W杯の選手枠増が日本代表にもたらす影響は? プラス3名に入り込むのは誰だ/日本代表コラム

2022.06.24 12:50 Fri
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史上初の冬開催となるカタール・ワールドカップ(W杯)。ヨーロッパのシーズン真っ只中に行われることもあり、出場する選手たちをはじめ多くの関係者のなかに困惑もあるはずだ。

コンディション調整の仕方、シーズンの戦い方、そしてW杯後の戦い方など、それぞれの思惑もあるだろう。

そんな中、23日に国際サッカー連盟(FIFA)が、カタールW杯に向けた新たな変更点を発表。チームの登録人数がこれまでの23名から26名に増加したのだ。

これは新型コロナウイルス(COVID-19)がいまだに終息に向かわないなか、選手たちに感染者が出る可能性も考慮したもの。また、5人交代というルールを継続することから、枠を拡大することとなった。

たった3名と思う人もいるかもしれないが、この3名があるかどうかでは大きくチームの戦略も変わってくる。また、15名がベンチ入りできるということは、ケガや出場停止がなければフルに全員を試合で起用できるという状況なだけに、監督としても幅が広がるはずだ。

そこで、今の日本代表が26名で編成されるとしたらどのような影響があるのか予想してみた。




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2試合で見えた個々の差…日本代表W杯メンバー26名に入るのは?現時点でのスタメン候補は?/日本代表コラム

カタール・ワールドカップ(W杯)まで残り2カ月を切り、メンバー選考前の最後の2試合が終了した。 今回のドイツ遠征には30名が招集。初戦のアメリカ代表戦を終えた段階で、DF冨安健洋(アーセナル)がクラブ事情で離脱。またそのアメリカ戦で背中から落下し、前半のみのプレーでピッチを後にしていたGK権田修一(清水エスパルス)がケガで離脱した。 28名となった中、エクアドル代表と27日に対戦。結果はご存知の通り0-0のゴールレスドロー。日本は最後の2試合を1勝1分けで終えた。 森保一監督は、アメリカ戦、エクアドル戦でスタメンをそう入れ替えし、結果として30名中26名を起用。ピッチに立てなかったのは、GK川島永嗣(ストラスブール)、GK谷晃生(湘南ベルマーレ)、DF瀬古歩夢(グラスホッパー)、MF旗手怜央(セルティック)の4名となった。 瀬古に至っては2試合連続でベンチ外となり、旗手はエクアドル戦でベンチ入りも起用されないという状況。ともにクラブチームではレギュラーとしてプレーしているだけに、代表のピッチに立てなかったことは悔しさが残ったはずだ。 今回の2試合は[4-2-3-1]を採用し、森保監督が就任当初から最終予選の途中まで使っていたシステムで戦った。トップ下を明確に置くシステムにし、1トップとの距離を縮めること、そしてボランチを2枚にして守備の強度を保ちながら、中盤を支配して押し上げていく戦い方となった。 アメリカ戦では相手がボールを繋いできたこともあり、プレスがハマって攻撃に出る時間が長かった。一方のエクアドル戦は、相手が中央を固めたことでボールを縦に入れられず、サイドに展開した際にはすぐに寄せてボールを奪われるという状況に。相手のコンディション等もあるが、全く違った展開となる2試合だった。 今回の2試合で代表活動での選考は終了。あとはクラブチームでの残り期間の活躍や成長がメンバー入りを左右することになるが、改めてこのタイミングで26名を考えてみたい。 <span class="paragraph-title">◆GKは3名、3人目をどういう位置付けにするかが問題</span> 26名に今大会は枠が広がっているが、考え方は変わらないはず。GK3名に各ポジション2名、そこにどう3名を加えるかだ。GKを4名にするという選択肢はまずないだろう。 まず、最終予選を通じてゴールを守り続けていたGK権田修一(清水エスパルス)は当確と言って良いだろう。クラブの結果が伴わないことはあるが、GK1人の責任とは言えない。また、今回はケガでの離脱となったが、重傷でなければ、間違いなく選ばれるはずだ。 そして2人目は、今回の2試合で見てもわかる通り、現段階ではGKシュミット・ダニエル(シント=トロイデン)と見て良いだろう。突如の出番となったであろうアメリカ戦は危なげないプレーを見せると、エクアドル戦は何度も決定機を阻止。極め付きはPKセーブと、高いパフォーマンスを見せた。シント=トロイデンでも正守護神を務めており、あとはいかにチームを勝利に導いて本番を迎えられるか。1番手になるチャンスもゼロではない。 問題の3人目だ。精神的支柱という役割を求めるか、未来に繋げる若手の枠にするのか。この選択は監督の好みとチームの状態にもよるだろう。精神的支柱と考えれば、過去3大会守護神としてプレーしたGK川島永嗣(ストラスブール)だ。もちろん戦力としても考えられるが、その経験値は計り知れない。一方で、若手枠と考えれば、今回招集されていたGK谷晃生(湘南ベルマーレ)、GK大迫敬介(サンフレッチェ広島)、GK鈴木彩艷(浦和レッズ)というところだろう。東京五輪を経験した3人だが、W杯という舞台を知っておくことは将来にも繋がる。森保監督の判断にもよるが、ベスト8以上を目指す戦いをすると考えると川島を選択するのではないかと見る。 <span class="paragraph-title">◆最終ラインはSB&CB合計8名で決まりか、プラスするなら…</span> 最終ラインだが、[4-1-4-1(4-3-3)]を採用しても[4-2-3-1]を採用しても4バックであり、オプションの3バックを採用した場合でも、招集人数に変化はないと見る。 特にユーティリティ性を確認できたことはプラスであり、多くの人数を連れていく可能性は限りなく低いだろう。各ポジション2名に加えて、ユーティリティさを生かしたいところだ。 右サイドバックはDF酒井宏樹(浦和レッズ)とDF山根視来(川崎フロンターレ)で間違いないだろう。何人かがこのポジションの候補に上がっていたが、この2人を超える選手は現れなかった。DF菅原由勢(AZ)やDF橋岡大樹(シント=トロイデン)も代表には招集されているが、前述の2人を超える存在にはなっていない。さらに、アメリカ戦でも試したが、DF冨安健洋(アーセナル)がクラブで右サイドバックを務めており、問題なくプレーできることがわかった。3枚目を用意する必要ないと言える。 そして左サイドバックだがDF長友佑都(FC東京)とDF中山雄太(ハダースフィールド・タウン)は確実と言って良いだろう。不要論も一時は囁かれた長友だが、エクアドル相手には好守を見せており、戦えることを証明した。中山もそつのないプレーを見せ、クラブではセンターバックとしてもプレーしているため、ユーティリティ性は持っている。 そしてセンターバックは、前述の冨安にDF吉田麻也(シャルケ)、DF谷口彰悟(川崎フロンターレ)は確定と言って良いだろう。吉田はスプリントで怪しい場面が見られることはあるが、キャプテンとしての振る舞い、そして要所での対応力は光るものがある。冨安は高さ、ビルドアップ能力、カバーリング、対人守備と全てを高い能力でこなし、左右の足で遜色なく蹴れることも重要。ビルドアップだけでなく、フィードでも攻撃の起点になることが期待される。谷口は、エクアドル戦のPKにつながるファウルの印象は悪いが、それ以外の部分ではカバーリングや予測など高いレベルで行っている。ファウルとなったのは世界との差であり、谷口にとって1番の課題でもある部分。この1年半で海外との差を徐々に埋めているだけに、エクアドル戦を反省してさらに上を目指してもらいたい。 そこで余った1枠だが、ケガの回復次第という見方が出てくる。順当に行けば、DF板倉滉(ボルシアMG)で間違いない。クラブでのパフォーマンスを見ても、センターバックでは最も良い動きを見せていたが、今回はケガで招集外。クラブはW杯まではプレーさせないということを明言しているだけに、回復するかどうかはギリギリということだろう。板倉が間に合わなければDF伊藤洋輝(シュツットガルト)になるだろう。代表歴は浅いものの、落ち着いたプレーを見せ、シュツットガルトでのパフォーマンスも高い。センターバックだけでなくサイドバックでもプレーでき、高さがあり、左利きということもプラス材料だ。板倉が間に合ってもプラス枠で呼ばれる可能性はありそうだ。 <span class="paragraph-title">◆激戦の中盤、9月の2試合で明暗分かれる</span> 中盤は非常に難しい人選になると言える。特にシステムがどうなるかによっても変わってくるが、基本的にはボランチに4枚、右サイドに2枚、左サイドに2枚、トップ下2枚という考えはまずあるはずだ。 ボランチだが、MF遠藤航(シュツットガルト)、MF守田英正(スポルティングCP)は当確と言える。アメリカ戦のパフォーマンスを見ても、世界と戦う強度を持つ2人は日本がベスト8に進みたければ欠かせない。そして、残り2枠はMF田中碧(デュッセルドルフ)とMF柴崎岳(レガネス)になるだろう。エクアドル戦でコンビを組んだ2人だが、良いパフォーマンスを出せたとは言い難い。特に相手が対応してきたことで難しい試合にはなったが、そこを攻撃面で打開することが求められていたはず。守備の強度は遠藤、守田に劣るだけに、攻撃面の貢献が見たかったが、そこは発揮できなかった。ただ、問題なく選ばれるだろう。 そして右サイドは日本をW杯に導いたと言っても良いMF伊東純也(スタッド・ランス)とMF堂安律(フライブルク)、左サイドはMF三笘薫(ブライトン&ホーヴ・アルビオン)とMF久保建英(レアル・ソシエダ)となるだろう。この4名はクラブでのパフォーマンス、代表でのパフォーマンスを加味すると順当な選出と言える。特に堂安と久保は今シーズンの移籍が今のところ正しいものとなっており、クラブでのパフォーマンスが上がっている。短期間での成長、覚醒も考えられるだけに、レギュラーポジション争いにわって入る活躍を残り2カ月で見たいところだ。 問題はトップ下。まずMF鎌田大地(フランクフルト)は確実だろう。フランクフルトでのプレーを見ても、鎌田を外す理由はない。[4-2-3-1]というシステムを機能させるという点でも、鎌田の存在は非常に重要となり、[4-1-4-1(4-3-3)]でも問題なくプレーが可能。適任と言えるだろう。そして、もう1人はMF南野拓実(モナコ)となると予想しておくが、今のパフォーマンスでは値しないと言っても良い。特にエクアドル戦のパフォーマンスは最低であり、コンディションが悪かったのか、ハードワークやサポートという点でも機能せず。