水面下で移籍市場の“イタリアダービー”が展開…トナーリやキエーザがターゲットに

2019.01.26 15:05 Sat
ユベントスとインテルは長年のライバル関係にあり、両者の対戦は通称“イタリア・ダービー”としても世界的に知られている。

だがその対立構造はピッチの中だけにとどまらず、移籍市場にもその火の粉が飛んでいるような状況だ。

ユーヴェのファビオ・パラティチSD(スポーツディレクター)は、インテルファミリーに加わったヴァレジーノ出身の61歳、CEOのジュゼッペ・マロッタ氏と対決を繰り広げている。

マロッタ氏は1月31日の移籍市場最終日まで、メルカートで何かしら大きな立ち回りを見せるものと思われる。インテルCEOは、ピエロ・アウジリオSDとともにトップチームを補強し、わずかながらでも確実にチームをレベルアップさせる任務を背負う。その指針としては補強する駒こそ少なくとも、ピンポイントで狙いを定めることになるだろう。

たとえ莫大な投資ができないとしても、移籍市場閉幕まで、インテルに新選手が加わる可能性は十分にある。だが移籍市場において注目株を狙うとなると、ユベントスと競合することは避けられないのが実情だ。

■アッズーリの将来を背負う俊英に注目両クラブが熱視線を送る選手の名前を探ってみよう。例えば今やセリエB最大の注目銘柄となっているサンドロ・トナーリ。2000年生まれ、18歳の同選手はブレシアの宝石と称され、将来性豊かなレジスタだ。その才能から“ネクスト・ピルロ”との呼び声も高く、彼を巡っては、ユベントス、インテルともに接触を開始している。

ロンディネッレ(ブレシアの愛称でツバメの意)による評価額は2000万ユーロ(約26億円)を超えるが、それでも豊かな才能からビッグクラブへのステップアップはもはや確実と見られている。

かつてセリエAを沸かせた点取り屋エンリコの愛息子、フェデリコ・キエーザも注目すべき選手の1人だ。フィオレンティーナに所属する21歳のダイヤモンドは、優れたサイドアタッカーとして注目の的に。契約解除金は6500万ユーロ(約83億円)近くに及ぶものと見られる。

インテルはキエーザへの評価をすでに固めた一方で、ユベントスも動向に細心の注意を払っている。現段階でフィオレンティーナ側と接触したという動きは見られないが、いつイタリアダービーがまもなく口火を切る予感が漂う。

■セルビア代表MFとフランスの19歳DFも注目株移籍市場の目玉としては、ラツィオのセルビア代表MFセルゲイ・ミリンコヴィッチ・サヴィッチの注目度も高まっている。ピッチ上で何でもこなす23歳の長身MFは、トップクラブにとって確実な戦力アップとなり得るはずだ。

マロッタ氏は過去にもこのセルビア代表MFをトリノへ連れ帰ろうと試みたことがあり、インテルでも同様のプランを温めていることだろう。

この状況において、ユベントス陣営がただ様子を見守るだけでいるとは思えない。想定される金額だが、ラツィオのクラウディオ・ロティート会長は1億ユーロ(約128億円)以上を要求しているという。しかし現段階において、この要望は適正金額からは逸脱しており、実際には獲得を希望するクラブの査定とはほど遠いものと言える。

さらに夏までにビッグクラブ行きが確実視されている新たな逸材にも注目が集まっている。トゥールーズに所属する大型センターバック、19歳のジャン・クレール・トディボだ。将来が期待されるフランス人DFは、今シーズントップチームでいきなり結果を残し、守備陣の柱に。ところがプロ契約の打診を断り、今年6月限りとなるユース契約の満了をもってのトゥールーズ退団を画策していることから、クラブ側から冷遇される状況となった。

また、今冬の移籍市場では日本代表DF昌子源がトゥールーズに加わり、トディボの穴をいきなり埋める事態になっている。

このトディボにはレアル・マドリー、バルセロナのほか、プレミアリーグのトップクラブも関心を示しているという。ユベントスやインテルも当然熱視線を送っており、自由契約となる7月に向け、打診が集中することは間違いない。

