【2020-21ラ・リーガ シーズン総括】超WS選出の最優秀選手はM・ジョレンテ
2021.06.02 19:00 Wed
◆一時四つ巴の争いも、アトレティコが7季ぶりの戴冠
マドリードの2強、バルセロナ、セビージャと一時四つ巴の争いとなった今季のラ・リーガは、最終節までもつれ込んだレアル・マドリーとの激戦を制したアトレティコ・マドリーが7シーズンぶり11度目の優勝を果たした。
コロナ禍において緊縮財政を強いられた昨季3位のアトレティコは、MFトーマスがアーセナルに引き抜かれた穴を埋めるためMFコンドグビア、MFトレイラの2選手を補強した他、ユベントスに去ったFWモラタの穴埋めにバルセロナを追われたFWルイス・スアレスを補強。戦力的に大きな上積みはなく、下馬評は決して高くなかった。
だが、蓋を開けてみれば、開幕11戦無敗と近年稀にみる好スタートを飾り、戦術面においてもシメオネ監督が堅守速攻一辺倒だった戦い方に大きな変化を加え、[3-5-2]の可変式の布陣が完璧に機能。序盤戦はスアレスとFWフェリックスの2トップに加え、昨季は存在感が希薄だったDFエルモソやMFレマルといった選手たちが新たな役割で躍動。宿敵レアル・マドリーとの最初のダービーで今季初黒星を喫するも、苦手としていたバルセロナにシメオネ体制で初白星を挙げるなど、快進撃を見せた。
その後も攻守両面で抜群の安定感を誇ったロヒブランコスは、取りこぼしが目立つライバルを引き離して余裕の首位ターン。しかし、負傷者や新型コロナウイルスの感染者が目立ち始めた後半戦は相手の研究も進み、一転して苦しい戦いを強いられた。得点力の低下によってレバンテやアスレティック・ビルバオに競り負けるなど取りこぼしが目立つと、4月末には一時首位陥落の危機を迎えたが、バルセロナを破ったグラナダの好アシストによって辛くも首位を維持。シーズン最終盤は厳しい戦いが続いたものの、守護神オブラクや百戦錬磨のエースFWスアレスの勝負強い活躍によって接戦をモノにし、7シーズンぶりの戴冠となった。
そのアトレティコに2ポイント差及ばず、連覇を逃したレアル・マドリーはコロナ禍における戦力補強の不調、度重なる負傷者の影響が最後まで響いた。レンタルバックとなったDFオドリオソラ、MFウーデゴールの2選手を除き、優勝した昨季から新戦力補強ゼロに終わったジダン率いるチームは、2年目のFWアザールやFWヨビッチのフィット、FWヴィニシウスやFWロドリゴの覚醒を期待してシーズンに臨んだが、中盤以降に存在感を発揮し始めたヴィニシウスを除きその目論見が完全に裏目に出た。
マドリードの2強に次ぐ3位フィニッシュとなったバルセロナは、過去のFWビジャに続きスアレスの放出によってアトレティコの優勝をアシストする、屈辱のシーズンとなった。ただ、バルトメウ前会長の辞任、FWメッシの退団騒動と混迷を極めた中で最後まで優勝争いに絡んだことを考えれば、多額の負債は別として悲観すべきシーズンとは言い切れなかった。勝負弱いクーマン監督に限界は見えたが、MFデ・ヨング、MFペドリ、DFミンゲサ、DFデスト、MFイライクスといった若手の著しい成長に加え、加入2年目となったFWグリーズマンのフィットとチームとしての伸びしろは十分感じさせた。
ただ、マドリードの2強に10点差以上離された脆弱な守備、再三逃げ切りに失敗してきたゲームコントロールの改善は大きな課題だ。現時点ではクーマン監督の続投が濃厚で、すでに公式発表となったFWアグエロを含め、MFワイナルドゥム、DFエリック・ガルシアといったフリートランスファー組を含め、大幅刷新が見込まれるが、3シーズンぶりの覇権奪還に向けて取り組むべき課題は明確なだけにラポルタ会長主導の下で今夏の移籍市場での動きが重要となるはずだ。
メガクラブには及ばずもシーズン終盤まで優勝争いに絡んだ4位のセビージャは、ポジティブな形でシーズンを終えた。シーズン序盤は3連敗を喫する苦しいスタートとなったが、今年に入って7連勝を飾るなど後半戦に入って本領発揮。昨季同様の堅守に加え、主砲エン=ネシリやMFスソ、MFラキティッチらを中心とする攻撃も徐々に機能。最終的には攻守両面で安定した戦いぶりをみせ、クラブ史上最速で来シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)出場権を手にした。
ヨーロッパリーグ(EL)とヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)争いは5位レアル・ソシエダ、6位ベティスがEL出場権を獲得。また、当初7位でECLに回る予定だったビジャレアルは、今季のELで初優勝を飾ったことで、来季CL出場権を手にしている。
ソシエダはFWイサクやFWオヤルサバル、MFメリノに、百戦錬磨のMFダビド・シルバを加えた多彩な攻撃と堅守を武器に序盤戦の主役となったが、中盤戦での不調が痛恨に…。ベティスは智将ペジェグリーニが卓越した手腕を発揮し、多くの接戦をモノにした。そして、得失点差0にも関わらず、EL出場権を確保した。ビジャレアルは負傷者の多さやエメリ監督の手堅過ぎる采配の影響で引き分けが目立ったものの、絶対的エースFWジェラール・モレノの奮闘もあって上々の1年目となった。
熾烈を極めた残留争いではMF乾貴士、FW武藤嘉紀を擁する最下位のエイバル、FW岡崎慎司を擁する18位のウエスカが19位のバジャドリーと共に無念の降格となった。経験豊富な3選手に関してはチームを残留に導く働きが期待されたが、いずれも出場機会に恵まれず、消化不良の1年に。そして、3選手共に今季限りでの退団が決定的だ。
また、レアル・マドリーからのレンタルで、前半戦をビジャレアル、後半戦をヘタフェで過ごしたMF久保建英は、いずれも守備の強度を最優先とする指揮官との相性の悪さが重なり、ベンチを温め続ける苦しい1年に。それでも、不遇をかこったヘタフェでは第37節のレバンテ戦でチームを残留に導く今季リーグ戦初ゴールを決めて、最後の最後に結果を残した。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆MFマルコス・ジョレンテ(アトレティコ・マドリー)

新生アトレティコを体現した万能型MF。スタッツやパフォーマンスの質だけを見れば、メッシやベンゼマに分があるが、守護神オブラクや主砲スアレス、主将コケと共にアトレティコに悲願のタイトルをもたらしたM・ジョレンテをMVPに推したい。