モナコでも散見されるボールの持ち過ぎによるロストも最も多かった。この低調なパフォーマンスを続けるようでは、正直当落線上と言っても良いが、どこまで復調するかが気になる。 他の候補としてはMF原口元気(ウニオン・ベルリン)、MF旗手怜央(セルティック)が挙げられる。原口はチームがブンデスリーガ首位に立っている中、出場機会が減少。ただ、充実感はあるようで、トップ下、サイド、インサイドハーフ、ボランチとユーティリティ性は高い。特に献身性の部分では随一であり、W杯を戦う上では欲しい存在だ。そして、今回の活動で出番をもらえなかった旗手も気になる存在。セルティックでのパフォーマンスを見る限り、起用されなかった理由は不明と言える。ユーティリティ性も高く、調子も悪くないだけに、クラブでのアピール次第では逆転招集はあると予想する。 <span class="paragraph-title">◆1トップを誰にするのか、調子?コンディション?実績?</span> そして問題の1トップ。今回は2名を選出したい。 アメリカ戦ではFW前田大然(セルティック)が先発し、FW町野修斗(湘南ベルマーレ)が途中出場。エクアドル戦ではFW古橋亨梧(セルティック)が先発し、FW上田綺世(セルクル・ブルージュ)が途中出場した。 この4人の中でインパクトを残したのは上田。エクアドル戦で難しい流れになっていたところ、後半から出場して起点となっていた。ゴールやアシストという特徴は出せなかった、この2試合を見れば一番好印象だった。 また、町野は世界との差を痛感しただろう。特に相手というよりも、日本代表というチームにはまだフィットしていない。EAFF E-1サッカー選手権では国内組の代表でプレーしたが、海外組だらけの中に入ると、準備や判断のスピードが足りていないことが明白だった。もちろん、今後の伸び代、今回の経験での飛躍的な成長も可能性があるが、現時点では厳しい。 一方で、セルティックの2人は難しい立ち回りを任されたとも言える。古橋に至っては、チーム全体で攻めあぐねていた中、見せ場をあまり作れず前半で交代となった。前田もスペースを使ったプレーはできず、不完全燃焼のまま交代したと言える。ただ、序列として高くないことの表れとも見れるかもしれない。 そこで気になるのはエースであるFW大迫勇也(ヴィッセル神戸)とケガで離脱しているFW浅野拓磨(ボーフム)の状態。大迫は復帰していきなりチームを救う2ゴールの活躍と、ついに本来の輝きを取り戻した可能性がある。残り試合でいかにゴールを重ねてチームを残留に導けるかがポイントだろう。浅野はまずはケガの回復。本番には間に合うと森保監督は見解を示したが、コンディションがどこまで戻るのかも疑問だ。 順当に考えれば、大迫、そしてクラブで結果を残している古橋が選ばれ、上田が次点というところか。浅野次第でも様子は変わってくるだろう。 <span class="paragraph-title">◆スターティングメンバーはどうなる?</span> ここまでGK3人、DF9人、MF10人、FW2人と24名を選出。残り2名となっているが、MFに原口、FWに上田というのが今の見立てだ。もちろん、ケガやこの先のパフォーマンス次第だが、現時点でという事になる。 この2人であればシステムにも対応が可能。原口はインサイドハーフができるために[4-1-4-1(4-3-3)]でプレーができ、上田はどんなシステムでもプレースタイルを合わせられる利点がある。 では、誰がスターティングメンバーになるのか。システムごとに予想してみる。 【4-2-3-1】 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/fom20220928japan_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div> GK:権田修一 DF:冨安健洋、吉田麻也、板倉滉、長友佑都 MF:遠藤航、守田英正 MF:伊東純也、鎌田大地、久保建英 FW:大迫勇也 【4-1-4-1(4-3-3)】 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2022/fom20220928japan_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div> GK:権田修一 DF:冨安健洋、吉田麻也、板倉滉、長友佑都 MF:鎌田大地、遠藤航、守田英正 FW:伊東純也、大迫勇也、久保建英 どちらのシステムも同じメンバーで並びを変えただけではあるが、この11名が現時点でのベストな11人だと予想する。 右サイドバックに冨安を配置しているが、板倉が回復して問題ないことが前提。難しい場合は、酒井を右サイドバックに置き、冨安はセンターバックで起用した方が良い。 酒井は今シーズンはケガでの離脱が増え、フル稼働することはなかなか難しい。冨安も昨季からケガに悩んでいたが、回復する時間をしっかりと取れていることが大きい。世界のアタッカーをクラブで体感していることはW杯の舞台で大きな力となるはずだ。 中盤の構成も、アメリカ代表戦のメンバーが中心となっており、鎌田をトップ下、左サイドは南野や三笘ではなく久保が適任と考える。三笘はやはり後半から相手の隙を突いていくことでより高いパフォーマンスを見せられるはず。久保は長い時間プレーさせた方が特徴を出せる選手だけに、久保が先発になると考える。 そして1トップは大迫の復活。苦しいシーズンを送ることになっているが、それも全てはW杯のため。神戸が苦しい中、この時期まで復帰を伸ばしたことは、先を万全に戦うことを見越してだと信じたい。残りの1カ月程度でゴール量産に期待したい。 いずれにしても、現時点での評価であり、この先の2カ月で変化することは大いにある。ただ、移籍をした選手も多い中でのこの2試合でのパフォーマンスは、明らかに差が出ていた部分もあった。本人がそれを残り2カ月でどうするのか。リーグ戦にも注目してみていく必要がある。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2022.09.28 22:22 Wed
