OA枠で大迫が外れたのは五輪経験の有無か?/六川亨の日本サッカー見聞録
2021.05.21 16:50 Fri
JFA(日本サッカー協会)は20日、今月28日から始まるカタールW杯アジア2次予選に臨むサムライブルーと、キリンチャレンジカップに出場するサムライブルー、そして五輪の強化試合に出場するU-24日本代表の3チームのメンバーを発表した。
W杯2次予選とキリンチャレンジカップでサムライブルーが2チームあるのは、5月28日にフクアリで開催されるミャンマー戦は、IMD(インターナショナルマッチデー)ではないため選手の招集に拘束力がないからだ。実際ミャンマー戦の2日前と2日後はJリーグの試合が入っている。
そこでミャンマー戦だけは、シーズンの終わっている海外組の選手26人を招集して戦う。そこには冨安(ボローニャ)、久保(ヘタフェ)、堂安(アルミニア・ビーレフェルト)、三好(ロイヤル・アントワープ)ら五輪世代も含まれている。
そして29日からは国内組の選手も合流し、総勢24名が6月3日のジャマイカ戦(札幌ドーム)、7日のW杯予選のタジキスタン戦(パナソニックスタジアム吹田)、11日のセルビア戦(ノエビアスタジアム神戸)、15日のW杯予選のキルギス戦(パナソニックスタジアム吹田)の4試合を戦う。
そしてU-24日本代表は5月31日に集合して、6月5日のU-24ガーナ戦(福岡のベスト電器スタジアム)、12日のジャマイカ戦(サムライブルーとすでに対戦したチーム。豊田スタジアム)に臨む。こちらは総勢27名で、OA(オーバーエイジ)枠の吉田(サンプドリア)、酒井(マルセイユ)、遠藤航(シュツットガルト)の3人は、ミャンマー戦後はU-24日本に合流して活動する。
そして今回取り上げたいのはOA枠についてだ。一昨年の段階からOA枠の1人は大迫(ブレーメン)で決まりだと思われていた。ブレーメンのGMも地元開催の五輪に大迫がOA枠で出ることを了承している発言が紹介された。五輪が1年延期され、大迫自身もブレーメンでの出場機会が限られたものの、今年3月の韓国戦やモンゴル戦では日本の第一人者であることを証明した。
彼とCBの吉田、そしてここ1年で守備だけでなく攻撃でも長足の進歩を見せた遠藤航の3人がOA枠と思われた。しかし、酒井の浦和移籍が報道されてからは、大迫に変わって酒井のOA枠が規定路線のように報道されてきた。
20日の会見で森保監督は当初「その時々の状況で、どのポジションでOA枠を起用したらいいのかたびたびスタッフと話してきたが、決まったものはなかった。日々、毎回議論は変わっていた」と選出の難しさを振り返り、「今回の3人にしたのは試合を安定して戦うこと」と理由を述べた。
しかし、大迫だって前線でボールを収め、試合を安定して戦うことを可能にする選手である。そう思っていたら、最後に森保監督の本音が出た。
指揮官は次のように述べたのだった。
「(OA枠の3人は)五輪の経験があるだけでなく、A代表でも世界の経験があるのでリストアップした。五輪の経験ではなく現在の力で評価した」と言いながら、続けて「五輪ではベスト4だったり(ロンドン五輪の吉田と酒井)、直近のリオに出た(遠藤航)。A代表のワールドカップの舞台とは違う雰囲気が五輪にはある。6試合を18人で戦わないといけない。彼らはそういう経験があるので好影響を与えると思う。五輪の厳しい戦いを知っているのでプラスになる」と、五輪の経験を選考理由にあげた。
それならそうと最初から言えばいいと思うのだが、やはり大迫に気を遣ったのだろう。
12年ロンドン五輪で大迫(当時は鹿島)は候補選手の1人だった。彼とポジションを争っていたのは現在浦和にいる杉本だ。当時の杉本はC大阪に所属していたものの、「五輪で招集できる選手は1チーム3人まで」という暗黙の縛りがあった。シーズン中のため戦力低下を避けるためである。
そして当時のC大阪には山口(現神戸)、扇原(現横浜FM)、清武(現C大阪。五輪開幕前にニュルンベルクへ移籍)とすでに五輪の有力候補が3人いた。そこで杉本は東京Vにレンタル移籍することで五輪代表の座を獲得しようとした。
そうした杉本の貪欲さに対し、大迫は代表候補キャンプでのアピールに欠けた。その結果、大迫と指宿(当時はセビージャ)、宮市(当時はアーセナル)らは予備登録メンバーから外れたのだった。
