形なくして勝利なし…森保一監督率いる東京五輪代表に覚える不安/日本代表コラム

2020.01.13 08:30 Mon
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チームの主力を務めてきた海外組が不在だったというエクスキューズはあるが、屈辱以外の何物でもない結果となった。森保一監督率いるU-23日本代表は、AFC U-23選手権の第2戦のシリア代表戦で1-2と敗戦。初戦のサウジアラビア代表戦に続く連敗で、大会を後にすることが決定した。

お粗末と言えばそれまで。サウジアラビア戦同様に、先手を奪われるゲーム展開となり、追いつくものの、試合終盤に失点し連敗を喫した。

「勝つためのメンバーで戦いたい」と試合前に語っていた森保監督は、サウジアラビア戦から6名のメンバーを変更。勝ち上がりに望みをつなぐべく、シリアに挑んだ。

◆11月から変わらない守備の問題

しかし7分、スルーパスを通されるとGKと一対一のピンチに。ここはGK大迫敬介のセーブで凌ぐも、その流れから与えたCKではニアでフリックされると、ボックス中央で町田浩樹がファウル。VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)によるチェックが入り、PKを与えることとなった。

直接的な原因は町田が相手選手の頭部を蹴り上げる形となったことだが、そもそもはCKを与えることとなったシーンの守り方にある。ハーフウェイライン付近で齊藤未月が相手選手に寄せるも、体勢を崩しながらスルーパスで通されてしまう。渡辺剛が寄せ、コースを限定したことで大迫がセーブできたが、このスルーパスを出すところまでのリスク管理がなっていなかった。

前半のうちに相馬勇紀のミドルシュートで追いついた日本。後半は若干修正されてペースを掴んだ時間帯もあり、決定機も作ったが決められず。88分にロングカウンターを受けると、失点を喫し、1-2で敗れた。

2失点目のシーンも相手選手がドリブルで抜け出した際、町田がボールホルダーにチャレンジすることが可能だった。しかし、並走するバラカト(9番)のケアを選択したためにボックス内に侵入。そのままノープレッシャーでシュートを決められてしまった。

サウジアラビア戦の2失点、そしてシリア戦の2失点。ひいては失点につながらないシーンであっても、守備の対応のまずさは同じだ。それは昨年11月に広島で行われたU-23コロンビア代表戦から何も成長していないと言える。後手を踏む守備、寄せの甘さ、ボールを奪い切るという意識。12月のU-23ジャマイカ代表戦は相手のレベル、コンディションの問題もあり計算できるものではなく、それを除けば3試合連続で同じやられ方をしていると言っていい。

◆オーガナイズされていないチーム

今大会、選手の招集に関しては強制力がないため、海外組の選手は食野亮太郎(ハーツ)のみの参加となった。その食野もグループステージのみの参加となることが濃厚と言われていた状況だ。今となっては、グループステージしか戦えないため、ハーツとしては予定通り食野を戻すことができて安心だろう。

この数年で東京オリンピック世代の多くの選手が日本を飛び立った。キャプテンを務めるDF中山雄太(ズヴォレ)を筆頭に、DF冨安健洋(ボローニャ)、DF菅原由勢(AZ)、DF板倉滉(フローニンヘン)、MF三好康児(アントワープ)、MF久保建英(マジョルカ)、FW安部裕葵(バルセロナ)、FW前田大然(マリティモ)がヨーロッパへ。MF堂安律(PSV)もオランダでプレーしており、主力の大半が居ない大会という事実もある。

しかし、日本のサッカーがレベルアップしていくのであれば、この流れはこの先も止まることはないことであり、4年後のパリ・オリンピックの出場権が獲得できなくなる可能性は、現実問題として考えなくてはいけない状況に陥ったと言えるだろう。

前述のコロンビア戦は、久保、堂安をA代表から外してまで臨んだものの0-2で惨敗。チームとしての形はなく、攻撃は単発、守備は軽率という体たらくぶりを見せることとなってしまった。

もちろん集まる時間が少ないということは十分理解できるが、今回は国内組がメインとなって臨んでおり、タイに入ってからも時間はあった。これまでの海外遠征でも一緒にプレーしていたことはあり、チーム力が欠落している言い訳はできない。

