国立競技場は陸上競技場?/六川亨の日本サッカー見聞録
2020.01.03 11:30 Fri
あけましておめでとうございます。
鹿島は、シーズン中に鈴木優磨や安部裕葵ら主力選手が海外のチームに移籍しながらも決勝まで勝ち上がってきたのには、伝統の底力を感じずにはいられない。イニエスタから何度もボールを奪ったレオ・シルバは孤軍奮闘していたものの、攻撃陣の迫力に欠けたのが敗因だったのではないだろうか。
正直なところ、神戸が優勝してよかったと思う。それというのも神戸は昨シーズンから三木谷オーナーの個人的なマネーで大型補強をしてきたからだ。先行投資が、天皇杯優勝という結果に結びついた。
有望な若手選手の海外流出が続きJ1チームは空洞化するなか、ベテランではあるがイニエスタらは数少ない「客を呼べる選手」である。そうした選手を擁してもC大阪のように結果が出なければ、先行投資は失敗したと言われ、「お金をかければ勝てるわけではない」という風潮になってしまう。
そんな現状に風穴を開けたのが、今シーズンの横浜F・Mのシティグループによる外国人選手の獲得であり、神戸の天皇杯優勝だった。
果たして神戸の成功例を、ビッグクラブを自認する首都圏のチーム、浦和とFC東京、さらには財力のある大宮などはどうとらえるか。試合に勝つために、そして勝つだけでなくファン・サポーターに「一度は見てみたい」とスタジアムに足を運ばせる選手の重要性に気付くかどうか。
とりわけ試されるのは、昨シーズンは残留争いに巻き込まれ、新シーズンは強化スタッフが一新された“ビッグクラブ”と言われる浦和の本気度だ。
最後に、こけら落としとなった国立競技場である。日産スタジアムに比べて見やすいものの、やはり陸上競技場のトラックがあるため臨場感はない。可もなく不可もないといった平凡なスタジアムだった。
完成したと言われていたが、メインスタンド中央の記者席は仮設で、監督会見の行われた部屋も臨時と、まだまだ工事は続くようだ。恐らくメインスタンド中央は、今後はロイヤルボックスに改装されることだろう。
そして一番がっかりしたのは、今回は一般ファンに販売されて使用できなかった本来の記者席である。
3層に設置された記者席だが、旧国立競技場と同じでメインスタンドの中央ではなく、右よりに設置されている。普通、サッカースタジアムの記者席は埼玉スタジアムやカシマスタジアムのようにメインスタンド中央に造られている。
しかし国立競技場は前述したように右よりの、陸上競技のゴールラインを延長線上にある。オリンピックとパラリンピック終了後に、国立競技場を陸上競技で使うことはほとんどないだろう。なのに記者席は陸上競技用に造られている。
一般ファンには関係のない話ではあるが、こうした造り、さらにはオリンピックとパラリンピックの終了後はトラックの撤去などにも、もっとJFA(サッカー協会)は発言力を持って欲しいと思わざるを得なかった。果たして国立競技場がサッカーの“聖地”となるのかどうか。
サッカー専用競技場として埼玉スタジアムがあるものの、アクセスの良さは国立競技場にかなわない。だからこそ、サッカーファンの1人として国立競技場は、陸上競技場ではなくサッカーの“聖地”にしたいだけに、残念な現状でもある。
PR
といったところで、令和2年の天皇杯はJ1神戸が創部25年にして初めてのタイトルを獲得した。試合巧者の鹿島に前半で2-0とリードすると、後半は鹿島の猛攻に遭いながらも時間を上手く使って逃げ切り、初の戴冠を果たした。試合後のセレモニーでは、ホームのゴール裏サポーターから「三木谷」コールが起きると、オーナーの三木谷氏も手を振ってサポーターに応えていた。正直なところ、神戸が優勝してよかったと思う。それというのも神戸は昨シーズンから三木谷オーナーの個人的なマネーで大型補強をしてきたからだ。先行投資が、天皇杯優勝という結果に結びついた。
かつてC大阪はディエゴ・フォルランを獲得したものの、結果を残せず低迷した。ビッグネームの獲得は観客動員に貢献したものの、チームの強化に結びつかなかった。
有望な若手選手の海外流出が続きJ1チームは空洞化するなか、ベテランではあるがイニエスタらは数少ない「客を呼べる選手」である。そうした選手を擁してもC大阪のように結果が出なければ、先行投資は失敗したと言われ、「お金をかければ勝てるわけではない」という風潮になってしまう。