セリエAで長年激しい戦いを繰り広げてきたユベントスとインテル。カルチョメルカートというピッチの外でも、現在進行形で火花を散らし続けている状況だ。

文=Romeo Agresti/ロメオ・アグレスティ
構成=Goal編集部


提供:goal.com

フィオレンティーナの関連記事

フィオレンティーナが元スペイン代表GKダビド・デ・ヘア(34)との契約延長に動いている模様だ。イタリア『コリエレ・デロ・スポルト』が報じている。 2023年夏にマンチェスター・ユナイテッドを退団してから1年間の浪人生活が続き、この夏にようやくフィオレンティーナで新たなキャリアをスタートさせたデ・ヘア。セリエAでは 2024.11.19 01:00 Tue
7日、2024-25シーズンのヨーロッパ・カンファレンスリーグ(ECL)のリーグフェーズ第3節の18試合が欧州各地で行われた。 開幕連勝で首位に立つチェルシーは、ホームでFCノアー(アルメリア)と対戦し8-0で圧勝した。 前節ラピド・ウィーンに惜敗したノアーに対し、直近のマンチェスター・ユナイテッド戦から先 2024.11.08 07:40 Fri
フィオレンティーナの元スペイン代表GKダビド・デ・ヘアがクラブの記録に貢献した。 2023年夏にマンチェスター・ユナイテッドを退団してから1年間の浪人生活が続き、この夏にようやくフィオレンティーナで新たなキャリアをスタートさせたデ・ヘア。セリエAでは第4節のアタランタ戦から先発で出続け、ミラン戦で2本のPKストッ 2024.11.04 13:15 Mon
セリエA第9節、フィオレンティーナvsローマが27日にスタディオ・アルテミオ・フランキで行われ、ホームのフィオレンティーナが5-1で圧勝した。 前節、インテルとの強豪対決に0-1で惜敗した10位のローマは、直近3勝1分けで好調の5位フィオレンティーナとのアウェイゲームで3試合ぶりの白星を目指した。直近のヨーロッパ 2024.10.28 06:45 Mon
24日、2024-25シーズンのヨーロッパ・カンファレンスリーグ(ECL)のリーグフェーズ第2節の18試合が欧州各地で行われた。 前節のヘント戦を勝利し白星スタートを切ったチェルシーは、パナシナイコスとアウェイで対戦し4-1で勝利した。 ECL初勝利を狙うパナシナイコスに対し、直近のリバプール戦から先発を全 2024.10.25 06:25 Fri

フィオレンティーナの人気記事ランキング

1

元シティDFリチャーズ氏、バロテッリにはめられ初対面の監督に暴言吐いた過去を明かす 「クソ野郎という意味だと思う」

元イングランド代表DFマイカー・リチャーズ氏は現役時代にかつての同僚である元イタリア代表FWマリオ・バロテッリに騙されていたようだ。 マンチェスター・シティの下部組織出身であり、主に右サイドバックとして長きにわたりプレミアリーグで活躍したリチャーズ氏。シティで公式戦245試合に出場した後、フィオレンティーナへとレンタル移籍し、2015年夏から現役を引退するまではアストン・ビラでプレーした。 リチャーズ氏はシティからフィオレンティーナへ移籍することになった2014年の夏に、エティハド・スタジアムで2年半共にプレーしたバロテッリからイタリア語を教わろうと考えたという。解説仲間のギャリー・リネカー氏やアラン・シアラー氏と共に出演しているポッドキャスト『The Rest Is Football』で、その時の失敗エピソードを笑いながら明かしている。 「移籍市場の最終日にフィオレンティーナに行ったんだけど、私は基本的にイタリア語を話せなかった。言えたのは『Si(はい)』くらいだ」 「まったくもってバカな話だが、私はバロテッリに『誰かに挨拶するとき、何て言えばいいんだ?』と尋ねた。彼は基本的には良い人だからね」 「そして、私は(当時の)監督の(ヴィンチェンツォ・)モンテッラに会いに行った。彼のところに行って握手をし、『testa di cazzo』と言った。クソ野郎という意味だと思う」 「なんで調べなかったんだろう? グーグルで検索すればわかるのに。でも、なぜかバロテッリを信じてしまった。バロテッリにはめられたんだ。一応モンテッラの名誉のために言っておくと、彼はこれを聞いて笑い出した」 察しの良いモンテッラ監督のおかげで大事にはならなかったようだが、危うく新指揮官との関係を移籍直後に破綻させるところだったリチャーズ氏。33歳となった仕掛け人のバロテッリは現在スイスのシオンに在籍しており、昨シーズンは公式戦21試合で6ゴール1アシストという成績を残している。 2023.09.08 18:34 Fri
2

ミランが米国代表のカルドーソに関心…イタリア系でEU枠の22歳ボランチ

ミランがレアル・ベティスのアメリカ代表MFジョニー・カルドーソ(22)に関心を寄せる。イタリア『カルチョメルカート』が伝えている。 カルドーソはイタリア系ブラジル人の両親のもとにアメリカで生まれた22歳。 生後3カ月でブラジルへ移住し、プロデビューはインテルナシオナル。今年1月、ベティス移籍で欧州上陸を果たしている。 ポジションはボランチで、アメリカ代表ではここ数カ月で序列をアップ。22歳とパリ五輪世代も、A代表優先でコパ・アメリカ2024に参加し、通算15キャップを積み上げている。 ベティスでは加入半年で主軸となったなか、ここに来て欧州のトップクラブがカルドーソへの関心を強めているとのこと。イタリアからはミランとフィオレンティーナが興味を持つ。 前述のように、民族としてはイタリア系のカルドーソ。イタリア語を完璧に話せるとされ、イタリアのパスポートも保持。カルチョのクラブはEU枠選手として扱えるメリットがある。 2024.08.04 17:00 Sun
3