◆再現性のない攻守のプレー

しかし、守備面での約束事はこの2試合でも見られていない。カバーに入るのか、ボールホルダーに寄せるのか。どの位置でボールを奪いに行くのか、それとも遅らせるのか。どの局面で、何を選択するという最低限の約束事があるとは考えにくい失点の仕方を4つしている。(1つはバックパスのミスだが、これも含めてだ)

一方で、攻撃面も課題は一緒だ。サウジアラビア戦は小川航基を1トップに、食野と旗手怜央をシャドーに配置し、右WBに橋岡大樹、左WBに杉岡大暉を配置。シリア戦は上田綺世をトップに、食野と森島司をシャドーに、右WBは橋岡、左WBに相馬勇紀を配置した。

サウジアラビア戦は前線のコンビネーションがハマらず、良い形でボールが入るシーンが少なかった。食野の強引なシュートによって1点は奪ったが、クロスも合わず、コンビネーションも合わないというシーンが目立った。

そして迎えたシリア戦。組み合わせを変更したものの、サウジアラビア戦の課題は継続。上田が動き出しているのを見る選手は少なく、頼みの綱は相馬の突破と橋岡のクロスのみ。食野はスペースが少なかった影響もあり、強引なプレーが目立った。森島はバランスを取りながらボールを繋いでいたが、決定的な仕事はできなかった。

攻撃の形というものが確立されていないチームにおいては、選手の組み合わせ、意思の疎通が重視される。しかし、チーム作りが進んでいない中で、それを求めるのは酷というもの。ゴールこそ2つ奪っても、強引なシュートからであり、再現性は皆無だ。この完成度では、攻守ともに東京オリンピック本大会が不安でならない。

◆個に頼る戦いには不安

シリア戦では、左WBの相馬、そしてボランチに入った齊藤未月の活躍が目立った。相馬は、日本代表の一員として臨んだ昨年12月のEAFFE-1サッカー選手権で見せた通り、この突破と攻守にわたる戦う姿勢を見せていた。右の橋岡とともに、チャンスメイクをし、結果自身のミドルシュートで得点も記録している。

また、齊藤は攻守にわたってハードワークを続け、中盤では相手選手への寄せの早さで何度となくボールを奪い、攻撃につなげていた。後半は前線まで顔を出すプレーも増え、ゴールへの意欲も見せていた。湘南ベルマーレでプレーしていることをしっかりと出せた印象だが、勝利には繋がらなかった。

チームの形がない状況で求められるのは個の能力だ。兼任するA代表でもその事象はすでに起こっており、試合の展開を読む力、選手間でのコミュニケーションによる連携プレーが重要となっている。結果を見ればまずまずな2019年だったが、11月のベネズエラ代表戦は最悪の出来。日本代表としての試合出場が少ない選手が揃った結果、何も生み出せない試合となり1-4の大敗を喫した。

前述の通り、今大会に出場していない海外組の選手やオーバーエイジ枠を採用するのならば、ある程度のパフォーマンスが期待される選手が揃い、ピッチ内の修正も可能なのかもしれない。しかし、この2試合ではそこが見られなかったとすると、本気でメダルを目指して臨んでくる対戦国を前に、しっかりと戦えるかはいささか疑問が残る。

本大会まで予定されている試合はあと3試合。国内合宿などを組めたとしても、海外組を招集することは不可能だ。メンバーを絞りきれていないところも気になるが、残り半年でどこまで精度を上げられるのか、正直なところ不安しかない。

まずは残りのカタール戦。ちょうど1年前には、A代表として臨んだアジアカップ決勝で苦杯をなめた相手だ。育成に力を入れており、今大会も優勝候補に挙げられているカタールを相手に、しっかりと最後まで戦い、ピッチで体現してもらいたい。
《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》
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国内組が見せた変化、“普段”のパフォーマンスをいかに出せるか/日本代表コラム

