森保ジャパンとシドニー五輪の類似点/六川亨の日本サッカーの歩み

2021.06.11 11:45 Fri
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五輪の男子サッカーにオーバーエイジ(OA)枠が採用されたのは、1992年のバルセロナ五輪からだった。当時のU-23日本はJリーグ誕生の前年ということもあり、澤登正朗(東海大)、相馬直樹(早稲田大)、名波浩(順天堂大)ら大学勢が主力だった。

しかし1次予選は突破したもののアジア最終予選では1勝1分け3敗で、6チーム中5位に終わった。当時は日本代表の監督だった横山氏が総監督を務め、山口監督を補佐する形だったが、基本的に1人の監督が日本代表を率いてW杯予選と五輪予選を戦っていた。

それというのもバルセロナ五輪以前は男子の五輪に年齢制限がなかったことと、日本がまず出場を目指したのはW杯ではなく五輪だったからだ。W杯は「手の届かない夢の舞台」と思っていた。
そうした風潮に変化が起きたのは、もちろんJリーグの影響もある。94年に日本代表の監督に就任した加茂氏は「W杯は夢見るものでなく出場するもの。そのためにはまず指導者が(出場を)目指さないといけない」と意識の変革を訴えた。

もう1つの変化が、2人の代表監督が誕生したことである。W杯を目指す日本と、五輪出場を目指すU-23日本。前者の監督は加茂氏で、後者の監督には西野氏が就任した。しかし当時のチームは、攻撃的な加茂監督の日本と、守備的な西野監督のU-23日本とタイプの異なるチームだった。
初めてプロの選手で挑んだ96年アトランタ五輪アジア予選で、U-23日本は準決勝で中東の盟主サウジアラビアを2-1で下して決勝戦に進出。上位3チームに与えられる五輪の出場権を28年ぶりにつかんだ。

そしてアトランタ五輪では初戦で優勝候補のブラジルを1-0で倒す「マイアミの奇跡」を演出。しかし2勝1敗と勝ち越しながら得失点差で3位となり、ベスト8進出を逃してしまった。

当時のチームにOA枠で23歳以上の選手を招集することは可能だったが、議論すらされなかったと記憶している。前園真聖や城彰二、GK川口能活ら若きスター選手が自力でつかんだ五輪切符である。そこに後から入って五輪に出場しようなどとは虫の良い話、といった雰囲気すら漂っていた。

当時のチームにOA枠を使うとして、改めて考えてみると、ラモス瑠偉は有力な候補と思うが、果たして中田英寿と両立できるのか。三浦知良と城の2トップは魅力的だが、高さのある高木琢也か、俊足の岡野雅行の方が攻撃の幅が広がるような気もする。

いずれにせよ、西野朗監督、山本昌邦コーチも含めてファミリー的な雰囲気のあるチームだっただけに、OA枠は考えられなかった。

日本が初めてOA枠を使ったのは00年シドニー五輪のトルシエ監督だった。トルシエ監督は前年の99年はU-20日本を率いてワールドユース(現U-20W杯)で準優勝を果たした。小野伸二、本山雅志、高原直泰、小笠原満男ら、その後は日本代表で活躍する選手が数多くいた。

彼らに、97年のワールドユースでベスト8入りした宮本恒靖や松田直樹らの融合したチームはアジア予選を苦もなく突破した。

そして本大会では経験豊富なGK楢崎正剛、DF森岡隆三、FW三浦淳宏の3人のOA枠も使い、32年ぶりにグループリーグを突破してベスト8に進出した。このチームの強みを一言で表すとしたら「継続性」ということになるだろう。

過去に例を見ない、1人の監督が3チームを率いたからだ。指導方法についてケチをつけるつもりはないが、99年にU-20日本を率いて準優勝、00年の五輪ではベスト8,そして02年日韓W杯でベスト16と、3大会で結果を残した。

こうして過去を振り返ってみると、当時のトルシエ・ジャパンと現在の森保ジャパンは共通点が多い。「1チーム2カテゴリー」で活動を続け、OA枠にも国際舞台、海外経験が豊富で数々の修羅場をくぐり抜けてきた3人を加えた。

まずは負けないこと。そのためには守備を安定させるというポリシーも似ている。12日のジャマイカ戦が終われば、誰が最終メンバーに残るかが注目されるだろう。こちらはこちらで楽しみたいと思う。

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