【2022年カタールへ期待の選手㉔】柴崎岳のパートナーとして高いポテンシャルを見せた新時代の守備のマルチプレーヤー/板倉滉(フローニンヘン/DF)

2019.07.01 13:20 Mon
Getty Images
1年後の2020年東京五輪を目指すU-22世代と川島永嗣(ストラスブール)、岡崎慎司(レスター・シティ)、柴崎岳(ヘタフェ)ら2018年ロシア・ワールドカップ出場の経験豊富なオーバーエージを組み合わせて戦った今回の2019年コパ・アメリカ(ブラジル)。

日本は17日の初戦・チリ戦(サンパウロ)で0-4の大敗を喫するところからスタート。いきなり暗雲が立ち込めたが、続く20日のウルグアイ戦(ポルトアレグレ)で立て直して2-2のドロー。24日のグループ最終戦・エクアドル戦(ベロオリゾンテ)に勝てば8強入りというところまで巻き返した。

だが、その最終決戦は中島翔哉(アル・ドゥハイル)の先制点を守り切れず、前半のうちに追いつかれ、最後まで突き放せないままタイムアップの笛。結局、初戦の4失点が響いて得失点差でパラグアイを下回り、予選敗退を余儀なくされた。
不完全燃焼に終わった森保ジャパンだが、希望を感じさせた選手は何人かいた。その1人がウルグアイ・エクアドルの2戦でボランチに入り、柴崎のパートナーを務めた板倉滉(フローニンヘン)だろう。今年1月にマンチェスター・シティへの完全移籍が発表され、名門からレンタルされる形で堂安律の同僚になった彼だが、今季オランダ後半戦ではリーグ戦出場ゼロ。コンディションや試合勘の部分が大いに懸念されていた。

「全然試合やれます。もちろん公式戦はなかなかできていないというのはありますけど、実際試合に入ったらそんなの関係ないと思うし、あとはやるだけだなという思いです」
本人は開幕直前に自信を口にしたが、ウルグアイ戦の入りは少し不安定さも垣間見せた。ただ、チリ戦で同ポジションに入った中山雄太(ズウォレ)のようにミスで自滅する方向に行くことはなく、徐々に調子を上げていく。板倉が最終ラインの前に陣取ることで守備の穴を埋め、柴崎がその前でボール出しや攻撃の組み立てに専念するという関係性も確立されていく。ウルグアイ相手に日本が主導権を握る時間帯を作れたのも、両ボランチが安定したことが大きい。

相手のホセ・ヒメネス(アトレティコ・マドリー)も「日本はヌメロ・クアトロ(背番号4)が脅威だった」とコメントしたように、板倉の一挙手一投足がウルグアイに少なからず脅威を与えていたのは確かだ。

「個人的には入りのところでミスを繰り返していたし、ちょっとバタついていた。真ん中の自分がバタついてしまうとボールがうまく回らない。もっと研ぎ澄ませてやらないといけなかったと思います。ただ、徐々にやるべきことがハッキリしてきた。自分がディフェンスの1こ前でバランスを取って、岳君がその1こ前でボールをさばきながら前進していくという役割が明確になってやりやすかった」と板倉自身も90分間で修正を図れたことに自信と手ごたえをつかんだ様子だった。

まずまずのA代表デビュー戦で森保一監督の信頼も勝ち取り、迎えたエクアドル戦。柴崎とのバランスや連携は1試合をこなしたことでより磨きがかかり、息の合ったパス交換やポジショニングが見られるようになった。このいいリズムが開始15分の中島翔哉の先制弾にもつながる。序盤の日本は十分に勝てるだけのパフォーマンスを見せていた。

ところが、1点をリードした後から守備陣にミスが出始める。エクアドルのハイプレスと強硬日程の疲れが重なり、ゴール前でパスカットされて決定機を作られるシーンが続き、バタバタした印象が強くなった。そして前半のうちにCKの流れから失点。後半に入ると相手が高い身体能力をより前面に押し出してきて、オープンな展開になる。板倉と柴崎もその対応に追われ、コンパクトな戦いができなくなってしまう。結果的に日本は勝ちきれず、南米大陸における南米勢初勝利のチャンスも、ホスト国・ブラジルへの挑戦権も失った。チーム全体がいいリズムで戦えていない時、いかにゲームをコントロールするのか…。若い板倉には新たな課題が突き付けられたと言っていい。

「岳君がすごい気を使ってポジションを取ってくれたので、やりやすさがありました。あれだけ試合の状況判断だったり、チーム全体のことを考えてくれる選手が1人いると、落ち着きが作れる。そういうところは見習わないといけないと感じましたね」

板倉は2試合ともにプレーした柴崎のすごさ改めて再認識したという。ロシア以降、日本代表の攻守両面のつなぎ役に君臨する先輩ボランチの動きを目の当たりにして、自分が進むべき方向もハッキリしたようだ。それはA代表でのキャリアを踏み出したばかりの彼にとって非常に大きな収穫に違いない。