昨季後半戦にセカンドトップにコンバートされ、一躍ブレイクを果たした26歳は、可変式の[3-5-2]をメインシステムとして採用した今シーズンにより絶対的な主力に成長。セカンドトップや右サイドハーフ、インテリオール、ピボーテ、サイドバックと状況に応じて複数のポジションをこなし、驚異的なアスリート能力を生かした豊富な運動量と球際の強さを遺憾なく発揮した。とりわけ、攻撃では“スペースをアタック”する絶妙なスプリント、飛び出しで決定機に関与し、いずれもキャリアハイとなる12ゴール11アシストを記録。その溢れる熱量や勝負強さを含め、際立つ存在感だった。
★最優秀監督
◆ディエゴ・シメオネ(アトレティコ・マドリー)

就任9年目を迎えた“不動”の指揮官が進化を遂げて7年ぶりのタイトルをもたらした。これまで一貫して中盤フラットの[4-4-2]という極端な堅守速攻スタイルを使い続けたアルゼンチン人指揮官だが、今季途中から[3-5-2(3-4-2-1)]、[4-3-3]とも形容できる可変式の布陣を採用した。
これまででは考えられないコケのワンアンカーや、レマル、フェリックスのインテリオール起用など、よりボールを保持して遅攻においても相手を崩し切るゲームプランを導入し、シーズン序盤はこれまでの得点力不足が嘘のように複数得点を奪って勝ち切る試合が目立った。その後は相手の分析や主力の離脱で得点力不足に陥った挙句、自慢の堅守に綻びが見え始めたものの、シーズン終盤戦ではMFカラスコやFWコレアらの奮起もあり、攻守のバランスを取り戻し、見事にレアル・マドリーやバルセロナの猛追を振り切った。
【期待以上】
★チーム
◆セルタ

2年連続の17位から8位に大躍進。FWアスパスを中心とする攻撃陣を中心にトップハーフのクラブに近い戦力を誇りながらも、直近2シーズンは降格圏ギリギリの17位と低迷が続いたガリシアの名門。今シーズンも序盤から低迷し、昨年11月にはオスカル・ガルシア前監督を解任。今季も残留争いの主役を担うかに思われた。だが、クラブOBであり、今シーズン途中までブラジルのセリエAで優勝争いを演じていたインテルナシオナウを率いていたコウデット新監督を招へいすると、この監督交代がチームを激変させた。
2トップにサンティ・ミナとアスパス、中盤にノリート、デニス・スアレス、ブライス・メンデスというボールプレーヤーを並べ、アンカーに今季ベストイレブン級の存在感を放ったタピアを配した[4-1-3-2]の布陣をメインシステムに採用すると、就任直後の4連勝、シーズン終盤の5連勝と2度の大型連勝を飾るなど、自慢の攻撃力を武器に多くの勝利を積み上げた。また、バルセロナやビジャレアルを破り、アトレティコと引き分けるなど、上位陣相手にも堂々とした戦いぶりを見せた点も高く評価したい。
★選手
◆MFペドリ(バルセロナ)

加入1年目で多くのクレ、フットボールファンを魅了した驚異の18歳。昨夏、ラス・パルマスから17歳で世界屈指の名門にやってきた攻撃的MFは、、祖父と父がバルセロナのペーニャの会長を務める血筋のなせる業か、マシア出身者と見まごうばかりの戦術理解ですぐさまトップチームのスタイルに順応した。
シーズン序盤は左右のウイングが主戦場ということもあり、その才能の片りんを窺わせるプレーを見せるに留まったが、チームが[4-3-3]、[3-5-2]に布陣を変更すると、本職のインテリオールでその真価を発揮。卓越したポジショニング、判断力、テクニックを武器に、自身が憧れと語るイニエスタを彷彿とさせるプレーでバルセロナの攻撃をけん引した。プリメーラ初挑戦ながら37試合3ゴール3アシストという数字を残し、早くも大エースのメッシからも厚い信頼を寄せられている。来シーズンは攻守両面で更なるスケールアップを遂げ、フォーデンやハーランドといった次代のバロンドール候補の域に到達したい。
【期待外れ】
★チーム
◆エイバル

最下位で8シーズンぶりのセグンダ降格。2014-15シーズンの初昇格以降、6シーズン連続でプリメーラに残留してきたエイバルだったが、無念の降格となった。2015年6月に就任したメンディリバル監督の下、直近5シーズンは最低順位が14位と安定した戦いぶりで残留を果たしてきたが、今季は度重なる補強の失敗、代名詞のハイライン・ハイプレスが研究し尽くされたことで、開幕4戦未勝利と序盤から低迷。
さらに、主砲キケ・ガルシア、FWブライアン・ヒルの2選手以外が精彩を欠いたことで、リーグワースト2位の29得点と深刻な得点力不足に陥り、16戦未勝利という泥沼の状況に陥った。シーズン最終盤には2連勝を飾って奇跡の逆転残留の望みを繋ぐも、第37節のバレンシア戦での大敗によって降格が決定した。なお、乾は今季28試合1ゴール0アシスト、武藤は26試合1ゴール1アシストといずれも思うような結果を残せなかった。
★選手
◆MFミラレム・ピャニッチ(バルセロナ)

即戦力として活躍期待も失望の1年に。パフォーマンスや費用対効果を考えれば、アザールが2年連続の期待外れにあたるが、ピャニッチも期待を大きく裏切る選手の1人だった。
昨夏にユベントスとの間で実現したMFアルトゥールとの大型トレードは、FFP遵守を目的とした両クラブの帳簿上必要な移籍だったと言えるが、総額6500万ユーロの移籍金を考えれば、19試合0ゴール0アシストの数字は許容できないものだ。
ペドリ、デ・ヨングのハイパフォーマンスに、重鎮ブスケッツの復調によって難しい状況ではあったが、シーズン前半戦はCLを中心にアピールの場は十分に与えられており、31歳のベテランとしては言い訳できないところだ。シーズンを通してコンディションに問題を抱え守備の強度が足りず、持ち味の繋ぎの局面でもバルセロナのスタイル、メッシとの関係構築がうまくいかず、クーマン監督の信頼を得られなかった。2月末以降は出場機会すらまともに得られず、今夏の放出が決定的だ。
マドリードの2強、バルセロナ、セビージャと一時四つ巴の争いとなった今季のラ・リーガは、最終節までもつれ込んだレアル・マドリーとの激戦を制したアトレティコ・マドリーが7シーズンぶり11度目の優勝を果たした。
コロナ禍において緊縮財政を強いられた昨季3位のアトレティコは、MFトーマスがアーセナルに引き抜かれた穴を埋めるためMFコンドグビア、MFトレイラの2選手を補強した他、ユベントスに去ったFWモラタの穴埋めにバルセロナを追われたFWルイス・スアレスを補強。戦力的に大きな上積みはなく、下馬評は決して高くなかった。
