UEFAが2021-22シーズンからのアウェイゴール・ルール廃止を決定

2021.06.24 23:18 Thu
Getty Images
欧州サッカー連盟(UEFA)は、2021-22シーズンよりUEFA主催大会におけるアウェイゴール・ルールの廃止を発表した。

アウェイゴール・ルールは、主にホーム&アウェイ形式のトーナメントマッチにおいて2戦合計スコアで並んだ場合、アウェイで奪ったゴール数が多いチームを勝利とするルールだ。

1965年に導入された同ルールは、敵地での対戦時にアウェイチームがアンチ・フットボールとも取れる極端に守備的な戦い方を行うケースが多く、ゴールが大きな魅力とされる競技の特性上、エンターテイメント性が薄れることを危惧するなどの理由により採用された。
しかし、近年はそういった極端なケースが減り、新型コロナウイルス感染拡大の影響による、無観客開催などホームアドバンテージの低下、中立地開催におけるホームとアウェイの差がなくなったことを理由に廃止が検討されてきた。

そういった中、UEFAのアレクサンデル・チェフェリン会長は今回のアウェイゴール・ルール廃止に関して、全会一致での決定ではないものの、多くの希望を受けての決定であると説明している。
「アウェイゴールのルールは、1965年に導入されて以来、UEFAの大会には欠かせないものだった」

「しかし、その廃止の問題はここ数年、UEFAの様々な会議で議論されてきた。意見が完全に一致することはなかったが、多くのコーチ、ファン、その他のフットボール関係者は、その公平性に疑問を持ち、このルールの廃止を希望している」

また、同会長はアウェイゴール・ルールの廃止が攻撃的なフットボールを促すことに繋がると、その意義を強調している。

「このルールの影響は、本来の目的に反しており、特にファーストレグでは、相手に決定的なアドバンテージを与えるゴールを恐れるあまり、ホームチームの攻撃意欲を削ぐことになっている」

「また、とりわけ延長戦において、アウェイチームが得点したときにホームチームに2回の得点を義務付けるのは不公平だという批判もあった」

「最近では、ホームアドバンテージがかつてほど重要ではなくなってきていると言ってもいい。プレースタイルがヨーロッパ全体で一貫していることや、ホームアドバンテージの低下を招いた様々な要因を考慮し、UEFA執行委員会は、アウェイゴールがホームで決めたゴールよりも重みを持つことはもはや適切ではないという見解を採用し、正しい判断を下した」

なお、今回の決定はUEFAが主催する男子、女子、ユースのすべてのクラブチームのコンペティションで採用されることになる。

これまで多くのドラマを生んできたアウェイゴールの廃止はやや寂しいところだが、チェフェリン会長のコメントのようにホームチームのホームゲームにおける慎重な戦い、延長戦における不公平感は同ルールの大きな問題点となっていたことは事実だ。

これにより、トーナメントマッチにおける延長戦やPK戦の増加が見込まれるが、より公平な形での戦いが期待される。

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