【W杯ラウンド16プレビュー】激闘続きのラ・ロハと勢いに乗る開催国がW杯初対戦《スペインvsロシア》

▽ロシア・ワールドカップ(W杯)決勝トーナメント1回戦、スペイン代表vsロシア代表が7月1日23:00にキックオフされる。グループBを1勝2分けの首位で通過したスペインと、グループAを2勝1敗で2位通過したロシアの一戦だ。▽本大会開幕前日にフレン・ロペテギ前監督を電撃解任し、フェルナンド・イエロ監督の就任を発表したスペインは、初戦のポルトガル代表戦でFWジエゴ・コスタの2ゴール、DFナチョの豪快ボレーで3-3の打ち合いを演じてドロー発進した。続くイラン代表戦では、相手の守備戦術に苦しみながらもジエゴ・コスタの2戦連続弾で1-0の勝利。さらに、最終節モロッコ代表戦でも2度のリードを許すタフな展開が続いたが、MFイスコの前半の得点で1-1に、試合終了間際のFWアスパスの得点で2-2とし、一時敗退に追い込まれながらも結果的には首位通過を果たしている。▽一方、開催国のロシアは同国代表史上最低との国内評を覆し、開幕戦でサウジアラビアに5-0と大勝。負傷したMFジャゴエフとの交代で前半半ばに投入されたMFチェリシェフが2得点、70分に投入されたFWジューバが71分にチームの3点目を奪うなど、勢いを感じさせる内容となった。さらに、エジプト代表戦でもMFチェリシェフとFWジューバが1ゴールずつ記録して3-1の勝利を果たし、グループ突破を確定。しかし、最終節ウルグアイ代表戦では36分にDFスモルニコフが退場したことも影響して0-3の敗北を喫し、2位での通過となった。
▽両国の対戦はこれまで6度あり、スペインから見て4勝2分け。直近の対戦は昨年11月の国際親善試合であり、その際は3-3で引き分けている。なお、2分けはいずれも親善試合でのものであり、今回がW杯での初顔合わせとなった。

▽スペイン予想スタメン
GK:デ・ヘア
DF:カルバハル、ピケ、セルヒオ・ラモス、ジョルディ・アルバ
MF:コケ、ブスケッツ、イニエスタ
FW:シルバ、ジエゴ・コスタ、イスコ
負傷者:なし
出場停止者:なし▽負傷者、出場停止者はいない。批判されるGKデ・ヘアについてはイエロ監督が起用を明言しており、GKレイナやGKケパが送り出される可能性は低いだろう。中盤のイニエスタについても国内からの批判が報じられているが、得点シーンにことごとく絡んでおり、チームメイトからの信頼も厚い。もう1人のインサイドハーフに関してはチアゴの起用も選択肢の1つではあるが、エネルギッシュなスプリントを繰り返すロシアを相手にある程度リアクションしていくことを考えれば、運動量豊富なコケが必要となるはずだ。

▽ロシア予想スタメン
GK:アキンフェエフ
DF:マリオ・フェルナンデス、クテポフ、イグナシェビッチ、ジルコフ
MF:ガジンスキー、ゾブニン
MF:サメドフ、ゴロビン、チェリシェフ
FW:ジューバ
負傷者:MFジャゴエフ
出場停止者:DFスモルニコフ

▽ウルグアイ戦でイエローカード2枚を提示されて退場となったDFスモルニコフが出場停止だ。負傷者に関しては、開幕戦で左足太ももを痛めたMFジャゴエフの状態が不透明なものの、決勝トーナメントに合わせて回復に努めていたことも報じられている。その他のスタメンに関して、グループステージで主力となった選手たちから大きな変更はないと思われる。

★注目選手
◆スペイン:DFセルヒオ・ラモス▽スペインの注目プレーヤーは、最終節でチームを牽引する役割を果たすことができなかった主将DFセルヒオ・ラモスだ。パス本数324本、成功数307で大会1位、フォワードに通したパス本数も168本で大会3位と、こと攻撃面では高い数字を残しているものの、守備面では対人で負けるシーンや相方を務めるDFピケのカバーリングを疎かにするなど、らしくないプレーが目立った。圧倒的な走力を誇るロシアにMFブスケッツの周りのスペースを使われてしまえば、自陣ボックス付近で数的不利に陥りかねず、その部分のケアやそうなった後の対応はリーダーとしての指示を含めてS・ラモスの仕事となるだろう。一発勝負の決勝トーナメント、優勝候補として数えられていようと、主将が奮起しなければ厳しい結果にもなりかねない。

◆ロシア:MFデニス・チェリシェフ▽ロシアの注目プレーヤーは、ここまで3得点をマークしているMFチェリシェフだ。ドリブルテクニックに優れるチェリシェフが繰り返す仕掛けは、どの国にとっても脅威となるだろう。とりわけスペインに関しては、右SBのカルバハルや左SBのジョルディ・アルバ、DFセルヒオ・ラモスなど熱くなり激しいプレーをしてしまいがちな選手が多く、ビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が導入されている今大会ではより慎重な対応が強いられる。好調を示している現在のパフォーマンスのままチェリシェフが前でボールを受けることができれば、ファールトラブルも含めて試合を決定付ける選手になり得るだろう。