチャンスを掴むと、セティエン新監督の下でも主力を担い、ここまでリーグ戦17試合4ゴール1アシストを記録。
前体制では左ウイング、現体制ではインテリオールでプレーし、卓越した個人技と攻撃センスを遺憾なく発揮している。174cmと上背はないものの、体幹の強さとアジリティを生かしたドリブル突破、視野の広さが光るラストパス、正確なシュートに秀逸なオフ・ザ・ボールの動きと、崩しからフィニッシュの局面でなんでもこなせる万能型アタッカーだ。ライバルの数は少なくないが、現状のパフォーマンスを継続できれば、ラ・ロヒータで指導を受けてきたデ・ラ・フエンテ監督率いる新生ラ・ロハ入りは間違いないはずだ。
【期待外れ】
★チーム
◆セビージャ

Getty Images
一時降格圏転落の大不振。昨季は最終的に4位フィニッシュも、後半戦は結果、内容共に低調だったアンダルシアの雄は、一時解任が取り沙汰されたロペテギ監督の続投を決定した。だが、この選択に加え、モンチSDによる昨夏の補強がことごとく外れた結果、チームは開幕から低迷。昨季から続く得点力不足だけでなく、DFクンデとDFジエゴ・カルロスが流出したディフェンスラインが脆さを露呈し、守護神ボノの孤軍奮闘も実らずに堅守が崩壊。昨年10月にスペイン人指揮官の解任に踏み切った。
その後、サンパオリ監督を4年ぶりに再招へいしたが、指揮官交代後も残留圏内と降格圏内を行ったり来たりする状況は変わらず。新指揮官の戦術が浸透し始めた再開後は復調の気配を示すが、降格圏とはわずか2ポイント差の13位と苦しい前半戦となった。
昨夏、獲得したMFイスコとFWドルベリはすでにクラブを離れ、構想外のMFヤヌザイの今冬退団も決定的となっており、流出したセンターバックコンビの後釜として実力不足を露呈するDFマルコンやDFタンギ・ニアンズの獲得を含めモンチSDの責任は避けられない状況だ。そういった中、アヤックスから呼び戻したFWオカンポスやFWブライアン・ヒル、DFバデ、MFパプ・ゲイエといった新戦力が後半戦の浮沈のカギを握る。
★選手
◆FWユセフ・エン=ネシリ(セビージャ)

Getty Images
相変わらずのムラッ気であわや前半戦ノーゴールの体たらく。前半戦のセビージャ低迷は新加入のセンターバックコンビや、その他のアタッカー陣の責任もあるが、やはり得点源と期待された中で不発が続いた25歳のモロッコ代表FWの責任は大きい。
2020-21シーズンの18ゴールがまぐれだったという声もあるが、先のカタール・ワールドカップで2ゴールを挙げてモロッコ史上初のベスト4進出に貢献したようにそのポテンシャルは高い。だが、今季は開幕から状態が上がらず、決してパフォーマンスが高かったとは言えないFWラファ・ミルやドルベリとプレータイムを分け合った中、開幕から14試合連続ノーゴールと低迷。ゴール以外の貢献も低かった。
ただ、前半戦最終戦となったエルチェ戦では今季初ゴールを含むドブレーテの活躍でチームを今季初の連勝に導いており、後半戦での巻き返しに期待したいところだ。
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▽世界各国のフットボールシーンにおいて、熱狂的なサポーターを抱えることで知られるクラブがいくつかある。日本を代表する熱狂的なサポーターと言えば、浦和レッズサポーターだが、『Fox Sports』が選ぶ『世界の熱狂的なサポーター5選』に見事選ばれた。 ▽浦和が選ばれた『世界の熱狂的なサポーター5選』には、リーベル・プレート(アルゼンチン)、ガラタサライ(トルコ)、リバプール(イングランド)、バルセロナ(スペイン)が入っており、浦和サポーターは世界でも“熱狂的”なファンで知られるクラブと肩を並べることとなった。 ▽浦和については「Jリーグの20シーズン中、14シーズンで最高の平均入場者数を誇り、サポーターが作る最高のコレオグラフィーがある」と紹介。「次東京に行く際は、埼玉スタジアムでの試合を観て欲しい」と、観戦を勧めている。以下、4クラブのサポーターの特徴を紹介。 ◆リーベル・プレート(アルゼンチン) ▽リーベル・プレートは、アルゼンチンで最もサポーターが多いクラブの1つで、ボカ・ジュニアーズとの激しいライバル関係は有名だ。