【リーグ・アン前半戦総括】超WS選出の最優秀選手はムバッペ!
2019.01.11 18:00 Fri
★新生PSGが首位独走、モナコが大不振
例年、序盤戦ではPSGと競り合うリヨン、モナコ、マルセイユの3強だが、今季は序盤戦の躓きによってシーズンを折り返す前に勝負を決められた感がある。ここまで1試合未消化ながら3位と、前述の3チームで最も安定した戦績を残しているリヨンはシーズン序盤戦の躓きと、FWフェキルやFWデパイ、FWトラオレと昨季リーグ屈指の破壊力を示した自慢の攻撃陣がやや調子を落とした影響で勝ち切れない試合が目立った。それでも、[3-4-3]へのシステム変更や絶好調のMFエンドンベレ、MFアワールのセントラルMFコンビの活躍など後半戦に向けてポジティブな要素は多い。
一方、2試合未消化ながら6位に甘んじるマルセイユと、1試合未消化で降格圏の19位に低迷するモナコの低迷は深刻だ。マルセイユに関してはエースFWトヴァンの奮闘が目立つ一方、ガルシアスタイルの悪癖である守備の切り替えの甘さ、最終ラインの集中力の欠如、ここ数年の課題であるエースストライカー不在が響き攻守両面で安定感を欠く。先日の国内カップでは4部相手に屈辱の敗戦を喫しており、体制変更の可能性も否定できない。
PSGを除く3強の低迷によって混戦模様のヨーロッパ出場権に関しては昨季残留争いを強いられたリールと、リーグ屈指の堅守速攻スタイルを築くモンペリエが2位、4位と大躍進。ここに古豪サンテチェンヌ、レンヌ、ストラスブールらも絡んだ熾烈な争いが続いている。残留争いに関してはここまでわずか2勝の最下位ギャンガンが苦しい状況だが、前述のモナコやディジョン、カーン、アミアンらと共にシーズン最終盤まで争うことになる。
マルセイユのDF酒井宏樹とストラスブールのGK川島永嗣の2人の日本人選手に関しては明暗が分かれる結果に。酒井は本職の右サイドバックに加え、チーム事情で左サイドバックに回る機会も多かったが、攻守両面で安定したプレーを披露し、不振のチームの中でもきっちり存在感を示した。一方、メスの降格に伴いストラスブールを新天地に選んだ川島は前所属先と同様に第3GKとしての加入となったが、ここまで公式戦出場はゼロと好調のチームとは裏腹に厳しい前半戦に。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆FWキリアン・ムバッペ(パリ・サンジェルマン)
★最優秀監督
◆クリストフ・ガルティエ(リール)
【期待以上】
★チーム
◆リール
★選手
◆FWエミリアーノ・サラ(ナント)
【期待外れ】
★チーム
◆モナコ
★選手
◆FWマリオ・バロテッリ(ニース)
【後半戦展望】
★PSG優勝は決定的。混戦ヨーロッパ争いに注目
ここまでリーグ最多得点、最少失点と完璧な戦いぶりで連覇に邁進するPSGの優勝は既定路線だ。したがって、注目されるのは優勝時期や無敗優勝といった記録的な側面だけだ。また、ムバッペ、ネイマール、カバーニと超強力トリデンテによる個人賞争いにも注目が集まるところだ。
タイトル争いへの興味が薄れる後半戦だが、CL出場権を懸けたトップ3争い及びEL出場権はシーズン最終盤まで白熱の攻防が期待できる。現時点でリヨンのトップ3フィニッシュは濃厚だが、リールやモンペリエ、サンテチェンヌ、巻き返しを図るマルセイユ、レンヌあたりは実力が拮抗しているだけに今冬の補強が大きなカギとなりそうだ。
残留争いに関しては崖っぷちのモナコに注目。本来の力を出せれば、問題なく残留は可能だが、やや疑問視されるアンリ監督の采配、リーグ・アン初挑戦となる今冬の新戦力のフィット次第では昨季2位からの降格という悲劇に見舞われる可能性も除外できない。
最後に今冬鹿島アントラーズからトゥールーズに完全移籍したDF昌子源の加入によって3人に増えた日本人選手では、アジアカップ帰りとなる酒井は不振に喘ぐチームに前半戦同様に安定感をもたらしたい。一方、川島と昌子に関してはまずチーム内でのポジション争いを制したい。現在、降格圏と勝ち点8差の14位に位置するトゥールーズだが、1試合平均1得点に満たない脆弱な攻撃陣の影響で決して安全圏にいるわけではない。したがって、昌子に最も求められる要素は自陣低い位置にブロックを敷き押し込まれる中、屈強な相手アタッカーに競り勝つ強さなど、ゴール前で身体を張る泥臭い仕事だ。決して最終ラインの選手層は厚くないため、そこをきっちりこなせればプレー機会は与えられるはずだ。