およそ3週間にわたる長い日本代表の合宿も終了。この間、カタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選の3試合、セルビア代表との国際親善試合、そして突如生まれたU-24日本代表とのテストマッチの合計5試合を行った。 5月28日に行われたミャンマー代表とのカタールW杯アジア2次予選は日程の関係から海外組のみが参加。6月から国内組も参加することとなった合宿は、実り多いものとなった。 <span class="paragraph-title">◆チームの底上げ</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/japan20210617_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 何よりも大きな成果はチームの底上げができたという点だろう。来月に控える東京オリンピックに向けたU-24日本代表の活動も6月は行われ、そこにオーバーエイジとしてDF吉田麻也(サンプドリア)、DF酒井宏樹(浦和レッズ)、MF遠藤航(シュツットガルト)が参加した。 A代表でも中核を担う3名を東京オリンピックのオーバーエイジとして採用できたことは、森保一監督が兼任していることの賜物。2018年のロシアW杯でベルギー代表の前に敗れ、失意のどん底にいた中での森保監督の兼任という決断は、ここに来て大きな成果につながりそうだ。 そして、その3人がU-24日本代表の大きな力になることに加え、DF冨安健洋(ボローニャ)やMF久保建英(ヘタフェ)など、A代表の常連組もU-24日本代表の活動に参加。そのため、普段は訪れることがないチャンスが、A代表では生まれていた。 昨年の2度の欧州遠征は新型コロナウイルス(COVID-19)の影響もあり、海外組のみで活動。しかし、3月の活動から、国内組も加わり、6月もその形は継続された。 その結果、主軸が抜けた穴を争うべくチーム内で競争が起こり、国内組の選手を中心に控えとみられる選手たちが奮起した。 また、誤算でもあることではあるが、FW大迫勇也(ブレーメン)が途中で離脱、MF南野拓実(サウサンプトン)もキルギス代表戦を前に離脱したことで、そのチャンスはさらに広がり、選手を試さざるを得ない環境にもなったが、そこが上手く機能したと言える。 <span class="paragraph-title">◆国内組に見られた変化</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/japan20210617_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> その中でも目についたのが国内組の選手たちの変化だ。進化と言っても良いかもしれない。 前述の通り、6月の活動からは主軸が数人抜けたことで、チーム内での競争が活性化。また、最終予選に進出することが決まったことからも、公式戦をテストとして使うことが可能となったことが大きい。 今回招集された国内組の選手は、追加招集のFWオナイウ阿道(横浜F・マリノス)も含めて11名。3月の活動に居なかった選手も4名加わったが、合宿が3週間あったこともあり、大きな変化を生み出すこととなった。 3月の活動から1つステージが上がった日本代表。そのステージはこの5月、6月も維持されていたが、3月の活動では戸惑っていた国内組の選手たちが、このステージで戦える形に進化した姿が見られた。 特にメンタリティの変化が大きく、3月から継続して呼ばれた選手たちは、受けた刺激をそのまま継続。今回初めて活動に入ったDF昌子源(ガンバ大阪)やDF谷口彰悟(川崎フロンターレ)、MF坂元達裕(セレッソ大阪)、FWオナイウ阿道(横浜F・マリノス)も、当初その差を感じながらも、この3週間で適応していった。 それはピッチ上でも表れており、まだまだ課題は個々にありながらも、明らかにプレーに変化が出ている状況。タジキスタン、セルビア、キルギスの3試合では試合中にもその変化が見られた。 <span class="paragraph-title">◆通常のパフォーマンスレベルを上げられるか</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/japan20210617_tw5.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> その中でも1つポイントとなったのは、クラブで見せているパフォーマンスを代表の舞台でも出せるかということだろう。 