だが、蓋を開けてみれば、開幕11戦無敗と近年稀にみる好スタートを飾り、戦術面においてもシメオネ監督が堅守速攻一辺倒だった戦い方に大きな変化を加え、[3-5-2]の可変式の布陣が完璧に機能。序盤戦はスアレスとFWフェリックスの2トップに加え、昨季は存在感が希薄だったDFエルモソやMFレマルといった選手たちが新たな役割で躍動。宿敵レアル・マドリーとの最初のダービーで今季初黒星を喫するも、苦手としていたバルセロナにシメオネ体制で初白星を挙げるなど、快進撃を見せた。
そのアトレティコに2ポイント差及ばず、連覇を逃したレアル・マドリーはコロナ禍における戦力補強の不調、度重なる負傷者の影響が最後まで響いた。レンタルバックとなったDFオドリオソラ、MFウーデゴールの2選手を除き、優勝した昨季から新戦力補強ゼロに終わったジダン率いるチームは、2年目のFWアザールやFWヨビッチのフィット、FWヴィニシウスやFWロドリゴの覚醒を期待してシーズンに臨んだが、中盤以降に存在感を発揮し始めたヴィニシウスを除きその目論見が完全に裏目に出た。
以前からメンバーを固定する傾向が目立っていたフランス人指揮官の采配も影響し、消耗し尽したスカッドは最終ラインを中心に離脱者が続出し、カンテラーノの抜擢やシステム変更など場当たり的な対応も目立った。ほぼフル稼働のカゼミロ、モドリッチ、クロースのトリボーテ、主砲ベンゼマ、守護神クルトワら個人の奮闘が光ったが、チームとしてはシーズンを通じて安定感を欠いた。クラシコでのシーズンダブルを含め上位対決では好成績を残すも、格下相手の取りこぼしの多さが優勝を逃す最大の要因となった。なお、11年ぶりの無冠となったシーズン終了後にジダン監督の退任およびアンチェロッティ新監督招へいが発表されており、来シーズンは6年ぶり復帰のイタリア人指揮官の下で覇権奪還を目指す。
マドリードの2強に次ぐ3位フィニッシュとなったバルセロナは、過去のFWビジャに続きスアレスの放出によってアトレティコの優勝をアシストする、屈辱のシーズンとなった。ただ、バルトメウ前会長の辞任、FWメッシの退団騒動と混迷を極めた中で最後まで優勝争いに絡んだことを考えれば、多額の負債は別として悲観すべきシーズンとは言い切れなかった。勝負弱いクーマン監督に限界は見えたが、MFデ・ヨング、MFペドリ、DFミンゲサ、DFデスト、MFイライクスといった若手の著しい成長に加え、加入2年目となったFWグリーズマンのフィットとチームとしての伸びしろは十分感じさせた。
ただ、マドリードの2強に10点差以上離された脆弱な守備、再三逃げ切りに失敗してきたゲームコントロールの改善は大きな課題だ。現時点ではクーマン監督の続投が濃厚で、すでに公式発表となったFWアグエロを含め、MFワイナルドゥム、DFエリック・ガルシアといったフリートランスファー組を含め、大幅刷新が見込まれるが、3シーズンぶりの覇権奪還に向けて取り組むべき課題は明確なだけにラポルタ会長主導の下で今夏の移籍市場での動きが重要となるはずだ。
メガクラブには及ばずもシーズン終盤まで優勝争いに絡んだ4位のセビージャは、ポジティブな形でシーズンを終えた。シーズン序盤は3連敗を喫する苦しいスタートとなったが、今年に入って7連勝を飾るなど後半戦に入って本領発揮。昨季同様の堅守に加え、主砲エン=ネシリやMFスソ、MFラキティッチらを中心とする攻撃も徐々に機能。最終的には攻守両面で安定した戦いぶりをみせ、クラブ史上最速で来シーズンのチャンピオンズリーグ(CL)出場権を手にした。
ヨーロッパリーグ(EL)とヨーロッパカンファレンスリーグ(ECL)争いは5位レアル・ソシエダ、6位ベティスがEL出場権を獲得。また、当初7位でECLに回る予定だったビジャレアルは、今季のELで初優勝を飾ったことで、来季CL出場権を手にしている。
ソシエダはFWイサクやFWオヤルサバル、MFメリノに、百戦錬磨のMFダビド・シルバを加えた多彩な攻撃と堅守を武器に序盤戦の主役となったが、中盤戦での不調が痛恨に…。ベティスは智将ペジェグリーニが卓越した手腕を発揮し、多くの接戦をモノにした。そして、得失点差0にも関わらず、EL出場権を確保した。ビジャレアルは負傷者の多さやエメリ監督の手堅過ぎる采配の影響で引き分けが目立ったものの、絶対的エースFWジェラール・モレノの奮闘もあって上々の1年目となった。
熾烈を極めた残留争いではMF乾貴士、FW武藤嘉紀を擁する最下位のエイバル、FW岡崎慎司を擁する18位のウエスカが19位のバジャドリーと共に無念の降格となった。経験豊富な3選手に関してはチームを残留に導く働きが期待されたが、いずれも出場機会に恵まれず、消化不良の1年に。そして、3選手共に今季限りでの退団が決定的だ。
また、レアル・マドリーからのレンタルで、前半戦をビジャレアル、後半戦をヘタフェで過ごしたMF久保建英は、いずれも守備の強度を最優先とする指揮官との相性の悪さが重なり、ベンチを温め続ける苦しい1年に。それでも、不遇をかこったヘタフェでは第37節のレバンテ戦でチームを残留に導く今季リーグ戦初ゴールを決めて、最後の最後に結果を残した。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆MFマルコス・ジョレンテ(アトレティコ・マドリー)

Getty Images
新生アトレティコを体現した万能型MF。スタッツやパフォーマンスの質だけを見れば、メッシやベンゼマに分があるが、守護神オブラクや主砲スアレス、主将コケと共にアトレティコに悲願のタイトルをもたらしたM・ジョレンテをMVPに推したい。
昨季後半戦にセカンドトップにコンバートされ、一躍ブレイクを果たした26歳は、可変式の[3-5-2]をメインシステムとして採用した今シーズンにより絶対的な主力に成長。セカンドトップや右サイドハーフ、インテリオール、ピボーテ、サイドバックと状況に応じて複数のポジションをこなし、驚異的なアスリート能力を生かした豊富な運動量と球際の強さを遺憾なく発揮した。とりわけ、攻撃では“スペースをアタック”する絶妙なスプリント、飛び出しで決定機に関与し、いずれもキャリアハイとなる12ゴール11アシストを記録。その溢れる熱量や勝負強さを含め、際立つ存在感だった。
★最優秀監督
◆ディエゴ・シメオネ(アトレティコ・マドリー)

Getty Images
就任9年目を迎えた“不動”の指揮官が進化を遂げて7年ぶりのタイトルをもたらした。これまで一貫して中盤フラットの[4-4-2]という極端な堅守速攻スタイルを使い続けたアルゼンチン人指揮官だが、今季途中から[3-5-2(3-4-2-1)]、[4-3-3]とも形容できる可変式の布陣を採用した。