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変化が見られた[4-2-3-1]、あと1試合で何を試し何を見せるのか/日本代表コラム

カタール・ワールドカップ(W杯)の開幕まで2カ月を切った中、日本代表はリスタート。メンバー発表前のラスト2試合に臨んでいる。 ドイツへ遠征した日本は、23日にキリンチャレンジカップ2022でアメリカ代表と対戦。結果は2-0で勝利を収めることに成功した。 アメリカが主軸選手をケガで書いていたこと、そして平均年齢が24歳と経験が浅かったことなど、数々のエクスキューズはあるが、相手に何もさせずに勝利できたことはプラス材料だ。 あまり手応えのない試合だったようにも見えるが、日本にとっては色々な発見があったと言える試合ではなかっただろうか。しっかりと本番に向けた準備を進められている印象があった。 <span class="paragraph-subtitle">◆システムの幅</span> この試合、森保一監督は[4-2-3-1]のシステムを採用して臨んだ。元々使っていたシステムだったが、アジア最終予選で結果が出ないという事態を受け、[4-1-4-1(4-3-3)]にシステムを変更。これが結果的にハマり、本大会の切符を掴んだ。 [4-1-4-1(4-3-3)]に変更してからは基本システムが変わった日本。中盤はアンカーに遠藤航(シュツットガルト)、インサイドハーフに守田英正(スポルティングCP)と田中碧(デュッセルドルフ)を配置。ボランチタイプの3人を中盤に並べ、1アンカー2インサイドハーフとも、3ボランチとも言えるシステムで戦った。 中盤の強度が上がり、ボール奪取の数も増え、攻撃は右サイドの伊東純也(スタッド・ランス)を軸に組み立てていった。 ただ、これは急場凌ぎの結果であり、結果が残ったという事実があるだけであり、日本代表の選手の構成から考えると最適とは言い難いシステムでもあった。 その森保監督は、6月の日本代表4試合で[4-1-4-1(4-3-3)]を継続。ただ、インサイドハーフに原口元気(ウニオン・ベルリン)、鎌田大地(フランクフルト)を配置するなど、選手を変更して試すことに。また、キリンカップのガーナ代表戦では[4-2-3-1]に戻し、堂安律(フライブルク)、久保建英(レアル・ソシエダ)、三笘薫(ブライトン&ホーヴ・アルビオン)を2列目に並べ、ダブルボランチを採用していた。 また、3バックも試し、[3-4-2-1]の形もトライ。最終予選を終えたことで、本番に向けて準備を進めていたが、アメリカ戦で辿り着いたのは[4-2-3-1]だった。 <span class="paragraph-title">◆変化が見られた[4-2-3-1]</span> ただ、この[4-2-3-1]も以前のものとは異なって見えた。配置こそ変わらずも、[4-1-4-1(4-3-3)]で戦って来たことが非常に生きていた。 まず、ボランチでコンビを組んだ遠藤と守田は横並びになったことで、よりコンビでのバランスを取ることに成功。その結果、よりボールを奪いに行く強度を高めることに成功した。互いにボールを奪い、時には2人で囲むというプレーも見せ、ドイツのデュエルキングとポルトガルの名門でレギュラーを張る2人の高いパフォーマンスが見られた。 さらに変化を感じたのは2列目の選手の意識だ。元々強度の高さを求める森保監督であったが、この試合で2列目に入った伊東、鎌田、久保の3人のプレスバックは非常に効いていた。 これは[4-1-4-1(4-3-3)]で生き残るために求められたものであることに加え、スタッド・ランス、フランクフルト、ソシエダとそれぞれのクラブで攻撃的なポジションを務めながら、クラブでも求められる能力だった。 それぞれが、代表、クラブで磨いたものであり、求められるものに応えようとした結果、中盤の5枚が非常にタイトな守備を見せ、アメリカを機能させなかった。 加えて言えば、1トップに入った前田大然(セルティック)も同様だ。スピードを生かしたプレス、ボール奪われた後のプレスバックと守備で貢献。攻撃面では今ひとつだったが、セルティックで求められているプレーの一端は見せられたと言える。 チームとして積み上げて来たもの、そしてクラブで各選手が成長したことで、その精度が高まったことは、アメリカ戦でも感じられた。 <span class="paragraph-title">◆増やしていきたいオプション</span> そしてアメリカ戦ではオプションも試すことができた。 病み上がりの酒井宏樹(浦和レッズ)は非常に高いパフォーマンスを見せたが、ハーフタイムで交代。