数いる選手の中から選抜されて組むのが代表チームであり、森保監督を含めたスタッフ陣のスカウティングで認められた能力の選手が集っている。能力には問題ない選手が代表チームで輝けないことはしばしばあるが、その大きな理由は普段のプレーを出せないというところにある。 これは国内組に限ったことではないが、評価されたパフォーマンスが発揮できなければ、当然評価は上がらず、結果も残せない。持っているパフォーマンスをいかに試合で出せるかが重要となる。 その点で、3月の活動から日本代表のステージが1つ変わり、個々が持っている特徴をチームとして発揮するということにこだわった。その結果が、韓国代表戦の勝利やモンゴル代表戦の圧勝につながり、それが今回の活動にも継続されていた。 そして、その通常のパフォーマンスをしっかり発揮していたのが海外組だけでなく、国内組にも広がったのが今回の活動だったように思う。 U-24日本代表戦を含めて5試合。通常の代表活動で全選手がピッチに立つことはないが、今回の活動せは全員がピッチに立った。またフィールドプレーヤーは全員が2試合以上に出場。さらに、日本代表の経験が少ない選手は公式戦で2試合に起用されたことも大きいと言える。 トレーニングで強度の高さを学び、それを実戦で試す。そこで出た課題を、再び試合ですぐにトライできるという環境が、大きな変化をもたらしたように思う。チーム戦術は所属クラブとは違いながらも、局面で求められる個々のパフォーマンスはクラブで見せるものと変わりなかった。 その結果は、セルビア戦の後半のプレー、そしてタジキスタン戦とキルギス戦のパフォーマンスの変化にも見られるだろう。Jリーグで見せている普段のプレーをしっかりと発揮すれば、国際舞台でもある程度通用することは証明した。もちろん磨かなくてはいけない部分は多々あるが、Jリーグでやっていることは間違っておらず、選手が積み上げてきたものも間違っていないことが証明された。 キルギス戦でいてば、初ゴールからハットトリックを達成したオナイウのポジション取り、右サイドで縦に中にと変化をもたらせた坂元の仕掛け、立ち位置のチェックとアグレッシブな動きからアシストを決めた川辺の飛び出し、他の選手も個々の特徴を見せたが、それをいかに高いレベルでクラブでも続けられるかが今後のカギとなる。 <span class="paragraph-title">◆最終予選へのサバイバル</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/japan20210617_tw4.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 次の活動まではおよそ2カ月半の期間が空くことになり、海外組は新シーズンの開幕まで束の間の休息がある。また、チームを変える選手、チーム内でのポジション争いが待つ選手など、それぞれの勝負が始まる。 一方で、国内組はリーグ戦が待っており、実戦の場でのアピールが可能。この3週間で得たものを、チームに戻っても磨き続けられるか、そしてピッチ上で表現できるかが重要になる。 そして、その還元がJリーグそのもののレベルを引き上げることに繋がり、その結果がさらに選手自身の強化、成長に繋がっていく。代表からJリーグへ、Jリーグから代表へという循環を、チームに戻った選手たちが作り出すことが、日本代表が来年のカタールW杯で結果を残すためには必要だろう。 Jリーグで結果を出し続ければ日本代表への道が開けることは証明された。そして、それが国際舞台でも通用することも証明された。より高いレベルの相手に通用するかどうかは、ここからどれだけ磨けるかに懸かってくる。 9月の最終予選には、東京オリンピックを終えた選手たちもポジションを狙ってくる。「1チーム2カテゴリー」と森保監督は常日頃から口にするが、「1チーム1カテゴリー」になり、U-24日本代表の選手たちもA代表の舞台でサバイバルが始まる。 明らかにこれまでとは異なる姿を見せている日本代表。難敵揃いの最終予選でも見たいのは、ここ最近のサッカーだ。それを見せるためには、各クラブで、国内外問わずそれぞれの選手が高みを目指し続けることが不可欠。自らの基準を上げていけるかが重要となる。 <div id="cws_ad">《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》</div> 2021.06.18 07:15 Fri
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セルビア相手に見えた現在地、残るはラストの1試合/日本代表コラム