そんな現状に風穴を開けたのが、今シーズンの横浜F・Mのシティグループによる外国人選手の獲得であり、神戸の天皇杯優勝だった。
果たして神戸の成功例を、ビッグクラブを自認する首都圏のチーム、浦和とFC東京、さらには財力のある大宮などはどうとらえるか。試合に勝つために、そして勝つだけでなくファン・サポーターに「一度は見てみたい」とスタジアムに足を運ばせる選手の重要性に気付くかどうか。
とりわけ試されるのは、昨シーズンは残留争いに巻き込まれ、新シーズンは強化スタッフが一新された“ビッグクラブ”と言われる浦和の本気度だ。
最後に、こけら落としとなった国立競技場である。日産スタジアムに比べて見やすいものの、やはり陸上競技場のトラックがあるため臨場感はない。可もなく不可もないといった平凡なスタジアムだった。
完成したと言われていたが、メインスタンド中央の記者席は仮設で、監督会見の行われた部屋も臨時と、まだまだ工事は続くようだ。恐らくメインスタンド中央は、今後はロイヤルボックスに改装されることだろう。
そして一番がっかりしたのは、今回は一般ファンに販売されて使用できなかった本来の記者席である。
3層に設置された記者席だが、旧国立競技場と同じでメインスタンドの中央ではなく、右よりに設置されている。普通、サッカースタジアムの記者席は埼玉スタジアムやカシマスタジアムのようにメインスタンド中央に造られている。
しかし国立競技場は前述したように右よりの、陸上競技のゴールラインを延長線上にある。オリンピックとパラリンピック終了後に、国立競技場を陸上競技で使うことはほとんどないだろう。なのに記者席は陸上競技用に造られている。
一般ファンには関係のない話ではあるが、こうした造り、さらにはオリンピックとパラリンピックの終了後はトラックの撤去などにも、もっとJFA(サッカー協会)は発言力を持って欲しいと思わざるを得なかった。果たして国立競技場がサッカーの“聖地”となるのかどうか。
サッカー専用競技場として埼玉スタジアムがあるものの、アクセスの良さは国立競技場にかなわない。だからこそ、サッカーファンの1人として国立競技場は、陸上競技場ではなくサッカーの“聖地”にしたいだけに、残念な現状でもある。
PR
日本の関連記事
J1の関連記事
|
日本の人気記事ランキング
1
U-18日本代表が発表 U-17W杯メンバーから5名、関東大学選抜やウズベキスタンと対戦
日本サッカー協会(JFA)は13日、IBARAKI Next Generation Cup 2023に臨むU-18日本代表メンバーを発表した。 船越優蔵監督率いるチームは18日から活動をスタートし、21日にU-20関東大学選抜と水戸市立サッカー・ラグビー場で、23日にU-22 ALL IBARAKIと、24日にU-18ウズベキスタン代表とケーズデンキスタジアム水戸でそれぞれ対戦する。 今回のメンバーには11月のU-17ワールドカップ(W杯)インドネシア2023にも出場した後藤亘(FC東京U-18)や土屋櫂大(川崎フロンターレU-18)、佐藤龍之介(FC東京)、中島洋太朗(サンフレッチェ広島F.Cユース)、永野修都(FC東京U-18)も名を連ねた。 ◆U-18日本代表 GK 1.濱﨑知康(川崎フロンターレU-18) 12.後藤亘(FC東京U-18) DF 13.池田春汰(横浜F・マリノスユース) 15.石原未蘭(サンフレッチェ広島F.Cユース) 3.塩川桜道(流通経済大学付属柏高) 4.尾崎凱琉(大阪桐蔭高) 2.梅木怜(帝京高) 2.本間ジャスティン(ヴィッセル神戸U-18) 16.土屋櫂大(川崎フロンターレU-18) MF 8.保田堅心(大分トリニータ) 14.廣井蘭人(筑波大) 10.鈴木陽人(名古屋グランパスU-18) 17.中川育(サンフレッチェ広島F.Cユース) 6.由井航太(川崎フロンターレU-18) 7.石井久継(湘南ベルマーレU-18) 18.永野修都(FC東京U-18) 19.中島洋太朗(サンフレッチェ広島F.Cユース) 20.佐藤龍之介(FC東京) FW 9.塩貝健人(慶応義塾大) 11.小嵐理翔(実践学園高) 2023.12.13 20:10 Wed2