そこで右サイドバックに入ったのは、山根視来(川崎フロンターレ)ではなく冨安健洋(アーセナル)だった。 これまでであれば山根との交代になっていたはずだが、クラブでサイドバックを務める冨安を右SBに配置。その冨安は、伊東との縦関係で何本か良いパスを供給。さらに、アーセナルで培ったビルドアップのうまさも随所に見せた。久々のCBでも高いパフォーマンスを前半見せていたことを考えると、2つのポジションを高いレベルで務められるという武器を手にしたと言える。アメリカ戦のみでチームを離れたが、あとはケガをせずに2カ月を過ごしてもらいたいところだ。 また、流れの中だと感じられるが、攻撃時には遠藤が降りての3バックになる形も何度か見られた。冨安と左サイドバックの中山雄太(ハダースフィールド・タウン)が高い位置を取り、[3-4-3]のような形になる場面があった。相手の陣形を崩すこと、試合中に対応するという点では、進化しているとも言えるだろう。 他にもトップ下でありながらフランクフルトでのパフォーマンスと同様にボックス内に積極的に飛び出す姿も見られ、最も得点チャンスを作っていたのが鎌田だった。それぞれが、しっかりと戦い方を理解し、クラブで積み上げたものを発揮できたという点で、良い試合になったと言える。 残すは27日のエクアドル代表戦。本大会ではドイツ代表、コスタリカ代表、スペイン代表と実力国と対戦するだけに、相手の力はこんなものではない。まだまだ精度を上げる必要はあるが、ひとまずはポジティブな変化が見られた試合と言って良いだろう。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2022.09.24 23:10 Sat
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4試合で掴んだ手応えと浮き彫りになった課題、擦り合わせたいフィニッシュの形/日本代表コラム

「毎試合選手を変える中で戦うことは選手たちにとっては難しいこと、選手たちにプレーしてもらったので、選手たちの責任でこういう結果になったわけではないと思います」 試合後にこう語ったのは日本代表の森保一監督だ。14日に行われたキリンカップサッカー2022決勝のチュニジア代表戦で優勝を目指したが、結果は0-3の惨敗に終わった。 20年前の同じ6月14日、日韓ワールドカップ(W杯)のグループステージで対戦した日本とチュニジア。当時は同じ大阪でも長居スタジアムでの椎亜だったが、0-2で日本が勝利しベスト16に進んだ。 20年の時を経ての再戦。偶然の一致とはいえ、20年ぶりの同一カードということで注目も集めた中、日本は良さを見せることなく終わった。 6月の4連戦はこれで2勝2敗で終わったわけだが、カタールW杯に向けたアジア最終予選で苦戦を強いられた日本にとっては、全くもってテストができないまま出場権をなんと確保した状況。この4試合で多くのことを試したかったというよりも、試さなければいけない状況だった。 そのことは指揮官も選手たちも重々承知。各取材でも多くの選手たちも口にしていた。 その意味では、この4試合は有意義に過ごせたと言えるだろう。まずは予選の苦境を救う形となった[4-1-4-1]のシステムにおいて、ほぼ固定のメンバーだった中で、様々な組み合わせを試すことができた。 また、離脱者、不参加者の関係もあったものの、右サイドバックで長友佑都(FC東京)を起用。さらに、左サイドバックでは初招集の伊藤洋輝(シュツットガルト/ドイツ)を3試合で起用することができた。 GKに関しても権田修一(清水エスパルス)がほぼ1人で守ってきた予選だったが、シュミット・ダニエル(シント=トロイデン/ベルギー)を2試合、川島永嗣(ストラスブール/フランス)を1試合で起用することができた。 多くのトライを行い、多くのパターンを試し、戦い方のバリエーションを増やすことや、選手の組み合わせによるパフォーマンスの変化などを見て取ることはできた。 ただ、最後のチュニジア戦では、そのツケを払うことも知らされたが、特に残念だったのは攻撃陣だったと言えるだろう。 <span class=“paragraph-title”>◆頂けないミスだが起こり得ること</span> まずチュニジア戦で目がいくのは失点シーンだろう。1点目は伊藤が被った中で相手にボールを奪われると、スルーパスを通される。吉田麻也(サンプドリア/イタリア)がなんとか戻って対応、板倉滉(シャルケ/ドイツ)もカバーに入ったが、滑った吉田が相手と接触。PKが与えられ決められてしまった。 2点目は相手のGKから。フィードが流れ、吉田と板倉はGKシュミット・ダニエルに任せたボールだったが、シュミット・ダニエルが反応できずに前に出てこなかったために相手に奪われ、そこからゴールを許した。 この2失点に関してだが、1点目は吉田のミスといえばミスだが、起こらないとはいえないこと。相手のレベルが上がれば、あのようなシーンは起こる。対応のまずさは指摘できるが、起こり得るミスだ。 2点目に関しては、完全に意思疎通が上手くいかなかったということ。「明らかに防げる失点」とシュミット・ダニエルは振り返り、森保監督は「私自身が反省しなければいけない」と、GKをこれまで試せてこなかったことが生んだことだとした。 いずれにしても、この2失点は起こり得るものでもあり、簡単に防げたものでもある。