モロッコ代表MFアムラバトがフィオレティーナからフェネルバフチェへのレンタル移籍で合意

フェネルバフチェは30日、フィオレンティーナのモロッコ代表MFソフィアン・アムラバト(28)をレンタル移籍で獲得することで合意したことを発表した。 なお、アムラバトは30日にメディカルチェックを受けるためにイスタンブール入り。問題がなければチームに加入することとなる。 また、報道ではレンタル後に完全移籍するとされており、更なる移籍交渉も行われるとのことだ。 ユトレヒトの下部組織で育ったアムラバトは、2015年7月にファーストチームに昇格。2017年7月にフェイエノールトに完全移籍すると、2018年8月にクラブ・ブルージュに完全移籍する。 エラス・ヴェローナヘントレンタル遺跡を経て、2020年1月に完全移籍。そのままフィオレンティーナに完全移籍していた。 2023-24シーズンはマンチェスター・ユナイテッドへとレンタル移籍し、公式戦30試合に出場。サイドバックでもプレーするなど、一定のパフォーマンスを見せたが、完全移籍には至っていなかった。 フィオレンティーナでは公式戦111試合で1ゴール1アシストを記録。今季もセリエAで2試合にフル出場し、カンファレンスリーグ(ECL)予選も2試合に出場していた。 2024.08.30 21:35 Fri
4

最後の砦にセリエAトップのセーブ率誇る復活デ・ヘア 絶好調フィオレンティーナがクラブ3度目のアウェイ4戦連続無失点

フィオレンティーナの元スペイン代表GKダビド・デ・ヘアがクラブの記録に貢献した。 2023年夏にマンチェスター・ユナイテッドを退団してから1年間の浪人生活が続き、この夏にようやくフィオレンティーナで新たなキャリアをスタートさせたデ・ヘア。セリエAでは第4節のアタランタ戦から先発で出続け、ミラン戦で2本のPKストップをやってのけたりと注目を浴びる。 そんな33歳GKは3日にアウェイで行われたセリエA第11節のトリノ戦でも最後の砦に。41分にモイゼ・ケアンのゴールでリードしたチームを最後尾から支え、5連勝&7戦無敗となる1-0の勝利をプレゼントした。 フィオレンティーナはこれでアウェイで4試合連続の無失点となり、『Opta』の調べによると、1966年3月〜5月と2007年9月〜11月に続くクラブ史上3度目。デ・ヘアはその間のゴールマウスを守っており、この記録樹立にひと役買った。 先日にはセリエAでトップとなる82%のセーブ率が取り上げられたりと復活を印象づけるデ・ヘア。ここまでセリエA4位と上位争いに割って入るフィオレンティーナとともに今後の活躍から目が離せない。 2024.11.04 13:15 Mon
5

現職は続投に興味ナシ…ナポリの来季新監督は誰に? まことしやかに囁かれ出したピオリ説

ナポリの来季新監督は一体誰に…。イタリア『カルチョメルカート』が伝えている。 昨季スクデットの立役者であるルチアーノ・スパレッティ監督(現イタリア代表)を、契約を巡るいざこざから手放したナポリ。結果的にそれはロッカールームの雰囲気悪化を招くことに。 今季開幕時のボスだった後任指揮官、ルディ・ガルシア監督は選手の信任を得られず5カ月で解任。今季2人目の指揮官として10年ぶりに再登板したワルテル・マッツァーリ監督も3カ月で解任…現在は元コーチのフランチェスコ・カルツォーナ氏がスロバキア代表監督との兼任で指揮を執る。 ただ、指導者人生最大の大舞台としてユーロ2024が控えるカルツォーナ氏。あくまで今季終了までの暫定指揮で合意したナポリとは、契約延長にいっさい興味を示していない。ナポリは水面下で来季からの新監督を探す日々だ。 現地イタリアではタイトル請負人の“超リアリスト”アントニオ・コンテ氏(54)、好戦的サッカーで名門フィオレンティーナに再び命を吹き込んだヴィンチェンツォ・イタリアーノ監督(46)、“しぶといトリノ”のイバン・ユリッチ監督(48)が候補に挙がり、地元ナポリだと前ウォルバーハンプトン監督のフレン・ロペテギ氏(57)も噂レベルではあるが取り沙汰される。 そこへミランのステファノ・ピオリ監督(58)。2021-22シーズンのスクデットでイタリア人名将の仲間入りを果たしたピオリ監督だが、特に今季は何かと批判されがちで、指揮官としての能力云々よりも、そろそろミランで“潮時”といったところか。今季限りでのお役御免が濃厚とされる。 こちらも現段階で噂レベルにすぎないものだが、「ピオリがナポリへ?」に対するネット上のナポレターニ(ナポリ人)の反応はさほど悪くない。 「ピオリならアウレリオ・デ・ラウレンティス(会長)と上手に付き合うだろう」「ロペテギはリスク。ロペテギよりピオリ」「全然いいんじゃないか」「少なくともピッチでナポリを攻略する術は持っている」 昨夏もポスト・スパレッティを巡って混迷を極め、結果的に次点ですらなかったルディ・ガルシア氏に落ち着いてしまったナポリ。今夏の指揮官人事はどのように推移するだろうか。その「過程」も大事になりそうだ。 2024.04.18 13:15 Thu

NEWS RANKING
Daily
Weekly
Monthly