【J1クラブ通信簿】迷走したフロント陣、安定感を欠き2年連続残留争い《サガン鳥栖》
2019.12.17 21:40 Tue
優勝争いから残留争いまで手に汗を握る接戦、熱戦が続いた2019シーズンの明治安田生命J1リーグ。超ワールドサッカー編集部は、J1全18クラブの通信簿(トピック)やチームMVP、補強成功度、総合評価)をお届けする。第4弾は15位のサガン鳥栖を総括!
MF高橋秀人(32)
明治安田生命J1リーグ32試合出場(先発32試合)/1得点
MVPは3名で悩んだ。数少ない得点源であった金崎夢生、イサック・クエンカも候補だったが、ここは高橋秀人を選びたい。鳥栖が誇る“トリプル高橋”において、最もチームに貢献したのが秀人だ。今シーズンはボランチでスタートした高橋だったが、金明輝監督になってからは4バックの一角を務め、高橋悠治とセンターバックコンビを組んだ。
経験のある高橋らしさを遺憾なく発揮し、的確なカバーリングとポジショニング、そしてディエンスリーダーとして牽引。難しい時期が続いたチームにおいて、その屋台骨となった。
◆補強成功度【E】
2018シーズンも残留争いに巻き込まれていたチームは、人員整理を敢行。そして、フェルナンド・トーレスを生かすべく同胞のMFイサック・クエンカを獲得。さらに、ルイス・カレーラス新監督の下、ニノ・ガロヴィッチ、カルロ・ブルシッちの両DFを獲得。さらに、権田修一(現ポルティモネンセ)が抜けた穴に大久保択生をFC東京から獲得。ベテランDF岩下敬輔もアビスパ福岡から獲得した。
気を吐いたのはクエンカのみで、29試合6得点。チームの攻撃を司る役割に加え、ハードワークも厭わない姿勢はチームの助けとなった。一方で、期待されたチアゴ・アウベスや金森は無得点。守備陣の補強だった金井が4得点を挙げたが、補強が成功したとは到底言えないシーズンだった。
◆総合評価【E】
開幕から10試合でたった1得点。3連敗と5連敗を喫すると5月にカレーラス監督を解任。金明輝コーチが監督に就任した。
カレーラス監督にとっては、選手の補強も進まず、チーム作りに時間がかかると開幕前に話していたが、まさにその通りに。メンバーを固定できず、選手たちも探りながらプレーしている様子がうかがえた。
鳥栖らしさからの脱却ではなく、らしさを昇華させることを目指したが、あまりにも結果が出ずにカレーラス監督と別れることに。得点が全く奪えなかったことが悔やみどころだろう。
後を継いだ金明輝監督も、簡単にチームを立て直すことができず、主導権を握れる試合がシーズンを通して少なかったことが誤算だ。内容が悪くない試合が多かっただけに、大鉈を振ることができなかったことも苦しい時期が長引いた要因とも言える。
能力ある選手がいただけに、2年連続残留争いは寂しい結果。救いなことは、最終節に敗れてもなおJ1に残留できたことだろう。このツキをプラスに変えることで、新シーズンの巻き返しに期待したい。
PR
◆MVPMF高橋秀人(32)
明治安田生命J1リーグ32試合出場(先発32試合)/1得点
©︎J.LEAGUE
MVPは3名で悩んだ。数少ない得点源であった金崎夢生、イサック・クエンカも候補だったが、ここは高橋秀人を選びたい。鳥栖が誇る“トリプル高橋”において、最もチームに貢献したのが秀人だ。今シーズンはボランチでスタートした高橋だったが、金明輝監督になってからは4バックの一角を務め、高橋悠治とセンターバックコンビを組んだ。
◆補強成功度【E】
©︎J.LEAGUE
2018シーズンも残留争いに巻き込まれていたチームは、人員整理を敢行。そして、フェルナンド・トーレスを生かすべく同胞のMFイサック・クエンカを獲得。さらに、ルイス・カレーラス新監督の下、ニノ・ガロヴィッチ、カルロ・ブルシッちの両DFを獲得。さらに、権田修一(現ポルティモネンセ)が抜けた穴に大久保択生をFC東京から獲得。ベテランDF岩下敬輔もアビスパ福岡から獲得した。
しかし、大幅な戦力補強とは裏腹に、全くもって結果が出なかった。大久保、ブルシッチ、ガロヴィッチは夏に退団。チアゴ・アウベス(←全北現代モータース/韓国)、金森健志(←鹿島アントラーズ)、金井貢史(←名古屋グランパス)、パク・ジョンス(←柏レイソル)とJリーグで実績ある選手を4名レンタルしたが、結果に繋がらなかった。
気を吐いたのはクエンカのみで、29試合6得点。チームの攻撃を司る役割に加え、ハードワークも厭わない姿勢はチームの助けとなった。一方で、期待されたチアゴ・アウベスや金森は無得点。守備陣の補強だった金井が4得点を挙げたが、補強が成功したとは到底言えないシーズンだった。
◆総合評価【E】
©︎CWS Brains,LTD.