それが出てしまったことはもちろん評価できないが、あえていうのであれば本番の前に出て良かったということだ。同じ場面があれば吉田は滑らないだろうし、シュミット・ダニエルは自分がキャッチに行くはずだ。 <span class=“paragraph-title”>◆敗れた2試合の問題は攻撃陣</span> もう1つ上げるとすればビルドアップのミス。今回の4試合のうち、最初の3試合で喫した3失点はいずれもビルドアップのミスからだった。ここに関しても、基本的な戦い方として、ビルドアップを放棄しては目標のW杯ベスト8は叶わないだろう。 長い時間守備をするということは本来はリスクが増えるというもの。どんな形でも点が入る可能性はあり、いくら全員で引いたからといって失点がないわけではない。 その点では、後方から繋いでいくということにトライすることは重要。ただ、それがスムーズにいけたかと言えば、そうでないシーンも多かった。それは選手の組み合わせを試したことも影響がある。織り込み済みの状況で起こるミスは想定内。褒められることではないが、大きな問題ではない。 ただ、敗れた2試合の攻撃陣に関しては大きな問題と言って良いだろう。 ブラジル戦、チュニジア戦と無得点で日本は敗れたわけだが、この2試合は枠内シュートが「0」。攻撃陣が結果を残せなかった。 ブラジル戦は守備でよく耐えていた一方で、ブラジルの守備の前に歯が立たなかった印象だ。一方で、チュニジア戦は前半に伊東純也(ヘンク/ベルギー)が何度となく右サイドを仕掛け、鎌田大地(フランクフルト/ドイツ)、南野拓実(リバプール/イングランド)が決定機を迎えたが、鎌田は空振り、南野はオフサイドとゴールとはならなかった。 数が多かったわけではないが決定機もあった日本。後半も徐々に攻撃陣が停滞した中、左ウイングに入った三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ/ベルギー)が再三ドリブル突破。しかし、中央への折り返しはブロックされたり合わなかったりと決定機までは作れていなかった。 この試合も日本のミドルシュートは数える程。攻撃面では、苦しい戦いの時にゴールをこじ開けるという形が作れないという課題が明白となった。 <span class=“paragraph-title”>◆フィニッシュのイメージを共有できるか</span> ポイントとなるのはチャンスメイクの形ではなく、フィニッシュの形ではないだろうか。例えば、伊東や三笘のサイドの突破は、相手も警戒するほどの脅威があり、そこからチャンスを作るというのは日本の1つの形だ。 しかし、それはチャンスを作るところまで。ゴールを奪うということには繋がっていない。 一方で、ガーナ戦の1点目の久保建英(マジョルカ/スペイン)、堂安律(PSV/オランダ)、山根視来(川崎フロンターレ)の3人が絡んだゴールの形に始まり、三笘のクロスからのゴール、三笘の仕掛けからの久保のゴール、そして伊東のクロスから前田大然(セルティック/スコットランド)のゴールと、どれもゴールにつながる形が見えた崩しだった。 今回呼ばれたメンバーは、各々がクラブで得点を重ねている状況。その中でも得意なゴールパターンはある中で、今回の活動ではそこがどれだけt出せたかだ。 突破やクロス、コンビネーションとそれぞれが良いものであっても、最後にゴールを決めるという部分と繋がらなければ意味をなさない。トレーニング時間が取れない中で、そこを突き詰めるのは至難の業。個々人がクラブで磨き続け、周りがそれを共有して理解してプレーすることができるかどうか。9月の2試合では、その点をしっかりと見せてもらいたい。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2022.06.15 13:00 Wed
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パターンではなくキャラクター、柴崎岳の提言は日本の“伸び代”か/日本代表コラム

「5カ月で世界のトップと互角にすることは無理だと思います。日本の現状を考えても、それは最適なアイデアではないと思います」 そう口にしたのはMF柴崎岳(レガネス)。カタール・ワールドカップ(W杯)まで残り5カ月という短い期間で、世界のトップと互角に戦うには?と質問された時の答えだ。 高校2年生で日本屈指の強豪である鹿島アントラーズと契約し、その後プロとして活躍。クラブ・ワールドカップでは、レアル・マドリーを相手にゴールを決めるなどして世界にインパクトを与え、2017年1月に海を渡ってテネリフェへと移籍した。 その後、ヘタフェ、デポルティボ・ラ・コルーニャ、そしてレガネスとスペイン4クラブでプレーする柴崎は、日本代表としてのキャップも重ね、4年前のロシアW杯は主軸として4試合に出場。ラウンド16のベルギー代表戦では先制ゴールとなる原口元気(ウニオン・ベルリン)のゴールをアシストした。 世界を知る柴崎から出た言葉。決して悲観的になっているというわけではなく、現実を見て世界のトップトップと互角に戦おうという選択肢は無理なことだという冷静な分析だ。 日本は4年前の失意の敗戦もあり、W杯でのベスト16の壁を越えるという大きな目標へ、より一頭思いを強くしている。選手たちはさらにヨーロッパでプレーする機会が増え、日々トップクラブを体感。