U-18日本代表候補メンバーが発表! J1から2名、高校生は7名が招集
日本サッカー協会(JFA)は22日、U-18日本代表候補トレーニングキャンプのメンバーを発表した。 今回のトレーニングキャンプは、2月27日〜3月3日まで実施。キャンプ中に流通経済大学、早稲田大学とのトレーニングマッチを行う。 今回のメンバーには、京都サンガF.C.のMF平賀大空やセレッソ大阪のMF石渡ネルソンらが招集。その他、下部組織所属の選手に加え、高校からは7人が選出された。 GK 濱﨑知康(川崎フロンターレU-18) 中村圭佑(静岡学園高校) 小林将天(FC東京U-18) DF 桒原陸人(ガンバ大阪ユース) 櫻井稜(鹿島学園高校)※ 稲垣篤志(浦和レッズユース) 池田春汰(横浜F・マリノスユース) 尾崎凱琉(大阪桐蔭高校) 畑野優真(横浜F・マリノスユース) 市原吏音(大宮アルディージャU18) 水木康誠(横浜FCユース) 本間ジャスティン(ヴィッセル神戸U-18) 喜多壱也(京都サンガF.C.U-18) MF 平賀大空(京都サンガF.C.) 岡崎寅太郎(川崎フロンターレU-18) 石渡ネルソン(セレッソ大阪) 鈴木陽人(名古屋グランパスU-18) 中川育(サンフレッチェ広島ユース) 由井航太(川崎フロンターレU-18) 永田滉太朗(横浜FCユース) 神田拓人(尚志高校) 林奏太朗(サガン鳥栖U-18) 早川隼平(浦和レッズユース) 清水大翔(セレッソ大阪U-18) FW 貴田遼河(名古屋グランパスU-18) 横山夢樹(帝京高校) 綱代陽勇(尚志高校) 神田奏真(静岡学園高校) ※個人の事情のため3月2日(木)午後のトレーニング後にチームを離脱 2023.02.22 16:22 Wed3
U-20日本女子代表、たった1人で声援を送り続けたサポーターにも反響「凄かった」「よく声が響いていた」
U-20日本女子代表に声援を送り続けたサポーターが話題だ。 7日、AFC U20女子アジアカップのグループB第2節でU-20中国女子代表と対戦したU-20日本女子代表。土方麻椰のゴールで26分に先制すると、88分に天野紗の直接FKで貴重な2点目。2-0で勝利し、ノックアウトステージ進出を決めるとともに、コロンビアで開催されるU-20女子ワールドカップ(W杯)の出場権を獲得した。 ウズベキスタンで開催されている今大会。日本からはおよそ6,000km離れているなか、スタンドでは、1人の日本代表サポーターの男性が太鼓とともに声援を送り続けていた。 日本のゴールシーンなどでもその姿が映し出されていた男性。アジアカップの公式X(旧ツイッター)でもピックアップされると、SNS上のファンも反応し、現地に行ってる人いるのか!すげぇーな」、「よく声が響いていましたね〜」、「サポさんが素晴らしい」、「(選手たちと) 同じくらい凄かった」、「最後まで素晴らしい応援でした」と注目が集まっていた。 1人とはいえ、サポーターの生の声援は異国の地で戦うヤングなでしこの選手たちにとっても大きなエネルギーになったのではないだろうか。 なお、ノックアウトステージ進出を決めた日本だが、グループ第3節ではU-20北朝鮮女子代表と対戦。北朝鮮戦は10日に行われる。 <span class="paragraph-title">【写真&動画】U-20日本女子代表に声援を送り続けたサポーター</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr"><a href="https://twitter.com/hashtag/U20%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%A5%B3%E5%AD%90%E4%BB%A3%E8%A1%A8?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#U20日本女子代表</a>、FIFA U20女子 <a href="https://twitter.com/hashtag/%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%89%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#ワールドカップ</a> コロンビア2024 出場権獲得!