開幕から10試合でたった1得点。3連敗と5連敗を喫すると5月にカレーラス監督を解任。金明輝コーチが監督に就任した。
カレーラス監督にとっては、選手の補強も進まず、チーム作りに時間がかかると開幕前に話していたが、まさにその通りに。メンバーを固定できず、選手たちも探りながらプレーしている様子がうかがえた。
鳥栖らしさからの脱却ではなく、らしさを昇華させることを目指したが、あまりにも結果が出ずにカレーラス監督と別れることに。得点が全く奪えなかったことが悔やみどころだろう。
後を継いだ金明輝監督も、簡単にチームを立て直すことができず、主導権を握れる試合がシーズンを通して少なかったことが誤算だ。内容が悪くない試合が多かっただけに、大鉈を振ることができなかったことも苦しい時期が長引いた要因とも言える。
能力ある選手がいただけに、2年連続残留争いは寂しい結果。救いなことは、最終節に敗れてもなおJ1に残留できたことだろう。このツキをプラスに変えることで、新シーズンの巻き返しに期待したい。
PR
高橋秀人の関連記事
サガン鳥栖の関連記事
J1の関連記事
|
高橋秀人の人気記事ランキング
1
鳥栖の元日本代表MF高橋秀人に第三子誕生! 「産まれてきてくれた長女、そして妻に感謝」
サガン鳥栖は7日、元日本代表MF高橋秀人(32)に第三子が誕生したと報告した。 高橋は先月2月27日の長女誕生を受け、クラブ公式サイトで「無事に産まれてきてくれた長女、そして妻に感謝しています! 三児の父親として、より一層精進したいと思います。温かく見守ってください」とコメントしている。 日本代表として7キャップを誇る高橋はFC東京、ヴィッセル神戸を渡り歩き、2018年から鳥栖でプレー。今季はここまで明治安田生命J1リーグ1試合に出場している。 2020.03.07 17:15 Satサガン鳥栖の人気記事ランキング
1
10人の京都が残留に近づく勝ち点3! 数的優位活かせずの鳥栖は降格寸前に【明治安田J1第34節】
19日、明治安田J1リーグ第34節の京都サンガF.C.vsサガン鳥栖がサンガスタジアム by KYOCERAで行われ、ホームの京都が2-0で勝利した。 残留を争う下位チーム同士の一戦。ホームの17位京都は後半戦好調だったが、現在は2連敗中、3試合勝ちなしと停滞気味。2-3で敗れた前節のヴィッセル神戸戦からは3人入れ替え、豊川雄太、平戸太貴、佐藤響が先発した。 対する最下位・鳥栖は監督交代もありながら11試合勝利がなく、今節敗れればJ2降格が決まる可能性もある状況。残留に向けて勝つしかないなか、今節は富樫敬真がスタメン復帰した。 シックスポインターとなった一戦は、立ち上がりから京都の平戸に決定機。5分にも平戸のシュートを放つが、わずかに右へ外れる。 攻勢のホームチームだったが、鳥栖の反撃からアクシデント。マルセロ・ヒアンが最終ラインの裏へ抜け出すと、ボックス外に飛び出して対応したGKク・ソンユンがボールに触れずファウル。レッドカードが提示され、10分に退場となった。 豊川雄太を下げ、GK太田岳志の緊急投入を余儀なくされた京都。10人となったが、カウンターから敵陣に攻め入り、ラファエル・エリアスがゴールまであと一歩に迫る。 一方、数的優位を得て徐々に攻撃の形を作り始めた鳥栖。鳥栖も完全には守りに入らず、一進一退の攻防が続く。 前半アディショナルタイムには鳥栖がボックス内でボール奪取。福田晃斗のシュートはDFに手で阻止されたが、直前の競り合いでファウルがあった。 ゴールレスで迎えた後半、攻勢の京都は福岡慎平が枠内に飛ばすもGK大田の正面。鳥栖も左クロスから決定機を作るが、ヴィキンタス・スリヴカのシュートはゴールライン手前で佐藤に阻止される。 57分にはペナルティアーク内で得たFKからマルコ・トゥーリオが直接狙うが、スコアは動かず。なかなか数的優位を活かせない鳥栖は2枚替えで変化を試みる。 