五輪はグループリーグの初戦から3位決定戦まで、5試合を中2日で戦わなければならないハードな日程だ。
男子なら7月22日に南ア戦(東京スタジアム)、25日にメキシコ戦(埼玉スタジアム)、28日にフランス戦(横浜国際スタジアム)があり、準々決勝は31日(カシマスタジアムか横浜国際スタジアム)、準決勝は8月3日(カシマスタジアムか埼玉スタジアム)、3位決定戦が6日(埼玉スタジアム)となっている。
決勝戦だけが7日開催(横浜国際スタジアム)と中3日になっている(なおかつ国立競技場での試合はない)。
このため森保監督が指摘したように、経験値も必要かもしれない。しかし、それと同時に初戦での勝利がメダル獲得には重視される。
12年のロンドン五輪では、初戦で優勝候補の一角にあげられていたスペイン(10年南アW杯優勝のため)に1-0と勝利を収め、続くモロッコ戦も1-0と連勝したことでターンオーバーを利用。ホンジュラスとは0-0だったが、グループリーグを1位で突破して、準々決勝のエジプト戦は3-0と快勝した(準決勝で優勝したメキシコに1-3。3位決定戦では韓国に0-2で敗戦)。
勝ちきるには絶対的なエースの活躍も必要で、それが今回招集された林(鳥栖)、前田(横浜FM)、上田(鹿島)、田川(FC東京)の中から出てくるのか。こちらは「最終選考という意味合いが強い」(反町技術委員長)、今回の2試合を注意深く見守りたい。
W杯2次予選とキリンチャレンジカップでサムライブルーが2チームあるのは、5月28日にフクアリで開催されるミャンマー戦は、IMD(インターナショナルマッチデー)ではないため選手の招集に拘束力がないからだ。実際ミャンマー戦の2日前と2日後はJリーグの試合が入っている。
そこでミャンマー戦だけは、シーズンの終わっている海外組の選手26人を招集して戦う。そこには冨安(ボローニャ)、久保(ヘタフェ)、堂安(アルミニア・ビーレフェルト)、三好(ロイヤル・アントワープ)ら五輪世代も含まれている。
そしてU-24日本代表は5月31日に集合して、6月5日のU-24ガーナ戦(福岡のベスト電器スタジアム)、12日のジャマイカ戦(サムライブルーとすでに対戦したチーム。豊田スタジアム)に臨む。こちらは総勢27名で、OA(オーバーエイジ)枠の吉田(サンプドリア)、酒井(マルセイユ)、遠藤航(シュツットガルト)の3人は、ミャンマー戦後はU-24日本に合流して活動する。
すでに各チームのメンバーは紹介されているので省略したい。
そして今回取り上げたいのはOA枠についてだ。一昨年の段階からOA枠の1人は大迫(ブレーメン)で決まりだと思われていた。ブレーメンのGMも地元開催の五輪に大迫がOA枠で出ることを了承している発言が紹介された。五輪が1年延期され、大迫自身もブレーメンでの出場機会が限られたものの、今年3月の韓国戦やモンゴル戦では日本の第一人者であることを証明した。
彼とCBの吉田、そしてここ1年で守備だけでなく攻撃でも長足の進歩を見せた遠藤航の3人がOA枠と思われた。しかし、酒井の浦和移籍が報道されてからは、大迫に変わって酒井のOA枠が規定路線のように報道されてきた。
20日の会見で森保監督は当初「その時々の状況で、どのポジションでOA枠を起用したらいいのかたびたびスタッフと話してきたが、決まったものはなかった。日々、毎回議論は変わっていた」と選出の難しさを振り返り、「今回の3人にしたのは試合を安定して戦うこと」と理由を述べた。
しかし、大迫だって前線でボールを収め、試合を安定して戦うことを可能にする選手である。そう思っていたら、最後に森保監督の本音が出た。
指揮官は次のように述べたのだった。
「(OA枠の3人は)五輪の経験があるだけでなく、A代表でも世界の経験があるのでリストアップした。五輪の経験ではなく現在の力で評価した」と言いながら、続けて「五輪ではベスト4だったり(ロンドン五輪の吉田と酒井)、直近のリオに出た(遠藤航)。A代表のワールドカップの舞台とは違う雰囲気が五輪にはある。6試合を18人で戦わないといけない。彼らはそういう経験があるので好影響を与えると思う。五輪の厳しい戦いを知っているのでプラスになる」と、五輪の経験を選考理由にあげた。
それならそうと最初から言えばいいと思うのだが、やはり大迫に気を遣ったのだろう。