これまででは考えられないコケのワンアンカーや、レマル、フェリックスのインテリオール起用など、よりボールを保持して遅攻においても相手を崩し切るゲームプランを導入し、シーズン序盤はこれまでの得点力不足が嘘のように複数得点を奪って勝ち切る試合が目立った。その後は相手の分析や主力の離脱で得点力不足に陥った挙句、自慢の堅守に綻びが見え始めたものの、シーズン終盤戦ではMFカラスコやFWコレアらの奮起もあり、攻守のバランスを取り戻し、見事にレアル・マドリーやバルセロナの猛追を振り切った。
【期待以上】
★チーム
◆セルタ

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2年連続の17位から8位に大躍進。FWアスパスを中心とする攻撃陣を中心にトップハーフのクラブに近い戦力を誇りながらも、直近2シーズンは降格圏ギリギリの17位と低迷が続いたガリシアの名門。今シーズンも序盤から低迷し、昨年11月にはオスカル・ガルシア前監督を解任。今季も残留争いの主役を担うかに思われた。だが、クラブOBであり、今シーズン途中までブラジルのセリエAで優勝争いを演じていたインテルナシオナウを率いていたコウデット新監督を招へいすると、この監督交代がチームを激変させた。
2トップにサンティ・ミナとアスパス、中盤にノリート、デニス・スアレス、ブライス・メンデスというボールプレーヤーを並べ、アンカーに今季ベストイレブン級の存在感を放ったタピアを配した[4-1-3-2]の布陣をメインシステムに採用すると、就任直後の4連勝、シーズン終盤の5連勝と2度の大型連勝を飾るなど、自慢の攻撃力を武器に多くの勝利を積み上げた。また、バルセロナやビジャレアルを破り、アトレティコと引き分けるなど、上位陣相手にも堂々とした戦いぶりを見せた点も高く評価したい。
★選手
◆MFペドリ(バルセロナ)

Getty Images
加入1年目で多くのクレ、フットボールファンを魅了した驚異の18歳。昨夏、ラス・パルマスから17歳で世界屈指の名門にやってきた攻撃的MFは、、祖父と父がバルセロナのペーニャの会長を務める血筋のなせる業か、マシア出身者と見まごうばかりの戦術理解ですぐさまトップチームのスタイルに順応した。
シーズン序盤は左右のウイングが主戦場ということもあり、その才能の片りんを窺わせるプレーを見せるに留まったが、チームが[4-3-3]、[3-5-2]に布陣を変更すると、本職のインテリオールでその真価を発揮。卓越したポジショニング、判断力、テクニックを武器に、自身が憧れと語るイニエスタを彷彿とさせるプレーでバルセロナの攻撃をけん引した。プリメーラ初挑戦ながら37試合3ゴール3アシストという数字を残し、早くも大エースのメッシからも厚い信頼を寄せられている。来シーズンは攻守両面で更なるスケールアップを遂げ、フォーデンやハーランドといった次代のバロンドール候補の域に到達したい。
【期待外れ】
★チーム
◆エイバル

Getty Images
最下位で8シーズンぶりのセグンダ降格。2014-15シーズンの初昇格以降、6シーズン連続でプリメーラに残留してきたエイバルだったが、無念の降格となった。2015年6月に就任したメンディリバル監督の下、直近5シーズンは最低順位が14位と安定した戦いぶりで残留を果たしてきたが、今季は度重なる補強の失敗、代名詞のハイライン・ハイプレスが研究し尽くされたことで、開幕4戦未勝利と序盤から低迷。
さらに、主砲キケ・ガルシア、FWブライアン・ヒルの2選手以外が精彩を欠いたことで、リーグワースト2位の29得点と深刻な得点力不足に陥り、16戦未勝利という泥沼の状況に陥った。シーズン最終盤には2連勝を飾って奇跡の逆転残留の望みを繋ぐも、第37節のバレンシア戦での大敗によって降格が決定した。なお、乾は今季28試合1ゴール0アシスト、武藤は26試合1ゴール1アシストといずれも思うような結果を残せなかった。
★選手
◆MFミラレム・ピャニッチ(バルセロナ)

Getty Images
即戦力として活躍期待も失望の1年に。パフォーマンスや費用対効果を考えれば、アザールが2年連続の期待外れにあたるが、ピャニッチも期待を大きく裏切る選手の1人だった。
昨夏にユベントスとの間で実現したMFアルトゥールとの大型トレードは、FFP遵守を目的とした両クラブの帳簿上必要な移籍だったと言えるが、総額6500万ユーロの移籍金を考えれば、19試合0ゴール0アシストの数字は許容できないものだ。
ペドリ、デ・ヨングのハイパフォーマンスに、重鎮ブスケッツの復調によって難しい状況ではあったが、シーズン前半戦はCLを中心にアピールの場は十分に与えられており、31歳のベテランとしては言い訳できないところだ。シーズンを通してコンディションに問題を抱え守備の強度が足りず、持ち味の繋ぎの局面でもバルセロナのスタイル、メッシとの関係構築がうまくいかず、クーマン監督の信頼を得られなかった。2月末以降は出場機会すらまともに得られず、今夏の放出が決定的だ。
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アトレティコ・マドリーのアルゼンチン代表FWジュリアーノ・シメオネ(22)に対する評価が高まってきた。「若き日の父親ディエゴを彷彿とさせる」などとマドリード紙が称える。 父ディエゴ・シメオネが指揮するアトレティコに16歳で入団したジュリアーノ。 トップチームで父親から初めて起用されたのは19歳。しかし、そこからしばらくセカンドチームを主戦場とし、23-24シーズンはアラベスへ武者修行…現役時代からアトレティコ魂を持つ父ディエゴに肩を並べるのは難しいだろうと誰もが思うなか、昨夏アラベスより復帰した。 それでも迎えた今季、ジュリアーノはラ・リーガ第10節あたりからスターターに定着し、ワイドアタッカーとして奮闘。4日のコパ・デル・レイ準々決勝ヘタフェ戦では2得点を記録した。 『マルカ』などに寄稿するマドリードのジャーナリスト、アドリアン・ブランコ氏は、自身のXでジュリアーノを称賛。 「ジュリアーノ・シメオネは今季アトレティコのビッグネームである。彼がアトレティコの復活、成長、競争力を象徴する存在となっているのだ。そのプレーにはエネルギー、犠牲、決意、熱意が溢れ、とにかく情熱的。彼の血にも“チョリズモ”が流れている」 『Relevo』も社説でジュリアーノを称賛した。 「ジュリアーノは“魂”そのものか。ピッチ脇でチョロ(父ディエゴ)が望むこと全てをフィールド全域に伝えるのが、このシメオネ家の三男だ。彼がアトレティコに来たのは父親のおかげだと誰もが言ったが、今ここに残っているのは父親が持っていたもの全てを彼も持つからだ」 「ジュリアーノが自らのゴールを祝っている様子を見ると、いつだったか…ビセンテ・カルデロンでエンブレムを指差して歌っていた若き日のディエゴを思い出す。今や、ジュリアーノがアトレティコのスターターであることに異論を唱える者はいない。間違いなく、息子3人の中でジュリアーノが最も父親に似ている」 2025.02.05 20:41 Wed2
