カンセロがPL優勝試合で自閉症の少年救う…混乱ピッチで父親との再会まで保護

2022.06.08 06:30 Wed
Getty Images
マンチェスター・シティのポルトガル代表DFジョアン・カンセロが、プレミアリーグ優勝決定後の混乱したピッチで、1人の少年の窮地を救っていたことが判明した。イギリス『マンチェスター・イブニング・ニュース』が報じている。
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シティは、先月22日に本拠地エティハド・スタジアムで行われたプレミアリーグ最終節のアストン・ビラ戦を3-2の逆転勝利で飾り、劇的な形でリーグ2連覇を達成した。
この優勝決定試合ではタイムアップを告げるホイッスルが鳴った直後に、興奮した多くのサポーターがピッチに乱入し、ゴールポストや一部設備の破壊や、アストン・ビラGKロビン・オルセンへの暴行事件が起きるなど、大きな混乱に見舞われていた。

そういった中、ホームサポーターのピッチ乱入によって自身も混乱に巻き込まれたカンセロだったが、1人の少年の窮地を救っていたことが判明した。

『MEN』が伝えるところによると、この試合を家族と共に観戦に訪れていた10歳のオリー・ゴードン君は、スタンドからピッチに侵入した周囲のファンを追いかけてピッチに入った際に父親とはぐれてしまったという。
さらに、オリー君は自閉症や統合失調症、その他の発達障害や協調運動障害を抱えており、この混乱でパニックを起こしたり、多くの人ごみの中で大人に押しつぶされて負傷するリスクをはらんでいた。

しかし、ピッチ内で自身に駆け寄ってきたオリー君の状況をすぐさま確認したカンセロが、ハグや頭にキスをする親愛の印を示して落ち着かせ、父親が見つけるまで周囲から保護したことで、家族は無事再会することができ、大事に至らなかったという。

そして、オリー君の母親であるローレンさんは、息子の窮地を救ったポルトガル代表DFへの感謝を伝えている。

「息子はあのときに突然走り出してしまったんです。自閉症で、危険や何かに気付かず、興奮して走り出してしまいました」

「特に最近は、父親とよくスタジアムに行っていました。私はテレビで見ていたら、夫がピッチを走っているのが見えたけど、そこにオリーはいなかった。私はパニックになり、夫と連絡を取ろうとしました」

「息子は、アストン・ビラのキーパーが1フィート先で殴られるのを見ていたわ。それはビデオで確認することができるはず。それで少し怖くなったのか、息子はカンセロを見て彼の方に向かったの」

「すると、カンセロは息子を引き寄せ、両腕でハグのような形で包み込み、息子の頭の上にキスをして、周囲の人々を押し戻そうとしてくれたわ」

「あっという間に終わったけど、人々はピッチ内で押し合っていました。そして、息子は怯えていました。息子は一人では行動できないので、監視していなければならないのですが、父親より先にピッチに入り、飛び出してしまったのが不運でした」

「カンセロはただ抱きしめるだけでなく、ずっと腕を回してくれたから、夫が到着するまでの時間ができたのだと思います。もし、カンセロがあの場にいなかったら…」

「カンセロの胸に押しつけられ、大勢の男たちに押し潰されながら。ピッチの上で一人でいる少年は、まったく別の話になっていたかもしれません」

「彼は叫びながら走り回り、この勝利を祝うべきだったのに、その代わりに立ち止まって小さな男の子を見守る時間を作ってくれました」
「オリーでさえ、『あの日、もしかしたら死んでいたかもしれない』って話していました、周りの人たちの大きさを考えたら、本当に死んでもおかしくない状況でした」

「あの日、彼が息子にしてくれたことに対して、心からの感謝の言葉しかありません」

ローレンさんのコメント通り、劇的なリーグ優勝に対する喜びを一時押し止めながらオリー君の保護を優先する素晴らしい判断を見せた心優しきカンセロには、最大級の賛辞を送りたい。

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