12年ロンドン五輪で大迫(当時は鹿島)は候補選手の1人だった。彼とポジションを争っていたのは現在浦和にいる杉本だ。当時の杉本はC大阪に所属していたものの、「五輪で招集できる選手は1チーム3人まで」という暗黙の縛りがあった。シーズン中のため戦力低下を避けるためである。
そして当時のC大阪には山口(現神戸)、扇原(現横浜FM)、清武(現C大阪。五輪開幕前にニュルンベルクへ移籍)とすでに五輪の有力候補が3人いた。そこで杉本は東京Vにレンタル移籍することで五輪代表の座を獲得しようとした。
そうした杉本の貪欲さに対し、大迫は代表候補キャンプでのアピールに欠けた。その結果、大迫と指宿(当時はセビージャ)、宮市(当時はアーセナル)らは予備登録メンバーから外れたのだった。
五輪はグループリーグの初戦から3位決定戦まで、5試合を中2日で戦わなければならないハードな日程だ。
男子なら7月22日に南ア戦(東京スタジアム)、25日にメキシコ戦(埼玉スタジアム)、28日にフランス戦(横浜国際スタジアム)があり、準々決勝は31日(カシマスタジアムか横浜国際スタジアム)、準決勝は8月3日(カシマスタジアムか埼玉スタジアム)、3位決定戦が6日(埼玉スタジアム)となっている。
決勝戦だけが7日開催(横浜国際スタジアム)と中3日になっている(なおかつ国立競技場での試合はない)。
このため森保監督が指摘したように、経験値も必要かもしれない。しかし、それと同時に初戦での勝利がメダル獲得には重視される。
12年のロンドン五輪では、初戦で優勝候補の一角にあげられていたスペイン(10年南アW杯優勝のため)に1-0と勝利を収め、続くモロッコ戦も1-0と連勝したことでターンオーバーを利用。ホンジュラスとは0-0だったが、グループリーグを1位で突破して、準々決勝のエジプト戦は3-0と快勝した(準決勝で優勝したメキシコに1-3。3位決定戦では韓国に0-2で敗戦)。
勝ちきるには絶対的なエースの活躍も必要で、それが今回招集された林(鳥栖)、前田(横浜FM)、上田(鹿島)、田川(FC東京)の中から出てくるのか。こちらは「最終選考という意味合いが強い」(反町技術委員長)、今回の2試合を注意深く見守りたい。
U-23日本代表の関連記事
キリンチャレンジカップの関連記事
|
|
U-23日本代表の人気記事ランキング
1
20歳の誕生日を迎えた久保建英がFC東京・長谷川健太監督に感謝、20歳の意気込みは「大人のサッカー」
U-24日本代表は、5日に控えるU-24ガーナ代表戦に向けた前日練習に臨んだ。 3日、ジャマイカ代表の来日が遅れたことで、日本代表と急遽試合を行うこととなったU-24日本代表。中1日で福岡に移動し、ガーナ戦に備える中、北海道・東北地方での暴風雨により福岡への移動に支障が起きた。 U-24日本代表は急遽、札幌ドームのウォーミングアップ場でトレニングを実施。時間を遅らせてのフライトとなり、明日のガーナ戦の地である福岡へと向かった。 メディアのオンライン取材に応対したMF久保建英(ヘタフェ)は4日が20歳の誕生日。代表合宿ではチームメイトから手荒い祝福をされることが多いが「今のところ大丈夫です」とまだ被害を受けていないとコメントした。 今回は急な試合に始まり、この日は移動が予定通りにいかないこととなった。この状況については「ポジティブに捉えていると思います」と語り、「こういう状況に本番じゃなく、本番前に想定できることは自分たちにはポジティブに働くかなと。明日が大事なので、明日に向けて逆算していかに戦えるかが試されていると思います」と語り、不測の事態にどう対応できるかが測れる良い機会だとした。 改めて昨日のA代表との試合については「チームとしては急遽試合が決まって、明日も試合があるので、思ったようなスケジュールではないというか、過密日程のなかで1つ組み込まれてしまったという感じです」とコメント。それでも「自分たちもできる限りのコンディションで臨もうとしましたが、その中でやっぱり急遽決まった試合で、メンバーもあまり決められずにというか、5日をイメージした中でコンディションが良かったメンバーが試合に出たと思います」と語り、コンディションが優先されたと語った。 ただ、良い機会だったために悔しさも露わにし「その中では折角の対決だったので、しっかり準備して100%で臨みたかったという思いはあります」とコメント。