ついに均衡が破れたのは65分。GK太田のパントキックから敵陣でマイボールにすると、トゥーリオがボックス手前から右足一閃。ディフレクトしてネットを揺らし、2試合連続ゴールが生まれた。 痛恨の失点を喫した鳥栖は、さらにジャジャ・シルバ、丸橋祐介を投入。80分にはボックス手前から丸橋がミドルシュートを放ち、ディフレクトしてコースが変わるが、GK太田が好反応で凌ぐ。 執念を見せる鳥栖に流れが傾いていくと、86分にもCKからピンチを迎えた京都。またもGK太田がストップし、反撃を許さない。 すると89分、ハイプレスでボールを奪った福田心之助が勢いそのままボックス内に侵入。シュートはGK朴一圭に当たり、戻った山崎浩介にクリアされるが、ゴールラインを割っていたという判定で京都が貴重な追加点を得た。 意地を見せたい鳥栖だったが、後半アディショナルタイムに入ると競り合い後に相手を蹴ってしまったマルセロ・ヒアンが一発退場。10人vs10人となったなか、そのまま勝利した京都は連敗を「2」でストップ。敗れた鳥栖は12試合勝利なしとなり、16位湘南ベルマーレが引き分け以上なら降格が決まる状況となってしまった。 京都サンガF.C. 2-0 サガン鳥栖 【京都】 マルコ・トゥーリオ(後20) 福田心之助(後44) <span class="paragraph-title">【動画】マルコ・トゥーリオが2戦連発!ボックス手前から右足一閃</span> <span data-other-div="movie"></span> <blockquote class="twitter-tweet"><p lang="ja" dir="ltr">ロングシュートで先制<br><br> ゴール動画 <br> 明治安田J1リーグ 第34節<br> 京都vs鳥栖<br> 1-0<br> 65分<br> マルコ トゥーリオ(京都)<a href="https://twitter.com/hashtag/%EF%BC%AA%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B0?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#Jリーグ</a> <a href="https://t.co/SMdJgx6SUF">pic.twitter.com/SMdJgx6SUF</a></p>— Jリーグ(日本プロサッカーリーグ) (@J_League) <a href="https://twitter.com/J_League/status/1847536289052258610?ref_src=twsrc%5Etfw">October 19, 2024</a></blockquote> <script async src="https://platform.twitter.com/widgets.js" charset="utf-8"></script> 2024.10.19 16:22 Sat2
J1初昇格から13年…鳥栖のJ2降格決定、4節残して18位以下確定
サガン鳥栖の降格が決まった。 今季の明治安田J1リーグは下3つが自動降格というレギュレーション。今節の17位京都サンガF.C.戦で負けたなか、16位柏レイソルが引き分け、15位湘南ベルマーレも勝利したため、残留圏浮上が不可能となり、4試合を残して自動降格圏18位以下でのフィニッシュが確定した。 J1初挑戦の2012シーズンから12年間にわたって残留を続けた鳥栖だが、今季は今年8月に川井健太前監督と契約解除。木谷公亮テクニカルダイレクターが指揮官となったが、夏場の主力流失もあり、9試合で3分け6敗と上向かず、ついに降格の瞬間を迎えてしまった。 J1初昇格から13年。残り4試合で初の“J2降格”となった。 2024.10.19 17:28 Sat3