この4年間でも、選手たちが積み上げた経験値は相当な者だと言える。 しかし、改めて4年前のW杯のベルギー戦以来といえる強豪国との対戦となった6日のブラジル代表戦。スコアは0-1となり、守備面では確かに善戦していたが、その距離が縮まっているかといえば、ほんのわずかと言えるだろう。大きな差があることは、スコア以上に感じた方も多いはずだ。 ただ、日本はカタールW杯でドイツ代表、スペイン代表と世界のトップの強豪国との対戦が決まっている。これは紛れもない事実であり、この2カ国を超えることが、ベスト8への道となる。グループステージで当たらずとも、準々決勝では対戦するクラスなだけに、そのクラスの国に勝つということは必要となってくる。 では、柴崎はどう考えるのか。「何が起こるのか分からないのがサッカーで、今の自分たちの力、日本が持っている力をどう引き出して、相手とどう戦っていくかを探し続けていく」と、日本の力で対抗するための策を練ることが大事だとコメント。「可能性を見出していくことが大事」と、3試合を通じてのプランニングが大事だとした。日本は、初戦でドイツ、2戦目でニュージーランドかコスタリカ、3戦目でスペインと対戦。この3試合でどう勝ち点を取っていくかということだ。 その中で柴崎は日本の戦い方に提言をした。 「今は代表チームとしてある程度の形を持って守備も攻撃も自分たちの中でイメージを持ってできるようになっている反面、その型にハマりすぎるという危険性もある」 「とりわけ、そのパターンになってしまうと相手もそれを分かりやすく対応できる訳で。うちでいえばサイド攻撃だったり。ブラジル戦では中のコンビネーションは皆無で、どちらかというと外からでしか突破口を見出せなかったと思います」 ブラジル戦を観ていて感じた方も多いかもしれないが、日本は準備してきたいくつかの型をもって戦っていた。これは日本に限らず、どの国にもあることではあるが、その型を意識するあまり、個の特徴、特に交代で入る選手の特徴を生かしきれていない場面が多い。 柴崎はエースであり今回は不在のFW大迫勇也(ヴィッセル神戸)を引き合いに出し、「今までであれば大迫選手がメインでやっていて、彼のキャラクターと、(古橋)亨梧、(前田)大然、(上田)綺世のキャラクターは全く違います。この3人の中でも違うキャラクターがあって、彼らが出た時に同じサッカーが期待できるかというとそれはまた違うレベルの話です」とコメント、選手としての特徴が違うため、招集されている今回の古橋亨梧(セルティック)、前田大然(セルティック)、上田綺世(鹿島アントラーズ)を生かすプレーを見せられるようになる必要があるとした。 よりチームが良くなり、より世界に近づくために柴崎が考えているビジョン。ここまで、ハッキリと口にするのも、ブラジル戦でトップを体感し、まだまだ差があることを感じたからかもしれない。 森保一監督はこの柴崎の発言についてコメント。「ブラジルのようなレベルの高いチームに対して、アタッキングサードで形を作らせてもらえなかったことは事実」とトップ相手の苦戦を認めながらも、「今後多くチャンスを作るだけのベースとなるビルドアップの手応えを掴めたと思います」と、手応えも感じた部分があるとした。 また、「まずはダイレクトにゴールに直結するプレーをするというのが原点」と、日本代表としての戦い方のポイントを改めて語り、「早い選手を起用する、ポストプレータイプを起用するということではなく、中央で背後を突く、起点を作る、サイドから攻撃を仕掛けるというチームの戦術的共有認識として選手たちに働きかけたいと思います」と、選手のタイプではなく、チームとしての戦い方のベースを再認識させることが大事だとし、あくまでもゴールにすぐ向かうことが第一だとコメントした。 この言葉を受ければ、そもそも大迫のポストプレーありきという考えが間違っているということになる。もちろん前線でタメを作れる大迫のパフォーマンスは卓越しているが、そんな時間を作らずにゴールを奪えるのが一番ということ。そういった意味では、大迫も安泰ではなく、いかに効率良くゴールを奪えるかが重要視される。 ここまで起用されていないのは上田のみ。Jリーグでは圧倒的なパフォーマンスを見せている中で、残り2試合で何を見せるのか。古橋はかつての本拠地に凱旋、前田は2試合出場しビッグチャンスを逸して未だノーゴール。FW陣だけを見ても、それぞれの良さを出し、周りが引き出すことで大きな変化が生まれる可能性はある。時間が少ない中ではあるが、“伸び代”と捉えても良いかもしれない。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2022.06.10 11:45 Fri
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インサイドハーフの新たな可能性…原口元気、鎌田大地という選択肢が持つ意味/日本代表コラム