日本代表の今シーズンの活動も残り1試合。15日に行われるカタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選最終節のキルギス代表戦で終了する。 新型コロナウイルス(COVID-19)の感染拡大もあり、6月に日本で集中開催となったアジア2次予選。日本は5月28日のミャンマー代表戦で勝利し、最終予選進出を決めている。 この5月、6月シリーズでは合計で5試合を開催。6月に入ってからも4試合目となり、日本代表の活動もおよそ3週間と長丁場だ。次の活動は9月。カタール・ワールドカップ(W杯)に向けた、最終予選となる。残り1試合がアピールの場となる。 <span class="paragraph-title">◆現在地を測ったセルビア代表戦</span> 11日に行われたキリンチャレンジカップ2021のセルビア代表戦。森保ジャパンが発足してから、初めてのヨーロッパの国との対戦となった。 現在開催されているユーロ2021の出場権を逃したセルビアが来日。かつてJリーグを沸かせたドラガン・ストイコビッチ監督が率いるチームだったが、今回の活動では最も力のある対戦相手となった。 東京オリンピックに臨むU-24日本代表にオーバーエイジとしてDF吉田麻也、DF酒井宏樹、MF遠藤航が参加した他、DF冨安健洋やMF久保建英、MF堂安律などA代表常連組の東京五輪世代の選手も不在、さらに、FW大迫勇也がケガで離脱するなど、ベストメンバーではなかった日本だが、セルビアには現状のベストチームで臨んだと言える。 現在地を図るという点では、MF古橋亨梧(ヴィッセル神戸)やDF谷口彰悟(川崎フロンターレ)、GK権田修一(清水エスパルス)と国内組3名が起用。特に古橋と谷口に関しては、国際経験が少ないため、どのようなパフォーマンスになるか注目が集まった。 前半に関しては、セルビアも5バック気味に戦ったこともあり、なかなか攻撃面で良いシーンを作り出せなかった日本。特に気になったのは、MF鎌田大地やMF南野拓実が相手の間にポジションを取っても縦パスがほとんど入らなかったという点だ。 鎌田はこれまでにも「早いタイミングでつけてほしい」と、縦パスを望んでいた中で、セルビアと実力ある相手では出てこない状況。さらに、セルビアがインテンシティ高くプレーしたこともあり、押し出される感じが見えていた。 また、鎌田は試合後に「前から行ってボールを取ってから落ち着くと、何のために前からプレスに行っているかわからない」とコメント。現代フットボールの主流である奪ってから早い攻撃を仕掛けることができておらず、それが相手の力が上がったためにできなかったと分析した。 この点に関しては、出し手のMF守田英正は「ボールを受けること自体が怖がる選手が前半は多かった」とし、セルビアの圧力に押されたことを語った。 セルビアの戦い方も素晴らしかった前半だが、このパターンは最終予選では起こり得ること。これまで2桁得点を重ねて勝って来た相手とはレベルが違うだけに、セルビア戦で課題を確認できたことはプラスと言えるだろう。選手個々がバランスを見ながらもリスクを取ることを考える必要があると言える。 </span><span class="paragraph-title">◆試合をコントロールし後半は改善</span> 一方で「まずは失点しないことが大事。上手くいかなくてもいいから、失点をしないということ」と試合後にDF長友佑都が語っていたが、苦しい状況を無理に打開する必要はないとコメント。無理なプレーの結果、相手に奪われて失点する方が良くないという考えだ。 前半はゴールレスで終えた日本だったが、後半に修正。メンバーを入れ替えたこともあるが、CKから早々にMF伊東純也がネットを揺らした。 このゴール、鎌田のクロスをニアサイドで谷口がフリック。ファーに伊東が詰めたというもの。実は、3日に行われたU-24日本代表戦でも全く同じ形からゴールが生まれており、立ち上がり1分でCKを得ると、鎌田のクロスをニアで大迫がフリックし、橋本拳人がファーで詰めるというものだった。 トレーニングで準備してきたセットプレーの形を、2度もゴールに繋げたことは非常に評価できるポイントだろう。さらに、屈強で身体も大きいセルビア相手にやったのだから、素晴らしいと言える。 さらに、前半なかなか縦パスが出てこなかったが、後半に入ってからはセルビアの強度も若干落ち、縦パスの数が増えた。ハーフタイムに修正がかかったというが、相手との噛み合わせもありながら、前半にできていなかったことを、しっかりと後半出せたという点は評価して良い。対応力という部分では、しっかりと話し合って結果に繋げられたことは、この合宿の成果とも言えるだろう。 守備陣もしっかりと安定したプレーを90分間行い、セルビアの攻撃陣に仕事をさせず。対人の守備を含め、予測からのパスカットなど、集中した守備を見せた。チーム全体で連動したプレスをかけるということはできており、最終予選に向けては自信を持っていい状況と言えるだろう。 </span><span class="paragraph-title">◆最後の1試合でこの合宿の集大成を</span> 急きょ組まれたU-24日本代表との一戦を含め、5試合を終えることとなる日本代表。最後の1試合でもしっかりと勝利を収めてほしいところ。さらに、内容もしっかりと見せてもらいたい。 これまでの流れを組めば、タジキスタン戦のメンバーが中心となるはず。チームとしてはMF南野拓実も離脱したため、またチャンスが巡ってくる選手がいるはずだ。 キルギスとの試合で誰が起用されるかは不透明だが、オーバーエイジの3人に加え、このチームでの得点ランキング上2人の大迫と南野がいない状況。その中でどこまで強さを見せつけられるのか。控え組の選手たちがポジションを奪うためには、ここで圧倒的な力を示さなければいけない。 厳しい戦いが続くと予想される最終予選前の試合。ここまでの3週間の成果を見せてもらいたいものだ。 <div id="cws_ad">《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》</div> 2021.06.14 08:45 Mon
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控え組と主力組の明確な差、鎌田大地が見せた存在感にヒント/日本代表コラム