まだJ1からの降格をしたことがないチームってどこまで粘ってきたの?!の巻/倉井史也のJリーグ
J1から降格したことのない3チームってどこ? 鹿島と横浜FMと……実は鳥栖。その鳥栖が最下位ですからね。嘆きのメール、たくさんいただいております。まぁそういう嘆き方って正しいんですけどね。サッカークラブが売ってるのは、夢じゃなくてストレスなんだから。 ともあれ、先週の札幌の回でも書いたんだけど、やっぱり1試合あたり2失点以上というのはかなりヤバいんですよ。でもね、鳥栖って落ちてないけどかなり危ないときが過去何度もあったんじゃないかと思うんです。クラブが危ないときも多かったけど、残留もヤバイって時が。 ということで、ここでは鳥栖が昇格した2012年以降、最低順位と最高順位をピックアップしてみました。 2012年:最低順位13位/最高順位 3位 2013年:最低順位15位/最高順位 5位 2014年:最低順位 9位/最高順位 1位 2015年:最低順位14位/最高順位 3位 2016年:最低順位17位/最高順位 2位 2017年:最低順位17位/最高順位 8位 2018年:最低順位17位/最高順位 6位 2019年:最低順位18位/最高順位14位 2020年:最低順位17位/最高順位11位 2021年:最低順位 7位/最高順位 2位 2022年:最低順位12位/最高順位 5位 2023年:最低順位18位/最高順位 8位 ちなみに最終順位は 2012年: 5位 2013年:12位 2014年: 5位 2015年:11位 2016年:11位 2017年: 8位 2018年:14位 2019年:15位 2020年:13位 2021年: 7位 2022年:11位 2023年:14位 おお、確かにサポーターが騒ぐ気持ちもよく分かる。 2023年に18位だったのは第1節のみ。2019年は第1節から第3節、第7節から第11節、第15節から第16節、第19節から第20節って12節も最下位だったけど、ルイス・カレーラス監督を第9節のあとに解任。そこまで1勝1分7敗だったチームを金明輝監督が10勝6分18敗までもちこんで最終節に残留を果たしたって年でした。 鳥栖って今年も波瀾万丈ありそうね。これまでの奇跡の力に期待ってとこでしょうか。 2024.04.20 10:30 Sat4
ルヴァンカップのニューヒーロー賞、第3回途中集計結果! 準決勝進出クラブからは3選手
Jリーグは7日、2024JリーグYBCルヴァンカップのニューヒーロー賞第3回途中集計結果を発表した。 同賞は過去の受賞者を除く21歳以下(2024年12月31日に満21歳以下)の選手を対象に報道関係者の投票で決められ、今回は準々決勝終了時の途中集計結果となった。 ベスト4に勝ち残ったチームからは山根陸、石山青空、吉田温紀が得票上位に名を連ねている。 なお、「ニューヒーロー賞」の受賞選手は、準決勝までの投票をもとに、Jリーグで選出する。 ◆第3回途中集計結果(順不同) MF原康介(北海道コンサドーレ札幌/19) 出場数:3試合 MF堀内陽太(浦和レッズ/20歳) 出場数:1試合 MF俵積田晃太(FC東京/20歳) 出場数:3試合 DF土肥幹太(FC東京/20歳) 出場数:1試合 MF山根陸(横浜F・マリノス/21歳) 出場数:2試合★ MF石山青空(アルビレックス新潟/18歳) 出場数:2試合★ MF吉田温紀(名古屋グランパス/21歳) 出場数:2試合 ★ MF越道草太(サンフレッチェ広島/20歳) 出場数:5試合 MF中島洋太朗(サンフレッチェ広島/18歳) 出場数:2試合 FW横山歩夢(サガン鳥栖/21歳) 出場数:2試合 FW武星弥(鹿児島ユナイテッドFC/20歳) 出場数:1試合 ★=準決勝進出クラブ 2024.10.07 14:15 Mon5