ロス・ミジョナリオス(億万長者)の愛称でも知られ、ボカ・ジュニアーズとのダービーは、死人が出るほどの激しい試合になるとも言われている。 ◆ガラタサライ(トルコ) ▽ガラタサライは、ファンの大声援が地響きを起こすとも称されるほど。悪名高い「Wellcome to Hell(地獄へようこそ)」というバナーは広く知られている。1993年のマンチェスター・ユナイテッド戦、2001年のパリ・サンジェルマン戦ではサポーターが衝突し、まさに“地獄”となってしまった。 ◆リバプール(イングランド) ▽サポーターを「12人目の男」と考えるリバプール。「You'll Never Walk Alone」の大合唱は有名であり、スタジアムが素晴らしい雰囲気で包まれる。2005年のチャンピオンズリーグ決勝のミラン戦では、ビハインドで迎える後半にサポーターの大声援が選手の背中を後押しし、逆転での優勝に繋がったとも。 ◆バルセロナ(スペイン) ▽かつては「ソシオ」がチームを支えるほど、サポーターとの関係が重要視されているバルセロナ。近年、胸スポンサーを入れるようになったが、それまではサポーターの会員費と入場料収入でクラブは運営されていた。かつて、レアル・マドリーへ禁断の移籍をしたルイス・フィーゴが凱旋した時には、豚の頭が投げ込まれるほど熱狂的だ。 2017.10.12 22:45 Thu3
21世紀の出場試合数ランキング発表! 首位は1145試合のC・ロナウド、トップ10に日本人選手がランクイン
IFFHS(国際サッカー歴史統計連盟)が、21世紀で最もプレーした選手のランキングを発表。トップ10には日本人選手もランクインした。 様々な統計を行うIFFHS。2022年までのデータを集計し、21世紀に入ってからのプレーした試合数をもとにランキングを作成した。 対象となるのは、各国のリーグ戦やカップ戦、国際カップ戦、代表チームの試合も含まれ、全ての公式戦が対象になっている。 今回の統計では1000試合以上プレーした選手が3人に増加。首位は昨年と変わらず、サウジアラビアへ活躍の場を移したポルトガル代表FWクリスティアーノ・ロナウド(アル・ナスル)となり、1145試合を記録した。 2022年に1000試合を突破したのは、ブラジル代表DFダニエウ・アウベス(UNAMプーマス)とアルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(パリ・サンジェルマン)。アウベスは1033試合、メッシは1003試合となった。メッシはカタール・ワールドカップ(W杯)での試合で1000試合を超えたことになる。 そんな中、8位には日本人がランクイン。941試合に出場したMF遠藤保仁(ジュビロ磐田)だ。遠藤はガンバ大阪と磐田、そして日本代表での試合が21世紀に含まれている。なお、アジア人でも唯一となり、900試合以上を達成しているのも12名となっている。 ◆21世紀の出場試合数ランキング 合計(国内リーグ/国内カップ/国際カップ/代表) 1位:クリスティアーノ・ロナウド(ポルトガル) 1145試合(651/93/205/196) 2位:ダニエウ・アウベス(ブラジル) 1033試合(620/115/172/126) 3位:リオネル・メッシ(アルゼンチン) 1003試合(559/102/170/172) 4位:イケル・カシージャス(スペイン) 974試合(585/57/171/161) 5位:ジョアン・モウティーニョ(ポルトガル) 958試合(563/107/142/146) 6位:ズラタン・イブラヒモビッチ(スウェーデン) 948試合(603/72/152/121) 7位:ルカ・モドリッチ(クロアチア) 947試合(569/69/146/162) 8位:遠藤保仁(日本) 941試合(606/117/66/152) 9位:チャビ・エルナンデス(スペイン) 937試合(536/95/174/132) 10位:セルヒオ・ラモス(スペイン) 935試合(534/70/151/180) 11位:アンドレス・イニエスタ(スペイン) 933試合(552/98/152/131) 12位:ロジェリオ・セニ(ブラジル) 904試合(675/71/149/9) 2023.01.12 12:45 Thu4