自身のパフォーマンスについては「個人的には手応えもありましたし、全然やれていないということもなく、なんならいつも練習している人たちが相手だったので、自分が壁を感じることなくやれたと思いますけど、結果で3-0で負けたことは個人的には悔しかったです」と、個人のパフォーマンスには満足感を示すも、結果として負けたことを悔しがった。 明日はU-24ガーナ代表との試合。アフリカ勢との試合となるが「初戦の相手が南アフリカで、仮想ということで組んでもらっているので、しっかり自分たちがアフリカ勢にどう対応するかを含めて、本番が近づいているのでそれを想定しているのではないかなと思います」とコメント。アフリカ勢に対してのポイントは「最近はアフリカの選手も万能で、僕たちの上位互換のような選手が何人もいますが、全体的には飛び込んでくる選手が多いなと経験から感じています」と語り、「敢えてボールを晒したり、ワンフェイント多めに入れようかなと意識しています」と、攻略法も明かした。 また、メンバーにはヘタフェで共にプレーしたMFサビト・アブドゥライが招集されている。アブドゥライについては「さっきも連絡を取りました」と語り、「個人的に仲が良くて、彼が免許なくて僕が車で迎えに行ったりする仲です。来るなら連絡くれよと言っていて、連絡をもらいました」と、互いに意識する仲のようだ。 スタイルについては「謙遜していましたが、何試合か一緒にやって、メッシ選手を潰したり臆することなく、球際もすごく強いです、練習からもバチバチやっていました」と強度の高いプレーをする選手だとし、「ヘタフェを象徴するような選手です。臆することなく自分たちも正面からぶつかることが大事だと思います」と、しっかりと向き合わないと痛い目に遭う可能性が高い相手のようだ。 この日20歳になった久保。改めて20歳になったことについては「まだあまり実感ないですけど、明日の試合から20歳で1つギアを上げて。19歳ではないので、20歳なので大人な自分をピッチ内で見せられればと思います」と、20歳になってすぐの試合に意気込みを語った。 久保の言う大人のサッカーとは「簡単にいうと、経験だったりとか、昨日の試合を途中から見ていて遠藤選手が入って落ち着いたとか、自分ならここに1人入って欲しいなというところにスッと入って前を向いてくれて、つけてくれたり、しっかり試合でどういうプレーするのかを頭に入っていると思います」とオーバーエイジとしてプレーしたMF遠藤航のプレーを挙げ、「時間帯を考えたりチーム全体を俯瞰してゲームを見るとか、余裕を持ってプレーすると言っていますが、個人だけでなく、チームの流れや時間帯を考えた余裕が大人だと思いました」と、より俯瞰で試合に絡めるようになりたいと語った。 また、FC東京の長谷川健太監督が20歳を迎えた久保にエールを送っていたが、久保にとっての長谷川監督は「自分は健太さんに選手として大きくしてもらいました。辛いことも意見が食い違うことも、健太さんの要求に自分が応えられないこともありました」と、想いを語った。 さらに「自分は18歳の誕生日でヨーロッパに行きたいという考えがあって、そのためには18歳の年に出られなかった諦めようと考えていた中で、監督がプレシーズンでチャンスをくれて、プレシーズンで結果を出せば今シーズンは使ってやると言われて、それに自分が応える事ができて、そこから東京で成長できました」とFC東京時代を回想。「結果として東京のチームを離れることになりましたけど、感謝しかないですし、健太監督に自分は大きくしてもらったと思っています」と感謝の気持ちを述べ、「監督が喜んでくれるような選手になることが恩返しだと思います」と世界で活躍する事が恩返しになるとし、改めて意気込みを語った。 2021.06.04 21:35 Fri2
日本代表対決のスタメン発表! OAの3名はベンチスタート
3日、日本代表vsU-24日本代表の一戦が札幌ドームで行われる。 キリンチャレンジカップ2021のジャマイカ代表戦が、ジャマイカ代表が来日できなかったことを受けて急遽中止に。その後、対戦相手にU-24日本代表を指名し、異例の日本代表対決が実現した。 カタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選を戦う日本代表と、東京オリンピック出場に向けてメンバー選考を続けるU-24日本代表の一戦。互いに主力選手を起用して臨む。 日本代表はDF長友佑都(マルセイユ)、MF鎌田大地(フランクフルト)、MF南野拓実(サウサンプトン)、FW大迫勇也(ブレーメン)と日本代表の主軸を先発起用した。 