現役時代のシメオネ監督はどんな人物だった? かつての同僚が明かす
アトレティコ・マドリーのディエゴ・シメオネ監督について、現役時代のチームメイトたちが振り返った。スペイン『マルカ』が伝えている。 現役時代セビージャやアトレティコ、そしてインテルなどで活躍したシメオネ氏。特に現在監督を務めるアトレティコには1994年から1997年までの3年間と2003年から2005年1月までの1年半の2度在籍し、公式戦155試合出場29ゴールを記録した。 <div id="cws_ad"><div class="dugout-video dugout-embed-eyJrZXkiOiJKcDZqR25nZCIsInAiOiJ1bHRyYXNvY2NlciIsInBsIjoiIn0="></div><script type="text/javascript" src="https://embed.dugout.com/v3.1/ultrasoccer.js"></script></div> 監督としてピッチサイドで感情を全面に出したスタイルでチームを鼓舞するシメオネ氏だが、現役時代からこの情熱的なスタイルは一貫したもので、共にプレーした多くの選手たちに大きな印象を与えていたようだ。 アトレティコでのチームメイトだった元スペイン代表DFトニ・ムニョス氏は、選手時代のシメオネ氏の情熱を振り返っている。 「彼は全てにおいて情熱的で、ピッチ上でも自分が感じたことを表現していた。苦しむことを楽しんでいたし、全員に対して高い要求を持っていて、強いパーソナリティのある選手だった」 またムニョス氏は、シメオネ氏の優れた戦術眼が得点に繋がっていたと話す。 「戦術的にもとても優れていた。常に1シーズンで8から14ゴールくらいを決めていたが、それは彼がフリーキックや攻撃参加が上手かっただけでなく、試合を読む力に非常に長けていたからだ」 「彼のフットボールに対する思いはとても大きかった。私にシエスタすらさせてくれなかったよ。常にフットボールについて話していて、寝ていても起こされたものだ」 「彼のウォーミングアップは試合前のホテルから始まっていた。チームメイトに指示をして人を集めて、ランチやディナーの時、気付いたら相手がどういう風にプレーするのかという話をしていた」 またセビージャ時代のチームメイトである元スペイン代表DFマノーロ・ヒメネス氏も、シメオネ氏がピッチ上で見せる姿に感嘆していたと明かし、選手時代から名監督としての片鱗を見せていたと語った。 「彼は熱量に溢れていた。失敗した時には怒り、野心と高い要求を求める選手だった。彼はチームのみんなのリスペクトを勝ち取った。なぜなら、失敗しても自分の足でもう一度立ち上がることのできる、勇気ある選手だったからだ」 「彼はハードワーカーで、自分の持つ全てをピッチで出し尽くし、全てのボールを200%の力で追う、今で言うBox to Box タイプのMFだった」 「アグレッシブさとクオリティを兼ね備え、前線への攻撃参加もできた、完全な選手だった。彼が監督になる姿は容易に想像できた」 「選手の時も監督の時も、エル・チョロ(シメオネ愛称)は誇張して大袈裟に行動したりしない。あれが彼のそのままの生き方なんだ」 「彼はベンチで静かに座っているようなタイプではない。自分のメンタルの強さやウイニング・スピリットを常に示してきた人物で、それは彼のDNAの中にあるものなんだ」 また、同じくセビージャ時代の同僚でチームのCBであったホセ・ミゲル・プリエト氏も、シメオネ氏は選手時代からリーダシップを発揮していたと明かした。 「彼はよく試合の前、失敗はピッチに持ち込まずロッカールームに置いていけと私たちに言ったよ」 「常にフットボールのことを考えていて、その執着にも似た思いは今でも増していると思う」 「試合中は全てのプレーに関わっていたし、サッカーというものを理解していた。優れたMFがいれば、CBの力を引き出すことができる。私たちが活躍できたのは彼のおかげだ」 しかし、そんな情熱的なシメオネ氏だが、抜けている部分もあったとプリエト氏は語る。 「私たちはトレーニングに彼の車に乗って行ったことがあったが、車のタイヤがパンクしていたのにずっと変えていなかったんだ。だから私がタイヤの買い方を教えてやったんだ」 2020.06.10 12:45 Wed3
【2020-21 ラ・リーガベストイレブン】優勝アトレティコから最多4人を選出
2020-21シーズンのラ・リーガが全日程を消化しました。そこで本稿では今シーズンのベストイレブンを超ワールドサッカー編集部が独自に選定してみました。 ◆ラ・リーガベストイレブン GK:オブラク DF:クンデ、サビッチ、パウ・トーレス MF:マルコス・ジョレンテ、デ・ヨング、モドリッチ、カラスコ FW:メッシ、ベンゼマ、ジェラール・モレノ GK ヤン・オブラク(28歳/アトレティコ・マドリー) 出場試合数:38(先発:38)/失点数:25 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 2シーズンぶり5度目のサモラ賞獲得と共に自身初のプリメーラ制覇。今季はよりチームが攻撃的な振る舞いを見せた中、38試合中18試合でクリーンシートを達成。試合を通して高い集中力を維持し、ピンチとなれば的確なポジショニングと驚異的な反応で圧巻のシュートストップを連発。また、第28節のアラベス戦では土壇場でチームが与えたPKをストップする殊勲の仕事で優勝に繋がる勝ち点3奪取に貢献するなど、近年苦手としていたPKでは敗れたセビージャ戦でも見事なセーブを見せた。 DF ジュール・クンデ(22歳/セビージャ) 出場試合数:34(先発:33)/得点数:2 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> メガクラブ注目の逸材DF。