「第一の責任は私にあると思います」試合後の記者会見で、森保一監督は第一声で自分の責任を認めた。日本代表は7日、カタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選のタジキスタン代表戦を行い、4-1で勝利した。 国内組が7名先発、DF中谷進之介(名古屋グランパス)、MF川辺駿(サンフレッチェ広島)、MF古橋亨梧(ヴィッセル神戸)が初先発と大きくメンバーを入れ替えて臨んだ。 すでに最終予選進出を決めている中で、東京オリンピックに向けたオーバーエイジ枠としてDF吉田麻也(サンプドリア)、DF酒井宏樹(マルセイユ)、MF遠藤航(シュツットガルト)がU-24日本代表に参加するために離脱。さらにDF冨安健洋(ボローニャ)も東京オリンピック世代のため、特に守備陣は通常と違う陣容となった。 <span class="paragraph-title">◆気になった立ち上がりのプレー</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/get20210608_7_tw1.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 14-0で勝利したモンゴル代表、10-0で勝利したミャンマー代表と比較すれば、グループ2位に位置するタジキスタン代表は1つも2つもレベルは上のチームだ。世代別では2019年のU-17ワールドカップや2018年のAFC U-19選手権に出場するなど、アジアでも実力を持った国の1つだ。 日本のメンバー変更、そして相手のレベルが上がったことでこれまでの2試合と同じような展開になるとは思われていなかった。しかし、同じ日本代表として活動してきた中で、同等のパフォーマンスを見せられるかに注目が集まっていた。 立ち上がり、日本は高いインテンシティで入った。ファーストコンタクトからその雰囲気を出すと、6分に山根視来(川崎フロンターレ)のスルーパスに反応したFW浅野拓磨が裏を取るとボックス内でシュート。しかし、GKにセーブされると、こぼれ球を古橋が蹴り込み、日本が先制した。 苦しむ可能性もあった中、早い時間帯に先制。このゴールで、普段から出場機会が少ない選手たちの肩の荷がおりてリラックスしてプレーできるだろうと感じた。 しかし、ここからの選択が問題だった。 先制した日本。モンゴル戦やミャンマー戦であれば、さらに相手を押し込んで追加点を狙って行ったはずだ。しかし、負けられないタジキスタンが圧を掛けにくると、それに押されるかのように徐々に後退して行った。 ボランチで先発した川辺は「結果として後ろに重たくなってしまった」とコメント。コンビを組むMF橋本拳人(FCロストフ)は「バランス見ながらやり過ぎたなということはある」と語り、慎重に行き過ぎた結果、押し込まれる展開となった。 最終ラインに入ったDF昌子源(ガンバ大阪)は「簡単なボールの失い方が特に前半は多かったので、自分たちがボールをしっかり持って、コントロールできたらよかったと思う」とコメント。ボランチから後ろが初めての選手が多いことも影響したが、前に押し出すことができず、先制から3分後に失点を喫した。これが2次予選の初失点となった。 「いつかは失点する時が来る」と森保監督も語ったように、失点自体が問題というわけではない。もちろん無失点であることは良いことだが、問題はその失点を生み出すまでの流れ。この流れは、主力組が試合に出ていれば起こらなかったとも想像できる。 <span class="paragraph-title">◆主力組と控え組の差は「持続性」</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/get20210608_7_tw2.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> 国内組と海外組という分け方ができるが、敢えて主力組と控え組と言い換えさせてもらう。 U-24日本代表に参加している主力組の4人がいない事、また前線の組み合わせでもケガで離脱したFW大迫勇也(ブレーメン)が居なかったことや、MF鎌田大地(フランクフルト)、MF伊東純也(ヘンク)がベンチにいたことは大きく影響したと言える。 