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リーグ・アン2連覇を目指すパリ・サンジェルマン(PSG)が絶対優位と思われた戦前の予想通り、開幕から無敗を継続する圧倒的な強さで2位以下に勝ち点13差を付ける独走劇をみせ、2015-16シーズンに自ら記録した最速優勝と共に無敗優勝を達成しそうな勢いだ。昨季、国内3冠を達成したエメリ前監督との契約を解消して稀代の戦術家トゥヘル監督を新指揮官に迎えたPSG。開幕当初はディテールにこだわり過ぎるドイツ人指揮官とスーパースター軍団の親和性に疑問符が付けられていたが、蓋を開けてみれば圧倒的な戦力と複数のシステム、的確な用兵を見せる指揮官の采配が見事にマッチし、開幕14連勝のロケットスタートを切った。その後、クラブ最優先のチャンピオンズリーグ(CL)の戦いに力を注いだ影響もあり、ボルドー、ストラスブール相手に連続ドローと開幕からの連勝こそストップしたものの、昨季以上に隙のない戦いぶりで早くも連覇を決定的なものとしている。一方、2試合未消化ながら6位に甘んじるマルセイユと、1試合未消化で降格圏の19位に低迷するモナコの低迷は深刻だ。マルセイユに関してはエースFWトヴァンの奮闘が目立つ一方、ガルシアスタイルの悪癖である守備の切り替えの甘さ、最終ラインの集中力の欠如、ここ数年の課題であるエースストライカー不在が響き攻守両面で安定感を欠く。先日の国内カップでは4部相手に屈辱の敗戦を喫しており、体制変更の可能性も否定できない。
そのマルセイユに輪をかけて酷いのが昨季2位チームのモナコ。MFファビーニョ、MFレマルという主力の流出を昨夏の移籍市場で穴埋めできずにいると、公式戦16戦未勝利という泥沼を経験。この間にジャルディム監督からアンリ監督への政権交代が図られるも、ここまではその効果も出ていない。
PSGを除く3強の低迷によって混戦模様のヨーロッパ出場権に関しては昨季残留争いを強いられたリールと、リーグ屈指の堅守速攻スタイルを築くモンペリエが2位、4位と大躍進。ここに古豪サンテチェンヌ、レンヌ、ストラスブールらも絡んだ熾烈な争いが続いている。残留争いに関してはここまでわずか2勝の最下位ギャンガンが苦しい状況だが、前述のモナコやディジョン、カーン、アミアンらと共にシーズン最終盤まで争うことになる。
マルセイユのDF酒井宏樹とストラスブールのGK川島永嗣の2人の日本人選手に関しては明暗が分かれる結果に。酒井は本職の右サイドバックに加え、チーム事情で左サイドバックに回る機会も多かったが、攻守両面で安定したプレーを披露し、不振のチームの中でもきっちり存在感を示した。一方、メスの降格に伴いストラスブールを新天地に選んだ川島は前所属先と同様に第3GKとしての加入となったが、ここまで公式戦出場はゼロと好調のチームとは裏腹に厳しい前半戦に。
【最優秀選手&監督】
★最優秀選手
◆FWキリアン・ムバッペ(パリ・サンジェルマン)
Getty Images
ロシア・ワールドカップで完全に次期バロンドール候補の最右翼に立った若きスーパースターが前半戦のMVPだ。フランス代表を世界王者に導いたことで昨季以上に自信を持った振る舞いが目立つ20歳は先発出場9試合ながらリーグトップの13ゴールを記録。相手の徹底マークに遭う中でも異次元のスピードとスキルで局面を打開すれば、ゴール前では百戦錬磨のベテランストライカーさながらの落ち着きで難なくゴールを陥れる末恐ろしいアタッカーに成長している。また、13ゴール中5ゴールが決勝点と勝負強さも光る。キャリアハイはモナコ時代の2016-17シーズンの15ゴールだが、その記録更新は確実で自身初の得点王獲得にも期待が集まる。★最優秀監督
◆クリストフ・ガルティエ(リール)
Getty Images
昨季、降格圏ギリギリの17位でフィニッシュしたリールを今季2位に躍進させているガルティエ監督が文句なしの前半戦最優秀監督だ。昨年12月に途中就任し、壊れかけのチームを立て直して残留に導いた。今季は昨季の戦力をベースにサンテチェンヌ時代を思い起こさせる堅実なカウンター型のチームを作り上げると、攻守両面で安定感を獲得。絶好調の若きエースのFWペペを中心に上位陣相手にも堂々と渡り合えるチームに進化させた。【期待以上】
★チーム
◆リール
Getty Images