守備的MFとして特大の輝きを放った同僚フェルナンドを3バックの中央に置く形も考えたが、伸びしろとプレーのインパクトを評価してフランス代表DFを選出。敏腕SDモンチの眼鏡にかなった元ボルドーDFは加入2年目となった今季も見事な成長曲線を描いた。若かりし頃のセルヒオ・ラモスを彷彿とさせる攻撃的なセンターバックはパワー勝負、スピード勝負のいずれにおいても一線級のアタッカー相手に全く見劣らず、守備者としてはポジショニングや判断面を除いてワールドクラスの域に足を踏み入れている。さらに、攻撃面においても的確な繋ぎ、局面を変える持ち出しと著しい成長を見せた。先日のインタビューでは今夏のステップアップを示唆しており、その動向にも注目が集まるところだ。 DF ステファン・サビッチ(30歳/アトレティコ・マドリー) 出場試合数:33(先発:33)/得点数:1 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 優勝チームの最終ラインを統率。昨季のゴディン退団に伴い、ディフェンスリーダーとしての自覚をさらに強め、ヒメネスが離脱を繰り返した中で3バックと4バックを併用したロヒブランコスの最終ラインを締めた。出足鋭い守備で相手アタッカーに自由を与えず、ビッグマッチにおいても冷静な対応でチームに落ち着きをもたらした。今季のチームがよりビルドアップを重視していた中、安定した球出しで中盤、前線へクリーンなボールを届ける攻撃面での仕事も秀逸だった。 DF パウ・トーレス(24歳/ビジャレアル) 出場試合数:33(先発:33)/得点数:2 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 今季のラ・リーガ最高のスぺイン人DF。昨シーズンにブレイクを果たした24歳の左利きのセンターバックは、智将エメリの下で更なるスケールアップを遂げた。守備では191cmの恵まれた体躯とリーグ屈指の快足を武器に対人対応で無類の強さをみせ、カバーリングやスペースケアもそつなくこなした。さらに、優れた戦術眼、左足のキックを武器に長短織り交ぜた正確なパスでビルドアップの場面でも存在感を放っており、そのポテンシャルの高さを考えれば、今夏のメガクラブ行きは濃厚か…。 MF マルコス・ジョレンテ(26歳/アトレティコ・マドリー) 出場試合数:37(先発:33)/得点数:12 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 今シーズンのMVP。いずれもキャリアハイとなる12ゴール11アシストという目に見える数字の貢献度に加え、セカンドトップや右サイドハーフ、インテリオール、サイドバックと状況に応じて複数のポジションをこなしながら、攻守両面で高い強度のプレーをシーズン通して継続した。 MF フレンキー・デ・ヨング(24歳/バルセロナ) 出場試合数:37(先発:35)/得点数:3 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> ブラウグラナの未来。驚異的なデビューシーズンを飾った同僚ペドリはシーズン総括の“期待以上”の枠に回ってもらい、加入2年目の超万能型MFを選出。代表の恩師であるクーマン監督からの厚い信頼に応え、ピボーテ、インテリオール、センターバックと様々なタスクを完璧にこなし、シーズンを通して攻守両面で決定的な仕事を果たした。戦術眼、テクニック、アスリート能力と3拍子揃ったコンプリートMFとして、前目で使われれば果敢なゴール前への飛び出し、後ろ目で使われれば、安定した繋ぎ、局面を変える持ち出し、強度の高い守備とその貢献度は驚異的だった。 MF ルカ・モドリッチ(35歳/レアル・マドリー) 出場試合数:35(先発:32)/得点数:5 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw7.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 老いては益々壮んなるべし。中盤の名パートナーであるカゼミロとクロースの活躍も光ったが、そのトリボーテを代表してエルブランコの背番号10を選出。昨季終盤の鬼気迫るパフォーマンスを今季も継続した35歳は、最終ラインと前線に多くの離脱者に見舞われた今季のチームをベンゼマらと共に牽引。円熟味を増す抜群のゲームメイクに加え、中盤での泥臭い仕事、クラシコ初戦、最終節のビジャレアル戦で見せた貴重なゴールと試合の際を見極めたプレーを幾度も見せた。36歳で臨む新シーズンも大暴れを期待したい。 MF ヤニック・カラスコ(27歳/アトレティコ・マドリー) 出場試合数:30(先発:25)/得点数:6 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw8.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 後半戦の攻撃の中心選手。サイドアタッカーではルーカス・バスケス(レアル・マドリー)やエメルソン(ベティス)、アクーニャ(セビージャ)らの活躍も見事だったが、優勝チームに敬意を評してベルギー代表MFを選出。今季は左右のサイドハーフに加え、左のウイングバック、2シャドーの一角と様々なポジションをこなし、M・ジョレンテと共にチームに多くのオプションをもたらした上、6ゴール10アシストと数字の面でも申し分ない結果を残した。とりわけ、シーズン終盤戦においてはアタッカー陣に離脱者が目立った中、9試合中8試合でゴールかアシストを記録。その突破力とラストプレーの精度は見事だった。 FW リオネル・メッシ(33歳/バルセロナ) 出場試合数:35(先発:33)/得点数:30 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw9.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 2年ぶりの30ゴールの大台到達で5年連続8度目のピチーチ獲得。シーズン開幕直後は退団問題、試行錯誤を繰り返したチームの影響もあってスロースタートも、昨年11月以降に本来のコンディションを取り戻すと、チームの布陣が定まった中盤戦から後半戦にかけては出場8試合連続ゴールを記録。ブスケッツ、ジョルディ・アルバとのホットラインに加え、ペドリやデ・ヨング、グリーズマンとの連携も深まり、終盤戦では様々なパターンからゴールを陥れた。 