1つのポイントは「持続性」だ。先制点を取った後のプレーは、その「持続性」が出せずにズルズルと下がり、最後は押し込まれてしまった。しかし、ここ2試合で主力組が見せていた戦い方は、押し込み続けて相手を圧倒するというサッカーだった。 同じコンセプトでトレーニングを行なっている中、当然選手たちの頭の中にもあったはず。しかし、結果として前半はその姿を見せることがなかなかできなかった。 後半に入り、ハーフタイムで修正もあったことで明らかにインテンシティは上がった。球際のデュエルも、ボールを奪いに行く位置も、選手の動きに関しても増えた。「選手層の幅を広げながら、より高い頂点を目指す」と森保監督が語った通り、この問題が生まれることは想定済みだったはずだ。しかし、その差があることを実感しなければいけないということ。日本代表として高い目標、高いレベルに行くには、控え組の選手たちが高いレベルに行かなければいけない。 最終的に4ゴールを奪い、失点以外のシーンで守備陣に問題が生まれたシーンはなかったため、試合中に成長を果たしたということ。急造のコンビも徐々に感覚があってきたのだろう。それを試合の頭から出せることが、今の控え組には重要であり、残り2試合で示さなければいけないポイントとなった。 <span class="paragraph-title">◆別格の存在感を見せる鎌田大地</span> <div style="text-align:center;"><img src="https://image.ultra-soccer.jp/1200/img/2021/get20210608_7_tw3.jpg" style="max-width: 100%;"></div><div style="text-align:right;font-size:small;" id="cws_ad" class="desc">Getty Images<hr></div> この試合でもう1つの発見は、後半から出場した鎌田の存在感だ。南野拓実(サウサンプトン)に代わってトップ下に入った鎌田。タイトな守備でなかなかスペースを与えなかったタジキスタンディフェンスにあって、その間で巧みにポジションを取り、しっかりと後方からのパスを引き出した。 今回の活動では大迫が残り2試合を欠場。前線の選手としてはアピールの舞台となる一方で、大迫が見せていたタメを作る攻撃ができなくなるというマイナスもあった。 しかし、鎌田がトップ下に入ることで攻撃が活性化。周りの選手自体が生きる場面が一気に増え、連動性が生まれた。鎌田の持つ特徴の1つである優れたポジショニングがこれを生み出しており、フランクフルトで見せている力を代表でも存分に発揮している。 当然、鎌田もいつもとは違う組み合わせの選手たちとプレーしたわけだが、それでも持ち味を出してプレー。その点でも、今の日本代表の主力としてのレベルを示したと言えるだろう。このレベルを控え組の選手たちも感じることが重要であり、逆に言えば一緒に出る主力組の選手たちは、引き上げるプレーをしなければいけない。 自信の特徴を出した上で、周りを使う。急造のコンビになる可能性はセレクトされた代表チームなのだから当然。そこで力を発揮できなければ意味はなく、個々がその意識を持たなければ、不測の事態は乗り越えられない。 「底上げ」という言葉は、下が成長して行くだけでなく、上が引っ張りあげることも重要。東京五輪世代の選手たちも9月の最終予選には絡んでくることとなり、A代表との試合で感化された選手が多くいる状況。3カ月後にどちらがA代表の水準になれているのか。残りの試合にも注目だ。 <div id="cws_ad">《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》</div> 2021.06.08 13:40 Tue
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歴史に残る日本代表対決、A代表が見せた凄みとU-24日本代表が金メダルへ学ぶべき姿勢/日本代表コラム