モンペリエやストラスブールの躍進も目立ったが、最優秀監督に率いられ最もインパクトを残したリールが前半戦の主役だ。前述のように昨季はジェラール・ロペス新会長の下、鬼才ビエルサを新指揮官に迎えてモナコのような育成クラブとして華々しいスタートを目指したリールだったが、その指揮官の途中解任と共に昨季は泥沼を味わうことに。だが、その反省を生かした今季はDFフォンテ、FWレミと若きチームに百戦錬磨のベテランを迎え入れ、チームとしてのバランスが大きく改善。さらに、昨季獲得したペペやMFチアゴ・メンデスらの急成長に、FWバンバ、FWイコネと国内から獲得した新戦力の補強がハマり、チャンピオンズリーグ(CL)出場権も十分に狙える状況だ。★選手
◆FWエミリアーノ・サラ(ナント)
Getty Images
かつてナントで2度の得点王に輝いたハリルホジッチ監督の下、覚醒の気配を漂わせる28歳のアルゼンチン人ストライカー。アルゼンチン生まれもボルドーでキャリアをスタートした187cmの大型ストライカーは2015年に加入したナントでも直近2シーズン連続で12ゴールを記録。しかし、今季は名ストライカーの薫陶を受けた10月以降にゴールを量産し、前半戦だけでキャリア最多タイの12ゴールを記録する爆発ぶりだ。屈強なフィジカルに加え、スピードも十分に備えており、得点以外の部分での貢献も見逃せない。右足インサイドで枠の隅を狙うフィニッシュの偏りは懸念材料だが、1994-95シーズンのパトリス・ロコ以来の得点王獲得なるか。【期待外れ】
★チーム
◆モナコ
Getty Images
昨季の2位から一転、降格圏の19位に低迷する大不振に。ここ数年、毎年のように複数主力を引き抜かれてきた中、優れたスカウト網と育成力に長けたジャルディム監督の下、その度に新戦力や下部組織の若手を台頭させ、育成クラブの理想的なサイクルを継続してきたモナコ。しかし、今季は若手の伸び悩み、新戦力のMFゴロビン、FWシャドリらの不振の影響でレマル、ファビーニョ、モウティーニョらの抜けた穴を埋められず開幕戦の勝利以降、公式戦16戦未勝利という泥沼を味わった。クラブのレジェンド、アンリ新監督の下で本格的な巻き返しを図る後半戦に向けてはMFセスク、DFナウドと経験豊富なベテランの獲得に動いており、その新戦力のパフォーマンスが重要になるはずだ。★選手
◆FWマリオ・バロテッリ(ニース)
Getty Images
キャリアを通じて何度目かわからない素行不良でフットボールファンをまたしても呆れさせることに。直近2シーズンでいずれもリーグ戦15ゴール以上を記録し、コートダジュールの地でキャリアを再生した28歳。だが、昨夏に移籍濃厚と思われた中、ニース残留を決断したものの無断での練習欠席や度が過ぎるオーバーウエイトとプロフェッショナリズムを欠く態度で新指揮官ヴィエラの怒りを買う。前半戦10試合出場でノーゴールとピッチ内でも精彩を欠いた。今冬にマルセイユ、イタリア行きの可能性が浮上しているが…。【後半戦展望】
★PSG優勝は決定的。混戦ヨーロッパ争いに注目
ここまでリーグ最多得点、最少失点と完璧な戦いぶりで連覇に邁進するPSGの優勝は既定路線だ。したがって、注目されるのは優勝時期や無敗優勝といった記録的な側面だけだ。また、ムバッペ、ネイマール、カバーニと超強力トリデンテによる個人賞争いにも注目が集まるところだ。
タイトル争いへの興味が薄れる後半戦だが、CL出場権を懸けたトップ3争い及びEL出場権はシーズン最終盤まで白熱の攻防が期待できる。現時点でリヨンのトップ3フィニッシュは濃厚だが、リールやモンペリエ、サンテチェンヌ、巻き返しを図るマルセイユ、レンヌあたりは実力が拮抗しているだけに今冬の補強が大きなカギとなりそうだ。
残留争いに関しては崖っぷちのモナコに注目。本来の力を出せれば、問題なく残留は可能だが、やや疑問視されるアンリ監督の采配、リーグ・アン初挑戦となる今冬の新戦力のフィット次第では昨季2位からの降格という悲劇に見舞われる可能性も除外できない。
最後に今冬鹿島アントラーズからトゥールーズに完全移籍したDF昌子源の加入によって3人に増えた日本人選手では、アジアカップ帰りとなる酒井は不振に喘ぐチームに前半戦同様に安定感をもたらしたい。一方、川島と昌子に関してはまずチーム内でのポジション争いを制したい。現在、降格圏と勝ち点8差の14位に位置するトゥールーズだが、1試合平均1得点に満たない脆弱な攻撃陣の影響で決して安全圏にいるわけではない。したがって、昌子に最も求められる要素は自陣低い位置にブロックを敷き押し込まれる中、屈強な相手アタッカーに競り勝つ強さなど、ゴール前で身体を張る泥臭い仕事だ。決して最終ラインの選手層は厚くないため、そこをきっちりこなせればプレー機会は与えられるはずだ。
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