<br><br>おめでとうございます<a href="https://twitter.com/hashtag/U20WAC?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#U20WAC</a> <a href="https://t.co/BPX3j22lKm">pic.twitter.com/BPX3j22lKm</a></p>— #アジアカップ2023 公式 (@afcasiancup_jp) <a href="https://twitter.com/afcasiancup_jp/status/1765736711680917556?ref_src=twsrc%5Etfw">March 7, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> <blockquote class="twitter-tweet" data-media-max-width="560"><p lang="ja" dir="ltr">/<br>ヤングなでしこ<br>先制点はダイレクトパスの連続から<br>\<br><br>準決勝進出&U-20女子W杯出場が懸かる一戦<br><br>前半26分に<br>久保田のクロスを土方麻椰が合わせる<br>この日も幸先よく日本が先制<br><br>AFC U20女子アジアカップ ウズベキスタン 2024<br>中国×日本<br> <a href="https://twitter.com/hashtag/DAZN?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#DAZN</a> ライブ配信中 <a href="https://t.co/8RSfEEXhQ5">pic.twitter.com/8RSfEEXhQ5</a></p>— DAZN Japan (@DAZN_JPN) <a href="https://twitter.com/DAZN_JPN/status/1765704078045192378?ref_src=twsrc%5Etfw">March 7, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.03.08 17:35 Fri4
U-18日本代表が発表、10番は川崎FのMF大関友翔…韓国やパラグアイと対戦【SBSカップ国際ユースサッカー】
日本サッカー協会(JFA)は9日、2023 SBSカップ国際ユースサッカーに出場するU-18日本代表メンバーを発表した。 大会は静岡県で開催。17日から20日まで行われ、17日にU-18韓国代表、18日に静岡ユース、20日にU-18パラグアイ代表と対戦する。 今回のメンバーには、大学生が2名、高校生が8名招集。Jリーガーは川崎フロンターレのMF大関友翔飲みとなった。 なお、事前にはトレーニングも行われ、12日から16日までのトレーニングパートナー4名も発表されている。 ◆U-18日本代表 GK 1.中村圭佑(静岡学園高校) 12.小林将天(FC東京U-18) DF 2.桒原陸人(明治大学) 5.池田春汰(横浜F・マリノスユース) 3.尾崎凱琉(大阪桐蔭高校) 16.梅木怜(帝京高校) 4.喜多壱也(京都サンガF.C.U-18) 15.中光叶多(サンフレッチェ広島F.Cユース) MF 10.大関友翔(川崎フロンターレ) 7.安斎悠人(尚志高校) 17.松田悠世(桐光学園高校) 11.鈴木陽人(名古屋グランパスU-18) 13.中川育(サンフレッチェ広島F.Cユース) 6.神田拓人(尚志高校) 8.尾川丈(川崎フロンターレU-18) FW 14.塩貝健人(慶応義塾大学) 18.郡司璃来(市立船橋高校) 9.神田奏真(静岡学園高校) ◆トレーニングパートナー 芹生海翔(鹿児島城西高校) 内川遼(市立船橋高校) 片野拓久(日本体育大学柏高校) 木吹翔太(サンフレッチェ広島F.Cユース) 2023.08.09 18:05 Wed5