突然のことながら歴史に残る一戦が組まれた。日本代表同士の対決。タブー視されるという話もある中で、日本代表と東京オリンピックに出場するU-24日本代表の対決が実現した。 キリンチャレンジカップ2021で対戦する予定だったジャマイカ代表のヨーロッパ組の選手たちが、新型コロナウイルス(COVID-19)のPCR検査で陰性証明に不備があったことで来日できず。さらに、日本政府が掲げる感染防止の特別措置にあたる試合3日前の入国が不可能になったことで、中止となっていた。 その代役としてU-24日本代表との夢の対決が実現したわけだが、実際のところジャマイカ戦より楽しまれた方、または興味を持った方も多かったのではないだろうか。 「通常時では国際試合を行うのがベース」と反町康治技術委員長が語ったように、本来であれば組まれないカード。「非常時に限られているだけで、今後も実現しづらいと思います」と語ったように、もう二度と見ることはできないかもしれない。 そんな貴重な一戦だが、開始2分でA代表が先制。CKからいきなりゴールを奪うと、前半のうちに追加点。さらに後半も立ち上がりにゴールを奪い、終わってみれば3-0でA代表が勝利を見せた。 <span class="paragraph-title">◆A代表が見せたメンタリティさ</span> 「弟でもなんでもない」と反町技術委員長は語ったが、U-24日本代表といっても多くの選手がA代表を経験している状況。また、ヨーロッパでプレーする選手も多く、いわゆる世代別の代表という弱さはないチームだ。 しかし、3-0という結果になった差は確実にある。もちろん、致し方ない理由の1つとしてはコンディションの差だろう。 A代表は、5月28日に行われたミャンマー代表とのカタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選を戦うために、その前から調整。コンディションも整っている上、チームとしての活動期間も長く、その点では有利だったはずだ。 一方のU-24日本代表は5月31日にA代表との対戦が急きょ決定し、1日には北海道へ移動。当初の予定としては全くなかった移動と試合であり、選手たちは合流してから間も無く、5日のU-24ガーナ代表戦に焦点を当てていた。その点の差はあったと言えるだろう。 しかし、それ以上の差は別のところにある。1つは、A代表が見せたメンタリティだ。立ち上がり1分ちょっとで決めた先制ゴールもその1つ。室屋成(ハノーファー)が右サイドを仕掛けて得たCK。鎌田大地(フランクフルト)のクロスをニアサイドで大迫勇也(ブレーメン)がフリック。どフリーで待っていた橋本拳人(FCロストフ)が合わせた。 この場面、最初のセットプレーということもあり、U-24は少し緩んでいた。マークはついていたものの、動き出しに対してマークがズレると、ニアでフリックしたボールには誰1人反応できなかった。一方で、橋本はそこに来ることを読んでしっかりとポジションを取ったことで、嬉しい代表初ゴールを記録することとなった。 <span class="paragraph-title">◆成熟されたオートマティズムさ</span> そのメンタリティとともに大きな差となったのが、チーム全体のオートマティズムだ。U-24日本代表の選手たちは、誰かがボールを持った際にワンテンポ動き出しが遅れる。ボールの出し手と受け手の連係が構築できていないことがわかるが、もちろんまだメンバーが決まっていない中、チームとしての活動時間も短いから仕方ない部分はある。 しかし、A代表は選手たちの意思疎通が図れており、2人目、3人目だけでなく、4人目や逆サイド、または攻撃時には守備陣も次の守備を予測したポジション取りと、全てがオートマチックに動いていた。 U-24日本代表がボールを握り、攻め込む時間帯も前後半ともにあったが、特に前半はA代表の守備陣は苦労せずに守れていた。それは、U-24日本代表がオートマチックに動かないため。 次何が起こすかを考えてからプレーするため、A代表の選手としてはスピード感も予測も上回ることができたと言えるだろう。 田川亨介(FC東京)が裏に抜けて独走したシーンが最大の決定機だったが、前半のピンチはあのシーンぐらいと言える。しかし、裏を完全に取られ、スピードある田川には追いつけないという状況。しかし、DF植田直通(ニーム)はボールや田川ではなく、シュートコースを限定しに動いていった。その結果、左利きの田川はファーサイドを狙えず、ニアを打ち抜こうとしたが、結果サイドネットを揺らすに止まった。 その判断力こそが、A代表とU-24日本代表との差であり、アジア2次予選で当たる国との差といえるだろう。すでに、そのレベルにはA代表はいないということだ。 <span class="paragraph-title">◆真剣勝負の中の本気さ</span> 「何よりよかったのは、昨日の試合に皆本気で悔しがってることです」と試合翌日にA代表のキャプテンであり、今回はオーバーエイジとしてU-24日本代表の活動に参加しているDF吉田麻也(サンプドリア)は語った。 U-24日本代表の選手たちは本気で勝ちに行っていたのだろう。結果は3-0だったが、決して諦めることなく、ハードワークし、本気で勝ちに行っていた。 しかし、勝利どころかゴールすら奪えなかったのが現実。様々な要素があっても、負けは負けだ。その差は、A代表が本気を出したからだろう。 ベストメンバーではなかったA代表だが、それでもそれぞれの選手が、A代表が目指すレベルのプレーを最初から発揮。U-24日本代表に、力を見せつけるという気概を感じた。 決して余裕があったわけではないだろう。気を抜けば、結果は違った可能性も高い。ただ、気を抜かなかったのがA代表であり、いつものパフォーマンスを出し続けようと突き詰めたのがA代表だったということだ。 U-24日本代表は、6月の2試合を終えて東京五輪へのメンバーが決定。そして1カ月後には開幕する。金メダルを目指すチームが、ワールドカップでベスト8を目指すチームから感じ取るものがあるのか。それは残りの試合と、東京五輪本番で見せてもらいたい。 <div id="cws_ad">《超ワールドサッカー編集部・菅野剛史》</div> 2021.06.05 19:20 Sat
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