FW カリム・ベンゼマ(33歳/レアル・マドリー) 出場試合数:34(先発:33)/得点数:23 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw10.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> エルブランコの絶対的エースとして抜群の存在感を放った。アトレティコに優勝をもたらしたルイス・スアレスと天秤にかける形となったが、23ゴール9アシストという数字面の優位性に加え、メッシ同様にその替えの利かなさを鑑みて選出した。ヴィニシウス、アセンシオに少なからず成長が見られたものの、アザールの体たらくによってチャンスメイク、フィニッシュと膨大な仕事量をシーズン通してこなした。決定力、勝負強さだけでなく、今季はセルヒオ・ラモスらが度々不在の中でリーダーとしての仕事ぶりも光った。 FW ジェラール・モレノ(29歳/ビジャレアル) 出場試合数:33(先発:30)/得点数:23 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/800/img/2021/get20210601_100_tw11.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> ラ・リーガ最高のスペイン人ストライカー。昨季、18ゴールを挙げてスペイン人最多得点者に与えられるサラ賞を初受賞したビジャレアルの絶対的エースは、昨季の数字を大幅に更新して2年連続のサラ賞を獲得した。エメリ新監督の下、右ウイング、センターフォワード、セカンドトップを主戦場に多士済々な相棒をうまく生かしつつ、その卓越した左足の精度、決定力を武器にゴールを量産。チャンスメイクの部分でも7アシストとリーグ屈指の万能型アタッカーの本領を発揮。なお、ジュゼッペ・ロッシに並ぶクラブ最多得点者(82点)となった29歳は、今夏のステップアップも噂される中で去就が注目されるところだ。 2021.06.02 19:01 Wed4
【2022-23 ラ・リーガベストイレブン】4季ぶり優勝のバルセロナから最多5名を選出
2022-23シーズンのラ・リーガが全日程を消化しました。そこで本稿では今シーズンのベストイレブンを超ワールドサッカー編集部が独自に選定してみました。 ◆ラ・リーガベストイレブン GK:テア・シュテーゲン DF:アルナウ・マルティネス、アラウホ、クリステンセン、フラン・ガルシア MF:スビメンディ、F・デ・ヨング MF:久保建英、グリーズマン、ヴィニシウス FW:レヴァンドフスキ GK マルク=アンドレ・テア・シュテーゲン(31歳/バルセロナ) 出場試合数:38(先発:38)/失点数:18 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 今シーズンのMVP。シーズンを通して抜群の安定感と、驚異的なセービングで幾度もピンチを救い、自身初のサモラ賞を受賞。消化試合となった残り4試合でのチームの緩んだパフォーマンスがなければ、シーズン最多クリーンシート記録、最少失点記録樹立も可能だった。 DF アルナウ・マルティネス(20歳/ジローナ) 出場試合数:33(先発:32)/得点数:3 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 総合力高いバルセロナ育ちの俊英。マシア育ちでジローナでトップチームデビューを飾った20歳は、センターバックと右サイドバックを主戦場にレギュラーに定着。昨季のプリメーラ昇格に貢献。今季は右サイドバックで高い身体能力を生かした対人守備、縦への推進力を発揮。さらに、ヤン・コウトが右サイドハーフに定着後は攻撃時にドブレピボーテの右に入るファルソ・ラテラルの役割を担い、バルセロナ育ちらしい戦術理解度の高さやパスセンスを発揮した。 DF ロナルド・アラウホ(24歳/バルセロナ) 出場試合数:22(先発:21)/得点数:0 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> ワールドクラスの域に到達。シーズンを通してフル稼働が求められるセンターバックで22試合という出場数は物足りないが、出場試合で披露した圧倒的なパフォーマンス、優勝への貢献度を考えると、やはり外すことはできない。以前から卓越した身体能力と守備センスはすでに世界屈指と言えたが、チャビ監督の薫陶によってパスやポジショニング、判断に磨きをかけた攻撃面でも著しい成長をみせ、より弱点が少ない総合力の高いDFに成長。クラシコではすでにお馴染みとなったヴィニシウス対策の右サイドバック起用では世界最高峰のマッチアップも見せてくれた。 DF アンドレアス・クリステンセン(27歳/バルセロナ) 出場試合数:23(先発:22)/得点数:1 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> バルセロナの今季ベスト補強に。アラウホ同様に出場数は物足りず、ミリトンやダビド・ガルシア、ル・ノルマンを選出する選択肢もあったが、フリー加入のデンマーク代表DFの期待以上のパフォーマンスをより評価した。チェルシーでの立ち位置を考えると、センターバックのバックアッパー的な起用が予想されていたが、負傷者や右サイドバック不在の歪なチーム事情もあってセンターバックの主軸に定着。アラウホとはかつてのプジョールとピケのような補完性をみせ、安定した守備に持ち味の配球能力を遺憾なく発揮。最少失点の堅守構築に大きな貢献を見せた。 DF フラン・ガルシア(23歳/ラージョ) 出場試合数:38(先発:38)/得点数:2 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 充実のシーズンを過ごして古巣帰還。レアル・マドリーのカンテラ出身でレンタル移籍の翌シーズンにラージョに完全移籍した左サイドバックは、インテンシティの高さに定評があるラージョで今季の全38試合に出場。爆発的なスピードを生かした攻撃参加で、阿吽の呼吸を見せるアルバロ・ガルシアと左サイドの攻撃を活性化。さらに、169cmとサイズには恵まれていないものの、球際の競り合いを苦にしておらず、安定したテクニックと共に総合力の高いサイドバックという評価を確立。来季は買い戻しオプションを行使した古巣への復帰が決定したほか、追加招集ながらスペイン代表初招集と更なる躍進が期待される。 