一方のU-24日本代表はオーバーエイジの3名はベンチスタート。MF久保建英(ヘタフェ)、MF中山雄太(ズヴォレ)、MF板倉滉(フローニンヘン)らが起用された。 今回の試合は、フィールドプレーヤーが7名、GK1名が交代可能なレギュレーション。後半の交代枠は3回までとなるが、負傷交代の場合は含まれない。 ★日本代表スタメン[4-2-3-1] ※並びは予想 GK:シュミット・ダニエル DF:室屋成、植田直通、谷口彰悟、長友佑都 MF:橋本拳人、守田英正 MF:原口元気、鎌田大地、南野拓実 FW:大迫勇也 監督:森保一 ★U-24日本代表スタメン[4-2-3-1] ※並びは予想 GK:大迫敬介 DF:菅原由勢、橋岡大樹、町田浩樹、旗手怜央 MF:中山雄太、板倉滉 MF:三好康児、久保建英、遠藤渓太 FW:田川亨介 監督:横内昭展 2021.06.03 18:42 Thu3
「本当に悔しい」CBとしてフル出場のDF橋岡大樹、終盤出場のOA枠のMF遠藤航は「物凄くやりやすかった」
U-24日本代表は3日、日本代表との試合を行い、0-3で敗れた。 ジャマイカ代表選手が来日できなかったことを受け日本代表が行う予定だった予定されていたキリンチャレンジカップ2021が中止に。急遽、試合相手に選ばれていた。 スケジュールにない試合を組まれたU-24日本代表。中1日でU-24ガーナ代表と対戦する中、試合は開始1分過ぎにCKから橋本拳人に決められA代表が先制。さらに41分には鎌田大地、52分には浅野拓磨にゴールを許し、0-3で敗れた。 試合後、DF橋岡大樹(シント=トロイデン)がオンラインでのメディア取材に応対した。 まずA代表との試合の率直な感想については「0-3という結果で、僕たちも最初のやる前から気合が入っていて、絶対に勝ってやるという気持ちだったんですけど、結果は0-3で負けたことが本当に悔しいです」と悔しさをあらわにした。 強さを感じた点については「決定力の高さだったり、そこは物凄いなと思いました」と語り、3点を奪った決定力を賞賛。「僕たちは0点で終わってしまったということで、後ろがしっかり土台を作る部分で0点に抑えることができなくて、それプラス得点が取ることができなかったことは課題かなと思います」と語り、攻守にわたって課題が残ったと語った。 クラブではウイングバックやサイドバックでプレーしていた橋岡。この試合ではCBとしてフル出場を果たしたが意識した点については「安定感を出すということで、ボールを繋ぐところはシンプルに。出せるところは縦につけてということでした」と攻撃面ではリスクを冒しすぎないようにしたとコメント。「守備の部分では一対一で絶対に負けない、ロングボールを跳ね返してしっかり自分たちのボールにすることを意識してやっていました」と、守備では特徴でもある競り合いと一対一の強さを出したかったとした。 3失点は喫したが、その中でも手応えについては「球際の部分だったりは負けてなかったです」とコメント。「でも、もっともっと突き詰めていかなければいけない部分もたくさんありました」と課題を口にした。その課題については「球際、競り合い、足りないところはゴール前の最後の最後でボールを当てて体を張って守るというところに関しては、まだまだなのかなと思います」と、ディテールの部分でもしっかりしなければいけないと感じたようだ。 この試合では前半と後半の立ち上がりに1点ずつ失点している。その点については「入りの部分は集中して入っていこうとみんなで言っていましたが、結果的に失点をしてしまっているというところは改善点だと思いますし、早い時間帯で先制されるとサッカーも変わるので、そこは気を引き締めてやらないといけないなと思いました」と、気をつけていながらも失点を喫したとコメント。本大会に向けては大きな改善ポイントとなった。 特に試合開始2分で失点した点については「橋本選手がフリーになっていて、あそこはチームでもっともっと話をしなければいけないです。まずはニアで触られてしまったことに関して、立ち上がりということもあったので、練習から突き詰めて行きたいと思います」と語り、守備陣でしっかりと話し合うと語った。 