世界一のチームと言っても良いブラジルと対戦する日本代表。これまで12試合を戦い、2分け10敗と歯が立っていない。 しかし、ワールドカップ(W杯)開催の年に、それも大会に向けた準備が進んでいる段階で対戦するのは初めて。今まで以上に、豪華な主軸が顔を並べている。 カタールW杯では、日本はドイツ代表、スペイン代表と世界でも有数の強豪国とグループステージで同居している。いわゆる、“死の組”と言われても良いようなグループだ。 もう1チームはニュージーランド代表かコスタリカ代表かはまだ決定していないが、下馬評はドイツとスペインの勝ち上がりであることは間違いない。実力的に考えても当然の結果と言える。 しかし、その壁を打ち破るべく日本は準備。「ワールドカップでベスト8」という目標を掲げているが、その目標を達成するには遅かれ早かれ、世界の強豪国と対戦することにはなる。 その大きな2試合を前に、ブラジルと対戦できることは、現在地を測るという意味でも非常に大きい。そして、何が通用し、何が通用しないのか。どの戦い方ならば勝機が見出せるのかを見つけるにも良い機会と言えるだろう。 その中で1つポイントとして見たいのが、インサイドハーフの選択だ。 2日に行われたキリンチャレンジカップ2022のパラグアイ代表戦では、控えメンバーが中心となり、原口元気(ウニオン・ベルリン)と鎌田大地(フランクフルト)がインサイドハーフで起用された。 7大会連続7度目のW杯出場に黄信号が灯った日本は、それまでの[4-2-3-1]から[4-3-3]にシステムを変更。それに伴い、インサイドハーフには守田英正(サンタ・クララ)と田中碧(デュッセルドルフ)を起用。アンカーの遠藤航(シュツットガルト)との3人の中盤で守備の強度をあげ、中盤を制圧することに成功した。 この3人は、元々ボランチでプレーしており、守備の強度が高く、運動量も豊富。さらに、後方からのビルドアップの能力に長けており、ポジションを前後しながらも互いに補完しあい、チームとしてスムーズにビルドアップして流れを掴むことができていた。 ボールを握る時間が長くなるアジアでの戦いには確かに適しており、中盤で守備強度をあげ、奪って一気にカウンターという戦い方も合っていた。サウジアラビア代表やオーストラリア代表といったアジアの強豪に手こずることが多かった日本だが、[4-3-3]が成熟した結果、今まで以上にコントロールでき、アウェイでのオーストラリア戦初勝利でカタールW杯行きを決めたということからも、安定感が増したことはわかる。 ただ、世界の強豪と戦う上では、それだけでは物足りないと言える。 確かにビルドアップ能力だけでなく、守田も田中もポジショニングが優れていたり、それぞれの特徴を持っている。しかし、ボールを握る時間は強豪相手には確実に減る。さらに、ビルドアップも思うようにさせてもらえないだろう。中盤の強度という点では五分に近い形で戦える可能性はあるが、アジア仕様の人選と言える可能性もある。 そこで注目したいのがパラグアイ戦でプレーした2人。クラブではインサイドハーフでもプレーしながら、代表ではほとんど試されることがなかった。いや、試せる状況でもなかったと言えるのかもしれない。 ただ、原口はレギュラーとして1年間戦い、ウニオン・ベルリンはブンデスリーガで5位フィニッシュ。鎌田も決定的な仕事が増え、特に優勝したヨーロッパリーグでは数字も残していた。 この2人、今回の合宿ではトレーニングでも常にと言って良いほど横にいて、よく話したり絡んでいる姿を見た。さらに、クラブでの充実感から来るものなのか、顔つきがこれまでの代表活動とは違い、鎌田は自信がついたのかリラックスしながらも精悍な顔つきに、原口も闘志を秘めた良い顔をしていた。 その結果、パラグアイ戦で原口は2アシスト、鎌田は1ゴール1アシストを記録。インサイドハーフでもパフォーマンスが出せることを示しただけでなく、日本にとって新たなパターンを生み出す可能性を見せたのだ。 守田、田中に比べ、確実に前のポジションでのプレー経験が多い原口と鎌田は、攻撃面で圧倒的に違いを出せることを証明した。ボックス付近で絡むだけでなく、ボックス内にまで入っていくプレーを何度となく行い、ゴールに近いポジションでプレーするという、本来インサイドハーフに求められるプレーを見せた。 そこで言えるのが、戦い方を相手によって変えるために、インサイドハーフの組み合わせを変えるということだ。 ビルドアップ力に長け、守備の強度を高められる守田と田中、ボックス内でのプレーも厭わず、より攻撃に絡むことが得意な原口と鎌田。この4人が組み合うことができると大きな作用が生まれるはずだ。 パラグアイ戦の後半途中に選手交代の流れで鎌田と田中がインサイドで組む時間があった。田中は森田に比べてパスで局面を変えることができ、攻撃への判断が早いため、ボックス付近にポジションをとった鎌田を生かしていた。また、ミドルシュートでゴールを決めた田中だが、そのパスを送ったのは鎌田。互いの特徴を理解し、ポジションを取れれば、いつもと違う組み合わせでも結果を出せるのだ。 また、ボールを保持する時間が減り、ビルドアップも簡単に行かないことが想像される強豪国との対戦では、奪ってからのショートカウンターという選択肢もある。守備強度の高い2人を使って奪う力を増すのか、攻撃的にプレーできる2人を使って、よりカウンターの推進力を増すのか。最終予選では試せなかった戦い方のトライをぜひ見てみたい。 ブラジル相手にも攻撃タイプのインサイドハーフが通用するのかは、限られた時間帯でも見て見たいものだ。 《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》 2022.06.06 06:40 Mon
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