MF 久保建英(22歳/レアル・ソシエダ) 出場試合数:35(先発:29)/得点数:9 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw6.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 躍進ラ・レアルのベストプレーヤー。マジョルカ、ビジャレアル、ヘタフェとレアル・マドリーからの武者修行先ではチームスタイルや指揮官との相性に加え、フィジカル面の未熟さもあって完全な主力にはなり切れず。それでも、昨夏完全移籍したソシエダでは個人としてのパフォーマンス向上はさることながら、ようやく自身の特長を生かせる指揮官、チームメイトと巡り合えた。2トップの一角や右ウイングを主戦場に35試合出場でキャリアハイの9ゴールを記録し、巧い選手から怖い選手に変貌。アシスト数は「4」にとどまったものの、味方が着実に決定機を決めていれば、その数字は少なくとも倍にはなっていたはずだ。卓越したテクニックに加え、スピードとパワーの向上で個での局面打開の場面が増え、シルバを中心に周囲とのコンビプレーも強力で対峙する守備者にとっては抑え込むのが難しい一線級のアタッカーに成長。また、右ウイングが主戦場となったシーズン終盤戦では守備面の貢献度の高さも際立っていた。 MF マルティン・スビメンディ(24歳/レアル・ソシエダ) 出場試合数:36(先発:35)/得点数:1 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw7.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 躍進ラ・レアルの要。一昨季の主力定着以降、安定したパフォーマンスを継続し、国内屈指のピボーテに成長した。バルセロナがブスケッツの後継者、クラブOBでもあるアルテタ率いるアーセナルも関心を示す逸材は、シーズンを通して躍動。守備では強度の高い対人守備、カバー範囲の広さを生かしてフィルター役を完遂。攻撃では巧みなポジショニングと視野の広さを武器にボールの循環の基準点として機能した。メリーノやブライス・メンデスが一時パフォーマンスを落としていた中、久保と共に安定したパフォーマンスで4位チームを支え続けた。来季も愛するクラブに残り、イジャラメンディの背番号4を継承する見込みだ。 MF アントワーヌ・グリーズマン(32歳/アトレティコ・マドリー) 出場試合数:38(先発:31)/得点数:15 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw8.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 今季の最優秀フィールドプレーヤー。得点ランキング4位タイの15ゴールに、最多アシストとなる16アシストを記録し、今季のラ・リーガで最も多くのゴールに関与した。シーズン序盤戦では保有元のバルセロナの契約条項の影響で30分以内限定の起用を強いられたが、クラブ間の交渉がまとまってフル稼働が可能となって以降は不振のチームを攻守に牽引。とりわけ、後半戦ではフランス代表での役割に近いトップ下でフリーロールを与えられると、卓越した戦術眼とテクニック、献身性を遺憾なく発揮し、驚異的なパフォーマンスを披露し続けた。 MF フレンキー・デ・ヨング(26歳/バルセロナ) 出場試合数:33(先発:29)/得点数:2 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw9.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 開幕前の不当な扱いを乗り越えて優勝の立役者に。自身に何ら非はなかったものの、深刻な財政問題を抱えるクラブ事情でマンチェスター・ユナイテッドへの移籍を迫られる難しい状況でシーズンをスタート。しかし、開幕からガビやペドリと共にチャビ監督が求めるアグレッシブなスタイルをピッチ上で体現する担い手となり、攻守に八面六臂の活躍を披露。出場試合での存在感ではペドリをより評価する声もあるが、前述のクラブでの扱いや守備時のブスケッツのサポートなど多くのタスクをこなした点を評価した。 FW ヴィニシウス・ジュニオール(22歳/レアル・マドリー) 出場試合数:33(先発:32)/得点数:10 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw10.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 更なる進化を遂げたエル・ブランコの若きエース。今季記録した10ゴール9アシストは、昨季の17ゴール13アシストをいずれも下回るものになったが、ドリブル成功率や被ファウル、チャンスクリエイトといったスタッツはやはり驚異的だった。今季はベンゼマの不調に加え、常にダブルチームに近い形での徹底マークに遭っており、その中で残した前述の数字は価値があるものだ。背番号7への変更が発表された来季は頼れる相棒ベンゼマの退団によって、正真正銘のマドリーのエースとしての更なる活躍が求められる。 FW ロベルト・レヴァンドフスキ(34歳/バルセロナ) 出場試合数:34(先発:33)/得点数:23 <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2023/get20230613_101_tw11.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:x-small;">Getty Images<hr></div> 初挑戦のラ・リーガでいきなりのピチーチ獲得。昨夏、新生バルセロナの目玉補強としてバイエルンから鳴り物入りでの加入となったポーランド代表FW。これまで多くの超一流ストライカーが適応に苦しんだバルセロナだけに一抹の不安もあったが、第2節のソシエダ戦でドブレーテを達成すると、そこからは6試合連続を含めゴールを量産。さすがの存在感でブラウグラナの攻撃をけん引した。中断前後はW杯の疲労や3試合のサスペンションの影響でパフォーマンスを落としたが、終盤戦で再びギアを上げ直した。守備の貢献度や運動量に関してはチームメイトから冗談交じりで注文も付けられたが、さすがの決定力に加えて7アシストと確度の高いポストワークでも存在感を示した。 2023.06.14 18:01 Wed5