CBでの出場となった橋岡だが、前半はFW大迫勇也(ブレーメン)、後半はFW浅野拓磨とタイプが違う相手との対峙となったが「大迫選手に関しては、収める技術やターンの部分は物凄い技術があることはわかっていたので、そこの部分でまずは早めに予測して縦に入ってくるところを早めに潰しに行って、好きにやらせないということを意識していました」とコメント。一方で「浅野選手に関しては斜めに走って縦にくるというのは、足が速いので分かっていたので、そこは気をつけていましたが、一度浅野選手が縦に流れた時に上手く対応しようと思って行きましたが、股を抜かれました。そこはもっと突き詰めていかなければいけないと思います」と語り、相手の特徴を警戒して対応したと語った。 中1日でU-24ガーナ代表選を控えている状況。メンバー選考もある中で、6月は残り2試合となる。 チームとして高めるポイントについては「オリンピック本大会では中2日での試合は当たり前なので、こういった過密日程になることは承知の上ですし、そこでチーム力が本当に生かされると思うので、誰が出ても良い結果が残せるようにチーム力を上げることです」とチーム力を上げる必要があるとコメント。「今回に関しては最終選考前ということで、本当にみんなが切磋琢磨しあっている中での合宿だと思っているので、1人1人が良いプレーをして1人1人が個人の良いところを出しつつ、チームのことを考えてプレーしていければと思います」と語り、個々のパフォーマンスを最大限に出すことでチーム力を上げていきたいと語った。 試合終盤にはオーバーエイジのMF遠藤航(シュツットガルト)が入ってリズムが良くなったU-24日本代表。遠藤については「遠藤選手はデュエルの部分で、相手のボランチが起点になりそうな時にしっかりと潰してくれて、相手の攻撃の芽をしっかり潰してくれるので、自分たちの攻撃の時間が増えたのかなと思います」とコメント。「奪った後もしっかりつないでくれるので、ああいったところは遠藤選手の良いところで、物凄くやりやすかったです」と、遠藤投入の効果を語った。 2021.06.04 06:15 Fri4
【パリ行きの命運を託された23選手】頭脳とテクニックに優れた万能型CB、世代を代表する柱・鈴木海音
パリ・オリンピックのアジア最終予選を兼ねるAFC U23アジアカップが15日に開幕する。出場16カ国が4組に分かれてのグループステージから始まる五輪出場もかけた戦いは約2週間ちょっとのスケジュール的にも勝ち上がれば勝ち上がるほど総力戦が必至。ここではパリ行きの命運が託されたU-23日本代表の23選手を紹介し、鈴木海音にフォーカスする。 ■鈴木海音(DF/ジュビロ磐田) 静岡県出身の鈴木は中学生の時に磐田に加入。U-15、U-18とアカデミーで育ち、2020年4月にトップチーム昇格。プロ契約を結んだ。 U-15から世代別の日本代表を経験しているこの世代のエリート。2018年のAFC U-16選手権では見事優勝に貢献。2019年のU-17ワールドカップにも出場したが、チームはベスト16で敗退となった。 鈴木のプレースタイルの特長は、そのバランス感覚。ディフェンダーとしては堅実な守備を見せ、しっかりと安定感を与えるプレーが特徴。一方で、攻撃時には積極的に参加する他、キックの精度も高く、ロングフィードも得意とする。 182cmという飛び抜けて上背があるわけではないが、空中戦を得意としており、対人守備の能力も高い。テクニックと賢さ、そして強さを持ち合わせた万能型のCBと言って良い。 特に試合を読む力、戦術理解度が高く、攻守両面でプレー選択がしっかりとできるところが特徴。また、ポジショニングに長けているため、守備時には危険なゾーンをカバーし、攻撃時にはタイミングを間違えずに前線に上がる動きに加え、足元の技術とポジショニングはビルドアップをする際にも大きな力となる。もちろん一対一の守備も得意で、ボールを奪いにいく動きや、決定機の前に潰しに行くことも得意としている。 2022年には栃木SCへ育成型期限付き移籍を経験し、リーグ戦34試合に出場するなど、多くの試合経験を積んで帰還。2023年はJ2を戦うチームで22試合に出場し初ゴールも記録。チームのJ1昇格に寄与した。 守備陣の経験値に若干の不安を抱えるパリ五輪世代。アジアの戦いも経験しており、世代別の国際経験が豊富な鈴木。対戦相手の特徴に合わせ、試合展開を読んでプレーができる鈴木が守備陣を牽引していけるのか注目が集まる。 2024.04.15 11:00 Mon5