板倉には柴崎を上回る身体能力と守備力があるだけに、状況判断力やチームマネージメント、攻撃の組み立てと言った柴崎のいい部分を吸収すれば、もっともっとスケールの大きなボランチになれる。その可能性を垣間見せたのは確かだ。彼はボランチだけでなく、センターバックや3バックのDFでもプレーする機会も多いだろう。どの役割を託されてもレベルの高いプレーができれば、森保監督も板倉を起用する回数は間違いなく増えるはず。そういう信頼を寄せてもらえるように、今後は自己研鑽を図らなければならない。

いずれにしても重要なのは新シーズンだ。欧州で出場機会をコンスタントに得られなければ、遠藤航(シント=トロイデン)ら先輩ボランチの牙城は崩せない。そこをしっかりと頭に入れ、1シーズンフル稼働すること。そこに全力を注いでもらいたい。

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【ブンデス第12節プレビュー】今季ホーム戦全勝のドルトムントと首位バイエルンによるデア・クラシカー

前節は日本人対決が2試合行われ、DFチェイス・アンリとMF三好康児が終盤に出場したシュツットガルトvsボーフムはシュツットガルトが快勝し、FW町野修斗とMF佐野海舟が共に先発したホルシュタイン・キールvsマインツはマインツに軍配が上がった。迎える第12節、ドルトムントvsバイエルンによるデア・クラシカーが行われる。 5位ドルトムント(勝ち点19)は前節、フライブルクに快勝し、今季の公式戦ホーム戦全勝を維持した。そして水曜に行われたチャンピオンズリーグ(CL)ではディナモ・ザグレブ相手に苦手のアウェイで3発快勝。主将MFジャンを出場停止で欠くが、コンディション不良明けの主砲FWギラシーにザグレブ戦でゴールが生まれており、良好なチーム状態でデア・クラシカーに臨む。 一方、首位バイエルン(勝ち点29)は前節アウグスブルク戦をFWケインのハットトリックで後半に3ゴールを挙げ、終わってみれば快勝とした。そして火曜に行われたCLではパリ・サンジェルマンを撃破。公式戦7連勝と勢い付く中、デア・クラシカーを制して首位独走に拍車をかけられるか。 バイエルンを9ポイント差で追う4位レバークーゼン(勝ち点20)は10位ウニオン・ベルリン(勝ち点16)と対戦。レバークーゼンは前節ハイデンハイム相手に2点差をひっくり返しての逆転勝利で4試合ぶりの白星を手にした。そして火曜に行われたCLではザルツブルクに5発圧勝。2戦連続5ゴールを奪っての快勝とした中、FWボニフェイスの負傷欠場の穴をしっかりと埋める活躍を見せたFWシックの躍動に今節も期待したい。 今節の日本人対決は勝ち点17で並ぶMF堂安律のフライブルクとDF板倉滉のボルシアMGの一戦。7位フライブルク(勝ち点17)は前節、ドルトムントに0-4で完敗。先発した堂安も大きな見せ場は作れなかった。ここ4戦勝ちなし(2分け2敗)と躓いているが、不調気味のチームを堂安は救えるか。 対するボルシアMGは前節、ザンクト・パウリに快勝。日本代表帰りの板倉はフル出場でシャットアウト勝利に貢献した。フライブルクとは対照的に5戦負けなし(3勝2分け)と好調な中、堂安とのマッチアップが見られる可能性がある板倉は3戦連続シャットアウトにチームを導けるか。 DFチェイス・アンリの9位シュツットガルト(勝ち点16)は12位ブレーメン(勝ち点15)と対戦。シュツットガルトは前節ボーフム戦、チェイス・アンリが終盤出場でクローザーの役目を果たした中、2-0で勝利。ただ、水曜に行われたCLではツルヴェナ・ズヴェズダ相手に1-5の大敗を喫した。守備が崩壊した中、出番のなかったチェイス・アンリに先発のチャンスは訪れるか。 そのシュツットガルトに敗れた最下位ボーフム(勝ち点2)は14位アウグスブルク(勝ち点12)と対戦。前々節移籍後初ゴールを挙げた三好は引き続きベンチからチャンスを窺うことになりそうだ。 MF佐野が先発を続ける8位マインツ(勝ち点16)は13位ホッフェンハイム(勝ち点12)と対戦。前節は得意のアウェイで佐野が攻守に存在感を示した中、キールに快勝。クラブ記録のアウェイ戦9戦負けなしとした中、前々節初勝利を挙げたホームで連勝を伸ばせるか。 そのマインツ戦で5試合ぶりの先発だった町野は悔しい前半33分の交代に。17位キール(勝ち点5)は16位ザンクト・パウリ(勝ち点8)との昇格組対決となるが、町野に鬱憤を晴らす機会は訪れるか。 ◆ブンデスリーガ第12節 ▽11/29(金) 《28:30》 ザンクト・パウリvsホルシュタイン・キール ▽11/30(土) 《23:30》 ライプツィヒvsヴォルフスブルク ブレーメンvsシュツットガルト フライブルクvsボルシアMG アウグスブルクvsボーフム ウニオン・ベルリンvsレバークーゼン 《26:30》 ドルトムントvsバイエルン ▽12/1(日) 《23:30》 マインツvsホッフェンハイム 《25:30》 ハイデンハイムvsフランクフルト 2024.11.29 18:00 Fri

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